特許第6427785号(P6427785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427785
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】噴霧器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20181119BHJP
   B05B 7/30 20060101ALI20181119BHJP
   B05B 7/12 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   A45D34/04 550
   B05B7/30
   B05B7/12
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-57149(P2014-57149)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178085(P2015-178085A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】514283825
【氏名又は名称】株式会社エアーサーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌稔
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−159858(JP,A)
【文献】 特表2012−506316(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182578(JP,U)
【文献】 実開平02−147259(JP,U)
【文献】 特表2014−500095(JP,A)
【文献】 特表2008−504113(JP,A)
【文献】 特開2013−042930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B05B 7/12
B05B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体により塗布組成物を噴霧する噴霧器であって、
前記塗布組成物の噴出口を有する噴霧器本体と、
前記噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体供給タンクと、を備え、
前記気体供給タンクは、圧縮気体を収容するタンク本体と、該タンク本体から前記噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体用ホースとを備え、
前記タンク本体は、前記噴霧器本体の使用者の腕に装着可能に構成され
前記タンク本体は、腕に装着可能な装着部材と、その装着部材に設けられたタンク本体とを備え、
前記装着部材は、その内径を自在に伸縮可能な環状ベルトであることを特徴とする、噴霧器。
【請求項2】
前記タンク本体は、二つの単位タンクを有していることを特徴とする、請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
前記単位タンクは、中空円柱状であり、それぞれ平行となるように、前記装着部材の周方向に沿って並べて設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の噴霧器。
【請求項4】
前記噴霧器本体には、前記塗布組成物を供給する組成物供給タンクと、前記塗布組成物を前記噴出口から噴出させる操作部と、前記使用者の指先を挿入する挿入部とが設けられていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の噴霧器。
【請求項5】
前記噴霧器本体の上部に前記挿入部が設けられ、前記噴霧器本体の側部に前記操作部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の噴霧器。
【請求項6】
前記挿入部は、指先の挿入方向が前記噴出口の噴出方向とほぼ同一となるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の噴霧器。
【請求項7】
前記挿入部は、人差し指の指先を挿入可能な形状である、請求項1〜6の何れかに記載の噴霧器。
【請求項8】
前記タンク本体は、手首又は手首付近に装着可能に構成されていることを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の噴霧器。
【請求項9】
前記気体用ホースは、噴霧器本体又はタンク本体の少なくとも一方に対して着脱可能に接続されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載の噴霧器。
【請求項10】
噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体供給タンクであって、
