特許第6427514号(P6427514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427514ベータヘルペスウイルス感染に対するワクチンおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427514
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】ベータヘルペスウイルス感染に対するワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/00 20060101AFI20181112BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20181112BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20181112BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20181112BHJP
【FI】
   C12N7/00ZNA
   A61K39/12
   A61K35/763
   A61P33/00
   A61P31/12
   A61P31/04
   A61P35/00
   !C12N15/09 Z
【請求項の数】33
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2016-19841(P2016-19841)
(22)【出願日】2016年2月4日
(62)【分割の表示】特願2013-508401(P2013-508401)の分割
【原出願日】2011年5月5日
(65)【公開番号】特開2016-136950(P2016-136950A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】10005045.9
(32)【優先日】2010年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10004751.3
(32)【優先日】2010年5月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512286093
【氏名又は名称】ティリオン,クリスティアン
(73)【特許権者】
【識別番号】512286107
【氏名又は名称】コシノフスキー,ウルリヒ
(73)【特許権者】
【識別番号】512286118
【氏名又は名称】モーア,クリスティアン・アー
(73)【特許権者】
【識別番号】512286129
【氏名又は名称】ルジクス,ゾルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】ティリオン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】コシノフスキー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】モーア,クリスティアン・アー
(72)【発明者】
【氏名】ルジクス,ゾルト
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/012545(WO,A1)
【文献】 J. Gen. Virol. (2008) vol.89, issue 2, p.359-368
【文献】 Immunol. Cell Biol. (2007) vol.85, no.1, p.46-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 7/00
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトのワクチン接種のための、及び/またはヒトの治療のための、ヒトベータヘルペスウイルスを含む医薬組成物であって、前記ベータヘルペスウイルスが伝播欠損性であり、前記ベータヘルペスウイルスが内皮向性であり、かつ/または野生型様ビリオン表面を有し、前記ベータヘルペスウイルスが2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、免疫応答を誘導することができ、前記2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL94およびUL99ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされ、前記伝播欠損性ベータヘルペスウイルスが細胞に感染し、感染した細胞からウイルス粒子が放出されず、前記ベータヘルペスウイルスのDNAが前記感染した細胞内で複製される、医薬組成物。
【請求項2】
前記ヒトベータヘルペスウイルスが1次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL50およびUL53ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ベータヘルペスウイルスが内皮向性であり、かつ野生型様ビリオン表面を有している、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記免疫応答が、ベータヘルペスウイルスに対する中和抗体ならびにベータヘルペスウイルスのエピトープに対してのCD4およびCD8T細胞を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ベータヘルペスウイルスがサイトメガロウイルスである、請求項1から4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ベータヘルペスウイルスが、配列番号23によるヌクレオチド配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ベータヘルペスウイルスが免疫回避遺伝子によりコードされる少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、前記免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物およびNK細胞応答を調節する遺伝子生成物を含む群から選択され、MHCクラスI提示を調節する前記遺伝子生成物が、US6、US3、US2、UL18、US11、UL83およびUL40を含む群から選択され、前記NK細胞応答を調節する前記遺伝子生成物が、遺伝子UL40、UL16およびUL18によりコードされる遺伝子生成物を含む群から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ベータヘルペスウイルスが異種核酸をコードし、前記異種核酸が機能的核酸またはペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸である、請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記機能的核酸が、アンチセンス分子、リボザイムおよびRNA干渉媒介核酸を含む群から選択される請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、少なくとも1つの抗原を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
対象が、疾患に罹患しているか、または疾患に罹患する危険性があり、前記ワクチン接種が、疾患に対するワクチン接種であり、前記疾患が、ベータヘルペスウイルス感染に伴う疾患または状態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記対象が、妊娠している女性または生殖可能年齢の女性、移植片のドナー、移植片のレシピエントおよびHIVに感染しているかもしくはHIVに感染する危険性がある対象を含む群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ワクチン接種及び/または治療が、複製しているヒトベータヘルペスウイルスを使用する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒトベータヘルペスウイルスを用いた前記ワクチン接種及び/または治療において、ウイルス粒子が感染細胞から放出されない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ヒトベータヘルペスウイルスを用いた前記ワクチン接種及び/または治療において、前記ヒトベータヘルペスウイルスが内皮細胞および/または上皮細胞に感染する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ベータヘルペスウイルスが1次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物及び2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損している、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ヒトのためのワクチンの製造のためのヒトベータヘルペスウイルスの使用であって、前記ベータヘルペスウイルスが伝播欠損性であり、前記ベータヘルペスウイルスが内皮向性であり、かつ/または野生型様ビリオン表面を有し、前記ベータヘルペスウイルスが2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、免疫応答を誘導することができ、前記2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL94およびUL99ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされ、前記伝播欠損性ベータヘルペスウイルスが細胞に感染し、感染した細胞からウイルス粒子が放出されず、前記ベータヘルペスウイルスのDNAが前記感染した細胞内で複製される、使用。
【請求項18】
ヒトのための医薬の製造のためのヒトベータヘルペスウイルスの使用であって、前記ベータヘルペスウイルスが伝播欠損性であり、前記ベータヘルペスウイルスが内皮向性であり、かつ/または野生型様ビリオン表面を有し、前記ベータヘルペスウイルスが2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、免疫応答を誘導することができ、前記2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL94およびUL99ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされ、前記伝播欠損性ベータヘルペスウイルスが細胞に感染し、感染した細胞からウイルス粒子が放出されず、前記ベータヘルペスウイルスのDNAが前記感染した細胞内で複製される、使用。
【請求項19】
前記ヒトベータヘルペスウイルスが1次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL50およびUL53ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
前記ベータヘルペスウイルスが内皮向性であり、かつ野生型様ビリオン表面を有している、請求項17〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記免疫応答が、ベータヘルペスウイルスに対する中和抗体ならびにベータヘルペスウイルスのエピトープに対してのCD4およびCD8T細胞を含む、請求項17〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記ベータヘルペスウイルスがサイトメガロウイルスである、請求項17〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記ベータヘルペスウイルスが、配列番号23によるヌクレオチド配列を含む、請求項17〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記ベータヘルペスウイルスが免疫回避遺伝子によりコードされる少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損しており、前記免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物およびNK細胞応答を調節する遺伝子生成物を含む群から選択され、MHCクラスI提示を調節する前記遺伝子生成物が、US6、US3、US2、UL18、US11、UL83およびUL40を含む群から選択され、前記NK細胞応答を調節する前記遺伝子生成物が、遺伝子UL40、UL16およびUL18によりコードされる遺伝子生成物を含む群から選択される、請求項17〜23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記ベータヘルペスウイルスが異種核酸をコードし、前記異種核酸が機能的核酸またはペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸である、請求項17〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
前記機能的核酸が、アンチセンス分子、リボザイムおよびRNA干渉媒介核酸を含む群から選択される請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、少なくとも1つの抗原を含む、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
対象が、疾患に罹患しているか、または疾患に罹患する危険性があり、前記ワクチン接種が、疾患に対するワクチン接種であり、前記疾患が、ベータヘルペスウイルス感染に伴う疾患または状態である、請求項17〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
前記対象が、妊娠している女性または生殖可能年齢の女性、移植片のドナー、移植片のレシピエントおよびHIVに感染しているかもしくはHIVに感染する危険性がある対象を含む群から選択される、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記ワクチン接種及び/または治療が、複製しているヒトベータヘルペスウイルスを使用する、請求項17〜29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記ヒトベータヘルペスウイルスを用いた前記ワクチン接種及び/または治療において、ウイルス粒子が感染細胞から放出されない、請求項17〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記ヒトベータヘルペスウイルスを用いた前記ワクチン接種及び/または治療において、前記ヒトベータヘルペスウイルスが内皮細胞および/または上皮細胞に感染する、請求項17〜31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記ベータヘルペスウイルスが1次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物及び2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損している、請求項17〜32のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベータヘルペスウイルス、好ましくは組換えベータヘルペスウイルス、医薬
品の製造のためのベータヘルペスウイルスの使用、ワクチンの製造のためのベータヘルペ
スウイルスの使用、ベータヘルペスウイルスをコードする核酸、ベータヘルペスウイルス
をコードする核酸を含むベクター、およびベータヘルペスウイルスをコードする核酸また
はベクターを含む宿主細胞に関する。好ましい実施形態では、ベータヘルペスウイルスは
、ヒトサイトメガロウイルスである。
【背景技術】
【0002】
ベータヘルペスウイルスサブファミリーのメンバーであるヒトサイトメガロウイルス(
CMV)は、ヒトに感染する医学的に最も重要なヘルペスウイルスである(Arvinら
2004 Clin.Infect.Dis.39:233〜239頁;Stratto
nら1999 Vaccines for the 21st Century:A T
ool for Decisionmaking National Academy
Press)。ヒトCMV感染のほとんどは、徴候となる疾患なしで授乳または唾液/尿
接触により小児期の早期に獲得される。このことは、開発途上国において100%近くの
HCMVの有病率をもたらす。先進国では、人口の約30%が小児期に感染し、ヒトCM
V感染の有病率は、成人期の早期に約50%まで増加する。
【0003】
ヒトCMVは、妊娠中に母体から胎児へ伝達されることもあり、感染した小児において
知的障害および発達障害を導く。ヒトCMVは、先進国における先天性感染の最も重要な
原因因子であり、新生児1000名あたり1名が発症する。現在までに、米国において毎
年30,000〜40,000名の乳児が先天性サイトメガロウイルスに感染して誕生し
、このことにより、全ての先天性感染のうちでサイトメガロウイルスが格段に最も一般的
で重要になっている。新生児における先天性感染の見込みおよび疾患の程度は、母体の免
疫状態に依存する。もし妊娠中に一次母体感染が生じるならば、胎児へ伝達される率は平
均で40%である。これらの新生児の約65%は、先天性封入体病(congenital inclusi
on disease:CID)を有することになる。潜伏感染からの再活性化に伴う母体再感染が
あると、胎児への伝達の危険性は、0.5から1.5%までだけの範囲でより低く、これ
らの乳児の大多数は無症状でもある。妊娠前の自然感染は、再活性化に伴う胎児母体間伝
達の危険性を引き起こすが、誘導免疫が、CIDに対する主な防御因子である。
【0004】
誕生時の感染は、重度の合併症の危険性を有する。HCMVへの一次感染は、免疫能が
ある個体において、通常、無症状である。メジャーリスク群は、臓器移植片レシピエント
および後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者を含み、これらの患者においてヒトCM
Vは、高い確率で生命を脅かす炎症性疾患を誘導する。さらに、いずれの年齢での一次感
染の後でも、CMVは、生涯にわたる潜伏感染を確立し、感染した個体は、免疫抑制時に
より後の段階で再活性化する危険性を残すことになる。
【0005】
サイトメガロウイルスの分子生物学および免疫学は、最近大きく進展しているが(Mu
rphyら2008 Curr.Top.Microbiol.Immunol.325
:1〜19頁)、現在まで、商業的に利用可能なワクチンはなく、一回的中の化学療法が
、急性HCMV感染を管理する唯一の方法である(D.M.KnipeおよびP.M.H
owley(編)、Fields Virology、Lippincott Will
iams and Wilkins、a Wolters Kluwer Busine
ss、Philadelphia、PA.中のMocarskiら2007、2701〜
2772頁)。この化学療法は、重度の副作用を引き起こし、この使用は、最も重度の事
例にしばしば限られる。
【0006】
CMV感染に対するワクチンの開発は、Schleissらにおいて概説されている(
Schleissら2005 Herpes.12:66〜75頁;Schleissら
2008 Curr.Top.Microbiol.Immunol.325:361〜
382頁)。
【0007】
ヒトCMVワクチンの開発のためのある方策は、弱毒生HCMVの使用である。弱毒生
CMVは、複数の細胞培養継代により作製される。これによって、弱毒生ワクチン中の投
与されるウイルスは感染性である。しかし、細胞培養への順応により、機能的遺伝子の喪
失が生じ、ここで、喪失された遺伝子はin vitroでのウイルス繁殖にとって必要
でないが、in vivoでのウイルス感染にとって重要である。このような弱毒生CM
Vは、よって、宿主にとって病原性が低くなる。
【0008】
臨床試験において試験された最初のヒトCMVワクチン候補は、弱毒生ワクチンであっ
た。これは、ヒト初代線維芽細胞における多数回の組織培養継代により弱毒化されたHC
MVのAD169株であった。この弱毒化は、細胞および細胞培養の条件へのウイルスの
選択的順応の結果である。ビルレンスの喪失は、in vitro状況にとって関係しな
いが、その天然宿主においてウイルスにとって重要である遺伝子に影響した結果であると
みられる。よって、線維芽細胞において多数回継代されたAD169が内皮細胞および単
球に感染するその能力を喪失したことは、驚くことではない。AD169ワクチンを接種
した血清陰性成人の大多数において、HCMV特異的免疫応答が生じた。このワクチンは
、安全であり、全般的に耐容性がよいことが見出された。しかし、注射部位反応が一般的
であり、いくらかの患者において、発熱、頭痛、疲労および筋肉痛からなる穏やかな全身
性症状が生じた。
【0009】
AD169株は非常に攻撃的であるので、実験室順応HCMVのより弱毒化された調製
物であるTowne株が、AD169と同様の様式で、可能性のある弱毒生ワクチンとし
て開発された。この株は、細胞培養においてより多数回継代され、in vitroにお
いてもAD169と同様の表現型であるとみられた。
【0010】
最初のヒトでの試験は、予期されたように、Towne株がAD169よりもよい耐容
性を示した。この最初の肯定的な試験の後に、Towneワクチンの効力が広く研究され
た。これらの研究は、Towneワクチンがヒトにおいて安全で耐容性がよく、ヒトCM
Vに特異的な体液性および細胞性の両方の免疫を誘導することを示した。Towneワク
チンは、ある条件下でヒトCMV疾患に対するいくらかの防御をもたらすとみられたが、
残念なことに、ワクチン接種は、自然免疫よりも防御性が低い。よって、Towne株は
、過剰に弱毒化され、ワクチンとしての最適な効力を有さないものになった可能性が高い
【0011】
その結果、中程度に弱毒化された新しいヒトCMV株が作り出されている。キメラウイ
ルスが、Towne株と、組織培養継代により弱毒化されていないヒトCMVの野生型様
臨床単離株であるToledo株との間の遺伝子組換えにより構築されている。
【0012】
興味深いことに、Towne株およびそれに基づくワクチンの必須の特徴は、内皮細胞
に効果的に感染できないことである。さらに、Towne株を用いるワクチン接種は、内
皮向性(endotheliotropic)CMV感染を中和できる抗体を誘導せず、より具体的には、
Towneは、内皮向性ヒトCMV株に対する抗体を誘導しない(Cuiら2008 V
accine 26:5760〜5766頁)。
【0013】
内皮向性および非内皮向性ウイルスの間の中和を区別するために、Gernaら(Ge
rnaら2008 J Gen Virol 89:853〜865頁)は、ヒト血清の
試験、ならびに内皮(または上皮)細胞での繁殖および試験によるヒトCMV臨床単離株
に対する中和効力およびヒト線維芽細胞に感染する同じウイルスに対する中和効力の定量
を提案した(Gernaら、既出)。
【0014】
Towne株が内皮細胞に感染できず、Towne株が内皮向性ヒトCMV感染を中和
できる抗体を誘導できないことに加えて、Towne株は、臨床的野生型ヒトCMV単離
株と比較して遺伝子を欠いていることに注目することが重要である。より具体的には、T
owne株は、Chaらによっても記載されるように(Chaら1996 J.Viro
l Vol.70、第1号、78〜83頁)、遺伝子UL133、UL134、UL13
5、UL136、UL137、UL138、UL139、UL140、UL141、UL
142、UL143、UL144およびUL145を欠く。
【0015】
HCMVワクチンを開発するためのさらなる方策は、ウイルスゲノムからの必須遺伝子
の欠失に基づき、アデノウイルス、アルファ−ヘルペスウイルスおよびレトロウイルスの
ような多くのウイルスについて記載された。ヘルペスウイルスに対するワクチンと同様の
複製欠損または単サイクルウイルスを用いる免疫化試験は、現在までに、アルファ−ヘル
ペスウイルスについてのみ記載されている(Dudekら2006 Virology
344:230〜239頁)。これらのウイルスの繁殖は、欠如しているゲノムを発現し
、欠損ウイルスの増殖を支持する補完細胞により促進される。遺伝子を欠失したこのよう
なウイルスの補完細胞上での繁殖は、野生型ビリオン表面と、第1の標的細胞についての
野生型ウイルスと同様の向性とを有するワクチン−ウイルス粒子をもたらす。これらのウ
イルスは、ファーストラインの標的細胞についてのワクチン接種の際に感染性である。前
記ファーストラインの標的細胞において、欠失または不活性化された遺伝子は、ウイルス
複製の抑止または感染性または向性が減じられたウイルス粒子の形成のいずれかを導く。
【0016】
DNA複製に必須の1つの遺伝子の欠失または標的複合体、すなわち糖タンパク質gB
の欠失による感染性粒子の生成の抑止によるアルファ−ヘルペスウイルスワクチンの設計
が、Dudekらにおいて概説されている(Dudekら、既出)。これらのウイルスの
2つのタイプ、いわゆる「複製欠損」ウイルスおよびいわゆる「単サイクル」ウイルスが
記載された。
【0017】
複製欠損アルファ−ヘルペスウイルスは、DNA複製サイクルのために必須の遺伝子の
欠失により作製された。ウイルスDNA複製のために必須の遺伝子、例えばメジャーDN
A結合タンパク質ICP8の欠失を用いて、各欠失ウイルスを作製した。前記ウイルスは
、欠如している遺伝子の生成物を補完する、安定に形質転換された細胞を用いることによ
りin vitroで繁殖できる(Forresterら1992 J Virol 6
6:341〜348頁)。Knipeらからのいくつかの出版物は、このようなウイルス
が防御免疫応答を誘導できることを証明している(Morrisonら1998 Vir
ology 243:178〜187頁;Morrisonら1994 J Virol
68:689〜696頁;Morrisonら1996 Virology 220:
402〜413頁;Morrisonら1997 Virology 239:315〜
326頁を参照されたい)。
【0018】
単サイクルウイルスは、標的複合体の糖タンパク質、例えば糖タンパク質gBまたは融
合複合体、例えばgH/gLを欠く(Dudekら、既出)。このようなウイルス変異体
は、InglisらによるUS7,374,768に記載されている。前記複合体は、細
胞の感染のための最初のステップとしてこの細胞への接着および/またはウイルスとこの
細胞との融合のために重要であることが記載されている。前記糖タンパク質の欠失は、フ
ァーストラインの標的細胞に感染する単サイクルワクチンウイルス粒子を生じる。宿主中
の前記細胞は、上記の糖タンパク質を欠くので野生型様ビリオン表面を有さないウイルス
粒子を形成することに注目することが重要である。糖タンパク質を欠くこれらの粒子は、
感染性でないか、または次に感染する細胞について少なくとも限定された向性もしくは感
染性を有する。さらに、前記糖タンパク質の欠失は、好ましくは感染細胞において抗原と
