(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記異種抗原が、西ナイルウイルス抗原、肝炎ウイルス抗原およびデング熱ウイルス抗原からなる群から選択される病原体特異的抗原である、請求項1に記載の抗体または抗体断片。
前記CD180に結合する抗体または抗体断片が、CD180モノクローナル抗体または抗体断片であり、好ましくはヒトもしくは動物のFc受容体FcγRIIbおよび/またはヒトもしくは動物の補体タンパク質への結合が損なわれた免疫グロブリン定常領域(Fc)ドメインに連結されたヒトまたは動物のCD180結合ドメインである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
前記異種抗原がポリペプチドであり、前記CD180に結合する抗体または抗体断片と前記異種抗原が融合タンパク質として発現される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片をコードする単離核酸。
個体において抗原特異的免疫応答を生じさせるための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片あるいは請求項9に記載の医薬組成物の使用。
前記個体が、新生児であるか、高齢者であるか、アレルギーを有するか、先天性または後天性の免疫不全を有するか、病原菌に曝露されているか;あるいは、前記個体が、毛細血管拡張性運動失調、高IgM症候群、ディジョージ症候群、Wiscott−Aldrich症候群、分類不能型免疫不全症候群、正常免疫グロブリンの選択的抗体欠損(SADNI)を含む多糖応答欠陥、ウイルス感染、癌、肝炎、糖尿病、および骨髄もしくは器官移植または細胞毒性療法/骨髄破壊的療法に後続する免疫抑制からなる群から選択される1つまたは複数の病態を有するか;あるいは、妊娠している女性であるか、無脾であるか、骨髄抑制またはリンパ細胞の減少を引き起こす薬剤を服用しているか、放射線療法を受けているか、および慢性腎不全を有する、請求項11に記載の使用。
【発明の概要】
【0010】
引用されたすべての参照は、それらの全体が参照として本明細書に援用される。本出願内では、特別の指示の無い限り、利用されたテクニックは、以下のような複数の周知の参照文献のいずれか中で見出すことができる。Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrook,et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Gene Expression Technology(Methods in Enzymology,Vol.185,edited by D.Goeddel,1991.Academic Press,San Diego,CA)、“Guide to Protein Purification“in Methods in Enzymology(M.P.Deutshcer,ed.,(1990) Academic Press,Inc.);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis,et al.1990.Academic Press,San Diego,CA)、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,2nd Ed.(R.I.Freshney.1987.Liss,Inc.New York,NY)、Gene Transfer and Expression Protocols,pp.109−128,ed.E.J.Murray, The Humana Press Inc.,Clifton,N.J.)、およびAmbion 1998年カタログ(Ambion、Austin、TX)。
【0011】
本明細書において使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」には、文脈が明確に指示しない限り複数の指示物が含まれる。「および」は本明細書において使用される時、特別に明記しない限り、「または」と互換的に使用される。
【0012】
本発明の任意の態様のすべての実施形態は、文脈が明確に指示しない限り組み合わせで使用することができる。
【0013】
第1の態様において、本発明は、
(a)CD180標的化分子と;
(b)CD180標的化分子へ付加された異種抗原と
を含む組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、CD180(B細胞、マクロファージおよび樹状細胞上で発現される表面タンパク質)へ抗原を標的化し、例えばT細胞共刺激の非存在(CD40欠損等)またはT細胞の完全な非存在(TCRβ/δ欠損等)下において抗原特異なIgGを産生する方法において使用することができる。
【0015】
本明細書において開示されるように、本発明者は、本発明の組成物が抗原(Ag)特異的B細胞の迅速な活性化を誘導し、7日以内の有意な抗原特異的なIgGおよびIgMの産生をもたらすことを意外にも見出した。顕著なことには、追加のアジュバントなしのAg−CD180抗体(αCD180)の単回注射は、抗体(Ab)親和性成熟および免疫学的記憶の両方の発達ももたらした。
【0016】
CD180標的化分子は、B細胞、マクロファージまたは樹状細胞の表面において存在するCD180へ直接結合する任意の分子であり得る。様々な非限定的実施形態において、CD180標的化分子は、ポリペプチド(ペプチド模倣物、抗体など等)、核酸(アプタマー等)、炭水化物、有機分子などであり得る。特定の実施形態において、CD180標的化分子はポリペプチドを含み;1つの非限定的実施形態において、ポリペプチドは抗体または抗体断片である。本明細書において使用される時、「抗体」には、ヒトCD180と免疫学的に反応性の(好ましくはCD180について選択的な)免疫グロブリン分子への参照が含まれ、モノクローナル抗体が含まれる。抗体の様々なアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、および他のIg、例えばIgM、IgA、IgEアイソタイプが存在する。この用語には、遺伝子操作形態(キメラ抗体(例えばヒト化マウス抗体)およびヘテロコンジュゲート抗体(例えば二重特異性抗体)、完全ヒト化抗体およびヒト抗体等)も含まれる。出願を通して使用されるように、「抗体」という用語には、抗原結合能力を備えた断片(例えばFab’、F(ab’)
2、Fab、FvおよびrIgG)が含まれる。Pierce Catalog and Handbook、1994−1995(Pierce Chemical Co.およびRockford、IL)も参照されたい。例えばKuby,J.,Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman&Co.,New York(1998)も参照されたい。この用語は組換え単鎖Fv断片(scFv)も指す。この用語には、抗体は二価分子または二重特異性分子、ダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディも含まれる。二価分子および二重特異性分子は、例えばKostelny et al..(1992) J Immunol 148:1547、Pack and Pluckthun(1992)Biochemistry 31:1579、前出、Hollinger et al.,1993、Gruber et al.(1994)J Immunol:5368、Zhu et al.(1997) Protein Sci 6:781、Hu et al.(1996)Cancer Res.56:3055、Adams et al.(1993)Cancer Res.53:4026、McCartney, et al.(1995)Protein Eng.8:301中で述べられる。様々な抗原結合ドメイン−融合タンパク質は、例えば米国特許出願第2003/0118592号および第2003/0133939号中で開示され、本出願において使用されるような「抗体」という用語内に包含される。
【0017】
ヒトCD180と免疫学的に反応性のある抗体は、組換え法(ファージまたは類似のベクターの組換え抗体のライブラリーの選択等)によって(例えばHuse et al.,Science 246:1275−1281(1989);Ward et al.,Nature 341:544−546(1989);およびVaughan et al.,Nature Biotech.14:309−314(1996)を参照)、または抗原もしくは抗原をコードするDNAによる動物の免疫付与によって、生成することができる。
【0018】
一実施形態において、抗体は、多数のソース(Thermo ScientificおよびSigma Aldrichなど)から商業的に入手可能なモノクローナル抗体G28−8、またはモノクローナル抗体G28−8のF(ab’)2断片を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態において、抗体は、ヒトもしくは動物のFc受容体FcγRIIbおよび/またはヒトもしくは動物の補体タンパク質への結合が損なわれた免疫グロブリン定常領域(Fc)ドメインに連結されたヒトまたは動物のCD180結合ドメインを含む。例えば、抗体またはその断片は、米国特許出願第20120020965号(その全体は参照として本明細書に援用される)中で記載されているもの等であり得る。例えば、抗体は、配列番号:2のアミノ酸配列(モノクローナル抗体G28−8のクローン化した可変領域から構築されたscFv−Fc分子)を含むか、またはそれからなり得る。組換え分子のFcドメインは、Fc受容体およびC1qへの分子の結合を減少させる3つのアミノ酸変化(P238S、P331S、K322S)により改変されたヒトIgG1 Fcドメインである。
【0019】
組成物はCD180標的化分子中の抗原が天然にないということにおいて、「異種」抗原を含む。したがって、組成物はCD180標的化分子および異種抗原のコンジュゲートを含む。CD180標的化分子および異種抗原は、任意の適切な様式(共有結合および非共有結合が含まれる)でのコンジュゲートであり得る。抗CD180へ異種Agを不可逆的に連結するいかなる様式も作動するだろう。特異的組成物のために最も適切な結合の特異的様式は、利用した成分に依存し、当業者によって決定することができる。いくつかの実施形態において、標的化分子および抗原は、1つまたは複数のリンカー部分経由でコンジュゲートすることができる。標的化分子および抗原の両方がポリペプチドである複数の実施形態において、組成物はキメラとして組換えにより発現させることができる。非組換えにより発現される実施形態については、任意の適切な結合テクニック(操作されたジスルフィド連結、ホルマリン/グルタルアルデヒド架橋、選択的な連結(後続する例において開示されるもの等)、ストレプトアビジン/ビオチンに基づく結合が含まれるがこれらに限定されない)を使用することができ、CD180およびタグ(FLAG、Hisなど)を結合する能力を備えた二重特異物を生成し、タグ付加Agと混合すること、またはAgに対する直接的親和性を有することなどが可能である。
【0020】
CD180へ抗原を標的化して、T細胞共刺激の非存在またはT細胞の完全な非存在下において抗原特異的IgGを産生する方法で組成物を使用することができるので、組成物中で任意の適切な抗原を使用できることは当業者に明らかだろう。異種抗原は、任意の化合物タイプ(ポリペプチド、核酸、脂質、多糖、糖脂質などが含まれるがこれらに限定されない)であり得る。一実施形態において、異種抗原はポリペプチドを含む。他の実施形態において、異種抗原は多糖または糖脂質抗原を含む。
【0021】
一実施形態において、異種抗原は病原体特異的抗原を含むか、またはそれからなり;抗原は与えられた状況における対象となる任意の病原体からのものであり得る。非限定的実施形態において、病原体特異的抗原には、肝炎(A、B、C、Eなど)ウイルス、ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、腸内ウイルス、はしかウイルス、おたふくかぜウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス属、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エボラウイルス、サイトメガロウイルス、マールブルグウイルス、ノロウイルス、痘瘡ウイルス、任意のフラビウイルス(西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルスおよび日本脳炎ウイルスが含まれるがこれらに限定されない);ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、Bacillus anthracis、Bordetalla pertusis、Chlamydia trachomatis、Clostridium tetani、Clastridium difficile、Corynebacterium diptheriae、Coxiella burnetii、Escherichia coli、Haemophilus influenza、Helicobacter pylori、Leishmania donovani、L.tropica、L.braziliensis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Neisseria meningitis、Plasmodium falciparum、P.ovale、P.malariaeおよびP.vivax、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhi、Schistosoma hematobium、S. mansoni、Streptococcus pneumoniae(A群およびB群)、Staphylococcus aureus、Toxoplasma gondii、Trypanosoma brucei、T.cruziならびにVibrio choleraeからの抗原が含まれる。
【0022】
1つの非限定的例において、異種抗原は、西ナイルウイルス(WNV)からの抗原であり、これには記述されたもの(T.J Chambers et al.,J General Virology 79:2375−2380,1998)またはその抗原性断片に類似もしくは同一のアミノ酸配列を持つWNVエンベロープタンパク質E、またはWNVの非構造的(NS)タンパク質(NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4bまたはNS5等)が含まれるが、これらに限定されない。後続する例において示されるように、精製した組換え西ナイルウイルス(WNV)エンベロープ(E)タンパク質が付加されている(WNVE)CD180の標的化分子を接種したマウスは、WNVE特異的IgG AbおよびWNVEに対する中和抗体の両方を発達させ、WNVを頭蓋内チャレンジしたことよって誘導される死亡から、WNVE−CD180コンジュゲートで免疫付与したそのマウスを保護する。これらのデータは、CD180標的化分子へコンジュゲートされた任意の抗原に対する抗原(Ag)特異的B細胞およびT細胞の迅速な活性化を誘導し、有意なIgGおよびIgM産生、Ab親和性成熟、ならびに免疫学的記憶を引き起こすのに、どのように本発明の組成物を使用することができるかの単なる例示である。