圧縮気体を収容するタンク本体と、
前記タンク本体に接続される気体用ホースと、を備え、
前記タンク本体は、前記噴霧器本体の使用者の腕に装着可能に構成されて、
前記タンク本体は、腕に装着可能な装着部材と、その装着部材に設けられたタンク本体とを備え、
前記装着部材は、その内径を自在に伸縮可能な環状ベルトであることを特徴とする、気体供給タンク。
【請求項11】
前記タンク本体は、二つの単位タンクを有していることを特徴とする、請求項10に記載の気体供給タンク。
【請求項12】
前記単位タンクは、中空円柱状であり、それぞれ平行となるように、前記装着部材の周方向に沿って並べて設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の気体供給タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り扱いを容易にした噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメイクアップ化粧料の肌への典型的な塗布具として、手指、スポンジ、パフ、ブラシ等がある。
一方、近年では、メイクアップ化粧料を噴霧することも提案されている。
例えば、特許文献1には、化粧料噴霧器を用いた化粧方法が記載されている。
この化粧料噴霧器は、噴霧器本体であるエアブラシと、このエアブラシと気体用ホースコネクター間に介挿される中空状の気体用ホースと、エアブラシにエアを供給するコンプレッサーと、を備えている。エアブラシは、化粧料を噴出させるノズルと、化粧料を供給する化粧料入れカップと、化粧料の噴出量を調整する調整レバーと、エア搬送用の気体用ホースを差し込む気体用ホースコネクターとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−42930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来の化粧料噴霧器は、手で把持し、指で調整レバーを引くことにより化粧料を噴霧するタイプの、いわゆるガンタイプであり、化粧という繊細な行為を行う器具としては操作性に欠けるものであった。また、顔に向けるという性質からもガンタイプの器具は好ましいものとは言えなかった。
【0005】
特に、前述した従来の技術では、化粧料の噴霧に際して、噴霧器本体を指先で保持するとともに、保持した指で調整レバーを操作しなければならないことから、噴霧器本体が、保持する手中で安定せず、操作が煩雑で、塗布方向がふらついてしまうという改善点が残されている。
【0006】
また、前記噴霧器本体にコンプレッサーから圧縮気体を供給するために、これらを耐圧ホースによって接続しなければならないが、この耐圧ホースが、前記噴霧器本体の操作の抵抗となり、あるいは、使用者の腕の動きによっては、この腕に絡みついたりすることにより、円滑な使用を阻害することが想定される。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決しようとするものであり、取り扱いが容易で、化粧料等の噴霧に適した噴霧器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、
圧縮気体により塗布組成物を噴霧する噴霧器であって、
前記塗布組成物の噴出口を有する噴霧器本体と、
前記噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体供給タンクと、を備え、
前記気体供給タンクは、圧縮気体を収容するタンク本体と、該タンク本体から前記噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体用ホースとを備え、
前記タンク本体は、前記噴霧器本体の使用者の腕に装着可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の噴霧器によれば、タンク本体が使用者の腕に装着可能に構成されているため、気体用ホースは、噴霧器本体とタンク本体との間を繋ぐ、ごく短い長さで済むことになる。したがって、従来のように気体用ホースが噴霧器本体の操作の抵抗となったり、使用者の腕に絡み付いたりすることを根本的に無くすことができる。
【0010】
即ち、タンク本体を使用者の腕に装着可能にすることで、噴霧器全体を使用者の手や腕のまわりに集約させることが可能になる。これにより、塗布作業時の手や腕の動きを阻害することがなく、安定した操作性を確保することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態として、前記噴霧器本体には、前記塗布組成物を供給する組成物供給タンクと、前記塗布組成物を前記噴出口から噴出させる操作部と、前記使用者の指先を挿入する挿入部とが設けられていることを特徴とする。
【0012】
