(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427488
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】磁気共鳴システム及び磁気共鳴方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 370
A61B5/055 380
A61B5/055ZDM
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-519461(P2015-519461)
(86)(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公表番号】特表2015-525601(P2015-525601A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】IB2013055324
(87)【国際公開番号】WO2014006550
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】61/668,155
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】セネガス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】コーケン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴィク,トールビョルン
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0130849(US,A1)
【文献】
特表2009−529951(JP,A)
【文献】
特開2002−017711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の検査中に診断スキャンの幾何学的整合性を維持する磁気共鳴(MR)システムであって、少なくとも1つのプロセッサを有し、前記検査中に前記患者が位置を変えたことに応じて、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記患者についての更新される調査スキャンを実行する処理と、
前記検査中に完了したばかりの最新の診断スキャンをテンプレートスキャンとして選択する処理と、
レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップを決定する処理と、
更新されたスキャン位置を求めるために、前記検査の残りの診断スキャンについて当初に決定されたスキャン位置に、前記変換マップを適用する処理と、
更新されたスキャン位置を利用して、前記残りの診断スキャンについてのスキャンプランを作成する処理と、
前記スキャンプランに従って、前記残りの診断スキャンを実行する処理と、
を実行するようにプログラムされる、磁気共鳴システム。
【請求項2】
前記更新される調査スキャンと、前記テンプレートスキャンと、前記残りの診断スキャンとを含む前記検査のスキャンを実行するように制御されるMRスキャナを更に有する請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項3】
前記更新される調査スキャンが、高速な三次元調査スキャンである、請求項1又は2に記載の磁気共鳴システム。
【請求項4】
前記診断スキャンが、MR誘導治療の間に取得される、請求項1〜3のうち何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項5】
前記レジストレーションアルゴリズムが、前記テンプレートスキャン及び前記調査スキャンのMRコントラストタイプに従って選択される、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、当初の調査スキャンを実行するように更にプログラムされ、前記検査中に完了したばかりの最新の診断スキャンに加えて、さらに、(1)前記当初の調査スキャン又は(2)前記当初の調査スキャンを用いて計画された診断スキャンのうちの何れかからも、テンプレートスキャンとして選択することが可能である、請求項1〜5のうち何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項7】
前記更新される調査スキャンのMRコントラストタイプが、前記テンプレートスキャンのMRコントラストタイプとは相違する、請求項1〜6のうち何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項8】
前記スキャンプランを作成する処理が、
前記更新される調査スキャンを、前記更新される調査スキャンに、更新されたスキャン位置を重ねながら表示する処理と、
前記更新されたスキャン位置を受け入れる旨又は更新されたスキャン位置を修正する旨の通知を受ける処理と、
を含む、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項9】
前記更新されたスキャン位置が、対応するスライスの位置を表示することにより、前記更新される調査スキャンに重ねられる、請求項8に記載の磁気共鳴システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の再配置又は大幅な動きを自動的に検出する処理を実行するように更にプログラムされる、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項11】
