特許第6427554号(P6427554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427554
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】流体分析器および関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
   A61M1/00 131
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-503058(P2016-503058)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-514496(P2016-514496A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】US2014029319
(87)【国際公開番号】WO2014144769
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】61/794,712
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/212,336
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506087004
【氏名又は名称】アトリウム メディカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ATRIUM MEDICAL CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】515256291
【氏名又は名称】ピートフィールド, グレッグ
(73)【特許権者】
【識別番号】515256305
【氏名又は名称】カラオスキ−, セオドール
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ピートフィールド, グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】カラオスキ−, セオドール
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0071415(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/011066(WO,A1)
【文献】 特許第6088499(JP,B2)
【文献】 国際公開第2012/112664(WO,A1)
【文献】 特表2010−517681(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0280334(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0022335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から流体を排出するための、第1の端部および第2の端部を有する排液管を有する患者において、流体体積測定値を含む少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのデバイスの作動方法であって、前記第1の端部は、前記患者の胸腔の中に嵌合され、前記第2の端部は、収集容器と流体連通し、前記収集容器および前記排液管のうちの少なくとも1つは、(i)前記収集容器の近位の場所における前記排液管および(ii)前記収集容器のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知する、第1の圧力センサと、前記収集容器の遠位の場所における前記排液管内の圧力を感知する、第2の圧力センサとを有し、前記少なくとも1つの患者パラメータは、前記排液管が閉塞されているまたは前記排液管によって提供される排液経路を遮断する流体を有するかどうかをさらに含み、
前記方法は、
a.前記デバイスが、前記第1の圧力センサからの少なくとも第1の圧力値および前記第2の圧力センサからの少なくとも1つの第2の圧力値、ならびに、前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサからの連続圧力値を得るステップと、
b.前記デバイスが、前記圧力値を時系列圧力データとしてコンピュータメモリ内に記憶するステップと、
c.前記デバイスが、前記時系列圧力データから圧力特徴を抽出するステップであって、前記抽出された特徴が有効であるかどうかを判定し、前記抽出された特徴が有効である場合、非線形方程式を使用する非線形ソルバを通して前記抽出された圧力特徴を処理することによって前記流体体積測定値を計算するステップと、
d.前記デバイスが、前記流体体積測定値を使用して前記排液管が閉塞されているまたは前記排液経路を遮断する流体を有することを判定したことに応答して、前記排液管を一掃するために、前記デバイスが、管ライン一掃デバイスをアクティブ化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の圧力値は、複数の圧力値を含む、請求項1に記載のデバイスの作動方法。
【請求項3】
前記複数の圧力値を含む圧力値は、タイミングが図られた間隔において前記デバイスによって得られる、請求項2に記載のデバイスの作動方法。
【請求項4】
前記圧力値は、弁ステータス、時間、患者吸入ステータス、および管ステータスから成る群から選択される、1つまたは複数の事象、ステータス、または値と関連付けられる、請求項2−3のいずれかに記載のデバイスの作動方法。
【請求項5】
前記非線形方程式は、サポートベクトルマシンアプローチ、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングから成る群から選択される、1つまたは複数のアプローチにおいて実装される、請求項1に記載のデバイスの作動方法。
【請求項6】
前記非線形方程式は、以下
【化6】
のように表され、
式中、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
請求項1に記載のデバイスの作動方法。
【請求項7】
少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのデバイスであって、前記少なくとも1つの患者パラメータは、流体体積測定値を含み、前記デバイスは、
収集容器と、
患者から流体を排出するための、第1の端部および第2の端部を有する排液管であって、前記第1の端部は、前記患者の胸腔の中に嵌合され、かつ前記患者の胸腔と流体連通を確立するように構成され、前記第2の端部は、前記収集容器内に受容される、排液管と、
(i)前記収集容器の近位の場所における前記排液管および(ii)前記収集容器のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知するように構築および配列される、第1の圧力センサと、
前記収集容器の遠位の場所における前記排液管内の圧力を感知するように構築および配列される、第2の圧力センサと
を備え、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサは、メモリを有するコンピューティング手段と信号通信し、前記少なくとも1つの患者パラメータは、前記排液管が閉塞されているまたは前記排液管によって提供される排液経路を遮断する流体を有するかどうかをさらに含み、前記コンピューティング手段は、
i.前記第1の圧力センサからの第1の圧力値および前記第2の圧力センサからの第の圧力値、ならびに、前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサからの連続圧力値を得ることと、
ii.前記圧力値を時系列圧力データとして前記メモリ内に記憶することと、
iii.前記時系列圧力データから圧力特徴を抽出し、前記抽出された圧力特徴が有効であるかどうかを判定することであって、前記抽出された圧力特徴が有効である場合、非線形方程式を使用する非線形ソルバを通して、前記抽出された圧力特徴を処理することによって流体体積測定値を計算することと
iv.前記流体体積測定値を使用することによって前記排液管が閉塞されているまたは前記排液経路を遮断する流体を有することを判定したことに応答して、前記排液管を一掃するために、ライン一掃デバイスをアクティブ化すること
を行うように構成されている、デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の圧力値は、複数の圧力値を含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数の圧力値は、タイミングが図られた間隔で作成される、請求項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2013年3月15日に出願された、米国仮特許出願第61/794,712号、および、2014年3月14日に出願された、米国非仮特許出願第14/212,336号に対する優先権を主張するものであり、これらの全体の内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(連邦政府の補助金に関する記載)
本発明の実施形態は、連邦政府の補助金または助成金を得て着想または実践化されていない。
【0003】
本発明の実施形態は、個人の胸腔等の流体源から除去される流体の量を把握することが所望される治療の機器および方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
罹患個人の胸腔から流体を除去することが望ましい、いくつかの疾患状態および傷害が存在する。臨床医は、治癒プロセスの進行、疾患の進行、およびそのような排液をもたらすために使用されるデバイスの機能を判定するために、除去される流体の量を監視する。典型的には、患者は、胸腔の中に挿入される排液管を有し、管は、胸部排液ユニット(CDU)として知られる特殊な閉鎖されたコンテナの中に排液させる。密閉されたコンテナ内の液体を測定するための種々の手段が存在し、それぞれ、観察または測定を行う臨床医の時間、あるいは測定を行い、測定データを臨床医または病院情報システムに知らせるためのセンサおよび信号伝達デバイスを提供する際の機器コストのいずれかにおけるコストと関連付けられる。
【0005】
例えば、限定ではないが、いくつかのデバイスは、コンテナの重量または重量変化を測定するための1つまたはそれを上回る歪みゲージを特徴とする。歪みゲージの正確度が増加するにつれて、ゲージは、より高価となり、より損傷を受けやすくなる。歪みゲージは、特に、容易に損傷され、よりロバストであるように設計される場合、重量変化に対してより低い分解能を有する。
【0006】
CDUに関して患者を監視する臨床スタッフは、患者の流体排液体積レベルを記録することが要求されるが、注意深く対処しなければならず、時間がかかり、したがって、コストがかかるため、そうでなければ望ましくあり得るほど頻繁に、測定またはチェックを行わない。排液デバイスは、通常、床に置かれ、臨床医が、流体レベルを読み取るために、手を伸ばし、膝をつき、かつ例えば、CDUが、使用の間、偶発的にひっくり返される場合、誤差を調節することを忘れないようにすることを要求する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、第1の端部および第2の端部を有する排液管を有する患者において、少なくとも1つの患者パラメータを判定するための方法、コンピュータプログラム、およびデバイスを対象にし、第1の端部は、患者の胸腔の中に嵌合され、第2の端部は、収集容器内に受容される。本明細書で使用されるように、用語「患者パラメータ」は、一例として、限定ではないが、胸腔から除去される流体(ガスおよび/または液体)の体積、除去される流体の流率、除去される流体の液体部分を保持するコンテナの現在の体積、濾過デバイスおよび管の現在の機能、ならびに患者呼吸ステータスを含む、排液管と関連付けられた患者パラメータを指す。
