(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427463
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】コンプレッソメータ、及びひずみの測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/18 20060101AFI20181112BHJP
G01B 5/30 20060101ALI20181112BHJP
G01N 3/00 20060101ALN20181112BHJP
【FI】
G01N3/18
G01B5/30
!G01N3/00 M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-93246(P2015-93246)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2016-211883(P2016-211883A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】抱 憲誓
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】宮本 圭一
【審査官】
西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−046089(JP,A)
【文献】
特開平08−219958(JP,A)
【文献】
特開2012−177659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00−3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に圧縮荷重が付与される測定対象物のひずみを測定するコンプレッソメータであって、
前記測定対象物が配置される測定対象物配置部を内周側に形成する第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に設けられ、測定時において前記測定対象物と接触する接触部と、
測定時において前記測定対象物のひずみによって生じる前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、
前記測定対象物配置部と前記変位測定部との間に設けられる断熱部材と、を備え、
前記断熱部材は、測定時において前記測定対象物と離間している、コンプレッソメータ。
【請求項2】
軸線方向に圧縮荷重が付与される測定対象物のひずみを測定するコンプレッソメータであって、
前記測定対象物が配置される測定対象物配置部を内周側に形成する第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に設けられ、測定時において前記測定対象物と接触する接触部と、
測定時において前記測定対象物のひずみによって生じる前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、
前記測定対象物配置部と前記変位測定部との間に設けられる断熱部材と、を備え、
前記変位測定部の少なくとも一部は、前記断熱部材で覆われる、コンプレッソメータ。
【請求項3】
前記変位測定部からコネクタが引き出され、
前記コネクタは、前記測定対象物配置部に対して、前記断熱部材で覆われた前記変位測定部を介して反対側に配置される、請求項2に記載のコンプレッソメータ。
【請求項4】
前記断熱部材は、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の内周側に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンプレッソメータ。
【請求項5】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は、周方向における一部で開口する開口部を備える、請求項1〜4の何れか一項に記載のコンプレッソメータ。
【請求項6】
前記接触部は、インバー合金によって構成される、請求項1〜5の何れか一項に記載のコンプレッソメータ。
【請求項7】
加熱された測定対象物に軸線方向に圧縮荷重を付与した時の前記測定対象物のひずみをコンプレッソメータを用いて測定するひずみの測定方法であって、
前記コンプレッソメータは、
前記測定対象物が配置される測定対象物配置部を内周側に形成する第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に設けられ、測定時において前記測定対象物と接触する接触部と、
測定時において前記測定対象物のひずみによって生じる前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、を備え、