患者の検査中に診断スキャンの幾何学的整合性を維持する磁気共鳴(MR)方法であって、前記検査中に前記患者が位置を変えたことに応じて、当該MR方法は、
少なくとも1つのプロセッサが、前記患者についての更新される調査スキャンを実行するステップと、
少なくとも1つのプロセッサが、前記検査中に完了したばかりの最新の診断スキャンをテンプレートスキャンとして選択するステップと、
少なくとも1つのプロセッサが、レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップを決定するステップと、
少なくとも1つのプロセッサが、更新されたスキャン位置を求めるために、前記検査の残りの診断スキャンについて当初に決定されたスキャン位置に、前記変換マップを適用するステップと、
少なくとも1つのプロセッサが、更新されたスキャン位置を利用して、前記残りの診断スキャンについてのスキャンプランを作成するステップと、
前記スキャンプランに従って、前記残りの診断スキャンを実行するステップと、
を有する磁気共鳴方法。
【請求項12】
前記更新される調査スキャンと、前記テンプレートスキャンと、前記残りの診断スキャンとを含む前記検査のスキャンを、MRスキャナを用いて実行するステップを更に有する請求項11に記載の磁気共鳴方法。
【請求項13】
前記更新される調査スキャンが、高速な三次元調査スキャンである、請求項11又は12に記載の磁気共鳴方法。
【請求項14】
前記診断スキャンが、MR誘導治療の間に取得される、請求項11〜13のうち何れか1項に記載の磁気共鳴方法。
【請求項15】
当該磁気共鳴方法は、当初の調査スキャンを実行するステップを更に有し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記検査中に完了したばかりの最新の診断スキャンに加えて、さらに、(1)前記当初の調査スキャン又は(2)前記当初の調査スキャンを用いて計画された診断スキャンのうちの何れかからも、テンプレートスキャンとして選択することが可能であり、
前記更新される調査スキャンのMRコントラストタイプが、前記テンプレートスキャンのMRコントラストタイプとは相違する、請求項11〜14のうち何れか1項に記載の磁気共鳴方法。
【請求項16】
前記スキャンプランを作成するステップが、
前記更新される調査スキャンを、前記更新される調査スキャンに、更新されたスキャン位置を重ねながら表示するステップと、
前記更新されたスキャン位置を受け入れる旨又は更新されたスキャン位置を修正する旨の通知を受けるステップと、
を含む、請求項11〜15のうちの何れか1項に記載の磁気共鳴方法。
【請求項17】
前記患者の再配置又は大幅な動きを自動的に検出するステップを更に有する請求項11〜16のうちの何れか1項に記載の磁気共鳴方法。
【請求項18】
患者の診断スキャンについての幾何学的整合性を維持する磁気共鳴システムであって、
前記患者についてのスキャンを実行するように制御されるMRスキャナと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記MRスキャナを利用して、前記患者についての更新される調査スキャンを実行する処理と、
前記患者について完了したばかりの最新の診断スキャンをテンプレートスキャンとして選択する処理と、
前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップを決定する処理と、
前記変換マップを利用して、以後の診断スキャンについてのスキャンプランを作成する処理と、
前記スキャンプランに従って、前記以後の診断スキャンを実行する処理と、
を実行するようにプログラムされる、磁気共鳴システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサが初期の調査スキャンを実行するように更にプログラムされ、前記完了したばかりの最新の診断スキャンに加えて、さらに、前記初期の調査スキャンを利用して計画された診断スキャンをテンプレートスキャンとして選択することが可能である、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項20】
当該磁気共鳴方法が初期の調査スキャンを実行するステップを更に有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記完了したばかりの最新の診断スキャンに加えて、さらに、前記初期の調査スキャンを利用して計画された診断スキャンをテンプレートスキャンとして選択することが可能である、請求項11に記載の磁気共鳴方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に磁気共鳴(MR)画像診断等に関連する。大幅に患者が動く場合にスキャンの幾何学的整合性を維持する技術に特に有用であり、この点については具体的に説明される。しかしながら、他の適切な状況にも有用であること及び必ずしも上記の用途に限定されないこと等が理解されるであろう。
【背景技術】
【0002】
MR診断は、一般に、様々なMRコントラスト及び/又は様々な方向によるスキャンのリストを利用することを含む。この場合における「スキャン(scan)」は「走査」及び「スキャンした人体像」等に関連する。放射線