【0023】
別の実施形態において、異種抗原は、別のフラビウイルス(C型肝炎ウイルス(HCV)またはデング熱ウイルス(DENV)等)からの抗原である。HCVからの抗原は、HCVカプシドタンパク質C、エンベロープタンパク質E1およびE2、ならびに非構造的なタンパク質NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5aおよびNS5b(C.Wychowski et al.J.Virol 67:1385,1993)またはその抗原フラグメントが含まれるがこれらに限定されない、抗原である。HCV E2タンパク質の事例において、配列は、例えばQL Choo et al.(PNAS 88:2451−2458,1991)中で記載されるようなものであり得る。DENVからの抗原は、4つのDENVセロタイプのうちの1つまたは複数からのエンベロープ(E)タンパク質またはその抗原性断片を含むがこれらに限定されない、抗原である。
【0024】
別の実施形態において、異種抗原は、P Charnay et al.(Nucleic Acids Res 7:335−346,1979)もしくはD.L.Peterson et al(J.Biol.Chem 257:10414−10420,1982)によって記述されたもの等のアミノ酸配列を持つB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、またはHBsAgバリアント(J.N Zuckerman and A.J Zuckerman,Antiviral Res 60:75−78,2003)である。
【0025】
別の実施形態において、異種抗原は、アレルゲン(すなわちアレルギーを引き起こし得る任意の物質)を含むか、またはそれからなり、それには、動物産物(毛皮および鱗屑;羊毛、イエダニ排泄物など)中で見出されるアレルゲン;薬剤(ペニシリン、スルホンアミド、サリチレートなど);食品(セロリ、トウモロコシ、卵/アルブミン、果実、ミルク/ラクトース、シーフード、ゴマ、マメ科植物(マメ、エンドウ、ピーナッツ、ダイズなど); ダイズ、樹木の木の実(ピーカン、アーモンドなど));昆虫刺傷(ハチ針毒、スズメバチ針毒、蚊針など);カビ胞子および植物花粉(草、雑草、ブタクサ、樹木など)が含まれるがこれらに限定されない。
【0026】
さらなる実施形態において、異種抗原は、免疫応答を生成することが有益な他のタイプの疾患関連抗原を含むか、またはそれらからなり、それらには、腫瘍/腫瘍細胞中でまたは表面上で発現される抗原(p53(結腸直腸癌)、アルファフェトプロテイン(胚細胞腫瘍;肝細胞癌)、癌胎児性抗原(腸癌)、CA−125(卵巣癌)、ヒト表皮増殖因子受容体−2(HER−2、乳癌)、MUC−1(乳癌)、NY−ESO−1(食道癌、非小細胞肺癌)、上皮腫瘍抗原(乳癌)、チロシナーゼ(悪性メラノーマ)、ジシアロガングリオシド(GD2、神経芽細胞腫)、メラノーマ関連抗原遺伝子−1(MAGE−1(悪性メラノーマ))が含まれるがこれらに限定されない)、ならびにβアミロイド(アルツハイマー病および他のアミロイドに基づく疾患についてのもの)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
別の実施形態において、本発明の任意の実施形態または実施形態の組み合わせの組成物は、アジュバントをさらに含む。以下の例は、Ag特異的B細胞の迅速な活性化を誘導し、7日以内の有意なIgGおよびIgM産生、両方のAb親和性成熟の発達、ならびに免疫学的記憶をもたらすのには、アジュバントが必要とされないことを実証するが、この例は、組成物が本発明の方法において使用される場合、組成物へのアジュバントの添加が免疫応答の追加の促進を生じ得ることをさらに示す。任意の適切なアジュバント(無機化合物(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム水酸化物、ベリリウムなど)、鉱油、洗浄剤、サイトカイン、トール様受容体アゴニスト、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、スクワレンなどが含まれるがこれらに限定されない)も使用することができる。好ましい実施形態において、アジュバントは、トール様受容体(TLR)アゴニスト、より好ましくはTLR7(合成低分子イミダゾキノリン(イミキモドまたはレジキモド(R848)等)が含まれるがこれらに限定されない;CAS番号:144875−48−9;InvivoGenから入手可能)および/またはTLR9アゴニスト(A、BまたはCタイプのCpGオリゴヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない;InvivoGenから入手可能)を含むか、またはそれらからなる。後続する例において示されるように、TLR7アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストと組み合わせた本発明の組成物の使用は、IgGおよびIgM応答の相乗的な誘導を提供し、WNVE−αCD180コンジュゲート投与後にWNVE抗原に対する中和Ab応答を促進し、細胞障害性T細胞応答の活性化および増殖を促進する。
【0028】
使用されるアジュバントおよびコンジュゲートに依存して、アジュバントは連結していない成分として組成物中に存在することができるか、または抗原−CD180標的化分子コンジュゲートへ連結することができる。様々な非限定的実施形態において、組成物中のアジュバントはフラジェリン(TLR5アゴニスト)または修飾塩基により合成され得るTLR7およびTLR9の核酸アゴニストを含むことができ、抗CD180への連結(リラミン(llylamine)連結経由で等)を可能にする。
【0029】
別の実施形態において、本発明の組成物は、血清中の半減期の延長のために、少なくとも1つの分子(ポリエチレングリコール(PEG)基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体もしくはそのトランスフェリン結合部分またはその組み合わせが含まれるがこれらに限定されない)の組成物への付加等によって、半減期を延長するように修飾することができる。本明細書において使用される時、「付加された」という単語は共有結合でまたは非共有結合でコンジュゲートされた物質を指す。結合は遺伝子操作または化学的手段によるものであり得る。
【0030】
本発明の組成物は任意の適切な緩衝液中で保存することができる。
【0031】
第2の態様において、本発明は、標的化分子および抗原がポリペプチドである本発明の第1の態様の任意の実施形態の組成物をコードする単離核酸を提供する。単離核酸配列はRNAまたはDNAを含み得る。かかる単離核酸配列は、コードされたタンパク質の発現および/または精製の促進に有用な追加の配列(ポリA配列、修飾コザック配列、ならびにエピトープタグ、エクスポートシグナル、分泌シグナル、核移行シグナルおよび原形質膜局所化シグナルをコードする配列が含まれるがこれらに限定されない)を含むことができる。
【0032】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様の単離核酸を含む核酸ベクターを提供する。「組換え発現ベクター」には、核酸コーディング領域または遺伝子を遺伝子産物の発現を達成できる任意のプロモーターへ作動可能に連結するベクターが含まれる。哺乳類システムにおいて開示される核酸配列の発現の駆動に使用されるプロモーター配列は、構成的であり得るか(CMV、SV40、RSV、アクチン、EFを含むがこれらに限定されない任意の多様なプロモーターによって駆動される)、または誘導可能であり得る(テトラサイクリン、エクジソン、ステロイド反応性が含まれるがこれらに限定されない任意の多数の誘導可能プロモーターによって駆動される)。原核生物細胞のトランスフェクションで使用される発現ベクターの構築も当技術分野において周知であり、したがって標準的なテクニック経由で遂行することができる。(例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis,in:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989;Gene Transfer and Expression Protocols,pp.109−128,ed.E.J.Murray,The Humana Press Inc.,Clifton,N.J.およびAmbion 1998年カタログ(Ambion、Austin、TX)を参照されたい。)発現ベクターは、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAへの組込みによって、宿主生物中で複製可能でなくてはならない。好ましい実施形態において、発現ベクターはプラスミドを含む。しかしながら、本発明には同等の機能を果たす他の発現ベクター(ウイルスベクター等)が含まれるように意図される。
【0033】
第4の態様において、本発明は、本発明の第3の態様の核酸ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。宿主細胞は原核生物または真核生物であり得る。細胞は一過性または安定的にトランスフェクションすることができる。原核生物および真核細胞(チャイニーズハムスター(CHO)細胞が含まれるがこれらに限定されない)への発現ベクターのかかるトランスフェクションは、当技術分野において公知の任意のテクニック(標準的な細菌形質転換、リン酸カルシウム共沈殿、電気穿孔、またはリポソーム媒介性、DEAEデキストラン媒介性、ポリカチオン媒介性もしくはウイルス媒介性のトランスフェクションが含まれるがこれらに限定されない)によって遂行することができる。(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrook,et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press);Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,2nd Ed.(R.I.Freshney.1987.Liss,Inc.New York,NY)を参照されたい。)
【0034】
組換え宿主細胞は、例えば、
(a)核酸にコードされた抗体組成物の発現に好適な条件下で本発明の組換え宿主細胞を培養する工程と;
(b)培養細胞から抗体組成物を単離する工程と
を含む、抗体を産生するための方法(標的化分子が抗体である場合)において使用することができる。
【0035】
核酸にコードされた抗体組成物の発現に好適な条件は、本明細書における教示、使用される特異的宿主細胞およびベクター、ならびに当技術分野における当業者の一般知識に基づいて、当業者によって決定することができる。
【0036】
「組換え」という用語は、例えば、細胞、または核酸、タンパク質もしくはベクターへの参照と共に使用された場合に、異種の核酸もしくはタンパク質の導入または生来の核酸もしくはタンパク質の変更によって、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが修飾されたこと、または細胞がそのように修飾された細胞に由来することを指す。したがって、例えば組換え細胞は、細胞の生来(非組換え)の形態内で見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ、生来の遺伝子を、異常発現、低発現もしくは無発現で発現する。本明細書における「組換え核酸」という用語によって、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを使用する核酸の操作によって一般にインビトロでもともと形成された通常天然で見出されない形態の核酸が意味される。この様式において、異なる配列の操作可能な連結が達成される。したがって、直鎖状形態における単離核酸、または通常接合されないDNA分子のライゲーションによってインビトロで形成された発現ベクターは両方とも、本明細書において開示される目的のための組換え体と判断される。一旦組換え核酸が作製され、宿主細胞または生物の中へ再導入されたならば、非組換えにより、すなわちインビトロの操作ではなく宿主細胞のインビボの細胞機構を使用して、複製するであろうことは理解される。しかしながら、一旦組換えにより産生され、続いて非組換えにより複製されたかかる核酸も、まだ本明細書において開示される目的のための組換え体と判断される。
【0037】
第5の態様において、本発明は、
(a)本明細書において開示される実施形態または実施形態の組み合わせの組成物と;
(b)薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物を提供する。
【0038】
この実施形態において、本発明の組成物は医薬品製剤中に存在する。この実施形態において、組成物は薬学的に許容される担体と組み合わされる。かかる塩を形成することができる適切な酸には、無機酸(塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸および同種のもの等);および有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アントラニル酸、桂皮酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸および同種のもの等)が含まれる。かかる塩を形成することができる適切な塩基には、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび同種のもの等);および有機塩基(モノ−、ジ−およびトリ−アルキルおよびアリールアミン(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルアミン、ジメチルアミンおよび同種のもの)および任意に置換されたエタノール−アミン(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび同種のもの)等)が含まれる。
【0039】
医薬品組成物は、本発明の組成物に加えて、(a)溶解保護剤;(b)界面活性剤;(c)充填剤;(d)等張性調整剤;(e)安定剤;(f)防腐剤および/または(g)緩衝液を含むことができるむことができる。いくつかの実施形態において、医薬品組成物中の緩衝液は、トリス緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸塩緩衝液または酢酸緩衝液である。医薬品組成物は溶解保護剤(例えばショ糖、ソルビトール、トレハロース)も含むことができる。特定の実施形態において、医薬品組成物は、防腐剤(例えば塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸および様々なその混合物)を含む。他の実施形態において、医薬品組成物はグリシンのような充填剤を含む。さらに他の実施形態において、医薬品組成物は、界面活性剤(例えばポリソルベート−20、ポリソルベート−40、ポリソルベート−60、ポリソルベート−65、ポリソルベート−80、ポリソルベート−85、ポロキサマー−188、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンまたはその組み合わせ)を含む。医薬品組成物は、等張性調整剤(例えば製剤をヒト血液と実質的に等張または等浸透圧にする化合物)も含むことができる。例示的な等張性調整剤には、ショ糖、ソルビトール、グリシン、メチオニン、マンニトール、デキストロース、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニンおよび塩酸アルギニンが含まれる。他の実施形態において、医薬品組成物は加えて、安定剤(例えば対象となるタンパク質と組み合わせた場合、凍結乾燥形態または液体形態の対象となるタンパク質の化学的および/または物理的な不安定性を実質的に防止または減少させる分子)を含む。例示的な安定剤には、ショ糖、ソルビトール、グリシン、イノシトール、塩化ナトリウム、メチオニン、アルギニンおよび塩酸アルギニンが含まれる。
