(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記FIRフィルタ係数によって定義されるように前記ビームフォーミングフィルタの周波数分解能は、前記ビームフォーミングフィルタの前記周波数領域フィルタの重みが算出される前記周波数ラスタの周波数分解能と異なる、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の装置。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】[ACL93] Ashraf S. Alkhairy, Kevin G. Christian, and Jae S. Lim. Design and characterization of optimal FIR filters with arbitrary phase. IEEE Transactions on Signal Processing, 41 (2):559-572, February 1993.
【非特許文献2】[BW01] Michael Brandstein and Darren Ward, editors. Microphone Arrays: Signal Processing Techniques and Applications. Springer 2001.
【非特許文献3】[HM00] Panagiotis D. Hatziantoniou and John N. Mourjopoulos. Generalized fractional-octave smoothing of audio and acoustic responses. Journal of the Audio Engineering Society, 48(4): 259-280, April 2000
【非特許文献4】[KM95] Lina J. Karam and James H. McClellan. Complex Chebyshev approximation for FIR filter design. IEEE Transactions on Circuits and Systems II: Analog and Digital Signal Processing, 42(3):207-216, March 1995.
【非特許文献5】[KM99] Lina J. Karam and James H. McClellan. Chebyshev digital FIR filter design. Signal processing, 79(1):17-36, July 1999
【非特許文献6】[Lyo11] Richard G. Lyons. Understanding Digital Signal Processing (3rd Edition) (Hardcover), Pearson, Upper Saddle River, NJ, 3rd edition, 2011.
【非特許文献7】[MK07] Edwin Mabande and Walter Kellermann. Towards superdirective beamforming with loudspeaker arrays. In Conf. Rec. International Congress on Acoustics, 2007.
【非特許文献8】[MSK09] Edwin Mabande, Adrian Schad, and Walter Kellermann. Design of robust superdirective beamformers as convex optimization problem. In IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP 2009), pages 77-80, April 2009.
【非特許文献9】[MSK11] Edwin Mabande, Adrian Schad, and Walter Kellermann. A time-domain implementation of data-independent robust broadband beamfomers with low filter order. In Workshop on Hands-free Speech Communication and Microphone Arrays (HSCMA), pages 81-85, Edinburgh, UK, May 2011.
【非特許文献10】[PF04] Joerg Panzer and Lampos Ferekidis. The use of continuous phase for interpolation, smoothing and forming mean values of complex frequency response curves. In 116th AES Convention, Berlin, Germany, May 2004.
【非特許文献11】[PR95] Alexander W. Potchinkov and R Reemtsen. The design of FIR filters in the complex plane by convex optimization. Signal Processing, 46(2):127-146, October 1995.
【非特許文献12】[Sar93] Tapio Saramaeki. Finite impulse response filter design. In S.K. Mitra and J.F. Kaiser editors, Handbook for Digital Signal Processing, chapter 4, pages 155-278. John Wiley & Sons, Inc., 1993.
【非特許文献13】[S107] Julius O. Smith III. Introduction to Digital Filters with Audio Applications, W3K Publishing, 2007 http: //w3k.org/books/http://www.w3k.org/books/.
【非特許文献14】[Smi11] Julius O. Smith. Spectral Audio Signal Processing. W3K Publishing 2011. [online] http://ccrma.stanford.edu~jos/sasp.
【発明を実施するための形態】
【0015】
