(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による電源装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による電源装置1の一例を示すブロック図である。
この図に示すように、電源装置1は、三相交流電源(R、S、T)から所定の直流電圧を出力する。電源装置1は、PFC(Power Factor Correction:力率改善)部2−1〜2−3と、DC/DCコンバータ10−1〜10−3とを備えている。
【0016】
PFC部2−1は、U相用のPFC回路であり、PFC部2−2は、V相用のPFC回路であり、PFC部2−3は、W相用のPFC回路である。なお、この図において、PFC部2−1、PFC部2−2、及びPFC部2−3は、同一の構成であり、電源装置1が備える任意のPFC部を示す場合、又は特に区別しない場合にはPFC部2として説明する。
PFC部2は、力率改善回路であり、高周波電流成分を除去して、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0017】
DC/DCコンバータ10−1は、PFC部2−1から供給されるU相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−2は、PFC部2−2から供給されるV相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−3は、PFC部2−3から供給されるW相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。
なお、この図において、DC/DCコンバータ10−1、DC/DCコンバータ10−2、及びDC/DCコンバータ10−3は、同一の構成であり、電源装置1が備える任意のDC/DCコンバータを示す場合、又は特に区別しない場合にはDC/DCコンバータ10として説明する。
【0018】
DC/DCコンバータ10は、例えば、PFC部2から供給された直流電力を所定の直流電圧に変換する直流−直流変換回路である。DC/DCコンバータ10は、例えば、フルブリッジ方式のDC/DCコンバータである。ここで、
図2を参照して、DC/DCコンバータ10の構成例について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、DC/DCコンバータ10は、電流検出部11と、電圧検出部12と、制御部13と、フルブリッジ回路20と、ドライバ部40と、平滑コンデンサ(Ci、Co)と、トランスTL1と、共振コンデンサC5と、直列リアクトルL1と、ダイオード(D5、D6)と、同期整流回路30と、チョークコイルL2とを備えている。
【0020】
平滑コンデンサCiは、入力の電源線VI(第1の電源線)と、電源線GND1(第2の電源線)との間に接続され、入力電圧を平滑化する。
フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1〜Q4と、寄生容量C1〜C4と、ボディダイオードD1〜D4とを備えている。すなわち、フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4を有し、当該4つのスイッチング素子Q1〜Q4をブリッジ接続して構成されている。
【0021】
スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN1に、ゲート端子が駆動信号G1の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q1は、電源線VIと、共振コンデンサC5を介して後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q1は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C1及びボディダイオードD1を有している。
【0022】
スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN1に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G2の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q2は、電源線GND1と、後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q2は、共振コンデンサC5を介してドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C2及びボディダイオードD2を有している。
【0023】
スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN2に、ゲート端子が駆動信号G3の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q3は、電源線VIと、直列リアクトルL1を介して後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q3は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C3及びボディダイオードD3を有している。
【0024】
スイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN2に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G4の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q4は、電源線GND1と、直列リアクトルL1を介して後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q4は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C4及びボディダイオードD4を有している。
【0025】
トランスTL1は、一次側コイルTL11と、センタタップ付きの二次側コイル(TL12、TL13)とを有し、一次側コイルTL11に供給された電力を変換して二次側コイル(TL12、TL13)に出力する。
一次側コイルTL11は、フルブリッジ回路20に接続される。一次側コイルTL11は、例えば、第1端が、共振コンデンサC5を介してスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第1端は、共振コンデンサC5を介してノードN1に接続されている。また、一次側コイルTL11の第2端が、ノードN3に接続され、直列リアクトルL1を介してスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第2端は、直列リアクトルL1を介してノードN2に接続されている。
【0026】
なお、本実施形態では、一例として、一次側コイルTL11は、共振コンデンサC5を介して間接的にフルブリッジ回路20に接続される例を説明するが、共振コンデンサC5を介さずに、直接的にフルブリッジ回路20に接続されるようにしてもよい。
