【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、「フラン単位」は、フラン誘導体、例えばモノマーであるFDA、HMFA、BHMFをベースとした誘導体、及びそれらを部分的若しくは完全に反応させたモノエステル又はジエステル誘導体を指す。フラン単位を有することは、そのようなモノマーの完全に又は部分的に反応した誘導体が、環状ポリエステルオリゴマーに組み込まれていることを意味する。
【0011】
本発明によれば、これらの目的は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法であって、以下の工程を含む方法によって達成される。
− (I)構造Y
1の、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C
1又はD
1を反応させる工程であって、モノマー成分C
1が、構造
【化1】
(式中、基Aのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは1から100、好ましくは2から50、最も好ましくは3から25の整数であり、
R
1=OH、OR、ハロゲン又はO−A−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
R
2=H又は
【化2】
である)
を含み、モノマー成分D
1が、構造
【化3】
(式中、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、Aがn−ブチルである場合は基XがOHではない)
を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y
1が
【化4】
(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
である)
である上記(1)工程、
又は
(II)構造Y
2の、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C
2若しくはD
2を反応させる工程であって、
モノマー成分C
2が、構造
【化5】
(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは上で定義されている通りの整数であり、n’は1から20、好ましくは2から10の整数であり
R
3=OH、OR、ハロゲン又はO−(B−O)
n’−Hであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
R
4=H又は
【化6】
である)
を含み、モノマー成分D
2が、構造
【化7】
(式中、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数である)
を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y
2が
【化8】
(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数であり、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
である上記(II)工程、のうちのいずれかの工程、
並びに
− フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を、環状オリゴマー組成物から分離及び除去する後続の工程(III)。
【0012】
本発明によれば、これらのさらなる目的は、最初に、前記方法で得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物により達成され、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する。
【0013】
前記環状ポリエステルオリゴマーは、本発明に従って、ポリエステルポリマーの生成に使用される。
【0014】
本発明は、これらの目的を達成し、フラン単位を有し、構造Y
1又はY
2を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製する方法によって、この問題の解決法を提供する。これらの環状オリゴマーは、縮合反応(高度に変換されるまで実行し、直鎖状不純物が除去される)により調製され、したがって、モノマー、例えば2,5−フランジカルボン酸又はエチレングリコール、プロパンジオール若しくはブタンジオールのように、カルボン酸又は遊離OH基を含有しない。したがって、本発明の環状オリゴマーをさらに反応させて高分子量ポリマーを形成しても、それらのモノマーのように大量の水を放出しないであろう。これらの環状オリゴマーも、2,5−フランジカルボン酸ジメチル又はジエチルエステルのように、揮発性単官能性アルコールのエステルを含有しない。したがって、本発明のこれらの環状オリゴマーをさらに反応させて、高分子量ポリマーを形成しても、それらのモノマーのように、大量の揮発性アルコール副産物を放出しないであろう。
【0015】
本環状オリゴマー組成物の重合中に、大量の揮発性の水又はアルコール成分の生成がないこと、及び生成されるポリマーの後続の脱揮がないことにより、より単純な脱揮系及びより温和な脱揮条件を使用できる。これは、環状オリゴマーの重合後に、比較的少量の揮発性化合物しかポリマー組成物に存在しないであろうためである。具体的には、分子量のために、環状オリゴマーはあまり揮発性ではない。さらに、環状オリゴマーは、遊離酸及び/又はヒドロキシル基を欠くので、残留した未反応の環状オリゴマー種は、ポリマー組成物の化学的性質、色彩及び熱安定性に悪影響を及ぼさないであろう。したがって、設計及び性質のために、環状ポリエステルオリゴマーにより、重合反応及び脱揮の両方に対して、時間及び温度の比較的温和な条件下にて高分子量ポリマーを都合よく調製でき、その結果、ポリマー組成物の著しい熱劣化を避けることができる。