少なくとも測定時において、前記測定対象物と前記変位測定部との間に、前記測定対象物と離間させて断熱部材を配置する、ひずみの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッソメータ、及びひずみの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸線方向に圧縮荷重が付与される測定対象物のひずみを測定するコンプレッソメータとして、特許文献1に示されるものが知られている。このコンプレッソメータは、軸線方向に互いに対向する第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材に設けられ、測定時において測定対象物と接触する接触部と、測定時において測定対象物のひずみによって生じる第1の支持部材と第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−219958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コンプレッソメータを用いて高温に加熱された測定対象物のひずみを測定することが要求される場合がある。しかしながら、上述のコンプレッソメータを用いて高温の測定対象物を測定した場合、測定対象物から放出される放射熱の影響により、変位測定部に不具合が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、高温の測定対象物のひずみを測定することができるコンプレッソメータ、及びひずみの測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンプレッソメータは、軸線方向に圧縮荷重が付与される測定対象物のひずみを測定するコンプレッソメータであって、測定対象物が配置される測定対象物配置部を内周側に形成する第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材に設けられ、測定時において測定対象物と接触する接触部と、測定時において測定対象物のひずみによって生じる第1の支持部材と第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、測定対象物配置部と変位測定部との間に設けられる断熱部材と、を備える。
【0007】
本発明に係るコンプレッソメータにおいては、変位測定部が第1の支持部材と第2の支持部材との間の変位を測定することによって、圧縮荷重が付与された測定対象物のひずみを測定することができる。ここで、測定対象物配置部と変位測定部との間には断熱部材が設けられる。従って、測定対象物配置部に高温に加熱された測定対象物が配置された場合、変位測定部側へ放出された放射熱は断熱部材によって遮断される。これによって、測定対象物から放出される放射熱の影響により、変位測定部に不具合が生じることを防止することができる。以上により、高温の測定対象物のひずみを測定することができる。
【0008】
また、本発明に係るコンプレッソメータにおいて、断熱部材は、第1の支持部材及び第2の支持部材の内周側に配置されてよい。これによって、断熱部材が測定対象物の周囲を覆うことができるため、測定対象物から外部へ放出される放射熱を遮断することができる。
【0009】
また、本発明に係るコンプレッソメータにおいて、変位測定部の少なくとも一部は、断熱部材で覆われてよい。これによって、変位測定部を直接的に測定対象物の放射熱から保護することができる。
【0010】
また、本発明に係るコンプレッソメータにおいて、変位測定部からコネクタが引き出され、コネクタは、測定対象物配置部に対して、断熱部材で覆われた変位測定部を介して反対側に配置されてよい。これによって、断熱部材で覆われた変位測定部にて測定対象物からの放射熱を遮断することができ、コネクタを保護することができる。
【0011】
また、本発明に係るコンプレッソメータにおいて、第1の支持部材及び第2の支持部材は、周方向における一部で開口する開口部を備えてよい。これによって、当該開口部を介して測定対象物を測定対象物配置部へ配置することが可能となるため、作業者が容易に測定対象物をセットすることができる。
【0012】
また、本発明に係るコンプレッソメータにおいて、接触部は、インバー合金によって構成されてよい。インバー合金は線膨張係数が小さいため、接触部が高温の測定対象物と接触した場合であっても、熱による接触部の変形を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るひずみの測定方法は、加熱された測定対象物に軸線方向に圧縮荷重を付与した時の測定対象物のひずみをコンプレッソメータを用いて測定するひずみの測定方法であって、コンプレッソメータは、測定対象物が配置される測定対象物配置部を内周側に形成する第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材に設けられ、測定時において測定対象物と接触する接触部と、測定時において測定対象物のひずみによって生じる第1の支持部材と第2の支持部材との間の変位を測定する変位測定部と、を備え、少なくとも測定時において、測定対象物と変位測定部との間に断熱部材を配置する。