して効果的な前記糖タンパク質の発現の欠如を導く。
【0019】
罹患群および新たに出現する疫学的状況の両方においてヒトCMV感染により引き起こ
される社会的費用のために、効果的なHCMVワクチンの開発は、National V
accine Committee of the Institute of Med
icine(US)により最高レベルの優先事項として強調されている(Stratto
nら、既出)。
【発明の概要】
【0020】
よって、本発明の根底にある課題は、効果的なHCMVワクチンと、そのようなワクチ
ンに含まれるベータヘルペスウイルスとをそれぞれ提供することであった。
【0021】
この課題は、添付の独立請求項により解決される。好ましい実施形態は、添付の従属請
求項から理解できる。
【0022】
特許請求の範囲は、以下に実施形態として記載する。さらなる実施形態は、本明細書の
開示によりもたらされるが、本開示は、特許請求の範囲について記載するこれらの実施形
態に限定されない。
【0023】
実施形態1.伝播欠損性であるベータヘルペスウイルス、好ましくは組換えベータヘル
ペスウイルス。
【0024】
実施形態2.内皮向性であり、かつ/または野生型様ビリオン表面を有する、実施形態
1に記載のベータヘルペスウイルス。
【0025】
実施形態3.内皮向性であり、野生型様ビリオン表面を有する実施形態1〜2のいずれ
か1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0026】
実施形態4.前記ベータヘルペスウイルスが、免疫応答の誘導に適切であるかまたは免
疫応答を誘導でき、好ましくは、前記免疫応答が、ベータヘルペスウイルスに対する中和
抗体ならびにベータヘルペスウイルスのエピトープに対してのCD4およびCD8
細胞を含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0027】
実施形態5.前記免疫応答が、中和抗体を含み、ベータヘルペスウイルスが、前記中和
抗体により内皮細胞および/または上皮細胞に感染することを妨げられる、実施形態4に
記載のベータヘルペスウイルス。
【0028】
実施形態6.前記中和抗体により内皮細胞および/または上皮細胞に感染することを妨
げられるベータヘルペスウイルスが、病原体、好ましくはヒト病原体である、実施形態5
に記載のベータヘルペスウイルス。
【0029】
実施形態7.ヒトベータヘルペスウイルスである、実施形態1〜6のいずれか1つに記
載のベータヘルペスウイルス。
【0030】
実施形態8.サイトメガロウイルスである、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のベ
ータヘルペスウイルス。
【0031】
実施形態9.ヒトサイトメガロウイルスである、実施形態7および8のいずれか1つに
記載のベータヘルペスウイルス。
【0032】
実施形態10.1次および/または2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺
伝子生成物を欠損している、実施形態1〜9のいずれか1つ、好ましくは実施形態9に記
載のベータヘルペスウイルス。
【0033】
実施形態11.前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、1次エンベロープ化に関与する
、実施形態10に記載のベータヘルペスウイルス。
【0034】
実施形態12.前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL50およびUL53ならび
にそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、実施形態1
1に記載のベータヘルペスウイルス。
【0035】
実施形態13.前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、2次エンベロープ化に関与する
、実施形態10に記載のベータヘルペスウイルス。
【0036】
実施形態14.前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL94およびUL99ならび
にそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、実施形態1
3に記載のベータヘルペスウイルス。
【0037】
実施形態15.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630に
より表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド12
3668〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオ
チド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が
、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列
番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、実施形態1〜14のい
ずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0038】
実施形態16.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630に
より表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド12
3668〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオ
チド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む
、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0039】
実施形態17.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、
配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によ
るヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌ
クレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオ
チド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192
と共有結合している、実施形態16に記載のベータヘルペスウイルス。
【0040】
実施形態18.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630に
より表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド12
3668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド131243〜181652により表される第3ヌクレオ
チド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233
681により表される第4ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド
配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチ
ド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド13
0670が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結
合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号2
0によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、実施形態1
〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0041】
実施形態19.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630に
より表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド12
3668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド131243〜181652により表される第3ヌクレオ
チド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233
681により表される第4ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を
含む第5ヌクレオチド配列と、配列番号35によるヌクレオチド配列を含む第6ヌクレオ
チド配列とを含む、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0042】
実施形態20.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、
配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によ
るヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌ
クレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオ
チド130670が、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合
し、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド67が、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合し、配列番号20によるヌクレオ
チド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレ
オチド189192と共有結合している、実施形態19に記載のベータヘルペスウイルス
【0043】
実施形態21.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド596
23〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレ
オチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド
配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列
番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20
によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチ
ド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、実施形態1〜14のいずれか1
つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0044】
実施形態22.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド596
23〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレ
オチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド
配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、実
施形態1〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0045】
実施形態23.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配
列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド
181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共
有結合している、実施形態22に記載のベータヘルペスウイルス。
【0046】
実施形態24.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド632
61〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレ
オチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド
配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列
番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20
によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチ
ド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、実施形態1〜14のいずれか1
つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0047】
実施形態25.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド632
61〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレ
オチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド
配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、実
施形態1〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0048】
実施形態26.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配
列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレ
オチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1
81652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有
結合している、実施形態25に記載のベータヘルペスウイルス。
【0049】
実施形態27.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド596
23〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオ
チド配列のヌクレオチド632161〜181652により表される第3ヌクレオチド配
列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681
により表される第4ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列の
ヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド596
23と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号
20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレ
オチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、実施形態1〜14のいずれ
か1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0050】
実施形態28.前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレ
オチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442によ
り表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド596
23〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオ
チド配列のヌクレオチド63261〜181652により表される第3ヌクレオチド配列
と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681に
より表される第4ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第5
ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第6ヌクレオチド配列
とを含む、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0051】
実施形態29.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配
列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド
62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配
列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオ
チド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列
のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1
89192と共有結合している、実施形態28に記載のベータヘルペスウイルス。
【0052】
実施形態30.UL133、UL134、UL135、UL136、UL137、UL
138、UL139、UL140、UL141、UL142、UL143、UL144お
よびUL145を含む群から選択される1または複数の遺伝子を含む、実施形態1〜29
のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0053】
実施形態31.配列番号23によるヌクレオチド配列を含む、実施形態1〜30のいず
れか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0054】
実施形態32.免疫回避遺伝子によりコードされる少なくとも1つの遺伝子生成物を欠
損している、実施形態1〜31のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0055】
実施形態33.免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物
が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物およびNK細胞応答を調節する遺伝子生
成物を含む群から選択される、実施形態32に記載のベータヘルペスウイルス。
【0056】
実施形態34.免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物
が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物である、実施形態33に記載のベータヘ
ルペスウイルス。
【0057】
実施形態35.MHCクラスI提示を調節する前記遺伝子生成物が、US6、US3、
US2、UL18、US11、UL83およびUL40を含む群から選択される、実施形
態34に記載のベータヘルペスウイルス。
【0058】
実施形態36.免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物
が、NK細胞応答を調節する遺伝子生成物である、実施形態33に記載のベータヘルペス
ウイルス。
【0059】
実施形態37.NK細胞応答を調節する前記遺伝子生成物が、遺伝子UL40、UL1
6およびUL18によりコードされる遺伝子生成物を含む群から選択される、実施形態3
6に記載のベータヘルペスウイルス。
【0060】
実施形態38.異種核酸をコードする、実施形態1〜37のいずれか1つに記載のベー
タヘルペスウイルス。
【0061】
実施形態39.前記異種核酸が、機能的核酸であり、好ましくは、アンチセンス分子、
リボザイムおよびRNA干渉媒介核酸を含む群から選択される、実施形態41に記載のベ
ータヘルペスウイルス。
【0062】
実施形態40.前記核酸が、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク
質をコードする核酸である、実施形態38に記載のベータヘルペスウイルス。
【0063】
実施形態41.前記ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、少
なくとも1つの抗原を含む、実施形態40に記載のベータヘルペスウイルス。
【0064】
実施形態42.前記抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原および寄生体抗原を含む群から選
択される抗原である、実施形態41に記載のベータヘルペスウイルス。
【0065】
実施形態43.対象の治療のための方法における使用および/もしくは対象のワクチン
接種のための方法における使用のためのまたは使用に適切な、実施形態1〜42のいずれ
か1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0066】
実施形態44.前記対象が、哺乳動物、好ましくはヒトである、実施形態43に記載の
ベータヘルペスウイルス。
【0067】
実施形態45.ヒトサイトメガロウイルスである、実施形態43または44に記載のベ
ータヘルペスウイルス。
【0068】
実施形態46.前記対象が、疾患に罹患しているか、または疾患に罹患する危険性があ
る、実施形態43〜45のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0069】
実施形態47.前記ワクチン接種が、疾患に対するワクチン接種である、実施形態43
〜46のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス。
【0070】
実施形態48.前記疾患が、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガ
ロウイルス感染に伴う疾患または状態である、実施形態46および47のいずれか1つに
記載のベータヘルペスウイルス。
【0071】
実施形態49.前記疾患または状態が、先天性封入体病を含む群から選択される、実施
形態48に記載のベータヘルペスウイルス。
【0072】
実施形態50.前記対象が、妊娠している雌または生殖可能年齢の雌、好ましくは、妊
娠している女性または生殖可能年齢の女性である、実施形態43〜49のいずれか1つに
記載のベータヘルペスウイルス。
【0073】
実施形態51.前記治療が、雌から前記雌が有しているかもしくは将来有する胎児およ
び/または胚へのベータヘルペスウイルス、好ましくはヒトサイトメガロウイルスの移動
を妨げるかまたは妨げるのに適するかまたは妨げることができる、実施形態50に記載の
ベータヘルペスウイルス。
【0074】
実施形態52.前記治療が、雌の体内での免疫応答または雌の体内での免疫応答を生じ
させるためであるかまたは生じさせるのに適するかまたは生じさせることができ、好まし
くはそのような免疫応答が、前記雌が有しているかもしくは将来有する胎児および/また
は胚に、ベータヘルペスウイルス、好ましくはヒトサイトメガロウイルスおよび/または
ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス感染に伴う疾患もし
くは状態に対する防御を授ける、実施形態50に記載のベータヘルペスウイルス。
【0075】
実施形態53.医薬品の製造のための、実施形態1〜47のいずれか1つに記載のベー
タヘルペスウイルスの使用。
【0076】
実施形態54.前記医薬品が、ベータヘルペスウイルス感染の治療および/または予防
用である、実施形態53に記載の使用。
【0077】
実施形態55.前記医薬品が、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメ
ガロウイルス感染に伴う疾患もしくは状態の治療および/または予防用である、実施形態
53に記載の使用。
【0078】
実施形態56.ワクチンの製造のための、実施形態1〜47のいずれかに記載のベータ
ヘルペスウイルスの使用。
【0079】
実施形態57.前記ワクチンが、ベータヘルペスウイルス感染の治療および/または予
防用である、実施形態56に記載の使用。
【0080】
実施形態58.前記ワクチンが、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイト
メガロウイルス感染に伴う疾患もしくは状態の治療および/または予防用である、実施形
態57に記載の使用。
【0081】
実施形態59.前記ワクチンが、対象への投与のためであるかまたは投与に適し、前記
対象が、妊娠している雌、生殖可能年齢の雌、移植片のドナー、移植片のレシピエントお
よびHIVに感染しているかもしくはHIVに感染する危険性がある対象を含む群から選
択される、実施形態56〜58のいずれか1つに記載の使用。
【0082】
実施形態60.前記ドナーが、潜在的ドナーであり、かつ/または前記レシピエントが
、潜在的レシピエントである、実施形態59に記載の使用。
【0083】
実施形態61.前記実施形態のいずれかに記載のベータヘルペスウイルスをコードする
核酸。
【0084】
実施形態62.実施形態61に記載の核酸を含むベクター。
【0085】
実施形態63.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第
1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜23
3681により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチ
ド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオ
チド123688と共有結合している、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0086】
実施形態64.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第