FIR係数算出の技術は、ラウドスピーカーの配列10が、所望の方向選択性において、すなわち、所望の方向16において、入力端子18でオーディオ信号を放射することにある。これに関連して、
図1は、ラウドスピーカー12
nが、等距離に一列になって配列され、そして、配列10がラウドスピーカーの直線配列であることのみを例として示す。しかしながら、配列10において不均一な配置および直線および/または平面に沿った配置から逸れている配置が実現可能であるのと同じ程度に、ラウドスピーカーの二次元の配置は、実現可能である。放射方向16は、たとえば、ラウドスピーカー12が配置される直線のおよび/または表面の垂直二等分線から方向16の角度の偏差によって測定されうる。しかしながら、ここで、なお、バリエーションの2つの可能性がある。たとえば、放射が配列10から上流の特定の場所で聞き取れることを好ましくは可能とする。しかしながら、ビームフォーミングフィルタ14
nのフィルタ係数hは、より正確に選択されも、
しうる。そうすると、方向16およびそのまわりの方向を含んでいる領域が主題となる場合、放射に応じた配列10の方向特性または方向選択性は、特定の方向16における最大だけでなく、他の所望の基準、たとえば、角度放射幅、最大の放射の方向16における特定の周波数応答、あるいは特定の周波数応答さえ満たす。
【0017】
次の実施例は、同様に、特定の方向16から来る音の場面に、大部分、もしくは排他的に記録され、または精度よくするために、所望の方向選択性、または方向特性を含むために
図2のマイクロホンの配列10を可能にする。その結果、出力信号s’において反映される;方向16は、角度偏差φまたは2次元の場合において、配列10の垂直二等分線からφおよびθによって
図1の場合におけるように、定義される。そして、所望の方向選択性は、ただ単に、最大の感度の方向の表示により正確でもよく、すなわち、空間的な次元、または周波数の次元に関してより正確でありうる。
【0018】
図3は、すなわち、たとえば、
図2に示されるようなマイクロホンの配列、または
図1に示されるようなラウドスピーカーの配列のようなトランスデューサーアレイのビームフォーミングフィルタのためのFIRフィルタ係数を算出するための装置の実施例を表す。
【0019】
装置は、概して、30によって示され、そして、たとえば、コンピュータによって実行されるソフトウェアにおいて実装されうる。ここで、以下に記載される手段およびモジュールのすべてが、たとえば、コンピュータ・プログラムの異なる部分でありうる。しかしながら、専用のハードウェアの形式、たとえば、ASICの形式、またはプログラム可能な論理回路(たとえば、FPGA)において実装も可能である。
【0021】
例として外部から
図3の装置30に定義される情報34ないし42の全てがオプションである点に留意されたい。装置30は、特定の配列の設定のために、特に構成もされ、そして、装置が、他のデータの特定の設定のために特に構成されることも可能である。入力オプションの場合において、該入力オプションは、たとえば、入力インタフェースを介して、たとえば、コンピュータのユーザ入力インタフェースまたはコンピュータの読出しインタフェースを介して、実装され、その結果、1またはいくつかの特定のファイルのデータが読み込まれる。
【0025】
既に上記において概説されたように、
図3の装置30は、時間領域FIRフィルタおよび/またはビームフォーミングフィルタのためのFIRフィルタ係数を見つけるための最適化問題の解決を使用することができる。最適化ベースのフィルタ設計方法による時間領域FIRは、以下に記載されるように、周波数サンプリング設計の不利な点および複雑さを回避し、そして、たとえば、本願明細書の導入部において記載されたように、フィルタの直接的な時間領域設計のために、必要条件が、算出時間およびメインメモリのようなリソースを表す。
図3によれば、ビームフォーミングフィルタの設計は、第1および第2の算出手段44および46によって2段階の工程において実行される:
【0026】
− 第1の算出手段44によって規定されるように第1段階において、周波数領域の範囲内におけるビームフォーミング駆動フィルタBFFの周波数応答は、たとえば、Δω=ω
k−ω
k-1のようなある周波数解像度を規定する、定義された周波数ラスタω
kの範囲内において設計される。しかしながら、周波数ラスタは、等距離に選択される必要はなく、不均一でもよい。これに関連して、これは、文献に記載されているビームフォーミング技術に頼ることができる。最適化が使用されうる。この種の周波数領域最適化方法は、たとえば、[MSK09]において記載される。
【0028】
その後記載される実施の形態に従って、装置30によって実装されるようにフィルタ設計の工程は、複数の相関している個々の計測および規定を供給する。全体的にみて、それらは、特に、安定な、ロバストな駆動フィルタおよび/またはビームフォーミングフィルタの生成を可能にする。以下に、装置30の作動モードの詳細について説明される。しかしながら、アプリケーションの場合に応じて、計測の個々のものは省略もされうる。
【0029】
既に上述したように、トランスデューサーの特性、すなわち、たとえば、マイクロホンおよび/またはラウドスピーカーの特性は、算出手段44の第1の算出において考慮される。トランスデューサー・データ34は、測定値から、または、たとえば、シミュレーションのようなモデリングから典型的に得られたトランスデューサーの特性を記載する。トランスデューサー・データ34は、たとえば、(ラウドスピーカーの場合において)部屋の範囲内における異なる位置から、または(センサおよび/またはマイクロホンの場合において)部屋の範囲内における異なる位置へ、トランスデューサーの方向に依存し、そして周波数に依存する伝達関数を表す。たとえば、算出手段44のモジュール52は、もとのデータ34の間において含まれない、すなわちもとのデータセットの範囲内において含まれない位置または方向から/へのトランスデューサーの伝達関数を可能にするために、方向特性補間、たとえば、すなわち、トランスデューサー・データ34の補間を実行する。
【0031】
算出手段44の部分における算出においてトランスデューサーの特徴の上記の包含が単に任意であり、すなわち、モジュール52および58と同様に、データ34の定義が省略されうるという点について、もう一度、留意されたい。むしろ、算出手段の部分における算出は、理想とされた伝達特性の仮定において実行もされうる。一方で、実際のトランスデューサー・データ34の利用は、しばしば、結局は、算出されたビームフォーミングフィルタのより良好な性能を可能にする。
【0032】
所望の方向挙動および/またはビームフォーミングの挙動の仕様は、