【0014】
本発明に係るひずみの測定方法によれば、上述のコンプレッソメータと同様の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高温の測定対象物のひずみを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るコンプレッソメータを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すコンプレッソメータを別の角度から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、測定対象物をセットした状態におけるコンプレッソメータを示す平面図である。
【
図4】
図4は、測定対象物をセットした状態におけるコンプレッソメータを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るコンプレッソメータを示す斜視図である。
図2は、
図1に示すコンプレッソメータを別の角度から見た斜視図である。
図3は、測定対象物をセットした状態におけるコンプレッソメータを示す平面図である。
図4は、測定対象物をセットした状態におけるコンプレッソメータを示す側面図である。
【0019】
以下、
図1〜
図4を用いて、本発明に係るコンプレッソメータ100の実施形態について説明する。コンプレッソメータ100は、軸線方向に圧縮荷重が付与される測定対象物Tのひずみを測定するための装置である。
図1〜
図4に示すように、コンプレッソメータ100は、第1の支持部材2と、第2の支持部材3と、可動部材4と、接触部6A,6Bと、変位測定部7と、断熱部材8A,8Bと、を備えている。本実施形態では、コンプレッソメータ100は、円柱状に形成されたコンクリートを測定対象物Tとして測定する。
【0020】
第1の支持部材2及び第2の支持部材3は、測定対象物Tが配置される測定対象物配置部SPを内周側に形成する部材である。第1の支持部材2及び第2の支持部材3は、周方向における一部で開口する開口部2A,3Aを有する円弧状の金属製の部材である。第1の支持部材2及び第2の支持部材3は、測定時において、後述の接触部6A,6Bを介して測定対象物Tに固定され、当該測定対象物Tを支持する部材である。第1の支持部材2と第2の支持部材3は、略同形状をなしている。第1の支持部材2は、外周面2aと、内周面2bと、上面2cと、下面2dと、周方向における端面2e,2fと、を備えている。端面2eと端面2fとの間に開口部2Aが形成される。第2の支持部材3は、外周面3aと、内周面3bと、上面3cと、下面3dと、周方向における端面3e,3fと、を備えている。端面3eと端面3fとの間に開口部3Aが形成される。第1の支持部材2と第2の支持部材3は、互いの中心軸線CLが一致するように配置されている。中心軸線CLが延びる方向を「軸線方向」と称する。第1の支持部材2と第2の支持部材3とは、軸線方向に対向すると共に離間して配置される。第1の支持部材2と第2の支持部材3とは、上下方向から見たときに互いに重なり合うように配置される。従って、開口部2Aと開口部3Aとは、周方向において同位置に形成される。測定対象物配置部SPに測定対象物Tを配置した場合、測定対象物Tの中心軸線は、中心軸線CLに一致する。
【0021】
可動部材4は、測定時において測定対象物Tに対して軸線方向に移動可能に設けられた部材である。可動部材4は、測定対象物Tが配置される測定対象物配置部SPを内周側に形成する。可動部材4は、周方向における一部で開口する開口部4Aを有する円弧状の金属製の部材である。可動部材4は、測定時において、測定対象物Tとは接触することなく、離間した状態となる。可動部材4は、第1の支持部材2と同形状をなしている。可動部材4は、外周面4aと、内周面4bと、上面4cと、下面4dと、周方向における端面4e,4fと、を備えている。端面4eと端面4fとの間に開口部4Aが形成される。
【0022】
第1の支持部材2と可動部材4とは、複数の連結部材9によって連結されている。連結部材9は、第1の支持部材2と可動部材4との間で軸線方向に沿って延びる棒状の部材である。連結部材9の上端は第1の支持部材2に連結され、連結部材9の下端は可動部材4に連結されている。本実施形態では、連結部材9は、中心軸線CL周りに等間隔に4本設けられている。ただし、連結部材9の本数は特に限定されず、連結部材9が設けられる位置も限定されない。なお、第2の支持部材3には、連結部材9が通過する位置に貫通孔11が形成されている。貫通孔11の内径は、連結部材9の外径よりも大きく、貫通孔11は当該連結部材9を挿通させる。これによって、第2の支持部材3は、第1の支持部材2及び可動部材4と連結されていない状態となる。
【0023】
以上のような構成によって、第1の支持部材2、第2の支持部材3、及び可動部材4の内周側の領域によって、測定対象物配置部SPが形成される。また、開口部2A,3A,4Aはいずれも中心軸線CL周りにおける同位置に形成される。従って、測定対象物配置部SPは、開口部2A,3B,4Aを介して外部と連通される。開口部2A,3A,4Aの幅(
