(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)及び(B)が、金属充填剤、無機充填剤、溶融性充填剤、及びこれらの組み合わせから選択される充填剤の存在下で反応し、前記第2の最外層が、前記充填剤を更に含む、請求項2に記載の光電池モジュール。
(A)及び(B)が、前記第2の最外層の全重量に基づいて2〜70重量パーセントの量のタルクの存在下で反応し、前記第2の最外層の前記シリコーンが、前記タルクを更に含む、請求項2に記載の光電池モジュール。
(A)及び(B)が、前記第2の最外層の全重量に基づいて最大約30重量パーセントまでの量の二酸化チタンの存在下で、一緒に反応し、二酸化チタン及び任意選択のタルクの合計量が、前記第2の最外層の全重量に基づいて45重量パーセント以下であり、前記第2の最外層の前記シリコーンが、前記二酸化チタン及び任意選択により前記タルクを更に含む、請求項2又は4に記載の光電池モジュール。
前記触媒が、ヒドロシリル化触媒であり、前記第2の最外層の前記シリコーンが、(A)及び(B)間の反応のヒドロシリル化生成物である、請求項2に記載の光電池モジュール。
ASTM E424−71(2007)を用いる紫外/可視分光測光法によって測定したとき少なくとも70パーセントの光透過率を有する第1の最外層と、第1の最外層上に配置された光電池と、光電池上に配置された後板と、第1の最外層と反対側の第2の最外層であって、後板の外側に面する表面上に配置され、第2の最外層と第1の最外層との間に光電池及び後板を挟む、第2の最外層と、を含む光電池モジュールを形成する方法であって、前記第2の最外層が、前記後板の外側に面する表面の1平方メートル当たり10〜15グラムの被覆量で存在し、前記後板及び前記第2の最外層が、それぞれ独立に、シリコーンから本質的になり、前記光電池モジュールが、1000時間の湿度サイクルの後、IEC 61215を用いる、少なくとも1000ボルトの電圧での湿潤漏れ電流試験に合格し、前記方法が、第1の最外層、光電池、後板、及び第2の最外層を組み立てて、光電池モジュールを形成するステップを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、全体を図示する光電池モジュール(26)(以後、「モジュール」と呼ぶ)及びモジュール(26)を形成する方法を提供する。モジュール(26)のシリーズ、例えば少なくとも2つのモジュール(26)は、電気的に接続されて光電池アレイを形成していてもよい。本発明の光電池アレイは平面又は非平面であってもよく、典型的にはモジュールが電圧を発生させるような方法で相互に接続された、単一の発電用ユニットとして機能する。
【0005】
モジュール(26)は、様々な物理的性質を有し得る。典型的には、モジュール(26)は、1000時間、1100時間、1200時間、1300時間、1400時間、1500時間、1600時間、1700時間、1800時間、1900時間、又は2000時間湿度サイクルした後、IEC 61215を用いる、少なくとも1000V、1025V、1050V、1075V、1100V、1125V、1150V、1175V、1200V、1225V、1250V、1275V、1300V、1325V、1350V、1375V、1400V、1425V、1450V、1475V、1500Vの電圧(V)での湿潤漏れ電流試験に合格する。当該技術分野において既知であるように、湿潤漏れ電流試験は、モジュールを水溶液中に置くことと、電場、例えば1000V場を印加することと、電流読み出しを行った後に2分間電場を印加することとを含む。大型モジュールの場合、湿潤漏れ絶縁抵抗は、典型的には、40メガオーム/m
2より高くなければならない。小型モジュールの場合、湿潤漏れ抵抗は、典型的には、400メガオーム/m
2より高くなければならない。この試験は、典型的には、熱サイクル中で実施され、最初とすべての試験点間隔で、2回のIEC規格に準拠した試験(温度サイクル(TC)試験400時間、高温高湿(DH)試験2000時間)によって、高温高湿エージング(damp heat aging)になる。
【0006】
モジュール(26)は、当該技術分野で既知の任意の方法によれば、一日当たり5〜12、6〜11、7〜10、8〜9、5、6、7、8、9、10、11、又は12グラム/平方メートル(g/m
2/日)の水蒸気透過速度(WVTR)を示し得る。より詳細には、前述のWVTR値は、後板(18)、第2の最外層(22)、又は後板(18)及び第2の最外層(22)の組み合わせ、例えば以下に詳述する二層後板にも当てはまることができる。別々に、モジュール(26)を全体として評価してWVTRを決定してもよく、かつ/又は後板(18)、第2の最外層(22)若しくは後板(18)及び第2の最外層(22)の組み合わせのうち1つ以上を評価してWVTRを決定してもよい。
【0007】
モジュール(26)は、第1の(最外)層(10)、第1の(最外)層(10)上に配置された光電池(14)、光電池(14)上に配置された後板(18)、及び第1の(最外)層(10)とは反対側の第2の最外層(22)を含む。第2の最外層(22)は、後板(18)の外側に面する表面上に配置され、第2の最外層(22)と第1の(最外)層(10)との間に光電池(14)及び後板(18)を挟む。
【0008】
モジュール(26)は、すぐ上で述べたものでもよく、あるいは1つ以上の電気構成要素(例えば、リード線、電線、電極、接続箱)、1つ以上の追加構造用構成要素(例えば、フレーム、マウント)、1つ以上の結合層(24)、及び/又は光電池(14)モジュール中の若しくは光電池(14)モジュールに近接した任意の構成要素を、製造、設置、及び/若しくは使用の間に、更に含めたものでもよい。1つ以上の追加の電気構成要素又は構造用構成要素を更に含むモジュール(26)は、光電池パネルとして説明されてもよい。1つの実施形態では、光電池(14)モジュール(26)(接続箱、リード線は含まない)は、有機ポリマーを含まない。あるいは、光電子(14)モジュール(26)は、シリコーンポリマー、すなわち直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンのみを含んでもよい。
【0009】
第1の(最外)層
モジュール(26)は、ASTM E424−71(2007)を用いる紫外/可視分光測光法を利用して決定した少なくとも70パーセントの光透過率を有する第1の層を含む。様々な実施形態において、第1の層(10)は、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99パーセントの光透過率を有し、光透過率は最大で100パーセントである。代替実施形態では、第1の層は、およそ100パーセント(例えば、99.5%〜100.0%)の光透過率を有する。典型的には、第1の層(10)は、第1の層がモジュール(26)の外側の層である場合、第1の「最外」層(10)として更に定義される。しかしながら、第1の層(10)は、任意の1つ以上のシリコーン、すなわち下記の直鎖及び/若しくは分枝ポリオルガノシロキサンでもよく、又は他のものでもよい、ケイ素及び酸素をベースとする材料(SiO
x)で少なくとも部分的に被覆されていてもよい。この場合、SiO
x材料のコーティングは、「最外」層と思われ、第1の層(10)は、少なくともいくつかの領域において、コーティングの内側の層と思われる。限定することを目的とせず、単に説明するために、第1の層(10)を、以下に第1の「最外」層(10)として説明する。しかしながら、第1の層(10)及び第1の最外層(10)という用語は、本明細書において、様々な実施形態で共通に入れ替えて使用できる。
【0010】
第1の最外層(10)は、シリコーン、すなわち直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンであってもよく、を含んでもよく、から本質的になってもよく(有機モノマー又はポリマーを含まない)、又はからなってもよい。シリコーンは、特に限定されず、下記のいずれのシリコーンでも、又は他のシリコーンでもよい。1つの実施形態では、第1の最外層(10)は、ガラス(例えば、非晶質ソーダ石灰ガラス)であり、を含み、から本質的になり(有機モノマー若しくはポリマー又はシリコーンを含まない)、又はからなる。別の実施形態では、第1の最外層(10)は、前述の化合物に限定されず、第1の最外層(10)が、ASTM E424−71(2007)を用いて、少なくとも70パーセントの光透過率を有する限り、当該技術分野において既知の任意の化合物又は組成物を含んでもよい。
【0011】
典型的には、第1の最外層(10)は、モジュール(26)の前面に対して保護を付与する。同様に、第1の最外層(10)は、モジュールの方向に応じて、モジュール(26)の背面に対して保護を付与することができる。第1の最外層(10)は、柔軟かつ可撓性であってもよく、又は剛性かつ硬質であってもよい。あるいは、第1の最外層(10)は、剛性かつ硬質の部分を含みつつ、同時に柔軟かつ可撓性の部分を含んでもよい。第1の最外層(10)は、耐荷重性であってもよく、又は非耐荷重性であってもよく、モジュール(26)の任意の部分に含まれていてもよい。第1の最外層(10)は、上板としても知られている「最上層」であってもよい。典型的には、第1の最外層(10)は、モジュール(26)の上部で、光源の前に配置される。第1の最外層(10)は雨、雪、熱等の環境状態からモジュール(26)を保護するために用いられ得る。1つの実施形態では、第1の最外層(10)はそれぞれ125mmの長さ及び幅を有する。別の実施形態では、第1の最外層(10)はそれぞれ156mmの長さ及び幅を有する。第1の最外層(10)及び本開示は、これらの寸法に限定されない。
【0012】
光電池
モジュール(26)は、光電池(14)をも含む。光電池(14)が第1の最外層(10)上に配置されてもよく、又は第1の最外層(10)が光電池(14)上に配置されてもよい。1つの実施形態では、光電池(14)は、例えば封止材の層によって、第1の最外層(10)上に直接配置され、すなわち第1の最外層(10)と直接接触する。別の実施形態では、光電池(14)は、第1の最外層(10)から離してスペースをとりながら、依然として第1の最外層(10)上に配置される。光電池(14)は、化学蒸着及び/又は物理スパッタリングによって、第1の最外層(10)上に配置されて、直接接触して(すなわち、直接塗布されて)もよい。あるいは、光電池(14)は、第1の最外層(10)及び/又はモジュール(26)とは別に形成され、後で第1の最外層(10)上に配置されてもよい。
【0013】
光電池(14)は典型的には50〜250マイクロメートル、より典型的には100〜225マイクロメートル、及び最も典型的には175〜225マイクロメートルの厚さを有する。1つの実施形態では、光電池(14)はそれぞれ125mmの長さ及び幅を有する。別の実施形態では、光電池(14)はそれぞれ156mmの長さ及び幅を有する。光電池(14)は、これらの寸法に限定されない。
【0014】
光電池(14)は、大面積で単結晶で単一層のp−n接合ダイオードを含んでもよい。そのような光電池(14)は、典型的には、シリコンウェハに拡散処理を使用して作製される。あるいは、光電池(14)は、格子整合ウェハ上に(シリコン)半導体の薄いエピタキシャル析出を含んでもよい。この実施形態では、光電池(14)は、宇宙又は地上用途のいずれかにおける使用向けとして分類することができ、典型的には、7〜40%のAM0効率を有する。更に、光電池(14)は、量子ドットや量子ロープなどの量子井戸素子を含み、また、カーボンナノチューブを含んでもよい。更に、光電池(14)は、マルチスペクトル単層を形成するポリマー及びナノ粒子の混合物を含んでもよく、このマルチスペクトル単層を積み重ねて、マルチスペクトル太陽電池をより効率的かつ安価にすることができる。
【0015】
光電池(14)の組成物は、特に限定されず、非晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶質シリカ、テルル化カドミウム、セレン化/硫化銅インジウム/ガリウム、ガリウムヒ素、ポリフェニレンビニレン、銅フタロシアニン、炭素フラーレン、及びこれらの組み合わせを、インゴット、リボン、薄膜、及び/又はウェハの状態で含んでもよい。また、光電池(14)は、ルテニウム有機金属染料などの光吸収染料を含んでもよい。最も典型的には、光電池(14)は、単結晶及び多結晶シリコンを含む。
【0016】
光電池(14)は第1面と第2面を有する。典型的には、第1面は第2面の反対側にある。第1の電気的リードは、典型的には、第1面に配置され、一方、第2の電気的リードは、典型的には、第2面に配置される。光電池(14)は、前面接触セル又は背面接触セルとして二者択一的に説明できる。第1の電気的リード及び第2の電気的リードのうち片方は、典型的には、陽極として作用し、一方、他方は、典型的には、陰極として作用する。第1の電気的リード及び第2の電気的リードは、同一であっても、又は異なっていてもよく、金属、導電性ポリマー、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。1つの実施形態では、第1の電気リード及び第2の電気リードはスズ−銀はんだ被覆銅を含む。別の実施形態では、第1の電気リード及び第2の電気リードはスズ−鉛はんだ被覆銅を含む。
【0017】
第1の電気的リード及び第2の電気的リードは、光電池(14)の第1面及び第2面の任意の部分に配置されていてよい。第1の電気的リード及び第2の電気的リードは、いずれの大きさでも形状でもよく、典型的には、長方形の形状であり、およそ0.1〜2.0mm(0.005〜0.080インチ)の長さ及び/又は幅の寸法を有する。第1の電気的リード及び第2の電気的リードは、典型的には、光電池アレイ中で、モジュール(26)を追加モジュールに接続する。モジュールは、直列に又は並列に接続され得る。
