特許第6427648号(P6427648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6427648
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】気液接触体
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/32 20060101AFI20181112BHJP
   B01D 47/06 20060101ALI20181112BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20181112BHJP
   B01J 10/00 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   B01J19/32
   B01D47/06 A
   B01D53/18 130
   B01J10/00 102
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-187628(P2017-187628)
(22)【出願日】2017年9月28日
【審査請求日】2017年10月3日
【審判番号】不服2018-9444(P2018-9444/J1)
【審判請求日】2018年7月9日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉持 信吾
【合議体】
【審判長】 大橋 賢一
【審判官】 金 公彦
【審判官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−163705(JP,A)
【文献】 特開2006−231094(JP,A)
【文献】 特開2006−118724(JP,A)
【文献】 特開2005−79138(JP,A)
【文献】 特開2003−326102(JP,A)
【文献】 特開2003−202191(JP,A)
【文献】 特開2003−202174(JP,A)
【文献】 特開2006−192097(JP,A)
【文献】 特開2008−93535(JP,A)
【文献】 意匠登録第1229584号公報
【文献】 ニチアス技術時報,2017年 7月 1日,No.3,(通巻No.378),p.16−19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01B 1/00- 1/08
B01D 1/00- 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が供給される上面部と、
気体が供給される前面部と、を備える、気液接触体であって、
吸収性を有し、積層される複数のシート体を備え、
前記シート体は、波形状となるように、直線状に延びて並列される複数の凸部を備え、
前記上面部は、前記凸部の頂部同士が接触する接触部を、少なくとも一つ備え、
前記上面部における、単位面積当たりの前記接触部の数量は、前記前面部における、単位面積当たりの前記接触部の数量よりも、多く、
前記上面部における、前記凸部の前記頂部の幅は、前記前面部における、前記凸部の前記頂部の幅よりも、大きい、気液接触体。
【請求項2】
前記上面部における、少なくとも一つの前記接触部において、少なくとも一方の前記凸部の頂部は、変形している、請求項に記載の気液接触体。
【請求項3】
前記凸部の頂部の変形量は、前記凸部の高さの1%以上である、請求項に記載の気液接触体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が供給される上面部と、気体が供給される前面部とを備える気液接触体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気液接触体として、液体が供給される上面部と、気体が供給される前面部とを備える気液接触体が、知られている(例えば、特許文献1)。そして、上方から供給される液体が、上面部から気液接触体の内部に導入され、側方から供給される気体が、前面部から気液接触体の内部に導入される。これにより、気体は、液体と接触することで、処理される。
【0003】
ところで、気液接触体は、積層される複数のシート体を備えており、シート体は、吸収性を有している。これにより、上方から供給される液体は、気液接触体の上面部からシート体に吸収され、下方に向けて流れる。しかしながら、液体は、上面部において、シート体同士の間を通過し、上面部よりも下方側でシート体に吸収されることがある。これにより、気体の処理効率が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−326102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、課題は、斯かる事情に鑑み、液体が上面部からシート体に吸収され易い気液接触体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
気液接触体は、液体が供給される上面部と、気体が供給される前面部と、を備える、気液接触体であって、吸収性を有し、積層される複数のシート体を備え、前記シート体は、波形状となるように、直線状に延びて並列される複数の凸部を備え、前記上面部は、前記凸部の頂部同士が接触する接触部を、少なくとも一つ備える。
【0007】
また、気液接触体においては、前記前面部における、少なくとも一つの前記凸部の頂部は、他の何れの前記凸部の頂部と離れている、という構成でもよい。
【0008】
また、気液接触体においては、前記上面部における、単位面積当たりの前記接触部の数量は、前記前面部における、単位面積当たりの前記接触部の数量よりも、多い、という構成でもよい。