【0040】
本発明の医薬組成物は、任意の適切な製剤中で、好ましくは注射による投与に好適な製剤中で作製することができる。かかる医薬組成物は、例えばワクチン、予防剤または治療剤として使用する方法において使用することができる。
【0041】
医薬組成物は、既定の使用に適切であると考えられるような任意の他の成分(追加の治療剤またはワクチン成分等)を含有することができる。一実施形態において、医薬組成物は、トール様受容体アゴニスト(Ribi、TLR7アゴニスト(R848が含まれるがこれらに限定されない)および/またはTLR9アゴニスト(A、BまたはCタイプCpGオリゴヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない)が含まれるがこれらに限定されない)をさらに含む。
【0042】
第6の態様において、本発明は、障害の発症を治療または限定するのに効果的な量の、本発明の任意の実施形態または実施形態の組み合わせの組成物または医薬組成物またはその薬学的塩を、障害のリスクのある個体へ投与する工程を含む、障害の発症を治療または限定するための方法を提供する。一実施形態において、組成物をワクチンとして予防的に使用して、病原菌に曝露されていないが、かかる曝露のリスクがある個体等において、感染性疾患/感染性疾患の重症度を限定する。他の実施形態において、組成物を治療的に使用して、病原体に曝露されるかまたは慢性的に感染した人を治療することができる。さらなる実施形態において、組成物を癌ワクチンとして使用して腫瘍に罹患する個体を治療する。当業者によって理解されるように、使用される特異的抗原/組成物は治療または限定される特異的障害に依存するだろう。
【0043】
薬学的に許容される塩を形成することができる適切な酸には、無機酸(塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸および同種のもの等);および有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アントラニル酸、桂皮酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸および同種のもの等)が含まれる。薬学的に許容される塩を形成することができる適切な塩基には、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび同種のもの等);および有機塩基(モノ−、ジ−およびトリ−アルキルおよびアリールアミン(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルアミン、ジメチルアミンおよび同種のもの)および任意に置換されたエタノール−アミン(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび同種のもの)等)が含まれる。
【0044】
本発明の方法は、CD180(B細胞、マクロファージおよび樹状細胞上で発現される表面タンパク質)へ抗原を標的化し、T細胞共刺激の非存在(CD40欠損等)またはT細胞の完全な非存在(TCRβ/δ欠損等)下において抗原特異なIgGを産生する。したがって、本方法は適切な抗原が入手可能な任意の療法的または予防的な治療において使用することができる。後続する例において示されるように、抗CD180のコンジュゲートによる、抗原特異的IgGおよびIgMの誘導は迅速であり(最も慣習的な免疫付与系については14日以上であるのとは対照的に7日以内)、追加の炎症誘導アジュバントを必要としない。顕著なことには、追加のアジュバントなしのAg−CD180抗体(αCD180)の単回注射は、抗体(Ab)親和性成熟および免疫学的記憶の両方の発達ももたらした。さらに、後続する例において示されるように、精製した組換え西ナイルウイルス(WNV)エンベロープ(E)タンパク質が付加されている(WNVE)CD180の標的化分子を接種したマウスは、WNVE特異的IgG AbおよびWNVEに対する中和抗体の両方を発達させ、WNVを頭蓋内チャレンジしたことよって誘導される死亡から、WNVE−CD180コンジュゲートで免疫付与したそのマウスを保護する。これらのデータは、疾患の発生を治療または限定するのに、どのように本発明の方法を使用することができるかの単なる例示である。
【0045】
したがって、CD180へ抗原を標的化するアプローチは、従来の(例えばミョウバン中のIM抗原)免疫付与アプローチと比較して両方の有意な長所を生じ、以前は治療できない集団のワクチン接種を可能にする。このアプローチから、発達不十分またはそうでなければ不完全な免疫系において濃縮される細胞集団を特異的に標的化すること、および連結された認識部(炭水化物エピトープなど)を必要とする抗原への応答を改善することの両方で、例えば新生児、高齢者および免疫不全のための用途も見出される。
【0046】
本明細書において使用される時、「治療する」または「治療すること」は、障害を既に有するか、または障害を引き起こす物質/病原体に既に曝露された個体において以下のもののうちの1つまたは複数を遂行することを意味する。(a)障害の重症度を低下させること;(b)治療されている障害(複数可)の特徴的な症状(例えば、化学療法および/または放射線療法を受ける癌患者または他の患者における免疫不全)の発症を限定または防止すること;(c)治療されている障害(複数可)の特徴的な症状の悪化を阻害すること;(d)以前に障害(複数可)を有していた患者における障害(複数可)の再発を限定または防止すること;および(e)以前に障害について症状を示した患者における症状の再発を限定または防止すること。
【0047】
本明細書において使用される時、「限定すること」または「〜の発症を限定すること」は、限定される障害を有していない個体において以下のもののうちの1つまたは複数を遂行することを意味する。(a)障害を防止すること;(b)障害の重症度を低下させること;および(c)障害の特徴的な症状の発生を限定または防止すること。
【0048】
本明細書において使用される時、「効果的な量」は、関連する障害を治療および/または限定するのに効果的な組成物の量を指す。
【0049】
以下の例は、Ag特異的B細胞の迅速な活性化を誘導し、7日以内の有意なIgGおよびIgM産生、両方のAb親和性成熟の発達、ならびに免疫学的記憶をもたらすのには、アジュバントが必要とされないことを実証するが、この例は、組成物が本発明の方法において使用される場合、組成物へのアジュバントの添加が免疫応答の追加の促進を生じ得ることをさらに示す。したがって、さらなる実施形態において、本方法は個体へのアジュバントの投与をさらに含むことができる。任意の適切なアジュバント(無機化合物(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム水酸化物、ベリリウムなど)、鉱油、洗浄剤、サイトカイン、トール様受容体アゴニスト、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、スクワレンなどが含まれるがこれらに限定されない)も使用することができる。好ましい実施形態において、アジュバントは、トール様受容体(TLR)アゴニスト、より好ましくはTLR7(合成低分子イミダゾキノリン(イミキモドまたはレジキモド(R848)等)が含まれるがこれらに限定されない;CAS番号:144875−48−9;InvivoGenから入手可能)および/またはTLR9アゴニスト(A、BまたはCタイプのCpGオリゴヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない;InvivoGenから入手可能)を含むか、またはそれらからなる。後続する例において示されるように、TLR7アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストと組み合わせた本発明の組成物の使用は、IgGおよびIgM応答の相乗的な誘導を提供し、WNVE−αCD180コンジュゲート投与後にWNVE抗原に対する中和Ab応答を促進し、CD4 T細胞応答または細胞障害性T細胞応答の活性化および増幅を促進する。
【0050】
個体は、哺乳類が含まれるがこれらに限定されない任意の適切な個体であり得る。好ましくは、個体はヒトである。一実施形態において、個体は、T細胞欠損および/もしくはB細胞とT細胞との間の共刺激の欠陥を有するか、または慢性感染症によって免疫無防備であるか、または自己免疫疾患の治療のための免疫抑制薬を急性もしくは慢性的に服用しているか、または他の炎症性疾患である。別の実施形態において、個体は新生児または高齢者(すなわち、少なくとも65歳)である。
【0051】
様々な他の実施形態において、個体はアレルギーを有するか、先天性もしくは後天性の免疫不全を有するか、または病原菌に曝露されている。
【0052】
様々なさらなる実施形態において、個体は、毛細血管拡張性運動失調、高IgM症候群、ディジョージ症候群、Wiscott−Aldrich症候群、分類不能型免疫不全症候群、正常免疫グロブリンの選択的抗体欠損(SADNI)が含まれる多糖応答欠陥、ウイルス感染、癌、肝炎、糖尿病、および骨髄もしくは器官移植または細胞毒性療法/骨髄破壊的療法に後続する免疫抑制のうちの1つまたは複数を患う。または妊娠している女性であるか、無脾であるか、骨髄抑制またはリンパ細胞の減少を引き起こす薬剤(コルチコステロイド、シクロスポリン、アンフォテリシンB、クロラムフェニコール、様々な癌化学療法剤、金化合物、メトトレキサートなどが含まれるがこれらに限定されない)を服用しているか、放射線療法を受けているか、および/もしくは慢性腎不全を有する。
【0053】
当業者によって理解されるように、本方法を使用して病原体またはアレルゲンによって媒介される任意の障害の発症を治療または限定することができ、そのための適切な抗原は組成物中で提供することができ、この抗原には、肝炎(A、B、C、Eなど)ウイルス、ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、腸内ウイルス、はしかウイルス、おたふくかぜウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス属、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エボラウイルス、サイトメガロウイルス、マールブルグウイルス、ノロウイルス、痘瘡ウイルス、任意のフラビウイルス(西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルスおよび日本脳炎ウイルスが含まれるが、これらに限定されない);ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、Bacillus anthracis、Bordetalla pertusis、Chlamydia trachomatis、Clostridium tetani、Clastridium difficile、Corynebacterium diptheriae、Coxiella burnetii、Escherichia coli、Haemophilus influenza、Helicobacter pylori、Leishmania donovani、L.tropica、L.braziliensis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Neisseria meningitis、Plasmodium falciparum、P. ovale、P. malariaeおよびP. vivax、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhi、Schistosoma hematobium、S. mansoni、Streptococcus pneumoniae(A群およびB群)、Staphylococcus aureus、Toxoplasma gondii、Trypanosoma brucei、T.cruziおよびVibrio cholerae;動物産物(毛皮および鱗屑;羊毛、イエダニ排泄物など)中で見出されるアレルゲン;薬剤(ペニシリン、スルホンアミド、サリチレートなど);食品(セロリ、トウモロコシ、卵/アルブミン、果実、ミルク/ラクトース、シーフード、ゴマ、マメ科植物(マメ、エンドウ、ピーナッツ、ダイズなど); ダイズ、樹木の木の実(ピーカン、アーモンドなど));昆虫刺傷(ハチ針毒、スズメバチ針毒、蚊針など);カビ胞子および植物花粉(草、雑草、ブタクサ、樹木など);腫瘍/腫瘍細胞中でまたは表面上の発現される抗原(p53(結腸直腸癌)、アルファフェトプロテイン(胚細胞腫瘍;肝細胞癌)、癌胎児性抗原(腸癌)、CA−125(卵巣癌)、ヒト表皮増殖因子受容体−2(HER−2、乳癌)、MUC−1(乳癌)、NY−ESO−1(食道癌、非小細胞肺癌)、上皮腫瘍抗原(乳癌)、チロシナーゼ(悪性メラノーマ)、ジシアロガングリオシド(GD2、神経芽細胞腫)、メラノーマ関連抗原遺伝子−1(MAGE−1(悪性メラノーマ))が含まれるがこれらに限定されない)、ならびにβアミロイド(アルツハイマー病および他のアミロイドに基づく疾患についてのもの)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
したがって、本方法を使用して、例えば上でリストした抗原と関連した任意の障害(すなわち、関連するウイルス性および細菌性の感染、水痘、子宮頸癌、陰部疣贅、胃腸炎、天然痘、炭疽菌、百日咳、破傷風、ジフテリア、脳膜炎、ウイルス脳炎、マラリア、下痢、肺炎、後天性免疫不全症候群、結核、コレラ、腸チフス、癌、アルツハイマー病など)の発症を治療または限定することができる。
【0055】
1つの非限定的実施形態において、本方法を使用して、西ナイルウイルス(WNV)感染によって引き起こされる疾患の発症を治療または限定する。この実施形態において、異種抗原は、西ナイルウイルス(WNV)からの抗原であり、これには、記述されたもの(T.J Chambers et al.,J General Virology 79:2375−2380,1998)またはその抗原性断片に類似または同一のアミノ酸配列を持つWNVエンベロープタンパク質E、もしくはWNVの非構造的(NS)タンパク質(NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4bまたはNS5等)、またはその抗原性断片が含まれるがこれらに限定されない。後続する例において示されるように、精製した組換え西ナイルウイルス(WNV)エンベロープ(E)タンパク質が付加されている(WNVE)CD180の標的化分子を接種したマウスは、WNVE特異的IgG AbおよびWNVEに対する中和抗体の両方を生じ、WNVを頭蓋内チャレンジしたことよって誘導される死亡から、WNVE−CD180コンジュゲートで免疫付与したそのマウスを保護する。これらのデータは、適切な抗原が免疫応答の生成のために入手可能な障害の発症を治療または限定するのに、どのように本発明の方法を使用することができるかの単なる例示である。
