【実施例】
【0085】
測定方法:
ガラス転移温度ならびにその開始点および終了点は、ASTM E 1356−03またはDIN 11357−2に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。その加熱速度は20K/分である。
【0086】
コポリマーのモノマー含量は、1H−NMR(装置:Bruker DPX400、XWIN−NMR 3.1ソフトウェア付き、測定周波数400MHz)により測定する。
【0087】
ムーニー粘度の値(ML(1+4)100℃)は、それぞれの場合において、ISO 289に準拠して、剪断円板粘度計により100℃で測定する。
【0088】
MDR(ムービング・ダイ・レオメーター)加硫プロファイルおよびそれに伴う分析データは、ASTM D5289−95に準拠して、MDR 2000 Monsantoレオメーターで測定した。
【0089】
機械的性質を測定するためのシートは、Werner&Pfleiderer製の加硫プレス中、Teflon(登録商標)フィルムの間で所定の条件下において架橋/加硫させた。
【0090】
圧縮永久歪み(「CS」)は、DIN ISO 815に準拠して、所定の温度で測定した。
【0091】
ショアーA硬度は、ASTM−D 2240−81に準拠して測定した。
【0092】
変形の関数としての歪みを求めるための引張試験は、DIN 53504またはASTM D 412−80に準拠して実施した。
【0093】
引裂き抵抗性は、DIN 53515に準拠して、Graves試験片について室温で測定した。
【0094】
引き裂き分析器の測定は、Coesfeld製の引き裂き分析器を使用し、空気中120℃の温度で実施した。幅15mm、厚み約1.5mm、自由クランプ距離65mmの試料片を使用した。その試料には、カミソリ刃を用いて、1mmの深さのノッチを与えた。それぞれの試験片について、厚み計を使用して、正確な試料の厚みを測定した。それらの試料について、4Hzのパルス繰り返し数で一軸方向に伸張させた。これは、0.25秒の持続時間に相当する。2.5〜6.5%の伸びの振幅を有するパルスで、30Hzの周波数を用いて、サイン曲線になるように変調させた。クラックの深さが10mmに達したら耐用期間が終了したものとする。
【0095】
加熱空気エージングは、DIN 53508/2000に準拠して実施した。方法4.1.1「Storage in a heating cabinet with positive ventilation」を適用した。
【0096】
オイル貯蔵性は、DIN EN ISO 1817に準拠して実施した。
【0097】
以下の表において用いた略称は次の意味を有する。
「RT」 室温(23±2℃)
「TS」 引張強度(RTで測定)
「EB」 破断時伸び(RTで測定)
「M50」 50%伸びの時のモジュラス(RTで測定)
「M100」 100%伸びの時のモジュラス(RTで測定)
「M300」 300%伸びの時のモジュラス(RTで測定)
「Smax」 架橋等温式の最大トルク
「t
10」 Smaxの10%に達するまでの時間
「t
80」 Smaxの80%に達するまでの時間
「t
90」 Smaxの90%に達するまでの時間
【0098】
商品名で呼ばれる物質:
Levapren(登録商標)600:エチレン−酢酸ビニルコポリマー(VA含量、60%)(Lanxess Deutschland GmbH製)
Sterling(登録商標)142:カーボンブラック(Cabot Corp.製の市販品)
Rhenogran CaO−80:乾燥剤(Rheinchemie Rheinau GmbH製)
臭化テトラブチルアンモニウム:(TBAB)(Sigma Aldrich Chemie GmbHからの市販品)
Luvomaxx(登録商標)CDPA:老化安定剤(Lehmann and Voss&Co.KG製)
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、100%(Kettlitz GmbH製)
Uniplex DOS、Uniplex 546:可塑剤(Unitex Chemical Corp.製)
Edenor C18:ステアリン酸(Oleo Solutions Ltd製)
Perkadox 14−40 B−PD:ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(AkzoNobel N.V.製)
Corax(登録商標)N550/30:カーボンブラック(Orion Engineered Carbon GmbH製の市販品)
Arflux 18:加工助剤(Rhein Chemie Rheinau GmbH製)
Stabaxol P:ポリカーボジイミド(Rhein Chemie Rheinau GmbH製)
Maglite DE:酸化マグネシウム(The HallStar Company製)
Vulkanox HS/LG:老化安定剤(Lanxess Deutschland GmbH製)
グルタル酸(工業グレード):Lanxess Deutschland GmbHからの市販品
【0099】
1.1 エポキシ基含有エチレン−酢酸ビニルコポリマーの調製
実施例1(T1):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、691.0gのtert−ブタノール、1285.0gの酢酸ビニル、2.0gのメタクリル酸グリシジル、および252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1978gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1059gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後(この時点で、酢酸ビニルを基準にした転化率は約10重量%であった)、122.2gのtert−ブタノール、156.3gの酢酸ビニル、および27.5gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を、0.6g/分の速度でその反応混合物中に計量仕込みした。反応時間全体にわたり、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。10時間の反応時間後、エチレンの計量注入を終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へ抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存メタクリル酸グリシジル含量を有する、1586gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0100】
