(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フランジ部は、該フランジ部の厚さ方向一方側の部分が前記凹部に嵌入され、前記フランジ部の厚さ方向他方側の部分が前記外部端子の対向面から突出していることを特徴とする請求項3に記載の角形二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施の形態]
以下、本発明による角形二次電池の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は角形二次電池の一実施の形態としての角形二次電池100の外観斜視図であり、
図2は角形二次電池100の構成を示す分解斜視図である。
【0015】
図1に示すように、角形二次電池100は、電池缶101と電池蓋102とからなる電池容器を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などである。電池缶101は、深絞り加工を施すことによって、一端が開口された扁平な矩形箱状に形成されている。電池缶101は、長方形の底板101cと、底板101cの一対の長辺部のそれぞれから立ち上がる一対の幅広側板101aと、底板101cの一対の短辺部のそれぞれから立ち上がる一対の幅狭側板101bとを有している。
【0016】
図2に示すように、電池缶101には蓋組立体107(
図4参照)に保持された捲回電極群170が収容されている。捲回電極群170の正極電極174(
図3参照)に接合される正極集電板180、および捲回電極群170の負極電極175(
図3参照)に接合される負極集電板190、ならびに捲回電極群170は、絶縁ケース108に覆われた状態で電池缶101に収容されている。絶縁ケース108の材質は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂であり、電池缶101と、捲回電極群170とは電気的に絶縁されている。
【0017】
図1および
図2に示すように、電池蓋102は、矩形平板状であって、電池缶101の開口を塞ぐようにレーザ溶接されている。つまり、電池蓋102は、電池缶101の開口を封止している。
図1に示すように、電池蓋102には、捲回電極群170の正極電極174および負極電極175(
図3参照)と電気的に接続された正極外部端子104および負極外部端子105が配置されている。
【0018】
図2に示すように、正極外部端子104は正極集電板180を介して捲回電極群170の正極電極174(
図3参照)に電気的に接続され、負極外部端子105は負極集電板190を介して捲回電極群170の負極電極175(
図3参照)に電気的に接続されている。このため、正極外部端子104および負極外部端子105を介して外部機器に電力が供給され、あるいは、正極外部端子104および負極外部端子105を介して外部発電電力が捲回電極群170に供給されて充電される。
【0019】
図2に示すように、電池蓋102には、電池容器内に電解液を注入するための注液孔106aが穿設されている。注液孔106aは、電解液注入後に注液栓106bによって封止される。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
【0020】
電池蓋102には、ガス排出弁103が設けられている。ガス排出弁103は、プレス加工によって電池蓋102を部分的に薄肉化することで形成されている。なお、薄膜部材を電池蓋102の開口にレーザ溶接等により取り付けて、薄肉部分をガス排出弁としてもよい。ガス排出弁103は、角形二次電池100が内部短絡等の異常により発熱してガスが発生し、電池容器内の圧力が上昇して所定圧力に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器内の圧力を低減させる。
【0021】
図3を参照して、捲回電極群170について説明する。
図3は捲回電極群170を示す斜視図であり、捲回電極群170の巻き終り側を展開した状態を示している。発電要素である捲回電極群170は、帯状の正極電極174および負極電極175を間にセパレータ173a、173bを介在させて捲回中心軸W周りに扁平形状に捲回することで形成された積層構造を有している。
【0022】
正極電極174は、正極箔171の両面に正極活物質合剤の層176が形成されてなる。正極活物質合剤は、正極活物質に結着材(バインダ)が配合されたものである。負極電極175は、負極箔172の両面に負極活物質合剤の層177が形成されてなる。負極活物質合剤は、負極活物質に結着材(バインダ)が配合されたものである。