科医又は放射線医師は、しばしば、それらの様々なスキャンをスライス毎に比較し、例えば、様々なコントラストタイプの下での病変(lesion)の様子を分析することを望む。2つの連続するスキャンの間に患者の位置が変わると、動きの前後のスキャンにおいてボクセルは同じでも、それらは患者の身体の中の異なる部位を指すことになる。これは、そのようなスキャンのスライス毎の比較を妨げ、診断を困難にしかつ信頼しづらくしてしまう。更に、プレコントラスト(pre-contrast)及びポストコントラスト(post-contrast)スキャンの差分処理等のような事後処理アプリケーションを実行することも妨げられることが懸念される。
【0003】
スキャンの間の変位(deviation)は、検査中に患者がオペレータにより身体を配置し直す場合に、特に深刻になる。患者がスキャナボアの中で心地良くないことを感じる場合や、医療補助者又はアシスタントが特定のスキャンに必要なセンサ(例えば、呼吸ベル(breathing bell))を付け忘れた場合や、例えばコイルが存在するような技術的問題等の場合にも、スキャンの間の変位は深刻になることが懸念される。
【0004】
患者の身体の再配置に起因して検査が妨害されると、再配置の前後でスキャンの幾何学的を維持しつつ検査を再開することは今のところ困難である。「幾何学的整合性」は「幾何学的アライメント(geometrical alignment)」等と言及されてもよい。場合によっては、医療補助者は検査全体をやり直すように決定するかもしれない(その場合、時間的な遅れを招き、時間的制約を増やしてしまう)。あるいは、検査の終了後に、再構築された画像
のレジストレーションを行い、再配置の前後で取得された画像を調整し直すことも考えられる。しかしながら、その場合、部分的な空間の影響が大きくなることに起因して、
レジストレーションされる画像の画像品質は低くなってしまう。
【0005】
自動スキャンプランニングソフトウェアを利用する検査では、自動スキャンプランニング機能を再起動することにより、再配置の影響を緩和することが可能である。概して、これはそのプランニング又は処理を基礎として新たな検査スキャンによる捕捉を必要とする。自動スキャンプランニング機能を再起動することは、有利なことに、初期の測定スキャンと反復による測定スキャンとの間の整合性を保証する。しかしながら、再配置の前後で取得される診断スキャンの間の整合性は必ずしも保証されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/130849号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T.ERNST ET AL: “Simultaneous correction for interscan patient motion and geometric distortions in echoplanar imaging”, MAGNETIC RESONANCE IN MEDICINE, vol.42, no.1, 1 July 1999 (1999-07-01), pages 201-205, XP055091975, ISSN: 0740-3194, DOI: 10.1002/(SICI)1522-2594(199907)42:1<201::A ID-MRM27>3.0.CO;2-Y
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記及び他の問題を少なくとも部分的に克服する新たな改善されたシステム及び方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態による磁気共鳴システムは、
患者の検査中に診断スキャンの幾何学的整合性を維持する磁気共鳴(MR)システムであって、少なくとも1つのプロセッサを有し、前記検査中に前記患者が位置を変えたことに応じて、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記患者についての更新される調査スキャンを実行する処理と、
前記検査中に完了した或るスキャンをテンプレートスキャンとして選択する処理と、
レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップを決定する処理と、
前記検査の残りの診断スキャンについて当初に決定されたスキャン位置に、前記変換マップを適用する処理と、
更新されたスキャン位置を利用して、前記残りの診断スキャンについてのスキャンプランを作成する処理と、
前記スキャンプランに従って、前記残りの診断スキャンを実行する処理と、
を実行するようにプログラムされる、磁気共鳴システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】スキャンの間の幾何学的アライメントのための磁気共鳴(MR)システムを示す図。
【
図2】患者が動いた後に実行された診断スキャンを患者が動く前に実行された診断スキャンに幾何学的に整合させる方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態の概要>
一形態によれば、患者の検査中に診断スキャンの幾何学的整合性を維持する磁気共鳴(MR)システムが提供される。本システムは、前記検査中に前記患者が位置を変えたことに応じて、前記患者についての更新される調査スキャンを実行する処理を実行するようにプログラムされる少なくとも1つのプロセッサを有する。前記検査中に完了した或るスキャンは、テンプレートスキャンとして選択され、レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップが決定される。前記検査の残りの診断スキャンについて当初に決定されたスキャン位置に、前記変換マップが適用される。更新されたスキャン位置を利用して、前記残りの診断スキャンについてのスキャンプランが作成される。前記スキャンプランに従って、前記残りの診断スキャンが実行される。
