(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二酸化炭素をゲスト物質として包接した二酸化炭素ハイドレートと、オゾンとを混合する第1混合部を少なくとも有し、該オゾンをゲスト物質として包接したオゾンハイドレートを生成するオゾンハイドレート生成部を備えたことを特徴とするオゾンハイドレート製造装置。
前記オゾンハイドレート生成部において前記オゾンハイドレートを生成した結果生じる、該オゾンハイドレートと、第1未反応ガスとを少なくとも含む第1混合物から、該第1未反応ガスを分離する第1分離部と、
前記第1分離部によって分離された前記第1未反応ガスのうち、少なくともオゾンを水に吸収させてオゾン吸収水を生成するオゾン吸収部と、
を備え、
前記第1混合部は、前記二酸化炭素ハイドレートおよび前記オゾンとともに、前記オゾン吸収水を混合することを特徴とする請求項1に記載のオゾンハイドレート製造装置。
二酸化炭素をゲスト物質として包接した二酸化炭素ハイドレートと、オゾンとを混合して、該オゾンをゲスト物質として包接したオゾンハイドレートを生成する工程を含むことを特徴とするオゾンハイドレート製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
(オゾンハイドレート製造装置100)
図1は、オゾンハイドレート製造装置100の概略的な構成を説明するための図である。
図1に示すように、オゾンハイドレート製造装置100は、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110と、オゾンハイドレート製造ユニット120と、中央制御部130とを含んで構成される。なお、
図1中、二酸化炭素ハイドレートの流れを実線の矢印で示し、制御の流れを破線の矢印で示す。
【0020】
本実施形態のオゾンハイドレート製造装置100では、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110が二酸化炭素ハイドレートを製造し、オゾンハイドレート製造ユニット120が、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110で製造された二酸化炭素ハイドレートを熱分解することなくオゾンハイドレートを製造する。
【0021】
中央制御部130は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)からCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory:読み書き可能なメモリ)や他の電子回路と協働してオゾンハイドレート製造装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、中央制御部130は、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110およびオゾンハイドレート製造ユニット120を構成するバルブを開閉制御したり、ポンプを駆動したりする。
【0022】
以下、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110およびオゾンハイドレート製造ユニット120の具体的な構成について説明する。
【0023】
(二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110)
図2は、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の概略的な構成を説明するための図である。
図2に示すように、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110は、ガス供給源210と、原料冷却部220(冷却部)と、二酸化炭素ハイドレート生成部240と、原料分離部250(第2分離部)と、分離水加熱部260と、二酸化炭素吸収部270とを含んで構成される。
【0024】
ガス供給源210は、二酸化炭素を含む原料ガスを二酸化炭素ハイドレート生成部240に供給する。
図3は、ガス供給源210の具体例を説明するための図である。
図3に示すように、本実施形態にかかるガス供給源210は、ボイラ310と、発電機312と、第1排気冷却部314と、水分離部316と、ブリージングタンク318と、圧縮機320と、第2排気冷却部322とを含んで構成される。
【0025】
ボイラ310は、PSA(圧力スイング吸着)装置等によって製造された酸素富化ガスと、LNG(液化天然ガス)、都市ガス(例えば、都市ガス13A)等の燃料とが供給され、燃料を酸素富化ガスで燃焼させて、燃焼排ガスを生成する。本実施形態において、ボイラ310には、例えば、93体積%の酸素が含まれる酸素富化ガスが供給される。したがって、ボイラ310において生成された燃焼排ガスには、水(水蒸気)が60体積%程度含まれることになる。
