特許第6427596号(P6427596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427596靴形成用ゴム組成物、靴形成用部材、及び、靴
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  • 特許6427596-靴形成用ゴム組成物、靴形成用部材、及び、靴 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427596
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】靴形成用ゴム組成物、靴形成用部材、及び、靴
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20181119BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20181119BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20181119BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08L91/00
   C08L101/00
   C08K3/36
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-564557(P2016-564557)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2014083754
(87)【国際公開番号】WO2016098257
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】北山 裕教
(72)【発明者】
【氏名】原野 健一
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/066652(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/045855(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/114203(WO,A1)
【文献】 特開2012−184361(JP,A)
【文献】 特開2011−80023(JP,A)
【文献】 特開2011−26368(JP,A)
【文献】 特開2007−284542(JP,A)
【文献】 特開2011−12110(JP,A)
【文献】 特開2010−280748(JP,A)
【文献】 特開平5−339430(JP,A)
【文献】 特許第5568699(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタジエンゴムとシリカとを含む靴形成用ゴム組成物であって、
オイルをさらに含有し、該オイルの質量平均分子量が1060以上1800未満であり、
前記ブタジエンゴムは、含有する全てのゴムの量を100質量部とした際に85質量部を超える割合で含まれており、且つ、
前記ブタジエンゴムは、分子構造の80%以上がシス−1,4単位となっているハイシスタイプのブタジエンゴムである靴形成用ゴム組成物。
【請求項2】
カルボニル基、アミノ基、水酸基、ニトロ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、及び、エポキシ基からなる群より選ばれる1以上の極性基を有する極性ポリマーをさらに含有する請求項1記載の靴形成用ゴム組成物。
【請求項3】
含有する全てのゴム100質量部に対する前記シリカの割合が35質量部を超え50質量部未満である請求項1又は2に記載の靴形成用ゴム組成物。
【請求項4】
含有する全てのゴム100質量部に対する前記オイルの割合が5質量部以上15質量部未満である請求項1乃至の何れか1項に記載の靴形成用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1乃至の何れか1項記載の靴形成用ゴム組成物によって形成されてなる靴形成用部材。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか1項記載の靴形成用ゴム組成物によって形成された靴底を備えている靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴形成用ゴム組成物、靴形成用部材、及び、靴に関し、より詳しくはブタジエンゴムとシリカとを含む靴形成用ゴム組成物、該ゴム組成物によって形成されてなる靴形成用部材、前記ゴム組成物で靴底が形成されている靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツシューズなどにおいては、ゴム組成物からなる部材が靴形成用の部材として多用されている。
この種の靴形成用部材のなかでもアウターソールなどに対しては、耐摩耗性に優れていることが強く要求されている。