図3においてL1で示す寸法)は、測定対象物Tよりも大きい。従って、作業者は、開口部2A,3A,4Aを通過させることによって、軸線方向と直交する横方向(
図3においてD1で示す方向)から測定対象物Tを測定対象物配置部SPに配置することができる。測定対象物配置部SPに配置された測定対象物Tと、各部材2,3,4の内周面との間には隙間が形成される(
図3及び
図4参照)。
【0024】
また、第1の支持部材2、第2の支持部材3、及び可動部材4の内周側には、測定対象物配置部SPの周囲を覆うように断熱部材8Aが設けられる。断熱部材8Aは、各部材2,3,4の内周面2b,3b,4bに設けられている。また、断熱部材8Aは、第1の支持部材2の上端部から可動部材4の下端部にわたって上下方向に延びている。なお、本実施形態では、断熱部材8Aは、後述の金具13A,13B,14A,14B,16A,16Bが設けられる部分には設けられていない。断熱部材8Aは、第1の支持部材2及び可動部材4の内周面にボルトを介して固定されている。ただし、断熱部材8Aの固定方法や固定箇所は特に限定されない。
【0025】
接触部6A,6Bは、第1の支持部材2及び第2の支持部材3に設けられ、測定時において測定対象物Tと接触する部材である。接触部6Aは、第1の支持部材2に設けられ、当該第1の支持部材2に固定された金具13Aと、ネジによって締付力を調節可能な締付金具14A,16Aと、によって構成される。金具13A、及び締付金具14A,16Aは、中心軸線CL周りに等角度に配置される。金具13Aは、第1の支持部材2の内周面2bのうち、中心軸線CLを挟んで開口部2Aと反対側の位置に形成される。すなわち、金具13Aは、第1の支持部材2の周方向において、開口部2Aと対向する位置に設けられる。金具13Aは、内周面2bから内周側へ向かって突出する。締付金具14Aは、端面2e付近において、外周面2aから内周面2bへ貫通するように設けられる。締付金具14Aは、外周面2aから外周側へ向かって延びる締付部14aと、内周面2bから内周側へ突出する突出部14bと、を備える。締付金具16Aは、端面2f付近において、外周面2aから内周面2bへ貫通するように設けられる。締付金具16Aは、外周面2aから外周側へ向かって延びる締付部16aと、内周面2bから内周側へ突出する突出部16bと、を備える。作業者は、締付部16aを締め付け操作することによって、突出部14b,16bの突出量を調整する。なお、接触部6A,6Bを構成する金具及び締付金具の本数、及び配置は特に限定されるものではない。
【0026】
接触部6A,6Bは、少なくとも一部がインバー合金によって構成される。例えば、接触部6A,6Bの各金具のうち、支持部材2,3の内周側に配置される部分がインバー合金によって構成されてよい。あるいは、各金具の全体がインバー合金によって構成されていてよい。また、前述の連結部材9もインバー合金によって構成されてよい。なお、線膨張係数が小さい材料として、インバー合金に代えて、セラミック等を採用してもよい。
【0027】
変位測定部7は、測定時において測定対象物Tのひずみによって生じる第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の変位を測定する測定器である。変位測定部7は、支持部材2,3の外周側に設けられる。本実施形態においては、変位測定部7は、周方向において2カ所に設けられている。各変位測定部7は、中心軸線CLを挟んで互いに対向する位置に設けられている。また、各変位測定部7は、測定対象物Tの挿入方向(
図3においてD1で示す方向)に対して直交する方向に配置されている。ただし、変位測定部7の数量及び配置は特に限定されるものではない。
【0028】
変位測定部7は、変位計21と、変位測定子22と、当接部23と、を備えている。変位測定子22は、固定具24を介して第2の支持部材3に固定されている。変位計21は、変位測定子22から上方へ向かって延びる円柱状の形状をなしている。当接部23は、固定具26を介して可動部材4に固定されている。変位測定子22の下端部は、当接部23に当接すると共に図示されないバネ部材によって、当接部23に押圧されている。従って、第2の支持部材3と可動部材4との間の距離(すなわち、第2の支持部材3と第1の支持部材2との間の距離)が変わった場合であっても、変位測定子22は、当接部23と当接する。変位計21は、変位測定子22の測定結果に基づいて、第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の変位を測定する。
【0029】
変位計21は、保護シールド31で覆われる。保護シールド31は、上端が封止された円筒状の部材である。保護シールド31は、変位計21の下端から上端の全域にわたって覆うと共に、上端面も覆っている。保護シールド31の周面のうち、中心軸線CLとは反対側の端部には、後述のコード28を引き出すためのスリット31aが上下方向に延びるように形成されている。また、変位計21と保護シールド31との間には断熱部材8Bが設けられる。組み立て時は、変位計21の略全域を断熱部材8Bで覆い、当該状態にて保護シールド31を被せる。
