特許第6427804号(P6427804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427804信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427804
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20181119BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   A62B35/00 E
   E04G21/32 D
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-79723(P2015-79723)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-198235(P2016-198235A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山下 伊智朗
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−004005(JP,A)
【文献】 特開2011−034374(JP,A)
【文献】 特開2010−252879(JP,A)
【文献】 特開2007−044166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綱に安全帯のフックを掛けたことを電気的に検知するための信号を通す導体線を
延伸する前記綱に沿って、前記綱の内又は/及び外に備え、
前記導体線は、信号の行きと戻りのために対になっていて、一方は、電気的にシールドされない導体線または電気的にシールドされない絶縁被覆導体線であり、他方は、前記導体線が絶縁被覆され、且つ、その上から金属体で被覆され、前記金属体を一定の電位に接地することを可能としたことで前記導体線を電気的にシールドされるようにしたことを特徴とする信号線付き親綱。
【請求項2】
前記導体線の前記対は、前記綱の先端側で引き出され、両者を電気的接続するための接続具を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号線付き親綱。
【請求項3】
前記導体線は、前記導体線を保護するため保護管に挿入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の信号線付き親綱。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の信号線付き親綱と、
前記フック掛けを検出するための検知信号を発生する検知信号発生器と、前記検知信号に関して前記フック掛けを判断する検知器と、前記綱にかけるべきフックと、前記フックに備えた電気回路部とを備え、前記検知信号は、前記検知信号発生器から前記導体線に送られ、前記フックは、前記綱に掛けるためのCの字形状部と切片を有し、前記Cの字形状部の一端に前記切片の一端が回転自在に付いていて、前記フックの開閉に対応して、前記Cの字形状部の他端と、前記切片の他端が、離間または接触するものであり、
前記フックが前記綱に掛けられたことによる前記フックの閉状態により、前記フックに備えた前記電気回路部で電気的閉回路が構成され、前記導体線を流れる前記検知信号による電磁界が前記電気的閉回路に電気的影響を与え、
前記導体線を流れる前記検知信号と前記電気回路部との間に電磁的又は電気的相互作用が起こることによる前記電気回路部内の電気量を前記検知器が検知してフック掛けを判断することを特徴とする信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置。
【請求項5】
前記電気回路部は、所定の共振周波数を有する共振素子回路を備え、前記検知信号発生器は、前記所定の共振周波数と同じ周波数の信号を発生し、前記検知信号として前記導体線へ送付するものであり、前記検知器は、前記導体線を介して戻ってくる前記検知信号を受けて、前記所定の周波数の信号強度により、前記共振素子回路による電力損失を検出し、所定以上の損失がある場合をフック掛けがあると判断することを特徴とする請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置。
【請求項6】
前記共振素子回路は、前記フック毎に相異なる周波数の共振周波数をもつ共振素子回路を備え、前記検知信号発生器は、これに対応して相異なる周波数と同じ周波数の複数信号を発生、送付し、前記検知器は、これらの戻ってくる信号を受けて判断することで、損失を受けた検出信号の周波数によりフック個々を識別することを可能とすることを特徴とする請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置。
【請求項7】
前記検知信号発生器は、所定の信号を発生し、前記検知信号として前記導体線へ送付するものであり、前記電気回路部は、前記電気的閉回路に誘導された前記検知信号成分を増幅する増幅器を有し、所望の信号強度以上かどうかを判断する閾値をもつ前記検知器を有することを特徴とする請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の信号線付き親綱と、
前記導体線と前記フックとの電気的接触を検出する検出回路とを有することを特徴とする信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線付き親綱とこれを用いた高所作業での転落防止のための安全帯のフック掛けを検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安全帯のロープ(ランヤード)先についたフックを親綱又は他の堅固な支持物に掛けた状態を検出して、不都合な場合に警報を出すなどの検出装置の例として、特許文献1から特許文献2に見ることができる。
特許文献1では、段落番号0008、0009に第二センサ(使用状態検出センサ)のスイッチが押されることでフック掛けの是非を検出している。これは、被掛止物により押圧されて移動するスイッチであり、使用不使用スイッチと記述され、この切片が被掛止物により押圧されて移動することで、根元に着いた電気的スイッチが駆動されるものである。フック自体が最初から極めて頑丈になってないといけない。又、親綱との接触が随時変わるのでセンス信号が不安定であること、接触の繰り返しストレスにより破損しやすく、破損や故障をすると、フック自体から無駄になってしまう欠点がある。又、センス信号の配線が、管として構成したフックの中を通さなければならないなど複雑で、フック強度と重量が必要となるなど多くの欠点がある。
特許文献2では、フック内にコイルを這わせ、親綱側に磁性体を備えて、磁束の変化による起電力でフック掛けの是非を検出している。フック内のコイルは、フックの開き部の先端において、コイルの電極が接触するようにしている。この構造は、極めて複雑であり製作が厄介である。さらに接触点での信頼性に欠けるし、先端の開き部は、親綱等が通過する部分であり、度重なる接触で劣化するものであり、又、コイル回路のどこで不具合になっても、フック全体が駄目になる欠点を有する。前の例と同じく、管として構成したフックの中を通さなければならないなど複雑で、フック強度と重量が必要となる欠点もある。又、親綱全体に磁性体を施さ無ければならない欠点もある。尚、この発明で、親綱側に磁性体を備えるとなっているが、均質に備えると、フックを移動してもコイルを貫く磁束の量は一定なので、起電力は発生しない。以上のいずれでも、親綱とフックとの掛かりを検出するための親綱に導電線を備えた信号線の入った親綱とこれとフック側との電気的関係を用いた検知装置は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5079637号