【0003】
ところで、車両のタイヤにおいては、グリップ性や耐摩耗性などの観点からブタジエンゴムを主成分としたゴム組成物の利用が広く検討されている(下記特許文献1参照)。
そして、近年においては、ブタジエンゴムとともにシリカを含有させたゴム組成物が靴形成用部材の原材料に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2013−023568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブタジエンゴムは、他の一般的なゴムに比べて耐摩耗性に優れている。
その一方で、ブタジエンゴムは、素練加工などにおいて他の一般的なゴムに比べると高い粘度を示し、ゴム製品の製造に利用する際に良好な加工性を発揮させ難い。
しかも、ブタジエンゴムとともにシリカを含有させたゴム組成物は、混練に際してより一層高い粘度を示すことから、従来、機械強度や耐摩耗性に優れるとともに製造容易な靴形成用部材を得ることが困難になっている。
【0006】
このことに対し、シリカの含有量を減じてゴム組成物の加工性向上を図ることも考え得るが、単にシリカを減らしてしまうと当該ゴム組成物を用いて得られる靴形成用部材の耐摩耗性が不十分なものになるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑み、ブタジエンゴムとシリカとを含有するゴム組成物として従来のものに比べてムーニー粘度などの値が低く加工性に優れるものを提供し、ひいては、機械強度や耐摩耗性に優れるとともに製造容易な靴形成用部材や靴を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための靴形成用ゴム組成物に係る本発明は、ブタジエンゴムとシリカとを含む靴形成用ゴム組成物であって、オイルをさらに含有し、該オイルの質量平均分子量が1060以上1800未満であり、前記ブタジエンゴムは、含有する全てのゴムの量を100質量部とした際に85質量部を超える割合で含まれており、且つ、前記ブタジエンゴムは、分子構造の80%以上がシス−1,4単位となっているハイシスタイプのブタジエンゴムである靴形成用ゴム組成物。
【0008】
上記課題を解決するための靴形成用部材に係る本発明は、上記のような靴形成用ゴム組成物が用いられてなるもので、上記課題を解決するための靴に係る本発明は、前記のような靴形成用ゴム組成物で靴底が形成されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の靴形成用ゴム組成物は、所定の質量平均分子量を有するオイルが含まれているため、混練などに際して良好な加工性を示すとともに当該ゴム組成物を用いて得られる靴形成用部材に優れた機械強度や耐摩耗性を発揮させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態の靴形成用部材が用いられてなる靴を示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
靴形成用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ともいう)に係る本発明の実施の形態について以下に説明する。
まずは、靴について説明する。
図1は、本実施形態のゴム組成物によって形成された靴形成用部材を備えた靴を示したものである。
該靴1は、アッパー材2と靴底用部材3,4とを有している。
該靴1は、前記靴底用部材として、ミッドソール3、及び、アウターソール4を有している。
本実施形態の靴形成用部材は、具体的には、前記アウターソール全体、又は、その一部を構成するものであることが好ましい。
言い換えれば、本実施形態の靴は、側面部や靴底などの地面などとの間に摩擦を生じ易い部位において表面露出させた状態で前記ゴム組成物からなる部材を備えていることが好ましい。
【0012】
前記靴形成用部材は、その一部、又は、全部が加硫ゴムによって形成されており、該加硫ゴムは、ベースゴム、無機フィラー、オイル、及び、その他の各種配合剤を含む前記ゴム組成物によって形成されている。
【0013】
前記ゴム組成物は、ベースゴム、無機フィラー、オイルなどの各成分を1種類のみの物質によって構成させる必要はなく、各成分を複数種類の物質によって構成させても良い。
前記ゴム組成物は、前記ベースゴムに占めるブタジエンゴムの割合を過度に低下させると靴形成用部材に優れた耐摩耗性を発揮させることが困難になるおそれがあり、前記ベースゴムの主成分がブタジエンゴムであることが好ましい。
具体的には、前記ゴム組成物は、通常、含有する全てのゴムの量を100質量部とした際に前記ブタジエンゴムが50質量部以上の割合で含まれている。
該ゴム組成物は、含有する全てのゴムの量を100質量部とした際に前記ブタジエンゴムが85質量部を超える割合で含まれていることが好ましい。
【0014】
本実施形態における前記ブタジエンゴムは、例えば、分子構造の主成分がトランス−1,4単位となっており、残部が1,2単位(ビニル単位)、及び、シス−1,4単位となっているローシスタイプのもであっても分子構造の80%以上がシス−1,4単位となっている、いわゆるハイシスタイプのものであっても良い。