このように、使用者の指先を挿入する挿入部が噴霧器本体に設けられていることにより、その挿入部に指を挿入した状態で、噴出口を有する噴霧器本体を操作することができるので操作性に優れる。特に、噴霧器本体の挿入部に指先を挿入して装着するので、噴霧器本体を直接指先に装着した形態となり、これにより、指先を動かす絶妙な感覚で操作することが可能になる。
また、また、このように噴霧器本体を指先に装着可能にすることで、噴霧器全体を使用者の手や腕のまわりに集約させることができる。この結果、気体用ホースによって塗布作業時の手や腕の動きを阻害されることなく、安定した操作性を確保することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記噴霧器本体の上部に前記挿入部が設けられ、前記噴霧器本体の側部に前記操作部が設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、噴霧器本体をコンパクトにすることができる上に、より操作性に優れた構成とすることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態として、前記挿入部は、指先の挿入方向が前記噴出口の噴出方向とほぼ同一となるように配置されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、指先で噴霧組成物を塗布しているような繊細な感覚で、噴霧器を操作することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態として、前記挿入部は、人差し指の指先を挿入可能な形状であることを特徴とする。
挿入部をこのような形態にすることにより、噴霧器本体を保持しやすく、操作性を格段に向上させることができる。
【0016】
また、このように使用者の人差し指の指先に装着されると、使用者の親指が、噴霧器本体の側部に設けられている操作部に位置させられるとともに、噴霧器本体の側部で、操作部と反対側に、使用者の中指が位置させられる。
この際、人差し指が挿入部内に挿入されることにより、噴霧器本体が使用者の手に安定した状態で装着される。さらに、使用者の中指が、噴霧器本体の側部に沿わされることにより、前述した安定性がさらに高められる。
【0017】
そして、使用者は、親指によって操作部を押圧操作することによって塗布組成物を噴霧対象に向けて噴霧することができる。この操作部の押圧操作に際して、噴霧器本体の、操作部の反対側の側部に使用者の中指が沿わされていることから、操作部の操作力が中指によって支持されて、噴霧器本体のブレが抑制される。
【0018】
したがって、安定した装着状態が実現できるばかりでなく、塗布組成物の噴霧操作時における噴霧器本体のブレが抑制されることにより、安定した操作性が確保され、化粧料等の塗布組成物のきめ細かな塗布を実現することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態として、前記タンク本体は、手首又は手首付近に装着可能に構成されていることを特徴とする。
このような形態とすることにより、塗布対象に向けて噴霧器本体を繊細に動かす際に、タンク本体を噴霧器本体の動きに追随させることができるため、スムーズな操作性を実現できる。
【0020】
本発明の好ましい形態として、前記気体用ホースは、噴霧器本体又はタンク本体の少なくとも一方に対して着脱可能に接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、使用済の気体供給タンクの交換作業やタンク本体のみの交換作業等を容易にすることが可能になる。
【0021】
本発明の好ましい形態として、前記タンク本体は、両端が近接するように湾曲形成されたタンク本体と、そのタンク本体に前記気体用ホースを接続するための結合金具とを備え、前記タンク本体が柔軟性のある素材で形成されていることを特徴とする。
タンク本体をこのように構成した場合、装着手段を別途設けることなく、タンク本体をシンプルな構造として、腕や手首等に装着する操作を容易にすることができる。
【0022】
本発明の好ましい形態として、前記タンク本体は、腕に装着可能な装着部材と、その装着部材に設けられたタンク本体とを備えていることを特徴とする。
タンク本体をこのように構成しても、タンク本体をシンプルな構造として、腕や手首等に装着する操作を容易にすることができる。
【0023】
本発明は、噴霧器本体に圧縮気体を供給する気体供給タンクであって、
圧縮気体を収容するタンク本体と、
前記タンク本体に接続される気体用ホースと、を備え、