【0018】
後板
モジュール(26)は、光電池(14)上に配置された後板(18)をも含む。あるいは、光電池(14)は、後板(18)上に配置されていてもよい。後板(18)は、第1の最外層(10)と光電池(14)とを結合することができ、かつ/又は光電池(14)を少なくとも部分的にカプセル化することができる。後板(18)は、光電池(14)上に直接配置されてもよく、すなわち光電池(14)と直接接触してもよく、又は(例えば封止材の層によって)光電池(14)から離してスペースをとりながら、依然として光電池(14)上に配置させてもよい。様々な実施形態において、後板(18)は、光電池(14)上に配置された制御ビード、例えば液状シリコーン組成物、すなわち直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンの制御ビードとして更に説明される。制御ビードは、典型的には、長方形の形状で用いられる。しかしながら、制御ビードは、任意の形状で形成されてもよい。制御ビードは、第1の最外層(10)、光電池(14)、又は第1の最外層(10)及び光電池(14)の両方の内部に接触し、これにより後板(18)を含まない第1の最外層(10)、光電池(14)、又は第1の最外層(10)及び光電池(14)両方の周辺部に沿ってスペースをとってもよい。1つの実施形態では、このスペースは、およそ13mm(1/2インチ)の幅である。後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、中に繊維が配置され、かつ/又はシリコーン、すなわち直鎖及び/若しくは分枝ポリオルガノシロキサンによってカプセル化されるマトリックスとして説明できる。このような実施形態では、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物、すなわち「マトリックス」は、シリコーンであってもよく、シリコーンを含んでもよく、シリコーンから本質的になってもよく、又はシリコーンからなってもよく、複数の繊維(20)を更に含んでもよい。
【0019】
後板(18)は、典型的には、1〜50mm、より典型的には4〜40mm、更により典型的には3〜30mm、更により典型的には4〜15mm、最も典型的には0.1〜0.2mm(4〜10ミル)の厚さを有する。ミルの様々なSI単位への変換は、1mm/mm(0.0254mm/ミル)又は1.00ミクロン/mm(25.4ミクロン/ミル)である。後板(18)は、粘着性でも又は非粘着性でもよく、ゲル、ガム、液体、ペースト、樹脂、又は固体であってもよい。1つの実施形態では、後板(18)は、混入空気(気泡)を実質的に含まない。用語「実質的に含まない」は、後板(18)が裸眼で又は10倍の倍率下で見たときに空気の気泡が視認できないことを説明する。後板(18)は、液状シリコーン組成物から形成されてもよく、硬化又は部分的な硬化を受けて粘着性若しくは非粘着性にし、かつ/又はゲル、ガム、液体、ペースト、樹脂、若しくは固体にしてもよい。1つの実施形態では、部分的な硬化は、90パーセント未満の適当な(すなわち、予測された)反応性部分が反応するときに生じる。別の実施形態では、硬化は、
29Si NMRによって決定されるが、少なくとも90パーセントの適当な(すなわち、予測された)反応性部分が反応するときに生じる。後板(18)は、有機ポリマー、シリコーン以外のポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、及び/又はエチレン酢酸ビニルのうちの1種以上を含まなくてもよい。後板(18)は、Tedlar(登録商標)を含まなくてもよい。典型的には、後板は、シリコーンポリマーではないすべてのポリマーを含まない。別々に、後板は、典型的には、シリコーンである、又はシリコーンから本質的になり(非シリコーンポリマーを含まない)、又は1種以上のシリコーンからなる。
【0020】
1つの実施形態では、後板(18)は、図示の通り、単繊維又は複数の繊維(20)を含む。別の実施形態では、後板(18)は、複数の繊維(20)も単繊維も含まない。複数の繊維(20)は、後板(18)中に存在していてもよく、例えば後板(18)によって少なくとも部分的にカプセル化されていてもよい、後板(18)から独立していてもよい、又はその両方であってもよい。後板(18)は、少なくとも2つの又は複数の個々の繊維を含んでもよい。
【0021】
用語「繊維」は、天然のものでも合成でもよい材料の連続フィラメント及び/又は不連続レングスを含む。天然繊維は、これらに限定されないが、植物、動物、及び地質学的過程によって製造されるもの、例えば、植物繊維、木質繊維、動物繊維、及び天然鉱物繊維を含む。合成繊維は、これらに限定されないが、非天然鉱物繊維、例えば、繊維ガラス、金属繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、例えばポリアミド繊維、PET又はPBTポリエステル繊維、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)繊維、ポリビニルアルコール(PVOH)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、弾性繊維、ポリウレタン繊維、超極細繊維、及びこれらの組み合わせなどを含む。
【0022】
1つの実施形態では、複数の繊維(20)は、高弾性及び高抗張力を有する。別の実施形態では、複数の繊維(20)は、摂氏25度(℃)で少なくとも3ギガパスカル(GPa)のヤング率を有する。例えば、複数の繊維(20)は、25℃で、3〜1000GPa、あるいは3〜200GPa、あるいは10〜100GPaのヤング率を有してよい。その上、複数の繊維(20)は、25℃で、少なくとも50MPaの抗張力を有してよい。例えば、複数の繊維(20)は、25℃で、50〜10000メガパスカル(MPa)、あるいは50〜10000MPa、あるいは50〜500MPaの抗張力を有してよい。
【0023】
個々の繊維は、典型的には、管状の形状であり、1〜100μm、あるいは1〜20(マイクロメートル)μm、あるいは1〜10μmの直径を有してよい。複数の繊維(20)は、使用前に熱処理して、有機不純物を除去できる。例えば、複数の繊維(20)は、空気中にて、昇温、例えば575℃で、適切な時間、例えば2時間の間加熱してもよい。
【0024】
1つの実施形態では、複数の繊維(20)は、マット又はロービングとして更に説明される。別の実施形態では、複数の繊維(20)は、布地として更に説明される。布地、又は複数の繊維は、織物でも不織物でもよい、又は織り部分及び不織り部分の両方を含んでもよい。1つの実施形態では、布地は、織物であり、繊維ガラス、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及びこれらの組み合わせの群から選択される。別の実施形態では、布地は、不織物であり、繊維ガラス、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及びこれらの組み合わせの群から選択される。更なる実施形態では、布地は不織り繊維ガラスであり、Dalton,MAのCrane Nonwovensから市販されている。あるいは、布地は、Crane Nonwovensから市販されている不織りポリエステルであってもよい。更に、布地は、不織物でもよく、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含む。布地は、上述の種類の織布地及び不織布地に限定されず、当該技術分野において既知の任意の織布地及び不織布地を含んでもよい。1つの実施形態では、複数の布地、例えば2種、3種、又はそれ以上の個々の布地を利用する。
【0025】
当該技術分野において既知の通り、織布地は典型的には、機織りによって形成され、バイアス方向に伸びる布である。同様に当該技術分野において既知の通り、不織布地は、織物でも編物でもなく、典型的には、個々の繊維をシート又はウェブの形態で一緒に定置し、次にそれらを、接着剤と共に機械的にか、又は布地上に結合剤を溶かすことによって熱的にかのいずれかで結合することによって、製造される。不織布地としては、ステープル不織布地及びスパンレイド不織布地が挙げられる。ステープル不織布地は典型的には、均一なウェブ内に広げられ、次に樹脂又は熱のいずれかを用いることによって結合される繊維を紡績することによって、作製される。スパンレイド不織布地は典型的には、ウェブ内に直接配置された繊維を紡績することによって、1つの連続的なプロセスで作製される。スパンレイドプロセスは、メルトブロープロセスと組み合わされて、SMS(スパン−メルト−スパン)不織布地を形成することができる。
【0026】
不織布地はまた、フィルム及び小繊維(fibrillate)を含んでもよく、セレーション又は真空成型を用いて模様付き穴を形成することによって形成され得る。繊維ガラス不織布地は典型的には、湿式切断された(wet-chopped)6〜20マイクロメートルの直径を有するデニール繊維を有する湿式マット、又は0.1〜6マイクロメートルの直径を有する不連続デニール繊維を有する火炎減衰マットを含む、2種類のうちの1つである。適切な繊維の非限定的な例を、以下の実施例において記述する。
【0027】
複数の繊維(20)は、後板(18)によって少なくとも部分的にカプセル化されていてもよい。様々な実施形態において、複数の繊維(20)の全表面積の少なくとも50、75、又は95パーセントは、後板(18)によってカプセル化されており、ここで全表面積は、最大100パーセントである。別の実施形態では、複数の繊維(20)の全表面積のおよそ100パーセント(例えば、99.5〜100.0パーセント)は、後板(18)によってカプセル化される。
【0028】
用語「カプセル化」とは、複数の繊維(20)の表面積を少なくとも部分的に被覆することを意味する。典型的には、後板(18)、及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、複数の繊維(20)(例えば、布地)の一部、例えば孔を通して、被覆及び/又は浸出する。代替実施形態では、複数の繊維(20)は、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物に含浸されることが更に説明される。後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、複数の繊維(20)の一部又は全部を含浸してもよい。すなわち、この実施形態では、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、複数の繊維(20)の外面(表面積)を覆い、また複数の繊維(20)で表されるボイドの一部又は全部にわたって配置される。言い換えると、この実施形態では、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、いくつかのボイドを通って浸出し得るが、他は通らない。更なる実施形態では、複数の繊維(20)は、後板(18)を形成するために使用する組成物で飽和される。別の実施形態では、複数の繊維(20)は、後板(18)を形成するために使用する組成物で飽和されない。また、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物が、複数の繊維(20)を全体的に又は部分的にカプセル化し得ることも企図される。複数の繊維(20)の表面積は、これらに限定されないが、スプレー、ディッピング、ローリング、ブラッシング、及びこれらの組み合わせを含む当該技術分野において既知の任意の方法を用いて、少なくとも部分的にカプセル化してもよい。1つの実施形態では、複数の繊維(20)は、後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物の中に位置させる。後板(18)及び/又は後板(18)を形成するために使用する組成物は、1〜50ミル、より典型的には3〜30ミル、最も典型的には0.1〜0.38mm(4〜15ミル)の厚さで、複数の繊維(20)の全表面積の少なくとも一部を被覆してもよい。当然ながら、本開示は、これらの厚さに限定されない。
【0029】
第2の最外層
モジュール(26)はまた、第2の最外層(22)をも含む。1つの実施形態では、この層は、防汚層として説明される。あるいは、第2の最外層(22)は、(後板(18)と向かい合う)トップコート層として説明されてもよい。第2の最外層(22)は、モジュール(26)の底層、すなわち、使用中に、モジュール(26)を太陽に面して配置したとき、太陽から最も遠くに配置されたモジュール(26)の層として説明することができる。第2の最外層(22)は、第1の最外層(10)の反対側に配置され、後板(18)の外側に面する表面上に配置され、第2最外層(22)と第1の最外層(10)との間に光電池(14)及び後板(18)を挟む。第2の最外層(22)は、後板(18)上に配置されて直接接触してよい、又は例えば結合層(24)を介して、後板(18)から離してスペースをとりながら、後板(18)上に配置されてもよい。1つの実施形態では、第2の最外層(22)は、後板(18)上に配置されるが、間隙を介して配置され、モジュール(26)は、第2の最外層(22)と後板(18)との間に挟まれる結合層(24)などの中間層を含む。結合層及び/又は下記の封止材のうちの1つは、第2の最外層(22)として機能し得る。
【0030】
典型的には、第2の最外層(22)は、モジュール(26)の底層、すなわち太陽から最も遠くに配置されたモジュール(26)の層として説明することができる。後板(18)及び第2の最外層(22)は、それぞれ厚さを有する。様々な実施形態において、第2の最外層(22)の厚さは、第2の最外層(22)に沿って1点以上で、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2ミクロンである。様々な実施形態において、第2の最外層(22)は、0.5〜2ミクロンの変動する厚さで、後板(18)の一部又は全部にわたって存在するであろう。