【0008】
本方法、コンピュータプログラム、およびデバイスの実施形態は、収集容器および排液管のうちの少なくとも1つが、(i)収集容器の近位の場所における排液管および(ii)収集容器のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知する第1の圧力センサと、収集容器の遠位の場所における該排液管内の圧力を感知する、第2の圧力センサとを有することを特徴とする。すなわち、第1の圧力センサは、収集容器内部または収集容器に近接する排液管内のいずれかに位置し、収集容器と近接して関連付けられる。第2の圧力センサは、収集容器から離れた、患者により近位の排液管内に位置付けられる。
【0009】
本方法は、第1の圧力センサからの少なくとも第1の圧力値および第2の圧力センサからの少なくとも第1の圧力値を得るステップを含む。本方法はさらに、非線形ソルバを通して、圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップを含む。
【0010】
本方法の一実施形態は、各圧力値と時間を関連付けるステップと、複数の連続圧力値を経時的に得るステップとを特徴とする。連続圧力値は、好ましくは、タイミングが図られた間隔において、時間的に分離される、すなわち、周期的である。
【0011】
本方法の実施形態は、コンピュータ手段による実施のために非常に好適である。本明細書で使用されるように、用語「コンピュータ手段」は、メインフレームコンピュータ、サーバ、従来のデスクトップおよびラップトップコンピュータ、マイクロコントローラ、Raspberry Pi等の車載コンピュータ、ならびに携帯電話およびタブレットデバイス等のハンドヘルド通信デバイス、インターネットおよび/またはワイヤレス通信デバイスを通してリンクされるオフサイトコンピュータ、および同等物上に担持されるCPU等、デバイスの内部にある、またはデバイスと別個かつ別々に担持される、コンピュータまたは中央処理ユニット(CPU)を指す。好ましくは、第1の圧力値および連続圧力値は、コンピュータメモリ内に記憶される。本明細書で使用されるように、用語「コンピュータメモリ」は、CPUと信号通信し、そのようなCPUによって処理されることができる、チップ、ディスク、メモリドライブ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、および同等物等のデータ記憶を指す。例えば、CPUは、最初に、メモリからの圧力値および連続圧力値にアクセスし、そのようなデータを編成するステップ、少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップ、および1つの患者パラメータを表示する出力を生成するステップを行う。
【0012】
本明細書で使用されるように、用語「非線形ソルバ」は、仮説/モデル数学的コンピュータプログラムの意味における機械学習プロセスを指す。非線形ソルバは、既知の入力および出力を用いて訓練され、訓練された非線形ソルバは、第1の圧力値および第2の圧力値ならびに全ての他の連続圧力値を受信し、仮説/モデルを通してそのような値を処理し、患者パラメータを得るようにエクスポートまたはプログラムされる。
実施形態は、非線形ソルバが、サポートベクトルマシンアプローチ、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングから成る群から選択される、1つまたはそれを上回るアプローチにおいて実装されることを特徴とする。詳細な議論は、線形回帰仮説および機械学習プロセスの形態における非線形方程式を説明することになるであろう。
【0013】
例えば、1つの非線形方程式は、以下の線形回帰仮説である。
【数1】
前述で使用されるように、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である。
【0014】
線形回帰方程式は、以下
【数2】
のように表される、「m」値の訓練セットを用いて表される、コスト関数Jを有する。
【0015】
未知の「Theta」値は、以下
【数3】
のように、「m」個のアイテムの訓練セットを用いて判定される。
【0016】
例えば、限定ではないが、非線形方程式およびその導関数は、勾配降下法、粒子群最適化、および人工蜂コロニーから成る群から選定される、1つまたはそれを上回る最適化アルゴリズムによって解かれる。
1つの方法は、以下
【数4】
のように導出されるThetaを特徴とする。
を伴うJ(Theta)に関する偏導関数は、以下
【数5】
のように表される、Thetaと関連付けられたBias、Pv、またはPcパラメータである。
【0017】
本発明の特徴を具現化する、さらなる非線形方程式は、以下
【数6】
のように表される。
式中、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である。
【0018】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのコンピュータ可読プログラムを対象とする。コンピュータ可読プログラムは、第1の圧力センサからの少なくとも1つの第1の圧力値および第2の圧力センサからの少なくとも1つの第1の圧力値を得るために、メモリを有するコンピュータ処理ユニットのための命令を備える。コンピュータ可読プログラムはさらに、コンピュータ手段に、非線形ソルバを通して、圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算するように命令する。
【0019】
コンピュータ可読プログラムは、コンピュータ手段を動作させる、またはその上で起動し、例えば、タイミングが図られた間隔において、経時的に、少なくとも1つの第1の圧力値および任意の連続圧力値を受信し、そのようなデータをメモリ内に記憶する。データは、表示のための1つまたはそれを上回る患者パラメータを計算するために編成および使用される。これは、前述の非線形方程式および方法に従って処理される。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのデバイスを対象とする。本デバイスは、(i)収集容器の近位の場所における排液管または(ii)収集容器自体のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知するように構築および配列される、第1の圧力センサと、収集容器の遠位の場所における該排液管内の圧力を感知するように構築および配列される、第2の圧力センサとを備える。第1の圧力センサおよび第2の圧力センサは、第1の圧力センサからの第1の圧力値および第2の圧力センサからの第1の圧力値を得るために、メモリを有するコンピューティング手段と信号通信するように設定されるために構築および配列される。コンピュータ手段は、非線形ソルバを通して、圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算する。
【0021】
好ましいデバイスは、コンピュータ手段を備える。コンピュータ手段は、好ましくは、例えば、限定ではないが、タイミングが図られた間隔において、経時的に、複数の第1の圧力値および任意の連続圧力値を受信し、これは、メモリ内に記憶され、1つの患者パラメータを計算するために編成および処理される。
【0022】
データは、表示のために、1つまたはそれを上回る患者パラメータを計算するように編成および使用される。これは、前述の非線形方程式および方法に従って処理され、以下の発明を実施するための形態により完全に説明される。
【0023】
本発明の方法、コンピュータ可読プログラム、およびデバイスは、患者の胸腔から除去される流体の監視を可能にする。そのような流体は、ガス、水、血清、血液、血漿、リンパ液、膿、治療用注入流体、およびそれらの混合物等の任意の生物学的流体を含む。用語「ガス」は、酸素、窒素、ヘリウム、および酸化窒素等の治療用目的のために投与される空気およびガスを指すために使用される。本方法、コンピュータ可読プログラム、およびデバイスの実施形態は、ガス体積および液体体積ならびに流体の対応する流率の計算を可能にする。
【0024】
これらならびに他の特徴および利点は、以下に概略される図を閲覧し、以下の発明を実施するための形態を検証することによって、当業者に明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
第1の端部および第2の端部を有する排液管を有する患者において、少なくとも1つの患者パラメータを判定するための方法であって、前記第1の端部は、前記患者の胸腔の中に嵌合され、第2の端部は、収集容器と流体連通し、前記収集容器および前記排液管のうちの少なくとも1つは、(i)前記収集容器の近位の場所における前記排液管および(ii)前記収集容器のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知する、第1の圧力センサと、前記収集容器の遠位の場所における前記排液管内の圧力を感知する、第2の圧力センサとを有し、
前記方法は、
a.前記第1の圧力センサからの少なくとも第1の圧力値および前記第2の圧力センサからの少なくとも1つの第1の圧力値を得るステップと、
b.非線形ソルバを通して、前記圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記少なくとも1つの第1の圧力値は、複数の圧力値を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数の圧力値を含む圧力値は、タイミングが図られた間隔におけるものである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記圧力値は、弁ステータス、時間、患者吸入ステータス、および管ステータスから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る事象、ステータス、または値と関連付けられる、項目2−3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記第1の圧力値および連続圧力値は、コンピュータメモリ内に記憶される、項目2−4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップは、コンピュータによって行われる、項目1−5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップは、コンピュータ手段によって行われる、項目1−6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記コンピュータ手段は、前記少なくとも1つの患者パラメータを表示する出力を生成する、項目7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記コンピュータ手段は、非線形方程式によって、前記少なくとも1つの患者パラメータを計算する、項目7−8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記非線形方程式は、サポートベクトルマシンアプローチ、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングから成る群から選択される、1つまたはそれを上回るアプローチにおいて実装される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記非線形方程式は、以下の線形回帰仮説、
【化1】