【0026】
発電機312は、ボイラ310で生成された燃焼排ガスが有する熱で発電する。第1排気冷却部314は、発電機312で熱回収された燃焼排ガスを常温(例えば、25℃)程度までさらに冷却し、水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する。
【0027】
水分離部316は、第1排気冷却部314によって冷却された燃焼排ガスが導入され、燃焼排ガスから凝縮水を分離する。なお、水分離部316によって凝縮水が除去された燃焼排ガスには、80体積%以上の二酸化炭素が含まれることとなる。
【0028】
圧縮機320は、水分離部316によって凝縮水が除去された燃焼排ガスを二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件(例えば、2.5MPa〜3.5MPa程度)まで昇圧する。第2排気冷却部322は、昇圧された燃焼排ガスを冷却する。こうして、圧縮機320によって二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件まで昇圧され、第2排気冷却部322によって冷却された燃焼排ガス(原料ガス)は、後述する二酸化炭素ハイドレート生成部240の気液混合部242に導入されることとなる。
【0029】
なお、水分離部316と圧縮機320との間には流量調整弁324が設けられており、中央制御部130によって、二酸化炭素ハイドレートの目標生成量に応じて開度が調整される。
【0030】
また、水分離部316には、ドレントラップ316aが接続されており、ドレントラップ316aは、水分離部316において分離された凝縮水を水分離部316外に排出する。さらに、水分離部316には、圧力調整弁316bが設けられており、余剰の燃焼排ガスが圧力調整弁316bを介して水分離部316から排気される。これにより、水分離部316内の圧力を所定範囲に維持することができる。また、水分離部316には、ステンレス製のベローズや可撓性を有する合成樹脂で構成されたブリージングタンク318が接続されており、ボイラ310の負荷変動、圧縮機320の負荷変動や脈動を吸収して、圧縮機320に導入される燃焼排ガスの圧力を所定範囲に維持している。
【0031】
図2に戻って説明すると、原料冷却部220は、バルブ274、ポンプ272を介して後述する二酸化炭素吸収部270に接続されている。原料冷却部220には、二酸化炭素吸収部270から二酸化炭素吸収水が導入され、二酸化炭素吸収水を原料水として、二酸化炭素ハイドレートの生成温度条件(例えば、272K(−1℃)〜277K(4℃)程度)まで冷却する。なお、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の起動時においては、原料水タンク202からポンプ204を通じて二酸化炭素吸収部270に原料水が導入され、二酸化炭素吸収部270からポンプ272、バルブ274を通じて原料冷却部220に原料水が導入される。原料冷却部220は、例えば、シェル&チューブ型の熱交換器であり、LNGによって原料水を冷却する。
【0032】
二酸化炭素ハイドレート生成部240は、気液混合部242(第2混合部)を含んで構成され、二酸化炭素ハイドレートを生成する。気液混合部242は、ガス供給源210から供給された燃焼排ガス(原料ガス)と、原料冷却部220によって冷却された原料水とを混合する。気液混合部242は、例えば、液相(原料水)において原料ガスの気泡(マイクロバブル)が実質的に均等に分布するように撹拌するミキサーで構成される。
【0033】
上述したように、気液混合部242に導入される燃焼排ガスの圧力は、圧縮機320によって二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件を満たしており、気液混合部242に導入される原料水の温度は、原料冷却部220によって上述した二酸化炭素ハイドレートの生成温度条件を満たすものとなっている。このため、気液混合部242において燃焼排ガスと原料水とを混合(接触)するだけで、二酸化炭素ハイドレートを生成することができる。
【0034】
また、原料冷却部220が二酸化炭素吸収水を冷却する場合、原料冷却部220において、二酸化炭素吸収水に含まれる二酸化炭素をゲスト物質として二酸化炭素ハイドレートが生成されることとなる。したがって、気液混合部242には、少量の二酸化炭素ハイドレートが含まれる二酸化炭素吸収水が導入される。これにより、気液混合部242において、原料冷却部220で生成された二酸化炭素ハイドレートを核として、二酸化炭素ハイドレートを生成することができる。したがって、気液混合部242における二酸化炭素ハイドレートの生成反応を促進させることが可能となる。