直列リアクトルL1は、一次側コイルTL11と直列に接続され、寄生容量C1〜C4、及び配線容量との共振により、スイッチング素子Q1〜Q4のZVS(Zero Voltage Switching)動作を実現する。
【0027】
二次側コイル(TL12、TL13)は、一次側コイルTL11と絶縁されたており、二次側コイルTL13の第1端がノードN4に、第2端が二次側コイルTL12の第1端にそれぞれ接続され、二次側コイルTL12の第2端がノードN5に接続されている。また、二次側コイル(TL12、TL13)は、センタタップ(二次側コイルTL13の第2端及び二次側コイルTL12の第1端)を有し、センタタップがノードN6に接続されている。なお、センタタップは、チョークコイルL2に接続されている。また、二次側コイル(TL12、TL13)は、後述する同期整流回路30に接続されている。
【0028】
ダイオードD5は、アノード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続され、カソード端子が電源線VIに接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
ダイオードD6は、アノード端子が電源線GND1に接続され、カソード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
【0029】
同期整流回路30は、スイッチング素子(Q5、Q6)と、寄生容量(C6、C7)と、ボディダイオード(D7、D8)とを備えている。
スイッチング素子Q5(第5のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が二次側コイルTL13の第1端であるノードN4に、ソース端子が出力の電源線GND2に、ゲート端子が駆動信号G5の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q5は、電源線GND2と、二次側コイルTL13の第1端(ノードN4)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q5は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C6及びボディダイオードD7を有している。
【0030】
スイッチング素子Q6(第6のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が二次側コイルTL12の第2端であるノードN5に、ソース端子が出力の電源線GND2に、ゲート端子が駆動信号G6の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q6は、電源線GND2と、二次側コイルTL12の第2端(ノードN5)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q6は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C7及びボディダイオードD8を有している。
【0031】
チョークコイルL2は、二次側コイル(TL12、TL13)のセンタタップに接続されたノードN6に第1端が接続され、第2端が出力の電源線VOに接続されている。チョークコイルL2は、後述する平滑コンデンサCoとともに、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力の平滑化に利用される。
平滑コンデンサCoは、出力の電源線VOと、電源線GND2との間に接続され、出力電圧を平滑化する。
ここで、負荷RLは、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力を消費する負荷を示している。
【0032】
電流検出部11は、一次側コイルTL11に流れる電流(カレントトランスCTを流れる一次側電流Ict)を検出する。電流検出部11は、検出した電流を電圧に変換した信号Victとして制御部13に出力する。
電圧検出部12は、DC/DCコンバータ10の出力電圧を、基準電圧Vrefと比較するためにレベル変換して、信号Voを制御部13に出力する。
【0033】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などを含むプロセッサであり、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4と、同期整流回路30が有するスイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6とをON(オン)状態(導通状態)及びOFF(オフ)状態(非導通状態)を制御する。制御部13は、例えば、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子(Q1〜Q4)及び同期整流回路30が有するスイッチング素子(Q5、Q6)のオン・オフをカレントモード制御(カレントモード制御方式で制御)する。
【0034】
また、制御部13は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6のゲート端子の電圧を制御する駆動信号G1、駆動信号G2、駆動信号G3、駆動信号G4、駆動信号G5、及び駆動信号G6を、ドライバ部40を介して出力する。制御部13は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティ(例えば、50%のデューティ)により制御するとともに、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)によりカレントモード制御方式で制御する。
【0035】
制御部13は、例えば、一次側コイルTL11の電圧が負から正になるタイミングで当該一次側電流(Ict)に切り替え、一次側コイルTL11の電圧が正から負になるタイミングで当該一次側電流(Ict)を反転させた反転電流(Inct)に切り替え、一次側電流(Ict)及び反転電流(Inct)に基づいて制御波形を生成する。制御部13は、生成した当該制御波形に基づいて、カレントモード制御方式でスイッチング素子Q1〜Q4のオン・オフを制御する。すなわち、制御部13は、一次側電流(Ict)と反転電流(Inct)とを、スイッチング素子(Q1〜Q4)をスイッチングするごとに、交互に切り替えて、制御波形を生成する。具体的に、制御部13は、スイッチング素子Q1の駆動信号G1の立ち上がりで、反転電流(Inct)に切り替え、当該反転電流(Inct)に基づいて制御波形を生成する。また、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2の立ち上がりで、一次側電流(Ict)に切り替え、当該一次側電流(Ict)に基づいて制御波形を生成する。
なお、制御部13によるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4の制御の詳細については後述する。
【0036】
