(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427499
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】動物用食品組成物および製造方法
(51)【国際特許分類】
A23K 50/40 20160101AFI20181112BHJP
A23K 10/26 20160101ALI20181112BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20181112BHJP
A23K 20/00 20160101ALI20181112BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20181112BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20181112BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20181112BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20181112BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20181112BHJP
【FI】
A23K50/40
A23K10/26
A23K10/30
A23K20/00
A23K20/20
A23L33/10
A23L33/15
A23L33/16
A23L33/17
【請求項の数】45
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-546441(P2015-546441)
(86)(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-505252(P2016-505252A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2012070504
(87)【国際公開番号】WO2014196948
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2015年6月8日
【審判番号】不服2017-8667(P2017-8667/J1)
【審判請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ワイ・ルン・チェク
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・エイ・セムジェノウ
【合議体】
【審判長】
伊藤 昌哉
【審判官】
福島 浩司
【審判官】
渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−095174(JP,A)
【文献】
特開平08−336373(JP,A)
【文献】
特表2003−532394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A23K 10/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク源およびでんぷんとしてコーンスターチのみを含み、天然のハイアミロースコーンスターチが該コーンスターチの少なくとも50重量%を構成し、前記タンパク源は加水分解タンパクであり、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、該コーンスターチを50〜70重量%の量で含み、かつ乾燥物質ベースで、前記天然のハイアミロースコーンスターチは50〜70重量%の量でアミロースを含む、動物用食品組成物。
【請求項2】
前記タンパク源が、組成物のタンパク質含有量の少なくとも90%を構成する、請求項1に記載の動物用食品組成物。
【請求項3】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を20〜45重量%の量で含む、請求項1または請求項2に記載の動物用食品組成物。
【請求項4】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を25〜40重量%の量で含む、請求項3に記載の動物用食品組成物。
【請求項5】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を30〜35重量%の量で含む、請求項4に記載の動物用食品組成物。
【請求項6】
前記タンパク源が家禽の肝の加水分解物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項7】
前記家禽の肝の加水分解物が、鶏肝加水分解物である、請求項6に記載の動物用食品組成物。
【請求項8】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記コーンスターチを50〜60重量%の量で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項9】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記コーンスターチを50〜55重量%で含む、請求項8に記載の動物用食品組成物。
【請求項10】
食物繊維源をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項11】
前記食物繊維源がセルロースである、請求項10に記載の動物用食品組成物。
【請求項12】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記食物繊維源を5〜8重量%の量で含む、請求項10または請求項11に記載の動物用食品組成物。
【請求項13】
食用油をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項14】
前記食用油がダイズ油である、請求項13に記載の動物用食品組成物。