【0023】
正極箔171は、厚さ10〜30μm程度のアルミニウム箔であり、負極箔172は、厚さ10〜20μm程度の銅箔である。セパレータ173a,173bの素材はリチウムイオンが通過可能な微多孔質のポリエチレン樹脂である。正極活物質はマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質はリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
【0024】
捲回電極群170の捲回方向に直交する捲回中心軸Wの方向(捲回電極群170の幅方向)の両端部は、一方が正極電極174の箔露出部積層部とされ、他方が負極電極175の箔露出部積層部とされている。一方に設けられる正極電極174の箔露出部積層部は、正極活物質合剤層176が形成されていない正極未塗工部、すなわち正極箔171の露出部が積層されたものである。他方に設けられる負極電極175の箔露出部積層部は、負極活物質合剤層177が形成されていない負極未塗工部、すなわち負極箔172の露出部が積層されたものである。正極未塗工部の箔露出部積層部および負極未塗工部の箔露出部積層部は、それぞれ予め押し潰され、それぞれ後述の蓋組立体107(
図4参照)の正極集電板180および負極集電板190に超音波接合により接続され、電極群組立体が形成される。
【0025】
図4、
図5A〜
図5D、
図6A〜
図6Cを参照して蓋組立体107の構成を詳しく説明する。
図4は蓋組立体107を示す分解斜視図であり、
図5A〜
図5Dは蓋組立体107の負極側の構成を示す断面図である。
図5Aは、
図4のC−C線断面図である。
図5Bは、アルミニウム合金と銅合金からなる負極外部端子105と負極接続端子115が組み立てられた状態を示す断面図である。
図5Cは、蓋組立体107の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、挿通軸部115aの先端部115bがかしめられる前の状態を示している。
図5Dは、
図1のA−A線断面図であり、挿通軸部115aの先端部115bがかしめられた後の状態を示している。
【0026】
図6A〜
図6Cは蓋組立体107の正極側の構成を示す断面図である。
図6Aは、
図4のD−D線断面図である。
図6Bは、蓋組立体107の正極側の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、挿通軸部114aの先端部114bがかしめられる前の状態を示している。
図6Cは、
図1のB−B線断面図であり、挿通軸部114aの先端部114bがかしめられた後の状態を示している。
【0027】
図5Aに示すように、蓋組立体107の負極側は、電池蓋102と、電池蓋102の一端に設けられた負極外部端子105と、負極接続端子115と、外部絶縁体160と、内部絶縁体165と、ガスケット169と、負極集電板190とを含んで構成されている。
【0028】
図5Bは、負極外部端子105と負極接続端子115が一体化される図を示したものである。負極外部端子105は、電池蓋102の上面に沿って配置される長方形の平板形状を有しており、その上面には、バスバー123(
図5D参照)が溶接接合されるバスバー接合面105eが形成されている。負極外部端子105は、互いに異種金属からなる2枚の平板部が幅広面同士でクラッド接合されたクラッド材からなる。本実施の形態では、平板形状を有するアルミニウム合金部105a(第1合金部)と銅合金部105b(第2合金部)が幅広面同士で異種金属接合された平板状のクラッド材によって構成されており、電池蓋102側に銅合金部105bが配置され、アルミニウム合金部105aが電池蓋102から離間して露出する側に配置される。
【0029】
負極外部端子105には、負極接続端子115がレーザ溶接により電気的に接続される。負極接続端子115は、負極外部端子105の2枚の平板部、すなわちアルミニウム合金部105aと銅合金部105bのうち、電池蓋102側に配置される平板部である銅合金部105bに溶接接合される。負極接続端子115の材質は、銅合金であり、負極接続端子115と負極外部端子105は、レーザ溶接により同種金属同士で接合される。
【0030】
負極外部端子105の銅合金部105bの長手方向中央位置には、負極接続端子115を接続するための負極外部端子接続部105cが設けられている。負極外部端子接続部105cは、銅合金部105bに凹陥形成されており、一定径で所定深さを有する円形の凹部によって構成される。
【0031】