【0009】
また、気液接触体においては、前記上面部における、前記凸部の前記頂部の幅は、前記前面部における、前記凸部の前記頂部の幅よりも、大きい、という構成でもよい。
【0010】
また、気液接触体においては、前記上面部における、少なくとも一つの前記接触部において、少なくとも一方の前記凸部の頂部は、変形している、という構成でもよい。
【0011】
また、気液接触体においては、前記凸部の頂部の変形量は、前記凸部の高さの1%以上である、という構成でもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の如く、気液接触体によれば、液体が上面部からシート体に吸収され易い、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る気液接触体を有する気体処理装置の全体概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る気液接触体の全体斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係る気液接触体の要部分解側面図である。
図4図4は、同実施形態に係るシート体の拡大図である。
図5図5は、同実施形態に係る気液接触体の上面部の拡大図である。
図6図6は、同実施形態に係る気液接触体の前面部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、気液接触体における一実施形態について、図1図6を参酌して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る気液接触体1は、気体20を処理する気体処理装置10に備えられている。そこで、気液接触体1の各構成を説明するのに先立って、気体処理装置10について説明する。
【0016】
気体処理装置10は、筐体11と、筐体11の内部に気体20を流通させる送風装置12とを備えている。また、気体処理装置10は、筐体11の内部に、上流側から、気体20から塵埃を除去する第1除塵部13と、気体20の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する第1調整部14と、気体20に液体30を接触させる気液接触装置15と、気体20の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する第2調整部16と、気体20から塵埃を除去する第2除塵部17とを備えている。
【0017】
第1除塵部13は、例えば、プレフィルタ13a及び中性能フィルタ13bを備えており、第1調整部14は、例えば、冷却コイル14a及び加熱コイル14bを備えている。また、第2調整部16は、例えば、加熱コイル(又は冷却コイル)を備えており、第2除塵部17は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ及びULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタの少なくとも一方を備えている。なお、第2除塵部17は、例えば、高い清浄性が要求される際に、HEPAフィルタやULPAフィルタの上流側に、ケミカルフィルタを備えていてもよい。
【0018】
送風装置12は、筐体11の内部であって、第2調整部16と第2除塵部17との間に配置されている。なお、送風装置12は、気体20が筐体11の内部で各構成13〜17を通過するように、構成されていればよく、例えば、筐体11の外部に配置されていてもよい。本実施形態においては、送風装置12は、ファンとしている。
【0019】
気液接触装置15は、気体(例えば、NH、SO2−などの物質を含有する空気)20と液体(例えば、純水)30とを接触させる気液接触体1と、気液接触体1の上方から液体30を供給する液体供給部15aと、液体30を貯留する液体貯留部15bとを備えている。液体供給部15aは、気液接触体1よりも上方に配置されており、液体貯留部15bは、気液接触体1よりも下方に配置されている。
【0020】
液体供給部15aは、散水することで、水滴状の液体30を気液接触体1の上面部1aの全体に亘って滴下している。なお、例えば、気液接触装置15は、図示していない循環ポンプにより、液体貯留部15bの液体30を、液体供給部15aに向けて送液している。
【0021】
気液接触体1は、液体30が上面部1aから供給され、下面部1bから液体30を排出している。即ち、液体30は、気液接触体1の内部を上下方向D2に流れる。そして、気液接触体1は、気体20が前面部1cから供給され、後面部1dから気体20を排出している。即ち、気体20は、気液接触体1の内部を前後方向D3に流れる。
【0022】
これにより、気体20が気液接触体1で処理される。例えば、気体20に含有する物質が液体30で除去されたり、気体20が加湿されたりする。なお、図1においては、実線矢印は、気体20の流れを示しており、破線矢印は、液体30の流れを示している。
【0023】
図2及び図3に示すように、気液接触体1は、所定方向(以下、「積層方向」ともいう)D1に積層される複数のシート体2と、複数のシート体2を積層した状態で保持する保持体3とを備えている。本実施形態においては、保持体3は、枠体で構成されており、シート体2に積層方向D1の力を付与するようにして、シート体2を保持している。
【0024】
そして、気液接触体1の上面部1a、下面部1b、前面部1c、及び後面部1d(図2においては、下面部1b及び後面部1dは、図示していない)は、シート体2,2同士の間に形成される空隙5により、開放されている。また、気液接触体1の側面部1e(図2においては、一方のみが図示されている)は、最外層のシート体2により閉塞されている。なお、複数のシート体2からなる構造体(気液接触体1から保持体3を除いた構造体)は、シート積層体4という。