実施例2(T2):
30Lの反応器容積を有する5個のタンクのカスケードにおいて、第一のタンクに、0.00325kg/hでメタクリル酸グリシジル、0.83kg/hでエテン、1.50kg/hで60%強度の酢酸ビニル溶液(tert−ブタノール中)、および0.080kg/hでADVN重合開始剤溶液(組成:0.7%ADVN、59.6%酢酸ビニル、39.6%tert−ブタノール)を60℃で仕込んだ。タンク2、3、4、および5には、0.043kg/hでメタクリル酸グリシジル溶液(組成:37%のt−BuOH、55.5%の酢酸ビニル、7.5%のメタクリル酸グリシジル)をフィードした。タンクカスケード全体にわたって圧力は約380barとした。この方法では、0.75kg/hでメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマー(残存(モノマー性)メタクリル酸グリシジル含量:100mg/kg未満)が得られた。
【0101】
実施例3(T3):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、2.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1983gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後、その反応混合物中に、122.2gのtert−ブタノール、151.8gの酢酸ビニル、および32.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.68g/分の速度で計量添加した。その反応全体にわたり、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0102】
7.5時間の反応時間後、30分間かけて温度を慎重に上げて70℃とし、その温度でさらに1時間、重合を実施した。次いで、エチレンのフィードを停止し、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1407gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0103】
実施例4(T4):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、2.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1983gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後、その反応混合物中に、122.2gのtert−ブタノール、147.8gの酢酸ビニル、および36.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.68g/分の速度で計量添加した。反応時間全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0104】
7.5時間の反応時間後、30分間かけて温度を慎重に上げて70℃とし、その温度でさらに1時間、重合を実施した。次いで、エチレンのフィードを停止し、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へ徐々に抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1345gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0105】
実施例5(T5):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、3.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1983gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後、その反応混合物中に、122.2gのtert−ブタノール、131.8gの酢酸ビニルおよび52.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.68g/分の速度で計量添加した。反応時間全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0106】
7.5時間の反応時間後、30分間かけて温度を慎重に上げて70℃とし、その温度でさらに1時間、重合を実施した。次いで、エチレンのフィードを停止し、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1081gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0107】
比較例6(CT6):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、4.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1985gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後(この時点で、酢酸ビニルを基準にした転化率は約10重量%であった)、122.2gのtert−ブタノール、107.8gの酢酸ビニル、および76.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.6g/分の速度でその反応混合物中に計量仕込みした。反応時間全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0108】