負極接続端子115は、負極外部端子接続部105cに基端が嵌入された状態でレーザ溶接される。負極接続端子115は、丸棒状の挿通軸部115aと、挿通軸部115aの基端で拡径されたフランジ部115cと、挿通軸部115aの先端で縮径された円筒状の先端部115bを有している。負極外部端子接続部105cは、フランジ部115cの厚さの半分の深さと、内周面がフランジ部115cの外周面に対向する穴径を有している。負極接続端子115と負極外部端子105は、負極接続端子115のフランジ部115cが、負極外部端子105の負極外部端子接続部105cに嵌入され、フランジ部115cの外周面と負極外部端子接続部105cの内周面との境界部分が全周に亘って連続してレーザ溶接され、互いに接合される。そして、その接合部分には、溶接部115dが形成される(
図8B参照)。
【0032】
負極外部端子105は、銅合金部105bの負極外部端子接続部105cよりも長手方向両側位置に、短辺方向に亘って延びる一対の凹溝105hを有している。一対の凹溝105hは、負極外部端子105のバスバー接合面105eにバスバー123(
図5D参照)が溶接される溶接箇所(不図示)と負極外部端子接続部105cとの間の位置に設けられており、バスバー123から負極外部端子105に力が作用した場合に、凹溝105hで積極的に折れ曲がることにより力を吸収し、ガスケット169の変形を抑制する。ガスケット169は、負極接続端子115の挿通軸部115aに外嵌される短軸の円筒部169aと、円筒部169aの基端部で径方向に広がる鍔部169bとを有する。
【0033】
次に、
図5Cは、蓋組立体107の負極側の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、先端部115bがかしめられる前の状態を示す。
図5Bで示したように、レーザ溶接により一体化された負極外部端子105と負極接続端子115は、挿通軸部115aが負極集電板190の基部191に開口する挿通穴に挿通され、先端部115bが拡径されてかしめられ、さらにかしめ部115e(
図5D参照)をレーザ溶接することで負極集電板190に電気的に接続される。負極接続端子115は、外部絶縁体160およびガスケット169を介して電池蓋102に取り付けられている。負極集電板190は、内部絶縁体165を介して電池蓋102に取り付けられている。
【0034】
外部絶縁体160および内部絶縁体165の材質は、ポリプロピレン(PP)等の絶縁性を有する樹脂である。ガスケット169の材質は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の絶縁性を有する樹脂である。
【0035】
図5Dは、蓋組立体107の負極側の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、先端部115bがかしめられた後の状態を示す。負極接続端子115は、挿通軸部115aにガスケット169が外嵌装着された状態で、電池蓋102の貫通孔102hおよび内部絶縁体165の貫通孔に挿通される。図示するように、挿通軸部115aと先端部115bとの間に形成される段差部が基端部191に当接され、フランジ部115cと電池蓋102の外面との間でガスケット169の鍔部169bが挟まれた状態で先端部115bの先端が拡径され、基部191にかしめられ、かしめ部115eが形成される。
【0036】
電池蓋102の上面(外面)には、ガスケット169との間にシールポイントを形成するための2本の凸条部102jが設けられている。2本の凸条部102jは、電池蓋102の上面で且つガスケット169の鍔部169bと対向する位置に設けられており、それぞれ貫通孔102hの周囲に沿って周状に連続する形状を有している。この2本の凸条部102jにガスケット169の鍔部169bが押し付けられることによってシールポイントが形成され、シールが行われる。
【0037】
図6A〜
図6Cで正極側の蓋組立体107を示す。
図6Aに示すように、蓋組立体107の正極側は、電池蓋102と、電池蓋102の一端に設けられた正極外部端子104と、正極接続端子114と、外部絶縁体160と、内部絶縁体165と、ガスケット169と、正極集電板180とを含んで構成されている。 正極外部端子104は、電池蓋102の上面に沿って配置される長方形の平板形状を有しており、その上面には、バスバー123が溶接接合されるバスバー溶接面104eが形成されている。正極接続端子114は、正極外部端子104に一体に形成されている。正極接続端子114は、正極外部端子104の下面から突出する丸棒状の挿通軸部114aと、挿通軸部114aの先端で縮径された筒状の先端部114bを有している。
【0038】