であり、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目9に記載の方法。
(項目12)
前記線形回帰方程式は、以下
【化2】

のように表される、「m」値の訓練セットを用いて表される、コスト関数Jを有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
未知の「Theta」値は、以下
【化3】

のように、「m」個のアイテムの訓練セットを用いて判定される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記非線形方程式およびその導関数は、勾配降下法、粒子群最適化、および人工蜂コロニーから成る群から選定される、1つまたはそれを上回る最適化アルゴリズムによって解かれる、項目13に記載の方法。
(項目15)
Thetaは、以下
【化4】

のように導出され、Xを伴うJ(Theta)に関する偏導関数は、以下
【化5】

のように表される、Thetaと関連付けられたBias、Pv、またはPcパラメータである、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記非線形方程式は、以下
【化6】

のように表され、
式中、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目9に記載の方法。
(項目17)
前記流体は、ガス、水、血清、血液、血漿、リンパ液、膿、治療用注入流体、およびそれらの混合物から成る群のうちの任意の1つを含む、生物学的流体である、項目1−16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
第1の端部および第2の端部を有する排液管を有する患者において、少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのコンピュータ可読プログラムであって、前記第1の端部は、患者の胸腔の中に嵌合される、および/またはそれと流体連通を確立し、第2の端部は、収集容器と流体連通を確立し、前記収集容器および前記排液管のうちの少なくとも1つは、(i)前記収集容器の近位の場所における前記排液管および(ii)前記収集容器うちの少なくとも1つ内の圧力を感知する第1の圧力センサと、前記収集容器の遠位の場所における前記排液管内の圧力を感知する、第2の圧力センサとを有し、前記コンピュータ可読プログラムは、
a.前記第1の圧力センサからの第1の圧力値および前記第2の圧力センサからの第1の圧力値を得ることと、
b.非線形ソルバを通して、前記圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算することと
を行うために、メモリを有するコンピュータ手段のための命令を備える、コンピュータ可読プログラム。
(項目19)
前記少なくとも1つの第1の圧力値は、経時的な複数の圧力値を含む、項目18に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目20)
前記複数の圧力値は、タイミングが図られた間隔で作成される、項目19に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目21)
前記複数の圧力値は、コンピュータメモリ内に記憶される、項目19に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目22)
前記少なくとも1つの患者パラメータを計算するステップは、コンピュータ手段によって行われる、項目18−21のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目23)
前記コンピュータ手段は、前記少なくとも1つの患者パラメータを表示する出力を生成する、項目22のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目24)
前記コンピュータ手段は、非線形方程式によって、前記少なくとも1つの患者パラメータを計算する、項目23のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目25)
前記非線形方程式は、サポートベクトルマシンアプローチ、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングから成る群から選択される、1つまたはそれを上回るアプローチにおいて実装される、項目24に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目26)
前記非線形方程式は、以下の線形回帰仮説
【化7】

であり、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目24に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目27)
前記線形回帰方程式は、以下
【化8】

のように表される、「m」値の訓練セットを用いて表される、コスト関数Jを有する、項目26に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目28)
未知の「Theta」値は、以下
【化9】