【0035】
なお、二酸化炭素ハイドレート等のガスハイドレートを生成する際には、反応熱が生じる。本実施形態では、冷却された原料水(二酸化炭素吸収水)を原料ガスに直接接触させているため、反応熱を原料水の顕熱によって直接吸収(熱交換)させることができ、外部から冷却する構成等の間接的に熱交換させる場合と比較して、効率よく反応熱を除去することが可能となる。これにより、ガスハイドレートの生成反応を促進することができ、気液混合部242において効率よく二酸化炭素ハイドレートを生成することが可能となる。
【0036】
こうして、二酸化炭素ハイドレート生成部240において生成された二酸化炭素ハイドレートは、原料分離部250へ送出されることとなる。なお、ガスハイドレートの生成反応は、原料水と気泡(マイクロバブル)との混合接触によって決まるため、気液混合部242のみならず、二酸化炭素ハイドレート生成部240から原料分離部250へ送出される間にも二酸化炭素ハイドレートが生成されることとなる。また、二酸化炭素ハイドレート生成部240において、二酸化炭素ハイドレートが100%生成されることはなく、原料分離部250には、二酸化炭素ハイドレートと、原料未反応ガス(二酸化炭素、窒素等)と、原料水とを含んで構成される原料混合物(第2混合物)が導入される。
【0037】
原料分離部250は、原料混合物を、二酸化炭素ハイドレート、原料未反応ガス(第2未反応ガス)、原料水に分離する。具体的に説明すると、二酸化炭素ハイドレートの比重は1.12程度であり、原料水の比重1.0程度よりも大きい。したがって、比重差によって、二酸化炭素ハイドレートは、原料分離部250の底部に沈降し、原料未反応ガスは、原料分離部250の上部に滞留することとなる。つまり、原料混合物を原料分離部250に導入して静置するだけで、比重差によって二酸化炭素ハイドレート、原料未反応ガス、原料水に分離することができる。
【0038】
このようにして、原料分離部250によって分離された二酸化炭素ハイドレートは、ハイドレートポンプ252により、バルブ254を介して、後述するオゾンハイドレート製造ユニット120へ導入される。なお、詳しくは後述するが、二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件は、オゾンハイドレートの生成圧力条件より高い。したがって、なんらの移送手段を備えずとも、原料分離部250とオゾンハイドレート生成部430との圧力差によって、原料分離部250からオゾンハイドレート製造ユニット120へ二酸化炭素ハイドレートが導入されることとなる。
【0039】
一方、原料分離部250によって分離された原料水はバルブ258を介して分離水加熱部260に送出される。
【0040】
また、原料未反応ガスは、バルブ256を介して二酸化炭素吸収部270に導入される。なお、原料分離部250には、原料混合物が順次導入されるため、二酸化炭素吸収部270よりも高圧になる。したがって、なんらの移送手段を備えずとも、原料分離部250と二酸化炭素吸収部270との圧力差によって、原料分離部250から二酸化炭素吸収部270へ原料未反応ガスが導入されることとなる。また、バルブ256は、中央制御部130によって、原料分離部250内の圧力が所定範囲となるように、開度が制御される。
【0041】
分離水加熱部260は、加熱部262を備え、原料分離部250によって分離された原料水を、例えば、25℃〜50℃程度に加熱して、原料水から二酸化炭素を脱気する。こうして、脱気された二酸化炭素は、バルブ264aを通じてガス冷却部264bに導入され、ガス冷却部264bで、常温(例えば、25℃程度)まで冷却されて凝縮水が除去された後、オゾンハイドレート製造ユニット120に送出されることとなる。
【0042】
一方、分離水加熱部260で生じた二酸化炭素が脱気された原料水は、ポンプ266によって、第2水冷却部276で、二酸化炭素ハイドレートを生成しない温度程度まで冷却されて二酸化炭素吸収部270に導入される。
【0043】
二酸化炭素吸収部270は、ラシヒリングが充填された充填塔、または、棚段式(トレー式)の気液接触塔で構成される。二酸化炭素吸収部270には、第2水冷却部276によって冷却された原料水(原料水タンク202から送出された原料水、および、分離水加熱部260で脱気された原料水のいずれか1または双方)と、原料分離部250で分離された原料未反応ガスとが導入される。そして、二酸化炭素吸収部270において、原料水と、原料未反応ガスとを気液接触させることにより、原料未反応ガス中の二酸化炭素が水に吸収されて二酸化炭素吸収水が生成されることとなる。
【0044】