正極外部端子104は、正極接続端子114よりも長手方向両側位置に、短辺方向に亘って延びる一対の凹溝104hを有している。一対の凹溝104hは、正極外部端子104のバスバー溶接面104eにバスバー123が溶接される溶接箇所(不図示)と正極接続端子114との間の位置に設けられており、バスバー123(
図5D参照)から正極外部端子104に力が作用した場合に、凹溝104hで積極的に折れ曲がることにより力を吸収し、ガスケット169の変形を抑制する。
【0039】
図6Bは、蓋組立体107の正極側の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、先端部114bがかしめられる前の状態を示す。
正極外部端子104と正極接続端子114は、正極接続端子114の挿通軸部114aが正極集電板180の基部181に開口する挿通穴に挿通され、挿通穴から突出した先端部114bが拡径されてかしめ部114eが形成される(
図6C参照)。そして、さらにかしめ部114eを基部181にレーザ溶接(不図示)することで正極集電板180に電気的に接続される。正極接続端子114は、外部絶縁体160およびガスケット169を介して電池蓋102に取り付けられている。正極集電板180は、内部絶縁体165を介して電池蓋102に取り付けられている。外部絶縁体160および内部絶縁体165の材質は、ポリプロピレン(PP)等の絶縁性を有する樹脂である。ガスケット169の材質は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の絶縁性を有する樹脂である。
【0040】
図6Cは、蓋組立体107の正極側の構成部材が組み立てられた状態を示す断面図であり、先端部114bがかしめられた後の状態を示す。正極接続端子114は、挿通軸部114aにガスケット169が外嵌装着された状態で、電池蓋102の貫通孔102hおよび内部絶縁体165の貫通孔に挿通される。図示するように、挿通軸部114aと先端部114bとの間に形成される段差部が正極集電板180の基部181に当接され、正極外部端子104と電池蓋102の上面との間でガスケット169の鍔部169bが挟まれた状態で先端部114bの先端が拡径され、正極集電板180の基部181にかしめられ、かしめ部114eが形成される。
【0041】
図7A、
図7Bを参照してかしめ工程について説明する。なお、正極集電板180の基部181に対するかしめ部114eのかしめ工程と、負極集電板190の基部191に対するかしめ部115eのかしめ工程とは同様の工程であるため、代表して負極側のかしめ工程について説明し、正極側のかしめ工程については説明を省略する。
【0042】
かしめ工程では、
図7Aに示すように、かしめ上面部となるバスバー接合面105eに、金型20の平面部を当接させた状態で、先端部115bの内側であるかしめ穴115fに先端円錐形状の金型22を圧入することで、円筒状の先端部115bが外側に押し広げられる。これにより、負極集電板190、負極接続端子115、負極外部端子105、ガスケット169、外部絶縁体160および内部絶縁体165が電池蓋102に対して仮止めされる。
【0043】
カシメ機の金型20にはピン状の突起21が設けられており、この突起21をバスバー接合面105eに開口する貫通孔105fから挿入して負極接続端子115の基端部に形成された凹部154に嵌合させることで、カシメ機に対する負極外部端子105、負極接続端子115の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。したがって、カシメ機の先端円錐形状の金型22を精度よく円筒状の先端部115bのかしめ穴115fに圧入することができる。
【0044】
先端円錐形状の金型22の種類を、順次に先端角度の大きいものに交換して先端部115bのかしめ穴115fに圧入し、徐々に先端部115bを外側に押し広げる。
図7Bに示すように、電池蓋102と平行な平面視円形状の平面部23bと、平面部23bから電池蓋102に向かって傾斜する平面視円環状の傾斜部23aとを有する金型23を先端部115bに押し付けることで、平面視円環状のかしめ部115eが形成される。これによって、負極集電板190、負極外部端子105、ガスケット169、外部絶縁体160および内部絶縁体165が電池蓋102に対して締め付け固定され、一体化される。なお、正極接続端子114のかしめ部114eも同様に正極集電板180の基部181にかしめられることで、正極集電板180、正極外部端子104、ガスケット169、外部絶縁体160および内部絶縁体165が電池蓋102に対して締め付け固定され、一体化される。
【0045】