1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜23
3681により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列
を含む第3ヌクレオチド配列とを含む、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0087】
実施形態65.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、
配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によ
るヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌ
クレオチド123668と共有結合している、実施形態64に記載のベクター。
【0088】
実施形態66.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第
1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜13
0670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列
のヌクレオチド131243〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含
み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20
によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド130670が、配列番号20によるヌクレオチド配列
のヌクレオチド131243と共有結合している、実施形態62に記載の前記核酸を含む
ベクター。
【0089】
実施形態67.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第
1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜13
0670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列
のヌクレオチド131243〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配
列番号34によるヌクレオチド配列を含む第3ヌクレオチド配列と、配列番号35による
ヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、実施形態62に記載の前記核酸
を含むベクター。
【0090】
実施形態68.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、
配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によ
るヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌ
クレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオ
チド130670が、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合
し、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド67が、配列番号20によるヌ
クレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合している、実施形態67に記載の
ベクター。
【0091】
実施形態69.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜2336
81により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配
列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド5
9623と共有結合している、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0092】
実施形態70.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜2336
81により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含
む第3ヌクレオチド配列とを含む、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0093】
実施形態71.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配
列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド59623と共有結合している、実施形態70に記載のベクター。
【0094】
実施形態72.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜2336
81により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配
列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド6
3261と共有結合している、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0095】
実施形態73.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜2336
81により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含
む第3ヌクレオチド配列とを含む、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0096】
実施形態74.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配
列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレ
オチド63261と共有結合している、実施形態73に記載のベクター。
【0097】
実施形態75.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜6212
9により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド63261〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列
番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌク
レオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド
配列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド
63261と共有結合している、実施形態62に記載の前記核酸を含むベクター。
【0098】
実施形態76.前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1
核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜6212
9により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド63261〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号3
2によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオ
チド配列を含む第5ヌクレオチド配列とを含む、実施形態62に記載の前記核酸を含むベ
クター。
【0099】
実施形態77.配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配
列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32による
ヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌク
レオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド
62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配
列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオ
チド配列のヌクレオチド632161と共有結合している、実施形態76に記載のベクタ
ー。
【0100】
実施形態78.実施形態61に記載の核酸または実施形態62〜77のいずれか1つに
記載のベクターを含む宿主細胞。
【0101】
実施形態79.前記実施形態のいずれか1つに記載のベータヘルペスウイルス、実施形
態61に記載の核酸および/または前記実施形態のいずれか1つに記載のベクターと、薬
学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0102】
本発明者らは、ベータヘルペスウイルス、より具体的には本発明のCMVによる人類の
ような宿主生物の内皮細胞の感染が、CMVに対する免疫応答の誘発をもたらすことを、
驚くべきことに見出した。より具体的には、該免疫応答は、ベータヘルペスウイルスに対
する中和抗体ならびにベータヘルペスウイルスのエピトープに対してのCD4およびC
D8T細胞を含む抗CMV応答である。さらに、本発明者らは、このような免疫応答が
、ベータヘルペスウイルス、より具体的には伝播欠損性(spread-deficient)である本発
明のヒトサイトメガロウイルスにより誘発できることを、驚くべきことに見出した。マウ
スCMVのようなベータヘルペスウイルスに関するいずれの特徴、実施形態およびいずれ
の記述も、ヒトCMVに対して等しくあてはまることが認識されなければならない。さら
に、本発明によるベータヘルペスウイルスは、好ましい実施形態において、ヒトおよびマ
ウスそれぞれのCMVについて観察される以下の特徴を示すことが認識される:マウスお
よびヒトそれぞれにおいてマウスおよびヒトCMVへの多重感染が生じる(Boppan
a,S.B.ら2001.Intrauterine transmission of
cytomegalovirus to infants of women wit
h preconceptional immunity.N.Engl.J Med
344:1366〜1371頁;Cicin−Sain,L.ら、2005.Frequ
ent coinfection of cells explains functi
onal in vivo complementation between cyt
omegalovirus variants in the multiply in
fected host.J Virol 79:9492〜9502頁);CMVに対
する中和抗体の通常になく高い応答が、マウスおよびヒトそれぞれにおいてマウスおよび
ヒトCMVへの感染により引き起こされる(Farrell,H.E.およびG.R.S
hellam、1990.Characterization of neutrali
zing monoclonal antibodies to murine cyt
omegalovirus.J.Gen.Virol.71(Pt3):655〜664
頁;Farrell,H.E.およびG.R.Shellam、1991.Protec
tion against murine cytomegalovirus infe
ction by passive transfer of neutralizin
g and non−neutralizing monoclonal antibo
dies.J.Gen.Virol.72(Pt1):149〜156頁;Gerna,
G.,A.ら、2008.Human cytomegalovirus serum
neutralizing antibodies block virus infe
ction of endothelial/epithelial cells, b
ut not fibroblasts,early during primary
infection.J.Gen.Virol.89:853〜865頁);非常に特徴
的なCD8+T細胞応答を表す記憶膨張が、マウスおよびヒトそれぞれにおいてマウスお
よびヒトCMVへの感染により引き起こされ、ほぼ同一の速度論を有する(Karrer
,U.ら、2003.Memory inflation:continuous ac
cumulation of antiviral CD8+ T cells ove
r time.J.Immunol.170:2022〜2029頁;Karrer,U
.ら2004.Expansion of protective CD8+ T−ce
ll responses driven by recombinant cytom
egaloviruses.J.Virol.78:2255〜2264頁;Klene
rman,P.およびP.R.Dunbar、2008.CMV and the ar
t of memory maintenance.Immunity.29:520〜
522頁;Komatsu,H.ら、2003.Population analysi
s of antiviral T cell responses using MH
C class I−peptide tetramers.Clin.Exp.Imm
unol.134:9〜12頁)。本発明に関連して、当業者は、マウスCMV遺伝子を
、ヒトCMVにおいて前記マウスCMV遺伝子の相同体で置き換えることができることも
認識する(Schnee,M.ら、2006.Common and specific
properties of herpesvirus UL34/UL31 pro
tein family members revealed by protein
complementation assay.J Virol 80:11658〜1
1666頁)。
【0103】
好ましい実施形態では、本発明によるベータヘルペスウイルスは、Liuらにより米国
特許第7,407,744号に記載されるTowne株、すなわち、好ましくは野生型と
比較して、遺伝子UL133、UL134、UL135、UL136、UL137、UL
138、UL139、UL140、UL141、UL142、UL143、UL144お
よびUL145が欠失しているTowne株とは異なる。当業者は、Towne株が内皮
向性でなく、欠陥のあるgH/gL複合体も有することをさらに認識する。
【0104】
さらに好ましい実施形態では、本発明によるベータヘルペスウイルスは、配列番号23
によるヌクレオチド配列を含む。
【0105】
よりさらに好ましい実施形態では、本発明によるベータヘルペスウイルスは、Tole
do株とは異なる。
【0106】
伝播欠損は、本明細書で用いる場合、好ましくは、伝播欠損性であるウイルスが細胞に
感染し、ウイルス粒子が感染細胞から放出されず、ここで、ウイルスDNAが複製され、
本発明に従って欠失されたもの以外のウイルスタンパク質が感染細胞において発現され、
好ましくは全てのウイルス糖タンパク質が発現され、より好ましくは細胞へのウイルスの
侵入を媒介する全てのウイルス糖タンパク質が発現され、ここで、好ましくは、細胞が内
皮および/または上皮細胞であることを意味する。ウイルスが伝播欠損性であるか否かを
決定するために本発明に従って好ましく用いられるアッセイは、実施例1として本明細書
に記載する。
【0107】
本明細書で好ましく用いられる野生型CMV株は、ウイルスが、その天然宿主から単離
され、組織培養において内皮細胞に感染するその能力を維持しているベータヘルペスウイ
ルス株であることを意味する。より具体的には、本明細書で好ましく用いられる野生型ヒ
トCMV株は、なかでも、遺伝子UL133、UL134、UL135、UL136、U
L137、UL138、UL139、UL140、UL141、UL142、UL143
、UL144およびUL145を含有し(Chaら、既出)、より具体的には、本明細書
で好ましく用いられる野生型CMV株は、ヒトCMVについてTB40/EおよびFIX
−BAC(Sinzgerら1999 Journal of General Vir
ology、80、2867〜2877頁;Hahnら2002 J Virol.76
(18):9551〜9555頁)ならびに/またはTB40E−BAC4−FRT(配
列番号20)(Scrivano,L.ら、2011.HCMV spread and
cell tropism are determined by distinct
virus populations.PLoS.Pathog.7:e100125
6)あるいはMCMVについてSmith株である(Rawlinsonら1996 J
Virol 70:8833〜8849頁)。本発明の好ましい実施形態では、本明細
書で好ましく用いられる野生型CMV株は、配列番号23によるヌクレオチド配列を含む
。TB40E−BAC4−FRTによる分子感染性BACプラスミドであるpTB40E
−BAC4−FRTの配列は、配列番号20によるヌクレオチド配列を有する。
【0108】
前記pTB40E−BAC4−FRTは、nt1〜181652およびnt18919
2〜233681によりコードされるウイルス配列と、nt181653〜189191
により表されるBAC配列とからなる。当業者は、TB40E−BAC4−FRTのウイ
ルスゲノムのようなウイルスゲノムを含むpTB40E−BAC4−FRTのようなBA
Cプラスミドが、大腸菌において環状であり、よって、配列番号20によるヌクレオチド
配列のヌクレオチド233681が配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド
1と共有結合することを認識する。当業者は、前記ウイルスのウイルスゲノムを含むBA
Cプラスミドからのウイルスを再構築するため、例えば、TB40E−BAC4−FRT
のウイルスゲノムを含むpTB40E−BAC4−FRTからTB40E−BAC4−F
RTを再構築するための方法を理解している。このような方法は、なかでも、補完細胞を
含む細胞のトランスフェクションを含む。
【0109】
本明細書で用いる場合、用語「少なくとも1つの遺伝子生成物が欠損している」は、好
ましくは、核酸、DNA、RNAまたは遺伝子の発現に起因するペプチド、ポリペプチド
もしくはタンパク質のような生化学的物質である少なくとも1つの遺伝子生成物が、野生
型株における前記遺伝子生成物が示す機能の少なくとも1つを示さないことを意味する。
好ましくは、示されない前記機能の少なくとも1つは、ベータヘルペスウイルスの伝播を
担う機能である。また、好ましくは、野生型株における前記遺伝子生成物の機能の全てが
示されない。このことは、前記遺伝子生成物をコードする遺伝子の完全もしくは部分的な
欠失もしくは変異、前記遺伝子生成物をコードする遺伝子の発現を制御する核酸の変異の
完全もしくは部分的な欠失、前記遺伝子生成物の切断、またはその他の形で競合する遺伝
子生成物の阻害の結果であってよい。
【0110】
本明細書で用いる場合、用語「DNAが複製される」は、好ましくは、複製が、野生型
ウイルスの複製と同様に生じることを意味する。
【0111】
本明細書で用いる場合、野生型様ビリオン表面は、好ましくは、本明細書で定義する野
生型のベータヘルペスウイルス、より具体的には本明細書で定義するサイトメガロウイル
ス野生型株が提示する表面である。野生型のベータヘルペスウイルスが提示する表面を定
義するために用いられる分子は、細胞、好ましくは内皮細胞への前記野生型ウイルスの侵
入を媒介する前記野生型ウイルスにより発現される糖タンパク質である。言い換えると、
野生型様ビリオン表面を有する本発明によるウイルスは、初代線維芽細胞の感染の後に、
それに基づいて本発明のウイルスを作製するために欠失を作製したかもしくは作製できる
野生型ウイルスと同一、本質的に同一または少なくとも著しく異ならない、同じ糖タンパ
ク質を提示または発現するビリオン表面を有する。糖タンパク質の発現の決定は、当業者
に知られており、定量RT−PCRまたは質量分析法により行ってよい(Brittら1
990.J Virol 64:1079〜1085)が、このような目的に適するその
他の方法は、当業者に知られている。
【0112】
本発明のベータヘルペスウイルス、特に本発明のヒトサイトメガロウイルスが内皮向性
であるかを決定するために、好ましくは、実施例2に記載するアッセイを用いる。
【0113】
本発明のベータヘルペスウイルス、特に本発明のヒトサイトメガロウイルスにより誘発
される免疫応答が少なくとも中和抗体を含み、ここで、少なくとも中和抗体が、前記ウイ
ルスが内皮細胞および/または上皮細胞に感染することを妨げるかを決定するために、C
uiら(Cuiら、既出)に記載されるアッセイを好ましく用いることができる。
【0114】
ウイルスDNA複製は、複製欠損ウイルス変異体において抑止され、よって、遺伝子発
現が、ウイルスエピトープの全てのセットを活用しないことが認識される。特に、糖タン
パク質および構造ビリオン成分が発現されない。
【0115】
本発明をさらに説明するために、ヒトサイトメガロウイルスの生物学について以下に概
説する。
【0116】
ヒトサイトメガロウイルスは、8種のヒトヘルペスウイルスのうちの1種であり、これ
らは、生物学的特性および他のヘルペスウイルスとの分子系統発生学的関係に基づいて、
3つのサブファミリー(アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ))にクラスタ分け
される。サイトメガロウイルスは、ベータヘルペスウイルスサブファミリーに属し、ヘル
ペスウイルスファミリーの中で最大のゲノムを有する。240kbpのそのゲノムは、2
00を超える可能性のある遺伝子生成物をコードできる(Murphyら、既出)。
【0117】
サイトメガロウイルスのウイルス粒子は、3つの主な構成要素、すなわち2本鎖直鎖状
DNAゲノムを包む内側正20面体カプシド、カプシドを囲むあまり組織化されていない
タンパク質の網であるテグメント、およびウイルス糖タンパク質複合体が埋め込まれた脂
質2重層である最外エンベロープからなる。
【0118】
宿主細胞へのウイルス粒子の感染は、宿主細胞表面の分子構造へのウイルス糖タンパク
質の接触により媒介される。CMVは、多くの異なる型の細胞に感染でき、ウイルス侵入
の機構は、具体的な細胞型に依存し、2つの主な経路により生じ得ることが知られている
。(a)遊離の、すなわち細胞非結合性ウイルス粒子は、宿主細胞に直接遭遇できるか、
または(b)ウイルスは、予め形成された、すなわち非ウイルス誘導性細胞間接触もしく
はウイルス誘導性細胞間接触、いわゆる細胞から細胞への伝播により、感染細胞から非感
染細胞に移動する。
【0119】
細胞受容体のセットと高い親和性で結合した後に、ウイルス糖タンパク質は、ウイルス
エンベロープと宿主細胞膜との間の融合を誘導する。CMV粒子が宿主細胞に侵入した後
に、HCMVゲノムは、核を標的にし、ここで、該ゲノムは、いくらかサイレントなゲノ
ムが無症状で維持されることを特徴とする潜伏感染を確立するか、または新しい感染性C
MV粒子の繁殖を導く溶解感染を誘導する。
【0120】
CMVの溶解性複製サイクルは、3段階の調節された遺伝子発現:最初期、初期および
後期に分割される。複製段階の特徴は、特徴的な速度論で発現される特異的遺伝子クラス
タである。最初期遺伝子転写がまず生じ、ウイルス生成の必要性に応じて宿主細胞を再プ
ログラムするウイルスマスターレギュレーターの合成を導く。最初期遺伝子生成物の合成
の後に、初期遺伝子が転写される。初期遺伝子生成物は、DNA複製タンパク質ならびに
ヌクレオチド代謝において重要なレギュレーターおよび酵素を含む。最後に、後期遺伝子
が、DNA複製の開始後に転写され、前記後期遺伝子の遺伝子生成物は、主に、新しい感
染性ウイルス粒子のアッセンブリおよび放出に関与する構造タンパク質である。
【0121】
後期遺伝子生成物は、gBおよびgH/gL複合体(これらは、CMVに対する中和抗
体の主な標的である)のようなウイルス糖タンパク質(Schleissら2008既出
)ならびに主なテグメントタンパク質であるホスホプロテイン65(pp65)および最
初期1タンパク質(これらは、CMVに対する細胞性免疫応答の主な標的である)を含む
多くのウイルス抗原を含む。
【0122】
CMVの溶解性複製サイクルにおけるさらなるステップは、成熟前ウイルス粒子を膜構
造でエンベロープ化するステップを含む、新規な感染性ウイルス粒子の成熟化である。エ
ンベロープ化のステップは、1次エンベロープ化、脱エンベロープ化および2次エンベロ
ープ化を含む。
【0123】
核膜での1次エンベロープ化は、ウイルスカプシドが核を出て放出されるために重要で
ある。この1次エンベロープ化において必須の役割を演じる核放出複合体(NEC)とも
呼ばれるタンパク質複合体の一部としてのタンパク質は、マウスCMVのM50およびM
53(Lotzerichら2006 J Virol 80:73〜84頁)またはヒ
トCMVにおけるそれらの相同体であるUL50およびUL53として最近同定された。
【0124】
相同遺伝子は、本明細書で用いる場合、好ましくは、Fossumら(Fossumら
PLoS Pathog.2009年9月;5(9):e1000570)またはDav
isonら(Davisonら(2010)Vet Microbiol.2010年2
月11日。Herpesvirus systematics;およびDavisonら
2004 Compendium of Human Herpesvirus gen
e names;Reno)に従って、別のヘルペスウイルスの遺伝子の相同体であると
言われるあるヘルペスウイルスの遺伝子である。
【0125】
さらに、UL50の相同体は、EMBL−EBI InterProデータベース(h
ttp://www.ebi.ac.uk/interpro/)に、受託番号IPR0
07626の下で列挙され、UL53相同体は、同様に、見出しIPR021152の下
で見出される。
【0126】
2次エンベロープ化は、ゴルジ装置および/または小胞体の膜にて生じる。前記2次エ
ンベロープ化に関連して、2次エンベロープ化複合体(SEC)とも呼ばれるタンパク質
複合体が、マウスCMVのM94またはヒトCMVにおけるその相同体、すなわちUL9
4の遺伝子生成物を少なくとも含んで同定された。HCMVの遺伝子UL94は、全ての
ヘルペスウイルスサブファミリーで保存され(Cheeら1991 Transplan
t Proc 23:174〜80頁;Cheeら1990 Curr Top Mic
robiol Immunol 154:125〜169頁;Higginsら1989
Comput.Appl.Biosci.5:151〜153頁)、感染の後期段階で