【0031】
後板(18)が繊維を含む場合、第2の最外層(22)の厚さは、繊維の窪みの底から第2の最外層(22)の上端までを測定したものであってよく、例えば、
図21のSEMに示す。あるいは、後板(18)が繊維を含まず、かつ/又は実質的に滑らかな場合、厚さは、後板(18)の表面から第2の最外層(22)の上表面までを測定したものでよい。第2の最外層(22)の厚さは、(後板(18)及び第2の最外層(22)の)合計厚さを測定し、後板(18)そのものの厚さを差し引くことによって測定してもよい。あるいは、厚さは、SEM技術及び任意の適当なASTM試験を用いて測定してもよい。例えば、サンプルをSEMスタブにマウントし、15nmのPt/Pdで被覆してもよい。次に、JEOL 6335 FE−SEMを、5kv、15mmの作動距離、及び4のアパーチャに設定することができる。25倍〜500倍の間の倍率でSEM画像を取り込むことができる。
【0032】
更に他の実施形態では、第2の最外層(22)は、第2の最外層(22)と接触している後板(18)の、平方メートル(m
2)で表した一部の表面積に対して、被覆量、すなわちグラム(g)量が、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1g/m
2未満で存在する。更なる実施形態では、第2の最外層(22)は、5〜75、10〜70、15〜65、20〜60、25〜55、30〜50、35〜45、40〜45、1〜15、2〜14、3〜12、4〜11、5〜10、6〜9、又は7〜8g/m
2の量で存在する。あるいは、第2の最外層(22)は、当業者によって測定され理解され得る、例えば上記の方法によって測定した場合、1平方メートル当たり約10グラム毎の被覆量のため、約1ミクロンの厚さを有すると概略的に述べてよい。
【0033】
第2の最外層(22)は、第2の最外層(22)に対して上記したように、ISO 8295にしたがって測定した、それ自体に対する0.1〜0.7、0.2〜0.6、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、又は0.7の摩擦係数を示し得る。用語「それ自体に対する」とは、材料、例えば第2の最外層を、その材料の第1のサンプルを同一の材料である第2のサンプルにこすりつけることによって、摩擦係数について評価することを表す。典型的には、摩擦係数が低いほど、第2の最外層(22)によって保持される(例えば、くっついている)埃、汚れ、粉塵が少ない。
【0034】
後板及び/又は第2の最外層の化学
後板(18)及び第2の最外層(22)は両方とも、独立に、シリコーン(直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサン)、例えば第1のシリコーン及び/又は第2のシリコーンであってもよく、を含んでもよく、から本質的になってもよく、又は(の少なくとも1種)からなってもよい。用語「から本質的になる」とは、後板(18)及び/又は第2の最外層(22)がシリコーン以外のポリマーを含んでいないか、又は10、5、1、0.1、0.05、若しくは0.01重量パーセント未満含んでよく、そうでなければ上記のシリコーンの物理的性質に影響すると思われることを説明する。このようなポリマーの非限定的な例として、有機ポリマー、Tedlar、ポリ(アルキレン)、PET、プラスチックなどが挙げられる。様々な実施形態において、後板(18)は、第1のシリコーン、すなわち直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンであり、を含み、から本質的になり、又はからなる。他の実施形態では、第2の最外層(22)は、第2のシリコーン、すなわち直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンであり、を含み、から本質的になり、又はからなる。典型的には、第2のシリコーンは、第1のシリコーンとは異なるが、これらは同一であってもよい。
【0035】
後板(18)及び/又は第2の最外層(22)のシリコーン(例えば、第1のシリコーン及び/又は第2のシリコーン)は、それぞれ独立に、硬化されるシリコーン組成物、すなわち硬化される直鎖及び/分枝ポリオルガノシロキサンから形成することができる。1つの実施形態では、後板(18)は、後板(18)を形成するために硬化するシリコーン組成物から形成される。別の実施形態では、第2の最外層(22)は、第2の最外層(22)を形成するために硬化するシリコーン組成物、すなわち硬化する直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンから形成される。後板(18)及び/又は第2の最外層(22)を形成するために使用されるシリコーン組成物は、同一であってもよく、又は互いに異なっていてもよい。典型的には、これらは、互いに異なる。後板(18)を形成するために使用される組成物を硬化する上で使用する化学(例えば、ヒドロシリル化、縮合又はフリーラジカル化学)及び条件は、第2の最外層(22)を形成するために使用される組成物を硬化する上で使用する硬化化学及び条件とそれぞれ同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
【0036】
片方又は両方のシリコーン組成物はいずれも、モジュール(26)が上記の湿潤漏れ電流試験に合格する限り、独立に、当該技術分野において任意の既知のものであってもよい。片方又は両方のシリコーン組成物はいずれも、これらに限定されないが、独立に、シラン、シロキサン、シラザン、シリレン、シリルラジカル又はイオン、単体のシリコン、シレン、シラノール、これらのポリマー、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。典型的には、全体的に使用する場合、用語「シリコーン」は、1種以上の直鎖及び/又は分枝ポリオルガノシロキサンを説明するものでもよい。更に、シリコーン組成物は、これらに限定されないが、フリーラジカル反応、ヒドロシリル化反応、縮合又は付加反応、熱硬化、紫外線硬化、及びこれらの組み合わせを含めた、当該技術分野において既知の任意の機構によって硬化でき、部分的に硬化でき、又は完全に硬化できる。様々な非限定的な実施形態において、第1のシリコーン組成物及び第2のシリコーン組成物のうちの片方は、又は両方とも、これらの非限定的な実施形態に関連して、その全体が本明細書に明確に組み込まれる米国出願公開第2011/0061724号に記載されている通りのものでよい。
【0037】
シリコーン組成物のうちの片方又は両方いずれも、これらに限定されないが、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、及びフリーラジカル硬化性シリコーン組成物、例えば放射線硬化性シリコーン組成物及び光(例えば、紫外線)硬化性組成物、並びに過酸化物硬化性シリコーン組成物を含む、硬化性シリコーン組成物として更に独立に説明してもよい。
【0038】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合したアルケニル基又はケイ素結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンを硬化するために十分な量の有機ケイ素化合物であって、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合した水素原子又はケイ素結合したアルケニル基を有し、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合したアルケニル基又はケイ素結合した水素原子と反応することができる有機ケイ素化合物、及び触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0039】
縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合した水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、並びに任意選択の、ケイ素結合した加水分解性基を有する架橋剤及び/又は縮合触媒を含む。
【0040】
放射線硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合した放射線感受性基を有するオルガノポリシロキサン、及び任意選択の、オルガノポリシロキサン中の放射線感受性基の性質に応じたカチオン又はフリーラジカル光開始剤を含む。
【0041】
過酸化物硬化性シリコーン組成物は、典型的には、ケイ素結合した不飽和の脂肪族炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン及び有機過酸化物を含む。
【0042】
シリコーン組成物は、硬化性シリコーン組成物の種類に応じて、周囲温度、昇温、湿気、又は放射線に曝すことによって硬化させることができる。
【0043】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、大気圧で、室温(約23±2℃)〜250℃、あるいは室温〜150℃、あるいは室温〜115℃の温度に曝すことによって硬化させることができる。シリコーン組成物は一般に、オルガノポリシロキサンを硬化(架橋)するために十分な、ある長さの時間加熱される。例えば、フィルムは、典型的には、100〜150℃の温度に0.1〜3時間の間加熱される。
【0044】
縮合硬化性シリコーン組成物は、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合基の性質に応じて硬化する。例えば、オルガノポリシロキサンがケイ素結合したヒドロキシ基を含む場合、組成物は、加熱することによって硬化(すなわち、架橋)させることができる。組成物は、典型的には、50〜250℃の温度で、1〜50時間の間加熱することによって硬化させることができる。縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒を含む場合、組成物は、典型的には、低温、例えば室温(約23±2℃)〜150℃で硬化させることができる。
【0045】
縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、ケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンを含み、100〜450℃の温度で、0.1〜20時間の間、湿気又は酸素に曝すことによって硬化させることができる。縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒を含む場合、組成物は、典型的には、低温、例えば室温(約23±2℃)〜400℃で硬化させることができる。
【0046】
更に、硬化性シリコーン組成物が、ケイ素結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンを含む縮合硬化性シリコーン組成物である場合、組成物は、室温(約23±2℃)〜250℃、あるいは100〜200℃の温度で、1〜100時間の間、湿気に曝すことによって硬化させることができる。例えば、シリコーン組成物は、典型的には、約室温(約23±2℃)〜150℃の温度で、0.5〜72時間の間、相対湿度30%に曝すことによって硬化させることができる。硬化は、組成物に対して、加熱、高湿度への曝露、及び/又は縮合触媒の添加を施すことによって加速させることができる。
【0047】
放射線硬化性シリコーン組成物は、電子ビームに曝すことによって硬化させることができる。典型的には、加速電圧は約0.1〜100キロ電子ボルト(keV)であり、真空度は約10〜10
−3パスカル(Pa)であり、電子流は約0.0001〜1アンペアであり、電力は約0.1ワット〜1キロワットで変動する。線量は、典型的には、1平方センチメートル当たり約100マイクロクーロン(マイクロクーロン/cm
2)〜1平方センチメートル当たり100クーロン(クーロン/cm
2)、あるいは約1〜10クーロン/cm
2である。電圧に応じて、曝露時間は、典型的には、約10秒〜1時間である。
【0048】
また、放射線硬化性シリコーン組成物が、カチオン又はフリーラジカル光開始剤を更に含む場合、組成物は、オルガノポリシロキサンを硬化(架橋)するために十分な放射線量で、150〜800ナノメートル(nm)、あるいは200〜400nmの波長を有する放射線に曝すことによって硬化させることができる。光源は、典型的には、中圧水銀アークランプである。放射線の線量は、典型的には、1平方センチメートル当たり30〜1000ミリジュール(mJ/cm
2)、あるいは50〜500mJ/cm
2である。その上、シリコーン組成物は、放射線に曝露する間、又はその後で、外部加熱して、硬化率及び/又は硬化度を強化することができる。
【0049】
硬化性シリコーン組成物が、過酸化物硬化性シリコーン組成物である場合、組成物は、室温(約23±2℃)〜180℃の温度に、0.05〜1時間の間、曝すことによって硬化させることができる。
【0050】
1つの実施形態では、硬化性シリコーン組成物、及び/又は第2の最外層は、以下のA部及びB部が例えば重量により1:1の混合物の形態の反応生成物であり、を含み、から本質的になり、又はからなる。
【0051】
A部:
4.8〜10wt% ジメチルビニルシロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン
46〜75wt% ジメチルビニル終端ポリ(ジメチルシロキサン)