【0056】
WNVによって引き起こされる疾患の特徴的な症状には、頭痛、熱、発疹、神経侵襲性疾患、脳炎、脳膜炎、髄膜脳炎および小児麻痺が含まれるが、これらに限定されない。したがって、本発明の方法は、例えば、これらの症状の発症を療法的に治療または限定する、および/または本方法の前にWNVに曝露された者におけるWNV複製を限定する、またはこれらの症状の発症を予防的に限定する、および/または本発明の方法後のみにWNVに曝露された者におけるWNV複製を限定する役目を果たすことができる。
【0057】
別の実施形態において、本方法を使用して、別のフラビウイルス(C型肝炎ウイルス(HCV)またはデング熱ウイルス(DENV)等)によって引き起こされる疾患の発症を治療または限定する。この実施形態において、HCVからの異種抗原は、HCVカプシドタンパク質C、エンベロープタンパク質E1およびE2、ならびに非構造的なタンパク質NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5aおよびNS5b(C.Wychowski et al.J.Virol 67:1385,1993)またはその抗原フラグメントが含まれるがこれらに限定されない、抗原であり得る。HCV E2タンパク質の事例において、配列は、例えばQL Choo et al.(PNAS 88:2451−2458,1991)中で記載されるようなものであり得る。DENVからの抗原は、4つのDENVセロタイプのうちの1つまたは複数からのエンベロープ(E)タンパク質またはその抗原性断片を含むがこれらに限定されない、抗原であり得る。
【0058】
別の実施形態において、本方法を使用して、B型肝炎ウイルスによって引き起こされる疾患の発症を治療または限定し、そこで抗原は、例えば、P Charnay et al.(Nucleic Acids Res7:335−346,1979)もしくはD.L.Peterson et al(J.Biol.Chem 257:10414−10420,1982)によって記述されたもの等のアミノ酸配列を持つ表面抗原(HBsAg)、またはHBsAgバリアント(J.N Zuckerman and A.J Zuckerman,Antiviral Res 60:75−78,2003)であり得る。
【0059】
組成物は、医薬組成物(上で開示したもの等)として典型的には製剤化され、従来の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび賦形剤を含有する投薬量単位製剤中で、任意の適切な経路(経口的、非経口的、吸入スプレーによる、経直腸的、または局所的なものが含まれる)を経由して投与することができる。好ましくは、組成物は非経口で投与される。本明細書において使用される時、非経口的という用語には、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、胸骨内、腱内、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、点滴テクニックまたは腹腔内が含まれる。投薬量レジメンは、至適の所望される応答(例えば療法的または予防的な応答)を提供するように調整することができる。適切な投薬量範囲は、例えば0.1μg/kg〜100mg/kg体重;あるいは0.5μg/kg〜50mg/kg;1μg/kg〜25mg/kg、または5μg/kg〜10mg/kg体重であり得る。組成物は単一ボーラス中で送達することができるか、または担当医によって決定されるように二回以上(例えば2、3、4、5回、または以上)投与することができる。
【0060】
文脈が明らかに要求しない限り、明細書および請求項を通して、「含む」、「含むこと」という単語、および同種のものは、排他的または網羅的な意味に対立するような包括的な意味;すなわち「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数または複数を使用する単語には、それぞれ複数または単数も含まれる。加えて、「本明細書において」、「上記の」、および「下記の」という単語、ならびに類似の主旨の単語は、本出願中で使用された場合、本出願の任意の特定の部分に対してではなく全体として本出願を指すものとする。本明細書において使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」には、文脈が明確に指示しない限り複数の指示物が含まれる。「および」は本明細書において使用される時、特別に明記しない限り、「または」と互換的に使用される。
【0061】
本開示の実施形態の記述は、網羅的であるとか、または開示された正確な形態へ本開示を限定するとは意図されない。本開示の具体的な実施形態および例は、例示の目的のために本明細書において記載されるが、当業者が認識するように、様々な同等の修飾は本開示の範囲内で可能である。例えば、方法の工程または機能は既定の順において提示されているが、代替の実施形態は異なる順序で機能を実行することができるか、または機能を実質的に同時に実行することができる。本明細書において提供された本開示の教示は、他の手順または方法に必要に応じて適用することができる。本明細書において記述された様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。
【0062】
本明細書において引用されたすべての参照文献は参照として援用される。本開示の態様は、上記の参照および出願の組成物、機能および概念を用いるために必要であるならば修飾して、本開示のいっそうさらなる実施形態を提供することができる。これらおよび他の変化は詳細な記述を考慮して本開示に対して行なうことができる。
【0063】
以下の記述は、本開示の実施形態の充分な理解のために、および記述を可能にするために具体的な詳細を提供する。しかしながら、当業者は、本開示がこれらの詳細なしに実践できることを理解するだろう。他の実例において、周知の構造および機能は本開示の実施形態の記述を不必要に不明瞭にしないようにするために、詳細は示されず記述されなかった。
【0064】
実施例:CD180への抗原の標的化は、抗原特異的IgG、親和性成熟および免疫学的記憶を迅速に誘導する。
【0065】
要約
アジュバントの非存在下において、B細胞および樹状細胞(DC)の両方上で発現される受容体(TLRオーファン受容体CD180)へ抗原(Ag)を標的化することにより、ミョウバン中のAgによって誘導されたものよりも強いIgG応答が迅速に誘導されたことを以下に報告する。Ag特異的IgGがCD40欠損マウスおよびT細胞欠損マウスにおいて生成されたので、抗CD180へコンジュゲートされたAg(Ag−αCD180)は部分的にT細胞非依存性に親和性成熟および抗体(Ab)の応答を誘導した。Ag−αCD180による前免疫付与および可溶性Agによるブースト後に、野生型マウスおよびCD40 KOマウスの両方はAg特異的IgG形成細胞を迅速に産生し、Ag−抗CD180が免疫学的記憶を誘導することを実証した。Ag−αCD180の強力なアジュバント効果は、Agが抗CD180にカップルされること、ならびに応答性のB細胞がCD180特異的B細胞受容体(BCR)およびAg特異的B細胞受容体の両方を発現することを必要とした。意外にも、CD180 Ag標的化は、成熟B細胞が欠如するBAFF−R KOマウスおよびインターフェロンシグナリングが欠損したマウスにおいてもIgG Abを誘導した。したがって、CD180へAgの標的化は、療法的なワクチン接種および免疫無防備な者のワクチン接種に有用である。
【0066】
結果
CD180へ抗原の標的化は強いAg特異的IgG応答を迅速に誘導する。
抗CD180にカップルされたAgが正常マウスおよび免疫不全マウスにおいてAg特異的IgG応答を誘導できるかどうかを調査した。最初に、ハプテン(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)アセチル(NP)を、抗CD180モノクローナル抗体(NP−αCD180)または非結合性のラットIgG2aアイソタイプ対照モノクローナル抗体(NP−アイソタイプ)へコンジュゲートし、段階をつけた用量で静脈注射で野生型マウスへ投与した。10〜100μgの範囲の用量のNP−αCD180は、用量依存的様式で有意なNP特異的IgG応答を誘導し(
図1A、下部)、非免疫付与マウス(100μgのNP−αCD180群での前採血)または100μgのNP−アイソタイプを注射したマウスと比較してポリクローナルIg産生は少ないかまたは無い(
図1A、上部)。抗NPA bは、抗CD180モノクローナル抗体を単独で免疫付与したマウスにおいて観察されなかった(
図1B)。したがって、NP−αCD180へのAg特異的Ab応答は、ポリクローナルIg産生の産物からではなくAgの標的化に起因するものであった。コンジュゲートが腹腔内接種された場合も、NP−αCD180への強いAg特異的Ab応答が誘導された(データ不掲載)。後続する研究では静脈注射経路を経由してマウスを接種した。
【0067】
CD180へのAgの標的化は、CD40 KOマウスおよびT細胞欠損(TCRβ/δKO)マウスの両方においてもAg特異的なIgMおよびIgGの産生を誘導した(
図1B)。Ag特異的IgMレベルは野生型マウスおよび免疫不全マウスにおいて類似していたが、Ag特異的IgGレベルはCD40 KOマウスおよびTCRβ/δKOマウスの両方において有意に低かった。免疫不全マウスにおけるAg特異的IgGの全体的な減少にもかかわらず、広範囲のIgGサブクラス分布は維持され、野生型マウスにおけるものに類似していた(
図1C)。NP−αCD180は、Ag特異的IgGに加えてAg特異的IgA Abも誘導したが、IgE Abは誘導しなかった(データ不掲載)。CD180へのAgの標的化が胸腺依存性および胸腺非依存性のIgG抗体反応の両方を誘導すると結論される。
【0068】
CD180標的化は、Agがミョウバン中で接種したよりも高いレベルのAg特異的IgGを迅速に誘導する。
次いでNP−αCD180接種に後続するAg特異的IgG産生の動態を決定した。NP−αCD180もしくはNP−アイソタイプのいずれかを静脈注射、またはミョウバン中で沈殿させたNP−アイソタイプAgを腹腔内投与して、野生型マウスまたはCD40 KOマウスに免疫付与した。野生型マウスにおいて、NP−αCD180は、ミョウバン中のAg(21日目にピークに達する)と比較して、接種後10日目にピークに達する迅速な抗NP IgG応答を誘導した。NP−アイソタイプを単独で接種したマウスは、どの時間ポイントでも2μg/mLより多い抗NP Abを生産しなかった(
図2A、左側)。予想されるように、ミョウバン中のAgで免疫付与したCD40 KOマウスはNP特異的IgG応答を生じなかった。しかしながら、CD40 KOマウスはCD180標的化後に有意に継続的に増加する量のNP特異的IgGを生じた(
図2A、右側)。
【0069】
CD180への標的化は抗タンパク質IgG応答を誘導し、共有結合で連結されるAgを必要とする。
次いでCD180へタンパク質抗原を標的化した場合NP−αCD180への強いAb応答も誘導されるかどうか決定した。OVA全体を抗CD180(OVA−αCD180)およびアイソタイプモノクローナル抗体(OVA−アイソタイプ)へカップリングし、これらの抗原のうちの1つを静脈注射、またはミョウバン中のOVA−アイソタイプを腹腔内投与して、野生型マウスに免疫付与する(
図2B)。NP−αCD180でのように、OVA−αCD180は、接種後14日目で約2mg/mLのIgG抗OVAの濃度で強いAg特異的IgG応答を誘導した。
【0070】
抗CD180は単独でB細胞を刺激し、したがってB細胞を効果的な抗原提示細胞(APC)へと転換し、そのため連結していない様式で投与されたとしても、細胞がAgを提示できる可能性がある。この可能性を試験するために、2つの異なるAgをマウスに接種し、1つのAgのみをαCD180にカップルした。それらはNP−αCD180+可溶性OVAまたはOVA−αCD180+可溶性NP−アイソタイプである。予想されるように、ミョウバン中のNP−アイソタイプまたはミョウバン中のOVAのみを接種されたマウスは、それぞれNPまたはOVAに対するIgGのみを産生した(
図2C)。可溶性OVAまたは可溶性NP−アイソタイプと一緒に抗CD180にカップルされたNPまたはOVAを接種したマウスは、抗CD180にカップルされたAgに対するAbのみを生じ、可溶性で連結されなかったAgには生じなかった。CD180へのAg標的化の間に、抗CD180へ付加されたAgについて特異的なB細胞のみがAbを産生するようにされると結論される。
【0071】
CD180標的化は、親和性成熟、EF応答、胚中心(GC)形成および免疫学的記憶を誘導する。
CD180標的化が単独でまたはアジュバントの添加によりAbの親和性成熟を誘導できるかどうかを査定するために、NP−αCD180を単独で(50μgを静脈注射)接種するか、またはTLRに基づくアジュバント(CpG AまたはCpG B(TLR9)、R848(TLR7)またはLPS(TLR4)が含まれる)を共投与し、5、7、または28日後に血清を得た。相対的親和性の変化を測定するために、低レベルのNP結合(NP2)によるBSAへの抗血清の相対的結合vs高レベルのNP結合(NP20)によるBSAへの抗血清の相対的結合を測定した。陰性対照のために、マウスにNP−αDCIR2で免疫付与した(これは以前に親和性成熟を誘導しないことが示されている)(Chappell et al.,2012)。NP−αCD180による免疫付与後に、Ab親和性は、NP−αDCIR2による免疫付与後に5〜7日目(
図3A)から有意に上の親和性レベルへ増加し、この差は28日目でまだ明白であった(
図3B、下部)。コンジュゲートされていないαCD180プラスTLRアゴニストによるマウスへの免疫付与は抗NP Abレベルに効果がなかった(データ不掲載)。NP−αCD180に加えたアジュバントの添加はNP特異的なIgMおよびIgGの産生を4〜7倍増加させたにもかかわらず(
図3C)、7日目でAb親和性を変化させなかった(
図3B、上部)。免疫付与後28日目まで、CpGアジュバントの添加は有意に親和性を増加させたが、他のアジュバントは増加させなかった(
図3B、下部)。野生型マウスでの場合と異なり、CD40 KOマウスにおいて誘導されたIgG Abの親和性は、陰性対照のレベルの上に増加しなかった(
図3A)。
【0072】
NP−αCD180による免疫付与後のAg特異的B細胞の増殖および分化を追跡するために、Ly5.1+B1−8hiマウス(Shih et al.,2002)からのNP特異的B細胞を含有する脾細胞をLy5.2+野生型宿主の中へ養子移入した。NP−αCD180またはNP−アイソタイプ対照による接種後4日目または7日目に脾臓を採取し、B220+、Ly5.1+、およびNP−APCの結合のために連続的なゲーティングを使用してフローサイトメトリーによって分析した。NP−アイソタイプ処理マウスは、Ag特異的B220hi B細胞の増殖を示さず、一方NP−αCD180処理マウスは両方の時間ポイントでおよそ20倍の増殖を示した(