前記タンク本体は、前記噴霧器本体の使用者の腕に装着可能に構成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明において、前記タンク本体は、両端が近接するように湾曲形成された湾曲部と、タンク本体に前記気体用ホースを接続するための結合金具とを備え、前記湾曲部が柔軟性のある素材で形成されていることが好ましい。また、前記タンク本体は、前記使用者の腕に装着可能な装着部材を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の噴霧器は、例えば、化粧のような繊細な動きが必要とされる場面において、操作性に優れる。また、本発明の噴霧器は、全体がシンプルな構造で、指先から塗布組成物を噴霧する柔らかなイメージを有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係る噴霧器の斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る噴霧器の使用態様を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る噴霧器の要部の断面図である。
図4】本発明の実施形態2に係る噴霧器の使用態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
以下、本発明の噴霧器の実施形態1について、図1ないし図3を参照しながら詳細に説明する。
実施形態1の噴霧器1は、化粧料を塗布するための噴霧器である。この噴霧器1は、化粧料の噴出口(ノズル)8を有する噴霧器本体3と、噴霧器本体3に圧縮気体を供給する気体供給タンク30とを備える。
【0028】
気体供給タンク30は、圧縮気体を収容するタンク本体31と、タンク本体31内の圧縮気体を噴霧器本体2に供給する中空状の気体用ホース32とを有している。タンク本体31と気体用ホース32の接続部には、用途が限定されないフック34が設けられている。タンク本体31は略C形状に湾曲形成された湾曲部30aを有し、図2に示すように、手首等に装着可能に構成されている。
【0029】
タンク本体31の材質としては、軽金属、炭素繊維等を含む強化プラスチック、硬質ゴム若しくはそれらの合成材料など、種々の材料で制作することができる。このタンク本体31を手首等に装着する構成とする場合には、少し柔軟性のある材料で形成することが好ましい。気体用ホース31の一端は結合金具36を介してタンク本体31に着脱可能に連結されている。結合金具36はキーボタン35を押圧操作することで、結合を解除することができる。
【0030】
本実施形態の噴霧器1は、化粧料が充填される組成物供給タンク(化粧料タンクと称する)2と、この化粧料タンク2が上部に装着され、この化粧料タンク2から供給される化粧料を噴霧する噴霧器本体3と、この噴霧器本体3に装着され、前記化粧料を噴霧するための圧縮気体を供給する気体供給タンク30とを備えている。
そして、噴霧器本体3には、気体用ホース32の結合金具37が接続されるカプラー5と、化粧料の噴霧量を調整する調整レバー6aを有する操作部6と、使用者の指先が、噴霧器本体3の後方から挿入される挿入部7とが設けられ、調整レバー6aが、噴霧器本体3の側部に設けられているとともに、挿入部7が、噴霧器本体3の上部に設けられた構成となっている。
【0031】
噴霧器本体3は、図2に示すように、その中心軸線に沿った貫通孔3aを備えており、この貫通孔3a内には、その先端部(図中の左側)に、化粧料を霧状にするノズル8と、貫通孔3aの長さ方向に移動させられることにより、ノズル8の開度を調整するニードル弁9と、このニードル弁9を、ノズル8を閉塞する位置に向けて付勢するリターンスプリング10と、が設けられている。
【0032】
また、貫通孔3aの後部は、その内径が大きく形成されて、圧縮気体のアキュムレータAとなされているとともに、このアキュムレータA内に、前記リターンスプリング10が内装されている。
【0033】
貫通孔3aの後端部には、この貫通孔3aの後端部を閉塞して前記アキュムレータAを形成するカプラー5が取り付けられており、このカプラー5とニードル弁9との間に、リターンスプリング10が圧縮状態で介装されている。
【0034】
さらに、噴霧器本体3の中間部には、化粧料タンク2が装着される装着口3bが上方へ向けて開口された状態で形成されており、この装着口3bが、噴霧器本体3内に形成されている化粧料供給路3cを経て、ノズル8の内部へ連通させられている。
【0035】
一方、ニードル弁9の略中間部には、その軸線と直交するようにカムフォロアー11が突設されており、このカムフォロアー11に、調整レバー6に一体に設けられて、噴霧器本体3内に摺動自在に嵌挿されたカム12が係合させられている。
【0036】
そして、調整レバー6aを噴霧器本体3へ向けて押圧した際に、カム12とカムフォロアー11との協働により、ニードル弁9が、リターンスプリング10の付勢力に抗して移動させられて、このニードル弁9によるノズル8の開度が調整されるようになっている。また、調整レバー6aへの押圧力を解除することにより、ニードル弁9がノズル8を閉止する位置に移動させられるとともに、調整レバー6aが元の位置に復帰させられるようになっている。
【0037】
気体供給タンクの結合金具37は、噴霧器本体3に、カプラー5を介して接続されるようになされており、接続された状態において、タンク本体31からアキュムレータAへ圧縮気体(例えば空気)が送り込まれ、調整レバー6が操作されてノズル8が開放された際に、圧縮気体が貫通孔3aを経てノズル8へ送り込まれるようになっている。