【0012】
一形態によれば、患者の検査中に診断スキャンの幾何学的整合性を維持する磁気共鳴(MR)方法が提供される。本方法は、前記検査中に前記患者が位置を変えたことに応じて実行される。本方法は、少なくとも1つのプロセッサが、前記患者についての更新される調査スキャンを実行するステップを含む。前記検査中に完了した或るスキャンが、テンプレートスキャンとして選択され、レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップが決定される。前記検査の残りの診断スキャンについて当初に決定されたスキャン位置に、前記変換マップが適用される。更新されたスキャン位置を利用して、前記残りの診断スキャンについてのスキャンプランが作成される。前記スキャンプランに従って、前記残りの診断スキャンが実行される。
【0013】
一形態によれば、患者の診断スキャンについての幾何学的整合性を維持する磁気共鳴システムが提供される。本システムは、前記患者についてのスキャンを実行するように制御されるMRスキャナと、前記MRスキャナを利用して、前記患者についての更新される調査スキャンを実行するようにプログラムされる少なくとも1つのプロセッサとを含む。前記患者についての或る終了したスキャンは、テンプレートスキャンとして選択される。前記テンプレートスキャンと前記更新される調査スキャンとの間の変換マップが決定される。 前記変換マップを利用して、前記診断スキャンについてのスキャンプランが作成される。 前記スキャンプランに従って、前記診断スキャンが実行される。
【0014】
利点の1つは、患者が位置を変える前後でスキャンの幾何学的位置が整合していることである。
【0015】
別の利点は、部分的な空間効果を示さない患者が位置を変える前後で取得されるスキャンが幾何学的に整合していることである。
【0016】
別の利点は、画像品質を劣化させることなく、患者が位置を変える前後で取得されるスキャンが幾何学的に整合していることである。
【0017】
別の利点は、患者が大きく動いたとしても、スキャンが幾何学的に整合していることである。
【0018】
本発明に関する更なる利点は、以下の詳細な説明を参照及び理解した当業者にとって更に明らかになるであろう。
【0019】
<図面>
本発明は様々な構成要素及び構成要素の集まり並びに様々なステップ及びステップの集まりによる形態をとってもよい。図面は、好ましい実施形態を説明することしか目的としておらず、本発明を限定するように解釈されるべきでない。
【0020】
図1はスキャン(人体像)の間の幾何学的アライメントのための磁気共鳴(MR)システムを示す。
【0021】
図2は、患者が動いた後に実行された診断スキャンを、患者が動く前に実行された診断スキャンに幾何学的に整合させる方法を示す。
【0022】
図3は本発明による検査の一例を示す。
【0023】
<実施形態の詳細な説明>
図1を参照すると、磁気共鳴(MR)システム10はMRを利用して患者12の検査を実行している。MRシステム10はスキャナ14を含む。スキャナ14は、検査領域又は検査空間18の中に印加される強い安定した磁場B
0を生成するメイン磁石16を含む。検査空間18は、検査の最中に検査空間18の中に配置される患者12を収容するサイズに形成される。患者支持部20は、スキャナ14の中で患者12を支え、検査空間18内での患者12の配置を支援する。
【0024】
メイン磁石16は、典型的には、安定した磁場B
0を形成する超電導コイルを利用する。しかしながら、メイン磁石16は永久磁石や常伝導磁石を利用することも可能である。超電導磁石が利用される場合、メイン磁石16は、超電導コイルのための冷却系(例えば、液体ヘリウム低温保持装置(liquid helium cooled cryostat))を含む。安定した磁場B
0の強さは、通常的には、検査空間18において0.23テスラ、0.5テスラ、1.5テスラ、3テスラ、7テスラ等のうちの何れかであるが、他の強度が使用されてもよい。
【0025】
図示されているように、メイン磁石16は、開放型であり、検査空間18を規定するように隔てられた2つの超電導コイルを含む。これらの超電導コイルは、ヘルムホルツコイル(Helmholtz coil)のような形式で安定した磁場B
0を生成する。開放型磁石の利点は、患者12に容易に近付く又はアクセスすることができることである。しかしながら、他のタイプのメイン磁石が使用されてもよい。例えば、スプリット円筒メイン磁石及び/又は円筒メイン磁石等が使用されてもよい。スプリット円筒メイン磁石は、低温保持装置又はクライオスタットを含む円筒メイン磁石と同様であるが、クライオスタットが2つの部分に分割されて磁石の同一面にアクセスできる点が異なる。
【0026】
スキャナ14の磁場勾配制御部又はグラジエントコントローラ22は、スキャナの複数の磁場勾配コイル又は磁場グラジエントコイル24を利用して、検査空間18内の安定した磁場B
0に、例えばx、y及びz軸方向の成分のような磁場勾配成分を重ね合わせることを制御する。磁場勾配は、検査空間18内の磁気スピンを空間的にエンコードする(空間的な位置を区別可能にする)。典型的には、複数の磁場勾配コイル24は、3つの直交する空間方向に対して空間的にエンコードを行う3つの個別的な磁場勾配コイルを含む。
【0027】
更に、スキャナ14のトランシーバのような1つ以上の送信部26は、スキャナ14の全身コイル及び/又は表面コイルのような1つ以上の送信コイル28とともに検査空間18の中に、B
1共鳴励起操作RF(無線周波数)パルスを送信するように制御される。B