図3D)。この増殖はGL7+PNA+GCのB細胞を含み、その数は7日目まで増加した(
図3E)。7日目まで、NP−αCD180処理マウスは有意な数の脾臓中のCD138+抗体産生細胞(AFC)も有していた(
図3F)。これらの結果は、NP−αCD180はEF Ab応答およびGCの形成の両方を誘導することを示唆した。実際、4日目までNP−αCD180処理マウスの脾臓はEF部位中に多数のAg特異的B細胞を有し、7日目までPNA+GCは明らかだった(
図3G)。比較すると、NP−αCD180によって誘導されたGCは一般的にはより小さく(
図3G)、NP−CGGプラスミョウバンによって誘導されたものよりも少ない数で存在した(
図3H)。
【0073】
NP−αCD180処理マウスにおけるGCの存在から、Ag−αCD180によって誘導されたAg特異的B細胞増殖が免疫学的記憶(それは可溶性Agの再チャレンジに応答してAg特異的AFCを迅速に生成する能力を特徴とする)の発達をもたらすことが示唆された。これを試験するために、野生型マウスおよびCD40 KOマウスの群に、上記のようにNPにコンジュゲートされたモノクローナル抗体、または陽性対照としてのミョウバン中のNP−トリγグロブリン(CGG)で免疫付与した。10週間後に、マウスは、マッチさせた可溶性Ag(NP−アイソタイプまたはNP−CGG)、または陰性対照としてのPBSによりブーストされた。ブースト後4日目に、脾臓を採取し、NP特異的IgG ELISPOT(商標)アッセイを使用してIgG産生AFCの数を査定した。予想されるように、可溶性Agによりブーストされた場合、ミョウバン中のNP−CGGによりプライミングされた野生型マウスは有意な数のIgG産生AFCを産生した(
図3I、左側)。NP−アイソタイプによりプライミングされたマウスとは対照的に、NP−αCD180によりプライミングされたマウスは、免疫付与10週間後の脾臓においてAg特異的な長命のプラズマ細胞(LLPC)の低いが検出可能な数を含有していた(10
6の脾細胞あたり0.0vs5.7±0.8SEM)。Ag特異的AFCのレベルは可溶性Agによる再チャレンジに際しておよそ10倍増加した(10
6の脾細胞あたり56±8.7SEM)。アジュバントの非存在下においてNP−αCD180によりプライミングされたマウスにおいて生成されたAFCの数は、ミョウバンでプライミングされたマウスにおけるNP−CGGのものの大まかに3分の1であった。この結果は、NP−CGGプラスミョウバンと比較して、NP−αCD180による小さなGCの誘導と一致する(
図3Gおよび3H)。しかしながら、スポットサイズはNP−CGGによりプライミングされたマウスからのスポットより3倍大きく(データ不掲載)、AFCあたり産生されたNP特異的IgGの量がより多かったことを示唆した。NP−αCD180による一次免疫付与の間のアジュバントR848の添加は、NP−αCD180により単独でプライミングされたマウスに比較して、Ag再チャレンジに際してスポット数およびスポットサイズのどちらも増加させなかった。
【0074】
意外にも、可溶性Agによる再チャレンジ後に、NP−αCD180によりプライミングされたCD40 KOマウスにおいてもいくつかのNP特異的IgGを分泌するAFCを検出した(
図3I、右側)。CD40 KOマウスにおけるNP特異的IgGを分泌するAFCの数は、野生型マウスにおける数の大まかに1/15であったが、この数は、PBSによりブーストされたCD40 KOマウス、またはミョウバン中のAgによりプライミングされたCD40 KOマウスにおいてよりも有意に高かった。したがって、CD180標的化は、野生型マウスにおいて、そしてより少ない程度であるがCD40の非存在下においてでさえ、免疫学的記憶のために効果的にプライミングする。
【0075】
Ag特異的B細胞は、BCRおよびCD180の刺激の連結によって効率的に活性化される。
特異的AgがIgG Ab応答を誘導するためには抗CD180に連結されなくてはならないという事実(
図2C)から、特異的Abが産生されるためには同じ細胞上でBCRおよびCD180の両方のライゲーションが必要とされることが示唆された。この可能性を試験するために、最初に、BCR、CD180のいずれか、または両方の受容体を介するインビボの刺激後のB細胞の活性化を比較した。NP特異的B細胞を含有するB1−8hiマウス(Shih et al.,2002)を使用した。これらの群のマウスに100μgのNP−αCD180またはNP−アイソタイプのいずれかを注射し、脾臓を24時間後に採取した。NP特異的B細胞(6〜10%)を、NP−APCによる染色によって全CD19+B細胞と弁別した。次いで、CD19+B細胞の4群(以下に示す)を、CD69、CD86、MHCクラスIIおよび受容体(膜貫通性活性化因子/カルシウムモジュレーター/シクロフィリンリガンド相互作用因子(TACI))のの発現についてエクスビボで分析した。刺激されないB細胞(NP−アイソタイプ処理されたマウスからのNP−B細胞)、BCR刺激B細胞(NP−アイソタイプで処理したマウスからのNP+B細胞)、CD180刺激B細胞(NP−αCD180で処理したマウスからのNP−B細胞)、ならびに刺激されたBCRおよびCD180の両方を介して刺激されたB細胞(NP−αCD180に処理されたマウスからのNP+B細胞)。刺激されていないB細胞に比較して、AgまたはαCD180のいずれかを経由して刺激されたB細胞は、CD86およびTACIの発現増加を有していた(
図4A)。しかしながら、1シリーズの実験に関して、CD69、CD86およびTACIのレベルは、24時間(
図4AおよびB)および後の時間ポイント(データ不掲載)で、BCRおよびCD180の両方を介して刺激されたB細胞で有意により高かった。したがって、インビボのBCRおよびCD180シグナリングの組み合わせは、いずれかのシグナル単独よりもB細胞の活性化により効果的であると思われる。
【0076】
CD180のB細胞での発現はAg−αCD180駆動性Ab応答のために必要且つ十分である。
図4中のデータは、B細胞のBCRおよびCD180シグナリングの組み合わせによってAg−αCD180の強力なアジュバント効果が媒介され得ることを示唆する。しかしながら、CD180がB細胞および非B細胞の両方上で発現されるので、CD180標的化によって誘導されたAb応答は、Ag特異的B細胞へのCD180シグナルと共にAg媒介性BCRシグナリングの両方を送達すること、ならびに/または非B細胞へのCD180送達およびシグナリングが起こり、次いで今度はAg特異的B細胞およびT細胞応答を刺激することのいずれかによって媒介され得る。これらの可能性を区別するために、養子移入を実行して、B細胞上のみ、非B細胞上のみ、またはB細胞および非B細胞の両方上でCD180を発現するマウスを確立した(
図5A)。B細胞欠損μMTマウスにCD180 KO B細胞を接種して、CD180が非B細胞上でのみ発現されるマウスを作成した。これらのマウスはNP−αCD180による接種後にAg特異的IgGを生じず(
図5B)、B細胞上のCD180発現はCD180標的化後にAb応答を生成するのに必要であることが実証された。精製したCD180+B細胞を移入したCD180 KOレシピエントは、非B細胞上でではなくB細胞上でのみCD180を発現した。NP−αCD180による免疫付与に後続して、これらのマウスは高レベルのAg特異的IgGを産生した。これらのデータは、B細胞上のCD180発現がCD180に基づく標的化のために十分であることを示す。CD180がB細胞および非B細胞の両方で発現されるようにCD180+B細胞を移入したB細胞欠損(μMT)マウスは、非B細胞上でCD180を発現しないマウスよりも多少多くのNPにより特異的なIgGを生じた(
図5B)。このことは、非B細胞(DC等)上のCD180発現は、Ag標的化のために十分でもなく必須でもないが、IgG産生の程度に影響を及ぼすことを示唆する。
【0077】
抗CD180モノクローナル抗体がマウスへ静脈注射で接種される場合、抗CD180モノクローナル抗体は、CD180+CD19+B細胞および脾臓中の他のCD180+細胞(CD11c+DCおよびF4/80+マクロファージが含まれる)へ結合するが、CD3+T細胞(それはCD180を発現しない)へは結合しない(データ不掲載)。どのAPCが、T細胞のプライミング後のCD180への標的化で最も効果的だったかを決定するために、野生型マウスにOVA−アイソタイプまたはOVA−αCD180のいずれかを接種し;16時間後にB細胞およびDCをネガティブ選択によって精製し、CFSE標識のOVA特異的OT−II CD4 T細胞またはOT−I CD8 T細胞と共培養した。72時間後に、OVA特異的T細胞中のCFSEのレベルを、フローサイトメトリーによって測定した(
図5Cおよび5D)。OVA−αCD180標的化B細胞は、OVA−アイソタイプ処理の対照マウスからのB細胞とは異なって、明らかにAg特異的CD4 T細胞の増殖を誘導した。しかしながら、OVA−αCD180標的化DCは、OT−II増殖の刺激について細胞ベースあたりではるかにより効果的であった。OVA−αCD180標的化B細胞は、OVA−αCD180標的化DCとは異なって、OVA特異的OT−I CD8 T細胞のいかなる増殖を誘導せず(
図5D)、DCと比較してB細胞によるAgの不良な交差提示と一致している。したがって、DCは、Ag−αCD180によって誘導されるAg特異的Ab応答のために必要とされないが、最適なIgG産生のために必要とされるAg特異的CD4ヘルパーT細胞を刺激するように機能し得る。
【0078】
IL4、IFN−α/βシグナリングおよび成熟B細胞はCD180へのAg標的化のために必要とされない。
I型インターフェロン(IFN)はB細胞に直接作用し、Ab応答を促進することが示されている(LeBon et al.,2005、Fink et al.,2006)。したがって、NP−αCD180の接種後に1型IFNα/β受容体(IFNα/βR)KOマウスおよび野生型マウスのIgG応答を比較した。抗NPのIgG産生が増加したならば、IFNα/βRを介するシグナリングは無効であり、1型IFNはCD180経由で誘導されるAb応答を通常は制止し得ることを示唆する。NP−αCD180による免疫付与後のMHCクラスIIが欠損したマウス(MHC II KO)は、CD40 KOマウスまたはTCR KOマウスのいずれかよりも抗NP IgG産生においてより重度の減少を有していた(
図6A)。B細胞レベルがMHC II KOマウスにおいて正常であり、MHC II B細胞は胸腺非依存性Agへ正常に反応するので(Markowitz et al.,1993)、これについての理由は明らかではない。別のT細胞依存性B細胞活性化因子(αIgD)は、IL−4の作用を必要とし(Finkelman et al.,1986)、従って、NP−αCD180により接種した野生型マウス、IL4 KOマウスおよびOX40L KOマウスのAb応答を比較した。CD180標的化後に、IL−4 KOマウスおよびOX40L KOマウスの両方は野生型対照に類似するレベルで抗NPのIgGを産生し(
図6A、B)、IL−4−Th2経路がCD180標的化の間に必要とされないことを実証する。
【0079】
CD180標的化におけるサイトカインBAFFについての可能な役割を査定するために、BAFF−R KOマウス(成熟B細胞の発生がほぼ完全に遮断される(Sasaki et al.,2004))に免疫付与した。意外にも、BAFF−R KOマウスは、CD180への標的化後に正常レベルのNP特異的IgG Abを産生した(
図6A)。このことは、CD180+B細胞がAg−αCD180標的化のために必要とされるが、成熟B細胞が必要ではないかもしれないことを示唆する。実際、NP−αCD180による免疫付与後の1および3日目に、NP−アイソタイプを注射した動物に比較して、濾胞B細胞(B220+CD23hi CD21int)およびT1/T2移行B細胞(B220+CD23lo CD21lo CD93+)の両方において有意な増加が観察された(
図6C)。これとは対照的に、辺縁帯表現型(B220+CD23lo CD21hi CD93−)を持つB細胞は、NP−αCD180投与後に顕著な減少を示した。これらの結果は、NP−αCD180がすべての脾臓のB細胞サブセットではなく、いくつかのものを増殖させることを実証する。BAFFはBAFF−Rに加えてTACIおよびBCMAへも結合することができるので(Rickert et al.,2011)、TACIまたはBCMAを介するシグナリングがAg−αCD180駆動性IgG応答に寄与する可能性が残る。
【0080】
考察
まとめると、本データは、CD180への標的化Agが、Ag特異的B細胞の迅速な活性化を誘導し、7日以内の有意なIgG産生をもたらすことを指摘する。顕著なことには、追加のアジュバントなしのAg−αCD180の単回注射は、Ab親和性成熟および免疫学的記憶の両方の発達ももたらした(
図3)。さらに、たとえ、以前に報告されたように、CD40 KOマウスがAg特異的IgGを生じないか、またはミョウバン中のAgに応答して記憶Ab産生細胞を発生させなかったとしても(Kawabe et al.,1994)、著しく損なわれたが、Ag特異的IgG産生および二次免疫付与への応答はCD40 KOマウスにおいて保持された(
図3H)。誘導されたAb応答は、Agが抗CD180への付加されることを必要とし、ハプテンおよびタンパク質Agの両方に対して誘導することができた。
【0081】
免疫付与のこのモードは、IgG Ab応答を迅速に生じるのになぜそれほど効果的であるのか。さまざまな方向からの証拠は、迅速なAb応答を促進するのは、B細胞上のBCRおよびCD180の両方を介するAg−αCD180の同時のシグナリングの組み合わせであることを示唆する。第一に、Ag−αCD180によるIgGの効果的な誘導は、CD180が他の細胞上ではなくB細胞上で発現されることを必要とした。第二に、連結されたAgへのAb応答は、NP−αCD180およびOVA−αCD180の両方により起こったが、同時に共投与された可溶性Agへの応答はほとんどまたはまったくなかった。第三に、Ag受容体およびCD180を共に刺激することによってインビボで活性化されたB細胞は、いずれかの刺激によって単独で引き起こされたB細胞よりも高いレベルの活性化マーカーを発現した(
図4)。実際、CD86がアジュバントを添加していないAgへのIgG応答のために必要なので(Borriello et al.,1997)、BCRおよびCD180の共ライゲーション後のCD86発現のより高い誘導は、CD180へのAgの標的化の特色であろう。TACI受容体もCD180標的化後により高いレベルへ誘導され、TACIはクラススイッチおよびIgG産生における役割を果たす(He et al.,2010)。
【0082】