0.007〜1wt% 1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体
16〜30wt% ジメチルビニル化及びトリメチル化シリカ
0〜30wt% 二酸化チタン
【0052】
B部:
0.007〜1wt% エチニルシクロヘキサノール
0.5〜6wt% トリメチル終端ポリ(ジメチルシロキサン)
7〜15wt% トリメチルシロキシ終端ジメチル、メチルハイドロジェンシロキサン
6〜12wt% ジメチルビニルシロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン
37〜60wt% ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン)
16〜30wt% ジメチルビニル化及びトリメチル化シリカ
0〜30wt% 二酸化チタン
【0053】
前述のいずれの値も、例えば、変動する非限定的な実施形態において、1、2、3、4、5、10、15、20、又は25+%変動し得る。前述の値の間の及び前述の値を含むすべての値並びに値の範囲も、変動する非限定的な実施形態において、本明細書によって明確に企図される。
【0054】
更なる実施形態では、硬化性シリコーン組成物及び/又は第2の最外層は、以下のA部及びB部が重量により1:1の混合物の形態の反応生成物であり、を含み、から本質的になり、又はからなる。
【0056】
前述のいずれの値も、例えば、変動する非限定的な実施形態において、1、2、3、4、5、10、15、20、又は25+%変動し得る。前述の値の間の及び前述の値を含むすべての値並びに値の範囲も、変動する非限定的な実施形態において、本明細書によって明確に企図される。
【0057】
様々な非限定的な実施形態において、第2の最外層(22)のシリコーンは、参照によりそれぞれ個別に本明細書に明確に組み込まれる米国特許第6,354,620号、同第6,268,300号、同第2006/0276585号、及び/又はJP 2010083946のうちの1つ以上に記載される、構成要素、化合物、システム、添加剤、触媒、充填剤のうちの1つ以上を含む。1つの実施形態では、難燃性充填剤、又は充填剤の組み合わせを利用し、これがモジュールをクラスA火災等級に合格させることができる。
【0058】
1つの実施形態では、第2の最外層(22)のシリコーンは、
(A)1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと、
(B)1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素基を含むポリオルガノハイドロジェンシロキサンとを、(C)(A)及び(B)間の反応を促進させることができる触媒の存在下で、反応させることによって形成される。
【0059】
ポリオルガノシロキサン(A)は、典型的には、液体であり、各分子中に少なくとも2つのアルケニル基を含む。各アルケニル基は、典型的には、独立に、ビニル基、アリル基、メタクリル基、又はヘキセニル基である。(A)中に存在するSi結合した非アルケニル有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル機、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基などのアルキル基;フェニル基及びナフチル基などのアリール基;ベンジル基及び1−フェニルエチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及びノナフルオロブチルエチル基などのハロゲン化アルキル基;4−クロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、及び3,5−ジフルオロフェニル基などのハロゲン化アリール基;並びに4−クロロメチルフェニル基及び4−トリフルオロメチルフェニル基などの、ハロゲン化アルキルによって置換されているアリール基であってもよい。ポリオルガノシロキサン(A)の分子構造は、典型的には直鎖であるが、部分的な連鎖分枝を含んでもよい。少なくとも2つのアルケニル基はそれぞれ、末端位又はペンダント位の中で結合してもよい。ポリオルガノシロキサン(A)は、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、又はトリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサンコポリマーとして更に定義されてもよい。最も典型的には、ポリオルガノシロキサン(A)の25℃での動的粘性は、100〜500,000、100,000〜500,000、100,000〜200,000、150,000〜200,000ミリパスカル・秒(mPa・s)である。
【0060】
1つの実施形態では、(A)は、(A)の全モル数に基づいて、10〜50モル%のビニルメチルシロキサン単位を含む。別の実施形態では、(A)は、単一分子中にケイ素結合ビニル基及びケイ素結合ヒドロキシル基を両方とも含む。更に別の実施形態では、(A)は、単一分子中にケイ素結合ビニル基及びケイ素結合ヒドロキシル基を両方とも含む。
【0061】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(B)は、典型的には、触媒(C)の存在下で架橋剤として作用する。例えば、(B)のケイ素原子に結合している水素原子は、(A)の結合アルケニル基と付加反応を経て、架橋及び硬化をもたらすことができる。典型的には、(B)は、各分子中に、ケイ素原子に結合している少なくとも2つの水素原子を含む。しかしながら、(A)に2つのアルケニル基しか存在しない場合、典型的には、(B)には2つ超のケイ素結合水素基がある。(B)中に存在し得るケイ素原子に結合している水素原子以外の有機基は、メチル基、エチル基又はプロピル基などのアルキル基;フェニル基又はトリル基などのアリール基;及び3,3,3−トリフルオロプロピル基又は3−クロロプロピル基などの置換アルキル基を含む。
【0062】
B)の分子構造は、直鎖であってもよく、又は分枝、環状、若しくはネットワークの形態を含んでもよい。(B)は、トリメチルシロキシ末端ブロックポリメチルハイドロジェンシロキサン、トリメチルシロキサン末端ブロックジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、ジメチルフェニルシロキシ末端ブロックメチルフェニルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、並びにジメチルハイドロジェンシロキシ単位及びSiO
4/2単位で構成されるコポリマーとして更に定義されてもよい。最も典型的には、(B)の25℃での動的粘性は、3〜10,000mPa.sである。更に、典型的に使用される(B)の量は、((B)中の)ケイ素原子に結合している水素原子のモル数と((A)中の)ケイ素原子に結合しているアルケニル基のモル数との比が0.5:1〜15:1又は1:1〜10:1のものである。
【0063】
触媒(C)は、上記の(A)及び(B)間の付加反応を加速させる任意の物質であり得る。様々な実施形態において、(C)は、白金化合物、ロジウム化合物、及び/又はパラジウム化合物、例えば塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、及び白金のジケトナート錯体である。(C)は、(A)の重量に基づいて、典型的には、0.1〜1000部/百万(ppm)、典型的には1〜50ppmの量で使用する。
【0064】
他の実施形態では、第2の最外層(22)のシリコーンは、(I)重合度150以下の、少なくとも2つのケイ素結合基Rで末端ブロックされており、Rがオレフィン系不飽和炭化水素置換基、アルコキシ基又はヒドロキシル基を表す、シロキサン骨格を有するオルガノポリシロキサンと、(II)少なくとも3つのケイ素結合反応性基を有する架橋有機ケイ素材料との、(III)触媒及び(IV)充填剤の存在下での反応から形成される。特に、(III)触媒及び(IV)充填剤は、典型的には異なる。このような実施形態において、(IV)充填剤は、ひいては、第2の最外層(22)のシリコーン中に存在する。
【0065】
典型的には、(I)オルガノポリシロキサンは、一般式R
1aR
2bSiO
(4−a−b)/2の単位を含む。(式中、R
1は、最大18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、R
2は、一価の炭化水素基若しくはヒドロカーボンオキシ(hydrocarbonoxy)基又はヒドロキシル基であり、a及びbは、0〜3の値であり、a+bの合計は3以下である。)1つの実施形態では、(I)は、以下に記載の構造式を有する。
【0066】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、上記の通りであり、xは、148以下の整数であり、典型的には5〜100、より典型的には8〜50の値を有する。)様々な実施形態において、R
1は、1〜8個の炭素原子を有する、アルキル基又はアリール基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソブチル、ヘキシル、フェニル又はオクチルである。他の実施形態では、全R
1基の少なくとも50%、75%、90%、95%、又は約100%はメチル基である。更なる実施形態では、R
2は、ヒドロキシル基、アルコキシ基又は脂肪族不飽和炭化水素基から選択される。あるいは、R
2は、縮合反応に適した、最大3個の炭素原子を有するヒドロキシル基若しくはアルコキシ基であってもよく、又は付加反応に適した、最大6個の炭素原子を有するアルケニル基若しくはアルキニル基、より典型的にはビニル、アリル若しくはヘキセニルであってもよい。
【0067】
様々な実施形態において、オルガノポリシロキサンポリマー(I)は、1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有し、500mPas未満、又は4〜100mPasの動的粘性を25℃で有することができる。あるいは、(I)は、高粘性材料(例えば、100mPas超)であってもよく、又はこれと混合することができる。更に他の実施形態では、(I)は、ホモポリマー、コポリマー又はこれらの混合物であってもよく、一般式R
1aR
3cSiO
(4−a−b)/2の単位を含む。(式中、R
1及びaは、上記の通りであり、R
3は、最大8個の炭素原子を有するアルケニル基であり、cは、0又は1であるが、但しa+cは3以下であるものとする。
【0068】
更に他の実施形態では、(I)は、ビニルメチルシロキサン単位を含有する少なくとも1種のポリマーを含むことができ、例えば最大50%又は100%さえもある(A)のジオルガノシロキサン単位を0.5重量%又は1重量%含むことができる。このようなビニルメチルシロキサンポリマーの混合物を使用することができる。例えば、10〜50モル%のシロキサン単位がビニルメチルシロキサン単位である(I)を使用することができ、又は1〜10モル%のシロキサン単位がビニルメチルシロキサン単位である(I)若しくは混合物を使用することができ、又は両方の混合物を使用することができる。様々な実施形態において、(I)は、ビニルジメチルシロキシ末端基及び任意選択の他の末端基、例えばトリメチルシリルを含む。
【0069】
更に他の実施形態では、(I)は、以下の構造式を含む。
【0070】
【化2】
(式中、R
1は、上記の通りであり、R
3は、2個から最大8個までの炭素原子を有し、式−−R
4y−CH=CH
2のアルケニル基であり、R
4は、最大6個の炭素原子を有する二価炭化水素基、例えば最大4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、yは、0又は1の値を有し、xは、5〜100、8〜50、又は8〜20の値を有する。)あるいは、(I)は、ケイ素結合ビニル基及びケイ素結合ヒドロキシル基を両方とも含有するポリシロキサン、例えばヒドロキシ終端ポリ(ジメチル、ビニルメチルシロキサン)を含むことができる。
【0071】
(II)の有機ケイ素化合物を再度参照すると、この化合物は、典型的には、(I)と反応することが可能であり、粘性液体であってもよく、又は流動性液体であってもよい。典型的には、(II)は、25℃で、100未満又は約2〜55mPasの動的粘性を有する。(II)は、一般式R
1aR
5bSiO
(4−a−b)/2の単位(式中、R
1、a及びbは、上記の通りであり、R
5は、水素原子、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。)を少なくとも1つ含むモノマー、ホモポリマー、コポリマー、又はこれらの混合物のうちの1つ以上を含んでもよいが、例外として(II)がモノマー(例えばシラン)の場合、a+bは4であり、bは少なくとも3であると思われる。
【0072】
典型的には、(II)は、シラン、低分子量有機ケイ素樹脂及び短鎖オルガノシロキサンポリマーから選択される。(II)は、通常、(I)のケイ素結合基R
2と反応可能なケイ素結合置換基R
5を少なくとも3つ含む。R
2がヒドロキシル基又はアルコキシ基である場合、(II)の反応性置換基は、典型的には、アルコキシ基又はヒドロキシル基のいずれかであり、(I)及び(II)間に縮合を発生させる。
【0073】
(II)の適切であるが非限定的な例として、アルキルトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン又はメチルトリヒドロシラン、及びこれらの組み合わせ、式SiO