また、本実施形態における前記ブタジエンゴムは、1種類のみを前記ゴム組成物に含有させる必要はなく、2種類以上を併用しても良い。
前記ブタジエンゴムは、ハイシスタイプのものが好ましく、シス−1,4単位が95%以上のものが好ましい。
【0015】
前記ゴム組成物は、カルボニル基、アミノ基、水酸基、ニトロ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、及び、エポキシ基からなる群より選ばれる1以上の極性基を有する極性ポリマーをさらに含有させることが好ましい。
なお、極性ポリマーがカルボニル基を有するものである場合、このカルボニル基としては、例えば、ケトン基やカルボキシル基などが挙げられる。
また、極性ポリマーがアミノ基を有するものである場合、該アミノ基は、アンモニアから水素原子を除いた1価の官能基(−NH)、第一級アミンから水素原子を除いた1価の官能基(−NHR)、第二級アミンから水素原子を除いた1価の官能基(−NRR’)の何れでもよい。
該極性ポリマーは、前記シリカに対する結合力を前記のような極性基によって発揮させることができる。
このため本実施形態のゴム組成物は、混練に際して極性ポリマーの流動に伴ってシリカを流動させることができる。
従って、本実施形態のゴム組成物は、極性ポリマーを含まないゴム組成物に比べて混練時における粘度を低下させ得る。
該極性ポリマーとしては、例えば、エポキシ化天然ゴムやクロロプレンゴムなどが挙げられる。
【0016】
本実施形態における前記シリカは、乾式法によって製造されたものよりも湿式法によって製造されたものの方が好ましく、湿式法の中でもゲル法によって製造されたものよりも沈降法によって製造されたものが好ましい。
より具体的には、本実施形態のゴム組成物に含有させるシリカは、10nm〜50nmの大きさの1次粒子が集合して1μm〜40μmの平均粒子径を有する2次粒子となった、20m/g〜400m/gのBET比表面積を有するシリカが好ましい。
【0017】
該シリカは、ゴム組成物に対して過度に多く配合するとゴム組成物の良好なる加工性が損なわれるおそれがある一方で配合量が過少では、ゴム組成物によって形成される靴形成用部材に対して十分良好な耐摩耗性を発揮させることが難しくなる。
従って、ゴム組成物を加工性に優れたものとし、且つ、当該ゴム組成物によって形成される靴形成用部材を耐摩耗性に優れたものにする効果をより顕著に発揮させる上において、前記ゴム組成物は、含有する全てのゴム100質量部に対する前記シリカの割合が35質量部を超え50質量部未満であることが好ましい。
なお、前記シリカは、混練におけるブタジエンゴムに対する分散性の向上や靴形成用部材の耐摩耗性をより一層向上させることを目的としてシランカップリング剤や脂肪酸金属塩などによって予め表面処理を施していてもよい。
【0018】
前記シリカにカップリング処理を施すためのシランカップリング剤としては、硫黄を含むシランカップリング剤が好ましく、ポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
該スルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィド系シランカップリング剤が特に好ましい。
該シランカップリング剤は、前記シリカとの合計量を100質量部とした際に、その割合が0.5質量部以上10質量部以下となるようにゴム組成物に配合されることが好ましい。
【0019】
前記オイルは、質量平均分子量が400を超え1800未満となって前記ゴム組成物に含まれていることが重要である。
前記オイルは、ナフテン系オイルやアロマ系オイルよりもパラフィン系オイルを採用することが好ましい。
なお、前記ゴム組成物は、前記オイルを1種単独で含有している必要はなく2種類以上のものを含有していても良い。
【0020】
該オイルは、ゴム組成物の加工性を向上させるのに有効であるばかりでなく、靴形成用部材に優れた耐摩耗性を発揮させるのに有効なものである。
なお、前記オイルは、ゴム組成物における含有量が過少ではその効果が十分に発揮されないおそれがあるとともにゴム組成物における含有量が過剰であるとゴム組成物に優れた機械的特性を発揮させることが難しくなる。
このことから、ゴム組成物は、含有する全てのゴム100質量部に対する前記オイルの割合が5質量部以上15質量部未満であることが好ましい。
【0021】
なお、本発明におけるオイルの質量平均分子量は、GPCを用いて以下のようにして求めることができる。
カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
測定条件としては、試料濃度0.02質量%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量100μL、測定温度40℃とし、IR検出器を用いて行う。
そして、オイルの質量平均分子量については、標準ポリスチレンによって得た検量線に基づいてポリスチレン換算値の形で求められる。