【0025】
また、上面部1aと下面部1bとは、上下方向D2で離れていると共に、互いに平行となるように配置され、前面部1cと後面部1dとは、前後方向D3で離れていると共に、互いに平行となるように配置されている。そして、上面部1a及び下面部1bは、前面部1c及び後面部1dとそれぞれ直交するように配置されている。
【0026】
シート体2は、吸収性を有している。そして、シート体2を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、シート体2は、表面に凹凸があり且つ内部が多孔質である構成が好ましい。斯かる構成によれば、シート体2の表面積が大きくなり、シート体2に吸収(浸透)されて流下する液体30と気体20との接触面積が大きくなる。
【0027】
斯かるシート体2を構成するものとして、例えば、アルミナ、シリカ、及びチタニアからなる群より選択される1又は2以上の充填材又は結合材と、ガラス繊維、セラミック繊維、又はアルミナ繊維等の繊維基材とからなるものが挙げられる。このうち、チタニアを配合したものは、酸性の化学汚染物質の除去効率を向上することができる。
【0028】
また、シート体2は、例えば、充填材又は結合材を60〜93重量%で、且つ、繊維基材を7〜40重量%であり、好ましくは、充填材又は結合材を70〜88重量%で、且つ、繊維基材を12〜30重量%である。斯かる構成によれば、シート体2の吸収性(浸透性)及び強度が高くなる。なお、アルミナ以外にシリカやチタニアを含有する場合には、例えば、シリカ及びチタニアの配合量は、アルミナ100重量部に対してそれぞれ5〜40重量部である。
【0029】
シート体2は、複数の凸部6を備えている。そして、凸部6は、直線状に延びており、複数の凸部6は、延びる方向と直交する方向に並列されている。なお、凸部6の突出する方向は、隣接される凸部6の突出する方向と反対方向である。これにより、シート体2は、波形状に形成されている。また、隣り合うシート体2,2は、積層方向D1視において、凸部6が延びる方向(即ち、凸部6の稜線6a)が交差するように、それぞれ配置されている。
【0030】
本実施形態においては、全てのシート体2において、凸部6の稜線6aは、前後方向D3に対して傾斜している。そして、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜方向(図3において、右上がり方向と左上がり方向)は、隣り合うシート体2,2において、反対になっている。即ち、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜方向は、一層おきのシート体2で、同じになっている。
【0031】
また、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜角度θ1は、一層おきのシート体2で、同じになっている。即ち、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜方向は、一層おきのシート体2で、平行となっている。
【0032】
また、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜角度θ1は、特に限定されないが、例えば、15°〜45°、好ましくは、25°〜35°である。斯かる構成によれば、液体30がシート体2の内部(特に、表面)を流れる速度を適正な速度とすることができるため、気液接触効率を向上させることができる。なお、本実施形態においては、当該傾斜角度θ1は、全てのシート体2において、同じ(例えば、30°)である。
【0033】
図4に示すように、シート体2の厚みは、特に限定されないが、例えば、200μm〜1000μm、好ましくは、300μm〜800μmである。また、同じ方向に突出する凸部6,6の稜線(頂点)6a,6a同士の間隔(以下、「凸部6のピッチ」ともいう)W1は、特に限定されないが、凸部6の並列方向(稜線6aと直交する方向)において、6mm〜16mm、好ましくは、7mm〜10mmである。
【0034】
隣接する凸部6,6同士の突出方向の間隔(以下、「凸部6の高さ」ともいう)W2は、特に限定されないが、2.5mm〜8.0mm、好ましくは、3.0mm〜5.0mmである。例えば、凸部6の高さW2が小さ過ぎると、気体20が気液接触体1の内部を通過する際の圧力損失が大きくなる。また、凸部6の高さW2が大き過ぎると、気液接触効率が低下する。
【0035】
なお、凸部6の頂部6bは、稜線(頂点)6aだけでなく、その近傍の領域も含む。本明細書においては、凸部6の頂部6bは、稜線(頂点)6aから、凸部6の高さW2の10%の範囲の領域のことを指す。したがって、凸部6の頂部6bの高さW3は、凸部6の高さW2の10%となる。また、凸部6の頂部6bの高さ方向と直交する方向の寸法W4は、頂部6bの幅W4という。なお、図4において、凸部6の頂部6bは、網掛け領域により示されている。
【0036】
図5に示すように、気液接触体1の上面部1aは、シート体2の上端縁で構成されている。そして、気液接触体1の上面部1aは、凸部6,6の頂部6b,6b同士が接触する接触部7を備えている。本実施形態においては、上面部1aにおける、それぞれのシート体2の凸部6のピッチW1、凸部6の高さW2、頂部6bの高さW3、及び頂部6bの幅W4は、同じとなっている。
【0037】
そして、上面部1aにおいて、全ての凸部6のうち、頂部6bが他の一つの凸部6の頂部6bと接触する割合は、特に限定されないが、例えば、20%以上、好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、50%以上、非常に好ましくは、100%である。これにより、上面部1aの空隙5のそれぞれの大きさが小さくなるため、上方から供給される液体30が、上面部1aで、シート体2に接触し、吸収され易くなる。