角形二次電池100は、不図示の他の角形二次電池とバスバー123(
図5D)によって接続されて、組電池を構成する。本実施の形態では、
図5Dにおいて二点鎖線で示すバスバー123が、レーザ溶接により角形二次電池100の外部端子104,105に接続される。 バスバー123は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、正極外部端子104および負極外部端子105とは、アルミニウム同士の溶接となる。したがって、同種金属の接合となり、接合が容易であり、また、接触抵抗の増大を抑制できる。
【0046】
図8Aは、負極外部端子と負極接続端子の溶接固定構造の一例を断面で示す組立図、
図8Bは、
図8Aの要部拡大図である。
上述のように、負極外部端子105は、電池蓋102に対向する対向面側である銅合金部105b側の面に凹部からなる負極外部端子接続部105cを有しており、負極接続端子115のフランジ部115cが嵌入されている。負極外部端子接続部105cの深さは、負極接続端子115のフランジ部115cの厚さ幅よりも浅く、フランジ部115cの厚さ方向一方側である基端側が負極外部端子接続部105cに嵌入され、フランジ部115cの厚さ方向他方側である先端側の部分が銅合金部105bよりも突出するようになっている。
【0047】
そして、フランジ部115cの外周面と、負極外部端子105の銅合金部105b側の面との間の境界部分に対して径方向外側から斜め方向にレーザ溶接のレーザービームを照射することによって、隅肉溶接が行われ、溶接部115dが形成されている。溶接部115dは、フランジ部115cの外周面と負極外部端子接続部105cの内周面との境界部分に全周に亘って連続して形成される。
【0048】
溶接部115dは、少なくとも1以上の絶縁部材であるガスケット169及び外部絶縁体160を間に介して電池蓋102に対向する位置に配置されており、ガスケット169との間及び外部絶縁体160との間に空間を有している。具体的には、
図8Bに示すように、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、及び溶接部115dと外部絶縁体160との間には隙間が設けてあり、溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160から離間しており、ガスケット169及び外部絶縁体160に接触はしていない。
【0049】
仮に溶接部115dがガスケット169や外部絶縁体160に接触している場合には、負極接続端子115のかしめ工程で加わる荷重の一部が溶接部115dに加わって、溶接部115dにクラックが入るといった事象が起きうることが懸念される。これに対して、本実施形態における負極端子構造では、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、及び溶接部115dと外部絶縁体160との間に隙間を設けて、溶接部115dがガスケット169及び外部絶縁体160に接触するのを防いでいるので、溶接部115dの信頼性低下を抑制することができる。
【0050】
なお、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触防止のためには、負極外部端子105及び負極接続端子115からの溶接部115dの突出量が、負極外部端子105の銅合金部105bに対する負極接続端子115のフランジ部115cの突出量に対して小さくすれば良い。これにより、鍔部169bは、溶接部115dからフランジ部115cの厚さ方向に離間した位置に配置され、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触が防止される。
【0051】
また、外部絶縁体160と溶接部115dの接触防止のためには、外部絶縁体160の開口部161の内径が、溶接部115dの径方向最外周の直径よりも大きくすれば良い。これにより、開口部161の内周面が溶接部115dよりも径方向外側に離間した位置に配置され、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触が防止される。
【0052】
電池蓋102には、ガスケット169との間にシールポイントを形成するための2本の凸条部102jが設けられている。2本の凸条部102jは、ガスケット169の鍔部169bに対向する位置に設けられており、それぞれ貫通孔102hの中心と同一の位置を中心として周状に連続する形状を有している。この2本の凸条部102jにガスケット169の鍔部169bが押し付けられることによってシールポイントが形成され、シールが行われる。
【0053】