【0038】
このノズル8においては、前述したように圧縮気体が送り込まれることにより、その内部に負圧が発生させられ、その負圧により、ノズル8に連通させられている化粧料供給路3cから化粧料が吸引されるとともに、この化粧料が圧縮気体の噴射力によって霧状に粉砕されつつ噴霧されるようになっている。
【0039】
そして、前記カプラー5は、本実施形態においては、前記貫通孔3aと同軸上に装着されており、また、前記気体用ホース32の結合金具37が円筒状に形成されて、前記カプラー5に同軸上に接続されるようになっている。
【0040】
一方、挿入部7は、後方が開放された略円筒状で、後方の内径が若干大きくなるように形成されて、使用者の、例えば、人差し指の指先が円滑に挿入されるようになっている。
【0041】
この挿入部7は、図2に示すように、ノズル8の噴出方向に向けて、人差し指Pの指先を挿入することが可能な形状である。図示例の挿入部7は、人差し指の第1関節あたりまでの指先を挿入可能な空所を有するように形成されている。さらに、指先の腹の部分を支える支え片7aが設けられている。なお、挿入部7には、挿入部7内において指先への通気性を良くするための通気孔7bが複数設けられている。
【0042】
また、噴霧器本体2には、ノズル8内に化粧料を供給する化粧料タンク2が着脱可能に設けられている。化粧料タンク2は、この実施形態では、化粧料を収容する本体部21と、その蓋22と、本体部21の下部に設けられた装着部23とを有している。装着部23は化粧料の吐出口を兼ねていて、噴霧器本体2の装着口3bに液蜜状態に装着される。
【0043】
本実施形態においては、化粧料タンク2の装着部23の吐出口は、破断可能なフィルム(図示せず)で閉塞されており、装着口3bへの装着時に、装着口3b内に設けられた突起(図示せず)によってフィルムが破断されるようになっている。
【0044】
操作部6は、親指Oによる押圧操作によって、圧縮気体を供給する調整レバー6aを有している。前記挿入部7は噴霧器本体1の上部に設けられ、操作部6は噴霧器本体3の側部に設けられている。これにより、図2に示すように、人差し指Pの指先と親指Oの指先とが近接する形態で、かつ、親指Oと中指Qが相対する位置にある状態で、親指の指先で調整レバー6aを安定して押圧操作できるように配慮されている。
【0045】
調整レバー6aには、図1に示すように、親指の指先の腹の部分が密着するように配慮した凹面6bが設けられている。このような形態とすることにより、人差し指と親指で噴霧器本体3を安定的に保持することができ、簡単な操作で、化粧料を噴出させることができる。
【0046】
次いで、このように形成された本実施形態に係る噴霧器1の使用方法について説明する。
【0047】
まず、化粧料が充填された化粧料タンク2を噴霧器本体3の装着口3bに装着するとともに、前記カプラー5に、結合金具37を介して気体用ホース32を装着する。気体用ホース32には、結合金具36を介してタンク本体31を接続する。これによって、噴霧器本体3とタンク本体31と気体用ホース32とが組み上げられる。
【0048】
このようにして組み上げられた噴霧器1は、図2に示すように、その挿入部7に、例えば、使用者が人差し指Pの指先を挿入することによって、使用者に装着される。
【0049】
この状態において、使用者がそれぞれの指を、噴霧器本体3を保持するように動かすと、自然に、使用者の親指Oが前記調整レバー6aに接触させられ、また、中指Qが、噴霧器本体3の、前記調整レバー6aと反対側の側部に接触させられ、さらに、気体供給タンク30のタンク本体31が使用者の手首に装着されることで、この噴霧器1全体が使用者の手に保持される。
【0050】
したがって、噴霧器1は、その噴霧器本体3が、挿入部7によって人差し指Pまわりに嵌合され、また、噴霧器本体3の両側部と上部との3点において支持され、さらには、タンク本体31、気体用ホース32が、親指Oと人差し指Pと手首55の間において、使用者の手の上に載せられるようにして支持される。この結果、噴霧器1全体が使用者によって安定した状態に保持される。
【0051】
そして、化粧料の噴霧、すなわち、化粧料の塗布は、親指Oを動かして、調整レバー6aを噴霧器本体3へ向けて押すことにより行なわれる。
このような親指Oによる調整レバー6aの操作時に、その押下力が、噴霧器本体3の反対側に接触させられている中指Qによって支持されることとなり、塗布操作時における噴霧器1のブレが抑制される。
【0052】
このように、本実施形態に係わる噴霧器1は、使用者の手に装着された状態において安定した状態に保持され、かつ、塗布時においてもそのブレが抑制される。
【0053】
したがって、安定した塗布作業を実現して、細かく良好な化粧を施すことができる。
しかも、この噴霧器1は、その全てが使用者の手のまわりに集約されて、使用者の手の動きを阻害するものがなく、その動きが円滑なものとなり、この点からも、良好な化粧を施すことが可能である。
