【実施例1】
【0015】
〔GSTH処理を用いたハンガー検出装置:GSTH(A-GSTH(A))〕
図1から
図12を用いて本発明の実施例1に係る画像処理によるハンガー検出装置の詳細を説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施例において画像処理によるハンガー検出装置は、電車車両1の屋根上に設置されたラインセンサカメラ2と、車両1の内部に設置された画像処理部3とを備えている。
また、トロリ線4はちょう架線5に概ね等間隔に設置された複数のハンガー6によって支持されている。
【0017】
ラインセンサカメラ2は、車両1の屋根上の側方に設置され、その光軸が車両1の進行方向に直交するように、且つ、その視野に一つのハンガー6が収まるように設置角度及び仰角を設定されている。ここで、
図1中の一点鎖線は撮影ラインを示している。ラインセンサカメラ2によって取得した
図8に示すような画像(以下、ラインセンサ画像という)Iは画像処理部3に入力される。
なお、
図8に示す例においてラインセンサ画像Iには、トロリ線4、ちょう架線5、及び四つのハンガー6が表示されている。
【0018】
画像処理部3はラインセンサ画像を解析してハンガー6を検出するものであり、演算装置31と記録装置32とから構成されている。
【0019】
図2に示すように、演算装置31はGSTH処理部31a、ハンガー検出部31b、及びメモリ31cを備えている。
【0020】
GSTH処理部31aは、記録装置32からメモリ31cを経て入力されるパラメータとラインセンサカメラ2からメモリ31cを経て入力されたラインセンサ画像Iとに基づき、ラインセンサ画像Iに対して画像輝度反転処理及びGSTH処理を行う。
ここで、画像輝度反転処理とはラインセンサ画像Iに対してx方向の1ラインずつ輝度値を反転する処理である。ただし、x方向で主成分の輝度値が濃色の場合は、夜間やトンネルと判定し輝度反転処理は行わないものとする。
また、GSTH処理とはグレイスケール−トップハット処理(Gray Scale-Top Hat処理)であり、その名の通り、グレイスケール画像に対してTop Hat処理をかけるものである。Top Hat処理とは原画像に対してオープニング画像(同じ回数分収縮→膨張処理した画像)を差し引く処理のことである。
【0021】
以下に、
図3から
図6を用いてGSTH処理部31aによるGSTH処理について簡単に説明する。GSTH処理は、以下の流れで行う。
(1)
図4に示すように、
図3に示す原画像11に対してN画素(
図3では三画素)の範囲(以下、探索範囲という)S
D−m(m=1〜M)をずらしながらそれぞれ最も暗い画素の輝度値を別バッファ(収縮処理バッファ)12−mに書き込む収縮処理を行い、収縮処理画像12(12−M)を作成する。
(2)続いて、
図5に示すように、収縮処理画像12に対してN画素(本実施例では三画素)の範囲(以下、探索範囲)S
L−mをずらしながらそれぞれ最も明るい画素の輝度値を別バッファ(膨張処理バッファ)13−mに書き込む膨張処理を行い、オープニング画像13(13−M)を作成する。
(3)続いて、原画像11から(2)で作成したオープニング画像13(13−M)を差し引く。
以上の処理を行うことで、
図6に示すように画像内の暗い部分に囲まれた明るい画素を強調したGSTH画像14が得られる。
【0022】
GSTH処理部31aにおいて画像輝度反転処理後、GSTH処理が施されたラインセンサ画像(変換画像)はメモリ31cを経てハンガー検出部31bへ入力される。
【0023】
ハンガー検出部31bは、記録装置32からメモリ31cを経て入力されるパラメータとGSTH処理部31aからメモリ31cを経て入力される変換画像とに基づいて、二値化処理等によりハンガー6を検出する。
ここで、架設されているハンガー6は所定の等間隔(距離)で設置されているので、検出したハンガー6の数を計数することにより画像中の位置を把握することができる。
また、
図12に示すように、本実施例では鉛直に設置されたハンガー6のみを検出し、傾斜したハンガー6は検出されない。また電柱間のハンガー6の数は、予め設備データとして管理されている。したがって別途電柱検出信号と連動させることで、電柱ごとのハンガー6の本数が少ない場合は、異常角度のハンガー6として検出できる。