のように、「m」個のアイテムの訓練セットを用いて判定される、項目27に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目29)
前記非線形方程式およびその導関数は、勾配降下法、粒子群最適化、および人工蜂コロニーアプローチによって解かれる、項目26に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目30)
Thetaは、以下
【化10】

のように導出され、
を伴うJ(Theta)に関する偏導関数は、以下
【化11】

のように表される、Thetaと関連付けられたBias、Pv、またはPcパラメータである、項目27に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目31)
前記非線形方程式は、以下
【化12】

のように表され、式中、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目24に記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目32)
前記流体は、ガス、水、血清、血液、血漿、リンパ液、膿、治療用注入流体、およびそれらの混合物から成る群のうちの任意の1つを含む、生物学的流体である、項目18−31のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目33)
第1の端部および第2の端部を有する排液管を有する患者において、少なくとも1つの患者パラメータを判定するためのデバイスであって、前記第1の端部は、前記患者の胸腔の中に嵌合される、および/またはそれと流体連通を確立し、第2の端部は、収集容器内に受容され、前記デバイスは、
a.(i)前記収集容器の近位の場所における排液管および(ii)前記収集容器のうちの少なくとも1つ内の圧力を感知するように構築および配列される、第1の圧力センサと、
b.前記収集容器の遠位の場所における前記排液管内の圧力を感知するように構築および配列される、第2の圧力センサと、
を備え、
c.前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサは、
i.前記第1の圧力センサからの第1の圧力値および前記第2の圧力センサからの第1の圧力値を得ることと、
ii.非線形ソルバを通して、前記圧力値によって少なくとも1つの患者パラメータを計算することと
を行うために、メモリを有するコンピューティング手段と信号通信するために構築および配列される、デバイス。
(項目34)
前記少なくとも1つの第1の圧力値は、複数の圧力値を含む、項目33に記載のデバイス。
(項目35)
前記複数の圧力値は、タイミングが図られた間隔で作成される、項目34に記載のデバイス。
(項目36)
メモリを有するコンピュータ手段をさらに備える、項目33−35のいずれかに記載のデバイス。
(項目37)
前記複数の圧力値は、コンピュータメモリ内に記憶される、項目34−36のいずれかに記載のデバイス。
(項目38)
前記コンピュータ手段は、前記少なくとも1つの患者パラメータを表示する出力を生成する、項目36−37のいずれかに記載のデバイス。
(項目39)
前記コンピュータ手段は、非線形方程式によって、前記少なくとも1つの患者パラメータを計算する、項目36−38のいずれかに記載のデバイス。
(項目40)
前記非線形方程式は、サポートベクトルマシンアプローチ、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングから成る群から選択される、1つまたはそれを上回るアプローチにおいて実装される、項目39に記載のデバイス。
(項目41)
前記非線形方程式は、以下の線形回帰仮説
【化13】

であり、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
Pc(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目39に記載のデバイス。
(項目42)
前記線形回帰方程式は、以下
【化14】

のように表される、「m」値の訓練セットを用いて表される、コスト関数Jを有する、項目41に記載のデバイス。
(項目43)
未知の「Theta」値は、以下
【化15】

のように、「m」個のアイテムの訓練セットを用いて判定される、項目42に記載のデバイス。
(項目44)
前記非線形方程式およびその導関数は、勾配降下法、粒子群最適化、および人工蜂コロニーアプローチによって解かれる、項目41に記載のデバイス。
(項目45)
Thetaは、以下
【化16】

のように導出され、Xを伴うJ(Theta)に関する偏導関数は、以下
【化17】

のように表される、Thetaと関連付けられたBias、Pv、またはPcパラメータである、項目43に記載のデバイス。
(項目46)
前記非線形方程式は、以下
【化18】