10時間の反応時間後、エチレンのフィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へ徐々に抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1105gのコポリマーが得られた。
【0109】
実施例7(T7):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、874gのtert−ブタノール、1946gの酢酸ビニル、2.0gのメタクリル酸グリシジルおよび251.2gの活性化剤溶液(1.20gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液2822gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、696gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後(この時点で、酢酸ビニルを基準にした転化率は約10重量%であった)、157.5gのtert−ブタノール、251.2gの酢酸ビニル、および41.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.88g/分の速度で(約8.5時間)その反応混合物中に計量仕込みした。反応時間全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0110】
10時間の反応時間後、エチレンのフィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1762gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0111】
実施例8(T8):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、882gのtert−ブタノール、677gの酢酸ビニル、1.5gのメタクリル酸グリシジル、および252.5gの活性化剤溶液(1.49gのADVN、0.99gのAIBNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1560.5gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1240gのエチレンを注入した。温度を62℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後(この時点で、酢酸ビニルを基準にした転化率は約10重量%であった)、228gのtert−ブタノール、127.0gの酢酸ビニル、および25.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.75g/分の速度で(約8.5時間)その反応混合物中に計量仕込みした。反応時間全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0112】
1.5時間後にその温度を上げて65℃とした。さらに1.5時間後にその温度を上げて70℃とし、5.5時間後に重合温度を上げて80℃とした。合計して10時間の反応時間後、エチレンのフィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1278gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0113】
実施例9(T9):
5Lの撹拌式オートクレーブ内で、エポキシ含有エチレン−酢酸ビニルターポリマーを調製した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、3.0gのメタクリル酸グリシジル、および252.5gの活性化剤溶液(2.50gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1984gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。半時間後、その反応混合物中に、122.2gのtert−ブタノール、134.8gの酢酸ビニルおよび49.0gのメタクリル酸グリシジルからなる溶液を0.68g/分の速度で計量添加した。その反応全体にわたって、エチレンを注入することにより圧力を約380barに維持した。
【0114】
9時間の反応時間後、エチレンの計量添加を停止し、そのポリマー溶液を5Lの反応器から、800gのアセトンを充填しておいた停止オートクレーブ内に抜き出した。ゆっくりとガス抜きをしてから、ポリマー溶液を放出し、溶媒および残存モノマーを真空下に除去した(75℃、50mbar、恒量になるまで乾燥)。100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1586gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルターポリマーが得られた。
【0115】
実施例10(T10):
実施例2と同様にして調製を実施したが、ただし、第一のタンクには0.0032kg/hでメタクリル酸グリシジルを仕込み、タンク2、3、4、5には0.041kg/hでメタクリル酸グリシジル溶液(組成:37%t−BuOH、55.5%酢酸ビニル、7.5%メタクリル酸グリシジル)を仕込んだ。この場合、0.76kg/hでメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルターポリマー(100mg/kg未満の残存(モノマーの)GMA含量を有する)が得られた。
【0116】