CD180へのAg標的化は、B細胞を必要とするが、以下のことから成熟B細胞を必要とするとは思われない。BAFF−R KOマウスは主に1型移行(T1)B細胞を有し;このマウスは、2型移行B細胞では5倍減少しており、成熟濾胞B細胞および辺縁帯B細胞をほとんど完全に欠損している(Sasaki et al.,2004)。しかしながら、BAFF−R KOマウスへのAg−αCD180の接種は野生型マウスと同じくらいのAg特異的IgGを産生させた。このことは、T1 B細胞がAg−抗CD180についての主要な標的であることを示唆する。BCR単独刺激後にT1 B細胞は容易にアポトーシスするが、BCRおよび第2のシグナル経由でシグナル伝達された場合それらは死滅せず(Kovesdi et al.,2004)、T1 B細胞は活性化誘導性デアミナーゼ(AID)も構成的に発現し(Ueda et al,2007、Han et al.,2007、Kuraoka et al.,2009)、迅速に大量のIgGを産生し、BCRおよびTLRの刺激の組み合わせにより引き起こされた場合に体細胞変異を行うことができる(Mao et al.,2004、Ueda et al.,2007、Han et al.,2007、Capolunghi et al.,2008、Aranburu et al.,2010、Kuraoka et al.,2011)。したがって、BCRおよびCD180の両方を介してシグナル伝達されたAID+T1 B細胞は、IgG産生プラズマ細胞へと迅速にスイッチし成熟することができる。
【0083】
本結果から、Ag−αCD180標的化が野生型マウスおよびCD40 KOマウスの両方における長命のプラズマ細胞およびスイッチした記憶B細胞を生成することが指摘される。第一に、免疫付与した野生型マウスにおけるAg特異的IgGのt1/2はおよそ38日(
図2A中の動態に基づいて)であり、その一方で短命なAFCの反応からのIgGの分離したバーストの異化作用は21日のt1/2を有する。加えて、CD40 KOマウスにおけるAg特異的IgGレベルは経時的に上昇し続ける。これらの両方の結果は、IgGの持続的な排出を遅くするかまたは相殺する継続的なIgG産生を必要とし、ある程度のAb産生細胞が保持されることを暗示する。第二に、Ag特異的なGL7+PNA+GC B細胞はNP−αCD180による免疫付与後7日目まで明らかであった。このGCの表現型は、記憶B前駆細胞が生成されていたことを示唆する。第三に、野生型マウスおよびCD40 KOマウスの両方は、Agの追加接種後に、Ag−アイソタイプによりプライミングされたマウスまたはブーストされないマウスよりも有意に多くのAFCを有していた(
図3I)。CD40が胸腺依存性Agまたは胸腺非依存性−2Agによる記憶B細胞の誘導においてシグナル伝達することを多くの研究が暗示しており(Taylor et al.,2012、Kaji et al.,2012)、実際はるかに強い記憶応答はCD40 KOマウスよりも野生型マウスにおいてNP−αCD180によって誘導された。しかしながら、NP−αCD180は明らかにある程度のCD40非依存性B細胞記憶を誘導した。胸腺非依存性Agは、T細胞非依存性のGC非依存性記憶B細胞反応を誘導することができる(Zhang et al.,1988、Weller et al.,2001、Defrance et al.,2011、Berkowska et al.,2012)。したがって、強いEF応答の生成に加えて、CD180を介する刺激は、BCRシグナリングと組み合わせた場合、T非依存性の記憶B細胞分化の新規の経路であり得る。
【0084】
CD40 KOマウスおよびTCR欠損マウスはまだCD180標的化後にIgGを生じることができるが、Ag特異的IgGの量は野生型マウスにおけるもののわずか約10%である。したがって、T細胞は、明らかに大部分のIgG応答のために必要とされる。CD180がB細胞およびDCの両方上で発現され、モノクローナル抗体によるライゲーション後に内部移行するので(データ不掲載)、CD180標的化により、恐らくAg特異的B細胞に加えてAgを結合しないDCの両方へAgを送達することができた。実際、αCD180経由でインビボで標的化されたDCは、CD4 T細胞増殖の刺激において、標的化B細胞よりもより効果的であるということが、このような事例である。αCD180によって誘導されるAb応答はB細胞上でのCD180発現のみを必要としたが、DC媒介性T細胞プライミングは、Agが単にB細胞へ指向されたよりも、野生型マウスにおけるCD180標的化に対するより高い応答の促進を支援するように思われる(
図5B)。
【0085】
ここで記述された組み合わせたAg標的化/アジュバント方法は、ヒトワクチンのために使用することができる。大部分のワクチンは、すべての個体において防御免疫を誘導せず、大部分のワクチンは永続する免疫を誘導しない。さらに、免疫無防備個体のワクチン接種は特別な考察およびアプローチを必要とする(Rappuoli et al.,2011、Miller and Rathore,2012)。CD180への標的化はCD40 KOマウスにおいてでさえIgG応答およびある程度の免疫学的記憶を誘導し、顕著なことには、成熟B細胞欠損BAFF−R KOマウスおよびIFNシグナリング欠損IFNα/βR KOマウスにおいてでさえ高レベルのIgG Abを誘導する。したがって、CD180に基づくワクチンプラットフォームは、高齢者が含まれる免疫無防備の人の免疫付与のために使用することができる。加えて、大部分のワクチン戦略は保護的Abの十分な血中循環レベルの産生に2回以上の注射を必要とする。単一用量ワクチンは多数の長所を提供し(Bowick and McAuley,2011、Levine,2011)、抗CD180へ付加されたAgの1回の注射は迅速で強いIgG応答を誘導する。したがって、CD180に基づくワクチンの単一接種は保護的液性免疫を産生し、病原体への曝露の直後の治療的ワクチン接種のための特に魅力的なアプローチになり得る。
【0086】
材料および方法
マウス
C57BL/6マウス、CD40 KOマウス、OT−I OVA特異的CD8+TCRトランスジェニックマウス、OT−II OVA特異的CD4+TCRトランスジェニックマウス、B細胞欠損(μMT)マウス、およびT細胞欠損(TCRβ/δKO)マウスは、Jackson Laboratory(Bar Harbor、ME)から購入した。特に断りのない限り、すべての系統はC57BL/6バックグラウンドであった。CD180 KOマウス、MHC II KOマウスおよびIFNα/βR KOマウスは、それぞれS.Skerrett、P.FinkおよびK.Murali−Krishna(University of Washington、Seattle、WA)からの寄贈であった。OX40L KOマウスはA.H.Sharpe(Harvard University、Cambridge、MA)からの寄贈であった。BAFF−R KOマウスはK.Rajewsky(Harvard Medical School、Boston、MA)からの寄贈であった。B6.SJL−B1−8hiノックインLy5.1マウスはM.Nussenzweig(Rockefeller University、New York、NY)からの寄贈であった。BALB/cバックグラウンド上のIL−4 KOマウスはS.Ziegler(Benaroya Research Institute、Seattle、WA)からの寄贈であり、野生型対照BALB/cマウスはJackson Laboratoryから購入した。すべてのマウスは性別および年齢をマッチさせ、6〜10週齢で使用した。University of Washington Institutional Animal Care and Use Committeeは、動物業務をすべて承認した。
【0087】
細胞調製および養子移入
全脾細胞を機械的破砕によって処理し、Geyの溶解液によって赤血球を枯渇させた。
図3中の養子移入実験のために、B1−8hi IgHトランスジェニックマウスからの脾細胞をPEをコンジュゲートしたNPおよび抗B220−FITCにより標識して、フローサイトメトリーによってAg特異的B細胞の頻度を決定した。2×10
5のNP結合B細胞を含有する全脾細胞を、免疫付与の24時間前に個々のB6レシピエントへ静脈注射で移入した。
図5AおよびB中の実験のために、野生型マウスまたはCD180欠損マウスからの脾臓のB細胞を、3ラウンドのネガティブ選択濃縮(STEMCELL Technologies、Vancouver、BC、カナダ)によって単離した。10×10
6の適切な遺伝子型の精製B細胞を、免疫付与の24時間前に、示されるようなレシピエントへ静脈注射で移入した。
図5C中の実験のために、OTII−I TCRトランスジェニックマウおよびOT−I TCRトランスジェニックマウスからのCD4 T細胞およびCD8 T細胞のそれぞれ、ならびに免疫付与したC57BL/6マウスからのDCまたはB細胞を、適切なキット(STEMCELL Technologies、Vancouver、BC、カナダ)を使用して、3ラウンドのネガティブ選択濃縮によって単離した。CD19(B細胞)、CD4もしくはCD8(T細胞)、またはCD11c(DC)についてのフローサイトメトリーによって決定されるように、すべての細胞濃縮の純度は>99%であった。OT−I T細胞およびOT−II T細胞の頻度をVα2についての染色によってCD3+T細胞集団内で決定し、細胞培養の最終的な数を決定するために使用した。
【0088】
インビトロのCFSE増殖分析
免疫付与したマウスからの5×10
4のB細胞またはDCを上述のように濃縮し、以前に記述されるように、37℃、5%CO
2で3日間96ウェル丸底プレート中で、漸増数のCFSE標識したVα2+のOT−I T細胞またはOT−II T細胞と共培養した(Chaplin et al.,2011)。CFSE(Invitrogen)標識を以前に記述されるように実行した(Chaplin et al.,2011)。
【0089】
ELISAアッセイおよびELISPOTアッセイ
ELISAアッセイのために、ポリスチレンプレートを、全Igのために2μg/mLの抗マウスIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)、NP特異的Abのために20μg/mLのNiP−BSA(Biosearch Technologies、Novato、CA)、または20μg/mLのOVA(Sigma−Aldrich)のいずれかによりコーティングした。製造者の使用説明書に従ってNiPのスクシンイミジルエステル(Biosearch Technologies)へのコンジュゲーションによって調製されたカスタムNiP2−BSAおよびNiP20−BSAを使用して、以前に記述されるように(Herzenberg et al.,1980、Chappell et al.,2012)、親和性決定を実行した。検出および分析を以前に記述されるように実行した(Chaplin et al.,2011)。ELISPOTアッセイを以前に記述されるように実行した(Goins et al.,2010)。スポットの数およびサイズは、ImmunoSpot(商標)Academic V5.0ソフトウェア(Cellular Technology Ltd.、Shaker Heights、OH)によりCTL−ImmunoSpot(商標)S5 Core Analyzer ELISPOT(商標)リーダーを使用して定量化した。
【0090】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリー分析をFACSCanto(商標)(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)で実行した。最小で30,000細胞の最終的なゲート集団をすべての分析について使用した。データ分析をFlowJo(商標)(Tree Star、Ashland、OR)ソフトウェアにより実行した。染色を以下のものについて実行した。CD3、CD80およびCD95(Becton Dickinson、モノクローナル抗体、それぞれ145−2C11、16−10A1およびJo2);CD4、CD8a、TCR Vα2、CD19、CD86、CD11b、CD11c、F4/80およびCD69(BioLegend、San Diego、CA、モノクローナル抗体、それぞれRM4−5、53−6.7、B20.1、6D5、GL−1、M1/70、N418、BM8およびH1.2F3);B220、GL7、Ly5.1(eBioscience、San Diego、CA、モノクローナル抗体、それぞれRA3−6B2、GL−7およびA20);Vector Labs(Burlingame、CA)から得たFITC標識ピーナッツ凝集素(FITC−PNA);Southern Biotech(Birmingham、AL)からの抗MHC II(NIMR−4);およびR&D Systems(Minneapolis、MN)からの抗TACI/TNFSF13b(モノクローナル抗体166010)。NP−APCおよびNPPEは、上記のNP2−BSAについて記述されるようにアロフィコシアニンまたはフィコエリトリン(両方ともSigma−Aldrichから)へのNP−Osu(Biosearch Technologies、Novato、CA)のコンジュゲーションによって調製した。すべてのアイソタイプ対照モノクローナル抗体はBioLegendから購入した。
【0091】
他の抗体および試薬
抗CD180(RP/14)のハイブリドーマはK.Miyake(University of Tokyo、Tokyo、日本)からの好意による寄贈であり、ラットIgG2aアイソタイプ対照(9D6)ハイブリドーマはR.Mittler(Emory University、Atlanta、GA)からの寄贈であった。同等性を保証するために、これらのモノクローナル抗体を同じプロテインGカラム上で連続して精製し、GlucaShield(商標)緩衝液(Associates of Cape Cod、East Falmouth、MA)中でLALゲル化アッセイによってエンドトキシンについて試験した。エンドトキシンレベルが0.025EU/mgを超えるタンパク質だったならば、サンプルを廃棄した。モノクローナル抗体を上記のNP2−BSAについて記述されるようにNPへコンジュゲートした。最終的なNP−モノクローナル抗体コンジュゲーション比は、分光測光法によって決定されるようにNP6〜NP19の範囲であった。すべての接種において、NP比は、胸腺非依存性−2 Agシグナリングに起因する任意の可能性のある効果のために対照への抗CD180よりもペアにしたアイソタイプについて常により高かった。トリOVA(Sigma−Aldrich)は、電気泳動によって決定されるように、モノクローナル抗体あたり2つのOVAの平均コンジュゲーション比で以前に記述される通り(Weir et al.,1986)モノクローナル抗体へコンジュゲートした。投与されたコンジュゲートの量はモノクローナル抗体成分を指す。すなわち、100μgのOVA−αCD180は、100μgのαCD180に対する56μgのOVAの添加に起因して156μgのOVA−αCD180の総質量を含有する。マウスは、ミョウバン中のAgによる免疫付与(腹腔内投与した)以外は、PBS中での200μlの固定した体積を静脈注射で接種した。ミョウバン沈殿抗原は製造者の使用説明書に従ってImject(商標)(Thermo Fisher Scientific)により調製された。LPS(L2143)はSigma−Aldrichからのものであった。合成TLRアゴニストR848、およびCpG ODN1585(タイプA)/ODN1826(タイプB)は、InvivoGen(San Diego、CA)からのものであった。使用時に、アゴニストを免疫原と混合し、200μLの静脈注射ボーラスで投与した。
【0092】
免疫組織化学