1パルスは典型的には短期間であり、磁場勾配と一緒に作用して、磁気共鳴の選択的な操作を達成する。例えば、B1パルスが共鳴する水素ダイポールを励起し、磁場勾配が共鳴信号の周波数及び位相で空間情報をエンコードする。RF周波数を調整することにより、リン(phosphorous)のような他のダイポールにおける共鳴を励起させることが可能であり、リンは例えば骨のような既知の組織に集まる傾向がある。
【0028】
スキャナ14のトランシーバのような1つ以上の受信部30は、空間的にエンコードされた共鳴信号を検査空間18から受信し、受信した空間的にエンコードされた磁気共鳴信号をMRデータ群(MRデータセット)に復調するように制御される。MRデータ群は、例えば、k空間データ軌跡の情報を含む。空間的にエンコードされた磁気共鳴信号を受信するために、受信部30は、スキャナ14の全身コイル及び/又は表面コイルのような1つ以上の受信コイル32を利用する。受信部30は典型的にはMRデータ群をバッファメモリに保存する。
【0029】
図示の例では、送信コイル28及び受信コイル32は、対象12の表面に配置される表面コイル34を含む。「対象」は「客体」等と言及されてもよい。表面コイル34は送信コイル及び受信コイル双方として使用される。しかしながら、表面コイル34は送信コイル及び受信コイルの一方としてのみ使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
バックエンドシステム38は患者12の検査を制御する。検査は、典型的には、様々なコントラスト及び/又は様々な方向により、患者12についての複数の診断スキャンを実行することを含む。バックエンドシステム38は少なくとも1つのプロセッサ40及び少なくとも1つのプログラムメモリ42を含む。プログラムメモリ42は、プロセッサ40により実行される場合に、患者12の検査を制御するプロセッサ実行可能命令を含む。プロセッサ40は、患者の検査を制御するためのプロセッサ実行可能命令を実行する。
【0031】
プロセッサ実行可能命令の制御モジュール44は、バックエンドシステム38の全体的な動作を制御する。制御モジュール44は、バックエンドシステム38のディスプレイデバイス又は表示装置46を利用して、バックエンドシステム38のオペレータにグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を適切に表示する。更に、制御モジュール44は、バックエンドシステム38のユーザ入力デバイスを用いてオペレータがGUIと適切にやり取りできるようにする。例えば、オペレータはGUIとやり取りを行い、患者12の検査を制御するようにバックエンドシステム38を指図することが可能である。
【0032】
プロセッサ実行可能命令のデータ取得モジュール50は、患者の診断スキャンを実行する。診断スキャンの各々について、データ取得モジュール50はスキャンプランを受信する。スキャンプランは、スライス数などのような1つ以上のスキャンパラメータと1つ以上の画像診断シーケンスとを含む。画像診断シーケンスは、検査空間18からの空間的にエンコードされたMR信号を生成する一連のB
1パルス及び/又は磁場勾配を規定する。スキャンプランは、例えばスライス位置のような診断スキャン(人体画像)の幾何学的位置を規定する。「幾何学的位置」は、「幾何学的位置関係」等と言及されてもよい。そして、データ取得モジュール50は、スキャンパラメータに従って送信部36及び/又はグラジエントコントローラ22を制御し、検査空間18内での画像診断シーケンスを実行する。更に、データ取得モジュール50は、スキャンパラメータに従って受信部30を制御し、MRデータセットに空間的にエンコードされたMR信号を取得する。MRデータセットは、典型的には、バックエンドシステム38の少なくとも1つのストレージメモリ52に保存される。
【0033】
プロセッサ実行可能命令の再構築モジュール54は、診断スキャンのMRデータセットを、対象12のMR画像又はマップに再構築する。これは、MRデータセットによる取得されたMR信号の各々について、磁場勾配による空間的にエンコードされた情報を空間的にデコードし、ピクセルやボクセル等のような空間的な領域各々からのMR信号の特徴を突き止めることを含む。MR信号の強度又は振幅が、通常的には突き止められるが、位相、緩和時間、磁化移動等に関する他の特徴が突き止められてもよい。MR画像又はマップは、典型的には、ストレージメモリ52に保存される。
【0034】
プロセッサ実行可能命令のプランニングモジュール56は、診断スキャンを計画する。これは、データ取得モジュール50を用いて、患者12についての初期調査スキャン(initial survey scan)を実行することを含み、初期調査スキャンは例えば高速な3次元(3D)調査スキャンである。初期調査スキャンに基づいて、プランニングモジュール56は、診断スキャン各々について、スキャンパラメータ及び画像診断シーケンスを含むスキャンプランを決定する。診断スキャンについてスキャンプランを決定することは、診断スキャンの幾何学的位置(又は幾何学的位置関係)を決定することを含む。診断スキャンの幾何学的位置は、初期調査スキャンのコーディネートフレーム(coordinate frame)を参照して自動的及び/又は手動的に決定されることが可能である。
【0035】
診断スキャンの幾何学的位置を手動により決定するために、初期調査スキャンが、そこに重ねられたスキャン幾何学位置(scan geometry)とともにGUIに表示される。後述するように、スキャン幾何学位置は、デフォルトのスキャン幾何学位置であってもよいし、あるいは自動的に決定されてもよい。更に、スキャン幾何学位置は、例えば、スライスの位置により表現されることが可能である。システムのオペレータは、その後に、ユーザ入力装置48を利用してスキャン幾何学位置を望むように操作する。その操作は例えば配置を決定すること及び/又はサイズを決定することを含む。