比較例2(CT2):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、34.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液2015gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。重合には、約380barで10時間かかった。その圧力は、エテン、および酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(60%酢酸ビニル)を、エテン/溶液の比率が1:2になるように観察しながら計量仕込み添加することによって維持した。
【0117】
10時間の反応時間後、フィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1570gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0118】
比較例6’(CT6’):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、693.0gのtert−ブタノール、1288.0gの酢酸ビニル、80.0gのメタクリル酸グリシジルおよび252.5gの活性化剤溶液(2.50gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液2061gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1062gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。重合には、約380barで10時間かかった。その圧力は、エチレン、および酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニルが60%強度)を、エチレン/溶液の比率が1:2になるように観察しながら計量仕込み添加することによって維持した。
【0119】
10時間の反応時間後、フィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1199gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0120】
比較例7(CT7):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、850.0gのtert−ブタノール、1900.0gの酢酸ビニル、44.0gのメタクリル酸グリシジル、および251.2gの活性化剤溶液(1.2gのADVNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液2794.0gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、680gのエチレンを注入した。温度を61℃まで上げると、約380barの圧力となった。重合には、約380barで10時間かかった。その圧力は、エチレン、および酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(60%酢酸ビニル)を、エチレン/溶液の比率が1:4.11になるように観察しながら計量仕込み添加することによって維持した。
【0121】
10時間の反応時間後、フィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1840.2gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0122】
比較例8(CT8):
調製は、5Lの撹拌オートクレーブ内で実施した。この目的のために、882.0gのtert−ブタノール、677gの酢酸ビニル、26.5gのメタクリル酸グリシジル、および251.48gの活性化剤溶液(1.49gのADVN、0.99gのAIBNおよび250.0gの酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(酢酸ビニル20%)からなる)の溶液1585.5gを、RTで順次5Lの反応器内に吸い込ませた。窒素を用いてその反応器を不活性化させてから、1240gのエチレンを注入した。温度を62℃まで上げると、約380barの圧力となった。その圧力は、エチレン、および酢酸ビニル/tert−ブタノール溶液(40%酢酸ビニル)を、エチレン/溶液の比率が1:1.45になるように観察しながら計量仕込み添加することによって維持した。
【0123】
1.5時間後にその温度を上げて65℃とした。さらに1.5時間後にその温度を上げて70℃とし、5.5時間後に80℃まで上げた。合計して10時間の反応時間後、エチレンのフィードを終わらせ、そのポリマー溶液を5Lの反応器から停止オートクレーブ内へゆっくり抜き出した。
【0124】
溶媒および残存しているモノマーを除去した後、100mg/kg未満の残存(モノマーの)メタクリル酸グリシジル含量を有する、1103gのメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが得られた。
【0125】
【表1】
【0126】
2.加硫可能な混合物および加硫物
表2に記載の成分を、それぞれの場合において、100部の使用されるメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーに添加し、ローラー上で10分間混合することにより、加硫可能な組成物を調製した。
【0127】
【表2】
【0128】
それらの混合物の加硫プロファイルを、ムービング・ダイ・レオメーター中で180℃/30分間において測定した。それらの結果を表3にまとめた。
【0129】
【表3】
【0130】
重合の途中でGMAを添加したコポリマーを含む組成物の架橋レベルS max(dNm)が、すべてのGMAを重合開始時に添加したコポリマーを含む組成物におけるよりも顕著に改良されていることが示された。
【0131】
【表4】
【0132】
本発明の混合物では、破断時伸び、引張強度、硬度、および圧縮永久歪み(CS)に関して、極めて有利な加硫物の物性が得られた。
【0133】
非充填の加硫可能な組成物の架橋