【0038】
また、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、特に限定されないが、例えば、2000個/m以上、好ましくは、3000個/m以上、さらに好ましくは、5000個/m以上、非常に好ましくは、10000個/m以上である。これにより、上面部1aの空隙5のそれぞれの大きさが小さくなるため、上方から供給される液体30が、上面部1aで、シート体2に接触し、吸収され易くなる。
【0039】
ところで、保持体3(図5においては、図示していない)が、シート体2に積層方向D1の力を付与するようにして、シート体2を保持しているため、接触部7においては、凸部6の頂部6bは、変形している。具体的には、凸部6の頂部6bは、潰れるように変形している。
【0040】
例えば、図5の上の接触部7のように、二つの凸部6,6の頂部6b,6bは、同じ量だけ変形する、という構成でもよく、また、図5の真ん中の接触部7のように、一方(左側)の凸部6の頂部6bの変形量は、他方(右側)の凸部6の頂部6bの変形量よりも大きい、という構成でもよい。また、例えば、図5の下の接触部7のように、一方(左側)の凸部6の頂部6bのみが変形し、他方(右側)の凸部6の頂部6bが変形していない、という構成でもよい。
【0041】
そして、凸部6の頂部6bの変形量W5は、特に限定されないが、例えば、凸部6の高さW2の1%以上、好ましくは、2%以上、さらに好ましくは、3%以上、非常に好ましくは、5%以上である。また、例えば、凸部6の頂部6bの変形量W5は、同じ方向に突出する凸部6,6の頂部6b,6b同士の間隔W1の1%以上、好ましくは、2%以上、さらに好ましくは、3%以上、非常に好ましくは、5%以上である。
【0042】
なお、図5において、二点鎖線は、一方(左側)の凸部6の変形前の形状を示している。また、上面部1aの接触部7のうち、少なくとも一方の凸部6の頂部6bが変形している割合は、特に限定されないが、例えば、20%以上、好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、50%以上、非常に好ましくは、100%である。
【0043】
これにより、凸部6の頂部6bが潰れるように変形するため、上面部1aの空隙5のそれぞれの大きさが小さくなる。したがって、上方から供給される液体30が、上面部1aで、シート体2に接触し、吸収され易くなる。なお、凸部6の頂部6bの変形は、弾性変形でもよく、塑性変形でもよい。また、接触部7は、凸部6の頂部6bが変形していない、という構成でもよい。
【0044】
図6に示すように、気液接触体1の前面部1cは、シート体2の前端縁で構成されている。本実施形態においては、前面部1cにおける、それぞれのシート体2の凸部6のピッチW1、凸部6の高さW2、頂部6bの高さW3、及び頂部6bの幅W4は、同じとなっている。
【0045】
ところで、側方から供給される気体20は、気液接触体1の前面部1cから、主に、シート体2,2同士の間を通過し、気液接触体1の内部を流れる。そして、気体20が気液接触体1を通過する際に生じる圧力損失は、前面部1cによる影響を大きく受ける。そこで、前面部1cにおいては、凸部6の頂部6bは、他の何れの凸部6の頂部6bと離れている。
【0046】
そして、前面部1cにおいて、全ての凸部6のうち、他の何れの凸部6の頂部6bと離れている割合は、特に限定されないが、例えば、20%以上、好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、50%以上、非常に好ましくは、100%である。これにより、前面部1cの空隙5のそれぞれの大きさが大きくなるため、側方から供給される気体20は、前面部1cにおいて、シート体2,2同士の間を通過し易くなる。
【0047】
なお、前面部1cは、図6において図示していないが、凸部6,6の頂部6b,6b同士が接触する接触部7を備えていてもよい。そして、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、特に限定されないが、例えば、20000個/m以下、好ましくは、15000個/m以下、さらに好ましくは、13000個/m以下、非常に好ましくは、9000個/m以下、さらに非常に好ましくは、0個/mである。これにより、前面部1cの空隙5のそれぞれの大きさが大きくなるため、側方から供給される気体20は、前面部1cにおいて、シート体2,2同士の間を通過し易くなる。
【0048】
図5及び図6に示すように、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの幅W4は、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの幅W4よりも、大きくなっている。これにより、上面部1aにおいては、凸部6,6,の頂部6b,6b同士が接触し易くなる。そして、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量よりも、多くなっている。
【0049】
なお、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、下面部1bにおける、単位面積当たりの接触部7の数量と同じでもよく、異なっていてもよい。また、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、後面部1dにおける、単位面積当たりの接触部7の数量と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0050】