4/2の四官能性シロキサン単位(Q単位)及び単官能性単位(M単位)を含む有機ケイ素樹脂、短鎖オルガノシロキサンポリマー、例えば1分子当たりケイ素結合アルコキシ、ヒドロキシル又は水素原子を少なくとも3つ有する短鎖ポリオルガノシロキサン、例えば最大20個の炭素原子を有するトリメチルシロキサン末端ブロックポリメチルヒドロシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びシラノール末端ブロックジメチルシロキサン−メチルシラノールコポリマー、並びにこれらの組み合わせがある。
【0074】
更に他の実施形態では、(II)は、少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する、典型的には分子中の少なくとも40%のケイ素原子上に、より典型的には分子中の大部分のケイ素原子上にケイ素結合水素原子を有する短鎖ポリオルガノシロキサンである。1つの実施形態では、(II)は、実質的に直鎖又は環状化合物である。他の実施形態では、(II)は、式R
7R
62SiO(R
62SiO)
p(R
6HSiO)
qSiR
62R
7又は次式を有する。
【0075】
【化3】
(式中、R
6は、最大10個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基であり、R
7は、R
6又は水素原子であり、pは、0〜20の値を有し、qは、1〜70の値を有し、1分子当たり少なくとも3個のケイ素結合水素原子が存在する。)1つの実施形態では、R
6は、3個以下の炭素原子を有する低級アルキル基、例えばメチル基であり、R
7は、R
6であるが、R
7のうち少なくとも3つは水素原子である。典型的には、p及びqは、ほぼ同じ値を有するか、又はp=0であり、qは6〜70、より典型的には20〜60、又は環状有機ケイ素材料を使用する場合には3〜8の値を有する。
【0076】
ここで(III)を参照して、触媒(III)は、上記の(I)及び(II)間の反応を触媒する任意の化合物であってもよい。反応が縮合反応である場合、触媒は、既知の縮合触媒、例えば硫酸、塩酸、ルイス酸などの酸、塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウムシラノレート及びアミン、スズ又はチタンベースの触媒、例えばジアルキルスズジカルボン酸及びチタン酸テトラアルキルのいずれであってもよい。特に有用な有機チタン化合物は、チタン−酸素−炭素結合を通してチタンに結合している有機基を有する。主なタイプは、有機基がカルボン酸に由来する、オルト−エステル、すなわちアルコラート及びアシラートである。有機チタン触媒は、同一のチタン原子に結合している両方のタイプの前記の基も含有してよい。したがって有効な有機チタン触媒は、式Ti(OR
8)
4のものを含む(式中、R
8は、アルキル、アルコキシアルキル又はアシル、例えばチタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラメトキシ−エトキシ及びジアセトキシチタン酸ジイソプロピルである)。本発明における使用に好ましい有機チタン触媒は、キレートされた又は部分的にキレートされたチタン化合物である。これらの材料は、例えば、上述したアルコラートをアルファ−若しくはベータ−ジケトン又はこの誘導体と反応させることによって生成される。
【0077】
追加の適切な触媒(III)は、第VIII族金属系触媒又は貴金属触媒、例えばロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金含有触媒を含む。白金系触媒が特に好ましく、担持体、例えば粉末木炭に沈着した白金から塩化第二白金、白金の塩、塩化白金酸及びこれらのカプセル形態までの既知の形態のいずれをとってもよい。白金触媒の好ましい形態は、塩化白金酸、白金アセチルアセトネート、ハロゲン化白金と不飽和化合物、例えばエチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサン、及びスチレンとの錯体、ヘキサメチルジ白金、PtCl
2、PtCl
3、PtCl
4、並びにPt(CN)
3である。
【0078】
更なる実施形態では、第2の最外層(22)のシリコーンは、(i、ii)付加−架橋有機ケイ素化合物の、(iii)触媒の存在下での反応から形成される。(i)を参照して、この化合物は、典型的には、直鎖、環状又は分枝の有機ケイ素化合物、例えば式R
2sR
3tSiO
(4−s−t)/2(式中、R
2は、発生毎に、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、SiC結合脂肪族不飽和ヒドロカルビル基であり、R
3は、発生毎に、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、任意選択により置換されているSiC結合脂肪族飽和ヒドロカルビル基であり、sは、0、1、2又は3、典型的には0、1又は2であり、tは、0、1、2又は3であるが、但し合計s+tは、3以下であるものとし、1分子当たり2つ以上のR
2基が存在する。)の単位を含むことができるシロキサンである、有機ケイ素化合物である。様々な実施形態において、R
2は、脂肪族多重結合を有する、2〜18個の炭素原子のヒドロカルビル基、例えばビニル、アリル、メタリル、2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、ブタジエニル、ヘキサジエニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、エチニル、プロパルギル、及び2−プロピニルを表し、2〜6個の炭素原子を有するこの種のR
2基、とりわけビニル及びアリルが特に好ましい。他の実施形態では、R
3は、1〜18個の炭素原子を有する、より典型的には1〜8個の炭素原子を有する、任意選択により置換されている脂肪族飽和一価ヒドロカルビル基、とりわけメチルを表す。R
3の追加の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びtert−ペンチル基などのアルキル基;n−ヘキシルなどのヘキシル基;n−ヘプチルなどのヘプチル基;n−オクチル及びイソオクチルなどのオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル;n−ノニルなどのノニル基;n−デシルなどのデシル基;n−ドデシルなどのドデシル基;n−オクタデシルなどのオクタデシル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基などのアルケニル基;フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルなどのアリール基;o−、−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基などのアルカリル基;並びにベンジル基、アルファ−フェニルエチル基及びベータ−フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0079】
ここで(ii)を参照して、Si結合水素原子を有する有機ケイ素化合物は、典型的には、式R
4uH
vSiO
(4−u−v)/2の単位からなる直鎖、環状又は分枝シロキサンである(式中、R
4は、発生毎に、同一でも異なっていてもよく、R
3と同一であってもよく、uは、0、1、2又は3であり、vは、0、1又は2、典型的には0又は1であるが、但しu+vの合計は3以下であるものとし、1分子当たり平均で2つ以上のSi結合水素原子がある)。
【0080】
様々な実施形態において、(ii)は、1分子当たり3つ以上のSiH結合を含む。(ii)が1分子当たり2つのSiH結合のみ有する他の実施形態では、(i)は、典型的には、1分子当たり少なくとも3つの脂肪族炭素炭素多重結合を含む。更に他の実施形態では、(ii)は、水素含有率が典型的には0.002重量%〜1.7重量%、より典型的には0.1重量%〜1.7重量%のSi結合水素を有する。他の実施形態では、(ii)は、(i)に対して、(ii)中のSiH基と(i)の脂肪族炭素炭素多重結合を有する基とのモル比が0.5〜5、より典型的には1.0〜3.0になるような量で存在する。
【0081】
上記の任意の実施形態において、1種以上の充填剤を使用してもよい。1種以上の充填剤は、親水性でも疎水性でもよく、補強充填剤、非補強充填剤、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。1つの実施形態では、補強充填剤を利用する。補強充填剤の非限定的な例として、シリカ、二酸化チタン、石英粉末、炭酸カルシウム、アルミのケイ酸塩、有機ケイ素樹脂が挙げられる。ヒュームド又は沈降シリカ充填剤をも使用してもよい。用いることができる非補強充填剤の非限定的な例として、石英粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄又は酸化亜鉛、ケイ酸バリウム、炭酸カルシウム及び妥当な場合硫酸カルシウム、及び阻害効果が外され得る場合、硫酸バリウム、並びにまたポリアクリロニトリル粉末又はポリテトラフルオロエチレン粉末などの高分子粉末がある。追加充填剤は、繊維ガラス及びポリマー繊維などの繊維質の構成要素を更に含む。
【0082】
他の実施形態では、充填剤は、同一であってもよく、又は互いに異なっていてもよい楕円形又は球形の固体及び/又は積層固体として説明される。適切な非限定的な球形−楕円形固体は、酸化ケイ素及び金属酸化物、有機化合物、有機ケイ素化合物、並びにこれらの組み合わせの群から選択することができる。アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、亜鉛、及びスズの金属の酸化物を使用してもよい。コロイドシリカ及び沈降シリカも使用できる。アルミナ、例えばコランダム、酸化アルミニウムと他の金属及び/又はシリコーンとの混合物、チタニア、ジルコニア、並びに酸化鉄も使用できる。球状充填剤は、0.01〜100、1〜40、又は2〜25μmの直径を有してもよい。
【0083】
充填剤は、液体を吸収する選択を与える薄壁中空球若しくはマイクロカプセル、多層壁材構造、コアシェル構造、ナノメートル若しくはマイクロメートルの範囲の粒径を有する厚壁中空球若しくは固体球、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。充填剤は、無機、異形、半自形、微晶質、晶子様X線的非晶質から非晶質であってもよい、又は種々の連晶/凝集体の混合形態を含み、単相だけでなく、多相もあってもよい。ホウケイ酸ガラス、工業銘柄ガラス、SiO
2ガラス、炭酸カルシウム又はセラミック組成物の球、ミクロスフェア又はナノスフェアも利用できる。充填剤は、機能性シラン、例えばビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン又はメタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランで処理してもよい。追加の有機官能基の非限定的な例として、アクリロイル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、及びアルコキシ基が挙げられる。
【0084】
あるいは、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の粒径を有するポリマー有機粒子若しくは粉末又はこれらの混合物、例えば酢酸ビニル−エチレンコポリマー、ポリアクリロニトリル粉末、アクリレート、又はスチレン−アクリレートを利用してもよい。球形固体シリコーン樹脂、例えばMQ樹脂、およそ30℃のガラス転移点を有するTD樹脂、及び/又は官能基を含むこともできるシリコーンエラストマーも使用できる。
【0085】
充填剤はまた、天然フィロケイ酸塩、例えばマイカ若しくは粘土鉱物(焼成変異体を含む)、合成固体、例えば金属フレーク若しくはガラスフレーク若しくはプレートレット形状の金属酸化物/水酸化物又はテクトケイ酸塩、例えばリーフゼオライト、あるいはこれらの組み合わせから選択される積層固体も含んでもよい。天然フィロケイ酸塩の非限定的な例は、タルク−パイロフィライト族の三層ケイ酸塩、白雲母、パラゴナイト、金雲母、及び黒雲母などのマイカ族の二8面体から三8面体三層ケイ酸塩、緑泥石族の四層ケイ酸塩並びにカオリナイト、モンモリロナイト、及びイライトなどの粘土鉱物群の典型がある。
【0086】
積層充填剤は、部分的に未処理であってもよく、又は機能性シランで表面処理されて、若干の補強効果が実現できてもよい。充填剤を表面処理できる機能性シランの非限定的な例として、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン又はメタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランがある。アルコキシ官能基に加え、有機官能基も保有し得るモノ、ジ及びテトラアルコキシシランも利用できる。
【0087】
十分な層間剥離を想定して、積層固体は、典型的には、その長さが厚さよりも数値的に大きいことによって特徴付けられる。これらが天然の層状ケイ酸塩であるか、又は好ましく焼成した変異体であるかに応じて、厚さは、典型的には長さよりも10〜20倍短い。
【0088】
あるいは充填剤は、積層固体1グラム当たり50平方メートル(m
2/g)より大きな高比表面積又は100超の高オイル数を有する積層固体と組み合わせた補強充填剤を含んでもよい。充填剤はまた、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、及び二酸化ケイ素などの多種多様なナノスケール構成要素も含んでもよい。補強充填剤の非限定的な例として、ブルナウアー−エメット−テラー(BET)表面積が少なくとも50m