ドライバ部40は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6の制御用の信号を、各スイッチング素子の駆動用の電圧に変換して、各スイッチング素子のゲート端子に供給する。ドライバ部40は、例えば、ドライバ41〜46を備えている。なお、本実施形態のDC/DCコンバータ10は、トランスTL1で絶縁しているため、制御部13又はドライバ部40で絶縁する必要がある。
【0037】
ドライバ41は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号G1をスイッチング素子Q1のゲート信号に供給する。
ドライバ42は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q2の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号G2をスイッチング素子Q2のゲート信号に供給する。
ドライバ43は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q3の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q3を駆動する駆動信号G3をスイッチング素子Q3のゲート信号に供給する。
【0038】
ドライバ44は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q4の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号G4をスイッチング素子Q4のゲート信号に供給する。
ドライバ45は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q5の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q5を駆動する駆動信号G5をスイッチング素子Q5のゲート信号に供給する。
ドライバ46は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q6の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q6を駆動する駆動信号G6をスイッチング素子Q6のゲート信号に供給する。
【0039】
次に、
図3を参照して、制御部13の構成例について説明する。
図3は、本実施形態による制御部13の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部13は、制御波形生成部130と、制御信号生成部140と、コンパレータ136と、RSフリップフロップ(137、138)とを備えている。
【0040】
制御信号生成部140は、駆動信号G1〜G6を制御するための各種制御信号を生成する。制御信号生成部140は、例えば、内部で基準となる所定の周波数のキャリア信号を生成し、当該キャリア信号に基づいて、各種制御信号を生成する。
制御信号生成部140は、例えば、駆動信号G1を生成するための信号S1、及び駆動信号G2を生成するための信号S2を生成する。ここで、信号S1、及び信号S2は、所定のデューティ(例えば、50%のデューティ)の信号である。制御信号生成部140は、信号S1をドライバ41に出力し、ドライバ41が、駆動信号G1を出力する。また、制御信号生成部140は、信号S2をドライバ42に出力し、ドライバ42が、駆動信号G2を出力する。
【0041】
制御信号生成部140は、例えば、駆動信号G3を生成するための信号S3、及び駆動信号G4を生成するための信号S4を生成する。ここで、信号S3は、駆動信号G3の立ち上がりタイミングを制御する信号であり、制御信号生成部140は、生成した信号S3をRSフリップフロップ137のS端子(セット端子)に出力する。また、信号S4は、駆動信号G4の立ち上がりタイミングを制御する信号であり、制御信号生成部140は、生成した信号S4をRSフリップフロップ138のS端子(セット端子)に出力する。
【0042】
また、制御信号生成部140は、例えば、駆動信号G5を生成するための信号S5、及び駆動信号G6を生成するための信号S6を生成する。ここで、信号S5は、例えば、信号S1の反転信号であり、信号S6は、例えば、信号S2の反転信号である。制御信号生成部140は、信号S5をドライバ45に出力し、ドライバ45が、駆動信号G5を出力する。また、制御信号生成部140は、信号S6をドライバ46に出力し、ドライバ46が、駆動信号G6を出力する。
【0043】
また、制御信号生成部140は、例えば、基準電圧Vrefと、フィードバック電圧信号である信号Voとに基づいて、カレントモード制御のコントロール電圧Verを生成する。制御信号生成部140は、例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御に基づいて、コントロール電圧Verを生成する。制御信号生成部140は、信号Voが基準電圧Vrefに一致するように、コントロール電圧Verの電圧値を変更する。制御信号生成部140は、生成したコントロール電圧Verをコンパレータ136の入力信号(−入力端子の入力信号)として出力する。
また、制御信号生成部140は、例えば、カレントモード制御のためのスロープ補償を行うスロープ信号として、信号SLOPを生成し、制御波形生成部130に出力する。
【0044】
制御波形生成部130は、一次側コイルTL11の電圧が負から正になるタイミングで当該一次側電流(Ict)に切り替え、一次側コイルTL11の電圧が正から負になるタイミングで当該一次側電流(Ict)を反転させた反転電流(Inct)に切り替え、一次側電流(Ict)及び反転電流(Inct)に基づいて制御波形を生成する。制御波形生成部130は、例えば、電流検出部11が、一次側コイルTL11に流れる電流(カレントトランスCTを流れる一次側電流Ict)を電圧に変換した信号Victに“+1”を乗算した正相信号VIPと、信号Victに“−1”を乗算して反転させた反転信号VINとを生成する。制御波形生成部130は、生成した正相信号VIPと反転信号VINとを、駆動信号G1(信号S1)の立ち上がり及び駆動信号G2(信号S2)の立ち上がりで切り替えて、制御波形(VICON)を生成する。
制御波形生成部130は、バッファ部131と、反転部132と、切替判定部133と、選択出力部134と、加算部135とを備えている。
【0045】
バッファ部131は、例えば、オペアンプなどを利用した正相増幅回路であり、入力された信号Victに“+1”を乗算した正相信号VIPを出力する。
反転部132は、例えば、オペアンプなどを利用した反転増幅回路であり、入力された信号Victに“−1”を乗算した反転信号VINを出力する。
【0046】
切替判定部133は、信号S1の立ち上がり(駆動信号G1の立ち上がりに相当)と、信号S2の立ち上がり(駆動信号G2の立ち上がりに相当)とに基づいて、正相信号VIPと、反転信号VINとを切り替えるための選択信号として信号SELを生成する。切替判定部133は、信号S1の立ち上がりにより信号SELをH(High:ハイ)状態にし、信号S2の立ち上がりにより信号SELをL(Low:ロウ)状態にする。切替判定部133は、生成した信号SELを選択出力部134に出力する。
【0047】