図3によるデータ36を介して実行される。該データ36は、所望の方向特性を記載することによって、ビームフォーマー設計の始点を形成する。たとえば、ラウドスピーカーの場合において、1つ以上の方向または領域における所望の音の所望の放射、または、マイクロホンの場合において、1つ以上方向または領域からの音の感度を記載するが、可能な限り、他の方向/領域における放射および/または他の方向/領域への感度は、抑制されることなっている。データ36によるこの記述は、たとえば、モジュール60によってターゲットパターン仕様に変換され、すなわち、所望の方向挙動の数学的公式に変換される。ターゲットパターン仕様60により出力されたターゲット関数は、たとえば、様々な空間方向φまたはφおよびθにおいて、音の所望の複雑な放射を記載する。ターゲット関数は、周波数に依存しないか、あるいは周波数に依存してもよい。すなわち、周波数領域の異なる周波数のための異なる定義を有しうる。加えて、方向挙動の数学的公式は、以下の要素の1つ以上を含みうる:
【0033】
− 放射の1つ以上の望ましい方向または位置;
【0034】
− 方向または領域、ここで、音の達成された放射は、定義された方法(最大偏差によって典型的に定義される)においてのみ音の所望の放射から逸脱することを許容される;
【0035】
− 領域、ここで、定義が、音のそれらの放射に関して与えられず、それは、移行地域または空間的に「無関係な」領域を参照されうる;
【0036】
− 領域、ここで、個々のサブ領域の優先度を適応させるために、任意の、重み関数によって、音の放射が最小化される。
【0037】
通常、ターゲット関数によって記載される音の所望の複雑な放射が、方向に必ずしも限られているというわけではない点に留意されたい。他の議論は、たとえば、面/ボリュームのラインまたは全体に沿って、所望の放射を可能にする。
【0038】
以下は、ロバストネスの定義に関して適用される。ビームフォーミングアプリケーションとの関連で、ロバストネスは、トランスデューサーアレイ10の偏差の、または、伝達システム(たとえば、理想的な挙動からの駆動フィルタの偏差、配列の範囲内におけるトランスデューサーの位置決めエラー、またはモデル化された伝達の挙動からの偏差)の場合における放射の挙動の比較的少ない量のみを呈する特性に関連する。たとえば、マイクロホンの配列のためにしばしば使用されるロバストネスの基準は、いわゆるホワイトノイズゲインとよばれ[BW01,MSK09],([WNG])、そして、それは、入射方向における信号の大きさ、および配列に対する駆動重みのL
2標準の割合として、結果として得る。この計測は、ラウドスピーカーの配列[MK07]に対しても感覚的に使用されうる;ここで、所望の放射方向における信号の大きさは、入射方向における大きさの役割を導入する。
【0039】
上記の段落において示されたように、駆動重みの許容された標準に関する放射方向(または入射方向)における大きさは、WNGにおいて、そして、このように、ロバストネスにおいて、直接的な影響をおよぼす。同様に、放射方向において達成されうるレベルは、駆動重みの最大限に認められる量、およびトランスデューサーの放射特性の両方に依存する。したがって、ロバストネスおよび達成された放射の大きさを表す要件が満たされるように、大きさ(または所望の放射パターンの振幅)を特定するのに必要である。この仕様のための良好な始点を得るために、以下の方法を使用することが可能である:
【0040】
− 所望の放射方向または所望の方向挙動に関するデータ36に基づいて、遅延および合計のビームフォーマー(DSB)のための駆動フィルタの伝達関数は、モジュール54において創出される。これは、トランスデューサーごとの要素の各場合において、モジュール54が、トランスデューサーの位置および放射方向においてのみ依存し、そして、単に、周波数に依存しないゲイン値および周波数に依存しない遅延を含むようなシンプルなフィルタを仮定することを意味する。所望の方向挙動36に基づき、そして、トランスデューサー・データ34を考慮すると、そのような周波数に依存しない値だけは、トランスデューサーごとのモジュール54によって算出される。このように、DSBは、基本的に、
図1または2のセットアップに対応する;しかしながら、単純なBFFが、すなわち、時間遅延および周波数に依存しないゲインを実行するこの種のBFFが使用される。特に、低周波数に対するこの種のDSBの方向効率が小さい一方、この種のDSBは、高いWNG値、および、このように良好なロバストネスを呈する。
【0041】
− (トランスデューサーの要素ごとの単に周波数に依存しないゲイン値および周波数に依存しない遅延から構成される)DSB駆動フィルタのセットに基づいて、所望の放射方向における配列の放射は、算出/シミュレーションされる。既に述べたように、データ34からのモデル化されたあるいは測定されたトランスデューサーの特性は、モジュール54の側におけるトランスデューサーの要素ごとのこれらの周波数に依存しない値のペアの算出に取り入れられる。
【0042】
モジュール54のDSB駆動フィルタのセットから放射方向を結果として得るトランスデューサーアレイの周波数応答は、参照周波数応答(または大きさの応答)として参照されえ、算出手段44の側における算出のその後のステップにおいて使用されうる。このアプローチの効果は、このことにより、個々のトランスデューサーのための定義された最大修正値の範囲内におけるトランスデューサーアレイによって実装されえ、そして、良好なロバストネスの特性を呈する(それがDSBの設計から結果として生じるので)、または良好なロバストネスの特性を呈するように設計する、大きさのための定義がある。
【0043】
図3の実施例によれば、算出手段44は、さらなるモジュール、すなわち、所望の周波数応答のための定義38と組み合わせてモジュール54の得られた参照大きさ応答に基づいて、放射方向におけるトランスデューサーアレイの周波数応答の最終的な仕様を決定するモジュール58を含む。これは、モジュール58を決定するための始点が、モジュール54のDSB値によって決定される範囲内で有するようなトランスデューサーアレイの周波数応答によって、すなわち、対応する方向のDSB値を有するトランスデューサーアレイを結果として得る周波数応答によって構成されることを意味する。この大きさの応答に基づいて、修正は、モジュール58によって実行される。たとえば、修正は、たとえば、周波数応答を等しくするために、参照大きさ応答において実行される。また、配列の方向効率は、参照大きさ応答に関して放射方向の大きさ応答を低減することによって、特定の限度(全体的に、または特定の周波数)の範囲内において増加しうる。これに関連して、DSBの参照設計のおよびそのWNG値の利用は、最終的な設計仕様のロバストネスの特性の適正な評価を許容する。