2/gの発熱性又は沈降シリカ、ファーネスブラック及びアセチレンブラックがある。高吸油性の補強固体の非限定的な例として、珪藻土があり、焼成形態で又は好ましくは天然形態で使用できる。積層固体と追加補強固体は、互いに比較して、2:1及び1:2の重量比又は1:1の比で存在し得る。
【0089】
他の実施形態では、充填剤の表面は、疎水性にして、充填剤を前述の構成要素とより適合性にする。充填剤を疎水性にすることは、充填剤を例えば(A)、(I)又は(i)中に分散させる前又は後のいずれかで行ってよい。これは、充填剤の、脂肪酸、反応性シラン又は反応性シロキサンとの前処理によって達成できる。適切な疎水化剤の非限定的な例として、ステアリン酸、ジメチルジクロロシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヒドロキシル末端ブロック若しくはメチル末端ブロックポリジメチルシロキサン、シロキサン樹脂又はこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。あるいは、充填剤の表面は、インサイチュで、すなわち充填剤を分散させた後で疎水性にしてもよい。シリコーン樹脂も、充填剤、例えばMQ樹脂として使用してもよい。
【0090】
1つの実施形態では、(A)、(I)、及び/又は(i)と(B)、(II)、及び/又は(ii)は、金属充填剤、無機充填剤、溶融性充填剤、及びこれらの組み合わせから選択される充填剤の存在下で反応させ、充填剤は、(A)、(I)、及び/又は(i)と(B)、(II)、及び/又は(ii)との間の反応の生成物中、例えば第2の最外層(22)中に存在する。このような実施形態では、充填剤は、結果として、モジュール及び/又は第2の最外層(22)中に存在すると思われる。あるいは、(A)、(I)、及び/又は(i)と(B)、(II)、及び/又は(ii)は、第2の最外層(22)の全重量に基づいて2〜70重量パーセントの量のタルクの存在下で反応させてもよい。別の実施形態では、(A)、(I)、及び/又は(i)と(B)、(II)、及び/又は(ii)は、第2の最外層(22)の全重量に基づいて最大約30又は35重量パーセントの量の二酸化チタンの存在下で一緒に反応させるが、二酸化チタン及び任意選択のタルクの全量は約45重量パーセントを超えない。本開示を通して、構成要素の組み合わせは、構成要素の物理的組み合わせ及び/又は構成要素の機能的組み合わせの両方を説明できる。第2の最外層(22)の「重量」は、第2の最外層(22)を加える前に、モジュールの他の構成要素をすべて計量し、次に加えた後に再度計量し、前後での差を求めることによって決定できる。
【0091】
あるいは、第2の最外層(22)の重量は、上記のモジュールの1つ以上の構成要素に加える直前に、第2の最外層(22)の構成要素を計量することによって決定してもよい。例えば、第2の最外層(22)が組成物から形成される場合、組成物の重量を利用して第2の最外層(22)の重量を決定することができ、前述の構成要素、化合物、又は充填剤など1つ以上の重量の基準を与え得る。
【0092】
様々な他の実施形態において、第2の最外層(22)は、カオリン、ケイ酸エチル、及び石英を充填剤として含み得るWacker Elastosil(登録商標)47007及び/又はShinetsu X−32−2988/CX−32−2988コーティングであり、を含み、から本質的になり、又はからなるものとして説明してもよい。用語「から本質的になる」とは、この実施形態において、第2の最外層(22)がポリオルガノシロキサン及び/又は有機ポリマーなどの追加ポリマーを含まないことを説明するものでよい。
【0093】
別の実施形態では、第2の最外層は、以下の組成物であり、以下の組成物を含み、以下の組成物から本質的になり、以下の組成物からなり、又は以下の組成物から形成され、ベース部分と硬化剤部分との比は、1:3、2:3、3:3、4:3、5:3、6:3、7:3、8:3、9:3、又は10:3である。
【0095】
添加剤
前述の組成物又は構成要素のいずれか1つもまた、1種以上の添加剤を含んでもよい。1つの実施形態では、染料、接着促進剤、着色剤、顔料、浴寿命延長剤(bath-life extenders)及び軟化剤、硬化阻害剤、難燃剤、酸化防止剤及び/又は触媒ブースターを利用する。他の適切な添加剤は、例えば、接着促進添加剤、例えば金属キレート化合物、例えばアセチルアセトネート、例えばアルミニウムのトリアセチルアセトネート、ジルコニウムのテトラアセチルアセトネート及び鉄のトリアセチルアセトネートの効率性を高めるものである。アルミニウムキレート、とりわけアルミニウムアセチルアセトネートが好ましい。
【0096】
あるいは、天然乾性油及び変性天然乾性油、液状ジエン化合物、及び/又は不飽和脂肪酸エステルを利用してもよい。非限定的な例には、キリ油、アマニ油、ベルノニア油、及びオイチシカ油などの天然乾性油;並びに加熱アマニ油及び脱水ヒマシ油などの変性天然乾性油;1,3−ヘキサジエン又はポリブタジエンなどの液状ジエン化合物、並びに不飽和で、10個超の炭素原子を有することができる脂肪酸エステルが挙げられる。これらのような添加剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.1〜5重量パーセントの量で利用することができる。
【0097】
更に他の実施形態では、樹脂ポリオルガノシロキサン、分散助剤、溶剤、粘度調整剤、接着促進剤、顔料、染料、可塑剤、有機ポリマー、熱安定剤、阻害剤及び安定剤を利用してもよい。阻害剤の非限定的な例として、アセチレンアルコール、例えば1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2メチル−3−ブチン−2−オール、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、ポリメチルビニルシクロシロキサン、例えば1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサン、テトラビニルジメチルジシロキサン、シアヌール酸トリアルキル、マレイン酸アルキル、例えばマレイン酸ジアリル、マレイン酸ジメチル及びマレイン酸ジエチル、フマル酸アルキル、例えばフマル酸ジアリル及びフマル酸ジエチル、有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド及びピナンヒドロペルオキシド、有機過酸化物、有機スルホキシド、有機アミン、ジアミン及びアミド、ホスフィン及び亜リン酸塩、ニトリル、トリアゾール、ジアジリジン並びにオキシムが挙げられる。接着促進剤の非限定的な例として、エポキシシラン、メタクリロイルオキシシラン又はポリシロキサンがある。熱安定剤の非限定的な例として、遷移金属脂肪酸塩、例えばオクチル酸鉄、遷移金属シラノレート、例えばシラノール酸鉄、及びまたセリウム(IV)化合物がある。水、及び、例えばトルエン、キシレン、ベンジン及び酢酸エチルなどの溶剤も使用できる。組成物は、溶剤又は水などの液体中に、溶解、分散、懸濁又は乳化させることができる。
【0098】
結合層/封止材
光電池(14)モジュール(26)はまた、結合層(24)及び/又は封止材のうちの1つ以上をも含んでもよい。結合層(24)は、1つ以上の前述の層を互いに接着させる機能をし得、また封止材としても作用可能である。1つの実施形態では、モジュール(26)は、光電池(14)の周囲に第1の封止材(12)及び第2の封止材(16)を含む。1つ以上の封止材はまた、上記のモジュール(26)の1つ以上の任意の構成要素を囲っていてもよい。様々な非限定的な実施形態を図面中に記述する。1つの実施形態では、モジュール(26)は、光電池(14)の前面側及び背面側上に配置されて直接接触する封止材を含む。
【0099】
結合層(24)/封止材(12、16)は、典型的には、本明細書に記載の他の任意のシリコーンと同一であってもよく、又は異なっていてもよい1種以上のシリコーンであり、を含み、から本質的になり、又はからなる。用語「から本質的になる」とは、典型的には、結合層(24)/封止材(12、16)が非シリコーンポリマー、例えば有機ポリマーを含まないことを表す。様々な実施形態において、1つ以上の結合層(24)/封止材(12、16)は、独立に、これらに限定されないが、シラン、シロキサン、シラザン、シリレン、シリルラジカル又はイオン、単体シリコン、シレン、シラノール、これらのポリマー、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。更に、1つ以上の結合層(24)/封止材は、フリーラジカル反応、ヒドロシリル化反応、縮合反応又は付加反応、熱硬化、紫外線硬化、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない当該技術分野において既知の任意の機構によって、硬化可能であってもよく、硬化されてもよく、部分的に硬化されてもよく、又は完全に硬化されてもよい。
【0100】
結合層(24)/封止材(12、16)は、モジュール(26)の任意の2つ以上の層の間に配置されてもよい。結合増(24)/封止材(12、16)は、1.1〜100mmの浸透深度(depth of penetration)(値)を有してもよい。用語「浸透深度」は、「浸透」又は「浸透値」とも呼ばれる。様々な実施形態において、結合層(24)/封止材(12、16)は、1.3〜100mm、より典型的には2〜55mmの浸透深度を有する。特定の任意の理論に束縛されることを意図するものではないが、温度が上昇すれば、浸透深度の値も高くなると考えられている。結合層(24)/封止材(12、16)は、室温又は任意の他の温度で測定して、1.1〜100mm、1.3〜100mm、又は2〜55mmの浸透深度を有してもよいことが企図される。典型的には、浸透深度は、参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0061724号に記載の手順を用いて、室温で測定される。
【0101】
結合層(24)/封止材(12、16)はまた、−0.6g・sec未満のタック値を有してもよい。様々な実施形態において、結合層(24)/封止材(12、16)は、−0.7〜−300g・sec、より典型的には−1〜−100g・secのタック値を有する。1つの実施形態では、結合層(24)/封止材(12、16)は、約−27g・secのタック値を有する。タック値は、参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0061724号に記載の手順を用いて測定される。
【0102】
結合層(24)/封止材(12、16)は、粘着性であってもよく、ゲル、ガム、液体、ペースト、樹脂、又は固体であってもよい。1つの実施形態では、結合層(24)/封止材(12、16)はフィルムである。別の実施形態では、結合層(24)/封止材(12、16)はゲルである。更に別の実施形態では、結合層(24)/封止材(12、16)は、硬化されて(例えば、予備硬化されて)ゲルを形成する液体である。あるいは、結合層(24)/封止材(12、16)は、複数の部分を含んでもよく、各部分及び全体の結合層(24)/封止材(12、16)が、上記の適当な浸透深度及びタック値を有する限り、各部分は、異なる組成物及び/又は異なる形態(例えば、ゲル及び液体)を含む。結合層(24)/封止材として使用する上で適切な組成物の例は、米国特許出願公開第2011/0061724号並びに/又は米国特許第5,145,933号、同第4,340,709号、及び同第6,020,409号に記載されており、これらの組成物に関して、それぞれ参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0103】
結合層(24)/封止材(12、16)は、当該技術分野において既知の任意の適切な化合物から形成されてもよく、かつ/又はこれを含んでもよい。これらの化合物は、硬化を必要とする場合もあり必要としない場合もある。1つの実施形態では、硬化性組成物は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テレフタル酸ポリエチレン、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む。別の実施形態では、硬化性組成物は、炭素原子を含み、ケイ素原子を含む化合物を実質的に含まない。直前に使用した用語「実質的に含まない」とは、硬化性組成物中に存在するケイ素原子を含む化合物が、0.1重量パーセント未満であることを意味する。硬化性組成物は、有機化合物及び0.1重量パーセント未満のケイ素原子含有化合物を含むことができる。
【0104】
更なる実施形態では、結合層(24)/封止材(12、16)は、ケイ素原子含有硬化性組成物から形成される。結合層(24)/封止材(12、16)は、硬化性シリコーン組成物、例えばこれらの硬化性シリコーン組成物に関して参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許第6,020,409号及び同第6,169,155号に開示されているものから完全に形成することができる。代替実施形態において、結合層(24)/封止材(12、16)は、Midland,MIのDow Corning Corporationから市販されているものなどのシリコーン溶液を含む硬化型又は硬化性組成物から形成されてもよい。特に適切なシリコーン溶液の非限定的な1つの例は、25℃で100mPa.sの動的粘性を有するトリメチルシリル終端ポリジメチルシロキサンである。
【0105】
1つの実施形態では、硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性として更に定義され、1分子当たり少なくとも1つの不飽和部分を有する有機ケイ素化合物、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する有機水素ケイ素化合物、並びに有機ケイ素化合物及び有機水素ケイ素化合物間のヒドロシリル化反応を加速させるために使用するヒドロシリル化触媒を含む。この実施形態では、有機水素ケイ素化合物の1分子当たりのケイ素結合水素原子と、有機ケイ素化合物の1分子当たりの不飽和部分との比は、典型的には、0.05〜100である。