また、分離水加熱部260で脱気された原料水には、二酸化炭素が低濃度であるため、この原料水を二酸化炭素吸収部270に導入することにより、二酸化炭素吸収部270において二酸化炭素を効率よく水に吸収させることができる。
【0045】
そして、二酸化炭素吸収部270において生成された二酸化炭素吸収水は、ポンプ272によって原料冷却部220に送出され、原料冷却部220において冷却されて、気液混合部242に導入されることとなる。つまり、気液混合部242では、前回の二酸化炭素ハイドレートの生成反応において未反応となった二酸化炭素が吸収された二酸化炭素吸収水と、燃焼排ガスとを混合して、二酸化炭素ハイドレートを生成することになる。したがって、二酸化炭素ハイドレートの生成過程で生じる未反応の二酸化炭素を再利用することができ、二酸化炭素ハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
【0046】
一方、二酸化炭素吸収部270において、水に吸収されなかったガス(窒素等)は、バルブ270aを介して外部に排出されることとなる。
【0047】
(オゾンハイドレート製造ユニット120)
図4は、オゾンハイドレート製造ユニット120の概略的な構成を説明するための図である。
図4に示すように、オゾンハイドレート製造ユニット120は、オゾン供給源410と、予冷部420と、オゾンハイドレート生成部430と、生成物分離部440(第1分離部)と、オゾン吸収部450とを含んで構成される。
【0048】
オゾン供給源410は、例えば、酸素貯蔵タンク(またはPSA装置)と、オゾン発生器とを含んで構成される。酸素貯蔵タンクに貯蔵された酸素は、オゾン発生器に導入され、オゾン発生器において放電環境下に酸素が曝されることにより、オゾンを含むガス(例えば、10体積%以上)が生成されることとなる。
【0049】
オゾン供給源410において生成されたオゾンを含むガス(以下、単に「オゾン」と称する)は、バルブ412を介して、オゾンハイドレート生成部430に導入される。また、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の分離水加熱部260から送出された二酸化炭素は、バルブ414を介して、オゾンとともにオゾンハイドレート生成部430に導入される。
【0050】
なお、中央制御部130は、オゾンハイドレート生成部430の入口の二酸化炭素の濃度に応じて、オゾンの量と、二酸化炭素の量とを決定し、決定した量のオゾンと、二酸化炭素とがオゾンハイドレート生成部430に導入されるように、バルブ412およびバルブ414の開度を制御する。
【0051】
予冷部420には、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の原料分離部250によって分離された二酸化炭素ハイドレートが導入され、オゾンハイドレート生成部430の入口の温度が、オゾンハイドレートの生成温度条件(例えば、272K(−1℃)〜275K(2℃)程度)となるように、二酸化炭素ハイドレートを冷却する。
【0052】
オゾンハイドレート生成部430は、固気液混合部432(第1混合部)を含んで構成され、オゾンハイドレートを生成する。固気液混合部432は、予冷部420によって冷却された二酸化炭素ハイドレート、後述する生成物分離部440から分離された原料水、オゾン吸収部450から送出されたオゾン吸収水、二酸化炭素、および、オゾンを混合する。固気液混合部432は、例えば、液相(原料水およびオゾン吸収水)においてオゾンおよび二酸化炭素の気泡が実質的に均等に分布するように撹拌するミキサーで構成される。
【0053】
上述したように、固気液混合部432に導入される二酸化炭素ハイドレートの圧力は、二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件(例えば、2.5MPa〜3.5MPa程度)を満たしている。また、オゾンハイドレートの生成圧力条件は、例えば、2.2MPa〜3.0MPaであり、二酸化炭素ハイドレートの生成圧力条件より、0.3〜0.5MPa程度低圧である。また、上述したように、予冷部420は、オゾンハイドレート生成部430の入口の温度をオゾンハイドレートの生成温度条件を満たすように冷却している。
【0054】
したがって、固気液混合部432において、オゾンハイドレートの生成圧力条件を満たすように圧力を維持して、二酸化炭素ハイドレート、原料水、オゾン吸収水、二酸化炭素、オゾンを混合するだけでオゾンハイドレートを生成することができる。
【0055】