【0044】
アプリケーションの任意の実施例において、音響心理学的な知見は、周波数応答の決定58において取り入れられる。これに関連して、該周波数領域を明確に高めることによって、小さい知覚を補償されうるか、または表現されうることをあまり指示しないので、たとえば、信号の特定の周波数領域が音イベントの知覚に対してより重要であり、そして、したがって、より有利でない他の周波数領域における放射を知見することを十分に引き出しうる。ここで、この同等化は信号から独立し、ある放射特性だけに限られる、すなわち、様々な放射特性またはオーディオ信号の間における音響心理学的なマスキングには基づかないことに留意されたい。
【0045】
それから、モジュール58によって決定されるように、トランスデューサーアレイのための特定の周波数応答ターゲットに基づいて、最適化は、モジュール56の範囲内において実行される。ここで、ビームフォーミングフィルタの設計は、離散周波数の数ω
kのための周波数領域の範囲内においてもたらされる。本明細書との関連で、凸最適化に基づく最適化方法は、好ましくは使用される[M07,MSK09]。データ36に基づいて、モジュール60、54および58で決定されるように、モジュール58によって定義されるか、または選択した放射特性の中で、具体的には、選択可能なエラー標準(例えばL
2(最小二乗法)またはL∞標準(Chebyshev,ミニマックス標準))に関する最適化に関して、該最適化方法は、可能な限りの最高の近似値を可能にする。モジュール56の範囲内において実行される最適化の結果は、各離散周波数に対して複雑な駆動値である。その結果、複雑な他の重みのベクトルH
n(ω
k)がトランスデューサーnごとに結果として得られる。任意の測定されたか、あるいはモデル化されたトランスデューサー・データ、またはデータ34は、周波数応答および放射特性に関して最適化される駆動フィルタ周波数応答H
nを得るために、モジュール56によって解析され、最適化問題に組み込まれうる。加えて、最適化ベースのアプローチは、達成された放射および駆動重みの両方に関しうる多数の第2の条件を可能にする。たとえば、最小限のホワイトノイズゲインに対する限定が確立されうる。同様に、個々のトランスデューサーを駆動することを制限するために、駆動重みに対する最大量を確立することは、可能である。
【0046】
再度、実例の方法において、第1の算出手段44の作動モードの可能な実施の説明をまとめで、参照は、
図4になされる。算出手段44の側のターゲット周波数応答を算出するための始点は、所望の方向選択性によって構成され、そして、それは、Ωによって記載され、
図4において参照番号70が与えられる。所望の方向選択性Ωは、放射角度φに依存する関数Ωとして、ここで例として例示される。しかしながら、上で示されたように、方向依存は、角度が異なるように定義されうる。さらに、
図4は、所望の方向選択性70が平面だけというよりむしろ空間に定義されることを破線のθによって指し示す。右上において、
図4は、角度φおよびθがどのように定義されるかを指し示す。所望の方向選択性は、既に、周波数応答を含みうる。すなわち、Ωは、ωに依存しうる。それに関して言えば、方向に関して依存の方法で決定される周波数が、より大きいかより小さい程度に減らされるので、「周波数応答」Ωについて言及した。しかしながら、算出手段44によって算出されるように、この周波数応答Ωは、個々のビームフォーミングフィルタに対して、周波数応答H
n(ω
k)と区別される。両者は、ωに対する依存によって決定されるように伝達関数を有するフィルタとして作動する、しかし、周波数応答Ωは、最終的には個々のビームフォーミングフィルタの算出された周波数応答H
nによって影響が与えられる。
【0047】
さて、データ36によって定義されるように所望の方向選択性70は、特定のトランスデューサーアレイで達成される。
図4の右上において、配列の要素が、例としてラウドスピーカーであると仮定される。しかし、既に言及されたように、たとえば、マイクロホンのような他のトランスデューサーを含む配列も可能である。このように、配列は、特定のトランスデューサー位置、トランスデューサー方向、トランスデューサー周波数応答によって構成される。そして、それは、周波数応答が、同様に、方向、および/または放射および/または選択性の方向依存に依存されえ、そして、それは、反対に、同様に周波数に依存しうる。モジュール54の範囲内において、Ψ
nおよびa
nのペア、すなわち、周波数に依存しない遅延φおよび周波数に依存しないゲイン値が、各トランスデューサーnに対して決定される。その結果、これらの周波数に依存しない値のみが、トランスデューサーnのBFFにおいて適応されると仮定し、方向選択性Ω’72が、方向に依存する、すなわち、φに依存し、任意にθに依存し、そして、周波数に依存、すなわちωに依存することを結果として得る。モジュール54の範囲内における決定は、所望の方向選択性70が可能な限り達成されるかまたは近似するように実行される。もちろん、これは、単に周波数に依存しない遅延および/またはゲインがトランスデューサーごとに決定されるので、これは限られた範囲だけに可能である。しかしながら、これを補うため、方向選択性Ω’は、ロバストネスの高いレベルによって達成される。述べたように、後の時点で、最適化56の基礎をなすことを目的としているように、Ω’72は実際の所望の方向選択性74に対する始点として役立つ。方向選択性72に関する限り、それがそのDSB特性の理由で、それは、従来の知識を利用する。方向選択性の特定の周波数依存に対して要求に近づくように、現在、モジュール58は、方向選択性Ω’72を修正する。たとえば、モジュール58の範囲内において、方向選択性Ωの周波数依存は、所定の方向φ
0またはφ
0,θ
0において、たとえば、最大の放射および/または最大の選択性の方向において、すなわち、Ωが70において最大となるような方向において、伝達特性38によって定義される。最適化56の最適化ターゲット74は周波数および方向に依存している方向選択性Ω
targetでもあり、最適化56は、トランスデューサーアレイ10のビームフォーミングフィルタのそれらに利用によって、最適化ターゲット74ができるだけ達成されるかまたはよく近似され、すなわち、特定の基準に関する偏差が最小化されるように、それがビームフォーミングフィルタnのためのターゲット周波数反応および/または伝達関数H
n(ω