【0036】
診断スキャンの幾何学的位置を自動的に決定するために、プランニングモジュール56は、患者のランドマーク(又は目印)に対する診断スキャンの幾何学的位置を指定する検査テンプレート(examination template)を使用する。プランニングモジュール56は、画像空間又はk空間の中で初期調査スキャンを分析して患者のランドマークを特定し、そして、検査テンプレートに基づいて、ランドマークに対する診断スキャンの幾何学的位置を判定する。検査テンプレートは、例えば、ストレージメモリ52に保存されており、検査を開始する前に生成されている。
【0037】
プロセッサ実行可能命令の幾何学的アライメントモジュール58は、診断スキャンの間の患者の動きに応じて、1つ以上の残りの診断スキャンのスキャンプランを更新し、残りの診断スキャンの幾何学的位置と既に終了した診断スキャンの幾何学的位置との整合性を保証する。これは重要であり、その理由は、2つの連続する診断スキャンの間で患者の位置が変わる場合、2つの診断スキャンにおける同じボクセルが、患者12の中の異なる位置を指し示すからである。追加的な患者の動きが生じた場合に、関連する診断スキャンを実行する直前に、残りの診断スキャンのスキャンプランが適切に更新される。
【0038】
図2においては、患者の動き又はモーションが検出された後に、診断スキャンのスキャンプランを更新する方法100を実行するように、プロセッサ40が制御される。幾何学的アライメントモジュール58は、残りの診断スキャンの各々について方法100を適切に実行し、残りの診断スキャンのスキャンプランを更新する。方法100は、データ取得モジュール50を利用して、患者12の更新調査スキャン(例えば、高速な3次元(3D)調査スキャン)を実行する(102)。「更新調査スキャン」(updated survey scan)は、「更新される調査スキャン」等と言及されてもよい。更新調査スキャンは、一般に、短期間(例えば、1分未満の期間内)に行われる。更新調査スキャンのコントラストタイプは、必須ではないが、初期調査スキャンのコントラストタイプに合致するように選択されることが可能である。
【0039】
そして、患者が動く前に既に完了している1つ以上の診断スキャン又は1つ以上の調査スキャンの中から、テンプレートスキャン(template scan)が選択される(104)。更に、テンプレートスキャンのコントラストタイプは、必須ではないが、更新調査スキャンのコントラストタイプに合致しているものとすることが可能である。例えば、調査スキャン及び/又はテンプレートスキャンは、異なるコントラストタイプを有することも可能である。更に、選択は手動で及び/又は自動的に実行されることが可能である。手作業で選択することに関し、システム10のオペレータは、例えばユーザ入力装置48を利用して、テンプレートスキャンとして、何れかの完了している診断スキャン又は何れかの完了している調査スキャンを選択する。完了している診断スキャン又は完了している調査スキャンは、選択を促すように、GUIに表示されることが可能である。自動的に選択することに関し、如何なる選択基準が使用されてもよい。例えば、一番最後に完了した診断スキャンが使用されてもよい。別の例として、初期調査スキャンが使用されてもよい。これは、後述するように
レジストレーションに有利であり、その理由は、更新調査スキャンは、初期調査スキャンと類似するMRコントラストを有するように選択されることが可能だからである。しかしながら、これは、初期調査スキャンと完了した診断スキャンとの間に患者の何らかの動きが存在するような場合には、最適な整合性をもたらさないかもしれない。
【0040】
プロセッサ実行可能命令の
レジストレーションモジュール60は、画像空間又はk空間におけるテンプレートスキャンと更新調査スキャンとの間の変換マップを決定するために使用される(106)。任意の
レジストレーションアルゴリズムを利用することが可能である。しかしながら、好ましくは剛体レジストレーション(rigid registration)アルゴリズムが使用され、その理由は、再配置の前後で身体構造に関して大幅な変化は発生せず、回転及び並進のような合成変換のみがスキャンプランに考慮されることが可能だからである。更に、剛体レジストレーションアルゴリズムは、一般に、アフィン(affine)又は弾性(elastic)レジストレーションアルゴリズムよりも高速でありかつ堅牢である。
【0041】
レジストレーショ
ンの品質は、テンプレートスキャン及び更新調査スキャンの類似性に依存し、かつ、レジストレーションアルゴリズムで使用される品質メトリックの類似性に依存するので、レジストレーションアルゴリズムは、テンプレートスキャン及び更新調査スキャンのMRコントラストタイプに適用されることが可能である。例えば、テンプレートスキャン及び更新調査スキャンが類似するMRコントラストを有する場合、相互
相関に基づくレジストレーションアルゴリズムが適用されてもよい。しかしながら、テンプレートスキャン及び更新調査スキャンが異なるコントラストタイプを有する場合、相互情報に基づくレジストレーションアルゴリズムが適用されることが可能である。
【0042】
変換マップが診断スキャンの幾何学的位置に適用され(10