ハンガー検出部31bによって検出したハンガー6の情報は、ハンガ検出結果としてメモリ31cへ出力される。
【0024】
メモリ31cは各種データを一時的に保管する。記録装置32には各種データが保存される。なお、上述したパラメータは、探索範囲を設定するための画素数N、GSTH処理を行う際に必要となるピクセル数w,hや、二値化しきい値等である。
【0025】
以下、
図7に基づいて本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置における処理の流れを説明する。
【0026】
図7に示すように、本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置においては、まずラインセンサカメラ2から
図8に一例を示すようなラインセンサ画像Iを入力する(ステップS1)。なお、
図8に示すx方向は、
図1におけるラインセンサカメラ2の撮影ラインに対応する。また、
図8に示すy方向は、ラインセンサカメラ2で1ラインずつ撮影した時間である。等速走行する車両から撮影した画像は
図8のようになる。
【0027】
続いて、GSTH処理部31aにおいてラインセンサ画像Iに対して輝度値を反転する処理を行う(ステップS2)。これにより、
図9に示すような輝度反転画像I
Aを得る。なお、上述したように輝度反転はラインセンサ画像Iのx方向の1ラインずつで処理し、x方向で主成分の輝度値が濃色の場合は、夜間やトンネルと判定し輝度反転しないため、
図8の上部に示す背景が濃色であるトンネル箇所を、空等の背景が淡色である区間と同化させることができる。
【0028】
続いて、同じくGSTH処理部31aにおいて、
図8に示す輝度反転画像I
Aをx方向へGSTH処理する(ステップS3)。すなわち、x方向に長いw×1[pixel]の領域内で最も暗い画素を取得する
図4に示す収縮処理を施し、次に最も明るい画素を取得する
図5に示す膨張処理を施す。これによって
図10に示すような白色箇所がx方向について幅w以下で抽出された第一のGSTH画像I
Bを得る。なおwはトロリ線などの線条の幅に対応しており、実験的に算出する。
図10に示す例では、第一のGSTH画像I
Bは、輝度反転画像I
Aに対してハンガー6及び電柱や建物等の外乱7が除去された画像となっている。
【0029】
続いて、同じくGSTH処理部31aにおいて、輝度反転画像I
Aから第一のGSTH画像I
Bを差し引いて、
図11に示すような差分画像I
Cを得る(ステップS4)。
図11に示す例では、差分画像I
Cは、ハンガー6及び電柱や建物等の外乱7が抽出された画像となっている。なお差分処理で負になる領域ができる場合、0以下は0に切り上げるものとする。
【0030】
続いて、同じくGSTH処理部31aにおいて、差分画像I
Cをy方向へGSTH処理する(ステップS5)。すなわち、y方向に長い1×h[pixel]の領域内で最も暗い画素を取得する
図4に示す収縮処理を施し、次に最も明るい画素を取得する
図5に示す膨張処理を施す。これによって
図12に示すように白色箇所が、y方向でかつh以下の長さで抽出された画像(以下、第二のGSTH画像)I
Dを得る。なおhはハンガー6の直径に対応しており、実験的に算出する。
図12に示す例では、第二のGSTH画像I
Dは、差分画像ICに対しハンガー6のみが抽出された画像となっている。
第二のGSTH画像I
Dは変換画像としてメモリ31cを経てハンガー検出部31bへ入力される。
【0031】
続いて、ハンガー検出部31bにおいて、
図12に示す第二のGSTH画像I
Dから、二値化処理等を使用してハンガー6を検出する(ステップS6)。架設されているハンガー6は所定の等間隔(距離)で設置されているので、検出したハンガー6の数を計数し画像中の位置を把握する。
【0032】
以上のステップP1〜ステップP6の処理を全てのラインセンサ画像Iの入力が終了するまで行う。
【0033】
このように構成される本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置では、GSTH処理は
図4に示した収縮処理と
図5に示した膨張処理を組み合わせて、かつ、w×1[pixel]と1×h[pixel]の領域から直線を求めることで、輝度反転画像I