選択出力部134は、切替判定部133が出力する信号SELに基づいて、バッファ部131が出力する正相信号VIPと、反転部132が出力する反転信号VINとを切り替えて、信号SELOとして出力する。選択出力部134は、例えば、信号SELがH状態である場合に、正相信号VIPを信号SELOに出力する。また、選択出力部134は、例えば、信号SELがL状態である場合に、反転信号VINを信号SELOに出力する。
【0048】
加算部135は、選択出力部134が出力した信号SELOと、制御信号生成部140が生成した信号SLOPとを加算して、PWMによるカレントモード制御の制御波形となる信号VICONを生成する。加算部135は、生成した信号VICONをコンパレータ136の入力信号(+入力端子の入力信号)として出力する。
【0049】
コンパレータ136は、−入力端子が上述したコントロール電圧Verの信号線に接続され、+入力端子が上述した制御波形の信号VICONの信号線に接続される。コンパレータ136は、信号VICONの電圧値と、コントロール電圧Verの電圧値とを比較して、信号VICONの電圧値がコントロール電圧Verの電圧値未満である場合にL状態を出力する。コンパレータ136は、信号VICONの電圧値がコントロール電圧Verの電圧値以上である場合にH状態を出力する。
【0050】
RSフリップフロップ137は、信号S3がH状態になると、出力信号QをH状態に変更し、R端子がH状態になるまで、出力信号QをH状態に保持する。また、RSフリップフロップ137は、コンパレータ136の出力信号がH状態になると、出力信号QをL状態に変更し、S端子がH状態になるまで、出力信号QをL状態に保持する。RSフリップフロップ137の出力信号Qは、ドライバ43を介して駆動信号G3として出力される。
【0051】
RSフリップフロップ138は、信号S4がH状態になると、出力信号QをH状態に変更し、R端子がH状態になるまで、出力信号QをH状態に保持する。また、RSフリップフロップ138は、コンパレータ136の出力信号がH状態になると、出力信号QをL状態に変更し、S端子がH状態になるまで、出力信号QをL状態に保持する。RSフリップフロップ138の出力信号Qは、ドライバ44を介して駆動信号G4として出力される。
【0052】
次に、図面を参照して、本実施形態による電源装置1の動作について説明する。
まず、
図4を参照して、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の制御部13によるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6の制御について説明する。
図4は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W1〜W6の各波形は、上から順に、駆動信号G1〜G6の電圧波形を示している。また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は論理レベルを示している。
【0053】
時刻T1において、制御部13は、まず、スイッチング素子Q1の駆動信号G1、スイッチング素子Q4の駆動信号G4、及びスイッチング素子Q6の駆動信号G6をH状態にする。なお、この場合、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2、スイッチング素子Q3の駆動信号G3、及びスイッチング素子Q5の駆動信号G5をL状態に維持する。これにより、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q4、及びスイッチング素子Q6がON状態になり、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q5がOFF状態になる。その結果、電源線VIからスイッチング素子Q1、共振コンデンサC5、一次側コイルTL11、直列リアクトルL1、及びスイッチング素子Q4の経路により電流が流れる。これにより、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生する。また、二次側コイルTL12に接続されている同期整流回路30では、スイッチング素子Q6を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0054】
制御部13は、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、電流検出部11が検出した電流値に基づき制御波形生成部130が生成した制御波形の電圧(VICON)が所定の値に達するまで、スイッチング素子Q4のON状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q1のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q1のON状態を維持する。
【0055】
時刻T2において、制御波形生成部130が生成した制御波形の電圧(VICON)が所定の値に達し、制御部13は、駆動信号G4をL状態にして、スイッチング素子Q4をOFF状態にする。このスイッチング素子Q4のON状態の期間DT2は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、カレントモード制御によりPWM(パルス幅変調)して、スイッチング素子Q4のON状態の期間DT2を制御する。
【0056】
また、時刻T3において、スイッチング素子Q1のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G1及び駆動信号G6をL状態にして、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q6をOFF状態にする。ここで、所定のデューティとは、例えば、期間TT1におけるON状態の期間DT1の割合(例えば、50%など)であり、予め定められた1周期(期間TT1)当たりの導通時間(期間DT1)の比率(DT1/TT1×100)を示す時比率である。なお、本実施形態では、この所定のデューティを約50%として説明する。また、制御部13は、駆動信号G2、駆動信号G3、及び駆動信号G5をH状態にして、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q5をON状態にする。
【0057】
制御部13は、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、電流検出部11が検出した電流値に基づき制御波形生成部130が生成した制御波形の電圧(VICON)が所定の値に達するまで、スイッチング素子Q3のON状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q2のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q2のON状態を維持する。
【0058】
時刻T4において、制御波形生成部130が生成した制御波形の電圧(VICON)が所定の値に達し、制御部13は、駆動信号G3をL状態にして、スイッチング素子Q3をOFF状態にする。このスイッチング素子Q3のON状態の期間DT4は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、カレントモード制御によりPWM(パルス幅変調)して、スイッチング素子Q3のON状態の期間DT4を制御する。