100μgのNP−αCD180、NP−アイソタイプ、またはNP−CGGプラスミョウバンで4日または7日前に免疫付与したマウスから得た8μMの凍結脾臓切片を、以前に記述されるように、抗B220−eFluor450(eBioscience)、PNA−FITC(Vector Labs)およびNP−PEにより染色した(Chappell et al.,2012)。イメージは、10×対物レンズを使用して、LSM 510(v4.2)ソフトウェア(Carl Zeiss)によりLSM 510 META(商標)共焦点顕微鏡(Carl Zeiss)で室温で収集した。イメージは、ImageJ(商標)(National Institutes of Health)およびPhotoshop(商標)(Adobe)ソフトウェアを使用して処理した。
【0093】
統計分析
実験群の生データを、一元配置ANOVAに続いてBonferroniの多重比較検定(GraphPadPrism(商標)ソフトウェア、Macintoshのためのバージョン4.0a、San Diego、CA)によって、または個々のペアにしたカラムについては両側タイプ2のStudentのt検定によって、のいずれかで分析した。カラムのデータは平均±標準誤差(SEM)として表現される。p<0.05の値は統計的に有意であると判断され、*が割り当てられ、一方p<0.01およびp<0.001はそれぞれ**および***が割り当てられた。
【0094】
実施例1のための参照文献
Alving, C.R., K.K. Peachman, M. Rao and S.G. Reed 2012. Adjuvants for human vaccines. Curr. Opin. Immunol. 24:310-315.
Aranburu, A., C. Ceccarelli, E. Giorda, R. Lasorella, G. Ballatore, and R. Carsetti. 2010. TLR ligation triggers somatic hypermutation in transitional B cells inducing the generation of IgM memory B cells. J. Immunol. 185:7293-301.
Berkowska, M.A., G.J. Driessen, V. Bikos, C. Grosserichter-Wagener, K. Stamatopoulos, A. Cerutti, B. He, K. Biermann, J.F. Lange, M. van der Burg, J.J. van Dongen, and M.C. van Zelm. Human memory B cells originate from three distinct germinal center-dependent and - independent maturation pathways. Blood. 118:2150-2158.
Borriello, F., M.P. Sethna, S.D. Boyd, A.N. Schweitzer, E.A. Tivol, D. Jacoby, T.B. Strom, E. M. Simpson, G.J. Freeman, and A.H. Sharpe. 1997. B7-1 and B7-2 have overlapping, critical roles in immunoglobulin class switching and germinal center formation. Immunity. 6:303-313.
Bowick, G.C., and A.J. McAuley. 2011. Vaccine and adjuvant design for emerging viruses: mutations, deletions, segments and signaling. Bioeng. Bugs. 2:129-35.
Caminschi, I., and K. Shortman 2012. Boosting antibody responses by targeting antigens to dendritic cells. Trends Immunol. 33:71-77.
Caminschi, I., M.H. Lahoud, and K. Shortman K. 2009. Enhancing immune responses by targeting antigen to DC. Europ. J. Immunol. 39:931-938.
Capolunghi, F., S. Cascioli, E. Giorda, M.M. Rosado, A. Plebani, C. Auriti, G. Seganti, R. Zuntini, S. Ferrari, M. Cagliuso, I. Quinti, and R. Carsetti. 2008. CpG drives human transitional B cells to terminal differentiation and production of natural antibodies. J. Immunol. 180:800-8.
Carter, R.W., C. Thompson, D.M. Reid, S.Y. Wong, and D.F. Tough. 2006. Preferential
induction of CD4+ T cell responses through in vivo targeting of antigen to dendritic cell-associated C-type lectin-1. J. Immunol. 177:2276-2284.
Chan, V.W., I. Mecklenbrauker, I. Su, G. Texido, M. Leitges, R. Carsetti, C. A. Lowell, K. Rajewsky, K. Miyake, and A. Tarakhovsky. 1998. The molecular mechanism of B cell activation by Toll-like receptor protein RP-105. J. Exp. Med. 188:93-101.
Chaplin, J.W., S. Kasahara, E.A. Clark, and J.A. Ledbetter. 2011. Anti-CD180 (RP105) activates B cells to rapidly produce polyclonal Ig via a T cell and MyD88-independent pathway. J. Immunol. 187:4199-209.
Chappell, C.P., K.E. Draves, N.V. Giltiay, and E.A. Clark. 2012. Extrafollicular B cell activation by marginal zone dendritic cells drives T cell-dependent antibody responses. J. Exp. Med. 209:1825-1840.
Clark, E.A., and G. Shu. 1990. Association between IL-6 and CD40 signaling. IL-6 induces phosphorylation of CD40 receptors. J. Immunol. 145:1400-6.
Clark, E.A., G.L. Shu, B. Luscher, K.E. Draves, J. Banchereau, J.A. Ledbetter, and M.A. Valentine. 1989. Activation of human B cells. Comparison of the signal transduced by IL-4 to four different competence signals. J. Immunol. 143:3873-80.
Defrance, T., M. Taillardet, and L. Genestier. 2011. T cell-independent B cell memory. Curr. Opin. Immunol. 23:330-6.
Denis, O., D. Latinne, F. Nisol, and H. Bazin. 1993. Resting B cells can act as antigen presenting cells in vivo and induce antibody responses. Int. Immunol. 5:71-8.
Dudziak, D., A.O. Kamphorst, G.F. Heidkamp, V.R. Buchholz, C. Trumpfheller, S. Yamazaki, C. Cheong, K. Liu, H.W. Lee, C.G. Park, R.M. Steinman, and M.C. Nussenzweig. 2007. Differential antigen processing by dendritic cell subsets in vivo. Science. 315:107-11.
Fink, K., K.S. Lang, N. Manjarrez-Orduno, T. Junt, B.M. Senn, M. Holdener, S. Akira, R.M. Zinkernagel, and H. Hengartner. 2006. Early type I interferon-mediated signals on B cells
specifically enhance antiviral humoral responses. Europ. J. Immunol. 36:2094-2105.
Finkelman, F.D., J. Ohara, D. K. Goroff, J. Smith, N. Villacreses, J. J. Mond, and W. E. Paul. 1986. Production of BSF-1 during an in vivo, T-dependent immune response. J. Immunol.
137:2878-2885.
Goins, C.L., C.P. Chappell, R. Shashidharamurthy, P. Selvaraj, and J. Jacob. 2010. Immune complex-mediated enhancement of secondary antibody responses. J. Immunol. 184:6293-8.
Han, J.H., S. Akira, K. Calame, B. Beutler, E. Selsing E, and T. Imanishi-Kari. 2007. Class switch recombination and somatic hypermutation in early mouse B cells are mediated by B cell and Toll-like receptors. Immunity. 27:64-75.
He, B., R. Santamaria, W. Xu, M. Cols, K. Chen, I. Puga, M. Shan, H. Xiong, J.B. Bussel, A. Chiu, A. Puel, J. Reichenbach, L. Marodi, R. Doffinger, J. Vasconcelos, A. Issekutz, J. Krause, G. Davies, X. Li, B. Grimbacher, A. Plebani, E. Meffre, C. Picard, C. Cunningham-Rundles, J.L. Casanova, and A. Cerutti. 2010. The transmembrane activator TACI triggers immunoglobulin class switching by activating B cells through the adaptor MyD88. Nat. Immunol. 11:836-845.
Hebeis, B.J., E. Vigorito, and M. Turner. 2004. The p110delta subunit of phosphoinositide 3-kinase is required for the lipopolysaccharide response of mouse B cells. Biochem. Soc. Trans. 32:789-791.
Hebeis, B.J., E. Vigorito, D. Kovesdi, and M. Turner. 2005. Vav proteins are required for B-lymphocyte responses to LPS. Blood. 106:635-640.
Herzenberg, L.A., S. J. Black, T. Tokuhisa, and L. A. Herzenberg. 1980. Memory B cells at successive stages of differentiation. Affinity maturation and the role of IgD receptors. J. Exp.Med. 151:1071-1087.
Kaji, T., A. Ishige, M. Hikida, J. Taka, A, Hijikata, M. Kubo, T. Nagashima, Y. Takahashi, T. Kurosaki, M. Okada, O. Ohara, K. Rajewsky, and T. Takamori. 2012. Distinct cellular pathways select germline-encoded and somatically mutated antibodies into immunological memory. J. Exp. Med. 209:2079-97.
Kawabe, T., T. Naka, K. Yoshida, T. Tanaka, H. Fujiwara, S. Suematsu, N. Yoshida, T. Kishimoto, and H. Kikutani. 1994. The immune responses in CD40-deficient mice: impaired immunoglobulin class switching and germinal center formation. Immunity. 1:167-178.
Kawamura, H., and J.A. Berzofsky. 1986. Enhancement of antigenic potency in vitro and immunogenicity in vivo by coupling the antigen to anti-immunoglobulin. J. Immunol. 136:58-65.
Kovesdi, D., K. Paszty, A. Enyedi, E. Kiss, J. Matko, K. Ludanyi, E. Rajnavolgyi, and G. Sarmay. 2004. Antigen receptor-mediated signaling pathways in transitional immature B cells. Cell Signal. 16:881-9.