のみ見出された(Scottら2002 Virus Genes 24:39〜48頁
;Wingら1996 J Virol 70:3339〜3345頁)。UL94が、
ビリオンの一部分であることが最近示された(Kalejtaら2008 Microb
iol Mol Biol Rev 72:249〜65頁;Kattenhornら2
004 J Virol 78:11187〜11197頁;Wingら、前掲)。UL
94は、トランスポゾン媒介突然変異誘発により示されるHCMVのTowne株の感染
に必須である(Dunnら2003 Proc Natl Acad Sci USA
100:14223〜14228頁)。M94がマウスCMV感染に必須であることは、
本明細書の実施例部分に開示する。
【0127】
UL94の相同体は、EMBL−EBI InterProデータベース(http:
//www.ebi.ac.uk/interpro/)に、受託番号IPR00428
6の下で列挙される。
【0128】
唾液腺中のCMVの高いウイルス量は、分泌を介する直接接触によるCMV伝達を示す
。侵入部位での最初の標的細胞における最初の複製の後に、CMVは、血液およびリンパ
液により体内に伝播する。ウイルスは、白血球細胞により取り込まれ、これがウイルスを
1次感染部位からほぼ全ての内部器官にウイルスを運ぶ可能性が最も高い。
【0129】
CMVとその宿主、すなわちヒトまたはマウスとの間の相互作用は、非常に複雑である
。他方で、宿主の免疫応答は、ウイルスの複製を非常に効果的に制御する。よって、CM
V感染のほとんどは、無症状であり、このことは、組織損傷が観察可能な病的レベルの局
所または全身の炎症に到達する前に、ウイルス複製が制御されることを意味する。他方、
ウイルス自体は、免疫応答を制御し、宿主からのウイルスの効果的なクリアランスをもた
らす。免疫能のあるほとんど全ての事例において、自然CMV感染は、ウイルスが、宿主
から完全に排除されることなく免疫系により制御される状況にたどり着く(Reddeh
aseら2002 J Clin Virol 25 Suppl2:S23〜S36頁
)。
【0130】
最近、CMVの免疫抑制機能の分子機構を研究することにより、かなりの部分の知識が
得られた。CMV遺伝子の半数より多くが、免疫系の全ての段階で異なる免疫機構に干渉
する遺伝子生成物、いわゆる免疫回避遺伝子(immune evasive gene)をコードすること
が認識されている。体液性または細胞性免疫応答単独は、CMV感染を制御するために十
分でないという証拠が存在する。これらの両方の協調した作用が、ウイルス免疫回避との
バランスを保つために必要である(Adlerら1995 J Infect Dis
171:26〜32頁;Reddehaseら1987 J Virol 61:310
2〜3108頁)。
【0131】
ベータヘルペスウイルスおよびヒトCMVにそれぞれ感染した対象の疾患および状態は
、なかでも、単核球症様の症状、脾腫、間質性肺炎、失明、難聴、先天性封入体病ならび
にHCMVに感染した器官のそれぞれ器官損傷および器官不全である。前記疾患および状
態は、本発明のベータヘルペスウイルスにより治療および/または予防できる疾患および
状態であることが認識される。
【0132】
典型的に、ヒトCMV感染は、宿主の免疫系が脆弱化または抑制されている場合にのみ
臨床的に出現する。公衆衛生的に重要ないくつかのメジャーリスク群が存在する。
【0133】
宿主免疫系が脆弱である、ある状況は、生殖可能年齢の妊娠していない女性または妊娠
している女性がヒトCMVに感染する場合である。ヒトCMV感染が、妊娠中に、それぞ
れ胎児および胚の未熟な免疫系により母体から胎児および胚にそれぞれ伝達されるならば
、ヒトCMV感染の直接細胞傷害性病状が発生でき、これは、先天性封入体病(CID)
と呼ばれる。CIDの症状は、小頭症、大脳萎縮症、脈絡網膜炎および感音難聴を含む(
これらは、典型的に、子宮内胎児発育遅延、肝脾腫を含むその他の内臓器官の感染の結果
、血小板減少症のような血液の異常および紅斑として出現する様々な皮膚の徴候、すなわ
ち点状出血および紫斑病と組み合わされる)ヒトCMVが中枢神経系に感染する原因が大
部分である。CIDは、先進国における最も頻度が高い感染性先天性障害である。さらに
、ヒトCMV感染は、ウイルス感染の後に獲得される難聴の主な原因である。
【0134】
臨床的に重要なヒトCMV感染の第2のシナリオは、免疫低下または免疫抑制患者によ
り形成される。この種の患者は、例えば、HIV陽性患者または移植片レシピエントであ
る。これらの患者において、疾患の徴候は、免疫機能障害の質および程度に依存して変動
する。感染は、潜伏ウイルス感染の再活性化を原因としてほとんどの場合生じるが、移植
片レシピエントの場合に、すでに感染したドナーに由来する器官または骨髄移植片からの
ウイルス再活性化により新たに獲得されることもある。
【0135】
十分な免疫制御がない場合、CMV感染は、様々な器官の炎症性疾患を導く。これに関
連して、最も頻度が高い臨床的徴候は、間質性肺炎、胃腸疾患、肝炎および網膜炎からな
る。骨髄移植片レシピエントにおいて、HCMV間質性肺炎が、90%の死亡率で発生す
る。前記疾患および状態は、本発明のベータヘルペスウイルスにより治療および/または
予防できる疾患および状態であることが認識される。
【0136】
AIDS患者において、日和見ヒトCMV感染は一般的であり、抗レトロウイルス療法
が失敗したかまたは該療法を適用できない/利用できないならば、ほぼ100%の頻度で
発生する。これは、効果的な療法がまだ利用可能でない非先進国の場合にまだあてはまる
。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に対する高度に活性な抗レトロウイルス療法が利
用可能になる前に、HCMV網膜炎は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の成人患者に
おける失明の最も一般的な原因であり、全体的な生涯有病率は90%を超えていた。
【0137】
本発明のベータヘルペスウイルスの実施形態では、ベータヘルペスウイルスは、ワクチ
ンおよび/またはベクターとして用いられる。本発明のさらなる実施形態では、このよう
なベータヘルペスウイルスは、異種核酸をコードする。好ましくは、このような異種核酸
は、抗原、より好ましくは病原体の抗原をコードする。このことにより、このようなワク
チンおよびベクターはそれぞれ、前記病原体により引き起こされるかまたは該病原体に伴
う疾患の治療および/または予防に適する。このような病原体は、好ましくは、ウイルス
および細菌を含む。ある実施形態では、抗原は、インフルエンザのNP−NT60であり
、このことにより、ベクターは、インフルエンザの治療において有用である。さらなる実
施形態では、抗原は、結核菌H37Rv株からのORF Rv3407であり、このこと
により、ベクターは、結核の治療において有用である。
【0138】
ある実施形態では、本発明のベータヘルペスウイルスは、組換えベータヘルペスウイル
スである。
【0139】
さらなる実施形態では、本発明のベータヘルペスウイルスは、ヒトベータヘルペスウイ
ルス、好ましくは組換えヒトベータヘルペスウイルスである。
【0140】
好ましい実施形態では、本発明のベータヘルペスウイルスの個別のヌクレオチドは、ホ
スホジエステル結合により結合、好ましくは共有結合している。このようなホスホジエス
テル結合は、細胞のような生物学的材料に含まれるかまたは生成される核酸分子に含まれ
るホスホジエステル結合である。
【0141】
本発明のベータヘルペスウイルスが、医薬組成物の一部分であることが認識される。好
ましくは、このような医薬組成物は、本発明のベータヘルペスウイルスおよび/またはそ
れをコードする核酸以外に、薬学的に許容される担体を含有する。このような医薬組成物
の成分およびそれらのそれぞれの含有量は、当業者に知られている。このような医薬組成
物が、本発明のベータヘルペスウイルスと関連して本明細書で開示する疾患および状態の
治療のためであるかまたは該治療において用いるためであることがさらに認識される。
【0142】
本出願の実施例部分において示す実験による証拠がマウスCMVに基づくが、このよう
な証拠はHCMVに直接的およびそのまま移すことができることが当業者により認識され
、よって、本発明は、当業者にとってもっともらしい。この理由は、CMVを含む異なる
ヘルペスウイルス株のゲノムが直線的に相関しており、ヒト宿主におけるヒトCMVおよ
びマウス宿主におけるマウスCMVの作用の形態が本質的に同一であるからである。
【0143】
本発明による核酸分子、タンパク質およびペプチドの様々な配列番号、化学的性質、そ
れらの実際の配列ならびに内部参照番号を、以下の表にまとめる。この表に示していない
特定の配列の範囲で、これらは、本明細書の一部分である添付の配列表に含まれる。
【0144】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0145】
上記の核酸配列のそれぞれおよび全てが、遺伝コードの縮重性により、上記の核酸配列
と同じまたは機能的に相同なペプチドおよびタンパク質をそれぞれコードする核酸配列に
置き換えることができることを当業者は認識し、このことは、本発明の範囲内でもある。
【0146】
本発明を、以下の図面および実施例によりここでさらに説明し、これらからさらなる特
徴、実施形態および利点が理解できる。
【0147】
より具体的には、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1】誘導性トランス補完の概念の模式図である。
図2図2Aは、時間の関数としてのTCID50を示す線図である。図2Bは、一連の顕微鏡写真である。図2Cは、時間の関数としてマウスの生存を示す生存曲線である。
図3図3Aは、血清の希釈の関数としてのルシフェラーゼ活性としてのウイルス中和抗体応答を示す線図である。図3Bは、様々な時点での適応移入T細胞のパーセンテージを示す線図である。図3Cは、様々なウイルスペプチドを負荷した移入細胞の、ウイルスペプチドに特異的なCD8T細胞による特異的溶解のパーセンテージを示す線図である。
図4】異なるウイルス変異体に感染した異なるマウス株における適応移入T細胞のパーセンテージを示すWhiskerブロットである。
図5図5Aおよび図5Bは、ワクチン接種したマウスの異なる器官における攻撃ウイルス量を示す線図である。
図6図6Aおよび図6Bは、時間の関数としてのワクチン接種したマウスの生存を示す生存曲線である。
図7図7Aは、野生型またはMCMV−ΔM94のいずれかの感染マウスの肺においてウイルス遺伝子M54を検出するPCRの結果を示すアガロースゲルである。図7Bは、野生型またはMCMV−ΔM94のいずれかの感染マウスの肺においてウイルス遺伝子M54を検出する定量PCRの結果を示す線図である。図7Cおよび図7Dは、ワクチン接種したマウスの異なる器官における攻撃ウイルス量を示す線図である。
図8】MCMV−Δm157−rec−egfp−ΔM94に感染した異なる株化細胞の細胞の一連の顕微鏡写真である。
図9図9Aは、伝播アッセイの模式的概要である。図9Bは、一連の顕微鏡写真である。図9Cは、伝播アッセイの結果を示す線図である。
【実施例1】
【0149】
[伝播アッセイ]
本明細書に記載する伝播アッセイは、ベータヘルペスウイルスおよびヒトサイトメガロ
ウイルスの特徴決定の関係において、このようなウイルスが伝播欠損性であるかを決定す
るために用いることができる。
【0150】
ヒトCMVについての初代線維芽細胞の株化細胞MRC5およびマウスCMVについて
のNIH/3T3ならびに補完性細胞株TCL94/99−BPおよびNTM94−7を
それぞれ播き、約0.25のMOIで1時間感染させ、D−PBSで2回洗浄する。細胞
を6時間インキュベートし、その後、D−PBSで4回洗浄する。同数の非感染細胞を、
5μMのCFSEで8分間染色し、2%FCS/D−PBSでブロックし、次いで、2%
FCS/D−PBSで2回洗浄し、その後、未染色であるが感染した細胞の上に播種した
【0151】
感染の48時間(マウスCMV)および72時間(ヒトCMV)後に、4%パラホルム
アルデヒド(PFA)を用いてD−PBS中で10分間、37℃にて共培養物を固定し、
洗浄し、0.1%TritonX100を10分間用いて透過にした。3回の洗浄後、細
胞を、3%BSA/D−PBSで1時間ブロックした。最初期染色を、CMVの最初期遺
伝子生成物に対する1次抗体、より具体的にはモノクローナル抗体Croma101((
IgG1アイソタイプ)Keilら(Keilら1987 J Virol.61(2)
:526〜533頁)において抗体6/20/1と称されるマウスCMVの最初期タンパ
ク質1に特異的)、およびヒトCMV最初期1に特異的なPlachterらにおいてC
H160と称されるモノクローナル抗体((Plachterら1993 Virolo
gy 193、642〜652頁)Virusys Co.から市販で入手可能)と固定
細胞を3%BSA/D−PBS中でインキュベートすることにより行った。3回のD−P
BS洗浄の後に、細胞を、MCMVの場合に1次抗体Croma101およびヒトCMV
の場合にCH160に対してのAlexa Fluor555結合2次抗体と、3%BS
A/D−PBS中でインキュベートした。最後に、細胞を3回洗浄し、LSM510Me
ta(Zeiss)を用いて共焦顕微鏡により画像化した。CMV株または変異体が伝播
欠損性であるかを決定するために、野生型CMVに感染した細胞を陽性対照として用いる
。伝播欠損性ウイルス伝達は、最初期陽性細胞およびCFSE陽性細胞を、ImageJ
Cell Counterプラグイン(Rasband,WS.ImageJ 200
9.Bethesda、Maryland、USA、U.S.National Ins
titutes of Health.このプログラムは、NCBIにて自由にアクセス
できる標準であり(http://rsbweb.nih.gov/ij/)、科学出版
物において参考として受け入れられている)を用いて計数することにより決定する。CF
SE染色細胞、最初期陽性細胞および両方のシグナルを示す細胞を計数した。ウイルス伝
達は、最初期陽性/CFSE染色細胞と最初期陰性/CFSE染色細胞の間の比率を算出
することにより決定した。
【実施例2】
【0152】
[ウイルスが内皮向性であるかを決定するためのアッセイ]
ここに記載するアッセイは、ウイルスが内皮向性であるかを決定するために用いる。
【0153】
ヒトCMVが内皮向性であるかを決定することについて、初代ヒト線維芽細胞の株化細
胞、本発明のHCMVが欠損している関係の遺伝子の生成物を補完する補完株化細胞、お
よびヒト内皮株化細胞を播き、約0.1のMOIでHCMV野生型または本発明のウイル
スに感染させる。感染の24時間後に、最初期染色を、本発明のベータヘルペスウイルス
の最初期遺伝子生成物に対するモノクローナル抗体、より具体的にはVirusys C
o.から市販で入手可能なCMV IE 1/2モノクローナル抗体CH160(Pla
chterら、既出)と固定細胞を3%BSA/D−PBS中でインキュベートすること
により行う。3回のD−PBS洗浄の後に、細胞を、HCMVのヒト最初期1に対するモ
ノクローナル抗体に対してのAlexa Fluor555結合2次抗体と、3%BSA
/D−PBS中でインキュベートする。最後に、細胞を3回洗浄し、UV顕微鏡により画
像化する。野生型HCMVに感染した細胞を陽性対照として用い、最初期1陽性細胞およ
びCFSE陽性細胞を、ImageJ Cell Counterプラグイン(Rasb
and、既出)を用いて計数する。
【0154】
マウスCMVが内皮向性であるかを決定することについて、初代マウス線維芽細胞の株
化細胞、本発明のMCMVが欠損している関係の遺伝子の生成物を補完する補完性細胞株
、およびマウス内皮株化細胞を播き、約0.1のMOIでMCMV野生型または本発明の
ウイルスに感染させる。感染の24時間後に、最初期染色を、本発明のベータヘルペスウ
イルスの最初期遺伝子生成物に対するモノクローナル抗体、より具体的にはKeilら(
Keilら、既出)において抗体6/20/1と称されるCroma101と固定細胞を
3%BSA/D−PBS中でインキュベートすることにより行う。3回のD−PBS洗浄
の後に、細胞を、マウスCMVの最初期1に対するマウスモノクローナル抗体に対しての
Alexa Fluor555結合2次抗体と、3%BSA/D−PBS中でインキュベ
ートする。最後に、細胞を3回洗浄し、UV顕微鏡により画像化する。野生型マウスCM
Vに感染した細胞を陽性対照として用い、最初期1陽性細胞を、ImageJ Cell
Counterプラグイン(Rasband、既出)を用いて計数する。
【実施例3】
【0155】
[材料および方法]
[細胞およびマウス]
マウス胚性線維芽細胞(MEF)に由来する線維芽細胞の株化細胞NIH/3T3およ
びBALB/cは、Cicin−Sainら(Cicin−Sainら2005 J V
irol79:9492〜9502頁)に記載されるようにして培養した。C57BL/
6(B6)マウス、B6.SJL−Ptpr(Ptpr)マウスおよび129.IF
NαβR−/−マウスは、Elevage Janvier(Le Genest Sa
int Isle、France)、Jackson Laboratories(Ba
r Harbor、Maine、USA)およびB&K Universal Limi
ted(Grimston、England)からそれぞれ購入した。129.IFNα
βR−/−マウス(Mullerら1994 Science 264:1918〜19
21頁)は、B6バックグラウンドと戻し交配した(B6.IFNαβR−/−)。T細
胞受容体トランスジェニックマウスOT−I(Hogquistら1994 Cell
76:17〜27頁)およびOT−II(Barndenら1998 Immunol
Cell Biol 76:34〜40頁)は、Ptpr(CD45.1)またはTh
y1.1(CD90.1)コンジェニックマウスとそれぞれ戻し交配した。Alb−cr
e(Posticら1999 J Biol Chem 274:305〜315頁)お
よびTie2−cre(Constienら2001 Genesis 30:36〜4
4頁)は、B6バックグラウンドで維持した。マウスは、特定の病原体フリーの条件で保
持した。動物実験は、Bavaria州の管轄機関(承認番号第55.2−1−54−2
531−111−07号)またはUniversity of Rijekaの倫理委員
会により承認された。
【0156】
[トランス補完性細胞株NT/M94−7の作製]
条件的トランス補完性細胞株NT/M94−7を、(Lotzerichら、既出)に
従って作製した。簡単に述べると、M94 ORFをpSM3fr(Sacherら20
08 Cell Host Microbe 3:263〜272頁)から、プライマー
HAM94for(配列番号1)およびM94rev(配列番号2)を用いて増幅するこ
とにより、N末端にHAタグを導入した。PCR生成物をBamHIおよびXbaIで消
化し、BamHI−およびNheI−切断pTRE2Hygベクター(BD Biosc
iences Clontech、Heidelberg、Germany)に挿入して
、HAM94発現(HAM94タンパク質は配列番号31に示す)をテトラサイクリン(
tet)誘導性プロモーターの制御下に行うpTRE−HAM94(配列番号22)を得
た。pTRE−HAM94を有する安定なNIH/3T3トランスフェクタントを、50
μg/mlハイグロマイシンBを用いて選択した。欠失ウイルスMCMV−ΔM94を、
異なるNT/M94細胞クローンにそれぞれのBACをトランスフェクトすることにより
再構築した。最も生産性がよく感染されたトランス補完性細胞株NT/M94−7を、限
界希釈を用いてサブクローニングした。トランス補完性細胞株を、ブダペスト条約に従っ
て、DSZM、Germanyに、2010年5月5日に寄託した。
【0157】
[組換えウイルスの作製]
組換えマウスCMV(MCMV)変異体は、MCMV細菌人工染色体(BAC)クロー
ンpSM3fr(Smith株(Messerleら1997 Proc Natl A
cad Sci USA 94:14759〜14763頁)を起源とする)に由来した
。ヌクレオチドの位置は、Rawlinsonら(Rawlinsonら、既出)に従っ
て示す。FRTに挟まれたカナマイシン耐性遺伝子(Kan)を有するpCP15の1
.4キロ塩基対(bp)のSmaI断片を、pCR3(Invitrogen、Base
l、Switzerland)のBssHII部位に導入して、pCR3−FRT−Ka
−FRTを得た。ATG開始コドンおよびloxP部位を含有する断片を、オリゴヌ
クレオチドATGlox1(配列番号3)とATGlox2(配列番号4)とをアニール
することにより作製した。この断片を、pCR3−FRT−Kan−FRTのHCMV
のメジャー最初期プロモーター(IEP)とウシ増殖ホルモンのポリAシグナルとの間に
位置するEcoRIおよびXhoI部位に挿入して、pCR3−FRT−Kan−FR
T−ATG−loxPを得た。オボアルブミン遺伝子(ova)を、pBSK−OVA(
配列番号21)に含まれるのと同様に、GGAAをnt9位の後に導入して合成して、さ
らなるクローニングのためのBspEI制限部位を得た。Ovaを、pCR3−FRT−
Kan−FRT−ATG−loxPのBspEIおよびNotIを用いてインフレーム
で挿入して、IEPの制御下で開始ATGの後にloxP部位が挿入された全長ovaを
得て、pCR3−FRT−Kan−FRT−ATG−loxP−ovaと命名した。C
re誘導性オボアルブミン(OVA)発現を有する構築物(配列番号24)を得るために
、floxstopカセット(Sacherら、既出)を、pCR3−ATG−loxP
−ovaのEcoRIおよびBspEI部位に挿入して、pCR3−ATG−flox−
stop−ovaを得た。これらの構築物を鋳型として、オリゴヌクレオチド5’−Δm
157−pCR3−FRT−Kan−FRT(配列番号5)(nt216243位〜2
16290位)および3’−Δm157−flox−egfp(配列番号6)(nt21
6885位〜216930位)をプライマーとして用いて、IEP−ovaカセット、F
RTに挟まれたKanおよびMCMVゲノム標的部位m157に対するウイルス相同配
列を含む直鎖状DNA断片を作製した。同様の手順で、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(l
uc)を、IEPの制御下に、FRTに挟まれたKanを有するpCP15中にクロー
ニングした。これらの断片を、記載されるようにして(Sacherら、既出)pSM3
frのm157中に導入して、pSM3fr−Δm157−ova、pSM3fr−Δm
157−flox−ovaおよびpSM3fr−Δm157−lucを得た。FRTに挟
まれたKanの切り出しのために、FLPリコンビナーゼを、プラスミドpCP20か
ら一過的に発現させた。
【0158】
[伝播欠損性ウイルス変異体の作製]
図1に示すように、大腸菌において、BAC pSM3fr−ΔM94を、tTAトラ
ンスアクチベーターカセットをpSM3frに挿入して、そのことによりM94を欠失す
ることにより作製した。トランス補完性細胞株NT/M94−7は、pM94を、Tet
誘導性プロモーターの制御下に発現する。pSM3fr−ΔM94のトランスフェクショ
ンにより、ウイルスゲノムによるtTAの発現が、細胞によるpM94の発現を誘導し、
トランス補完MCMV−ΔM94の生成を導く。このウイルスは、非補完性の最初の標的
細胞に感染できる。必須遺伝子M94を欠くので、感染性ウイルス粒子の放出は不可能で
あるが、最初期(IE)、初期(E)および後期(L)ウイルス遺伝子発現ならびにDN
A複製(DNA rep)は生じる。
【0159】
M94配列を欠く組換えMCMVを作製するために、親のMCMV BACであるpS
M3fr(MCMV−wt)、pSM3fr−Δm157−ova(MCMV−ova)
およびpSM3fr−Δm157−rec−egfp(MCMV−Δm157−rec−
egfp)(Sacherら、既出)を、第2突然変異誘発ステップに用いた。よって、
pO6ie−F5からの変異体34bp FRT部位で両側を挟まれたKanをpO6
−tTA(Lotzerichら、既出)に挿入することによりプラスミドpO6−tT
A−mFRT−Kan−mFRTを得て、tTAトランス活性化遺伝子を、pM94(
配列番号30)のトランス補完に必要なIEPの制御下に発現させた。tTAカセット、
KanおよびMCMVゲノム標的部位に対するウイルス相同配列(MCMV上流相同性
:nt136189位〜136234位およびMCMV下流相同性:nt137256位
〜137309位)を含む直鎖状DNA断片を、プライマー5’ΔM94−pO6−tT
A(配列番号7)、プライマー3’−ΔM94−pO6−tTA(配列番号8)ならびに
プラスミドpO6−tTA−mFRT−Kan−mFRTを鋳型として用いて作製した
。このPCR断片を、異なる親のpSM3frクローンに挿入して、そのことによりM9
4遺伝子を欠失した。M94およびM93のORFはオーバーラップするので、47bp
の相同性を、M94の5’端に残してM93 ORFをインタクトにしなければならず、
17bpの相同性がM94の以前の3’端にまだ存在する。ここでもまたFLPリコンビ
ナーゼを、Kanの切り出しのために発現させた。pSM3fr−ΔM94、pSM3
fr−ova−ΔM94、pSM3fr−flox−ova−ΔM94およびpSM3f
r−Δm157−rec−egfp−ΔM94の構築を、制限消化分析および配列決定に
より確認した。
【0160】
ウイルスを、BAC DNAから再構築し、NT/M94−7補完細胞上で繁殖させ、
以前に記載されたようにして(Sacherら、既出)、スクロースクッション上で精製
した。ウイルス複製の分析のために、感染細胞からの上清を24時間ごとに採取した。感
染性ウイルスの定量を、NIH/3T3または補完NT/M94−7細胞に対してTCI
50(中央組織培養感染量)法を用いて行った。in vivoウイルス複製の決定の
ために、ウイルス量を、標準的プラークアッセイにより、器官1グラムあたりのプラーク
形成単位(PFU)として、記載されたようにして(Sacherら、既出)決定した。
M94欠損変異体(MCMV−ΔM94、MCMV−ova−ΔM94、MCMV−fl
ox−ova−ΔM94およびMCMV−Δm157−rec−egfp−ΔM94)の
各ウイルスストックの伝播欠損性は、非補完MEFの感染後にプラーク形成がないことに
より確認したが、個別の感染細胞のCPEは検出可能であった。伝播欠損性MCMV−Δ
M94のpSM3fr−ΔM94 BACを含有する大腸菌を、ブダペスト条約の下でD
SZMに2010年4月28日にDSM23561として寄託した。
【0161】
[ウイルスのUV不活性化]
in vivoで用いるために、免疫のために用いたMCMV−wtウイルス調製物の
画分を、UVクロスリンカー(Stratagene、Amsterdam、Nethe
rlands)中で5cmの距離で4℃にて、1.5kJ/cmのUV光に曝露するこ
とにより不活性化した。ウイルス感染性は、2.4×10の係数で減少した。同じ処理
は、MCMV−Δm157−rec−egfpを異なる線量(0.5、1.0および1.