【0059】
また、時刻T5において、スイッチング素子Q2のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G2をL状態にして、スイッチング素子Q2をOFF状態にする。制御部13は、駆動信号G2及び駆動信号G5をL状態にして、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q5をOFF状態にする。また、制御部13は、駆動信号G1、駆動信号G4、及び駆動信号G6をH状態にして、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q4、及びスイッチング素子Q6をON状態にする。
このように、制御部13は、第2の期間(例えば、期間DT3)において、スイッチング素子Q2を所定のデューティによりON状態に制御するとともに、スイッチング素子Q3をカレントモード制御によりON状態に制御する。
【0060】
続く時刻T5〜時刻T9までの処理は、上述した時刻T1〜時刻T5までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。このように、制御部13は、第1の期間(期間DT1)の処理と第2の期間(期間DT3)の処理とを交互に繰り返して、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4のON状態及びOFF状態を制御する。
なお、
図4において、スイッチング素子Q1〜Q4は、例えば、直列リアクトルL1と寄生容量C1〜C4、及び配線容量との共振により、ZVS動作するものとする。
【0061】
次に、
図5を参照して、
図3に示す制御部13におけるカレントモード制御の動作について説明する。
図5は、本実施形態による軽負荷時のカレントモード制御の一例を示すタイムチャートである。
【0062】
この図において、各信号は、上から順に、DC/DCコンバータ10の出力電流Io、キャリア信号、駆動信号G1、駆動信号G2、信号Vict、信号SEL、信号SELO、信号SLOP、コンパレータ136の入力信号(VICON、Ver)、コンパレータ136の出力信号、信号S3、駆動信号G3、信号S4、及び駆動信号G4を示している。ここで、信号Victは、電流検出部11によって一次側電流Ictを電圧に変換した信号であり、一次側電流Ictに対応する。また、信号SELは、上述した切替判定部133によって生成される選択信号であり、信号SELOは、信号SELによって切り替えられた選択出力部134の出力信号である。
【0063】
また、波形W11は、出力電流Ioの波形を示している。また、波形W12〜W24は、それぞれ、キャリア信号、駆動信号G1、駆動信号G2、信号Vict、信号SEL、信号SELO、信号SLOP、信号VICON、コンパレータ136の出力信号、信号S3、駆動信号G3、信号S4、及び駆動信号G4の電圧波形を示している。
【0064】
この図において、横軸は時間を示し、縦軸は、出力電流Ioが電流を示し、信号Vict、信号SELO、信号SLOP、及び入力信号(VICON、Ver)が電圧を示し、その他の信号は、論理レベルを示している。また、この図において、キャリア信号の期間TRAは、
図4における期間DT1に対応し、期間TRBは、
図4における期間DT3に対応する。
また、
図5に示す例は、軽負荷時であるため、定期的に回生電流が発生し、出力電流Ioには、期間TRCのような負の電流となる期間が存在する(波形W11参照)。
【0065】
時刻T11において、まず、制御部13が、駆動信号G1をH状態にする(波形W13参照)とともに、駆動信号G2をL状態にする(波形W14参照)。すなわち、制御部13の制御信号生成部140が、信号S1をH状態にして、ドライバ41を介して、駆動信号G1をH状態にするとともに、信号S2をL状態にして、ドライバ42を介して、駆動信号G2をL状態にする。また、駆動信号G1がH状態になると、切替判定部133は、信号SELにL状態を出力する(波形W16参照)。これにより、選択出力部134は、反転部132が出力した反転信号VINを信号SELOに出力する(波形W17参照)。その結果、加算部135は、信号SLOPと、信号SELO(反転信号VIN)とを加算した信号VICONをコンパレータ136に出力する(波形W19参照)。
【0066】
また、一方で、時刻T11において、制御信号生成部140が、信号S4をH状態にする(波形W23参照)。これにより、RSフリップフロップ138がセットされ、制御部13は、駆動信号G4をH状態にする(波形W24参照)。
【0067】
次に、信号VICONの電圧が増加して行き、時刻T12において、コントロール電圧Verに達すると(波形W19参照)、コンパレータ136が、H状態を出力する(波形W20参照)。これにより、RSフリップフロップ138がリセットされ、制御部13は、駆動信号G4をL状態にする(波形W24参照)。
【0068】
次に、時刻T13において、信号SLOPが上昇から下降に切り替わる(波形W18参照)ことにより、加算部135が、信号SLOPと、信号SELO(反転信号VIN)とを加算した信号VICONは、急激に下降する(波形W19参照)。
【0069】
次に、時刻T14において、制御部13が、駆動信号G1をL状態にする(波形W13参照)とともに、駆動信号G2をH状態にする(波形W14参照)。すなわち、制御部13の制御信号生成部140が、信号S1をL状態にして、ドライバ41を介して、駆動信号G1をL状態にするとともに、信号S2をH状態にして、ドライバ42を介して、駆動信号G2をH状態にする。また、駆動信号G2がH状態になると、切替判定部133は、信号SELにL状態を出力する(波形W16参照)。これにより、選択出力部134は、バッファ部131が出力した正相信号VIPを信号SELOに出力する(波形W17参照)。その結果、加算部135は、信号SLOPと、信号SELO(正相信号VIP)とを加算した信号VICONをコンパレータ136に出力する(波形W19参照)。
【0070】
また、一方で、時刻T14において、制御信号生成部140が、信号S3をH状態にする(波形W21参照)。これにより、RSフリップフロップ137がセットされ、制御部13は、駆動信号G3をH状態にする(波形W22参照)。
【0071】
次に、信号VICONの電圧が増加して行き、時刻T15において、コントロール電圧Verに達すると(波形W19参照)、コンパレータ136が、H状態を出力する(波形W20参照)。これにより、RSフリップフロップ137がリセットされ、制御部13は、駆動信号G3をL状態にする(波形W22参照)。
【0072】
次に、時刻T16において、信号SLOPが上昇から下降に切り替わる(波形W18参照)ことにより、加算部135が、信号SLOPと、信号SELO(正相信号VIP)とを加算した信号VICONは、急激に下降する(波形W19参照)。
【0073】
次に、時刻T17において、上述した時刻T11と同様に、制御部13が、駆動信号G1をH状態にする(波形W13参照)とともに、駆動信号G2をL状態にする(波形W14参照)。
続く、時刻T17〜T23、及び時刻T23〜T29の動作は、上述した時刻T11〜T17の動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0074】