【0054】
本実施形態によれば、タンク本体が使用者の腕に装着可能に構成されているため、気体用ホースは、噴霧器本体とタンク本体との間を繋ぐ、ごく短い長さで済むことになる。したがって、従来のように気体用ホースが噴霧器本体の操作の抵抗となったり、使用者の腕に絡み付いたりすることを根本的に無くすことができる。
【0055】
即ち、タンク本体を使用者の腕に装着可能にすることで、噴霧器全体を使用者の手や腕のまわりに集約させることが可能になる。これにより、塗布作業時の手や腕の動きを阻害することがなく、安定した操作性を確保することができる。
【0056】
また、噴霧器1は、使用者の指先を挿入する挿入部7が設けられていることにより、その挿入部7に指先を挿入した状態で、ノズル8を有する噴霧器本体3を操作することができるので、極めて操作性に優れる。特に、噴霧器本体3の挿入部7に指先を挿入して装着するので、噴霧器本体3を直接指先に装着した形態となり、これにより、顔や身体への噴霧による化粧を、指先を動かす絶妙な感覚で行うことが可能になる。
【0057】
また、前記挿入部7は、指先の挿入方向がノズル8の噴出方向とほぼ同一となるように配置された構成とすることにより、指先で化粧料を塗布しているような繊細な感覚で、噴霧器1を操作することができる。
【0058】
また、前記挿入部7は、人差し指の指先を挿入可能な形状としたことにより、噴霧器本体3を指で保持しやすく、これにより、微細な操作性を格段に向上させることができる。
【0059】
気体供給タンク30は、圧縮気体を収容するタンク本体31と、該タンク本体31から噴霧器本体2に圧縮気体を供給する気体用ホース32と、を備え、タンク本体31自体は、手首55付近に装着可能な形状である。このような形態とすることにより、塗布対象に向けて噴霧器本体2を繊細に動かす際に、タンク本体31を噴霧器本体3の動きに追随させることができるため、スムーズな操作性を実現できる。
【0060】
また、前記気体用ホース32は、噴霧器本体3又はタンク本体31の少なくとも一方に対して着脱可能に接続されていることで、使用済の気体供給タンク30の交換作業やタンク本体31のみの交換作業等を容易にすることが可能になる。
【0061】
また、前記タンク本体31は、両端30b、30cが近接するように湾曲形成されたタンク本体31と、そのタンク本体31に前記気体用ホース32を接続するための結合金具34とを備え、前記タンク本体31が柔軟性のある素材で形成されているので、装着手段を別途設けることなく、タンク本体31をシンプルな構造として、腕や手首55等に装着する操作を容易にすることができる。
【0062】
<実施形態2>
図4は、本発明の実施形態2に係る使用形態を示す斜視図である。なお、同図において、実施形態1と基本的に同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0063】
この実施形態2の噴霧器1においては、タンク本体31が、手首55や腕に装着可能な装着部材38と、その装着部材38に設けられた二つの単位タンク311、312とを備えている構成としたものである。
【0064】
装着部材38は、その内径を拡大及び縮小可能な伸縮在な環状ベルトで構成されている。単位タンク311、312は、それぞれが中空円柱状のタンクで、二つ並行に並べて設けられている。
ここで、装着部材38としては、環状ベルトに限らず、留め金具等を備えた市販のバンド等も使用可能である。
【0065】
タンク本体31をこのように構成しても、タンク本体31をシンプルな構造として、腕や手首55等に装着する操作を容易にすることができる。
【0066】
なお、上記実施形態では、タンク本体31を手首に仮装着可能な例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、気体用ホース32を長くして、手首以外の腕部分に装着可能な構成としても良い。
【0067】
また、以上の実施形態では、化粧用噴霧器について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、化粧用以外の噴霧器にも適用することができる。例えば絵画に用いる絵具、塗料など、種々の塗布組成物の噴霧器にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、化粧料の噴霧のほか、様々な塗布組成物の噴霧に応用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 噴霧器
2 化粧料タンク(組成物供給タンク)
3 噴霧器本体
3a 貫通孔
3b 装着口
3c 化粧料供給路
30 気体供給タンク
31 タンク本体
32 気体用ホース
5 カプラー
6 操作部
6a 調整レバー
6b 凹面
7 挿入部
8 ノズル
9 ニードル弁
10 リターンスプリング
11 カムフォロアー
12 カム
A アキュムレータ
O 親指
P 人差し指
Q 中指
R 薬指
S 小指
図1
図2
図3
図4