のように表され、
式中、
T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点であり、
t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古く、
f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数であり、
h(T)=流体キャニスタ内の流体の体積であり、
Pv(t)=通気時の時間の関数としての圧力であり、
(t)=時間の関数として患者のCDU側における圧力であり、
N=計算のために要求される時間サンプル数であり、
Theta=以下に列挙される全Thetaのセットであり、
Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数であり、
Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数であり、
Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数である、
項目39に記載のデバイス。
(項目47)
前記流体は、ガス、水、血清、血液、血漿、リンパ液、膿、治療用注入流体、およびそれらの混合物から成る群のうちの任意の1つを含む、生物学的流体である、項目33−46のいずれかに記載のデバイス。
(項目48)
収集容器をさらに備える、項目33−47のいずれかに記載のデバイス。
(項目49)
排液管をさらに備える、項目33−47のいずれかに記載のデバイス。
(項目50)
前記コンピュータ手段は、体積データ中の誤差、流動データ中の誤差、フィルタ詰まり、呼吸ステータス、排液管詰まり、ライン内の液体、および過剰流体移動から成る群から選択される、少なくとも1つの付加的患者パラメータを監視する、項目36−49のいずれかに記載のデバイス。
(項目51)
前記患者パラメータは、収集容器内に収集される液体流体の推定値である、項目1−17のいずれかに記載の方法。
(項目52)
前記患者パラメータは、収集容器内に収集される液体流体の推定値である、項目18−33のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目53)
前記患者パラメータは、収集容器内に収集される液体流体の推定値である、項目33−50のいずれかに記載のデバイス。
(項目54)
前記非線形ソルバは、訓練される、項目1−17および51のいずれかに記載の方法。
(項目55)
前記非線形ソルバは、訓練される、項目18−32および52のいずれかに記載のコンピュータ可読プログラム。
(項目56)
前記非線形ソルバは、訓練される、項目33−50および53のいずれかに記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、例示的実施形態による、患者の胸腔から排液される流体の体積および/または流動を判定するための一例示的流体分析器を示す。
【0026】
図2図2は、例示的実施形態による、さらに例示的詳細において図1の電子制御モジュールを示す、概略図である。
【0027】
図3図3は、例示的実施形態による、時系列圧力値を収集および記憶するための一例示的方法を図示する、フロー図である。
【0028】
図4図4は、例示的実施形態による、胸部排液流体の測定のために、図3の記憶された時系列圧力値を処理するための一例示的方法を図示する、フロー図である。
【0029】
図5図5は、例示的実施形態による、図1の排液デバイスをモデル化する、一例示的電子回路を図示する、概略図である。
【0030】
図6図6は、例示的実施形態による、機械学習プロセスを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態は、患者の胸腔等の外部源からの流体体積を測定するためのデバイス、システム、および方法に関して詳細に説明されるであろう。ここで、図1を参照すると、時として、本明細書では、流体分析器と称され、概して、番号100によって指定される、本発明の特徴を具現化するデバイスが、描写される。
【0032】
図1は、患者の胸腔l10等のソースから排液される流体の体積および/または流動を判定するための一例示的流体分析器100を示す。図1の実施例では、流体分析器100は、例えば、二重管腔カテーテル109等のカテーテルまたは管類を使用して、患者の胸腔110から排液された流体を収集するように動作する、排液デバイス120内で実装される。図1の実施例では、排液デバイス120は、真空源112に結合され、患者110からの流体排液を促進するように示される。
【0033】
排液デバイス120は、カテーテル109を通して流体キャニスタ108の中への流体の排液を制御するように動作する、電子制御モジュール(ECM)102を含むように示される。描写されるように、ECM102は、デバイス120のユーザ(例えば、臨床スタッフ)と相互作用するためのユーザインターフェース106を含む。流体キャニスタ108は、例えば、患者の胸腔から排液される流体を収集する、胸部排液ユニット(CDU)である。ECM102は、(a)カテーテル109の通気経路の患者接続部近傍の圧力を感知する、通気圧力センサ126と、(b)同一患者点から生じる、排液管および収集システムの端部における圧力を感知する、CDU圧力センサ128とから圧力値を受信する。通気圧力センサ126は、特に、カテーテル109が二重管腔タイプではない場合、カテーテル109の排液パイプ上に位置してもよい。排液デバイス120および/またはカテーテル109とともに位置付けられる、付加的圧力センサも、本明細書の範囲から逸脱することなく、システム100と併用されてもよい。
【0034】
排液デバイス120は、本明細書の範囲から逸脱することなく、他の構成要素(例えば、弁、フィルタ、センサ、コンバータ、インターフェース等)を含んでもよい。排液デバイス120は、圧力センサ126および128からの時系列の圧力値を処理し、患者110から排液される流体体積および/または流体の流率を判定する。ECM102は、限定ではないが、CDUフィルタ詰まり、患者呼吸、患者吸入、患者呼気、呼吸数/分、呼吸困難患者(例えば、咳、窒息、笑っている、泣いている等)、管詰まりおよび閉塞または詰まり度、ライン内の流体、ならびに患者からの流体ダンピング症状等の他の指標を判定してもよい。
【0035】
図2は、さらなる例示的詳細においてECM102を示す、概略図である。図1および2は、以下の説明とともに最も良く概観される。ECM102は、ユーザインターフェース106、プロセッサ206、メモリ208、およびセンサインターフェース210を含むように示される。メモリ208は、プロセッサ206によって実行されると、患者110から排液される流体の体積および/または流率を判定するために、排液デバイス120内で機能性を実装する、機械可読命令を含む、ソフトウェア104を記憶するように例証的に示される。センサインターフェース210は、通気圧力センサ126およびCDU圧力センサ128の両方と結合し、アナログ/デジタルコンバータを含み、感知された圧力値をソフトウェア104に提供する。ソフトウェア104は、データ取得器212および計算機214を含む。データ取得器212は、圧力値を圧力センサ126および128から経時的に収集するように動作し、これらの値を時系列圧力データ220としてメモリ208内に記憶する。時系列圧力データ220は、センサインターフェース210を介して、圧力センサ126および128から周期的に読み取られる圧力値を含有する。計算機214は、時系列圧力データ220を処理し、キャニスタ108内の流体の体積を判定し、随意に、キャニスタ108の中への流体の流率を判定するように動作する。計算機214は、センサインターフェース210から読み取られた圧力値および定義された体積に基づいて、これらの圧力値と流体体積および/または流率との間の関係を自動的に学習する、学習アルゴリズムを含んでもよい。計算機214は、各圧力センサ126およびl28において識別された圧力変動に基づいて、圧力特徴データ222を生成する。圧力特徴データ222は、以下、通気圧力特徴および/またはCDU圧力特徴と称され得る。計算機214はまた、キャニスタ108内の流体体積およびキャニスタ108の中への流体流率の一方または両方を含む、流体測定値224を生成する。データ取得器212および計算機214は、並行して動作してもよい。