溶接部115dは、ガスケット169のシールポイント、すなわち、電池蓋102の凸条部102jよりも、負極接続端子115の径方向外側の位置に配置される。そして、溶接部115dよりもさらに径方向外側位置には、外部絶縁体160が配置される。したがって、電池蓋102の上面とガスケット169の鍔部169bとの間にリークパスが形成されるのを防ぐことができ、高い気密性を得ることができる。
【0054】
上記した溶接固定構造によれば、フランジ部115cの厚さ方向一方側である基端側が、負極外部端子接続部105cに嵌入されているので、例えばバスバー123によって負極外部端子105に対して平面方向の力が作用した場合に抗することができ、高い機械的強度を得ることができる。また、フランジ部115cの厚さ方向他方側の部分が、負極外部端子105の銅部材105b側の面よりも突出するようになっているので、フランジ部115cの厚さを厚くすることができ、高い機械的強度を得ることができる。
【0055】
また、負極外部端子105は、負極接続端子115から互いに離反する方向に延出する平面視略長方形の形状を有しているので、より幅広なバスバー123(
図5D参照)を接合することができる。したがって、バスバー123を溶接する箇所を負極接続端子115から離すことができ、ガスケット169に溶接の熱が影響を与えるのを防止できる。そして、組電池を構成した場合に、互いに隣り合う角形二次電池までの距離を短くすることができ、電気抵抗を小さくすることができる。それから、例えばバスバー123によって負極外部端子105を垂直方向に引き上げる方向に力が作用した場合に、負極外部端子105の変形量に対して負極接続端子115からバスバー接合面105eのバスバー123が溶接されている箇所までの距離をより長く確保することができる。
【0056】
図9Aは、負極外部端子と負極接続端子の溶接固定構造の他の一例を断面で示す組立図、
図9Bは、
図9Aの要部拡大図である。
【0057】
負極外部端子105は、その下面側の銅合金部105bに凹部からなる負極外部端子接続部105cを有しており、負極接続端子115のフランジ部115cが嵌入されている。負極外部端子接続部105cの深さは、負極接続端子115のフランジ部115cの厚さ幅と同じであり、フランジ部115cが負極外部端子接続部105cに嵌入されて固定された状態でフランジ部115cの厚さ方向他方側の面と負極外部端子105の銅合金部105b側の面とが面一になっている。
【0058】
そして、フランジ部115cの外周面と、負極外部端子接続部105cの内周面との境界部分に対して、挿通軸部115aの軸方向に平行な方向にレーザ溶接のレーザービームを照射することによって、開先溶接が行われ、溶接部115dが形成される。
【0059】
溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160を間に介して電池蓋102に対向する位置に配置されており、ガスケット169との間及び外部絶縁体160との間に空間を有している。具体的には、
図9Bに示すように、ガスケット169の鍔部169bの外周面と外部絶縁体160の開口部161の内周面との間が径方向に離間して隙間が設けてあり、溶接部115dは、その隙間に露出する位置に配置されており、ガスケット169及び外部絶縁体160には接触していない。
【0060】
このように、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、溶接部115dと外部絶縁体160の間には隙間があり、溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160には接触しない。例えば溶接部115dがガスケット169や外部絶縁体160に接触している場合には、負極接続端子115のかしめ工程で加わる荷重の一部が溶接部115dに加わって、溶接部115dにクラックが入るといった事象が起きうることが懸念されるが、本実施形態における負極端子構造では、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、及び溶接部115dと外部絶縁体160との間に隙間を設けて、溶接部115dがガスケット169及び外部絶縁体160に接触するのを防いでいるので、溶接部の信頼性低下を抑制することができる。
【0061】
溶接部115dは、