このように、軽負荷時に、波形W11に示すように、回生電流が発生するような場合であっても、本実施形態のDC/DCコンバータ10は、PWMによりカレントモード制御を行うことができる。
なお、上述した
図5に示す通り、制御部13は、一次側電流Ict(電圧Victに対応)の立ち上がり、又は、立ち下がりのタイミングで、一次側電流(正相信号VIPに対応)と反転電流(反転信号VINに対応)とを切り替えて、制御波形(信号VICONの波形)を生成する。
【0075】
次に、本実施形態による制御部13における通常負荷時のカレントモード制御について説明する。
ここで、通常負荷時とは、軽負荷時よりも負荷が大きく、軽負荷時のように、回生電流が発生しない状態である。
【0076】
通常負荷時には、負荷が大きいため、出力電流Ioには、回生電流が発生しない点が、上述した軽負荷時と異なる。そのため、信号Vict、信号SELO、及び信号VICONの波形が、
図5に示す通常負荷時と異なっているが、制御部13の動作は、
図5に示す通常負荷時と同様である。すなわち、通常負荷時における制御部13のカレントモード制御の動作は、信号Vict、信号SELO、及び信号VICONの波形が異なるが、上述した
図5に示す時刻T11〜T29における動作と同様である。
【0077】
このように、本実施形態による制御部13は、軽負荷時と、通常負荷時とで制御方法を変更する必要がなく同一の制御方法により、カレントモード制御を実現することができる。
【0078】
なお、上述したように、本実施形態による制御部13は、軽負荷時と、通常負荷時とで同一の制御方法により、カレントモード制御を実行するが、軽負荷時と、通常負荷時とで制御方法とで異なる制御方法を切り替えて実行してもよい。但し、この場合、制御部13は、少なくとも軽負荷時に、
図5に示す制御方法により、カレントモード制御を実行するものとする。すなわち、制御部13は、少なくとも軽負荷時に、一次側電流又は反転電流に基づいて制御波形(VICON)を生成する。そして、制御部13は、生成した制御波形(VICON)に基づいて、カレントモード制御方式でスイッチング素子(Q1〜Q4)のオン・オフを制御する。
【0079】
次に、
図6を参照して、本実施形態による三相のカレントモード制御について説明する。
図6は、本実施形態による三相のカレントモード制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、各信号は、上から順に、三相分のコンパレータ136の入力信号(VICON、Ver)、駆動信号G4(U相、V相、W相)を示している。また、波形W50は、コントロール電圧Verの波形を示し、波形W51は、U相の信号VICON(DC/DCコンバータ10−1の信号VICON)の波形を示している。波形W52は、V相の信号VICON(DC/DCコンバータ10−2の信号VICON)の波形を示し、また、波形W53は、W相の信号VICON(DC/DCコンバータ10−3の信号VICON)の波形を示している。また、波形W54は、U相の駆動信号G4(U)を示し、波形W55は、V相の駆動信号G4(V)を示し、波形W56は、W相の駆動信号G4(W)を示している。
【0080】
また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は入力信号(VICON、Ver)が電圧を示し、その他の信号は、論理レベルを示している。
なお、この図に示す例は、説明上、駆動信号G4についての一例について記載しているが、基本的には、駆動信号G3の場合も同様であり、ここではその説明を省略する。
【0081】
時刻T51において、各DC/DCコンバータ10の制御信号生成部140は、信号S4を所定の期間、H状態にする。これにより、各RSフリップフロップ138は、H状態を出力し、各ドライバ44が、波形W54〜波形W56に示すように、各駆動信号G4(駆動信号G4(U)、駆動信号G4(V)、駆動信号G4(W))をH状態にする。
これにより、各DC/DCコンバータ10のスイッチング素子Q4がON状態になり、波形W51〜波形W53に示すように、各信号VICONが上昇する。ここで、U相、V相、及びW相では、三相交流の位相が異なるため、各信号VICONの上昇波形が異なる。ここで、コントロール電圧Verの電圧値は、波形W50に示すように、各DC/DCコンバータ10において等しい同一の電圧値である。
【0082】
次に、時刻T52において、U相の信号VICONの電圧値が、コントロール電圧Verに達すると、U相のコンパレータ136は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W54に示すように、駆動信号G4(U)をL状態にする。これにより、U相のDC/DCコンバータ10−1のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0083】
また、時刻T53において、V相の信号VICONの電圧値が、コントロール電圧Verに達すると、V相のコンパレータ136は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W55に示すように、駆動信号G4(V)をL状態にする。これにより、V相のDC/DCコンバータ10−2のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0084】
また、時刻T54において、W相の信号VICONの電圧値が、コントロール電圧Verに達すると、W相のコンパレータ136は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W56に示すように、駆動信号G4(W)をL状態にする。これにより、W相のDC/DCコンバータ10−3のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0085】
このように、本実施形態による三相のカレントモード制御の場合、DC/DCコンバータ10(10−1、10−2、10−3)は、各DC/DCコンバータ10の制御波形の電流ピーク値(ここでは、信号VICONのピーク値が対応)が一致するように制御する。すなわち、DC/DCコンバータ10(10−1、10−2、10−3)は、一次側コイルTL11に流れる電流波形の各電流ピーク値が三相で一致するように、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御する。換言すると、DC/DCコンバータ10(10−1、10−2、10−3)は、DC/DCコンバータ10(10−1、10−2、10−3)における全ての制御波形の電流ピーク値が一致するように制御する。
【0086】
なお、上述した本実施形態の一例では、三相の各DC/DCコンバータ10がそれぞれ制御部13を備える例を説明したが、本実施形態では、制御部13の一部を共用して、三相を一括制御することが可能である。ここで、
図8を参照して、本実施形態による三相を一括制御する場合の一例について説明する。
【0087】
図7は、本実施形態による三相一括制御の一例を示すブロック図である。
この図に示す制御部13aは、制御信号生成部140と、制御波形生成部(130−1、130−2、130−3)と、コンパレータ(136−1、136−2、136−3)と、RSフリップフロップ(138−1、138−2、138−3)とを備えている。