A中に写る直線のなかから所定の方向で、かつ所定の太さより細い直線だけを抽出することができる。
そのため、本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置にはGSTHの特徴を生かした次の利点がある。
・所定の方向と所定の太さで写るハンガーだけを検出できる。
・トンネル坑口や電柱7などハンガー6とは異なる特徴を有する外乱を排除しハンガーだけを検出できる。
・本実施例では鉛直方向に設置された正常なハンガー6のみを検出し、設置角度が管理値外の正常でない斜めのハンガーは検出しない。そのため、本実施例で検出したハンガー6の本数と、予め設備データとして管理されている電柱ごとの正常なハンガー6の本数とを比較することで、異常なハンガーを検出することもできる。
【実施例2】
【0034】
〔簡略化したGSTH処理を用いたハンガー検出装置:GSTH(gsth(A))〕
以下、
図1から
図6及び
図8から
図13を用いて本発明の実施例2に係る画像処理によるハンガー検出装置について説明する。本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置は、GSTH処理部31bにおける処理が簡略化されている点が実施例1とは異なる。装置構成については実施例1に係る画像処理によるハンガー検出装置と同様であり、以下、重複する説明は省略し、画像処理部3における処理を中心に説明する。
【0035】
図13に基づいて、本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置における処理の流れを説明する。
図13に示すように、本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置おいては、まずラインセンサカメラ2から
図8に一例を示すようなラインセンサ画像Iを入力し(ステップS11)、続いて、GSTH処理部31aにおいてラインセンサ画像Iに対してx方向で主成分の輝度値が淡色の撮影ラインについて輝度値を反転する処理を行う(ステップS12)。これにより、
図9に示すような輝度反転画像I
Aを得る。
【0036】
続いて、同じくGSTH処理部31aにおいて、
図8に示す輝度反転画像I
Aをx方向へgsth処理する(ステップS13)。すなわち、x方向に長いw×1[pixel]の領域内で最も暗い画素を取得する
図4に示す収縮処理を施す一方、最も明るい画素を取得する
図5に示す膨張処理は実施しない。これによって
図11に示すような白色箇所がx方向について幅w以下で抽出されたgsth画像I
Cを得る。なおwはトロリ線などの線条の幅に対応しており、実験的に算出する。
【0037】
続いて、同じくGSTH処理部31aにおいて、gsth画像I
Cをy方向へGSTH処理する(ステップS14)。すなわち、y方向に長い1×h[pixel]の領域内で最も暗い画素を取得する
図4に示す収縮処理を施し、次に最も明るい画素を取得する
図5に示す膨張処理を施す。これによって
図12に示すように白色箇所が、y方向でかつh以下の長さで抽出されたGSTH画像I
Dを得る。なおhはハンガー6の直径に対応しており、実験的に算出する。
GSTH画像I
Dは変換画像としてメモリ31cを経てハンガー検出部31bへ入力される。
【0038】
続いて、ハンガー検出部31bにおいて、
図12に示すGSTH画像I
Dから、二値化処理等を使用してハンガー6を検出する(ステップS15)。ハンガー6は所定の間隔(距離)で設置されているので、検出したハンガー6を計数することで車両の現在位置を把握し、また、ハンガー6の設置角度には管理値があるので、所定の設置角度かどうかを検査する。
【0039】
以上のステップP11〜ステップP15の処理を全てのラインセンサ画像Iの入力が終了するまで行う。
【0040】
このように構成される本実施例に係る画像処理によるハンガー検出装置では、輝度反転画像I
Aをx方向へgsth処理する(
図4に示した収縮処理のみを実施する)ことにより処理を簡略化しているので、実施例1に比べてハンガー検出処理を高速化できる利点がある。なお、gsth処理を行うことにより、画像上で検出されたハンガー6が短くはなるが、本実施例はハンガー6の有無の判定が目的であるので、検出したハンガー6が短くなっても影響はない。