【0016】
次いで、これらの結果は、驚くべきことに、上昇温度にて長時間にわたる真空及び/又は不活性ガス(例えば窒素)流の適用を伴う、あらゆる特殊で複雑な重合反応又はポリマー脱揮装置の必要性なしで達成される。本発明において、著しく揮発性種、例えば水及びアルコールの形成を伴う反応及び作業は、いずれも都合よく、環状ポリエステルオリゴマーを生成する段階又はプラントの上流(upstream)に移行したので、後続の重合プロセス又はプラントでは、比較的少量の揮発性種しか生成されないであろう。このようにして、揮発性種の除去並びに回収及び/又はリサイクルは、オリゴマー生成施設内で統合される。その結果、これにより、互いに地理的に非常に離れている、モノマー及びポリマー生成プラント間で、そのような材料を運搬する必要性がなくなる。
【0017】
本方法の好ましい実施形態において、モノマー成分がC
1であり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、モノマー成分がD
1であり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは上で定義されている通りであり、モノマー成分がC
2であり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、又は、モノマー成分がD
2であり、XはOH、ハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、若しくはフェニルであり、n’及びmは上で定義されている整数である。より小さく、より低い分子量の環状種は、産業的に適用可能に生成されるだけではなく、より小さい環状化合物を生成すること、並びにそれらを直鎖状種から分離及び精製することも簡単である(分子量留分(Mw fraction)が「より狭い」ために)。さらに、XがClである場合は酸ハロゲン化物反応体、例えば酸塩化物、又は、Xがメトキシである場合はエステル反応体、例えばメチルエステルの使用は、カルボン酸とアルコールの反応を起こすより好ましい反応速度及び平衡をいずれも有する。しかし、ハロゲン化種は、腐食性であることがあり、したがって、後続の重合プラントで特殊で高価な建設材料を必要とする。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物中のそれらの含有量は、例えば、後続の分離及び除去工程中の除去により、好ましくは低く保たれるであろう。
【0018】
本出願において、「場合により置換されている」は、水素、アルキル、アリール又はアルキルアリール基とは異なる化学置換基を指す。そのような任意の置換基は、閉環オリゴマー化工程中に一般的に不活性と考えられ、例えば、ハロゲン又はエーテルであってよい。
【0019】
本方法の特定の好ましい実施形態においては、以下のいずれかである。
− モノマー成分がC
1であり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状C
1からC
6アルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、
− モノマー成分がD
1であり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状C
1からC
6アルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは上で定義されている通りの整数であり、
− モノマー成分がC
2であり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状C
1からC
6アルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、又は
− モノマー成分がD
2であり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状C
1からC
6アルキル、若しくはフェニルであり、n’及びmは上で定義されている整数である。
この実施形態は、酸性種の反応に関与せず、したがって反応速度及び平衡は非常に好ましく、水副産物が生成されない。さらに、酸性のモノマー種、並びにその酸ハロゲン化物誘導体は、腐食性であることがあり、したがって、後続の重合プラントで特に高価な建設材料を必要とする。
【0020】
本方法の別の好ましい実施形態は、モノマー成分がC
1若しくはC
2であり、反応温度は100から350、好ましくは150から300、最も好ましくは180から280℃であり、反応時間は30から600、好ましくは、40から400、最も好ましくは50から300分であり、又はモノマー成分がD
1若しくはD
2であり、反応温度は−10から150、好ましくは−5から100、最も好ましくは0から80℃であり、反応時間は5から240、好ましくは10から180、最も好ましくは15から120分である。これらのモノマー成分に対するそのような反応時間及び温度は、所望の環状ポリエステルオリゴマー組成物を高い収率で生成できるが、直鎖状種の著しい形成又はオリゴマー組成物の熱劣化の発生を避けるために十分であることを見出した。
【0021】
本方法のさらに別の好ましい実施形態において、モノマー成分C