【0106】
代替実施形態において、有機ケイ素化合物は、それ自体がビニルジメチルシリル末端ブロックポリジメチルシロキサンとして更に定義され得るアルケニルジアルキルシリル末端ブロックポリジアルキルシロキサンとして更に定義される。有機水素ケイ素化合物はまた、ジアルキルハイドロジェンシリル終端ポリジアルキルシロキサンとトリアルキルシリル終端ポリジアルキルシロキサン−アルキルハイドロジェンシロキサンコポリマーとの混合物として更に定義され得る。ジアルキルハイドロジェンシリル終端ポリジアルキルシロキサンそれ自体は、ジメチルハイドロジェンシリル終端ポリジメチルシロキサンとして更に定義され得るが、一方でトリアルキルシリル終端ポリジアルキルシロキサン−アルキルハイドロジェンシロキサンコポリマーは、トリメチルシリル終端ポリジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサンコポリマーとして更に定義され得る。あるいは、結合層(24)/封止材(12、16)は、1つ以上の構成要素(A)〜(E)及びこれらの組み合わせを含む硬化性組成物から形成してもよく、これらの組成物に関して参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0061724号に記載されている。
【0107】
モジュールの追加実施形態
1つの追加実施形態では、第1の封止材は、第1の最外層上に配置されて直接接触し、布地は、第1の封止材の内部に配置され、光電池は、第1の封止材上に配置されて直接接触し、第2の封止材は、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触し、後板は、第2の封止材上に配置されて直接接触し、第2の最外層は、後板上に配置されて直接接触する。
【0108】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第1の封止材及び第2の封止材両方の内部に配置された布地、第2の封止材上に配置されて直接接触する後板、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0109】
更に別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、第2の封止材及び後板両方の内部に配置された布地、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0110】
更なる追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、第1の封止材及び後板両方の内部に配置された布地、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0111】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、第1の封止材、結合層及び後板すべての内部に配置された布地、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0112】
更に別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、第1の封止材、第2の封止材及び後板すべての内部に配置された布地、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0113】
更に別の実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、第1の封止材、第2の封止材、結合層及び後板すべての内部に配置された布地、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0114】
追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、第1の封止材の内部に配置された布地、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0115】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、第1の封止材及び結合層両方の内部に配置された布地、結合層上に配置されて直接接触する後板、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0116】
更なる追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第1の封止材及び第2の封止材両方の内部に配置された布地、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、結合層上に配置されて直接接触する後板、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0117】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、第1の封止材、第2の封止材及び結合層すべての内部に配置された布地、結合層上に配置されて直接接触する後板、並びに後板上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0118】
更なる追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触する結合層、第1の封止材及び結合層両方の内部に配置された布地、並びに結合層上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0119】
別の実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触し、後板として機能する結合層、第1の封止材、第2の封止材及び結合層すべての内部に配置された布地、並びに結合層上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0120】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触し、後板として機能する結合層、第1の封止材の内部に配置され、第2の封止材及び結合層両方の上に配置されて直接接触する布地、並びに結合層上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0121】
更に別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、第1の封止材の内部に配置された布地、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触し、後板として機能する結合層、並びに結合層上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0122】
更なる追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触する第2の封止材、第2の封止材上に配置されて直接接触し、後板として機能する結合層、第1の封止材及び第2の封止材両方の内部に配置された布地、並びに結合層上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0123】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触し、後板として機能する第2の封止材、第1の封止材及び第2の封止材両方の内部に配置された布地、並びに第2の封止材上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0124】
別の追加実施形態では、光電池モジュールは、第1の最外層、第1の最外層上に配置されて直接接触する第1の封止材、第1の封止材上に配置されて直接接触する光電池、第1の封止材の内部に配置された布地、光電池及び第1の封止材両方の上に配置されて直接接触し、後板として機能する第2の封止材、並びに第2の封止材上に配置されて直接接触する第2の最外層を含む。
【0125】
光電池モジュールの形成方法
本開示はまた、モジュール(26)を形成する方法も提供する。この方法は、第1の最外層(10)、光電池(14)、後板(18)、及び第2の最外層(22)を組み立てて、モジュール(26)を形成するステップを含む。1つの実施形態では、第1の最外層(10)、光電池(14)、及び後板(18)は、第2の最外層(22)と組み合わせる前に、一緒に組み立てられる。例えば、第2の最外層(22)は、現場で既に組み立てられた既存のモジュールに導入してもよい。別の実施形態では、第1の最外層(10)、光電池(14)、後板(18)、及び第2の最外層(22)を同時に組み立てる。更に別の実施形態では、後板(18)及び第2の最外層(22)は、第1の最外層(10)又は第1の最外層(10)及び光電池(14)と組み合わせる前に、一緒に組み立てられる。
【0126】
組み立てステップは、1つ以上の任意の上記のものを別のものと接触及び/又は圧縮させるものとして更に定義されてよい。圧縮ステップの後であっても、光電池(14)及び第1の最外層(10)を互いに直接接触させる必要はない。圧縮ステップは、例えば光電池(14)及び第1の最外層(10)に、真空を生じさせるものとして更に説明することができる。あるいは、圧縮のために、力学的おもり、プレス機又はローラ(例えば、ピンチローラ)が使用されてもよい。圧縮ステップは、モジュール(26)及び/又は任意の1つ以上の上記構成要素を積層するものとして更に説明することができる。更に、この方法は、モジュール(26)及び/又は任意の1つ以上の上記構成要素を加熱するステップを含んでもよい。加熱は、任意の他の接触及び/又は圧縮のステップと組み合わせて行ってもよく、あるいは別個のステップで加熱してもよい。真空は、任意の他の接触及び/又は圧縮のステップと組み合わせて適用してもよく、あるいは別箇のステップで適用してもよい。方法全体は、連続式でもバッチ式でもよく、あるいは連続ステップとバッチステップの組み合わせを含んでもよい。
【0127】
任意の1つ以上の他の層又は構成要素を組み立てる前に、組み立てると同時に、又は組み立てた後で、第2の最外層(22)を後板(18)に加えてもよい(例えば、接触させてもよい)ことが企図される。1つの実施形態では、第2の最外層(22)を、例えば現場で既に使用中の既存のモジュール(26)に塗布する。これは、既存のモジュール(26)を第2の最外層(22)によって改造するものとして説明することができる。
【0128】
あるいは、光電池(14)は、化学蒸着又は物理スパッタリングによって後板(18)上に直接配置させてもよい。更に別の実施形態では、光電池(14)は、化学蒸着又は物理スパッタリングによって第1の最外層(10)上に直接配置する。光電池(14)は、当該技術分野で既知の任意の適切な機構によって配置(塗布)することができるが、典型的には、アプリケータを使用して連続方式で塗布される。1つの実施形態では、光電池(14)は、化学蒸着又は物理スパッタリングによって第1の最外層(10)上に配置される。光電池(14)を第1の最外層(10)上に配置する他の適切な機構は、光電池(14)と第1の最外層(10)とをより完全に接触させる力を光電池(14)に付与することを含む。
【0129】
任意の構成要素の前述の組成物はいずれも、これらに限定されないが、スプレーコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、押出コーティング、ナイフコーティング、スクリーンコーティング、積層、融解、鋳込み、ブラッシング、及びこれらの組み合わせを含めた当該技術分野において既知の任意の適切な塗布方法を使用して配置することができる。様々な実施形態において、1種以上のシリコーン組成物を、第1の部及び第2の部を含む複数の部のシステムとして供給する。第1の部及び第2の部は、塗布直前に混合してもよい。更なる実施形態では、この方法は、1種以上の前述の組成物のいずれかを部分的に硬化するステップ、例えば「予備硬化」を更に含む。
【0130】
追加実施形態では、この方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,793,759号に記載されている通り、第1の最外層(10)、光電池(14)、後板(18)、及び/又は第2の最外層(22)をプラズマで処理するステップを含んでもよい。
【0131】
二層後板
本開示はまた、光電池(14)モジュール(26)の二層後板(図示せず)も提供する。後板は、典型的には、汚損及び層間剥離に耐性があり、厚さを有し、典型的には、有孔基板、及び該有孔基板上に配置され、該有孔基板の穿孔に直接接触する防汚層から本質的になる。例えば、防汚層は、1つ以上の穿孔を封止してもよく、部分的に封止してもよく、塞いでもよく、又は部分的に塞いでもよい。しかしながら、穿孔は常に存在していなくてもよいことが企図される。この実施形態では、後板は、無孔基板及びその上に配置された防汚層から本質的になってもよい。
【0132】
二層後板は、自立型であってもよく、又は支持部材上に支持されていてもよい。支持部材は、レール又は、レールに使用する複数のパッド又は設置場所でPVセルパネル又はモジュールを支持するパッドであってもよい。典型的には、二層後板は、モジュール(26)上/中に配備されるまで又はレール若しくはパッドに接合されるまで自立型である。
【0133】