5kJ/cm)のUV光に供し、その後、MEF上で力価決定した場合に、ウイルス遺
伝子発現を消失させるのに十分であった。感染後(p.i.)4日後に、ウイルスに低線
量(0.5kJ/cm)のUVを照射した場合、単回感染細胞においてEGFP発現を
モニタリングし、EGFP発現は、強い照射(1.5kJ/cm)の後に観察されなか
った。未処理MCMV−Δm157−rec−egfpは、EGFPプラークを形成し
た。
【0162】
[マウスの免疫および攻撃]
8〜10週齢の雌B6マウスを、MCMV−wtまたは変異体MCMVのいずれかの腹
腔内(i.p.)または皮下(s.c.)注射により免疫した。各マウスは、100μl
のウイルス懸濁物をs.c.で、または300μlをi.p.で受容した。C57BL/
6マウスを、1×10TCID50のMCMV−wtもしくはMCMV−deltaM
94で、129.IFNαβR−/−を、2.5×10TCID50のMCMV−de
ltaM94もしくはUV照射MCMV−wtで、そしてB6.IFNαβR−/−を、
3×10TCID50のMCMV−ΔM94もしくはMCMV−wtで免疫した。模擬
処置マウスは、同じ容量のPBSを受容した。マウスを追加免疫するために、この手順を
14日p.i.にて反復した。12週p.i.のマウスから回収した血清を用いて、ウイ
ルス特異的抗体の量を、以下に記載するウイルス中和アッセイにより決定した。
【0163】
初回抗原刺激の28日または20週間後に、マウスを、10PFUの組織培養由来M
CMV−wtの静脈内(i.v.)注射により攻撃した。攻撃の5日後に、肺、肝臓およ
び脾臓を滅菌条件下で回収し、−80℃に貯蔵した。器官のホモジネートを、感染性ウイ
ルス量について、MEF細胞上での標準的なプラークアッセイにより分析した。唾液腺由
来MCMV(sgMCMV−wt)を、組織培養由来MCMV−wtに感染したマウスか
らの唾液腺のホモジネートとして、Trgovcichら(Trgovcichら200
0 Arch Virol 145:2601〜2618頁)に記載されるようにして作
製した。単離sgMCMV−wtは、組織培養由来MCMV−wtに比較してビルレンス
がより高い(Pilgrimら2007 Exp Mol Pathol.82:269
〜279頁)。ワクチン接種したB6.IFNαβR−/−マウスを、2×10PFU
のsgMCMV−wtで攻撃し、129.IFNαβR−/−マウスを、2.5×10
TCID50組織培養由来MCMV−wtで攻撃した。
【0164】
[ウイルス中和アッセイ]
5匹の免疫化マウス12週p.i.からの熱不活性化血清(56℃、30分間)をプー
ルし、1:2で、10%(最終濃度)モルモット補体を含有するDMEM中で系列希釈し
た。各希釈物に、50PFUのMCMV−lucを混合し、90分間、37℃にてインキ
ュベートし、その後、NIH/3T3細胞に96ウェルフォーマットで加えた。37℃に
て1時間後に、ウイルス接種物を取り出し、NIH/3T3培養物を加えた。培養物を2
4時間インキュベートし、ルシフェラーゼ活性を、細胞抽出物において、ルシフェラーゼ
アッセイ(Promega、Mannheim、Germany)をルミノメータ(Be
rthold、Bad Wildbad、Germany)中で供給業者および製造業者
の使用説明にそれぞれ従って用いて決定した。
【0165】
[In vivo細胞傷害性アッセイ]
CD8T細胞エフェクター機能をin vivoで評価するために、コンジェニック
CD45.1 Ptprマウスの脾細胞を、2μMの記載するペプチドとインキュベ
ートし、2μM、0.7μMまたは0.1μMのカルボキシフルオレセインスクシンイミ
ジルエステル(CFSE)およびPKH26赤色蛍光細胞リンカーミニキットを製造業者
の使用説明(Sigma−Aldrich)に従って用いて染色した。第6日p.i.に
て、標識CD45.1細胞を、B6(CD45.2)レシピエントに移入した。16
時間後に、レシピエントマウスの脾臓を取り出し、標的細胞のフローサイトメトリー分析
を行った。標的細胞の特異的細胞傷害性を、等式:%spec溶解=(1−初回攻撃なし
比率/初回攻撃あり比率)*100;比率=(%CFSElow/%CFSEhigh)
を用いて算出した(Lauterbachら2005 J Gen Virol 86:
2401〜2410頁)。OVA由来クラスIペプチド(配列番号9)ならびにm139
(配列番号10)、ie3(配列番号11)、M57(配列番号12)およびM45(配
列番号13)に由来するMCMV特異的ペプチド(Snyderら、2008既出)をM
etabion、Germanyから購入し、製造業者のデバイスに従って溶解して貯蔵
した。
【0166】
[養子導入およびフローサイトメトリー分析]
OVA特異的CD8T細胞を、コンジェニックCD45.1マウスと戻し交配した
OT−I TCRトランスジェニックマウスの脾臓ならびに頸部、腋窩、上腕および鼠径
リンパ節から単離した。OT−I細胞を、CD8αT細胞単離キット(Milteny
i Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)によるネガ
ティブ選択により精製した。3×10のトランスジェニックT細胞を、レシピエントB
6マウスに、10TCID50のMCMVでのi.p.感染の1日前にi.v.注射し
た。移入されたOT−I T細胞の増殖を追跡するために、100μlの血液を3、6お
よび8日p.i.に採集し、赤血球を溶解し(PharmLyse、BD Biosci
ences、Heidelberg、Germany)、残りの細胞を、PE−Texa
sRed結合α−CD8α(5H10;Caltag、Sacramento、CA、U
SA)およびPE結合α−CD45.1抗体(A20;BD Biosciences
Pharmingen)とインキュベートした。フローサイトメトリーによる取得を、E
pics XL−MCL(Beckman−Coulter)を用いて行い、データを、
FlowJoソフトウェア(Tristar、Ashland、OR、USA)を用いて
分析した。
【0167】
OVA特異的CD4T細胞を、コンジェニックCD90.1マウスと戻し交配した
OT−II TCRトランスジェニックマウスの脾臓ならびに頸部、腋窩、上腕および鼠
径リンパ節から単離した。赤血球の溶解の後に、3×10トランスジェニックT細胞を
、レシピエントマウスに、10TCID50のMCMVでの感染の1日前にi.v.注
射した。脾臓を取り出し、脾細胞を、Fcブロック(2.4G2;BD Bioscie
nces)とインキュベートし、その後、PEコンジュゲートα−CD90.1(HIS
51;eBioscience)およびPE−Cy5.5結合α−CD4(RM 4−5
;eBioscience)で染色した。フローサイトメトリーによる取得を、FACS
Calibur(BD Biosciences)を用いて行い、データを、Flow
Joソフトウェアを用いて分析した。
【0168】
[器官ホモジネート中のウイルスゲノムの定量]
肺を、感染の12カ月後にマウスから取り出した。器官をホモジネートし、DNAを、
Qiagen(Hilden、Germany)からのDNeasy血液および組織キッ
トを用いて抽出した。溶出を、100μlの供給される溶出緩衝液を用いて行い、各試料
のゲノムDNA濃度を、2重で、NanoDrop ND−1000 UV−Vis分光
光度計を用いて定量した。ウイルスDNAを定量するために、MCMV M54遺伝子に
特異的な定量リアルタイムPCR(Cicin−Sainら、2005既出)を、特異的
Taqmanプローブ(配列番号14)およびTaqman1000 RXN PCRコ
ア試薬キットをABI PRISM 7700配列検出器(Applied Biosy
stems、Carlsbad、CA、USA)で用いて行った。ウイルスゲノムコピー
数を算出するために、M54遺伝子を含有するBACプラスミドpSM3frの標準曲線
を含めた。
【0169】
[統計分析]
統計分析は、GraphPad Prism4(GraphPad Software
La Jolla、CA、USA)を用いて行った。ウイルスのin vitro増殖
比較、中和抗体アッセイ、リアルタイムPCRおよびT細胞増殖のために、平均を、標準
偏差(SD)を用いて算出した。器官におけるウイルス量およびin vivo細胞傷害
性を示す全ての図において、中央値を示す。MCMV−wtまたはMCMV−ΔM94を
ワクチン接種したマウスにおける中和抗体応答の比較を、2元ANOVA検定を用いて行
った。器官またはウイルスゲノムにおけるT細胞増殖のパーセンテージおよびウイルスの
定量の比較は、ウェブサイトhttp://elegans.swmed.edu/〜l
eon/stats/utest.cgiを用いる両側Wilcoxon順位和検定を用
いて行った。アスタリスクは、統計学的な差を示す(、P<0.05;**、P<0.
01;***、P<0.001)。
【実施例4】
【0170】
[MCMV−ΔM94は、伝播欠損性である]
HCMVビリオンタンパク質pUL94は、ウイルス複製にとって必須であり(Dun
nら、既出)、後期速度論で発現される(Wingら、既出)。MCMV相同体であるp
M94も必須であり、ウイルス成熟の後核ステップにおいて重要な役割を演じることが見
出されている。必須のM94遺伝子生成物をトランス補完し、M94欠失変異体を再構築
するために、M94遺伝子をTREプロモーターの制御下に有するNIH/3T3由来補
完性細胞株NT/M94−7を作製した。TREプロモーターは、Tetトランスアクチ
ベーター(tTA)の存在下でのみ活性である。tTAをpM94のトランス補完のため
に提供するために、tTA発現カセットを、pSM3fr(Messerleら、既出)
に、M94を破壊して導入してpSM3fr−ΔM94を作製した。MCMV−ΔM94
ウイルスを、NT/M94−7細胞をトランスフェクトすることにより再構築した(図1
)。次に、NT/M94−7細胞および親のNIH/3T3線維芽細胞にMCMV−ΔM
94またはMCMV−wtを感染させる多重ステップ成長分析を行った。
【0171】
本実施例の結果を図2に示す。図2Aにおいて、親のNIH/3T3(丸)およびNT
/M94−7線維芽細胞(箱)に、0.1TCID50/細胞にてMCMV−wt(wt
;塗りつぶした記号)またはMCMV−ΔM94(ΔM94;塗りつぶしていない記号)
を感染させた。記載する日数にて、上清中の感染性ウイルスを、NT/M94−7細胞上
でTCID50終点力価決定により定量した。2重の力価決定の平均+/−SDを示す。
第5日p.i.にて、上清をMEF上でさらに力価決定した。MCMV−ΔM94に感染
したNT/M94−7の1ml上清中でPFUは見出されなかった。p.i.=感染後;
DL=検出限界。
【0172】
図2Bに示すように、親のNIH/3T3(下のパネル)およびNT/M94−7(上
のパネル)線維芽細胞に、MCMV−Δm157−rec−egfp−ΔM94を感染さ
せた。記載する時点にて、EGFP発現細胞をモニタリングした。hpi=感染後の時間
【0173】
図2Cに示すように、129.IFNαβR−/−マウス(MCMV−ΔM94につい
てn=15、塗りつぶしていない記号;MCMV−wtについてn=8、塗りつぶした記
号)に、2.5×10TCID50i.p.を感染させ、生存を30日p.i.にわた
って追跡した。
【0174】
MCMV−ΔM94はMCMV−wt様力価をNT/M94−7細胞上で再現したが、
感染性ウイルスは、NIH/3T3細胞の上清中で検出できなかった(図2A)。MCM
V−ΔM94が上清中に感染性ウイルス粒子を放出できないことは、細胞に付随するウイ
ルスの伝播を排除しないので、増強緑色蛍光タンパク質EGFPを発現するΔM94変異
体(MCMV−Δm157−rec−egfp−ΔM94)が構築された。MCMV−Δ
m157−rec−egfp−ΔM94はNT/M94−7細胞上でMCMV−wtに匹
敵する速度論で伝播するが、MCMV−Δm157−rec−egfp−ΔM94は、最
初に感染したNIH/3T3細胞に厳密に限定されたままであった(図2B)。この結果
は、内皮細胞においても確認された(図8)。まとめると、M94は必須であり、欠失は
、ウイルス放出および細胞間伝播を抑止する。さらに、MCMV−ΔM94は、トランス
補完により効果的に生成できる。
【0175】
補完NT/M94−7、親のNIH/3T3線維芽細胞および心筋由来内皮細胞MHE
C5−Tに、0.1TCID50/細胞のMCMV−ΔM94−Δm157−rec−e
gfp(MCMV−ΔM94)またはMCMV−Δm157−rec−egfp(wt)
を感染させた。記載する時点にてEGFP発現細胞をモニタリングした。尺度バーは10
0μmを表す。
【実施例5】
【0176】
[MCMV−ΔM94は、複製能のあるウイルスに復帰しない]
主な安全性の懸念は、調製中(Roizmanら1982 Dev Biol Sta
nd.52:287〜304頁)またはワクチン接種した患者において(Iyerら20
09 Ann.Emerg.Med 53:792〜795頁)ワクチン株が複製能のあ
るウイルスに復帰することである。MCMV−ΔM94と補完性細胞株との間で相同配列
の組換えによりM94遺伝子を獲得することを排除するために、ウイルス構築中に相同性
を注意深く回避した。欠失ウイルスとNT/M94−7が発現するM94遺伝子との間の
組換えを示す複製能のあるウイルスは、全く観察されなかった。感受性が高いマウス株に
おけるワクチン接種研究についてMCMV−ΔM94の安全性を調査するために、129
.IFNαβR−/−マウスに、MCMV−wtまたはMCMV−ΔM94を感染させた
。全てのIFNαβR−/−マウスはMCMV−wtに感染して14日以内に死亡したが
、MCMV−ΔM94への感染の後に、全てのマウスは、全く体重減少しないかまたは最
小限の体重減少を有して生存した(図2C)。結論として、MCMV−ΔM94を安全に
生成でき、免疫欠損マウスでさえMCMV−ΔM94感染に耐容性であった。
【実施例6】
【0177】
[MCMV−ΔM94は、中和抗体およびT細胞応答を誘導する]
ウイルス侵入を妨げる中和抗体の誘導が乏しいことは、HCMV感染における問題点で
ある(Landiniら1991 Comp Immunol Microbiol I
nfect Dis 14:97〜105頁)。よって、MCMV−wtおよびMCMV
−ΔM94に対する中和抗体応答を、免疫後12週に比較した。血清の系列希釈物を、ル
シフェラーゼ発現MCMV(MCMV−luc)と混合した後にNIH/3T3に感染さ
せた。ルシフェラーゼシグナルの低減は、抗血清の中和能力を反映した。MCMV−ΔM
94での免疫は、MCMV−wtを用いるよりもわずかに低い量の中和抗体を誘導したが
図3A、p<0.05)、UV照射MCMV−wtでの免疫は、中和抗体の誘導を消失
させ、発表された観察結果が確認された(Gillら、既出)。
【0178】
本実施例の結果を、図3に示す。図3Aにおいて、B6マウスを、i.p.にて10
TCID50のMCMV−wt(wt;塗りつぶした丸)、MCMV−ΔM94(ΔM9
4;塗りつぶしていない丸)で免疫したかまたは模擬感染させた(PBS;灰色の四角)
。12週p.i.にて血液を回収し、血清のウイルス中和能力を、MCMV−lucを用
いて決定した。MCMV−ΔM94で免疫したマウスの中和抗体レベルは、2元ANOV
A検定を用いて、MCMV−wtで免疫したマウスの抗体レベルよりも有意に低かった(
P=0.04)。値は、測定した血清プールの平均+SDを表す。RLU=相対ルシフェ
ラーゼ単位、BG=バックグラウンド。
【0179】
図3Bにおいて、3×10のOT−I CD8T細胞の養子導入の後に(上のパネ
ル)、B6マウス(n=5)に、i.p.にて10TCID50のMCMV−ova(
wt−ova;塗りつぶしたバー)、MCMV−ova−ΔM94(ΔM94−ova;
塗りつぶしていないバー)またはPBS(灰色のバー)を感染させた。第3、6および8
日p.i.にて、コンジェニックマーカーCD45.1およびCD8についてのフローサ
イトメトリー分析を血液に対して行った。3×10のOT−II CD4T細胞の養
子導入の後に(下のパネル)、B6マウス(n=5)に、i.p.にて上記のように感染
させた。第3、6および8日p.i.にて、CD90.1およびCD4についてのフロー
サイトメトリー分析を脾細胞に対して行った。各バーは、記載する群の平均+SDを表す
**、P<0.01)。
【0180】
図3Cにおいて、B6マウス(n=5)に、i.p.にて10TCID50のMCM
V−wt(wt;塗りつぶした記号)、MCMV−ΔM94(ΔM94;塗りつぶしてい
ない記号)またはUV照射MCMV−wt(wtUV;灰色の記号)を感染させた。第6
日p.i.にて、in vivo細胞傷害性アッセイを、カルボキシフルオレセインスク
シンイミジルエステル(CFSE)で標識した脾細胞および記載するウイルスペプチドを
用いて行った。記号は、個別の動物における記載するペプチドに対する特異的溶解活性を
表す。横棒は、分析した群の中央値を示す。右のパネルは、フローサイトメトリーデータ
の例示的なセットを示す。
【0181】
CD4およびCD8T細胞はともに、CMVに対する宿主防御において重要な役割
を演じる。抗ウイルスCD8T細胞は、急性感染中のMCMV制御において効果的であ
り、免疫の後の防御を媒介する(Reddehaseら、既出)。さらに、CD4Tヘ
ルパー細胞は、唾液腺におけるウイルスクリアランスのために必要である(Jonjic
ら1989 J Exp Med 169:1199〜1212頁)。MCMV−wtと