図9Bに示すように、その一部がフランジ部115cと銅合金部105bから電池蓋102側に部分的に突き出している。したがって、溶接部115dとガスケット169の接触防止のためには、ガスケット169の鍔部169bの外径を、周状に連続する溶接部115dの径方向内側の直径よりも小さくすれば良い。これにより、ガスケット169の鍔部169bの外周面が溶接部115dよりも径方向内側に離間した位置に配置され、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触が防止される。
【0062】
また、外部絶縁体160と溶接部115dの接触防止のためには、外部絶縁体160の開口部161の内径を、周状に連続する溶接部115dの径方向外側の直径よりも大きくすれば良い。これにより、開口部161の内周面が溶接部115dよりも径方向外側に離間した位置に配置され、外部絶縁体160と溶接部115dとの接触が防止される。
【0063】
溶接部115dは、ガスケット169のシールポイント、すなわち、電池蓋102の凸条部102jよりも、負極接続端子115の挿通軸部115aから離間する径方向外側の位置に配置される。そして、溶接部115dよりもさらに径方向外側位置には、外部絶縁体160が配置される。したがって、電池蓋102の上面(外面)とガスケット169の鍔部169bとの間にリークパスが形成されるのを防ぐことができ、高い気密性を得ることができる。
【0064】
また、負極接続端子115のフランジ部115cが負極外部端子接続部105cに嵌入されて面一となるため、
図8Bの例のようにフランジ部115cの一部が負極外部端子105の銅合金部105bから突出する場合と比べて、電池蓋102の上面に対する外部端子の突出高さが低くなる。つまり電池全体としての高さを低くすることができる。
【0065】
図10Aは、負極外部端子と負極接続端子の溶接固定構造の他の一例を断面で示す組立図、
図10Bは、
図10Aの要部拡大図である。なお、本例は
図8A、
図8Bの例から負極外部端子105、負極接続端子115の構造が変わったのみであり、共通する部分の説明を省略する。
【0066】
負極外部端子105の下面側の銅合金部105bは平板であり、この平板部と負極接続端子115のフランジ部115cの上面を接触させる。そして、フランジ部115cの外周面と、銅合金部105bの下面との間の境界部分に対して径方向外側から斜め方向にレーザ溶接のレーザービームを照射することによって、隅肉溶接が行われ、溶接部115dが形成される。
【0067】
外部絶縁体160は、段差付きの開口部161を有しており、ガスケット169の鍔部169bが挿通される小径部161aと、段差を介して拡径されて負極接続端子115のフランジ部115cが収容される大径部161bを有している。
【0068】
溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160を間に介して電池蓋102に対向する位置に配置されており、外部絶縁体160との間、及びガスケット169との間に空間を有している。具体的には、
図10Bに示すように、溶接部115dと外部絶縁体160との間には隙間が設けてあり、溶接部115dは、外部絶縁体160には接触していない。そして、ガスケット169の鍔部169bは、溶接部115dから離れた位置にある。
【0069】
このように、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、及び溶接部115dと外部絶縁体160の間には隙間があり、接触しない。従って、負極接続端子115のかしめ工程で加わる荷重の一部が鍔部169b、外部絶縁体160を通じて溶接部115dに加わり、溶接部115dにクラックが入るといった信頼性低下を抑制することができる。
【0070】
外部絶縁体160と溶接部115dの接触防止のためには、外部絶縁体160の開口部161が有する大径部161bの直径を、周状に連続する溶接部115dの径方向外側の直径よりも大きくすれば良い。これにより、開口部161の大径部の内周面が溶接部115dよりも径方向外側に離間した位置に配置され、外部絶縁体160と溶接部115dとの接触が防止される。
【0071】
溶接部115dは、ガスケット169のシールポイント、すなわち、電池蓋102の凸条部102jよりも、負極接続端子115の挿通軸部115aから離間する径方向外側の位置に配置される。そして、溶接部115dよりもさらに径方向外側位置には、外部絶縁体160が配置される。したがって、電池蓋102の上面(外面)とガスケット169の鍔部169bとの間にリークパスが形成されるのを防ぐことができ、高い気密性を得ることができる。
【0072】
上記した構成によれば、負極外部端子105は平板で凹部を設けないため、
図8Aの例と比べて凹部形成工程を省くことが可能なため、低コストで作成可能である。
【0073】
[第2実施の形態]