【請求項15】
乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記食用油を3.5〜5重量%の量で含む、請求項13または請求項14に記載の動物用食品組成物。
【請求項16】
さらに、ミネラル、ビタミンおよび補助アミノ酸から選択される1つまたはそれ以上の栄養成分を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項17】
ウェットフードの形態である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項18】
コンパニオンアニマル用の、請求項1〜17のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項19】
イヌ科の動物用の、請求項18に記載の動物用食品組成物。
【請求項20】
低アレルギー性組成物である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の動物用食品組成物。
【請求項21】
動物における食物アレルギーを処置または予防するのに用いられる、請求項20に記載の動物用食品組成物。
【請求項22】
処置を必要とする動物における食物アレルギーを処置または予防する方法であって、食物アレルギーを処置または予防するのに有効な量で請求項20に記載の組成物を動物に与えることを含む、方法。
【請求項23】
(i)混合物を形成するために、タンパク源、でんぷんとしてコーンスターチのみおよび水を混合すること、ならびに(ii)該混合物を加熱することを含み、ここで、天然のハイアミロースコーンスターチは該コーンスターチの少なくとも50重量%を構成し、前記タンパク源は加水分解タンパクであり、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、該コーンスターチを50〜70重量%の量で含み、かつ乾燥物質ベースで、前記天然のハイアミロースコーンスターチは50〜70重量%の量でアミロースを含む、動物用食品組成物の製造方法。
【請求項24】
前記混合物を70〜90℃の温度に加熱する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物を82℃の温度に加熱する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
加熱した前記混合物を70℃〜80℃の温度で10〜15分維持する、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
スクリュースレッドコンベア装置で実施される、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
バッチ法で実施される、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が計量された部分にて前記装置から送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記タンパク源が、組成物のタンパク質含有量の少なくとも90%を構成する、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を、20〜45重量%の量で含む、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を25〜40重量%の量で含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記タンパク源を30〜35重量%の量で含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク源が家禽の肝の加水分解物を含む、請求項23〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記家禽の肝の加水分解物が鶏肝加水分解物である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記コーンスターチを50〜60重量%の量で含む、請求項23〜35に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記コーンスターチを50〜55重量%の量で含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物がさらに食物繊維源を含む、請求項23〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記食物繊維源がセルロースである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記食物繊維源を5〜8重量%の量で含む、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物がさらに食用油を含む、請求項23〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記食用油がダイズ油である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、前記食用油を3.5〜5重量%の量で含む、請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、さらに、ミネラル、ビタミンおよび補助アミノ酸から選択される1つまたはそれ以上の栄養成分を含む、請求項23〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記栄養成分が低アレルギー性成分である、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
[0001]