なお、この図に示す例では、各DC/DCコンバータ10のスイッチング素子Q4を駆動する駆動信号G4について説明し、その他の部分の図示を省略している。
【0088】
制御信号生成部140は、三相のDC/DCコンバータ10において処理を共用しており、生成した信号S1、信号S2、信号S4、信号SLOP、及び信号Verを三相のDC/DCコンバータ10に供給する。また、信号Vict(U)、信号Vict(V)、及び信号Vict(W)は、三相の各DC/DCコンバータ10において検出された信号Victである。
【0089】
また、制御波形生成部(130−1、130−2、130−3)は、制御信号生成部140が一括して生成した信号S1、信号S2、及び信号SLOPと、各DC/DCコンバータ10がそれぞれ検出した信号Vict(U)、信号Vict(V)、及び信号Vict(W)とに基づいて、各相の信号VICONを生成する。制御波形生成部(130−1、130−2、130−3)のそれぞれの構成は、上述した制御波形生成部130と同一である。
【0090】
コンパレータ(136−1、136−2、136−3)は、制御信号生成部140が一括して生成したコントロール電圧Verと、各DC/DCコンバータ10の制御波形生成部(130−1、130−2、130−3)が生成した各相の信号VICONとをそれぞれ比較する。コンパレータ(136−1、136−2、136−3)のそれぞれの構成は、上述したコンパレータ136と同一である。
【0091】
RSフリップフロップ(138−1、138−2、138−3)のそれぞれの構成は、上述したRSフリップフロップ138と同一である。RSフリップフロップ138−1は、ドライバ44−1を介して、U相の駆動信号G4(U)を出力し、RSフリップフロップ138−2は、ドライバ44−2を介して、V相の駆動信号G4(V)を出力する。また、RSフリップフロップ138−3は、ドライバ44−3を介して、W相の駆動信号G4(W)を出力する。
【0092】
なお、ドライバ(44−1、44−2、44−3)のそれぞれの構成は、上述したドライバ44と同一である。
また、
図8に示す例では、説明上、DC/DCコンバータ10のスイッチング素子Q3を駆動する駆動信号G3についての図示を省略しているが、駆動信号G3についても駆動信号G4と同様である。
【0093】
このように、本実施形態では、上述した制御信号生成部140のように、複数のDC/DCコンバータ10における制御信号を共用することで、制御部13の構成を簡略化することができる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、DC/DCコンバータ10を備える。DC/DCコンバータ10は、フルブリッジ回路20(ブリッジ回路)と、トランスTL1と、同期整流回路30と、制御部13とを備えている。フルブリッジ回路20は、スイッチング素子(Q1〜Q4)を有する。トランスTL1は、フルブリッジ回路20が直接的又は間接的に接続される一次側コイルTL11と、一次側コイルTL11と絶縁された二次側コイル(TL12、TL13)と、を有する。同期整流回路30は、二次側コイル(TL12、TL13)に接続され、制御部13は、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子(Q1〜Q4)のオン・オフをカレントモード制御方式で制御する。さらに、制御部13は、一次側コイルTL11の電圧が負から正になるタイミングで当該一次側電流(例えば、正相信号VIP)に切り替え、一次側コイルTL11の電圧が正から負になるタイミングで当該一次側電流を反転させた反転電流(例えば、反転信号VIN)に切り替え、一次側電流及び反転電流に基づいて制御波形(例えば、信号VICON)を生成する。そして、制御部13は、生成した当該制御波形に基づいて、カレントモード制御方式でスイッチング素子(Q1〜Q4)のオン・オフを制御する。
【0095】
これにより、本実施形態による電源装置1は、一次側電流と、反転電流とを切り替えて、制御波形(例えば、信号VICON)を生成するので、カレントモード制御に適切な制御波形を生成することができる。そのため、本実施形態による電源装置1は、例えば、一次側に回生電流が発生した場合でも、容易にカレントモード制御方式の制御を行うことができる。よって、本実施形態による電源装置1は、電源の変換効率を向上させるとともに、二次側を同期整流する場合に軽負荷時にカレントモード制御を行うことができる。
また、本実施形態による電源装置1は、各相電流のバランスが取れるため、電源の変換効率を向上させることができるとともに、スイッチング素子(Q1〜Q4)の応答を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、制御部13は、少なくとも軽負荷時に、一次側電流又は反転電流に基づいて制御波形を生成する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、少なくとも軽負荷時に、一次側電流又は反転電流に基づいて制御波形を生成する制御方式を実行し、軽負荷時以外(通常負荷時など)に、例えば、変換効率や応答速度の良い他の制御方式と適切に併用することが可能になる。そのため、本実施形態による電源装置1は、さらに電源の変換効率や反応速度を向上させつつ、軽負荷時にカレントモード制御を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、制御部13は、一次側電流と反転電流とを、スイッチング素子(Q1〜Q4)をスイッチングするごとに、交互に切り替えて、制御波形を生成する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、より簡易な手段により、一次側電流と反転電流とを切り替えて、カレントモード制御のための制御波形を適切に生成することができる。
【0098】
また、本実施形態では、制御部13は、一次側電流の立ち上がり、又は、立ち下がりのタイミングで、一次側電流と反転電流とを切り替えて、制御波形を生成する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、より簡易な手段により、一次側電流と反転電流とを切り替えて、カレントモード制御のための制御波形を適切に生成することができる。
【0099】
また、本実施形態では、フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子)、スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子)、スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子)、及びスイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子)を有し、当該4つのスイッチング素子(Q1〜Q4)をブリッジ接続して構成する。制御部13は、トランスTL1の一次側コイルTL11の第1端に接続されるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)によりカレントモード制御方式で制御する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、PWM(パルス幅変調)により制御するので、カレントモード制御を、より簡易な構成により行うことが可能になる。