k)を見つけるように、最適化56は実行される。ビームフォーミングフィルタのために使用する場合、このように、最適化56は、周波数に依存しない遅延およびゲインに等しいビームフォーマーフィルタ伝達関数76の良好な調整と考えられる。しかしながら、DSB設計は、最適化ターゲットを定式化するためにのみ使用され、そして、周波数領域最適化56は、DSB設計に無関係に開始しうることが確実にされる。換言すれば、好適な実施の形態によれば、DSB設計は、放射方向において所望の周波数応答のために、すなわち、最適化ターゲットを定義するために、マスターとして単に役立つ基礎として、適用されるかおよび/または使用され、そして、最適化アルゴリズム56は、すなわち、DSB重みについて如何なる知識なしでも、最初から始まる。モジュール54の範囲内において算出されるような周波数に依存しない遅延およびゲインΨ
nおよびa
nは、2π位相ジャンプによって調整されるΨ
nに対応する傾斜を示す線形位相応答の伝達関数H
nを有するフィルタによって、特に、明確に、同様に生成される。そして、大きさまたは量はa
nに対応し、したがって、一定である。アプリケーションの場合に応じて、それは、最適化56が実行されるための周波数ノードまたはサンプリングポイントω
kを最適に設定し、ここで、k=1...Kである。。伝達関数H
nが複素数値の関数であるので、したがって、最適化される変数は、2・N・Kである。ここで、Nは、トランスデューサーの数であり、Kは,最適化56が実行されるための周波数サンプルの数である。最適化56から結果として得られる最適化されたターゲット周波数応答78は、任意に、最適化を第2の条件、たとえば、データ40によって定義される特定のロバストネスの基準の満たすことに関連する第2の条件に行うことによって達成されうる。このように、最適化56は、特定のロバストネスの計測が低く落ちてはいけないと述べている第2の条件を有する、特にスクエアプログラム(square program)でもよい。
【0048】
ターゲット周波数応答78の算出が異なって実行されうると上記において、数回、指摘された。
【0049】
図3の実施例において、ビームフォーミングフィルタのターゲット周波数応答78が第2の算出手段46の範囲内における最適化のためのベースとして受け取られ、しかしながら、上述されるように、1以上の修正が実行されることは任意である。
【0050】
後述されるように、フィルタの重みが、各場合において、実際に取り除かれるので、具体低には、個々の駆動フィルタnの周波数応答は、最適化56において得られ、駆動重みH
n(ω
k)から結果として得る。該フィルタは、マークされた遅延をしばしば含み、そして、それは、たとえば、位相および/またはグループ遅延時間によって反映される。該遅延は、さらなる処理ステージ、たとえば、特に、第2の算出手段46の範囲内において実行される次の最適化である。平滑化が、「位相接続法」によって連続相を決定することを含むので、後述する任意の平滑化ステップは、第1の算出手段の範囲内において、実行される最適化56の間、周波数ラスタの明らかに高い解像度を、より難しいレンダリングをするか、または必要とされる。周波数応答の範囲内において含まれ、位相関数の高い増加は、正しく検知し、その後、位相ジャンプを補償することが難しい。これは、位相接続法アルゴリズムの正確さに影響を及ぼす。
【0051】
加えて、そこの、すなわち、ターゲット周波数応答78の最適化ターゲットが、零位相周波数応答に可能な限り近づくバージョンにおいて存在する場合、第2の算出手段46の範囲内において実行される最適化ステップに対して有利である。すなわち、遅延によって引き起こされる位相期間は、可能な限り消去される。算出手段46の範囲内において実行される最適化ステップに関する更なる要件は、以下において更に詳細に述べられる。通常、以下の態様は、聞き入れられるべきである:
【0052】
結果として生じるフィルタの原因は、設計プロセスのこのステージでは関連しない。それは、駆動フィルタのために、零位相伝達関数にに近づく、原因ではない所望の周波数応答によって働きうる。原因は、再び、(追加の遅延によって補充される引用される遅延を再登録することによって、)次のFIR設計の原因をレンダリングされうる。
【0053】
トランスデューサー特性の包含に関して上ですでに記載されたトランスデューサー・データの遅延の抽出は、駆動フィルタnの所望の周波数応答H
n78の範囲内において含まれる遅延の一部を減らす。しかしながら、これは、あちこちで使用可能ではなく、遅延適合のためのモジュール80によって補充されうる。以下のアプローチが、ゲイン値を適応させるために用いられうる。
【0054】
− 適合は、フィルタBFF
nごとに個々に実行される。
【0055】
− 周波数応答の連続相は、「位相接続法」のためのアルゴリズムによって決定される。
【0056】
− 位相関数の線形比例(すなわち、増加)は、一次多項式による最小二乗法によって決定される。遅延の線形比例は、そこから決定されうる。
【0057】
− オプション:線形遅延比例は、サンプリング期間の整数倍に丸められるか、端数を切り捨てられる。これは、その後の結合を単純化する。そして、それは、(たとえば、零の数に対応する前に置かれることによって、または、遅延ラインの形式におけるこれらの遅延を実行することによって、)インパルス応答のシフトのみを必要とする。
【0058】
− この線形期間にもとづいて、ベクトルは、この線形位相期間に関して否定される位相応答を有する複素指数から算出される。
【0059】
− 周波数応答の遅延は、複素指数のこのベクトルによってもとの周波数応答78を乗じることによって適応される。
【0060】
− 算出の仕様は、たとえば、大きさの応答(より良好な:零位相周波数応答)および連続相の範囲内において複素周波数応答を分解し、線形遅延比例を決定し、連続相から該比例を減算し、大きさおよび位相を再結合することによって、または、両方の部分を次の平滑化に転送することによって続くことによって、容易に変化する。
【0061】
図5は、再度、修正手段48の遅延適応モジュール80の作動モードを例示する。上述したように、始点は、修正されることになっている(すなわち、H
n(ω
k))、ターゲット周波数応答78のセットである。
図5は、実例として、H
n(ω
k)の位相応答82を示す。該位相応答は、例として、位相ジャンプ84を呈する。2πの位相ジャンプによって調整される位相応答は、86で示され、たとえば、最小二乗法の適合によって線形関数88によって近似されうる。線形比例88は、周波数に依存しない遅延Ψ’
nに対応する傾きを有する。さて、モジュール80によるターゲット周波数応答78の変更態様は、消去されるか、または低減するためにこの線形比例88のために、提供され、すなわち、2πの位相ジャンプにより調整された位相応答は、レベル化するかまっすぐにし、
図5は、このように90で修正されるターゲット周波数応答H’