なお、上述したようにオゾンハイドレート等のガスハイドレートを生成する際には、反応熱が生じる。本実施形態では、冷却された原料水(オゾン吸収水)および二酸化炭素ハイドレートをオゾンに直接接触させているため、反応熱を原料水の顕熱および二酸化炭素ハイドレートの潜熱によって直接吸収(熱交換)させることができ、外部から冷却する構成等の間接的に熱交換させる場合と比較して、効率よく反応熱を除去することが可能となる。これにより、ガスハイドレートの生成反応を促進することができ、固気液混合部432において効率よくオゾンハイドレートを生成することが可能となる。
【0056】
こうして、オゾンハイドレート生成部430において生成されたオゾンハイドレートは、生成物分離部440へ送出されることとなる。なお、ガスハイドレートの生成反応は、原料水と気泡(マイクロバブル)との混合接触により決まるため、固気液混合部432のみならず、オゾンハイドレート生成部430から生成物分離部440へ送出される間にもオゾンハイドレートが生成されることとなる。また、オゾンハイドレート生成部430において、オゾンハイドレートが100%生成されることはなく、生成物分離部440には、オゾンハイドレートと、二酸化炭素ハイドレートと、生成未反応ガス(オゾン、二酸化炭素、窒素等)と、原料水とを含んで構成される生成混合物(第1混合物)が導入される。
【0057】
このように、オゾンハイドレート生成部430は、二酸化炭素ハイドレートにオゾンを混合するだけといった簡易な手段で、オゾンハイドレートを生成することができる。したがって、二酸化炭素ハイドレートを熱分解する必要がなくなり、熱分解に要するエネルギーを削減することができる。また、従来は、二酸化炭素ハイドレートを生成するための原料水を冷却するエネルギーと、オゾンハイドレートを生成するための原料水を冷却するエネルギーを要していた。しかし、本実施形態では、二酸化炭素ハイドレートが有する熱(冷熱)を利用してオゾンハイドレートを生成しているため、オゾンハイドレートの生成に要する原料水の冷却を省略することが可能となる。したがって、冷却に要するエネルギーを削減することが可能となる。
【0058】
生成物分離部440は、生成混合物を、オゾンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートと、生成未反応ガス(第1未反応ガス)と、原料水とに分離する。具体的に説明すると、オゾンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートの混合物の比重は1.15程度であり、原料水の比重1.05程度よりも大きい。したがって、比重差によって、オゾンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートは、生成物分離部440の底部に沈降し、生成未反応ガスは、生成物分離部440の上部に滞留することとなる。つまり、生成混合物を生成物分離部440に導入して静置するだけで、比重差によってオゾンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートと、生成未反応ガスと、原料水とに分離することができる。
【0059】
このようにして、生成物分離部440によって分離されたオゾンハイドレートは、ハイドレートポンプ442により、バルブ444を介して、供給先に供給される。なお、オゾンハイドレートは、長期間保存したときの減衰率を低減するために、約−25℃以下に維持されて供給先に供給されたり、供給先で保存されたりする。
【0060】
一方、生成物分離部440によって分離された原料水はポンプ448によって、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110のハイドレートポンプ252に送られる。こうしてポンプ448によって送られた原料水は、二酸化炭素ハイドレートの搬送用水として使用され、また、冷却水として使用するためにハイドレートポンプ252によって固気液混合部432に送出される。
【0061】
また、生成未反応ガスは、圧力調整弁446を介してオゾン吸収部450に導入される。なお、生成物分離部440には、生成混合物が順次導入されるため、オゾン吸収部450よりも高圧になる。したがって、なんらの移送手段を備えずとも、生成物分離部440とオゾン吸収部450との圧力差によって、生成物分離部440からオゾン吸収部450へ生成未反応ガスが導入されることとなる。また、圧力調整弁446は、中央制御部130によって、生成物分離部440内の圧力が所定範囲となるように、開度が制御される。
【0062】
オゾン吸収部450は、ラシヒリングが充填された充填塔、または、棚段式(トレー式)の気液接触塔で構成される。オゾン吸収部450には、第1水冷却部456によって、オゾンハイドレートを生成しない温度(例えば、4℃程度)まで冷却された原料水(ポンプ404によって原料水タンク402から送出された原料水)と、生成物分離部440で分離された生成未反応ガスとが導入される。そして、オゾン吸収部450において、原料水と、生成未反応ガスとを気液接触させることにより、生成未反応ガス中のオゾンが水に吸収されてオゾン吸収水が生成されることとなる。