動物用食品組成物の生産は、構成成分を一緒に混合すること、および該成分を調理するために、高温にまで加熱することを含む。慣用の装置がそのような方法に利用でき、典型的には、成分を加熱および混合するためのスクリュースレッド(screwthread)コンベア装置の使用を含んでよい。装置から調理された組成物の計量された部分(metered portions)を缶に容れ、次いで密封、殺菌および冷却してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002]
製造工程における加熱工程は組成物の粘度に変化を引き起こし、これは制御することが困難であり、製品のバラツキにつながる。本発明は、食品組成物製品における、およびその製造方法における改善を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
(本発明の簡単な説明)
[0003]
第一の態様において、本発明は、タンパク源およびコーンスターチを含み、天然のハイアミロースコーンスターチが該コーンスターチの少なくとも50重量%を構成する、動物用食品組成物を提供する。
【0004】
[0004]
食品組成物の構成成分がタンパク源、例えば家禽の肝の加水分解物や慣用のデンプンを含む場合、加熱工程の間に、装置内で高粘性物質が生成され得ることが分かった。この高粘性物質は、均一でない混合および/または均一でない装置からの流出を引き起こし得る。結果として、最終的な食品組成物製品のテクスチャーは、バッチ間で変動し得る。加えて、最終的な動物用食品は高温に非常に敏感な場合があるが、不十分な粘度となると、動物の飼い主に滴り易過ぎると知覚され得る。これは、製品が暖かい状態で貯蔵される場合、たとえば海運の間に、問題となり得る。
【0005】
[0005]
コーンスターチの少なくとも50重量%を天然のハイアミロースコーンスターチで置き換えた場合、製品の高温に対する感受性が低下または無視されるということが、驚くべきことに見出された。加えて、食品の最終的な粘度は顕著に高い。結果的に、より消費者に許容されるテクスチャーを有し、かつこれまでにこの種の変形物でも遭遇したことがない、本発明に係る動物用食品組成物が造り出され得る。
【0006】
[0006]
デンプンの主要な構成要素は、アミロースおよびアミロペクチンである。慣用のデンプンでは、アミロースよりアミロペクチンがより多く存在する。慣用のコーンスターチは、約25重量%のアミロース含有量を有する。これは小麦デンプンのアミロース含有量に相当し、約17%のアミロース含有量を有するタピオカデンプンより高い。アミロペクチンは体重のバランスを整える。ハイアミロースコーンスターチは、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、約50〜約70重量%のアミロース含有量を典型的に有する。対応するアミロペクチン含有量は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、約30〜約50重量%である。ハイアミロースコーンスターチは、多くの異なる方法にて調製することができる。例えば、デンプン調製物の化学処理、例えば化学架橋反応または酸化反応または誘導体化の他の形式のいくつかによりデンプンを誘導体化することが可能である。これらの処置は、天然のハイアミロースコーンスターチを産生するものではない。本発明の目的に関して、天然のハイアミロースコーンスターチは、化学的または酵素的手法により誘導体化していないものであり、かつ乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約70重量%のアミロース含有量を典型的に有する。誘導体化されたコーンスターチは本発明にはあまり好ましくなく、なぜならば、それが不十分な消化性を有し、結果的に、動物において下痢を潜在的に引き起こし得るからである。
【0007】
[0007]
1つの実施形態において、天然のハイアミロースコーンスターチは約50%のアミロース含有量を有する。
【0008】
[0008]
本発明に関し、動物用食品組成物はコーンスターチを含む。典型的には、乾燥重量ベースで、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、コーンスターチを40〜70重量%の量で含む。場合により、組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、コーンスターチを45〜60重量%、場合により50〜55重量%の量で含む。組成物中のコーンスターチの量に関して、少なくとも約50重量%が天然のハイアミロースコーンスターチである。該スターチの残りは、典型的には慣用のコーンスターチである。コーンスターチの全部が天然のハイアミロースコーンスターチを含むよう、最大100%の高比率の天然のハイアミロースコーンスターチを含めることが可能である。天然のハイアミロースコーンスターチは慣用のコーンスターチよりかなり高価であり、そのため、本文中で記載する改善された特性を与える天然のハイアミロースコーンスターチの量は費用とのバランスをとられなければならない。ハイアミロースコーンスターチが全コーンスターチの重量あたり50%を下回る量で存在する場合には、該組成物は50重量%以上のレベルで見られた改善を示さないことが見出される。
【0009】
[0009]
本発明のタンパク源は、植物源、動物源または両方ともを含む当業者には既知の様々な源から生じてもよい。動物源は、たとえば、食肉、食肉以外の有用部分、酪農生産物および卵を含む。食肉は、たとえば、家禽、魚および哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジおよびヤギの肉を含む。食肉以外の有用部分は、たとえば、肺、腎臓、脳、レバー、胃および腸(その内容物を全く含まないまたは本質的に含まない)を含む。タンパク源は、無処置タンパク質、部分的に加水分解されたタンパク質、または完全にもしくはほぼ完全に加水分解されたタンパク質を含んでよい。タンパク源は補助アミノ酸を含まないが、付加的な栄養成分として添加されてもよい。
【0010】
[0010]
1つの実施形態において、家禽の肝の加水分解物は、食品組成物から食品アレルゲンを減らす又は排除するために、本発明においてタンパク源として使用することができる。酪農生産物、牛肉タンパク質および植物性タンパク質は、イヌでは食品性過敏症を引き起こすことがあり得る。1つの実施形態において、組成物のタンパク質含有物は、本質的に家禽の肝の加水分解物から成る。