MCMV−ΔM94により誘導されるCD4およびCD8T細胞応答のレベルを比較
するために、ワクチンが発現するモデル抗原としてOVAを選択した。B6マウスにMC
MV−ovaおよびMCMV−ova−ΔM94を、OVA特異的CD4またはCD8
T細胞の養子導入の1日後に感染させた。MCMV−ovaについて、OVA特異的C
D4およびCD8T細胞の発現は、第6日p.i.にてピークになり、発表されたデ
ータと一致した(Karrerら、2004 J Virol 78:2255〜226
4頁)。顕著なことには、MCMV−ova−ΔM94もOVA特異的CD8およびC
D4図3B)T細胞の増殖応答を、伝播能のあるMCMV−ovaに匹敵する程度ま
で刺激した。CD8T細胞の量は、MCMV−wtを用いてわずかにより高くさえあっ
た(P<0.01)。
【0182】
この観察結果を、天然MCMV抗原について確認した。B6マウスに、MCMV−ΔM
94またはMCMV−wtを感染させた。6日p.i.にて、m139、ie3、M57
またはM45のいずれかに由来するウイルスペプチドを負荷した標的細胞(Snyder
ら、2008既出)に注射し、それらの細胞溶解をin vivoにて分析した(図3C
)。MCMV−ΔM94により誘導される細胞溶解性CD8T細胞応答は、MCMV−
wtに匹敵することがわかった。これとは対照的に、UV照射MCMVを注射したB6マ
ウスは、標的を全く溶解しないかまたは標的の乏しい溶解だけを生じた。MCMV−ΔM
94またはMCMV−wtのUV不活性化も、血清のOVA特異的T細胞増殖およびウイ
ルス中和能力を消失させた。つまり、ウイルス遺伝子発現は、適応免疫応答の誘導に重要
であるとみられた。まとめると、伝播欠損性MCMVは、MCMV−wtに匹敵する免疫
応答を誘導した。
【実施例7】
【0183】
[CD8T細胞活性化におけるウイルス標的細胞型の役割]
MCMV−ΔM94に対する強い適応免疫応答は、驚くべきことであった。なぜなら、
MCMV−ΔM94遺伝子発現は、最初の標的細胞に限定されるからである。特異的T細
胞応答の誘導は、感染細胞および専門の抗原提示細胞による抗原提示に依存する(Vil
ladangosら2008 Immunity.29:352〜361頁)。効果的な
CD8T細胞応答の発生における異なる細胞型の感染の貢献度を評価するために、複製
欠損MCMVを、マーカー遺伝子の条件的活性化と組み合わせた(Sacherら、既出
)。Cre媒介組換えの後にのみOVAを発現するMCMV−flox−ova−ΔM9
4を構築した。
【0184】
10TCID50のMCMV−flox−ova−ΔM94(ΔM94−flox−
ova)、MCMV−ova−ΔM94(ΔM94−ova)、MCMV−wt(wt)
またはPBSのi.p.注射の1日前に、3×10のコンジェニックOT−I CD8
T細胞を、i.v.にてB6、Alb−creおよびTie2−creマウスに移入し
た。第6日p.i.にて、コンジェニックマーカーCD45.1およびCD8についての
フローサイトメトリー分析を、PBLに対して行った。箱は、3回の独立した実験のプー
ルとしてのCD8細胞あたりのOT−I細胞の比率を表し、25百分位数から75百分
位数までの範囲である。直線は、中央値を示す。ひげは、極度の値を示す範囲に広がる。
P値は、両側Wilcoxon順位和検定を用いて得た(**、P<0.01;***
P<0.001)。結果を図4に示す。
【0185】
内皮細胞(EC)および肝細胞(Hc)は、MCMVがin vivoにおいて感染す
る最初の標的細胞に含まれる(Sacherら、既出)。これらの細胞型がCD8T細
胞活性化に貢献するかについて、血管EC(Tie2−cre)またはHc(Alb−c
re)においてCreリコンビナーゼを選択的に発現するマウスに感染させることにより
取り組んだ。OVA特異的CD8T細胞の養子導入の1日後に、マウスに、10TC
ID50の伝播欠損性MCMV−flox−ova−ΔM94を感染させた。Hcは、感
染の最初の数日間、感染性ウイルスを主に生成し、Creリコンビナーゼによる条件的マ
ーカー遺伝子の活性化において非常に効果的である(Sacherら、既出)。しかし、
MCMV感染HcにおけるOVA発現の選択的誘導は、OVA特異的CD8T細胞の弱
い増殖だけをもたらした(図4)。これとは対照的に、OVA特異的CD8T細胞の有
意に(P<0.001)より高い増殖応答が、ECにおけるOVA発現の際に観察された
。よって、ECの感染は、Hcの感染よりも、抗ウイルスCD8T細胞応答の誘導によ
り強く貢献する。全ての感染した細胞におけるOVAの発現を導くMCMV−ΔM94−
ovaへのC57BL/6マウスの感染は、ECでの選択的な発現(MCMV−ΔM94
−flox−ovaに感染したTie2−creマウス;P<0.01)よりも高い割合
のOVA特異的CD8T細胞を誘導するので、さらなる細胞型が、抗原発現およびT細
胞刺激に関与するとみられる。さらに、細胞型特異的in vivo組換えの後の著しく
異なるT細胞応答は、MCMV−ΔM94が細胞から細胞へと伝播できないことを証明す
る。
【0186】
本実施例に関連する実験の詳細は、実施例3に概説したものに加えて、以下のとおりで
あり、本実施例の結果は、図5に示す。
【0187】
B6マウス(n=5)を、(第1回)s.c.またはi.p.にて10TCID50
のMCMV−wt(wt;塗りつぶした記号)、MCMV−ΔM94(ΔM94;塗りつ
ぶしていない記号)、Δm01−17+m144−158−MCMV(ΔΔ;灰色の記号
)またはPBS(薄い灰色の記号)で免疫した。ウイルス調製物に、記載するように、免
疫前にUV照射した(UV)。場合によって、マウスに、(第2回)2週間後に同じ用量
、経路およびウイルスを追加免疫した。攻撃感染は、i.v.にて、初回の20(A)ま
たは4週間(B)後に10PFUのMCMV−wtを用いて行った。攻撃の5日後に、
プラークアッセイを行った。水平のバーは、各群の中央値を示す。各記号は、1匹の個体
マウスを表す。DL=検出限界。
【実施例8】
【0188】
[MCMV−ΔM94は、MCMV−wtでの攻撃に対して防御する]
致死攻撃に対するMCMV−ΔM94の防御を試験するために、B6マウスに、伝播欠
損性MCMV−ΔM94、弱毒化株Δm01−17+m144−158−MCMV(Ci
cin−Sainら2007 J Virol 81:13825〜13834)または
MCMV−wtのいずれかを感染させた。追加感染を、4週間後に同じ用量で行った。初
回の20週間後に、マウスを、i.v.にて10TCID50組織培養由来MCMV−
wtで攻撃した。最も顕著なことには、単回免疫用量のMCMV−ΔM94が、MCMV
−wt複製を肺において10,000倍、肝臓において1,000倍および脾臓において
少なくとも100倍、強く抑制するためにすでに十分であったが、非免疫対照は、試験し
た全ての器官において高いウイルス量を有した(全てP<0.01;図5A)。概して、
MCMV−ΔM94ワクチン接種により媒介される防御は、MCMV−wtまたはΔm0
1−17+m144−158−MCMVワクチン接種に匹敵した(全てP>0.05)。
1回の投与の後にすでに強い防御が達成されたので、追加の効果は検出できなかった。し
かし、UV不活性化MCMV−wtまたはUV不活性化MCMV−ΔM94ウイルスを投
与した場合に、単回用量の後に弱い防御効果が存在した。UV不活性化ウイルスを追加攻
撃した後にのみ、効果はわずかに改善されたが、単回用量のMCMV−ΔM94のものよ
りも低いままであった(P<0.05)。
【0189】
短期間のワクチン接種プロトコールにおいてMCMV−ΔM94の単回投与の後にも強
い防御を実現できるかが疑問であった。さらに、2つの異なる投与経路の影響も試験した
。B6マウスに、i.p.またはs.c.のいずれかにて注射し、その後、たった4週間
後に、MCMV−wtを用いて攻撃感染させた。ここで、MCMV−ΔM94を用いるワ
クチン接種は、Δm01−17+m144−158−MCMVでの免疫に匹敵するために
、約100倍の攻撃ウイルス量の低減を肝臓(P<0.05)、肺(P<0.01)およ
び脾臓(P<0.01;図5B)においてもたらした。MCMV−wtワクチン接種は、
1,000倍の攻撃ウイルス量の低減をもたらした(P<0.01)。全般的に、i.p
.またはs.c.ワクチン接種経路の間に有意な差はなかったが、s.c.注射は、脾臓
(P>0.05、図5B)および心臓においてわずかによりよい防御を誘導するとみられ
た。
【0190】
まとめると、伝播欠損性MCMV−ΔM94でのワクチン接種は、免疫能のあるマウス
を、MCMV−wtでの攻撃に対して、単回用量のワクチン接種の後に効果的に防御でき
た。顕著なことには、MCMV−ΔM94でのワクチン接種は、長期間のワクチン接種に
関してMCMV−wtでのワクチン接種と同様に効果があったが、UV不活性化ウイルス
の使用は、2回目の投与の後にさえ競争できなかった。
【実施例9】
【0191】
[重度に免疫低下したレシピエントの防御]
I型インターフェロンは、CMVに対する免疫応答における鍵となるサイトカインであ
り、それらの受容体の欠失は、重度に免疫低下し、MCMV感染に対して親のマウス株よ
りも少なくとも1,000倍感受性が高いマウス(IFNαβR−/−)をもたらす(P
restiら1998 J Exp Med 188:577〜588頁)。伝播欠損性
MCMV−ΔM94は、IFNαβR−/−マウスにおいて耐容性がよいことが証明され
たので(図2C)、MCMV−ΔM94が、IFNαβR−/−マウスでさえ、致死MC
MV−wt攻撃に対して防御できるかを試験した(図6Aを参照されたい)。B6.IF
NαβR−/−マウスを、MCMV−ΔM94または致死用量以下のMCMV−wtで免
疫した。両方の群は生存し、MCMV−ΔM94で免疫したマウスは、著しい体重減少を
示さなかったが、MCMV−wt感染マウスは、およそ15%体重が低下した。4週間後
に、マウスを、致死用量のよりビルレントな唾液腺由来MCMVへの感染により攻撃した
(実施例3に記載されるようにして)。最も著しいことに、MCMV−ΔM94およびM
CMV−wtでのワクチン接種はともに防御的であり、全ての動物は生存した(図6A
【0192】
本実施例の結果を図6に示す。
【0193】
図6Aにおいて、B6.IFNαβR−/−(n=6)マウスを、i.p.にて3×1
TCID50のMCMV−wt(wt;黒色の丸)またはMCMV−ΔM94(ΔM
94;塗りつぶしていない丸)で免疫した。B6.IFNαβR−/−(灰色の丸)また
はB6(灰色の三角)の対照群は、PBSで処理した。4週間後に、攻撃感染を、2×1
PFUの唾液腺由来MCMV(sgMCMV−wt)マウスのi.p.注射により行
い、生存をモニタリングした。
【0194】
図6Bにおいて、2.5×10TCID50のMCMV−ΔM94(ΔM94;塗り
つぶしていない丸、n=8)またはUV照射MCMV−wt(wtUV;塗りつぶした下
向きの三角、n=8)で4週間前に免疫した129.IFNαβR−/−マウスを、致死
用量のMCMV−wtで攻撃し(図2Cを参照されたい)、生存をモニタリングした。1
0倍高い用量のMCMV−wtを、MCMV−ΔM94で免疫したマウス(n=7)に投
与した(塗りつぶしていない三角)。
【0195】
B6マウスは、ナチュラルキラー細胞のLy49H依存性活性化により利益を受け、m
157によりコードされるMCMVタンパク質により刺激される強い自然免疫応答が得ら
れる(Sunら2008.J.Exp.Med.205:1819〜1828頁)。12
9.IFNαβR−/−マウスは、Ly49Hを発現せず、B6.IFNαβR−/−
ウスよりもMCMV感染に対してさらに感受性が高い。129.IFNαβR−/−マウ
スに、MCMV−ΔM94をワクチン接種し、2.5×10TCID50の用量の組織
培養由来MCMV−wtで4週間後に攻撃した(図6B)。以前のデータと一致して(C
icin−Sainら2007既出)、UV不活性化ウイルスでのワクチン接種は、部分
的防御だけを媒介し、死亡を短期間遅らせることができた。MCMV−ΔM94をワクチ
ン接種したマウスは、2.5×10TCID50の用量の致死攻撃でも生存した。まと
めると、MCMV−ΔM94でのワクチン接種は、感受性が高い免疫低下マウスでさえ、
致死MCMV攻撃に対して防御できる。
【実施例10】
【0196】
[MCMV−ΔM94ゲノムのin vivoでの維持]
弱毒化生ワクチンの使用に対するある議論は、再活性化の危険性を有する潜伏感染を確
立するそれらの能力である(Iyerら、既出)。他方、非増殖性再活性化エピソードは
、抗ウイルス免疫応答の内因的上昇をもたらし得る(Snyderら2008 Immu
nity 29:650〜659頁)。よって、MCMV−ΔM94ゲノムが、ワクチン
接種した宿主において維持されるかを試験することに興味があった。CMV疾患の鍵とな
る徴候部位である(Balthesenら1993 J Virol 67:5360〜
5366頁)肺から抽出したトータルDNAに対する定量PCR分析を行った。12カ月
p.i.にて、MCMV−ΔM94のゲノムを、試験した全てのマウスにおいて検出でき
図7AおよびB)、このことは、MCMV−ΔM94のゲノムが維持されたことを示し
た。興味深いことに、MCMV−ΔM94およびMCMV−wtへの感染の1年後に肺で
検出されたゲノム数は、有意な差がなかった(P>0.05)。この知見は、最初の標的
細胞の少なくともいくらかは、ウイルスにより誘導される細胞死または免疫応答による排
除によって感染後に失われないことを証明した。まとめると、これらのデータは、ウイル
ス伝播が、長期間のゲノム維持のために必要でなく、MCMV−ΔM94の最初の標的細
胞が、より持続的な免疫応答に貢献できることについての最初の証拠ももたらす。
【0197】
本実施例の結果を図7に示す。
【0198】
B6マウスに、i.p.にて10TCID50のMCMV−wt(wt)(n=5)
またはMCMV−ΔM94(ΔM94)(n=6)を感染させた。12カ月p.i.にて
、トータルDNAを肺から抽出した。(図7A)PCR分析を行って、ポリメラーゼ遺伝
子M54の特異的246bp断片を得た。対照として、10TCID50のMCMV−
wt(wt急性)(n=5)、PBS(1)、鋳型なし(2)またはBACプラスミドp
SM3fr(3)への感染の5日後の肺からのDNAを用いた。(図7B)定量リアルタ
イムPCR分析を行い、ウイルスM54遺伝子コピーを、1μgのゲノムDNAあたり算
出した。各記号は、1匹の個体マウスを表す。水平なバーは、各群の中央値を示す。MC
MV−wt(wt)およびMCMV−ΔM94(ΔM94)のゲノムコピー数は、有意な
差がない(P>0.05)。両方の群は、急性感染肺(wt急性)と比較して有意に異な
る(**、P<0.01)。MW=分子量マーカー;DL=検出限界。
【0199】
図7Cおよび図7D)B6マウス(n=5)を、i.p.にて10TCID50
MCMV−wt(wt;塗りつぶした記号)、MCMV−ΔM94(ΔM94;塗りつぶ
していない記号)、Δm01−17+m144−158−MCMV(ΔΔ;灰色の記号)
またはPBS(薄い灰色の記号)で免疫した。ウイルス調製物に、記載するように、免疫
前にUV照射した(UV)。攻撃感染を、i.v.にて、初回の1年後に10PFUの
MCMV−wtを用いて行った。プラークアッセイを(図7C)攻撃の5日後に肺を用い
、(図7D)攻撃の14日後に唾液腺(SG)を用いて行った。水平のバーは、各群の中
央値を示す。各記号は、1匹の個体マウスを表す。DL=検出限界。
【実施例11】
【0200】
[MCMV−ΔM94でのワクチン接種は、気道でのウイルス複製を妨げる]
疫学的研究から、唾液が、HCMVの伝達の重要な経路であることが示唆された(Pa
ssら1986 N.Engl.J Med 314:1414〜1418頁)。ワクチ
ンMCMV−ΔM94が唾液腺および肺におけるウイルス複製を遮断できるかを試験する
ために、C57BL/6マウスを、MCMV−ΔM94または対照ウイルスで免疫し、1
2カ月後に、10PFUのMCMV−wtでの攻撃感染をi.v.で与えた(図7C
よびD)。MCMV−ΔM94の単回投与は、6匹の動物のうち4匹において、肺で1,
000を超える係数で攻撃ウイルス複製を抑制するために十分であった(図7C)。さら
に、攻撃ウイルスは、攻撃の14日後に唾液腺から単離できなかった(図7D)。このこ
とは、唾液を介して気道からウイルスが出てくることおよびそれによるこの経路による水
平伝達が、伝播欠損性MCMVでのワクチン接種により抑止されることを意味する。
【実施例12】
【0201】
[考察]
本明細書において、伝播欠損性ワクチンを用いるベータヘルペスウイルスに対するワク
チン接種について報告する。このワクチンは、MCMV−wtに匹敵する強い適応免疫応
答を誘導し、高度に免疫低下したマウスにおいてさえ防御を授けた。このことは、最初の
標的細胞の感染が、ワクチン接種の成功にとって十分であることを意味する。
【0202】
インタクトな免疫系は、通常、HCMV疾患に対して防御する。よって、野生型ウイル
スの抗原性能力は、防御免疫応答の誘導のために十分である。UV不活性化ウイルスが攻
撃感染に対して効果的に防御できないことは、非構造性抗原を含むウイルス抗原発現の必
要性を実証した(Cicin−Sainら2007既出;Gillら2000 J Me
d Virol 62:127〜139頁)。その結果、理想的なワクチンは、野生型ウ
イルスの完全な免疫原性の能力を活用するが、病原性の能力を回避すべきである。
【0203】
アルファ−ヘルペスウイルスの分野は、複製欠損ウイルスをワクチンとして用いること