【0022】
本実施形態のゴム組成物に含有させる上記以外の配合剤としては、前記ブタジエンゴムを架橋するための加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫活性剤、老化防止剤などが挙げられる。
上記以外の配合剤は、通常、各々ゴム100質量部に対して0.1〜5質量部程度の割合でゴム組成物に含有される。
また、上記以外の配合剤は、通常、その合計量がゴム100質量部に対して5〜25質量部程度の割合となるようにゴム組成物に含有される。
前記加硫剤としては、例えば、硫黄が挙げられる。
前記加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドのようなチアゾール系加硫促進剤、テトラメチルチウラムモノスルフィドのようなチウラム系加硫促進剤などが挙げられる。
前記加硫活性剤としては、例えば、活性亜鉛華などが挙げられる。
前記老化防止剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体などのアミノケトン系老化防止剤や特殊ワックス系老化防止剤が挙げられる。
また、混練時におけるシリカの分散性を向上させるのに有効なステアリン酸やポリエチレングリコールなども上記以外の配合剤として挙げられる。
なお、前記ゴム組成物には、さらにテルペン樹脂などの粘着性付与剤、顔料などの着色剤、抗菌剤、香料などを含有させ得る。
【0023】
このようなゴム組成物を用いて靴形成用部材を製造するための製造方法としては、従来のゴム製品の製造方法と同様の方法を採用することができる。
この靴形成用部材の製造方法の一例を挙げると、
(a)ブタジエンゴム、シリカ、及び、オイルといった原材料をバンバリーミキサー、加圧ニーダー、オープンロールなどの混練装置を用いて混練し、シリカやオイルをゴム中に均一分散させた混和物を調製する第1の工程、
(b)前記第1の工程で得られた混和物、及び、加硫剤をカレンダーロールなどに供給し、該カレンダーロールで前記混和物のさらなる均一分散化を図るとともに均質化された混和物をシート化し、該シート化によって本実施形態のゴム組成物によって形成された未加硫状態の予備成形シートを作製する第2の工程、
(c)前記第2の工程で得られた予備成形シートを成形型に仕込み、熱プレス機により成形型を熱プレスすることで、予備成形シートを目的とする部材形状にするとともに該予備成形シートを加硫して加硫ゴムからなる靴形成用部材を作製する第3の工程、
を実施する方法などが挙げられる。
【0024】
本実施形態のゴム組成物は、混練において適度なムーニー粘度を示し、加工性に優れていることから靴形成用部材を製造容易なものとすることができる。
さらに、本実施形態のゴム組成物は、特定の分子量を有するオイルを含有することによって靴形成用部材を機械強度と耐摩耗性に優れたものとすることができる。
また、本実施形態においては、前記オイルがゴム組成物に配合されることによって当該ゴム組成物におけるシリカの減量が可能となる。
即ち、シリカの減量は靴形成用部材の機械強度や耐摩耗性を低下させる要因となるが、本実施形態においては、オイルの添加によってこれらの特性低下が抑制される。
このようにして本実施形態においては、ゴム組成物の混練時の粘度と正の相関を有するシリカの量を低減できることから、靴形成用部材の形成に用いるゴム組成物をより加工性に優れた状態とすることができる。
【0025】
このようなゴム組成物によって形成される靴形成用部材は、機械強度と耐摩耗性に優れることから、例えば、靴底などの形成に利用されることが好ましい。
前記ゴム組成物によって形成された靴底を備えた靴は、高いグリップ力を発揮するとともに靴底が摩滅し難いことから耐用期間を長期化させ得る。
【0026】
なお、ここではこれ以上の詳細な説明を繰り返して行うことをしないが、上記に直接的に記載がされていない事項であっても、ゴム組成物や靴形成用部材などについて従来公知の技術事項については、本発明においても適宜採用可能である。
【実施例】
【0027】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(評価A:オイル分子量)
下記表1に示す4種類のオイルを用意し、これをブタジエンゴム(日本ゼオン社製、商品名「BE1220」、ハイシスタイプ:シス成分97%以上、以下「BR」ともいう)と、エポキシ化天然ゴム(MRB社製、商品名「ENR50」、エポキシ化率50%、以下「ENR」ともいう)とを90:10の質量比率(BR:ENR)でブレンドしたゴムとともにゴム組成物を形成させた。
【0029】
【表1】
【0030】
下記表2に示す配合内容でゴム組成物を作製し、JIS K6300−1:2013「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に基づき、100℃でのムーニー粘度を測定した。
【0031】