上記した第1実施の形態では、負極外部端子105と負極接続端子115をレーザ溶接で一体化した構成を例に説明したが、負極外部端子105と負極接続端子115をかしめ固定し、さらにレーザ溶接してもよい。
図11にその組立形態を示す。
【0074】
図11Aは、負極接続端子115の基端部115gがかしめられる前の状態であり、
図11Bは、かしめられた後の状態を示す。
図11Cは、さらに挿通軸部115aの先端部115bがかしめられた後の状態を示している。
図11Dは、
図11Cの要部拡大図である。
【0075】
図11Aに示すように負極接続端子115は、基端部115gが負極外部端子105の貫通孔105gに挿通され、そして、
図7A、
図7Bに示したかしめ工程と同様に、
図11Bに示すように負極外部端子105の電池缶1外部側に位置する露出面にかしめ固定されている。負極外部端子105と負極接続端子115がかしめ固定された後に、
図11Cに示すように
図11Bに示した形態でフランジ部115cの外周面と負極外部端子105の銅合金部105bとの境界部分がフランジ部115cの全周に亘って連続してレーザ溶接され、電気的に接続される。
【0076】
溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160を間に介して電池蓋102に対向する位置に配置されており、ガスケット169との間及び外部絶縁体160との間に空間を有している。具体的には、
図11Dに示すように、溶接部115dとガスケット169の鍔部169bとの間、及び溶接部115dと外部絶縁体160との間には隙間が設けてあり、溶接部115dは、ガスケット169及び外部絶縁体160には接触していない。
【0077】
上述した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
本発明によれば、溶接部115dとガスケット169の鍔部169b、溶接部115dと外部絶縁体160の間には隙間があり、接触しないために、負極接続端子115の2箇所のかしめ工程で加わる荷重の一部が鍔部169b、外部絶縁体160を通じて溶接部115dに加わって、溶接部115dにクラックが入るといった信頼性低下を抑制することができる。
【0078】
なお、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触防止のためには、負極外部端子接続部105c及び負極接続端子115からの溶接部115dの突出量が、負極外部端子105の銅合金部105bに対する負極接続端子115のフランジ部115cの突出量に対して小さくすれば良い。これにより、鍔部169bは、溶接部115dからフランジ部115cの厚さ方向に離間した位置に配置され、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触が防止される。
【0079】
また、外部絶縁体160と溶接部115dの接触防止のためには、外部絶縁体160の開口部161の内径を、溶接部115dの径方向外周の直径よりも大きくすれば良い。これにより、開口部161の内周面が溶接部115dよりも径方向外側に離間した位置に配置され、ガスケット169の鍔部169bと溶接部115dとの接触が防止される。
【0080】
また、本発明により外部端子が簡易な構造で形成され、接続端子とクラッド材からなる外部端子の接続抵抗と、クラッド材からなる外部端子の異種金属変換部の接続抵抗を低減させる角形二次電池を提供することができる。
【0081】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0082】
例えば、上述の実施の形態では、負極外部端子105にアルミニウム合金部105aと銅合金部105bとからなるクラッド材を用い、アルミニウム合金製のバスバー123を接続する場合を例に説明したが、例えば、負極外部端子105を銅合金により構成し、かつ、正極外部端子104に銅合金部とアルミニウム合金部とからなるクラッド材を用い、銅合金製のバスバーを接続する構造としてもよい。
【0083】
また、上述の実施の形態では、シールポイントを、ガスケット169と電池蓋102との間に設けたが、ガスケット169と負極接続端子115との間に設けても良く、また、両方に設けてもよい。
【0084】
また、上述の実施の形態では、負極外部端子105に凹陥形成された負極外部端子接続部105cに負極接続端子115のフランジ部115cが嵌入されて、さらにかしめられているが、
図10Aに示すように負極外部端子105の平板部に負極接続端子115のフランジ部115cを溶接固定して、さらに
図11cのようにかしめ固定するのであっても良い。