により開拓されてきた(Dudekら、既出)。これらのワクチンは、ウイルス複製のた
めに必須の遺伝子の欠失により作製され、よって、非病原性である(Dudekら、既出
)。今回、伝播欠損性ベータヘルペスウイルスワクチンを構築するために、M94の欠失
が、以下の理由により選択された。まず、M94は、MCMVの伝播のために必須であり
、HCMVの研究から推測して、ウイルス複製の後期速度論に従って発現されるはずであ
る(Scottら、既出;Wingら、既出)。次に、pM94は、HCMVの中和抗体
応答についての主要な標的を含む糖タンパク質の群に属さない。第3に、MCMVのM9
4は、ヒト病原体への翻訳を原則的に可能にするヒトCMVにおけるUL94の相同体で
ある(Wingら、既出)。最後に、HCMVのUL94の欠失は、pUL94が全身性
硬化症に関連する自己反応性抗体を誘導するので、より有利であり得る(Lunardi
ら2000 Nat Med 6:1183〜1186頁)。SSc交差反応性UL94
ペプチドを配列番号28に示す。興味深いことに、伝播欠損性MCMV−ΔM94のゲノ
ムは、i.p.感染後の肺において検出され、ウイルスが、遊離の粒子として(Hsuら
2009 J Gen Virol 90:33〜43頁)または細胞に付随して広まる
ことができることを示す。単球およびマクロファージは、感染後の腹腔に誘引され、ウイ
ルスを血液中に輸送することが示された(Stoddartら1994 J Virol
68:6243〜6253頁;van der Strateら2003 J Vir
ol 77:11274〜11278頁)。これらの細胞は、離れた部位にてウイルスを
放出して、ECまたは他の細胞型に感染することもできた(トランス感染と呼ばれるプロ
セス)(Halaryら2002 Immunity 17:653〜664頁)。
【0204】
本明細書に示す伝播欠損性ベータヘルペスウイルスワクチンは、野生型CMV感染に類
似する強い防御能力を有する。ワクチンの免疫応答は、全ての分析した器官においてウイ
ルス複製を制御して、顕性CMV疾患を妨げる。長期間ワクチン接種したマウスの唾液腺
において攻撃の2週間後に検出可能な量の感染性ウイルスが存在しなかったことは、唾液
を介する他の個体への水平伝達も抑止されることを意味する。このことにより、このよう
な等価なワクチンが、予め存在する感染の防御効果と同様に、HCMV疾患に対して防御
する可能性が高い。このことは、HCMVに曝露された女性が、非感染女性と比較して、
徴候となる疾患を有する小児を生む危険性がより低かったという観察結果により支持され
る(Fowlerら2003 JAMA 289:1008〜1011頁)。母体が血清
陽性であることは、感染を妨げることはできなかったが、小児の発病を妨げることができ
た。さらに、異なるCMV株に頻繁に曝露されることは、再感染に対する免疫をさらに増
加できた(Adlerら、既出)。よって、ここでもまた、伝播欠損性ヒトCMVワクチ
ンが、徴候となるヒトCMV感染に対して防御する自然感染に等しい免疫応答を、再活性
化および発病の危険性なしで誘導する可能性が高い。
【0205】
MCMV−ΔM94に対する免疫応答は、MCMV−wtに匹敵するレベルに達した。
防御は、32のウイルス遺伝子を欠くが、in vitroで伝播欠損性でない最近作製
されたワクチンΔm01−17+m144−158−MCMV(Cicin−Sainら
2007既出)と同様であった。Δm01−17+m144−158−MCMVにおいて
、免疫回避遺伝子は、抗ウイルス免疫応答を増加させ、よって、ウイルスを弱毒化するた
めに欠失されている(Scalzoら2007 Immunol Cell Biol
85:46〜54頁)。
【0206】
(a)少なくとも1つの必須遺伝子と(b)少なくとも1つの免疫回避遺伝子が欠失さ
れていることが本発明の実施形態の範囲内であり、ここで、欠失される少なくとも1つの
免疫回避遺伝子が、抗原提示、サイトカインとの相互作用、補完系および体液性免疫に影
響する遺伝子生成物をコードする遺伝子を含む群から選択されることが好ましい。より好
ましくは、欠失される少なくとも1つの免疫回避遺伝子は、MHC Iを下方制御してC
TL応答を回避する遺伝子生成物、NK細胞応答を回避する遺伝子生成物、MHC II
提示に干渉し、接着分子を下方制御する遺伝子生成物、IL−1と相互作用する遺伝子生
成物、TGF−βを活性化する遺伝子生成物をコードする遺伝子を含む群から選択される
【0207】
感受性IFNαβR−/−マウスの伝播欠損性MCMVへの感染は、ワクチン接種コン
セプトの安全性を証明した。さらに、IFNαβR−/−マウスは、本来なら致死の攻撃
に対して、その他の感染モデルと同様に防御された(Calvo−Pinillaら20
09 PLoS One.4:e5171;Paranら2009 J Infect
Dis 199:39〜48頁)。最近の研究は、I型インターフェロンを効果的に誘導
するMCMVの能力について明らかにしているが(Hokeness−Antonell
iら2007 J Immunol 179:6176〜6183頁)、IFNαβR
/−マウスにおける伝播欠損性MCMVワクチンの効力は、I型インターフェロン依存性
免疫が、短期間のワクチン接種により授けられる防御において必須でないことを意味する
【0208】
興味深いことに、伝播欠損性MCMVは、適応免疫応答を、MCMV−wtと同様の効
率で誘導した。CD4およびCD8T細胞応答は、MCMV−wtと同じレベルであ
り、中和抗体応答は、わずかに低減されただけであった。このわずかにより低い中和能力
は、感染細胞の数がより少ないことおよびそれによりMCMV−ΔM94での感染後に放
出される抗原の量が低減されたことを原因とする可能性がある。より少数の抗原−抗体複
合体は、あまり効果的でない親和性成熟を導き、より低い中和能力の抗体を創出する可能
性がある。それにもかかわらず、ウイルスの中和は、ウイルス複製を制御するために十分
であるとみられる。
【0209】
なぜ、ワクチンに対する適応免疫応答は、伝播不能性にもかかわらずMCMV−wt感
染に近いレベルに達したのか?MCMV−ΔM94は、ウイルスゲノム維持を、MCMV
−wtと同様に効果的に確立できた。ヘルペスウイルス潜伏感染の伝統的な定義は、後続
の感染性ウイルスの放出を有する再活性化遺伝子発現の能力を含む(Roizmanら1
987 Annu Rev Microbiol 41:543〜571頁)。用語「潜
伏感染」は、増殖性感染がないMCMV−ΔM94での状況に形式的に当てはめることは
できないが、pM94が遺伝子発現の再活性化に影響するという証拠は存在しない。MC
MV−ΔM94の防御効果は、時間経過とともに衰えるよりもむしろ増加したので、本発
明者らは、遺伝子発現の再活性化による免疫応答の周期的な再刺激が、MCMV−ΔM9
4により誘導される持続的な防御に貢献したと考える。興味深いことに、ウイルスに感染
した細胞は、活性化された免疫応答により排除されない。このことは、伝播欠損性ワクチ
ンに感染した最初の標的細胞が、排除に対して耐性であることを意味する。同様に、ガン
マヘルペスウイルスMHV−68の伝播欠損性変異体に感染した細胞は、適応免疫応答に
より攻撃されなかった(Tibbettsら2006 Virology 353:21
0〜219頁)。MCMV−wtについて、T細胞が、専門のAPCにより提示されるM
45の抗原性が高いウイルスエピトープに対して活性化されたが、活性化されたT細胞は
、C57BL/6マウスの器官において感染した標的細胞を排除しなかったことが示され
た(Holtappelsら2004 J Exp Med 199:131〜136頁
)。この防御は、MHCクラスIを下方調節することが知られているm152により引き
起こされた。CD8T細胞排除から防御された標的細胞は同定されず、これらの防御さ
れた細胞の少なくともいくらかは、MCMVの最初の標的細胞であることを示すことがで
きた。
【0210】
内皮細胞(EC)、肝細胞(Hc)およびマクロファージは、HCMVおよびMCMV
についてin vivoでの最初の標的細胞である(Hsuら、既出;Sacherら、
既出)。さらに、ECは、ウイルス潜伏感染の部位として最近同定され(Seckert
ら2009 J Virol 83:8869〜8884頁)、少なくとも肝臓ECは、
細胞傷害性T細胞応答を直接刺激できる(Kernら2010 Gastroenter
ology 138(1):336〜46頁)。MCMV−ΔM94構築物を条件的遺伝
子発現のために用いて、CD8T細胞応答を活性化するECおよびHcの能力において
実質的な差が認められた。ECとは対照的に、急性感染中のMCMVによる最も重要な最
初の標的の1つであるHc(Sacherら、既出)は、乏しいCD8T細胞応答だけ
を誘導した。この刺激能力の欠如は、明らかに、専門の抗原提示細胞による交差提示によ
り補償されない。交差提示は、単サイクルMCMVに感染した線維芽細胞に対するT細胞
応答の誘導のために重要であること示された(Snyderら2010 PLoS On
e.5:e9681)。他方、重要な交差提示細胞であると考えられる骨髄由来APCは
、MCMV感染に対する交差提示によるCD8T細胞応答の活性化に必要でないとみら
れる(Kernら、既出)。ほとんどの感染細胞における抗原発現が感染ECのみにおけ
る発現よりも強いT細胞応答を導いたので、ECに加えて、その他の細胞型もCD8
細胞刺激に貢献するとみられる。感染樹状細胞およびマクロファージは、MCMVに対す
るT細胞応答をin vitroにて活性化すると記載され(Mathysら2003
J Infect Dis 187:988〜999頁)、in vivoで感染する(
Andrewsら2001 Nat Immunol 2:1077〜1084)。よっ
て、このこと自体が、感染した専門APCが、ECに加えて、MCMVに対する免疫刺激
に貢献することを示唆する。免疫原性の20倍の低減および免疫防御を授けることができ
ないことを特徴とする(Adlerら、既出)TowneおよびAD169のような弱毒
化ヒトCMV株が、変異を蓄積し、EC、上皮細胞、平滑筋細胞およびマクロファージに
感染できなくなった(Hahn,G.ら2004 J Virol 78:10023〜
10033頁)ことは、注目すべきことであるとみられる。よって、制限された細胞向性
は、実際に、ヒトCMVワクチンとしてそれらが失敗したことの原因である可能性が高い
【実施例13】
【0211】
[MCMV−ΔM94の伝播アッセイ]
MCMV−ΔM94の表現型を、細胞間伝播において分析した。このことは、以下の改
変を有する本明細書の実施例1に本質的に記載したようなin vitro伝播アッセイ
により調査した。
【0212】
本実施例の結果を図9に示す。
【0213】
NIH/3T3およびNT/M94−7細胞を播き、MCMVΔ1−16−FRT(d
el1−16)およびMCMVΔM94tTA(Δ)に0.25のMOIにて1時間感染
させ、次いで、D−PBSで2回洗浄した。細胞を6時間インキュベートし、その後、D
−PBSで4回洗浄した。同数の非感染細胞を、5μMカルボキシフルオレセインスクシ
ンイミジルエステル(CFSE)で8分間染色し、2%FCS/D−PBSでブロックし
、2%FCS/D−PBSで2回洗浄し、その後、未染色であるが感染した細胞の上に播
種した。細胞を、感染の48時間後に4%PFAを用いてD−PBS中で10分間、37
℃にて固定し、洗浄し、0.1%TritonX−100を10分間用いて透過にした。
3回の洗浄後、細胞を、3%BSA/D−PBSで1時間ブロックした。最初期遺伝子生
成物の染色を、MCMV最初期1に対するモノクローナル抗体と固定細胞を3%BSA/
D−PBS中でインキュベートすることにより行った。3回のD−PBS洗浄の後に、細
胞を、Alexa Fluor555結合抗マウス2次抗体(Invitrogen)と
3%BSA/D−PBS中でインキュベートした。最後に、細胞を3回洗浄し、LSM
510 Meta(Zeiss)を用いて共焦顕微鏡により画像化した。ウイルス伝達は
、最初期1陽性細胞およびCFSE陽性細胞を、ImageJCell Counter
プラグインを用いて計数することにより決定した。
【0214】
図9は、MCMVΔ1−16−FRT(Mohr CAら、Engineering
of cytomegalovirus genomes for recombina
nt live herpesvirus vaccines;Int J Med M
icrobiol.2008年1月;298(1〜2):115〜25頁。Epub20
07年8月16日、概説)およびMCMV−ΔM94へのNIH/3T3およびNT/M
94−7(NTM94)細胞の感染と、感染後の多数回の洗浄による過剰ウイルスの除去
を示す。次に、CFSE染色NIH/3T3を加え、ウイルス複製を可能にした。さらに
48時間後に、培養物を固定し、最初期1について染色した。このことにより、最初期1
陽性、CFSE陽性または両方の染色について陽性の細胞が得られた(図9A)。染色さ
れた細胞を計数し、細胞間伝播を、最初期1陽性/CFSE染色細胞と最初期1陽性/C
FSE陰性細胞の間の比率を算出することにより決定した(図9C)。MCMVΔ1−1
6−FRTの伝播率を100%とした。MCMVΔ1−16−FRT感染は、多数の二重
染色された核により示されるように、細胞培養物全体に迅速に伝播した(図9B)。これ
とは対照的に、M94欠失変異体は、新しく加えた細胞に感染しなかった。1つだけの二
重染色された核が、416の最初期1+/CFSE陰性細胞を計数した後にみられた。新
鮮な細胞に感染するその能力は、しかし、補完NT/M94−7細胞上で変異体が成長し
たときに97%の伝達率まで回復した。よって、このことは、マウスCMVの2次エンベ
ロープ化に対するM94欠失の影響も、細胞間伝播の欠損をもたらしたことの証拠になる
【実施例14】
【0215】
[伝播欠損性ヒトCMVの繁殖]
[トランス補完性細胞株TCL94/99−BPの作製]
a)EGFPと結合したUL99(pCB−Ubic−UL99−IRES−gfp;
配列番号18によりコードされる)と、b)UL94 mCherryと結合したUL9
9(pCB−Ubic−UL94−IRES−mChe;配列番号17によりコードされ
る)と、c)ピューロマイシン耐性遺伝子と結合したベータ−ラクタマーゼ(pLV−U
biqc−BLAs−IRES−Puro;配列番号19によりコードされる)とを発現
する組換えレンチウイルスを構築し、Sirion GmbHによりViraPower
レンチウイルスパッケージングミックス(Invitrogen)を293FT細胞(I
nvitrogen)において用いて繁殖させた。2×10のMRC5線維芽細胞(A
TCC CCL−171)に、5TDU/細胞(形質導入単位/細胞)の各レンチウイル
スを、製造業者のプロトコールに従ってスピン感染により形質導入した。形質導入細胞を
、10cmの皿に播き、OPTI−MEM 5%FCS中の20μg/mlピューロマイ
シンを用いて5日間選択した。形質導入細胞を20μg/mlのピューロマイシンの存在
下で1回継代し(1:2)、二重陽性(mCherry+EGFP)細胞を、蛍光関連細
胞選別により精製し、2.5×10細胞/cmの密度で再び播いた。集密の48時間
後に、細胞を20μg/mlのピューロマイシンの存在下でさらに2回継代し(1:5)
、上記のようにして再選別した。OPTI−MEM 5%FCS+20μg/mlのピュ
ーロマイシン中でさらに1回継代した後に、細胞を0.7×10細胞/バイアルに分割
し、10%FCSおよび10%DMSOを補ったOPTI−MEM中で急速冷凍した。
【0216】
[伝播欠損性ヒトCMVの構築]
非機能的UL94遺伝子座を作製するために、pTB40E−BAC4−FRT;配列
番号20(Scrivano Lら、2011.HCMV spread and ce
ll tropism are determined by distinct vi
rus populations.PLoS.Pathog.7:e1001256;S
inzger,C.ら、2008. Cloning and sequencing
of a highly productive, endotheliotropic
virus strain derived from human cytomeg
alovirus TB40/E.J.Gen.Virol.89:359〜368頁)
をGS1783大腸菌株(Tischer,B.K.ら、2010.En passan
t mutagenesis: a two step markerless red
recombination system.Methods Mol.Biol.6
34:421〜430頁)に導入した。(a)Red組換えを、合成DNA断片LIFd
el94;配列番号15を標準的なプロトコール(Tischer,B.K.ら、既出)
に従って電気的形質転換することにより誘導して、pTB40E−BAC4−delUL
94−SZeoを得た。25μg/mlクロラムフェニコールおよび30μg/mlゼオ
シンの存在下でLB寒天プレート上に形質転換体を播いた後に単独クローンを採取するこ
とにより、組換え体を選択した。配列番号20を参照してnt122630から1236
68までのBAC配列がLIFdelUL94、配列番号15で正しく置き換えられたこ
とを、制限パターン分析および配列決定により確認した。(b)ゼオシンカセットをUL
94遺伝子座から除くために、2回目のRed組換えを、pTB40E−BAC4−de
lUL94−Szeoの液体培養物中で、標準的なプロトコール(Tischer,B.