n(ω
k)の位相応答を示す。遅延Ψ’
nは、取って置かれ、そして、格納される。
【0062】
修正手段48のさらなるモジュールは、任意に、現行の周波数領域平滑化モジュール92である。以下は、モジュール92によって周波数領域平滑化について述べられる。概して、最適化ベースフィルタ設計によって生成される、駆動フィルタnの周波数応答78またはH’
n(ω
k)は、大きさおよび位相において強度の変動を含む。この種の設計定義は、FIRフィルタ設計において実装するのが困難で、および/またはビームフォーミングフィルタの非常に高いFIRフィルタオーダーおよび/またはFIR長さを必要とする。後のケースにおける場合であっても、良好な一致が、定義済みのインタフェースで達成されえ、強度のオーバーシュート現象は、ノードω
kの間においてしばしば発生する。該オーバーシュート現象は、結果として生じるビームフォーマーの周波数応答を分解させる。また、音響心理学的に考慮すべき問題に関して、この種の狭帯域変動をマップすることは、しばしば役立たない。従って、駆動フィルタの所望の周波数応答78は、平滑化アルゴリズムを行う。たとえば、後者は、音響心理学的に考慮すべき問題に基づいて、1/3オクターブまたは1/6オクターブ[HN00]の周波数に依存するウインドウ幅によって実行される。周波数応答は、複素数値であるので、たとえば、平滑化は、大きさと位相に対して別々に実行される。すなわち、平滑化は、大きさの伝達関数(より詳細には、零位相周波数応答(たとえば、[Sar93,SI07]))および連続(アンラップ)位相[PF04]に対して別々である。モジュール92の範囲内における位相接続法アルゴリズムによって、複素周波数応答H
n(ω
k)またはH’
n(ω
k)から大きさおよび位相が生成され、そして、「ウインドウ化」とも呼ばれる周波数に依存する平滑化フィルタによって重畳による依存しない平滑化が可能である。モジュール80が存在する場合、該位相接続法が、モジュール80の範囲内で実行されるので、モジュール92の範囲内における該位相接続法はすでに、実施される。その後、両方の平滑化された部分、すなわち、大きさおよび位相は、いわば、H’’
n(ω
k)を形成するために、平滑化された複素周波数応答を形成するように結合される。あるいは、零位相要素への周波数応答および連続位相のモジュール80の範囲内で得られた分離は、モジュール90の範囲内において直接的に平滑化され、そして、その後結合されうる。
図5は、モジュール80および92のアプリケーションの組合せを示す。
【0066】
典型的には、時間離散フィルタ(すなわち、サンプリング周波数として、f
sによって、f=0Hzからf
s/2まで、ビームフォーミングフィルタのFIRフィルタ)の全体の周波数領域にわたって周波数領域設計または周波数領域最適化56を実行することは、可能ではない。特に、実際のトランスデューサーを調節する場合、非常に低い周波数、特に、f=0Hz、すなわち、直接的な構成要素のために、放射挙動の安定した定義は役立たない。同様に、役立つ定義は、非常に高い周波数、たとえば、配列の空間エイリアシング周波数に関して、典型的に、可能でない:1)公表された側の極大部分の形成は、対応する所望の特性によって防止されえない。2)周波数が増加するにつれて、所望の放射方向のビームの幅が減少する。このように、可能でないか、あるいは、これらの周波数領域の範囲内において、ビームの幅に関して役立つ、遂行可能な定義を作ることが、大きな仕様の支出によって、可能である。
【0067】
直接的に構成される意見は、周波数領域最適化56に関するが、また、時間算出手段46の範囲内で実行される時間領域の最適化に関して出される結論を許容する。一般的に、算出手段46の範囲内において実行される最適化プロセス、すなわち、FIRフィルタの最適化ベースの設計は、定義がされない、すなわち、所望の周波数応答またはターゲット周波数応答が存在しない、すなわち、最適化ターゲットが確立されない、周波数領域、または周波数セクションを導くことを許容にする。この種の領域は、移行バンドと呼ばれてもよいか、または無関係なバンドである。しかしながら、既に、考慮されるビームフォーミングアプリケーションのために、いくつかの設計仕様なしか、またはいくつかの最適化ターゲットなしに非常に狭い周波数領域は、第2の算出手段46の最適化の間の設計されたFIRフィルタの挙動の無統制に至るという結果となり、たとえば、それらは極めて高い大きさに、そして、該周波数セクションの中のビームフォーミングフィルタの周波数応答の変動に至る。
【0069】
周波数制限42または高いおよび/または低い周波数のための制限を使用することの変形例は、後述されるように、ハイブリッドな設計アプローチを使用することにある。
【0071】
補足<第2の条件>は任意である。第2の条件は、存在する必要はなく、そして、そのことは、高い周波数制限に関して例としてすでに記載されていた。ある単一の第2の条件も可能である。一般的に、該第2の条件は、周波数応答またはFIRフィルタの係数に関する(しかし、独占的に関することを必要としない)可能な多くの第2の条件を表す。周波数変数ωは、典型的には、離散化され、ここで、ω=2πf/f
sの規格化された角周波数として使用される。このように、式(2)の最適化問題および第2の条件の両方は、典型的には、マトリックスの形成で表される。
【0072】
周波数領域最適化56(および/または修正80および/または92)の背景の範囲内で結果として得られる第2の算出手段46の範囲内において実行される時間領域最適化のためのターゲット周波数応答は、一般的に、複素数値であり、そして、特に、線形または最小限の位相であるささいな周波数応答を含む。このように、上述の式(2)の最適化問題は、任意の位相特性を有するFIRフィルタのためのフィルタ設計問題に対応する。方法の多くは、[PR95,KM95,KM99]のような文献においてこれに記載されている。
【0076】
一旦、FIRフィルタ、すなわち、h(i)のインパルス応答が、第2の算出手段46の範囲内において実行される最適化の間に決定されると、修正手段50は、任意に、前に、補償される遅延構成を駆動フィルタに再統合する。別の実施例によって、遅延Ψ’
nのフィルタnへの統合は、たとえば、純粋な遅延Ψ’
nがビームフォーミングアプリケーションの実行時間の間、デジタル遅延ラインのような、適切な信号処理手段によって、制御フィルタの入力または出力に適用されることを回避する。この場合、得られたFIRフィルタのインパルス応答は原因となる、すなわち、インパルス応答のインデックスが0で開始することを単に、保証される。この種の修正は、実行時において、アクティブな算出動作を必要とせず、単に、全ての駆動フィルタnに対して一定の実施によって誘発された遅延を導くことだけに対応する。この遅延がビームフォーマーの全ての駆動フィルタのために一定であることを、留意されなければならない。遅延の別々のアプリケーションのために、サンプリング期間の倍数として、遅延適応80において抽出されたこれらの遅延を選択することは有利でありうる。この場合、具体的には、