また、上面部1aにおける、それぞれのシート体2の凸部6の高さW2は、前面部1cにおける、それぞれのシート体2の凸部6の高さW2と、同じになっている。これにより、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの高さW3は、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの高さW3と、同じになっている。なお、上面部1aの凸部6の高さW2(頂部6bの高さW3)は、前面部1cの凸部6の高さW2(頂部6bの高さW3)と、異なっていてもよい。
【0051】
ところで、気液接触体1の上下方向D2の寸法は、特に限定されないが、例えば、200mm〜800mm、好ましくは、400mm〜600mmである。例えば、気液接触体1の上下方向D2の寸法が小さ過ぎると、下面部1bから排出された液体30の温度が低く、液体30が冷却水として有効利用できない。また、気液接触体1の上下方向D2の寸法が大き過ぎると、下面部1bから排出された液体30の温度と気液接触体1の内部を通過する気体20との温度との差が小さくなり、気液接触体1での熱交換効率が低下する。
【0052】
また、気液接触体1の前後方向D3の寸法は、特に限定されないが、例えば、100mm〜1000mm、好ましくは、200mm〜800mmである。例えば、気液接触体1の前後方向D3の寸法が小さ過ぎると、気液接触効率が低下する。また、気液接触体1の前後方向D3の寸法が大き過ぎると、気体20が気液接触体1の内部を通過する際の圧力損失が大きくなる。
【0053】
また、シート体2で構成されるシート積層体4のかさ密度は、特に限定されないが、50kg/m〜120kg/m、好ましくは、70kg/m〜100kg/mである。斯かる構成によれば、気液接触効率を向上させることができる。なお、シート積層体4のかさ密度は、シート積層体4の重量から、シート積層体4の体積を除した値である。
【0054】
また、気液接触体1の空隙率は、特に限定されないが、50%〜80%、好ましくは、60%〜75%である。斯かる構成によれば、気液接触効率を向上させることができると共に、気液接触体1の強度を充分に確保することができる。そして、上面部1aの空隙率は、前面部1cの空隙率よりも、小さい、という構成でもよい。なお、上面部1aの空隙率は、前面部1cの空隙率以上である、という構成でもよい。
【0055】
以上より、本実施形態に係る気液接触体1は、液体30が供給される上面部1aと、気体20が供給される前面部1cと、を備える、気液接触体1であって、吸収性を有し、積層される複数のシート体2を備え、前記シート体2は、波形状となるように、直線状に延びて並列される複数の凸部6を備え、前記上面部1aは、前記凸部6,6の頂部6b,6b同士が接触する接触部7を、少なくとも一つ備える。
【0056】
斯かる構成によれば、複数の凸部6,6が、直線状に延びて並列されているため、シート体2は、波形状となっている。そして、上面部1aが、凸部6,6の頂部6b,6b同士が接触する接触部7を少なくとも一つ備えているため、上面部1aにおいて、隣り合うシート体2,2で形成される空隙5のそれぞれの大きさが小さくなる。これにより、上方から供給される液体30は、上面部1aで、シート体2に接触し易くなるため、上面部1aからシート体2に吸収され易くなる。
【0057】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記前面部1cにおける、少なくとも一つの前記凸部6の頂部6bは、他の何れの前記凸部6の頂部6bと離れている、という構成である。
【0058】
斯かる構成によれば、前面部1cにおいて、少なくとも一つの凸部6の頂部6bが、他の何れの凸部6の頂部6bと離れているため、隣り合うシート体2,2で形成される空隙5のそれぞれの大きさが大きくなる。これにより、側方から供給される気体20は、前面部1cにおいて、シート体2,2同士の間を通過し易くなるため、気体20が気液接触体1を通過する際に生じる圧力損失を小さくすることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記上面部1aにおける、単位面積当たりの前記接触部7の数量は、前記前面部1cにおける、単位面積当たりの前記接触部7の数量よりも、多い、という構成である。
【0060】
斯かる構成によれば、単位面積当たりの接触部7の数量について、上面部1aが前面部1cよりも多いため、隣り合うシート体2,2で形成される空隙5のそれぞれの大きさについては、上面部1aが前面部1cよりも小さくなる。これにより、上方から供給される液体30は、上面部1aで、シート体2に接触して吸収され易くなる一方、側方から供給される気体20は、前面部1cにおいて、シート体2,2同士の間を通過し易くなる。
【0061】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記上面部1aにおける、前記凸部6の前記頂部6bの幅W4は、前記前面部1cにおける、前記凸部6の前記頂部6bの幅W4よりも、大きい、という構成である。
【0062】
斯かる構成によれば、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの幅W4が、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの幅W4よりも、大きいため、上面部1aにおいては、凸部6,6,の頂部6b,6b同士が接触し易くなる。これにより、上面部1aにおいては、接触部7が形成され易いため、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量を多くすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記上面部1aにおける、少なくとも一つの前記接触部7において、少なくとも一方の前記凸部6の頂部6bは、変形している、という構成である。