K.ら、既出)に従って、25μg/mlクロラムフェニコールおよび2%のL−アラビ
ノースの存在下で誘導した。25μg/mlクロラムフェニコール1%のL−アラビノー
スの存在下でLB寒天プレート上に組換え体を播いた後に単独クローンを採取することに
より、新造pTB40E−BAC4−del94である組換え体を選択した。作動配列の
正しい除去は、制限パターン分析および配列決定により確認した。(c)次のred組換
えを、合成突然変異誘発断片LIFdel99、配列番号16の上記のような(この項の
a)を参照されたい)電気的形質転換により誘導して、pTB40E−BAC4−del
UL94−del99−SZeoを得た。25μg/mlクロラムフェニコールおよび3
0μg/mlゼオシンの存在下でLB寒天プレート上に形質転換体を播いた後に単独クロ
ーンを採取することにより、組換え体を選択した。nt130670から131243ま
で(本明細書において配列番号20というBACの番号付けに従う)の配列の正しい置き
換えを、制限パターン分析および配列決定により確認した。(d)ゼオシンカセットをU
L99遺伝子座から除くために、最後の回のred組換えを、pTB40E−BAC4−
delUL94−delUL99−Szeoの液体培養物中で、上記のようにして誘導し
た(この項のb)を参照されたい)。25μg/mlクロラムフェニコール1%のL−ア
ラビノースの存在下でLB寒天プレート上に形質転換体を播いた後に単独クローンを採取
することにより、新造pTB40E−BAC4−del94−del99である組換え体
を選択した。UL99遺伝子座からの作動配列の正しい除去は、制限パターン分析および
配列決定により確認した。1.新しい様式でのBAC改変の説明は、次のとおりである。
【0217】
M1)非機能的UL94を作製する(またはUL94遺伝子を不活性化する)ために、n
t122630とnt123668との間のpTB40E−BAC4−FRT(配列番号
20)のnt配列を、合成断片delUL94S(配列番号34)で置き換える。
【0218】
M2)非機能的UL99を作製する(またはUL99遺伝子を不活性化する)ために、n
t130670とnt131243との間のpTB40E−BAC4−FRT(配列番号
20)のnt配列を、合成断片delUL99S(配列番号35)で置き換える。UL9
4−UL99の二重変異体のために、このことは、M1の改変に加えて行わなければなら
ない。
【0219】
M3)非機能的UL50を作製する(またはUL50遺伝子を不活性化する)ために、n
t58442とnt59622との間のpTB40E−BAC4−FRT(配列番号20
)のnt配列を、合成断片delUL50S(配列番号32)で置き換える。
【0220】
M4)非機能的UL53を作製する(またはUL53遺伝子を不活性化する)ために、n
t62129とnt63261との間のpTB40E−BAC4−FRT(配列番号20
)のnt配列を、合成断片delUL53S(配列番号33)で置き換える。UL50−
UL53の二重変異体のために、このことは、M3の改変に加えて行わなければならない
【0221】
[伝播欠損性ヒトCMVの再構築]
0.7×10凍結TCL94/99−BP細胞を、0.2μg/mlピューロマイシ
ンを含有するOPTI−MEM 5%FCS中で10cmの皿に播き、2日後に、接着細
胞を剥がし、6cmの皿に、皿あたり2×10細胞の密度で播いた。次の日に、2枚の
6cm培養物に、2μgの精製pTB40E−BAC4−FRT−del94−del9
9−DNAをそれぞれ、Lipofectamin2000(Invitrogen)に
より、製造業者のプロトコールに従ってトランスフェクトした。24時間後に、2枚の培
養物を併せ、OPTI−MEM 5%FCS中で10cmの皿に播いた。10日後に、組
換えTB40E−BAC4−FRT−del94−del99ウイルスの再構築が、プラ
ークの形成により示された。トランスフェクトされた培養物中のほとんどの細胞がCPE
を示した14〜16日後に、培養物全体を採集した。生存ウイルスの量を、Mohrら(
Mohr,C.A.ら、2010. A spread−deficient cyto
megalovirus for assessment of first−targ
et cells in vaccination.Virol.2010年8月;84
(15):7730〜42頁。Epub2010年5月12日)に記載されるTCID5
0(中央組織培養感染量)法を用いて、96ウェルプレート中で、集密以下のTCL94
/99−BP細胞上での限界希釈により決定した。TB40E−BAC4−FRTdel
94−99から再構築した伝播欠損性ヒトCMVは、細胞あたり0.1MOIで感染した
後のTCL94/99−BP細胞を用い、Scrivanoら(Scrivanoら、既
出)に記載されるヒトCMVの繁殖のための標準的なプロトコールを用いて繁殖できる。
【0222】
2次エンベロープ化複合体、すなわちUL99およびUL94を欠くHCMVは、伝播
欠損性である。
【0223】
TB40E−BAC4−FRTdel94−99から再構築したUL94−UL99二
重欠失CMVの表現型を、細胞間伝播において試験した。このことは、TB40E−BA
C4−FRT−del94−del99およびTB40E−BAC4−FRTからそれぞ
れ再構築したCMVに、本明細書の実施例1に本質的に記載するようにして、MRC5お
よびTCL94/99−BP細胞を感染させ、その後、過剰のウイルスを、感染後の多数
回の洗浄により除去することにより調べた。次に、CFSE染色MRC5細胞を加え、ウ
イルス複製を可能にした。さらに72時間後に、培養物を固定し、最初期1発現について
本明細書の実施例1に記載するようにして染色した。このことにより、「最初期1」陽性
、CFSE陽性または両方の染色について陽性の細胞が得られた。これらの細胞を、各調
製物について計数した。TB40E−BAC4−FRT−del94−del99に感染
した後のMRC5において二重陽性細胞の増加がないことは、細胞間伝播の欠損の決め手
である。
【実施例15】
【0224】
[伝播欠損性ヒトCMVでの免疫化]
伝播欠損性ヒトCMVを用いる初回免疫および追加免疫の後に、ヒト血清は、内皮細胞
または上皮細胞(例えばそれぞれHUVEC[ATCC CRL1730]またはARP
E−19[ATCC CRL2302])においてアッセイして、ヒト線維芽細胞株化細
胞(例えばMRC5、ATCC CLL−171)においてアッセイした同じウイルスに
対するよりも、TB40EまたはVR1814のような内皮向性ヒトCMV株に対して少
なくとも64倍高い中和効力を示す。さらに、UL130、UL128またはUL131
Aの遺伝子生成物に対して(ここでは、少なくとも1つの特異性が見られれば十分である
)、ウェスタンブロットにより特異的抗体応答を検出できる。
【0225】
記載した遺伝子の以下の欠失は、伝播欠損性である組換えヒトベータヘルペスウイルス
をもたらす。
【0226】
【表2】
【0227】
本明細書、特許請求の範囲、配列表および/または図面に開示する本発明の特徴は、別々にでもそれらの任意の組み合わせにおいても、本発明を様々な形態で実現するために実質的である。配列表が、本明細書の一部分であることが認識されなければならない。
出願時の請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1]
伝播欠損性であるベータヘルペスウイルス、好ましくは組換えベータヘルペスウイルス。
[請求項2]
内皮向性であり、かつ/または野生型様ビリオン表面を有する、請求項1に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項3]
内皮向性であり、野生型様ビリオン表面を有する、請求項1から2のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項4]
前記ベータヘルペスウイルスが、免疫応答の誘導に適切であるかまたは免疫応答を誘導でき、好ましくは、前記免疫応答が、ベータヘルペスウイルスに対する中和抗体ならびにベータヘルペスウイルスのエピトープに対してのCD4およびCD8T細胞を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項5]
前記免疫応答が、中和抗体を含み、ベータヘルペスウイルスが、前記中和抗体により内皮細胞および/または上皮細胞に感染することを妨げられる、請求項4に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項6]
前記中和抗体により内皮細胞および/または上皮細胞に感染することを妨げられるベータヘルペスウイルスが、病原体、好ましくはヒト病原体である、請求項5に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項7]
ヒトベータヘルペスウイルスである、請求項1から6のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項8]
サイトメガロウイルスである、請求項1から7のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項9]
ヒトサイトメガロウイルスである、請求項7および8のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項10]
1次および/または2次エンベロープ化に関与する少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損している、請求項1から9のいずれか1項、好ましくは請求項9に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項11]
前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、1次エンベロープ化に関与する、請求項10に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項12]
前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL50およびUL53ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、請求項11に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項13]
前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、2次エンベロープ化に関与する、請求項10に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項14]
前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、UL94およびUL99ならびにそのそれぞれの相同体を含む群から選択される遺伝子によりコードされる、請求項13に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項15]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項16]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項17]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項16に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項18]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243〜181652により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第4ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド130670が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項19]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243〜181652により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第4ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を含む第5ヌクレオチド配列と、配列番号35によるヌクレオチド配列を含む第6ヌクレオチド配列とを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項20]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド130670が、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド67が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項19に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項21]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項22]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項23]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項22に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項24]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項25]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜181652により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項26]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項25に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項27]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド632161〜181652により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第4ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項28]
前記ベータヘルペスウイルスが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜181652により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192〜233681により表される第4ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第5ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第6ヌクレオチド配列とを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項29]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド181652が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド189192と共有結合している、請求項28に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項30]
UL133、UL134、UL135、UL136、UL137、UL138、UL139、UL140、UL141、UL142、UL143、UL144およびUL145を含む群から選択される1または複数の遺伝子を含む、請求項1から29のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項31]
配列番号23によるヌクレオチド配列を含む、請求項1から30のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項32]
免疫回避遺伝子によりコードされる少なくとも1つの遺伝子生成物を欠損している、請求項1から31のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項33]
免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物およびNK細胞応答を調節する遺伝子生成物を含む群から選択される、請求項32に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項34]
免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、MHCクラスI提示を調節する遺伝子生成物である、請求項33に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項35]
MHCクラスI提示を調節する前記遺伝子生成物が、US6、US3、US2、UL18、US11、UL83およびUL40を含む群から選択される、請求項34に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項36]
免疫回避遺伝子によりコードされる前記少なくとも1つの遺伝子生成物が、NK細胞応答を調節する遺伝子生成物である、請求項33に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項37]
NK細胞応答を調節する前記遺伝子生成物が、遺伝子UL40、UL16およびUL18によりコードされる遺伝子生成物を含む群から選択される、請求項36に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項38]
異種核酸をコードする、請求項1から37のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項39]
前記異種核酸が、機能的核酸であり、好ましくは、アンチセンス分子、リボザイムおよびRNA干渉媒介核酸を含む群から選択される、請求項41に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項40]
前記核酸が、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸である、請求項38に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項41]
前記ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、少なくとも1つの抗原を含む、請求項40に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項42]
前記抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原および寄生体抗原を含む群から選択される抗原である、請求項41に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項43]
対象の治療のための方法における使用および/もしくは対象のワクチン接種のための方法における使用のためのまたは使用に適切な、請求項1から42のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項44]
前記対象が、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項43に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項45]
ヒトサイトメガロウイルスである、請求項43または44に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項46]
前記対象が、疾患に罹患しているか、または疾患に罹患する危険性がある、請求項43から45のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項47]
前記ワクチン接種が、疾患に対するワクチン接種である、請求項43から46のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項48]
前記疾患が、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス感染に伴う疾患または状態である、請求項46および47のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項49]
前記疾患または状態が、先天性封入体病を含む群から選択される、請求項48に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項50]
前記対象が、妊娠している雌または生殖可能年齢の雌、好ましくは、妊娠している女性または生殖可能年齢の女性である、請求項43から49のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項51]
前記治療が、雌から前記雌が有しているかまたは将来有する胎児および/または胚へのベータヘルペスウイルス、好ましくはヒトサイトメガロウイルスの移動を妨げるかまたは妨げるのに適するかまたは妨げることができる、請求項50に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項52]
前記治療が、雌の体内での免疫応答または雌の体内での免疫応答を生じさせるためであるかまたは生じさせるのに適するかまたは生じさせることができ、好ましくはそのような免疫応答が、前記雌が有しているかまたは将来有する胎児および/または胚に、ベータヘルペスウイルス、好ましくはヒトサイトメガロウイルスおよび/またはベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス感染に伴う疾患もしくは状態に対する防御を授ける、請求項50に記載のベータヘルペスウイルス。
[請求項53]
医薬品の製造のための、請求項1から47のいずれかに記載のベータヘルペスウイルスの使用。
[請求項54]
前記医薬品が、ベータヘルペスウイルス感染の治療および/または予防用である、請求項53に記載の使用。
[請求項55]
前記医薬品が、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス感染に伴う疾患もしくは状態の治療および/または予防用である、請求項53に記載の使用。
[請求項56]
ワクチンの製造のための、請求項1から47のいずれかに記載のベータヘルペスウイルスの使用。
[請求項57]
前記ワクチンが、ベータヘルペスウイルス感染の治療および/または予防用である、請求項56に記載の使用。
[請求項58]
前記ワクチンが、ベータヘルペスウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス感染に伴う疾患もしくは状態の治療および/または予防用である、請求項57に記載の使用。
[請求項59]
前記ワクチンが、対象への投与のためであるかまたは投与に適し、前記対象が、妊娠している雌、生殖可能年齢の雌、移植片のドナー、移植片のレシピエントおよびHIVに感染しているかもしくはHIVに感染する危険性がある対象を含む群から選択される、請求項56から58のいずれか1項に記載の使用。
[請求項60]
前記ドナーが、潜在的ドナーであり、かつ/または前記レシピエントが、潜在的レシピエントである、請求項59に記載の使用。
[請求項61]
前記請求項のいずれかに記載のベータヘルペスウイルスをコードする核酸。
[請求項62]
請求項61に記載の核酸を含むベクター。
[請求項63]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜233681により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123688と共有結合している、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項64]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜233681により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を含む第3ヌクレオチド配列とを含む、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項65]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合している、請求項64に記載のベクター。
[請求項66]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド130670が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合している、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項67]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜122630により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668〜130670により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号34によるヌクレオチド配列を含む第3ヌクレオチド配列と、配列番号35によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列とを含む、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項68]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド122630が、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号34によるヌクレオチド配列のヌクレオチド252が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド123668と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド130670が、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号35によるヌクレオチド配列のヌクレオチド67が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド131243と共有結合している、請求項67に記載のベクター。
[請求項69]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜233681により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合している、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項70]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜233681により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第3ヌクレオチド配列とを含む、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項71]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合している、請求項70に記載のベクター。
[請求項72]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜233681により表される第2ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合している、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項73]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜62129により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜233681により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第3ヌクレオチド配列とを含む、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項74]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合している、請求項73に記載のベクター。
[請求項75]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜233681により表される第3ヌクレオチド配列とを含み、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261と共有結合している、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項76]
前記ベクターが、ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1〜58442により表される第1核酸配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623〜62129により表される第2ヌクレオチド配列と、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド63261〜233681により表される第3ヌクレオチド配列と、配列番号32によるヌクレオチド配列を含む第4ヌクレオチド配列と、配列番号33によるヌクレオチド配列を含む第5ヌクレオチド配列とを含む、請求項62に記載の前記核酸を含むベクター。
[請求項77]
配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド58442が、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号32によるヌクレオチド配列のヌクレオチド179が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド59623と共有結合し、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド62129が、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド1と共有結合し、配列番号33によるヌクレオチド配列のヌクレオチド38が、配列番号20によるヌクレオチド配列のヌクレオチド632161と共有結合している、請求項76に記載のベクター。
[請求項78]
請求項61に記載の核酸または請求項62から77のいずれか1項に記載のベクターを含む宿主細胞。
[請求項79]
前記請求項のいずれか1項に記載のベータヘルペスウイルス、請求項61に記載の核酸および/または前記請求項のいずれか1項に記載のベクターと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]