図6に関して既に記載されたように、遅延ラインは、全体の遅延に対して使用され、フィルタ処理はされず、いかなるゆがみも引き起こさないと共に、単に、信号へのインデックスされたアクセスのみを必要とする。あるいは、任意の遅延値をマップすることも可能である。しかしながら、これは、任意の遅延(微小な遅延ライン)へのアクセスを有する遅延ラインを必要とし、そして、それは、ゆがみが生じ、算出するパワーを必要とし、そして、おそらく付加的な待ち時間または遅延を結果として得る。
【0077】
高い周波数の制限42に関連で、全ての周波数に等しく関する最適化が、必ずしも役立たないことは既に記載した。同じことは、周波数領域最適化56にも適応される。ハイブリッド設計のアプローチが、周波数領域最適化56においても使用されうることを上記において、既に、示唆された。該アプローチにより、今までに記載されたように、周波数領域駆動関数H
m(ω
k)を得る最適化ベースのアプローチは、モジュール54の範囲内において算出されるように、DSB設計に対応する設計と結合され、DSB設計のアプローチは、高い周波数のために使用される。ここの目的は、同時に、ロバストネスを改善すると共に、必要なフィルタオーダーを低減することである。これに関連して、使用は、高い周波数に対して、トランスデューサーアレイの特有の放射が、空間エイリアシングのため、もはや完全に制御しえないという事実によりなっている。こういうわけで、DSB設計のアプローチは、特定の基本周波数、たとえば、トランスデューサーアレイの空間エイリアシングの振動数に比較的近い周波数を上回る周波数に対して使用される。この目的のために、全体のフィルタの周波数領域の仕様は、2つのパーツから結合される:最適化によって得られる基本周波数までの周波数応答、およびその上の周波数に対して、DSBのこれらに対応する周波数応答である。両方法の組み合わせは、既に述べたように次の平滑化による最適化ベースのFIR設計によって達成される。ここの重要なステップは、信号に両設計のアプローチの遅延時間(遅延)に合うものを見つけることである。たとえば、最小二乗法によって、DSBのための遅延オフセットを決定することが可能であり、その結果、個々の駆動フィルタの遅延ジャンプが二乗平均平方根の範囲内において最小化される。
【0078】
様々な典型的な設計において、ハイブリッドな設計のアプローチは、パフォーマンスにおけるいかなるかなりの損失もなしに挙動のより不安定でない変動によって特徴づけられる高周波領域の範囲内において、そして、方向効率性を有する同時に部分的に改善され、そして、一定のフィルタオーダーを有する低周波領域の範囲内において、より強い放射を可能にする。この理由により、それは、ハイブリッド設計のアプローチにおいて、特定のフィルタオーダーによって供給される自由度がよりよく使用されうると仮定することができ、特性に影響することが可能であるそれらの周波数領域のために、より少ないリソースが高周波に対して使用される一方、空間エイリアシングのための望まれていない放射の抑制のための厳格な制限がある。
【0079】
図7は、再度、ハイブリッドな設計のアプローチを例示する:より低いオーディオ周波数のセクション100が関係する範囲までは、第2の算出手段46の範囲内において実行される時間領域最適化のために使用される伝達関数は、周波数領域最適化56によって得られた伝達関数からなる;値Ψ
n,a
nの周波数に依存しないペアに対応する伝達関数Hnが、より高いオーディオ周波数のセクション102において使用される。セクション100およびセクション102は、カットオフ周波数ω
borderにおいて互いに隣接する。そして、それは、たとえば、トランスデューサーアレイの空間カットオフエイリアシング周波数に対応するか、また、セクション102から10%未満変位する。破線によって示されるように、低周波数領域および高周波数領域100および102に対して互いにオーバーラップすることも可能である。たとえば、セクション100が[ω
N,b,ω
N,e]にわたって広がっており、セクション102が[ω
H,b,ω
H,e]にわたって広がっている場合、たとえば、ω
N,b<ω
H,b(ω
N,e<ω
H,eが適用され、あるいは、ω
N,b=0および/またはω
H,b≦ω
N,eまたは、さらに、ω
H,b=ω
N,eおよび/または0.9・ω
border<ω
H,b,ω
N,e<1.1・ω
borderが適用される。両セクションのオーバーラップ領域において、最終的に使用される時間領域最適化伝達関数は、たとえば、両伝達関数(DSB設計および56の最適化の結果)の間の平均によって得られうる。
【0080】
要約すると、従って、前記実施例は、ロバストなFIRフィルタの設計をビームフォーミングアプリケーションに対して供給する可能性を述べた。任意の位相応答を有するFIRフィルタは、個々のビームフォーミングフィルタの複素数値を有する周波数応答から生成される。前記実施例の特定の値は、ビームフォーマーのロバストネス・プロパティが得られうるということにある。
【0081】
たとえば、ブロードバンド動作の場合、または、たとえば、低周波の限られたレベルのようなトランスデューサーの複雑な挙動の場合において、トランスデューサーアレイのエイリアシング周波数を超えるような、複雑なビームフォーミング問題のためにも得られうるロバストFIRフィルタについて、前記実施例の特定の効果はある。さらなる効果は、すなわち、周波数領域最適化56において、周波数応答仕様の周波数ラスタおよびビームフォーミングフィルタのFIRフィルタオーダーが、互いに無関係に、それぞれに選択されうるということにある。加えて、ビームフォーマーおよびフィルタの設計のための仕様の多くが可能である。レベル制限のような第2の条件、ビームフォーミング周波数応答が存在しない領域においけるフィルタの挙動等が、単純な方法で統合されうる。
【0082】
本発明は、ビームフォーミングアプリケーションの多くにおいて、たとえば、空間的に選択的な音響放射のためのラウドスピーカーの配列において、「静かなゾーン」を生成するために、または、ラウドスピーカーライン(サウンドバー)を介したサラウンド素材を再生するために使用されうる。同様に、前記実施例は、方向的に選択的な方法の音を受信するために、マイクロホンの配列によっても使用されうる。
【0083】