【0011】
[0011]
1つの実施形態において、タンパク源は組成物のタンパク質含有量の少なくとも90%を構成する。1つの実施形態において、組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、タンパク源を20〜45重量%の量で含む。他の実施形態において、組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、タンパク源を25〜40重量%の量で含み、30〜35重量%であってもよい。
【0012】
[0012]
本発明に係る動物用食品組成物は、様々な源、例えば植物繊維源から得られ得る食物繊維源をさらに含んでもよい。これらの植物繊維源は、セルロース、ビートパルプ、落花生殻および大豆繊維を含む。1つのアレンジにおいて、食物繊維源はセルロースである。
【0013】
[0013]
組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、食物繊維源を5〜8重量%の量で含んでもよい。特に、組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、食物繊維源を6.5〜7重量%の量で含んでもよい。
【0014】
[0014]
動物用食品組成物は、食用油をさらに含んでもよい。食用油は動物用食品組成物での使用に適した任意の油または脂肪であってよく、動物性脂肪、魚油および植物油を含む。1つのアレンジにおいて、食用油はダイズ油である。組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、食用油を3.5〜5重量%の量で含む。特に、組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、食用油を4.2〜4.5重量%の量で含む。
【0015】
[0015]
動物用食品組成物は、ミネラル、ビタミンおよび補助アミノ酸から選択されてもよい1つまたはそれ以上の栄養成分をさらに含んでもよい。ビタミンおよびミネラルは、欠乏を避け、かつ健康を維持するのに必要とされる量で含めることができる。これらの量は当分野で容易に入手可能である。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)の公式刊行物は、イヌおよびネコの該栄養分に関する推奨量を提供する。アメリカ飼料検査官協会社、公式刊行物、pp.146−155(2011)を参照のこと。食品添加物として一般に有用なビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシンおよびパントテン酸を含む。食品添加物として有用なミネラルおよび微量元素は、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロリド、鉄、セレン、ヨウ素および鉄を含む。
【0016】
[0016]
動物用の組成物は、含水飼料(moist food)の形態で製造することができる。含水飼料は、本文中では、約25乃至90%またはそれ以上の水分含有率を有する食品を意味する。
【0017】
[0017]
本発明の動物用食品組成物は、コンパニオンアニマル用に配合することができる。コンパニオンアニマルは、イヌ科の動物およびネコ科の動物を含む。1つのアレンジにおいて、本発明に係る食品組成物は、イヌ科の動物用である。
【0018】
[0018]
本発明に係る動物用食品組成物は、例えばアレルゲンが少ない、またはアレルゲンを実質的に含まない低アレルギー性組成物であってよい。低アレルギー性組成物が要求される場合、組成物を構成する各成分はそれ自体が本質的にアレルゲンを含まないものでなければならない。家禽の肝の加水分解物は、そのような食物成分である。1つのアレンジにおいて、タンパク源は本質的に家禽の肝の加水分解物から成る。本発明に係る組成物は、動物における食物アレルギーの処置または防止に使用することができる。
【0019】
[0019]
したがって、第二の態様において、本発明は、動物における食物アレルギーを処置または予防する方法を提供する。該方法は、動物に、本文中に記載の組成物を食物アレルギーを処置または予防するのに有効な量で与えることを含む。
【0020】
[0020]
さらなる態様において、本発明は、混合物を形成するために、タンパク源、コーンスターチおよび水を混合すること、および該混合物を加熱することを含み、天然のハイアミロースコーンスターチは該コーンスターチの少なくとも50重量%を構成する、動物用食品組成物の製造方法の製造方法を提供する。
【0021】
[0021]
典型的には、混合物は70〜90℃の温度まで加熱される。1つのアレンジにおいて、混合物は約82℃の温度まで加熱される。混合物を熱することは、組成物の粘度を増加させる原因となる。以下でさらに詳細に記載するように、本発明に係る組成物の粘性が増大する割合は、慣用の組成物で観察される割合よりも小さく、時間に対する滑らかな粘性変化が観察される。そうでない場合に充填装置を詰まらせ得る高粘性物質は、結果として、装置を通じて不均一な混合または不十分な流れを引き起こす量で形成されない。
【0022】
[0022]
本発明の方法に関して、加熱した混合物は、典型的には、該成分を調理する期間の間、約70℃〜80℃の温度に維持される。これは、約10分〜約15分であってよい。この期間の間に、加熱した混合物の成分は調理されることとなる。その粘度の最終的な値は、慣用の成分を使用して見られる粘度の値よりも低い。本発明に係る方法は、食品製造分野で慣用のスクリュースレッドコンベア装置にて典型的に実施される。最初の成分は、加熱に適した容器中で混合してよい。該成分をブレンドする間、該混合物の加熱は、いずれかの適切な方法、例えば直接の蒸気噴射または、または熱交換器で占められた容器を使用することによって達成される。
【0023】
[0023]
本発明に係る方法バッチ処理で調製され得る。
【0024】