【0036】
図3は、時系列圧力値を読み取り、記憶するための一例示的方法300を図示する、フロー図である。図4は、胸部排液流体の測定のための記憶された時系列圧力データを処理するための一例示的方法を図示する、フロー図である。方法300および400は、例えば、ECM102のソフトウェア104内に実装されるコンピュータ上で起動する、例えば、別個の処理スレッドである。図1から4は、以下の説明とともに最も良く概観される。
【0037】
ステップ302では、方法300は、第1の圧力値を通気圧力センサから読み取る。ステップ302の一実施例では、センサインターフェース210を使用して、プロセッサ206によって実行される、ソフトウェア104は、第1の圧力値を通気圧力センサ126から読み取る。ステップ304では、方法300は、第2の圧力値をCDU圧力センサから読み取る。ステップ304の一実施例では、プロセッサ206によって実行される、ソフトウェア104は、センサインターフェース210を使用して、第2の圧力値をCDU圧力センサ128から読み取る。
【0038】
ステップ306では、方法300は、ステップ302および304の圧力値を時系列圧力データとして記憶する。ステップ306の一実施例では、データ取得器212は、ステップ302および304の圧力値をメモリ208に時系列圧力データ220として記憶する。
【0039】
方法300は、周期的に繰り返し、圧力値を収集および記憶し、第1および第2の圧力値に基づいて、流体パラメータを計算する。
【0040】
ステップ402では、方法400は、時系列圧力データをメモリから読み取る。ステップ402の一実施例では、計算機214は、時系列圧力データ220をメモリ208から読み取る。ステップ404では、方法400は、特徴を時系列圧力データから抽出する。ステップ404の一実施例では、計算機214は、圧力特徴を時系列圧力データ220から抽出し、これらの圧力特徴を圧力特徴データ222としてメモリ208内に記憶する。
【0041】
ステップ406は、決定である。ステップ406では、方法400は、ステップ404において判定された特徴が有効であるかどうかを判定し、これらの特徴が有効である場合、方法400は、ステップ408に進み、そうでなければ、方法400は、ステップ402に進む。
【0042】
ステップ408では、方法400は、非線形ソルバを通して、特徴を処理する。ステップ408の一実施例では、計算機214は、非線形方程式を通して、圧力特徴データ222を処理し、流体体積および流体流率の一方または両方を含む、流体測定値224を生成する。ステップ408の別の実施例では、計算機214は、事前に訓練されたサポートベクトルマシンを通して、圧力特徴データ222を処理する。ステップ408の別の実施例では、計算機214は、人工神経ネットワーク、遺伝子アルゴリズム、および遺伝子プログラミングのうちの1つまたはそれを上回るものを使用して、圧力特徴データ222を処理する。例えば、計算機214は、収集される訓練、妥当性確認、および試験データセットのうちの1つまたはそれを上回るものに基づいて、データを利用してもよい。
【0043】
ステップ410は、決定である。ステップ410では、方法400は、ステップ408において生成されたデータが有効であるかどうかを判定し、本データが有効である場合、方法400は、ステップ412に進み、そうでなければ、方法400は、ステップ402に進む。
【0044】
ステップ412では、方法400は、判定された体積および他の値を報告する。ステップ412の一実施例では、計算機214は、流体測定224をユーザインターフェース106に出力する。
【0045】
方法400は、周期的に繰り返し、時系列圧力データ220に基づいて、流体測定値224を判定および出力する。
【0046】
図5は、排液デバイス120の異なる区分の抵抗、インダクタンス、および静電容量を表す、1つの電子アナログ500を示す。したがって、例示的実施形態によると、電子アナログ500は、排液デバイス120をモデル化する。しかしながら、排液デバイス120は、代替として、本明細書の範囲から逸脱することなく、他の様式でモデル化され得る。電子アナログ500は、可変キャパシタによってモデル化される、流体キャニスタ108のみを除き、両ブランチに対して固定される。各圧力センサ126、128によって「被られる」患者および「電気ネットワーク」差によって生成される動的圧力信号を前提として、本タイミングは、流体キャニスタ108内の流体体積に応じて、非線形に変動するであろう。流体キャニスタ108内の流体体積の増加は、圧力タイミングに影響を及ぼす回路の支流内の空気容量を減少させるであろう。フィルタ(図5のRf)は、システムの抵抗が変動(経時的に増加)し得る。本抵抗変動は、線形影響であって、経時的に徐々に生じ得る。
【0047】
図6は、システムまたはデバイス100のための機械学習プロセスを描写する。ステップ600、610、620、および640は、訓練として特徴付けられる。ステップ600は、訓練のための入力および出力を収集する。これらの入力および出力は、制御された設定において実験的に得られ、訓練ステップ610において、入力および出力のマトリクスを生成するであろう。訓練ステップ610は、承認または適切性に関して評価される、1つまたはそれを上回る出力を生成する。遺伝子アルゴリズムおよびプログラムは、ステップ640において、モデルへの随意の変更を伴う1つの値にコンパイルされる、訓練の間の所望の出力および全予期される出力を基にする適切性に基づいて、入力および出力を評価する。モデルが容認可能結果を生成する場合、モデルは、ステップ630において、デバイス100にエクスポートされる。
【0048】
モデルは、ステップ650において、デバイス100の中に統合される。また、モデルは、ステップ660において、モデルのための入力パラメータを計算するために使用される。モデルは、ステップ670およびステップ680において、入力パラメータを処理するために使用され、デバイス100は、出力結果に応じて作用する。
【0049】
(例示的アプローチ)
ある実施形態では、非線形方程式仮説が、流体キャニスタ108内の流体の体積を計算するために使用される。固定モデルまたは動的および自己補正モデルのいずれかが、使用されてもよい。固定モデルは、典型的には、定数(重量または質量)が変化せず、再訓練を伴わずに、ソフトウェア104内でそのまま使用され得るように所望される。仮説は、固定モデルまたは動的および自己保定モデルのいずれに対しても同一であろうが、方程式は、モデルのために最適化される必要があり得る。
(仮説)
LET:
・T=代表的現在の時間(t=0)、すなわち、データ後の固定時間点
・t=整数時間サンプルであり、0は、最新であり、N−は、最も古い
・f(x,y)=xおよびyに依存する未知の関数
・J(Theta)=Thetaに関する仮説対実際のコスト
・V(T)=流体キャニスタ108内の流体の体積(実際)
・h(T)=流体キャニスタ108内の流体の体積(仮説)
・Pv(t)=例えば、圧力センサ126から判定される、通気時の時間の関数としての圧力(または、通気圧力特徴、および他のパラメータ)
・Pc(t)=例えば、圧力センサ128から判定される、時間の関数としての患者のCDU側における圧力(または、CDU圧力特徴、および他のパラメータ)
・m=訓練セット内のサンプルの数
・N=計算のために要求される時間サンプル数
・Theta=以下に列挙される全Thetaのセット
・Thetabias=仮説のための任意のDCバイアス定数