【0064】
斯かる構成によれば、上面部1aにおける、接触部7のうち少なくとも一つにおいて、少なくとも一方の凸部6の頂部6bが変形しているため、上面部1aにおいて、隣り合うシート体2,2で形成される空隙5のそれぞれ大きさがさらに小さくなる。これにより、上方から供給される液体30は、上面部1aで、シート体2にさらに接触し易くなるため、上面部1aからシート体2にさらに吸収され易くなる。
【0065】
なお、気液接触体1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、気液接触体1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0066】
(1)上記実施形態に係る気液接触体1においては、前面部1cにおける、少なくとも一つの凸部6の頂部6bは、他の何れの凸部6の頂部6bと離れている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、前面部1cにおける、全ての凸部6の頂部6bは、他の凸部6の頂部6bと接触している、という構成でもよい。
【0067】
(2)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量よりも、多くなっている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量は、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量以下である、という構成でもよい。
【0068】
(3)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの幅W4は、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの幅W4よりも、大きい、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの幅W4は、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの幅W4以下である、という構成でもよい。
【0069】
なお、例えば、上面部1aにおける、凸部6の頂部6bの幅W4が、前面部1cにおける、凸部6の頂部6bの幅W4以下である、という構成において、上面部1aにおける、単位面積当たりの接触部7の数量が、前面部1cにおける、単位面積当たりの接触部7の数量よりも、多くなっている、という構成を採用してもよい。
【0070】
(4)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、全てのシート体2においては、凸部6の稜線6aは、積層方向D1視において、前後方向D3に対して傾斜している、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、少なくとも一つのシート体2においては、凸部6の稜線6aは、積層方向D1視において、前後方向D3に対して平行又は直交している、という構成でもよい。
【0071】
(5)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、積層方向D1視において、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜方向は、隣り合うシート体2,2において、反対になっている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、積層方向D1視において、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜方向は、隣り合うシート体2,2において、同じである、という構成でもよい。
【0072】
(6)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、積層方向D1視において、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜角度θ1は、全てのシート体2で同じである、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、積層方向D1視において、前後方向D3に対する凸部6の稜線6aの傾斜角度θ1は、それぞれのシート体2で異なる、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…気液接触体、1a…上面部、1b…下面部、1c…前面部、1d…後面部、1e…側面部、2…シート体、3…保持体、4…シート積層体、5…空隙、6…凸部、6a…稜線(頂点)、6b…頂部、7…接触部、10…気体処理装置、11…筐体、12…送風装置、13…第1除塵部、13a…プレフィルタ、13b…中性能フィルタ、14…第1調整部、14a…冷却コイル、14b…加熱コイル、15…気液接触装置、15a…液体供給部、15b…液体貯留部、16…第2調整部、17…第2除塵部、20…気体、30…液体、D1…積層方向、D2…上下方向、D3…前後方向
【要約】
【課題】 液体が上面部からシート体に吸収され易い気液接触体を提供する。
【解決手段】 気液接触体は、吸収性を有して積層される複数のシート体を備え、シート体は、波形状となるように、直線状に延びて並列される複数の凸部を備え、上面部は、凸部の頂部同士が接触する接触部を、少なくとも一つ備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6