Kuraoka, M., D. Liao, K. Yang, S.D. Allgood, M.C. Levesque, G. Kelsoe, and Y. Ueda. 2009. Activation-induced cytidine deaminase expression and activity in the absence of germinal
centers: insights into hyper-IgM syndrome. J. Immunol. 183:3237-48.
Kuraoka, M., L. McWilliams, and G. Kelsoe. 2011. AID expression during B-cell development: searching for answers. Immunol. Res. 49:3-13.
Lahoud, M.H., F. Ahmet, S. Kitsoulis, S.S. Wan, D. Vremec, C.N. Lee, B. Phipson, W. Shi, G.K. Smyth, A.M. Lew, Y. Kato, S.N. Mueller, G.M. Davey, W.R. Heath, K. Shortman, and I.
Caminschi. 2011. Targeting antigen to mouse dendritic cells via Clec9A induces potent CD4 T cell responses biased toward a follicular helper phenotype. J. Immunol. 187:842-50.
Le Bon, A., C. Thompson, E. Kamphuis, V. Durand, C. Rossmann, U. Kalinke, and D.F. Tough. 2006. Cutting edge: enhancement of antibody responses through direct stimulation of B and T cells by type I IFN. J. Immunol. 176:2074-2078.
Levine MM. 2011. “IDEAL”vaccines for resource poor settings. Vaccine. 29 Suppl 4:D116-25. Mao, C., L. Jiang, M. Melo-Jorge, M. Puthenveetil, X. Zhang, M.C. Carrol, and T. Imanishi-Kari. 2004. T cell-independent somatic hypermutation in murine B cells with an immature phenotype. Immunity. 20:133-44.
Markowitz, J.S., P.R. Rogers, M.J. Grusby, D.C. Parker, and L.H. Glimcher. 1993. B lymphocyte development and activation independent of MHC class II expression. J. Immunol.150:1223-33.
Miller, M.A., and M.H. Rathore. 2012. Immunization in special populations. Adv. Pediatr. 59:95-136.
Miyake, K., Y. Yamashita, Y. Hitoshi, K. Takatsu, and M. Kimoto. 1994. Murine B cell proliferation and protection from apoptosis with an antibody against a 105-kD molecule:
unresponsiveness of X-linked immunodeficient B cells. J. Exp. Med. 180:1217-1224.
Miyake, K., Y. Yamashita, M. Ogata, T. Sudo, and M. Kimoto. 1995. RP105, a novel B cell surface molecule implicated in B cell activation, is a member of the leucine-rich repeat protein family. J. Immunol. 154:3333-3340.
Nagai, Y., T. Kobayashi, Y. Motoi, Y. Ishiguro, S. Akashi, S. Saitoh, Y. Kusumoto, T. Kaisho, S. Akira, M. Matsumoto, K. Takatsu, and K. Miyake. 2005. The radioprotective 105/MD-1 complex links TLR2 and TLR4/MD-2 in antibody response to microbial membranes. J Immunol. 174:7043-9.
Rappuoli, R., C.W. Mandl, S. Black, and E. De Gregorio. 2011. Vaccines for the twenty-first century society. Nat. Rev. Immunol. 11:865-72.
Rickert, R.C., J. Jellusova, and A.V. Miletic. 2011. Signaling by the tumor necrosis factor receptor superfamily in B-cell biology and disease. Immunol. Rev. 244:115-33.
Sancho, D., and C. Reis e Sousa. 2012. Signaling by myeloid C-type lectin receptors in immunity and homeostasis. Annu. Rev. Immunol. 30:491-529.
Sasaki, Y., S. Casola, J. L. Kutok, K. Rajewsky, and M. Shmidt-Supprian. 2004. TNF family member B cell-activating factor (BAFF) receptor-dependent and-independent roles for BAFF in B cell physiology. J. Immunol. 173:2245-2252.
Shih, T. A., M. Roederer, and M. C. Nussenzweig. 2002. Role of antigen receptor affinity in T cell-independent antibody responses in vivo. Nat. Immunol. 3:399-406.
Snider, D.P.. and D.M. Segal. 1989. Efficiency of antigen presentation after antigen targeting to surface IgD, IgM, MHC II, Fc gamma RII, and B220 molecules on murine splenic B cells. J. Immunol. 143:59-65.
Taylor, J.J., M.K. Jenkins, and KA. Pape. 2012. Heterogeneity in the differentiation and function of memory B cells. Trends Immunol. 33:590-7.
Ueda, Y., D. Liao, K. Yang, A. Patel, and G. Kelsoe. 2007. T-independent activation-induced cytidine deaminase expression, class-switch recombination, and antibody production by immature/transitional 1 B cells. J. Immunol. 178:3593-601.
Valentine, M.A., E. A. Clark, G. L. Shu, N.A. Norris, and J.A. Ledbetter. 1988. Antibody to a novel 95-kDa surface glycoprotein on human B cells induces calcium mobilization and B cell activation. J. Immunol. 140:4071-4078.
Weir, D.M. , L. A. Herzenberg, C. Blackwell, and L. A. Herzenberg. 1986. Handbook of Experimental Immunology. 1:31.6-31.7.
Weller, S., A. Faili, C. Garcia, M.C. Braun, F.F. Le Deist, G.G. de Sainte Basile, O. Hermine, A. Fischer, C.A. Reynaud, and J.C. Weill. 2001. CD40-CD40L independent Ig gene hypermutation suggests a second B cell diversification pathway in humans. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 98:1166-70.
Yazawa, N., M. Fujimoto, S. Sato, K. Miyake, N. Asano, Y. Nagai, O. Takeuchi, K. Takeda, H. Okochi, S. Akira, T.F. Tedder, and K. Tamaki. 2003. CD19 regulates innate immunity by the Toll-like receptor RP105 signaling in B lymphocytes. Blood 102:1374-1380.
Zhang, J., Y.J. Liu, I.C. MacLennan, D. Gray, and P.L. Lane. 1988. B cell memory to thymus-independent antigens type 1 and type 2: the role of lipopolysaccharide in B memory induction. Europ. J. Immunol. 18:1417-24.
【0095】
実施例2
図7中で示されるような量で、6〜8週齢のC57BL/6マウスに、OVA−αCD180コンジュゲートプラスTLR7アゴニストR848(示される場合)で免疫付与(静脈注射)するか、または無処理で残した(ナイーブ)。示された時間ポイントで血清を収集し、IgG(
図7A)およびIgM(
図7B)の特異的レベルをELISAによって決定した。データは1つの群あたり3匹のマウスの平均+SEMを示す。これらのデータは、わずか17.5μgのOVA−αCD180が強いIgG Ab応答を誘導できることを示す。しかしながら、TLR7アゴニスト(R848)が添加される場合、1.75μgのOVA−αCD180のみが、17.5μgのOVA−αCD180のみにより誘導されたものを超えるAg特異的応答の誘導に必要とされる。したがって、コンジュゲートおよびTLR7アゴニストの組み合わせは、IgGおよびIgMの抗体反応の相乗的な誘導を提供した。
【0096】
実施例3
図8中で示されるような量で、6〜8週齢のC57BL/6マウスに、WNVE−αCD180コンジュゲート(静脈注射)(OVAによるものと同じコンジュゲーションテクニックを使用して)、または生存WNVテキサス系統(Tx)(足蹠)で免疫付与した。対照として、マウスにNP/CD180コンジュゲート(30μgまたは15μg+R848)で免疫付与した(静脈注射)。示された時間ポイントで、血清を収集し、IgGの特異的力価(
図8A)および中和力価(
図8B)を、それぞれELISA、およびWNVに適合させたプラーク減少中和力価(PRNT)ウイルス中和アッセイ(B cells and antibody play critical roles in the immediate defense of disseminated infection by West Nile encephalitis virus.Diamond MS,Shrestha B,Marri A, Mahan D,Engle M.J Virol.2003 Feb;77(4):2578−86.)によって決定した。データは1つの群あたり2匹のマウスの平均+SEMである。PRNT
50は、対照と比較して、プラークの数を50%減少させる血清の最小濃度を示す。30μgまたは15μgのNP/CD180コンジュゲート+R848で免疫付与した対照マウスの間の差はなかった(図示せず)。これらのデータは、精製した組換え西ナイルウイルス(WNV)エンベロープIタンパク質が付加されている(WNVE)抗CD180を接種されたマウスが、WNVE特異的IgG Ab(
図8A)およびWNVEへの中和Ab(
図8B)の両方を生じることを示す。
【0097】
実施例4
図9中で示されるような量で、6〜8週齢のC57BL/6マウスに、WNVEタンパク質/αCD180コンジュゲート(E/CD180)(実施例3中と同じ)(静脈注射)、プラス20μgのR848もしくは50μgのCpGB(示された場合)で免疫付与したか、または1000pfuの生存WNV−Tx(足蹠)を感染させた。対照として、マウスに、NP/CD180コンジュゲート(30μgまたは15μg+R848またはCpGB)で免疫付与した(静脈注射)。28日後に、血清を収集し、中和力価をPRNTアッセイによって決定した。データは1つの群あたり3匹のマウスの平均+SEMを示す。30μgまたは15μgのNP/CD180コンジュゲートプラスR848またはCpGbで免疫付与した対照マウスの間の差はなかった(図示せず)。これらのデータは、WNVE−αCD180コンジュゲートがTLR7(R848)またはTLR9(CpGB)のアジュバントの添加によって促進される中和Ab応答を誘導することを明らかに示す。WNVに感染したマウスはより高い中和Ab力価を有するが、その時これらのマウスはウイルスを複製しており、単回注射(WNVE−αCD180コンジュゲート注射でのように)だけでなく2、3週間ウイルスに曝露される。
【0098】
実施例5
図9中で示されるように、6〜8週齢のC57BL/6マウスに、15μgのWNVEタンパク質/αCD180コンジュゲート(E/CD180)プラス20μgのR848もしくは50μgのCpGB(静脈注射)で免疫付与したか、または1000pfuの生存WNVテキサス(足蹠)を感染させた。対照として、マウスに、15μgのNP/CD180コンジュゲートプラス50μgのCpGBで免疫付与した(静脈注射)。32日後(32日目)に、50pfuのWNVテキサスを頭蓋内(i.c.)注射でマウスにチャレンジした。マウスは死亡率について21日間モニターした。データは1群あたり2匹のマウスの生存/死亡率を示す。これらのデータ(表1を参照)は、WNVE−CD180コンジュゲートで免疫付与したB6マウスが、50pfuのWNVテキサス系統(WNV−TX)の頭蓋内(i.c.)注射によって誘導される死亡から保護されることを示す。これとは対照的に、陰性対照としてNP/CD180+CpGBで免疫付与したマウスはすべて、6日目までに死亡した。
【0100】
実施例6
OT−I OVA特異的CD8 T細胞をC57BL/6マウスへと移入し、次いでこのマウスに、20μgのαCD180/OVAコンジュゲート(静脈注射)を単独でまたは50μgのポリI:C(TLR7アゴニスト)もしくはCpGB(TLR9アゴニスト)と共に、または20μgの陰性対照としてアイソタイプ/OVAコンジュゲートを、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を接種した。3、7および20日目で、末梢血からのOT−I T細胞はCD8+細胞でのゲーティング、Vα2およびVβ5.1/5.2によって分析した。データ(図示せず)は、Ag特異的CD8 T細胞および次いでαCD180/OVA(アジュバントなしの)を接種したマウスで、3日後にAg特異的T細胞の頻度が増幅し、次いでレベルが減少することを実証する。アジュバントが添加されるならば、多くのCD8 T細胞は増殖しより長い間生存する(アジュバントとしてCpGBと共に、表2を参照されたい)。このことは、Ag−抗CD180が細胞障害性T細胞応答を活性化し増幅させることができ、アジュバントとの組み合わせは細胞障害性T細胞応答のさらに良好な活性化および増幅を提供することを実証する。
【0102】
C57BL/6マウスに、500,000のOVA特異的CD8 T細胞(OT−I Tg T細胞)を1日目に接種し、0日目に、以下のいずれかを静脈注射で接種した。1)PBS;2)20mgのG28−1アイソタイプ対照モノクローナル抗体へ付加されたOVA;3)20mgのaCD180へ付加されたOVA;または4)20mgのaCD180へ付加されたOVA+50mgのCpGBアジュバント。平均は各々の時間ポイントにつき3匹のマウス/群について示される。太字の数は対照に比べて統計的に有意に異なる。OVA−aCD180免疫付与はインビボでCD8 T細胞数を増幅する。増殖は永続的ではないが、アジュバントの添加によって延長することができる。