有孔基板は、上記の後板として更に説明することができる。しかしながら、有孔基板は、後板とは異なっていてもよい。穿孔は、いかなるサイズ、形状、及び数であってもよく、有孔基板を通って完全に延長してもよく、又は有孔基板を通って部分的にのみ延長してもよい。様々な実施形態において、穿孔は、ナノメートル又はマイクロメートルのサイズであり、例えば上記の1種以上の種々のシリコーンポリマーによって定義される。穿孔自体は、様々な製造プロセス中の被覆欠陥又は断裂がもたらす孔又は裂け目として説明することができる。
【0134】
第2の最外層(22)として更に説明することができる防汚層は、上記の通りである。1つの実施形態では、有孔基板は、第1のシリコーンから本質的になる。別の実施形態では、防汚層は、第1のシリコーンとは異なる第2のシリコーンから本質的になり、第2の最外層(22)に対して上記の摩擦係数を示す。更に別の実施形態では、防汚層は、被覆量10〜15g/m
2で有孔基板上に配置され、穿孔を少なくとも部分的に塞ぐ。直前で、また本開示全体で述べた前述の用語「塞ぐこと」及び/又は「塞ぐ」などは、物理的に遮断することによって、例えば穿孔のサイズを縮小することによって、かつ/又は静電相互作用を介して遮断することによって、水蒸気、水滴、埃、光などから部分的に又は完全に物理的に塞ぐことを説明することができる。
【0135】
二層後板及び防汚層は、モジュールが湿潤漏れ電流試験に合格できるように構造的完全性を高めながら、光電池モジュールを汚損及び層間剥離に耐性があるようにさせる。更に、二層後板及び第2の最外層は、光電池モジュールを、重量及び原料の使用量を減らすと同時に、コストを削減し、複雑度を減らして製造できるようにする。防汚層は、第2の最外層(22)に対して上記したように、ISO 8295にしたがって測定した、それ自体に対する0.1〜0.7、0.2〜0.6、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、又は0.7の摩擦係数を示し得る。典型的には、摩擦係数が低いほど、防汚層に保持される(例えば、くっついている)埃、汚れ、粉塵は少ない。
【0136】
二層後板(及び上記の第2の最外層(22))の汚れへの耐性は、防汚層及び/又は第2の最外層(22)からの埃の清浄と、防汚層及び/又は第2の最外層(22)を含まない基板からの埃の清浄とを比較することによって決定できる。例えば、埃の層(例えば、1平方メートル当たり5グラム)は、前述の表面の1つに配置され得、次に水源(実験室の採水器など)からの所定量の水をスプレーしてもよい。水をスプレーした後、残った埃の量を、重量及び/又は目視検査によって定量化可能である。
【0137】
発電方法
本開示はまた、本開示のモジュール(26)を利用して発電する方法も提供する。本方法は、モジュールを太陽光に曝して発電するステップを含む。本方法はまた、電線管によって光電池モジュールから電気装置に電気を伝送して電気装置に電力供給するステップも含んでもよい。電線管は、特に限定されず、電力線、パイプ、伝送線、電線、ケーブル、高圧直流(HVDC)伝達システムなどを含み得る。1つの実施形態では、導管は、1つの都市、タウンシップ、村、群、州、領土、県、地方、又は国から別の地域へ拡張する。モジュール(26)のアレイはまた、本開示及び本方法において利用することもできる。この方法はまた、電気で電気装置に電力供給し、光、熱、電圧差、又は原動力を発生させるステップも含むことができる。
【0138】
別の実施形態では、本開示は、ASTM E424−71(2007)を用いる紫外/可視分光測光法によって測定したとき少なくとも70パーセントの光透過率を有する第1の最外層を含み、光電池が第1の最外層上に配置され、後板が光電池上に配置され、第2の最外層が第1の最外層と反対側にあり、第2の最外層が後板の外側に面する表面上に配置され、第2の最外層と第1の最外層との間に光電池及び後板を挟む、光電池モジュールによって生じる電気で電気装置に電力供給する方法を提供する。この実施形態では、第2の最外層は、後板の外側に面する表面1m
2当たり3〜75gの被覆量で存在し、後板及び第2の最外層は、それぞれ独立に、シリコーンから本質的になる。その上、この実施形態では、光電池モジュールは、1000時間の湿度サイクルの後の、IEC 61215を用いる、少なくとも1000Vの電圧での、湿潤漏れ電流試験に合格する。この実施形態では、本方法は、光電池モジュールを太陽光に曝して発電するステップ、電線管によって光電池モジュールから電気装置に電気を伝送して電気装置に電力供給するステップ、及び電気を用いて電気装置又はその電気構成要素に電力供給するステップを含む。電気装置は、電化製品(例えば、台所、照明)、バッテリー、通信装置(例えば、携帯電話、固定回線電話、テレビ、ラジオ)、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバー、タブレット)、電子ディスプレー(LCD、プラズマ、LED、CRT)、電動機、又は電気自動車を含むことができる。
【実施例】
【0139】
モジュールの形成
(モジュール1〜19)のシリーズは、本開示の方法にしたがって形成される。更に、9つの比較モジュール(比較モジュール1〜9)も形成されるが、本開示の方法には従わない。
【0140】
各モジュール1〜19は、以下を含む。
ASTM E424−71(2007)を用いる紫外/可視分光測光法によって測定したとき少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1の最外層(ガラス)、
第1の最外層上に配置された156mm×156mm×200μmの光電池、
第1の最外層及び光電池両方の上に配置されて直接接触し、これら両方の間に挟まれた156mm×156mmの前面側の封止材、
背面側の封止材及び第2の最外層の両方の上に配置されて直接接触し、これら両方の間に挟まれた156mm×156mmの後板、並びに
156mm×156mmの第2の最外層。
【0141】
モジュール1、3、5、7、10、12、及び14はまた、背面側の封止材の内部に配置され、該封止材によってカプセル化される156mm×156mmのスクリム繊維ガラス層も含む。
【0142】
各比較モジュール1〜9は、第1の最外層、光電池、前面側及び背面側の封止材、並びに後板を含む。しかしながら、いずれの比較モジュールも本開示の第2の最外層を含まない。モジュール1〜19及び比較モジュール1〜9をそれぞれ形成するために使用される構成要素を以下の表1に記載する。
【0143】
【表3】
【0144】
後板Aは、厚さ0.1mm(5ミル)で織り繊維ガラス(繊維ガラス1)上にカレンダー加工した高粘度ゴムである。高粘度ゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物であり、石英充填剤及び顔料を含む。この後板は、アルロンによって被覆される。
【0145】
後板Bは、厚さ0.25mm(10ミル)で織り繊維ガラス(繊維ガラス1)上にカレンダー加工した高粘度ゴムである。高粘度ゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物であり、石英充填剤及び顔料を含む。この後板は、アルロンによって被覆される。
【0146】
後板Cは、厚さ0.25mm(10ミル)で織り繊維ガラス(繊維ガラス1)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物であり、三水和アルミナ充填剤及び顔料を含む。この後板は、Von Rollによって被覆される。
【0147】
後板Dは、厚さ0.25mm(10ミル)で織り繊維ガラス(繊維ガラス2)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物であり、三水和アルミナ充填剤及び顔料を含む。この後板は、Von Rollによって被覆される。
【0148】
後板Eは、およそ120g/m
2で織り繊維ガラス(繊維ガラス2)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物である。これは、ヒュームドシリカ及び顔料を含む。これは、ヒドロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ終端シロキサン及び白金の反応生成物であるタルク含有ハードトップコートで、およそ15g/m
2で、被覆される。
【0149】
後板Fは、およそ180g/m
2で織り繊維ガラス(繊維ガラス2)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物である。これは、ヒュームドシリカ及び顔料を含む。これは、ヒドロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ終端シロキサン及び白金の反応生成物であるタルク含有ハードトップコートで、およそ15g/m
2で、被覆される。
【0150】
後板Gは、およそ300g/m
2で織り繊維ガラス(繊維ガラス2)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物である。これは、ヒュームドシリカ及び顔料を含む。これは、ヒドロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ終端シロキサン及び白金の反応生成物であるタルク含有ハードトップコートで、およそ15g/m
2で、被覆される。
【0151】
後板Hは、両面60g/m
2で2つの表面の織り繊維ガラス(繊維ガラス2)上に被覆した液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、白金で触媒されたジメチルビニル終端シロキサンとジメチルハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応生成物である。これは、ヒュームドシリカ及び顔料を含む。これは、ヒドロキシ終端ジメチル、メチルビニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ終端シロキサン及び白金の反応生成物であるタルク含有ハードトップコートで、およそ15g/m
2で、被覆される。
【0152】
封止材1は、低弾性(前面側)の封止材であり、白金によって触媒された、2つの異なるジメチルビニル終端ポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェン終端ポリジメチルシロキサン及び1分子当たり少なくとも3つのSiH単位を含有するトリメチルシロキシ終端ジメチルメチルハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル化反応生成物であり、PDMSを含む。
【0153】
封止材2は、低弾性(背面側)の封止材であり、白金によって触媒された、ジメチルビニル終端ポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェン終端ポリジメチルシロキサン及び1分子当たり少なくとも3つのSiH単位を含有するトリメチルシロキシ終端ジメチルメチルハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル化反応生成物である。
【0154】
封止材3は、高弾性(PV)の封止材であり、白金によって触媒された、ジメチルビニル終端ポリジメチルシロキサン及び1分子当たり少なくとも3つのSiH単位を含有するトリメチルシロキシ終端ジメチルメチルハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル化反応生成物である。
【0155】
繊維ガラス1は、厚さ0.2mm(7ミル)のJPS複合材料由来の織り繊維ガラスである。
【0156】
繊維ガラスは、厚さ0.12mm(4.8ミル)のJPS複合材料由来の織り繊維ガラスである。
【0157】
繊維ガラス3は、厚さ0.25mm(5ミル)のJPS複合材料由来の織り繊維ガラスである。
【0158】
繊維ガラス4は、厚さ0.15mm(5.9ミル)のJPS複合材料由来の織り繊維ガラスである。
【0159】
繊維ガラス5は、厚さ0.11mm(4.4ミル)のJPS複合材料由来の織り繊維ガラスである。
【0160】
形成後、種々のモジュール1〜19及び比較モジュール1〜9の3つのサンプルを、IEC 61215(湿度サイクル)及び熱サイクルに準じて評価し、モジュールが種々の時間間隔で電力及び湿潤漏れ試験に合格するかを決定する。結果を以下の表2及び表3に記載する。
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
上の表2及び表3において、用語「合格」は、3つのサンプルすべてが各評価に合格したことを示す。用語「2
*」は、3つのサンプルのうち2つが各評価に合格したことを示す。用語「1
*」は、3つのサンプルのうち1つが各評価に合格したことを示す。用語「不合格」は、3つのサンプルすべてが各評価に不合格だったことを示す。用語「該当なし」は、評価を実施しなかったことを示す。
【0166】
上で説明される値の1つ以上は、変動が本開示の範囲内に留まる限り、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%などで変動し得る。他のすべての部材とは無関係に、マーカッシュ群の各部材から、予期しない結果が得られることがある。各部材は、個別にかつ/又は組み合わせで依存してもよく、添付の「特許請求の範囲」に含まれる特定の実施形態を十分に支援する。本明細書に記載の段落及び実施形態のすべての組み合わせに加え、独立請求項並びに単独従属及び複数従属両方の従属請求項のすべての組み合わせの主題は、本明細書中で明確に企図される。本開示は、説明の文言を含めて、限定よりもむしろ説明のためのものである。上記の教示を鑑みれば、本開示の多数の修正及び変形が可能となり、本開示は、本明細書で具体的に説明した以外の形でも実施され得る。