【0063】
そして、オゾン吸収部450において生成されたオゾン吸収水は、ポンプ452によって固気液混合部432に送出されることとなる。つまり、固気液混合部432では、前回のオゾンハイドレートの生成反応において反応に寄与しなかったオゾンが吸収されたオゾン吸収水と、オゾンとを混合して、オゾンハイドレートを生成することになる。したがって、オゾンハイドレートの生成過程で生じる未反応のオゾンを再利用することができ、オゾンハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
【0064】
一方、オゾン吸収部450において、水に吸収されなかったガス(オゾン、二酸化炭素、窒素)は、バルブ450aを介して不図示のデオゾナイザに送出されることとなる。そして、デオゾナイザにおいて、オゾンを0.5ppm未満に減少させて、外部に排出する。
【0065】
(オゾンハイドレート製造方法)
続いて、オゾンハイドレート製造装置100を用いたオゾンハイドレート製造方法について説明する。
図5は、オゾンハイドレート製造方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0066】
まず、中央制御部130は、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110を制御して、二酸化炭素ハイドレートを製造する(二酸化炭素ハイドレート製造工程S510)。二酸化炭素ハイドレート製造工程S510の具体的な処理については、後に詳述する。中央制御部130は、製造された二酸化炭素ハイドレートを予冷部420に導入する。そして、予冷部420は、オゾンハイドレート生成部430の入口の温度がオゾンハイドレートの生成温度条件となるように、二酸化炭素ハイドレートを冷却する(冷却工程S520)。
【0067】
中央制御部130は、予冷部420によって冷却された二酸化炭素ハイドレートと、オゾン供給源410で生成されたオゾンと、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110で生成された二酸化炭素と、オゾン吸収部450で生成されたオゾン吸収水が固気液混合部432に導入されるように、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110、オゾンハイドレート製造ユニット120(バルブ412、バルブ414、ポンプ452、バルブ454)を制御する(オゾン導入工程S530)。
【0068】
そして、固気液混合部432は、二酸化炭素ハイドレート、オゾン、二酸化炭素、オゾン吸収水、原料水を混合して、オゾンハイドレートを生成する(オゾンハイドレート生成工程S540)。
【0069】
生成物分離部440は、オゾンハイドレート生成工程S540において生成された生成混合物を、オゾンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートと、生成未反応ガスと、原料水とに分離する(分離工程S550)。そして、中央制御部130は、ハイドレートポンプ442を駆動制御し、バルブ444を開弁して、分離したオゾンハイドレートを供給先に供給する。
【0070】
一方、中央制御部130は、圧力調整弁446を開弁して、生成物分離部440において分離された生成未反応ガスをオゾン吸収部450に送出する。また、中央制御部130は、ポンプ448を制御して、分離された原料水を、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の原料分離部250における二酸化炭素ハイドレートの出口(ハイドレートポンプ252の入口)に導入する。
【0071】
オゾン吸収部450は、生成未反応ガス中のオゾンを原料水に吸収させて、オゾン吸収水を生成する(オゾン吸収水生成工程S560)。
【0072】
そして、生成されたオゾン吸収水は、ポンプ452によって固気液混合部432に送出され、二酸化炭素ハイドレート製造工程S510からの処理が繰り返し遂行されることとなる。
【0073】
(二酸化炭素ハイドレート製造工程S510)
図6は、二酸化炭素ハイドレート製造工程S510の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0074】
まず、中央制御部130は、ポンプ272を駆動して二酸化炭素吸収部270から二酸化炭素吸収水を原料冷却部220に導入する(二酸化炭素吸収水導入工程S510−1)。そして、原料冷却部220は、二酸化炭素吸収水を原料水として、二酸化炭素ハイドレートの生成温度条件まで冷却する(冷却工程S510−3)。