8)、プランニングモジュール56は、更新調査スキャンと更新された幾何学的位置とを利用して、診断スキャンについて最初に決定されたスキャンプランを更新するために使用される(110)。幾何学的位置の更新は、自動的になされてもよいし、あるいは、オペレータの指示に委ねられてもよい。例えば、プランニングモジュール56は、更新されたスキャン幾何学位置が重なった更新調査スキャンをGUIに表示する。システム10のオペレータは、ユーザ入力デバイス48を利用して望むようにスキャン幾何学位置を操作することが可能である。所望のスキャン幾何学位置に到達すると、プランニングモジュール56は、決定されたスキャン幾何学位置に従って診断スキャンのスキャンプランを更新する。
【0043】
残りの診断スキャンが複数の診断スキャンを含む場合、方法100が複数回実行され、残りの診断スキャンの各々について実行されることが、認められるべきである。方法100の各ステップが残りの診断スキャン各々について実行されているが、一実施形態では、各ステップが必要に応じて実行されるだけでもよい。例えば、テンプレートスキャンの選択は、残りの診断スキャン全てについて一度実行されるだけでもよい。別の例として、最後の調査スキャンを生成した時点から現時点に至るまでに、追加的な患者の動きが存在した場合に限って、調査スキャンが実行されてもよい。別の例として、選択されたテンプレートスキャンと更新調査スキャンとの組み合わせについて変換マップが生成されていない場合に限って、変換マップが決定されてもよい。
【0044】
再び
図1において、幾何学的アライメントモジュール58は、位置変更前に取得されたリファレンススキャン(又は基準スキャン)と更新調査スキャンとの間の幾何学的な一貫性又は整合性を更に確認することが可能である。リファレンススキャンは、典型的には、所定のMRコントラストを有する1つ以上の低解像度MR身体構造画像を含み、これは、受信感度、送信感度、B
0等のような所望の量によるマップを計算するために処理されることが可能である。リファレンススキャンは、例えば、マルチチャネル受信コイルに基づいて検査中に実行されるような受信コイル感度スキャンとすることが可能であり、あるいは、マルチチャネル送信コイルを用いて検査中に実行されるような送信コイル感度スキャンとすることも可能である。リファレンススキャンは、例えば、B
0又はB
1マッピングスキャンとすることが可能である。
【0045】
幾何学的な一貫性を確認するために、
図2の処理102ないし106が上述したように実行される。テンプレートスキャンは、例えば、リファレンススキャンとすることが可能である。そして、変換の範囲を決定するために変換マップが分析される。変換の範囲が閾値未満である場合、リファレンススキャンが、更新調査スキャンに望まれるように
レジストレーションされる。そうでなかった場合、例えば、GUIを用いて、リファレンススキャンを反復することについて、システム10のオペレータが問い合わせを受ける、あるいは、リファレンススキャンが自動的に反復されてもよい。リファレンススキャンを反復するために、リファレンススキャンのスキャンプランは更新調査スキャンを用いて更新され、リファレンススキャンが更新スキャンプランとともに反復される。
【0046】
代替的に、更新調査スキャンが上述したように実行される。そして、リファレンススキャンが以下に説明されるように更新調査スキャンに対して
レジストレーションされる。
レジストレーションされたリファレンススキャンは、更新調査スキャンと比較される。リファレンススキャンが幾何学的に一貫していない場合、例えば、GUIを用いて、リファレンススキャンを反復することについて、システム10のオペレータが問い合わせを受ける、あるいは、リファレンススキャンが自動的に反復されてもよい。
【0047】
幾何学的アライメントモジュール58は、リファレンススキャンを更新調査スキャンに対して
レジストレーションを行い、配置変更後に取得されるスキャンがリファレンススキャンを利用できるようにする。更新調査スキャンに対
するリファレンススキャン
のレジストレーションは、
図2に関して上述したように、リファレンススキャンと更新調査スキャンと
の間の変換マップを決定することを含む。変換マップを決定する場合において、リファレンススキャンの最中に取得された処理前の画像データ(すなわち、フーリエ変換によりk空間データから直接的に取得される画像データ)又は処理前の画像データから算出されたマップが、使用される。しかしながら、処理前の画像データを利用することが好ましく、その理由は、計算されたマップは、しばしば、身体構造の情報をもはや適切に含んでおらず、更新調査スキャンに
よるレジストレーションには適切でないからである。
【0048】
プロセッサ実行可能命令のモーションモジュール62、患者の動きを検出する。動き又はモーションは、手動で及び/又は自動的に検出されることが可能である。手動で検出する場合において、患者の動きが生じると、例えばユーザ入力デバイス48を利用して、システム10のオペレータが指定する。自動的に検出する場合、動きを検出する既存の如何なる方法が使用されてもよい。例えば、完全なMRスキャン各々の前に、患者の画像又はマップが、カメラ64や高速MRスキャン等を利用して生成される。現在の画像又はマップは、動きを検出するために、リファレンスマップ又は検査の開始時に生成されたマップと比較されてもよい。別の例として、完全なMRスキャン各々の前に、患者に配置された電磁トランスポンダ66の位置が確認される。動きを検出するために、現在の位置が、検査の開始時に決定された基準位置と比較される。患者の動きを検出するために、ナビゲータシーケンスが使用されることも可能である。
【0049】