[0024]
プロセス終了後、組成物を用いて、容器、例えば缶に充填してよい。1つのアレンジにおいて、組成物は装置から、典型的には計量された部分にて送達される。容器を密閉して、慣用の機器を用いてその内容物を殺菌する。商業ベースの殺菌は、使用する温度および組成物に依存するが適当な時間、約120℃超の温度にまで加熱することによって、通常、達成される。
【0025】
(図面の簡単な説明)
[0025]
ここで、例示のみを目的として、以下の実施例および添付した図面を参照しつつ本発明を詳述する:
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、慣用のコーンスターチ、本発明に係るコーンスターチ、および鶏肝加水分解物を比較する、RVAグラフである。
【
図2】
図2は、本発明の組成物を、慣用の比較例組成物と比較する、RVAグラフである。
【
図3】
図3は、加熱実験で種々の時間に取得したデンプン試料を比較する、RVAグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳しい説明)
実施例1
組成物
[0029]
表1は、以下の実施例に使用する動物用の配合物の組成を示す。配合物は、表2で示されるように、コーンスターチ中に存在する慣用のコーンスターチ:ハイアミロースコーンスターチの分量が異なるが、同じ成分を有する。
【表1】
【0029】
実施例2
スターチ(デンプン)のレオロジー分析
[0030]
食品組成物に含まれ得る成分の混合物のレオロジー検査は、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を使用して実施した。以下でさらに詳細に記載するように、RVA分析は、測定されるサンプルの温度が変化する間の時間経過に応じた、時間に対する粘度のプロットを結果的にもたらす。サンプルの温度も、同じグラフ上に時間に対してプロットされる。したがって、同じグラフ上で、サンプルの温度に対する該サンプルの粘度の振る舞いを比較することが可能である。
【0030】
[0031]
慣用のコーンスターチ、アミロース含有率約50%を有する天然のハイアミロースコーンスターチのサンプル、および鶏肝加水分解物サンプルに対して、RVA分析を実施した。RVA分析は、ラピッドビスコアナライザーを使用して実施した。結果を
図1に示す。周囲温度にて開始し、温度は最終的に最大温度95℃に達するまで線形に上昇した。サンプルを、約49℃に再び冷却した。鶏肝加水分解物および天然のハイアミロースコーンスターチが温度変化に関してほとんどの期間で非常に低い粘度を有したことは、時間に対する粘度のプロットから明白であろう。鶏肝加水分解物は、天然のハイアミロースコーンスターチよりも高い粘度にて出発したが、両方とも時間経過の最後までには低かった。対照的に、慣用のコーンスターチは約2500センチポアズの最大粘度にまで増加し、約1600センチポアズの粘度にまで減少して、再び増加した。
【0031】
[0032]
かくして、両タイプのデンプンは周囲温度で水様の粘度を有するが、慣用のコーンスターチの振る舞いは加熱に際して劇的に変化した。
【0032】
実施例3
動物用食品組成物のレオロジー分析
[0033]
種々のデンプン混合物を使用する動物用の食品組成物の作用を比較するために、RVA分析を表2中の組成物に対して実施した。
【0033】
[0034]
図2中、試験サンプルA、BおよびCで示されるように、全て、RVA分析の対照例と同様にふるまった。デンプンがペーストを形成する閾値の温度に達したら、全て粘度が急速に増加した。非常に低い初期の粘度の後、約80℃で、粘度は1分のオーダーの期間内に7000センチポアズを超える値にまで素早く上昇する。時間が経過するにつれて、粘度は、約2000センチポアズのトラフ値にまで低下し、5000センチポアズ・オーダーの最終的な粘度にまで再び増加する。
【0034】
[0035]
対照的に、試験サンプルDは非常にゆっくりとした速度で高粘度に進行し、8000センチポアズを超えるピークを有する滑らかな曲線を描いた。曲線は、5000センチポアズより僅かに小さい値のトラフにまで落ち込み、再び、8000センチポアズの最大値まで上昇した。この挙動は、より低い割合の天然のハイアミロースコーンスターチを含む他のサンプルのいずれの挙動とも著しく異なる。
【0035】
実施例4
加熱したデンプンのレオロジー分析
[0036]
加熱期間中の種々の時間に採取した試験サンプルDのRVA分析では、対照サンプルと比較した。結果を
図3に示す。対照サンプルは、
図1のプロフィールと類似のプロフィールを示した。試験サンプルDは以下の時点で測定した;08.55(試験サンプル1)、09.32(試験サンプル2)、10.01(試験サンプル3)、10.35(試験サンプル4)および10.45(試験サンプル5)。試験サンプル1のように、試験サンプル2〜5は一致した挙動を示した。試験サンプル2〜5は、2時間の連続過程で再現性を示す一致した挙動を実際に示す。
【0036】
実施例5
動物用食品組成物の製造
[0037]
表1で特定される成分を一緒に混合して、スクリュースレッド装置またはバッチミキサーに入れる。本発明によれば、コーンスターチ成分の組成は、慣用のコーンスターチ50%および天然のハイアミロースコーンスターチ50%である。これは、混合物に添加される穀物成分を構成する。表1中のミネラル、ビタミンおよび補助アミノ酸である微量の固形成分を、穀物成分とともに添加する。鶏肝加水分解物を肉成分として混合物に添加し、飲料水およびダイズ油を添加する。
【0037】
[0038]
スクリュースレッド装置は、該装置を通じて混合物を運ぶためのスクリュースレッドが配置される長さ約15フィートの溝槽を含む。直接の水蒸気圧入は、該装置中で混合物を加熱するために使用される。
【0038】
[0039]
装置中の混合物は温度約82℃に達し、10〜15分間、スクリュースレッド装置を通じて運ばれる。調理された混合物はポンプ輸送することによって装置から放出されて、計量された部分が缶に容れられる。各缶に蓋をして、次いで該缶を慣用のレトルト殺菌装置にて温度約120℃で乾留する。