【0075】
原料冷却部220によって冷却された二酸化炭素吸収水と、ガス供給源210で生成された燃焼排ガスとが気液混合部242に導入され、気液混合部242は、二酸化炭素吸収水と、燃焼排ガスとを混合して、二酸化炭素ハイドレートを生成する(二酸化炭素ハイドレート生成工程S510−5)。
【0076】
原料分離部250は、二酸化炭素ハイドレート生成工程S510−5において生成された原料混合物を、二酸化炭素ハイドレートと、原料未反応ガスと、原料水とに分離する(分離工程S510−7)。そして、中央制御部130は、ハイドレートポンプ252を駆動制御し、バルブ254を開弁して、分離した二酸化炭素ハイドレートをオゾンハイドレート製造ユニット120の予冷部420に送出する。なお、ハイドレートポンプ252の入口には、上記分離工程S550において分離された原料水が導入される。また、中央制御部130は、バルブ258を開弁して、分離した原料水を分離水加熱部260に送出する。
【0077】
分離水加熱部260は、導入された原料水を加熱して、二酸化炭素を脱気する(加熱工程S510−9)。
【0078】
一方、中央制御部130は、バルブ256を開弁するとともに、ポンプ204を駆動して、原料分離部250において分離された原料未反応ガス、および、原料水を二酸化炭素吸収部270に送出する。また、中央制御部130は、ポンプ266を駆動して、分離水加熱部260において脱気された原料水を二酸化炭素吸収部270に送出する。
【0079】
二酸化炭素吸収部270は、原料未反応ガス中の二酸化炭素を原料水に吸収させて、二酸化炭素吸収水を生成する(二酸化炭素吸収水生成工程S510−11)。
【0080】
そして、生成された二酸化炭素吸収水は、ポンプ272によって原料冷却部220に送出され、二酸化炭素吸収水導入工程S510−1からの処理が繰り返し遂行されることとなる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態にかかるオゾンハイドレート製造装置100およびこれを用いたオゾンハイドレート製造方法によれば、二酸化炭素ハイドレートが有する熱(冷熱)を利用してオゾンハイドレートを生成することができ、オゾンハイドレートの生成に要する原料水の冷却を省略することが可能となる。また、従来と比較して、二酸化炭素ハイドレートを熱分解する必要がなく、熱分解に要するエネルギーを削減することができる。したがって、オゾンハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記実施形態において、ガス供給源210が、ボイラ310を備え、ボイラ310で生成された燃焼排ガスを原料ガスとして、二酸化炭素ハイドレート生成部240に供給する構成を例に挙げて説明した。しかし、ガス供給源210は、二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート生成部240に供給できれば構成に限定はなく、例えば、ガスエンジン、ガスタービン、燃焼炉、溶鉱炉、ガスボンベ等であってもよい。なお、原料ガス中の不純物の濃度が高い場合、二酸化炭素吸収部270から排出されるガスの量が多くなる。したがって、この場合、ガス供給源210の圧縮機320と同軸のタービン(膨張機)を設けておき、二酸化炭素吸収部270から排出されたガスによってタービンを回転させることにより、圧縮機320を駆動することもできる。これにより、圧縮機320の動力を削減することが可能となる。
【0084】
また、上記実施形態において、オゾン吸収部450には、原料水タンク402から原料水が導入される構成を例に挙げて説明した。しかし、オゾン吸収部450には、二酸化炭素ハイドレート製造ユニット110の分離水加熱部260で脱気された原料水が導入されてもよい。分離水加熱部260で脱気された原料水には、溶存物質がほとんど含まれないため、オゾン吸収部450において効率よくオゾンを吸収することができる。
【0085】
また、上記実施形態において、水分離部316で分離された凝縮水を廃棄する構成を例に挙げて説明した。しかし、凝縮水は、原料水として利用してもよい。
【0086】
また、生成物分離部440や原料分離部250は、円筒形状の本体を備え、混合物が本体の接線方向に噴射されて導入される構成としてもよい。かかる構成により、混合物が本体内で旋回してハイドレート結晶を凝集させて分離し易くし、分離効率を向上させることができる。
【0087】
なお、本明細書のオゾンハイドレート製造方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的による処理を含んでもよい。例えば、オゾンハイドレート製造方法における上記各工程は、連続処理として遂行されてもよいし、バッチ処理として遂行されてもよい。