・Thetac,t=時間t時のCDU圧力に関する任意のパラメータ係数
・Thetav,t=時間t時の通気圧力に関する任意のパラメータ係数
【0050】
V(T)を概算するために、以下の線形回帰仮説を立てる。
【数7】
【0051】
コスト関数Jは、以下
【数8】
のように、「m」個のアイテムの訓練セットとともに、示されるように表されることができる。
【0052】
未知の「Theta」値は、以下
【数9】
のように、「m」個のアイテムの訓練セットとともに、見出され得る。
【0053】
本方程式が解法または修正され得る、いくつかの方法がある。方程式を解法または修正する可能性として考えられるアプローチの1つは、「勾配降下法」アプローチ/アルゴリズムの使用を通したものである。勾配降下法アプローチは、方程式のための解の良好な近似を提供する。代替方法として、粒子群最適化システム等のより最新かつより高速の最適化系が挙げられる。方程式は、人工蜂コロニー(ABC)を使用して、低オーバーヘッドを伴って、高速で解かれることが可能である。別のアプローチは、「Theta」を解くために、MatLab、R、またはOctave等の外部数学パッケージを使用することである。これらの解法アプローチは、当技術分野において公知である。Thetaのこれらの値は、例えば、ソフトウェア104の形態等において、ECM102の中に入力または別様に組み込まれる。本アプローチは、典型的には、任意の静的「Theta」群に対して十分である。
【0054】
勾配降下法は、以下
【数10】
のように、「Theta」を下方移動させるために、「Theta」の観点からのコスト関数のための偏導関数を要求する。
【0055】
Thetaと関連付けられたBias、Pv、またはPcパラメータである、Xを伴うJ(Theta)に関する偏導関数は、以下
【数11】
のように表されることができる。
【0056】
前述の方程式仮説が収束しない場合、2乗項、および潜在的に、さらに3乗項が、収束達成を支援するために追加されてもよい。付加的累乗項のそのような組み込みは、解が高バイアス条件(適合不足)を呈する場合、要求されるであろう。反対の問題は、あまりに多くのパラメータが存在する場合に生じ得、これは、高分散(過剰適合)と称される。過剰適合は、規則化およびより多くのサンプルの追加等、いくつかの技法を通して解決されることができる。
【0057】
以下は、例えば、一次モデルが満足のゆくように収束しない場合に使用される、より高次の項を含む、二次方程式仮説である。
【数12】
【0058】
前述の数学的モデルの正確度は、導出されるパラメータの使用によって改良され得る。例えば、最大値および2つの波形間の時間異が、圧力波形から導出されることができる。大規模な時系列にわたる分析ではなく、導出されるパラメータデータセットの使用は、コスト計算における「誤差」項を低減させるであろう。未加工データのパラメータ抽出を伴わない場合、より多くのサンプルが、誤差を排除するために処理される必要があるであろう。
【0059】
方程式のさらなる複素解は、その固有モード関数またはIMFへの時間信号の分解を通して得られる。固有モード関数(IMF)は、複雑性/計算の増加を犠牲において、正確度を改善するために使用されることができる。最近の研究として、ヒルベルト・ホアン変換(HHT)の形態において、Norden E. Huangによって行われたものがある。本アプローチは、経験モード分解(EMD)およびヒルベルトスペクトル分析(HAS)を使用して、正確度を改善するが、計算の増加を犠牲にするという短所を伴う。特定の実施形態では、前述の数学的方程式仮説が、試験され、HHT技法は、数学的仮説に満足がいかない場合のみ、実装される。
【0060】
排液デバイス120は、少なくとも部分的に、圧力センサ126、128からの圧力データを使用して、流体キャニスタ108内の流体の体積に加え、情報を判定可能である。加えて、ある実施形態はさらに、1つまたはそれを上回る弁センサ(図示せず)または弁のプログラムされたタイミングを含み、排液デバイス120内の1つまたはそれを上回る弁の状態を検出する。これらの実施形態では、ECM102は、例えば、圧力センサ126、128からのデータとともに、弁センサからの弁データを使用し、付加的情報を判定する。ECM102は、例えば、流体キャニスタ108の流体体積を判定するための前述のものと同様の技法等の線形回帰技法を使用して、本付加的情報を判定する。別の実施例として、いくつかの実施形態では、ECM102は、ロジスティック回帰(分類、確率出力/クラス提示とも呼ばれる)を使用して、付加的情報を判定する。
【0061】
前述のように、排液デバイス120は、流体キャニスタ内108の流体の概算体積を推定可能である。そのような推定の正確度は、流体キャニスタ108内のシステムの「空気容量」の変化に起因する、流体体積に反比例する。加えて、ある実施形態は、経時的にフィルタ変化を特性評価する情報を使用して、わずかな体積変化も検出可能である。排液デバイス120は、例えば、フィルタのダンピングに起因する、可変レジスタの抵抗変化を検出することによって、フィルタ変化を判定する。さらに、いくつかの実施形態は、流体キャニスタ108の体積がどのように経時的に変化し得るかに基づいて、破損縫目または縫合糸等、重度のダンピング症状患者110を検出可能である。
【0062】
いくつかの実施形態は、排液デバイス120内における、患者圧力緩和弁130の動作からの弁データおよび圧力センサ128からのCDU圧力データを含む、線形回帰モデルを介して、流体キャニスタ108を通る空気流動(また、流体と見なされる)の判定が可能である。正確度は、例えば、システムからのフィードバックおよび現在の空気通過における変化を特性評価する情報を使用することによって増加される。さらに、いくつかの実施形態は、1回換気量を流体キャニスタ108に流入させ、解放前に、気圧に近似するように弁を保持し、さらに正確度を助長することが可能である。これらの実施形態では、排液デバイス120は、典型的には、療法に有意に影響を及ぼすことなく、より優れた臨床データを達成するために、一瞬だけ、圧力を保持する。安全限界が、このような場合、特徴に対して設定されるであろう。圧力時間減衰データは、通過された体積/ボーラスの概算を支援し、ある時間周期にわたって合計され、空気流率を報告するために使用されることができる。
【0063】
呼吸数は、類似アプローチを使用して見出され得るが、大量の時間データセット(または、前述のデータセットからのサンプル)を要求し得る。
【0064】
排液デバイス120のある実施形態は、1つまたはそれを上回るロジスティック回帰モデルを使用して、以下の事象のうちの1つまたはそれを上回るものの存在または存在確率を判定可能である。
・線形回帰からの体積データが有効である
・例を訓練するために十分に類似しない圧力信号
・報告される体積における可能性として考えられる誤差
・流体キャニスタ108のフィルタ詰まり(CDUを交換してください)
・患者が呼吸している
・患者が吸入している
・患者が呼気している
・前述の事象に基づいて計算される呼吸数/分
・呼吸困難患者等の患者状態(例えば、咳、窒息、笑っている、泣いている等)
・管詰まり(例えば、完全閉塞)
・管閉塞度
・ライン内の流体
・患者ダンピング流体
【0065】
本明細書に開示されるシステムおよび方法のある実施形態は、以下の利点のうちの1つまたはそれを上回るものを達成する。
・より良好な患者回復時間。
・管ライン一掃デバイス(TLC)が、排液デバイス120の一部として埋め込まれ、必要に応じて、排液管を一掃し、従属ループを検出するために、モニタ流体収集および率、空気流動および率を監視することができる。
・TLCは、従属ループおよび流体収集が存在するという高信頼度があるとき、アクティブ化されることができる。これは、不必要なTLC起動による療法の中断が少なく、バッテリ寿命を延長させるであろう。詰まりがなく、TLCをアクティブ化するとき、患者へのリスクが少ない。