また、ゴム組成物で加硫ゴムシートを作製し、JIS K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に基づき、改良ランボーン摩耗試験を実施して摩耗抵抗指数を求めた。
なお、改良ランボーン摩耗試験の試験条件は、以下の通りとした。

(試験条件)
1)試験温度:23±2℃
2)試験片表面速度:200m/min
3)砥石表面速度:140m/min
4)スリップ率:30%
5)試験片の付加力:2kgf
6)打粉剤落下量:15g/min
7)試験時間:2min
8)基準配合の種類:BAM−E001に対して約170%の摩耗抵抗指数を有するゴムを標準試料として用いた。
【0032】
また、ゴム組成物で加硫ゴムシートを作製し、JIS K6301:1975に基づき、引張強度を求めた。
なお、試験は、ダンベル試験片2号を用い、引張速度500mm/minで実施した。
これらの評価結果を下記表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
上記に示すように、特定の質量平均分子量のオイルを配合した実施例1、2のゴム組成物は、比較例1、2と同程度以下のムーニー粘度を示すものであるが、加硫ゴムに対して優れた機械強度や耐摩耗性を発揮させ得るものであることがわかる。
なお、表2に記載の配合剤の詳細は、下記表3に示す通りである。
【0035】
【表3】
【0036】
(評価B:シリカの量)
実施例1をベースにしてシリカの配合量を変更し、ゴム組成物のムーニー粘度、加硫ゴムの引張強度及び耐摩耗性(摩耗抵抗指数)についての評価を先の「評価A」と同様に実施した。
このシリカの量を変更した配合、及び、それについての試験結果を下記表4に示す。
なお、表4の配合剤の詳細は、先の表3に示した通りである。
【0037】
【表4】
【0038】
上記の結果からは、シリカの配合量が35質量部を超えた時点で加硫ゴムの耐摩耗性が顕著に向上し、シリカの配合量が50質量部以上となった時点でムーニー粘度の値が大きくなることがわかった。
即ち、上記の結果からは、ゴム組成物の優れた加工性と靴形成用部材の優れた耐摩耗性とを確実なものとする上において、ゴム100質量部に対するシリカの配合量は、35質量部を超え50質量部未満が好ましいことがわかる。
【0039】
(評価C:ブタジエンゴムの割合)
実施例1をベースにしてブタジエンゴムとエポキシ化天然ゴムとの配合割合を変更し、ゴム組成物のムーニー粘度、加硫ゴムの引張強度及び耐摩耗性(摩耗抵抗指数)についての評価を先の「評価A」と同様に実施した。
このシリカの量を変更した配合、及び、それについての試験結果を下記表5に示す。
なお、表5の配合剤の詳細も、先の表3に示した通りである。
【0040】
【表5】
【0041】
上記の結果からは、極性ポリマーたるENRが僅かでも加わることでゴム組成物がムーニー粘度を大きく低下させることがわかる。
また、上記の結果からは、ENRの配合量が15質量部以上となった時点で加硫ゴムの耐摩耗性が低下し始めることがわかる。
即ち、上記の結果から、ゴム組成物に極性ポリマーを含有させることが当該ゴム組成物に優れた加工性を付与し靴形成用部材に優れた耐摩耗性を付与する上において好ましいことがわかる。
また、上記の結果から、全てのゴムの量を100質量部とした際に85質量部を超える割合でブタジエンゴムを含有させることがゴム組成物に優れた加工性を付与し靴形成用部材に優れた耐摩耗性を付与する上において好ましいことがわかる。
【0042】
(評価D:オイルの量)
実施例1をベースにしてオイルの配合割合を変更し、ゴム組成物のムーニー粘度、加硫ゴムの引張強度及び耐摩耗性(摩耗抵抗指数)についての評価をこれまでと同様に実施した。
このシリカの量を変更した配合、及び、それについての試験結果を下記表6に示す。
なお、表6の配合剤の詳細も、先の表3に示した通りである。
【0043】
【表6】
【0044】
上記の結果からは、オイルは、配合量が5質量部でも十分な添加効果が発揮されることがわかる。
また、上記の結果からは、オイルの配合量が15質量部を超えた時点で加硫ゴムの耐摩耗性が低下し始めることがわかる。
即ち、上記の結果からは、ゴム組成物の優れた加工性と靴形成用部材の優れた耐摩耗性とを確実なものとする上において、ゴム100質量部に対する前記オイルの割合は5質量部以上15質量部未満であることが好ましいとわかる。
【0045】
(評価E:極性ポリマーの種類)
先の実施例9のENRに代えて、クロロプレンゴム(酸化マグネシウム0.4質量部含有品、以下「CR」ともいう)を用いてゴム組成物を作製し、実施例9と同様に評価を行った。
結果を、下記表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
上記の結果からは、極性ポリマーの添加効果は、ENR以外においても発揮されるものであることがわかる。
【0048】
以上のように、本発明によれば、製造容易で機械強度や耐摩耗性に優れた靴形成用部材が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0049】
1:靴、2:アッパー材、3:ミッドソール、4:アウターソール
図1