図3には、患者が位置を変える検査の具体例150が示されている。検査は、患者12の初期調査スキャン152とともに始まる。その後に、初期調査スキャン152(の結果)を利用して第一の診断スキャン154が計画され、実行される。第1の診断スキャン154は、例えば、T1ウェイトスピンエコースキャン(T1 weighted spin echo scan:T1W SE SCAN)である。第1の診断スキャン154の終了と第2の診断スキャン156の開始との間にいくらかの時間があり、患者が位置を変える。
【0050】
第1の診断スキャン154と第2の診断スキャン156との間の幾何学的な整合性を保証するために、
図2の方法100が実行される。上述したように、これは、3Dスキャンのような更新調査スキャン158を実行することを含む。初期調査スキャン152と更新調査スキャン158との比較から分かるように、患者12の位置が僅かに変わっている(すなわち、頭部方向に平行移動している)。第1の診断スキャン154がテンプレートスキャンとして選択され、更新調査スキャン158とテンプレートスキャン154との間の変換マップが、例えば3D剛体レジストレーションアルゴリズムのようなレジストレーションアルゴリズムを用いて決定される(160)。変換マップが、第2の診断スキャン156のスキャン幾何学位置に適用され、更新スキャン幾何学位置162が、更新調査スキャン158の表示に重ねられている。更新スキャン幾何学位置162は、第2の診断スキャン156のスライスの更新後の位置により表現される。システム10のオペレータは更新スキャン幾何学位置162を承認し、第2の診断画像156のスキャンプランが、更新スキャン幾何学位置162とともに更新される。第2の診断スキャン156は、更新されたスキャンプランを用いて実行される。第2の診断スキャン156は、例えば、T2ウェイトターボスピンエコースキャン(T2 weighted turbo spin echo scan:T2W TSE SCAN)である。
【0051】
幾何学的整合性を維持するための上記のアプローチは、MR誘導治療(MR-guided interventions)及びMR誘導放射線治療等を含む如何なるMR診断分野に適用されてもよい。例えば、
図1に示されているように、MRは、患者12の中のターゲット又は目標70まで、シャフト又はニードル68を案内するために使用される。すなわち、治療行為者がシャフト又はニードル68を挿入している最中に、シャフト又はニードル68のMR画像が、例えば、治療行為者のためにディスプレイデバイス46に表示される。追加的又は代替的に、シャフト又はニードルを予定されている軌跡で如何にして動かすかについての聴覚的及び/又は視覚的な通知が、治療行為者に提供されることが可能である。上記の方法が適用可能であるMR誘導治療の他の具体例は、例えば、MR誘導集束超音波(MR-guided high-intensity focused ultrasound)、MR誘導レーザアプレーション(MR-guided laser ablation)、MR誘導無線周波数アブレーション、MR誘導体外照射放射線治療(MR-guided external beam radiotherapy)、MR誘導近接照射治療(MR-guided brachytherapy)等であるが、これらに限定されない。MRの指導を行う場合に、オペレータは、治療の最中に患者を意図的に動かすかもしれない。これらの場合に
、レジストレーションに使用されるテンプレートスキャンは、治療の前に、例えば治療を計画するのに使用される検査の最中に取得されてもよい。更に、診断スキャンの間に患者の動きが存在する場合、診断スキャンから取得される画像は、有利なことに、部分的な空間的影響(volume effect)を示すことなく幾何学的な位置を維持する。治療の最中に、一般的には、事後処理ステップを実行する時間は無いので、所望の幾何学的位置で直接的に画像を取得することが有用である。
【0052】
本願において使用されているように、メモリは、1つ以上の一時的でないコンピュータ読み取り可能媒体を含み、例えば、磁気ディスク又は他の磁気ストレージ媒体;光ディスク又は他の光ストレージ媒体;ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)又は他の電子的なメモリ装置又はチップ又は動作可能に相互接続されたチップ群;インターネット/イントラネットのサーバ(サーバに保存されている命令がインターネット/イントラネット又はローカルエリアネットワークを介して取り出される)等である。更に、本願で使用されているように、プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、FPGA等のうちの1つ以上を含み;コントローラは、(1)プロセッサ及びメモリ(プロセッサはコントローラの機能を実現するメモリ内のコンピュータ実行可能命令を実行する);又は(2)アナログ及び/又はディジタルハードウェアを含み;ユーザ入力デバイスは、マウス、キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、1つ以上のボタン、1つ以上のスイッチ、1つ以上のトグル、音声認識エンジン等の内の1つ以上を含み;データベースは1つ以上のメモリを含み;ディスプレイデバイスは、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ等のうちの1つ以上を含む。
【0053】
以上、本発明は好適な実施形態を参照しながら説明されてきた。上記の詳細な説明を参照及び理解した者は、変形例や代替例も認めるであろう。本発明はそのような変形例や代替例の全てを包含するように意図されており、それらは添付の特許請求の範囲及び均等な範囲に属する。