1が、特定の構造
【化9】
を含み、
又はモノマー成分D
1が、特定の構造
【化10】
を含み、Y
1が特定の構造
【化11】
を含み、
式中、
R
5=OH、OR、ハロゲン又はO−CH
2CH
2−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
R
6=H又は
【化12】
であり、X、l及びmは、先に示された通りに定義される。
この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PEF)を調製するための原料を生成する利点を有し、これは、最も重要な商用ポリエステルであるポリ(エチレンテレフタラート)(PET)の複素環同族体である。PEFは、現在パイロット規模の開発段階にあり、包装用途及びボトル用途のPETに対するバイオベースの代用物として有望であることが示されている。
【0022】
本方法の他の好ましい代替実施形態において、モノマー成分C
1が、特定の構造
【化13】
を含み、又はモノマー成分D
1が、特定の構造
【化14】
を含み、Y
1が特定の構造
【化15】
を有し、
式中、R
7=OH、OR、ハロゲン又はO−CH
2CH
2CH
2CH
2−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
R
8=H又は
【化16】
であり、
X、l及びmは、先に示された通りに定義される。
この方法は、ポリ(2,5−ブチレンフランジカルボキシラート)(PBF)を調製するための原料を生成する利点を有し、これは、別の重要な商用ポリエステルであるポリ(ブチレンテレフタラート)(PBT)の複素環同族体である。PBTは、優れた機械的及び電気的性質を有し、頑丈な化学的耐性を備え、PBFは、バイオベースの代用物として関心を集めている。
【0023】
本発明において、「触媒」は、無機又は金属含有化合物、例えば有機金属種又は金属塩を指し、一方、「有機塩基」は、非金属及び塩基性有機種を指す。
【0024】
本方法のさらに別の好ましい実施形態では、任意の有機塩基Eが存在し、これは、構造E
【化17】
(式中、基R
9からR
12のそれぞれは、水素、場合により置換されているアルキル、フェニル、アリール又は
アルキルアリールであり、基R
9からR
12のそれぞれは、場合により任意の環状有機塩基E中において、環式置換基の一部として単結合又は二重結合基で共に結合できる)
を有する化合物である。本発明者らは、驚くべきことに、そのようなアンヒンダードアミンにより、所望の環状オリゴマー種を高い収率で得られることを見出した点で、この実施形態は有利な利点を提供する。他の実施形態において、任意の有機塩基は、窒素を1つだけ含有する直鎖状、分岐、又は環状脂肪族一塩基性種であることがある。
【0025】
本方法のより具体的な好ましい実施形態では、任意の有機塩基Eが存在し、有機塩基Eが、構造
【化18】
を有するDABCO、又は構造
【化19】
を有するDBU、のいずれかであり、DABCO又はDBUは、場合によりアルキルアミン、より好ましくはトリエチルアミンと共に使用される。他の特定の実施形態において、DABCO及びDBUは、混合物中にて、場合によりアルキルアミンと共に使用される。そのような実施形態は、これらを大規模に商用ベースで利用できるという利点を有し、本発明者らは、これらの利用は本発明の方法に都合がよいことを見出した。さらに、任意のアルキルアミン種を包含すると、本方法において形成される任意の酸性の副産物が有利に中和される。
【0026】
本方法のさらに別の好ましい実施形態において、任意の触媒が、存在しない、又は金属アルコキシド若しくは金属カルボキシラート、好ましくはスズ、亜鉛、チタン、若しくはアルミニウムの1つとして存在する。触媒を欠くことにより、原料コストが減少し、環状ポリエステルオリゴマーの精製及びさらなる使用が簡素化される。しかし金属ベースの触媒のいくつかは、本発明の方法に高度に有効であり、したがって、相対的に温和な温度及び時間の条件下にて環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製できることが本発明者らにより見出されている。これにより、本方法において、生産性が改善され、劣化及び変色が最小限に抑えられる。
【0027】
本方法の具体的な好ましい実施形態において、任意の有機塩基Eは、本方法において反応体として使用される全モノマー成分種1molに対して0.5から6、好ましくは1から4、より好ましくは2から3molの化学量論比で存在する。そのような任意の有機塩基を充填して使用することにより、相対的に温和な温度及び時間の条件下にて、閉環オリゴマー化を行いつつ、プロセス中の望ましくない副反応に関する触媒作用を避けることができることが見出された。さらに、後続の熱処理、例えば、得られるポリマーの重合又は押出若しくは成形において、劣化及び/又は変色につながる可能性のある、大量のクエンチしていない残留触媒による、ポリエステルオリゴマー組成物の汚染が避けられる。また、触媒コストと生産性の間の有効なバランスが得られる。
【0028】
本方法の別の好ましい実施形態において、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を環状オリゴマー組成物から分離及び除去する工程(III)は、環状オリゴマー組成物である移動相の固定相通過、選択的沈殿、蒸留、抽出、結晶化又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数の分離サブ工程を含む。本発明者らは、これらの分離方法が直鎖状ポリエステルオリゴマーの除去に、したがって環状オリゴマー組成物の精製に効率的且つ効果的であることを見出した。さらに、これらの分離方法は、商用規模での精製に対して、産業的に容易に適用可能であり、コスト効果が高い。