表5に記載の成分を、それぞれの場合において、100部の使用されるメタクリル酸グリシジル−エチレン−酢酸ビニルコポリマーに添加し、ローラー上で10分間混合することにより、加硫可能な組成物を調製した。この場合、グルタル酸を化学量論量で、すなわち、1:2の(グルタル酸)対(コポリマーのエポキシ基)のモル比で使用した。(コポリマーのエポキシ基)対(臭化テトラブチルアンモニウム)のモル比は3.5:1であった。
【0134】
【表5】
【0135】
それらの混合物の加硫プロファイルを、ムービング・ダイ・レオメーター中で180℃/30分間において測定した。それらの結果を表6にまとめた。
【0136】
【表6】
【0137】
表5における非充填の加硫可能な組成物を、それぞれ、180℃、12分間で加硫させた。次いで、個々の加硫物のゲル含量を測定し、そのために、0.2gのコポリマーを20mLのトルエン中に、振盪機上室温で24時間振盪させて可能な限り溶解させ、次いでその溶液を25000rpm、半径11cmで45分間遠心分離にかけた。ゲルを同伴しないようにして、上澄みの溶媒を除去した。残ったゲルを、乾燥キャビネット中60℃で恒量になるまで乾燥させ、秤量した。ゲル含量は次式から計算して、重量%で表す。
ゲル含量=(ゲルの最終重量/ポリマーの出発重量)×100%
【0138】
【表7】
【0139】
ペルオキシド架橋させたEVMとの比較
タイプGK 1.5Eインターナルミキサー(Harburg−Freudenberger製)内で、表8に示した配合に従ってポリマーを調製した。充填レベル70%、温度30℃、速度40rpm、ラム圧力8barであった。
【0140】
比較例10(CT10):
ポリマー、充填剤、可塑剤、およびペルオキシド以外の他の成分をミキサー内に充填し、ラムを閉じてから混合物を3分間混合し、次いでラムを開き、スイープし、次いでラムを再び閉じ、混合温度が100℃に達した状態でその混合物を取り出した。
【0141】
次いで、ローラー上において30℃でPerkadox 14−40B−PDを混ぜ込んだ。
【0142】
実施例11および12(T11およびT12):
ポリマー、充填剤、可塑剤、およびグルタル酸以外の他の成分、ならびにTBABをミキサー内に充填し、ラムを閉じてから混合物を3分間混合し、次いでラムを開き、スイープし、次いで速度を70rpmに上げてから、グルタル酸およびTBABを添加し、次いでラムを再び閉じ、混合温度が115℃に達した状態でその混合物を取り出した。次いでその混合物を30℃のローラー上で冷却した。
【0143】
【表8】
【0144】
それらの加硫可能な混合物(測定される事前の熱処理なし)の性質を表9に示す。
【0145】
【表9】
【0146】
得られた加硫物の性質を表10に示す。
【0147】
【表10】
【0148】
さらに、Tear Analyzer(引裂き試験機)で動的引張特性を調べた。結果を
図3および
図4に示す。ペルオキシド加硫させたエチレン−酢酸ビニルコポリマーと比較して、本発明による加硫物のクラック速度が明らかに遅く、その結果、動的応力をかけたそのような加硫物からなる成形物体の耐用期間が顕著に高くなることが示された。本発明ではないエポキシ含有エチレン−酢酸ビニルコポリマーをポリカルボン酸架橋させることによって得られたものと比較して、本発明による加硫物の利点がはるかに大きい。ここで、グルタル酸およびコポリマーCT2またはCT6を含む加硫可能な混合物からの加硫物は、ペルオキシド架橋させたLevapren 600をベースとする加硫物よりもはるかに悪いクラッキング速度および耐用期間を示した。
【0149】
3.2Dクロマトグラフィー
類似のGMA含量を有するコポリマーを含む組成物について、重合の途中でGMAを添加したコポリマーを含む組成物と、重合開始時に全部のGMAを添加したコポリマーを含む組成物との間で差があるかどうかを分析した。
【0150】
その分析は、HPLC/GPCの組合せ(2Dクロマトグラフィー)で実施し、それは、PSS Polymer Standards Service GmbH(In der Dalheimer Wiess 5,D−55120 Mainz,Germany)から市販されている装置である。
【0151】
2Dクロマトグラフィーでは以下のパラメーターを選択した。
1.
試料
溶媒:THF/CHCl
3(50/50、v/v)
濃度:20g/L
濾過:0.45μmの孔径を有する単一のフィルター使用
注入量:20μL
2.
HPLCのディメンション
分離カラム:ステンレス鋼カラム、50mm/8.0mmID、PSS ANIT、10μm
カラム温度:30℃
溶出液:CHおよびTHF
流速:0.2mL/分
グラジエント:CH/THF=70/30から210分間かけてCH/THF=21/79まで
3.
GPCのディメンション
分離カラム:ステンレス鋼カラム、50mm/20.0mmID、PSS SDV、10μm
カラム温度:RT
溶出液:THF
流速:5mL/分
検出器:ELSD、NT 90℃、ET 100℃、GF 1.5 SLM
4.
スイッチングバルブ
ループ容積:200μL
溶出時間/注入:2分
トランスファー注入:106
5.選択した条件下では、HPLCの溶出液のわずか50%のみが第一ディメンションから第二ディメンションに移行する。
6.可溶性試料フラクションのGPC評価、ポリスチレン等価物を基準
7.
略号
ANIT:アクリロニトリルポリマー
CH:シクロヘキサン
ELSD:蒸発光散乱検出器
ET:蒸発器温度
GF:ガス流量
GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
ID:内径
NT:ネブライザー温度
PSS:Polymer Standard Service
RT:室温
SDV:スチレン−ジビニルベンゼン
SLM:標準リットル/分
THF:テトラヒドロフラン
【0152】
この場合、すべてのGMAを重合開始時に添加したコポリマーが、クロマトグラムにおいて(
図2参照)少なくとも2つのポリマーフラクションを示すのに対して、対照的に、重合が開始された後にGMAを添加したコポリマーでは、クロマトグラムにおいて(
図1参照)実質的に1つのみのポリマーフラクションを示すことが示された。