【0030】
変位測定部7の変位計21からは、コード28を介してコネクタ27が引き出されている。コード28は、変位計21の外周面のうち、中心軸線CLとは反対側の外周側の部分から引き出されている。また、コード28は、変位計21の上端部付近から引き出されている。コネクタ27は、コード28の先端に設けられており、支持金具29を介して固定具24に固定されている。支持金具29は、固定具24の外周側の端部に固定されているため、コネクタ27は、変位計21を挟んで中心軸線CLに対する反対側の位置に配置される。
【0031】
次に、測定対象物配置部SPと断熱部材8A,8Bと変位測定部7の位置関係について説明する。断熱部材8A,8Bは、測定対象物配置部SPと変位測定部7との間に設けられる。具体的には、断熱部材8Aは、第1の支持部材2及び第2の支持部材3の内周側に配置されている。一方、変位測定部7は、第1の支持部材2及び第2の支持部材3の外周側に配置されている。測定対象物配置部SPは、断熱部材8Aよりも内周側に形成される。従って、断熱部材8Aは、測定対象物配置部SPと変位測定部7との間に設けられる。変位測定部7の変位計21は、断熱部材8Bで覆われる。断熱部材8Bは、少なくとも変位計21の外周面のうち、中心軸線CL側の領域を覆うと共に、当該中心軸線CL側の領域も覆い、変位計21の略全周を覆っている。従って、断熱部材8Bは、測定対象物配置部SPと変位測定部7との間に設けられる。また、コネクタ27は、測定対象物配置部SPに対して、断熱部材8Bで覆われた変位測定部7を介して反対側に配置される。すなわち、コネクタ27は、測定対象物配置部SPから見た場合に、断熱部材8B及び保護シールド31に覆われた変位計21の背面側に完全に隠れるように配置されている。
【0032】
次に、コンプレッソメータ100を用いたひずみの測定方法の手順について説明する。以下の手順は、作業者によって実行される。まず、電気炉に断熱部材が巻かれた測定対象物Tを収容し、所定の温度に設定して当該測定対象物Tを加熱する工程が実行される。次に、電気炉を開けて断熱部材と共に測定対象物Tが取り出される。当該状態にて、底に断熱部材が敷かれたステンレス缶に収容され、断熱部材で蓋をする行程が実行される。ステンレス缶に蓋をした状態で、台車にて試験装置の近傍まで移動する工程が実行される。次に、ステンレス缶から測定対象物Tが取り出され、当該測定対象物Tの重量の計測が実行される。その後、コンプレッソメータ100を用いた測定工程が実行される。測定工程における測定対象物Tは、700〜1000℃程度の高温状態となっている。
【0033】
測定工程では、作業者は、コンプレッソメータ100の開口部2A,3A,4Aを介して横方向(水平方向)から測定対象物Tを測定対象物配置部SPへ配置する。作業者は、締付金具14A,14B,16A,16Bを締め付けることによって、測定対象物Tを各金具13A,13B,14A,14B,16A,16Bで固定する。
【0034】
次に、圧縮試験装置を用いて、測定対象物Tの上面及び下面に軸線方向に圧縮荷重を付与する。このとき、測定対象物Tが軸線方向に縮むことによって、当該測定対象物Tに固定された第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の軸線方向における距離が小さくなる。これに伴い、第1の支持部材2に連結された可動部材4と第2の支持部材3との間の軸線方向における距離が大きくなる。変位測定子22の当接部23が離間することを測定し、変位計21が変位を測定する。以上により、第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の変位を測定することによって、測定対象物Tの応力をひずみの関係を示すデータを取得することが可能となる。
【0035】
次に、本実施形態に係るコンプレッソメータ100の作用・効果について説明する。
【0036】
本実施形態に係るコンプレッソメータ100においては、変位測定部7が第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の変位を測定することによって、圧縮荷重が付与された測定対象物Tのひずみを測定することができる。ここで、測定対象物配置部SPと変位測定部7との間には断熱部材8A,8Bが設けられる。従って、測定対象物配置部SPに高温に加熱された測定対象物Tが配置された場合、変位測定部7側へ放出された放射熱は断熱部材8A,8Bによって遮断される。これによって、測定対象物Tから放出される放射熱の影響により、変位測定部7に不具合が生じることを防止することができる。以上により、高温の測定対象物Tのひずみを測定することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100は、測定時において測定対象物Tに対して軸線方向に移動可能に設けられた可動部材4を更に備える。第1の支持部材2と第2の支持部材3とは、軸線方向に対向して配置される。