【0029】
本発明の別の態様は、本発明による方法によって得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物に関わり、組成物は、環状ポリエステルオリゴマー組成物の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する。そのような少量の直鎖状種を含有する組成物は、後続の重合を効率的且つ再生可能に実行できる点で有利である。環状オリゴマー組成物における大量の、及び/又は可変レベルの直鎖状種は、後続の重合を化学量論的に変化させ、したがって、重合の際に得られる分子量に影響を与え得る。さらに、直鎖状種の酸性、アルコール性又はエステル末端基は、不利に反応して、重合中に揮発性種を放出する可能性がある。さらに反応性の酸性種は、作用して塩基触媒をクエンチすることがあり、及び/又は処理設備に対して腐食性であることがある。
【0030】
本組成物の好ましい実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物中の残留モノマー成分、例えばC
1、D
1、C
2又はD
2は、組成物の総重量に基づいて5重量パーセント未満、好ましくは3重量パーセント、及び最も好ましくは1重量パーセントである。
【0031】
環状ポリエステルオリゴマー組成物の好ましい実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物は、ハロゲン化不純物、好ましくは酸塩化物及び/又はその残渣を含有する。本明細書では、残渣は、反応生成物又は副産物、例えば、ハロゲン酸、その例としてHCl、又はハロゲン塩、その例として塩化物塩、と定義される。そのような不純物は、酸ハロゲン化物である反応体、例えば酸塩化物の使用の副産物であり、オリゴマー組成物の生成において、アルコールとカルボン酸の反応より好ましい反応速度及び平衡をいずれも有する。しかしハロゲン化種は、腐食性であり、それにより、後続の重合プラントに特殊で高価な建設材料を必要とする。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物中のそれらの含有量は、例えば、後続の分離及び除去工程中の除去により、好ましくは低く保たれるであろう。
【0032】
環状ポリエステルオリゴマー組成物の別の好ましい実施形態において、組成物は、構造Y
1’
【化20】
(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む。この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PEF)の生成に適切な原料であり、したがって、このオリゴマー組成物を生成する方法に関して、先に説明した利点を有する。
【0033】
環状ポリエステルオリゴマー組成物の好ましい代替実施形態において、組成物は、構造Y1”
【化21】
(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む。この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PBF)の生成に適切な原料であり、したがってこのオリゴマー組成物を生成する方法に関して、先に説明した利点を有する。
【0034】
本発明の別の態様は、(i)フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための本発明の方法、と共に(ii)ポリエステルポリマーを生成するための後続の重合工程、とを含む、ポリエステルポリマーを生成する方法である。この本発明に関連する態様は、ポリエステルポリマーの生成における、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用である。この重合方法及び使用により、重合方法における原料としてのオリゴマー組成物の望ましい性質(例えば好ましい反応速度、腐食酸性種がないこと、重合中に著しい量の揮発性種の形成がないこと)が有利に利用される。
【0035】
当業者は、本発明の様々なクレーム及び実施形態の主題の組み合わせが、そのような組み合わせが技術的に実行可能な程度にまで本発明を限定することなしで可能であることを理解するであろう。この組み合わせにおいて、任意の1つのクレームの主題は、他のクレームの1つ又は複数の主題と組み合わせることができる。主題のこの組み合わせにおいて、任意の1つの方法クレームの主題は、他の方法クレームの1つ若しくは複数の主題、又は組成物クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレーム及び組成物クレームの1つ若しくは複数の混合の主題と組み合わせることができる。類推により、任意の1つの組成物クレームの主題は、他の組成物クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレーム及びシステムクレームの1つ若しくは複数の混合の主題と組み合わせることができる。
【0036】
当業者は、本発明の様々な実施形態の主題の組み合わせが、そのような組み合わせが技術的に実行可能な程度にまで本発明を限定することなしでもまた可能であることを理解するであろう。
【0037】
本発明を、本発明の様々な実施形態及び図を参照して、以下により詳細に説明する。概略図は以下の通りである。