【0100】
また、本実施形態による電源装置1は、DC/DCコンバータ10を複数(例えば、3個)備え、複数のDC/DCコンバータ10は、各DC/DCコンバータ10の制御波形の電流ピーク値が一致するように制御する。すなわち、複数のDC/DCコンバータ10は、複数のDC/DCコンバータ10における全ての制御波形の電流ピーク値が一致するように制御する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、複数相の交流電源を入力とした場合であっても、全ての電流ピーク値が一致するようにカレントモード制御することにより、各相電流のバランスが取れるため、容易に電源の変換効率を向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態では、DC/DCコンバータ10は、一次側コイルTL11と直列に接続されている直列リアクトルL1を備えている。
これにより、本実施形態による電源装置1は、直列リアクトルL1と、寄生容量(C1〜C4、C6、C7)、及び配線容量との共振により、スイッチング素子Q1〜Q6をZVS動作させることができる。このことにより、本実施形態による電源装置1は、スイッチング損失を低減させることができるので、さらに電源の変換効率を向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態による電源制御方法は、上述したDC/DCコンバータ10を備える電源装置1の電源制御方法であって、制御部13が、一次側コイルTL11の電圧が負から正になるタイミングで当該一次側電流に切り替え、一次側コイルTL11の電圧が正から負になるタイミングで当該一次側電流を反転させた反転電流に切り替え、一次側電流及び反転電流に基づいて制御波形を生成し、生成した当該制御波形に基づいて、カレントモード制御方式でスイッチング素子(Q1〜Q4)のオン・オフを制御する。
これにより、本実施形態による電源制御方法は、電源の変換効率を向上させるとともに、二次側を同期整流する場合に軽負荷時にカレントモード制御を行うことができる。
【0103】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態の一例として、
図1に示す電源装置1及び
図2に示すDC/DCコンバータ10の構成を説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、電源装置1は、3つ以上のDC/DCコンバータ10を備えた複数相の交流電源に対応する構成であってもよいし、PFC部2を備えない構成であってもよい。
また、DC/DCコンバータ10は、直列リアクトルL1、共振コンデンサC5、及びダイオード(D5、D6)の一部又は全部を備えない構成であってもよい。
【0104】
また、トランスTL1は、センタタップ付きの二次側コイル(TL12、TL13)を備える例を説明したが、センタタップを有さないものであってもよい。
また、同期整流回路30は、両波整流回路である例を説明したが、これに限定されるものではなく、フルブリッジなどの全波整流回路であってもよい。
また、上記の実施形態において、DC/DCコンバータ10は、フルブリッジ回路20を備える例を説明したが、フルブリッジ回路20の代わりにハーフブリッジ回路を備えるようにしてもよい。
【0105】
また、上記の実施形態において、制御部13は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を50%の固定のデューティにより制御する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他のデューティにより制御するようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、切替判定部133は、駆動信号G1及び駆動信号G2の立ち上がりのタイミングで正相信号VIPと反転信号VINを切り替えるようにする例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、キャリア信号のH状態の期間(期間TRA)とL状態の期間(期間TRB)とで切り替えるようにしてもよいし、一次側電流Ict(電圧Victに対応)の立ち上がり期間と、立ち下がり期間とで切り替えるようにしてもよい。
【0106】
また、上記の実施形態において、制御部13が、駆動信号G5を駆動信号G1の反転信号として生成し、駆動信号G6を駆動信号G2の反転信号として生成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部13は、駆動信号G5を駆動信号G4の反転信号として生成し、駆動信号G6を駆動信号G3の反転信号として生成するようにしてもよい。
【0107】
また、上記の実施形態では、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子として説明したが、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子としてもよい。また、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を第3のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子として説明したが、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を第3のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子としてもよい。
また、制御信号生成部140は、PID制御に基づいて、コントロール電圧Verを生成する例を説明したが、他の制御方式によりコントロール電圧Verを生成してもよい。
【0108】
また、上記の制御部13は、
図3に示す回路構成に限定されるものではなく、他の回路構成により実現されてもよい。例えば、コンパレータ136(136−1、136−2、136−3)は、−入力端子がコントロール電圧Verの信号線に接続され、+入力端子が信号VICONの信号線に接続される例を説明したが、−入力端子が信号VICONの信号線に接続され、+入力端子がコントロール電圧Verの信号線に接続されるようにしてもよい。また、この場合、RSフリップフロップ137、及びRSフリップフロップ138(138−1、138−2、138−3)には、R端子がL状態でリセットする負論理リセットのRSフリップフロップを適用する。
また、上記の実施形態において、制御部13(13a)の各部の処理は、IC(Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェア処理によって実現されてもよい。
【0109】
上述の電源装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した制御部13(13a)の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。