可動部材4は、第1の支持部材2の反対側において第2の支持部材3と軸線方向に対向して配置される。可動部材4と第1の支持部材2とは、軸線方向に延びる連結部材9を介して連結される。変位測定部7は、第2の支持部材3と可動部材4との間の変位を測定する。このような構成によれば、第1の支持部材2及び第2の支持部材3が測定対象物Tに固定されているため、測定対象物Tが圧縮荷重によって縮むに伴い、第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の距離が小さくなる。これに伴い、第1の支持部材2に連結されている可動部材4と第2の支持部材3との間の距離が大きくなる。従って、変位測定部7は、第2の支持部材2と可動部材4との間の変位を測定することで、容易に測定対象物のひずみを測定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100において、断熱部材8Aは、第1の支持部材2及び第2の支持部材3の内周側に配置されている。これによって、断熱部材8Aが測定対象物Tの周囲を覆うことができるため、測定対象物Tから外部へ放出される放射熱を遮断することができる。
【0039】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100において、変位測定部の少なくとも一部は、断熱部材8Bで覆われている。これによって、変位測定部7を直接的に測定対象物Tの放射熱から保護することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100において、変位測定部7からコネクタ27が引き出され、コネクタ27は、測定対象物配置部SPに対して、断熱部材8Bで覆われた変位測定部7を介して反対側に配置されている。これによって、断熱部材8Bで覆われた変位測定部7にて測定対象物Tからの放射熱を遮断することができ、コネクタ27を保護することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100において、第1の支持部材2及び第2の支持部材3は、周方向における一部で開口する開口部2A,3Aを備えている。これによって、当該開口部2A,3Aを介して測定対象物Tを測定対象物配置部SPへ配置することが可能となる。例えば、上下方向から測定対象物Tを挿入する場合に比して、作業者が容易に測定対象物Tをセットすることができる。特に、測定対象物Tが高温である場合は、このような作業の容易性の効果が一層顕著となる。
【0042】
また、本実施形態に係るコンプレッソメータ100において、接触部6A,6Bは、インバー合金によって構成されている。インバー合金は線膨張係数が小さいため、接触部6A,6Bが高温の測定対象物Tと接触した場合であっても、接触部6A,6Bの熱による変形を抑制することができる。
【0043】
本実施形態に係るひずみの測定方法は、加熱された測定対象物Tに軸線方向に圧縮荷重を付与した時の測定対象物Tのひずみをコンプレッソメータ100を用いて測定するひずみの測定方法である。コンプレッソメータ100は、測定対象物Tが配置される測定対象物配置部SPを内周側に形成する第1の支持部材2及び第2の支持部材3と、第1の支持部材2及び第2の支持部材3に設けられ、測定時において測定対象物Tと接触する接触部と、測定時において測定対象物Tのひずみによって生じる第1の支持部材2と第2の支持部材3との間の変位を測定する変位測定部7と、を備える。少なくとも測定時において、測定対象物Tと変位測定部7との間に断熱部材8A,8Bを配置する。
【0044】
本実施形態に係るひずみの測定方法によれば、上述のコンプレッソメータ100と同様の作用・効果を得ることができる。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述のように可動部材を備えるコンプレッソメータに変えて、スタンド型のコンプレッソメータについて、本発明の断熱部材の構成を採用してもよい。スタンド型のコンプレッソメータは、例えば特開平4−158240号に示されるものであり、互いにヒンジを介して回動可能に連結された第1の支持部材と第2の支持部材を備えている。第1の支持部材と第2の支持部材が組合わせられることによって半円状の円弧が形成される。第1の支持部材の周方向における端部と、第2の支持部材の周方向における端部には、測定対象物の外周面と接触する接触部が形成されている。また、測定対象物が圧縮されて外周面が膨らんだときに、第1の支持部材と第2の支持部材が開く。従って、当該開きを測定する変位測定部を設けることで、測定対象物のひずみを測定することができる。このようなスタンド型のコンプレッソメータを採用する場合であっても、支持部材の内周側の測定対象物配置部と変位測定部との間に断熱部材を設けてよい。この場合、支持部材の内周面側に断熱部材を設けてよい。
【符号の説明】
【0046】
2…第1の支持部材、3…第2の支持部材、4…可動部材、6A,6B…接触部、7…変位測定部、8A,8B…断熱部材、9…連結部材、100…コンプレッソメータ。