もしくは、たとえば、移動無線アンテナまたはレーダー・アンテナのような電磁波用のビームフォーミングアプリケーションも適している。しかしながら、そこで必要な帯域幅は、オーディオアプリケーションに対して使用されるそれらよりも明らかにより小さい。その結果、FIRフィルタとしての実装、および/またはブロードバンド・フィルタのための設計のアプローチの必要性は、ここで推定するのが困難である。
【0084】
いくつかの態様が装置という脈絡の中で記載されていた場合であっても、該態様も、対応する方法の説明を表現するものとして理解される。その結果、装置のブロックまたは構成要素は、方法のステップに対応するか、または方法ステップの特徴として理解されうる。類推によって、態様は、それとともに記載されていたか、または、方法ステップもブロックに対応し、または装置に対応する詳細あるいは特性の説明を表す。方法ステップのいくつかまたは全ては、ハードウェア装置(または、ハードウェア装置を使用するとともに)、たとえば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路によって実行されうる。いくつかの実施の形態において、最も重要な方法ステップのいくつかまたはいくらかは、この種の装置によって実行されうる。
【0085】
ビームフォーミングフィルタのためのFIRフィルタ係数32の発明性のセットは、デジタル記憶媒体に格納されうるか、または、ワイヤレス伝送媒体または有線の伝送媒体(たとえば、インターネット)のような伝送媒体において送信されうる。
【0086】
特定の実現要求に応じて、本発明の実施の形態は、ハードウェアにおいて、または、ソフトウェアにおいて、実行されうる。その実現態様は、それぞれの方法が実行されるように、プログラミング可能なコンピュータ・システムと協働しうるか、または、協働するこする、そこに格納された電子的に読み込み可能な制御信号を有するデジタル記憶媒体、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはFLASHメモリ、ハードディスク、またはその他の磁気もしくは光メモリを使用して実行されうる。従って、デジタル記憶媒体は、コンピュータ読み込み可能でもよい。
【0087】
本発明による若干の実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかが実行されるように、プログラミング可能なコンピュータ・システムと協働することができる電子的に読み込み可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0088】
通常、本発明の実施の形態は、プログラムコードを有するコンピュータ・プログラム製品として実施され、コンピュータ・プログラム製品がコンピュータ上で実行する場合、プログラムコードは、いくつかの方法を実行するために作動される。
【0089】
プログラムコードは、機械可読キャリアに、たとえば、格納されうる。
【0090】
他の実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するためのコンピュータ・プログラムを含み、コンピュータ・プログラムが、機械可読キャリアに格納される。
【0091】
換言すれば、従って、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行する場合、本発明の方法の実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータ・プログラムである。
【0092】
従って、本発明の方法の更なる実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するためのコンピュータ・プログラムを含むデータキャリア(または、デジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。
【0093】
従って、本発明の方法の更なる実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するためのコンピュータ・プログラムを表しているデータストリームまたは一連の信号である。たとえば、データストリームまたは一連の信号は、データ通信接続、たとえば、インターネットを介して転送されるように構成されうる。
【0094】
更なる実施の形態は、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するために構成され、または適応される処理手段、たとえば、コンピュータ、またはプログラミング可能な論理回路を含む。
【0095】
更なる実施の形態は、その上にインストールされ、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するためのコンピュータ・プログラムを有するコンピュータを含む。
【0096】
発明に従う別の実施の形態は、ここに記載された方法のうちの少なくとも1つを実行するためのコンピュータ・プログラムを、受信器に転送するように構成された装置またはシステムを含む。転送は、例えば、電子的にまたは光学的である。受信器は、例えば、コンピュータまたは携帯機器または記憶デバイスなどである。装置またはシステムは、例えば、コンピュータ・プログラムを受信器に転送するためのファイルサーバーを含む。
【0097】
いくつかの実施の形態において、プログラミング可能な論理回路(たとえば、現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array))が、本願明細書において記載されるいくつかまたは全ての機能を実行するために使用されうる。いくつかの実施の形態において、現場でプログラム可能なゲートアレイは、本願明細書において記載される方法のいくつかを実行するために、マイクロプロセッサと協働しうる。一般に、いくつかの実施の形態において、方法は、いくつかのハードウェア装置によって、好ましくは実行される。ハードウェア装置は、コンピュータ・プロセッサ(CPU)のようないくあつかの一般的に適応できるハードウェアであるか、または、ASICのような方法に特有であるハードウェアでありうる。
【0098】
上述した実施の形態は、本発明の原則の例を表すだけである。本願明細書において記載される装置および詳細の修正および変更は、他の当業者にとって明らかであるものと理解される。こういうわけで、記述の手段および実施の形態の議論によって、本願明細書において表された明細書の詳細な記載によりはむしろ、以下の請求項の範囲にによってのみ制限されるように意図する。
【0099】
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