・患者安全性は、より優れた監視を通して改良され、例えば、システムは、患者がシステムに適切に接続されているかどうか、および/または患者が呼吸しているかどうかを検出することができる。臨床上の支援は、このような極端な場合には、招集されることができる。
・システムは、排液管が閉塞されているか、または経路を遮断する流体を有するかどうかを判定し、流体妨害物に応じて、TLCを起動し、臨床スタッフにねじれた管および同等物をアラートすることができる。
・システムは、患者記録に記録するために、または研究において使用するために、または中央ナースステーションに送信するために、データ内のより多くの値を提供する。
・中央ナースステーションの中にネットワーク化されたシステムは、看護スタッフに、以下に関する情報を提供することができる。
・呼吸数(患者管の切断、睡眠または非睡眠関連無呼吸)
・患者の苦痛
・流体の体積
・空気流率
・管開存
・患者からの能動的ダンピング流体
【0066】
ある実施形態では、本発明の方法、デバイス、およびソフトウェアは、データの訓練セット、次いで、ECMから記録された試験セットを捕捉後、実装される。データの訓練セットは、例えば、10ml体積インクリメントにおける多くのサンプルを含有する。計算における高分散(補間されたサンプルが、予期される誤差より高くあり得る)は、付加的訓練サンプルならびにコスト関数および/またはパラメータセットへの修正を用いて対処される。
【0067】
種々の例示的実施形態では、サンプルデータセットは、異なる時間/体積における、「不良」データを含有してもよい。「不良」データは、システムモデルが違反され、もはや十分な予測確実性を伴って作用しない測定と見なされるであろう。「不良」データ実施例の1つは、流体が排液ラインまたはライン内に取り付けられたクランプ内にトラップされるときに取得されたデータである。付加的「不良」実施例は、咳および無呼吸等、呼吸の急変を含み得る。別の実施例は、異なる体積における空気漏出を含み得る。
【0068】
当業者は、データを分析し、「theta」を見出し、次いで、要求に応じて、体積および他のパラメータを解くために使用される、Matlab等の種々のツールおよびOctaveと呼ばれるフリーツールの可用性を認識するであろう。
【0069】
(ロジスティック回帰)
ある実施形態では、ロジスティック回帰が、入力の分類を生成するシステムを開発するために適用される(例えば、詰まりステータスに関するはい/いいえ、データ有効/データ無効、患者呼吸等)。ロジスティック回帰は、前述の線形回帰と非常に類似し、方程式仮説は、その出力が0〜1である、シグモイド関数によってラップされる。
【数13】
【0070】
ロジスティック仮説によって表されるように、方程式は、以下の形態をとり得る。
【数14】
【0071】
コスト関数は、極小値の回避を支援するために、凸解を保つように変更される。コスト関数の新しい形態では、yは、クラスに属する場合、1であって、そうでなければ、0である。
【数15】
【0072】
偏導関数は、分類子y(0または1)の項においてのみ類似する。
【数16】
【0073】
分類は、例えば、One vs All構造において行われる。すなわち、分類毎に、神経ネットワークが、訓練されるクラスのみ「クラス内」または1であるように訓練されるであろう。全ての他のサンプルは、「クラス外」または別様に0に設定されるであろう。これは、所望される分類毎に異なる「theta」セットが存在するであろうことを意味する。
【0074】
(サポートベクトルマシンアプローチ)
サポートベクトルマシンは、分類に非常に好適であって、かつ特殊である。全前述のロジスティック回帰を訓練されるサポートベクトルマシン(SVM)に分割することによって、クラスが入力データ内に存在する確率を生成する、計算上効率的システムを得る。
【0075】
SVMは、SVMが、正値例をその超平面(n−次元空間)内に「記憶」するという点において、ロジスティック回帰と異なる。次いで、サンプルが学習された例のうちの1つにどれだけ近いかを報告する。カーネル選択は、有用であって、超平面内の既知の正値に関連して、サンプルの確率を定義する。「libSVM」と呼ばれるオープンソースかつ最適化されたC++ライブラリが、種々の例示的実施形態に従って、クラス予測のために、プロトタイプ化するために使用される、および/または排液デバイス120の中に統合されてもよい。
【0076】
教示されていない条件に対する一般化のための機械学習システムのために、特徴自体が、一般的である必要がある。例えば、圧力センサ126、128の両方の絶対的圧力の大きさの使用は、良好に一般化され得ない。患者110に対しておよび患者によって印加される圧力は、(i)処方負圧および患者の呼吸系によって印加される力と、(ii)患者の胸膜腔内の死体積の空気量とに関連するであろう。
【0077】
圧力センサ126、128から受信されたデータは、流体キャニスタ108の流体体積に依存し、より一般的特徴が、形成されることができる。以下は、ある実施形態において使用され得る、特徴の部分的リストである。
・ピーク遅延(例えば、マイクロ秒またはミリ秒単位の時間)−最遅圧力センサ波形(流体キャニスタ108の最も可能性の高い圧力)を使用して、そのピーク圧力から通気圧力ピークのピーク圧力に戻る時間を報告する。
・通気に関する周期最大−最小(圧力)
・通気圧力ピーク間の距離(ミリ秒等の時間の単位)
・流体キャニスタ108に関する周期最大−最小(圧力)
・流体キャニスタ108の圧力ピーク間の距離(ミリ秒等の時間の単位)
・通気圧力ピーク時の流体キャニスタ108と通気との間の圧力デルタ
・CDU圧力ピーク時の流体キャニスタ108と通気との間の圧力デルタ
・通気圧力の傾き(ピークにつながる)
・流体キャニスタ108圧力の傾き(ピークにつながる)
・圧力曲線下面積
・弁タイミング(開放/閉鎖時間)
【0078】
本発明の一実施形態は、遺伝子プログラミング(GP)を通した機械学習を特徴とする。仮定された解を最適化する、遺伝子アルゴリズムおよび機械学習アプローチと異なり、GPは、問題を解くための「プログラム」を生成する。学習プロセスの結果は、適用される問題を解く、「公式/ソースコード」である。
【0079】
以下を含む、遺伝子プログラミングに対するいくつかの異なるアプローチがある。
−命令の関数木に基づく、GP−標準的遺伝子プログラミング
−LGP−線形遺伝子プログラミング、線形に処理される固定命令長(高速)
−CGP−デカルト遺伝子プログラミング、ランダムに配線されたランダム命令点の固定グリッド
ソフトウェア104内に容易に埋め込まれるCコードを生成することができる、市販のLGPアプリケーションの実施例は、Discipulus 5 Genetic Programmig Predictive Modeling(RML Technologies, Inc.(Littleton, Colorado)http://www.rmltech.com/)である。
【0080】
ある実施形態では、通気圧力センサ126は、省略されてもよい。これは、例えば、外部から印加される刺激の特性が既知である場合、生じてもよい。体積および他の特徴は、依然として、既知の患者ソースに基づいて、流体キャニスタ108内のCDU圧力センサ128を使用して判定されてもよい。例えば、患者に心肺機械または人工呼吸器が取り付けられている場合、そのような外部刺激は、既知である。
【0081】
変更が、本明細書の範囲から逸脱することなく、前述の方法およびシステムに行われ得る。したがって、前述の説明に含有される、または付随の図面に図示される事項は、例証として解釈されるべきであって、限定的意味ではないことに留意されたい。以下の請求項は、本明細書に説明される全ての一般的および具体的特徴、ならびに文言上、本明細書の範囲内にあると言え得る、本方法およびシステムの範囲の全ての記載を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6