【特許文献2】特許第3986656号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、フック側に付けた機械的・電気的スイッチや、光センサなどに寄らずに、
親綱内に備えた信号線の信号とフック側の電気装置との相互作用により、フック掛けを検出するための信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置は、
綱に安全帯のフックを掛けたことを電気的に検知するための信号を通す導体線を
延伸する前記綱に沿って、前記綱の内又は/及び外に備え、導体線は、信号の行きと戻りのために対になっていて、一方は、電気的にシールドされない導体線または電気的にシールドされない絶縁被覆導体線であり、他方は、導体線が絶縁被覆され、且つ、その上から金属体で被覆され、金属体を一定の電位に接地することを可能としたことで導体線を電気的にシールドされるようにしたことを特徴とする信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置となっている。
以下、請求項に沿って説明する。
【0006】
請求項1記載の発明は、信号線付き親綱であって、
綱に安全帯のフックを掛けたことを電気的に検知するための信号を通す導体線を
延伸する前記綱に沿って、前記綱の内又は/及び外に備え、
前記導体線は、信号の行きと戻りのために対になっていて、一方は、電気的にシールドされない導体線または電気的にシールドされない絶縁被覆導体線であり、他方は、前記導体線が絶縁被覆され、且つ、その上から金属体で被覆され、前記金属体を一定の電位に接地することを可能としたことで前記導体線を電気的にシールドされるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項記載の発明は、請求項1記載の信号線付き親綱において、
前記導体線の前記対は、前記綱の先端側で引き出され、両者を電気的接続するための接続具を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の信号線付き親綱において、
前記導体線は、前記導体線を保護するため保護管に挿入されていることを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置であって、
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の信号線付き親綱と、
前記フック掛けを検出するための検知信号を発生する検知信号発生器と、前記検知信号に関して前記フック掛けを判断する検知器と、前記綱にかけるべきフックと、前記フックに備えた電気回路部とを備え、前記検知信号は、前記検知信号発生器から前記導体線に送られ、前記フックは、前記綱に掛けるためのCの字形状部と切片を有し、前記Cの字形状部の一端に前記切片の一端が回転自在に付いていて、前記フックの開閉に対応して、前記Cの字形状部の他端と、前記切片の他端が、離間または接触するものであり、
前記フックが前記綱に掛けられたことによる前記フックの閉状態により、前記フックに備えた前記電気回路部で電気的閉回路が構成され、前記導体線を流れる前記検知信号による電磁界が前記電気的閉回路に電気的影響を与え、
前記導体線を流れる前記検知信号と前記電気回路部との間に電磁的又は電気的相互作用が起こることによる前記電気回路部内の電気量を前記検知器が検知してフック掛けを判断することを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置において、
前記電気回路部は、所定の共振周波数を有する共振素子回路を備え、前記検知信号発生器は、前記所定の共振周波数と同じ周波数の信号を発生し、前記検知信号として前記導体線へ送付するものであり、前記検知器は、前記導体線を介して戻ってくる前記検知信号を受けて、前記所定の周波数の信号強度により、前記共振素子回路による電力損失を検出し、所定以上の損失がある場合をフック掛けがあると判断することを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置において、
前記共振素子回路は、前記フック毎に相異なる周波数の共振周波数をもつ共振素子回路を備え、前記検知信号発生器は、これに対応して相異なる周波数と同じ周波数の複数信号を発生、送付し、前記検知器は、これらの戻ってくる信号を受けて判断することで、損失を受けた検出信号の周波数によりフック個々を識別することを可能とすることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項記載の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置において、
前記検知信号発生器は、所定の信号を発生し、前記検知信号として前記導体線へ送付するものであり、前記電気回路部は、前記電気的閉回路に誘導された前記検知信号成分を増幅する増幅器を有し、所望の信号強度以上かどうかを判断する閾値をもつ前記検知器を有することを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置であって、
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の信号線付き親綱と、
前記導体線と前記フックとの電気的接触を検出する検出回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の様に構成されているので、フック側に付けた機械的・電気的スイッチや、光センサなどに寄らずに、親綱内に備えた信号線の信号とフック側の電気装置との相互作用により、フック掛けを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の信号線付き親綱の一実施態様を示す図である。
図2】本発明の信号線付き親綱の使用時の一実施態様を示す図である。
図3】本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の別の実施態様を示す図である。
図4】本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の別の実施態様を示す図である。
図5】本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の別の実施態様を示す図である。
図6】本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の信号線付き親綱は、
綱に安全帯のフックを掛けたことを電気的に検知するための信号を通す導体線を延伸する前記綱に沿って、前記綱の内又は/及び外に備え、導体線は、信号の行きと戻りのために対になっていて、一方は、電気的にシールドされない導体線または電気的にシールドされない絶縁被覆導体線であり、他方は、導体線が絶縁被覆され、且つ、その上から金属体で被覆され、金属体を一定の電位に接地することを可能としたことで導体線を電気的にシールドされるようにしたことを特徴とする信号線付き親綱であり、安全帯フック掛け検知装置は、これを用いて、検知信号発生器と検知器とフックに備えた電気回路部を備えている。
以下図に沿って説明する。
【0017】
図1は、本発明の信号線付き親綱の一実施態様を示す図である。
1−Aには、電気導体である2本の導体線が親綱の中心に通っている例である。
ここでは、保護管111の管孔112の中を2本の導体線120A、120Bが通っている。導体線120Aは、金属網被覆の絶縁被覆電線の状態であり、内部の絶縁被覆電線が金属網の被覆で電気的にシールドされることができる。即ち、シールドのために金属網は一定の電位に接地されて使用される。導体線120Bは、絶縁被覆電線の状態であるので、その周りに発する電磁界は外部との間で検出に供することができる。従って、この2本の導体線120A、120Bは、一方の先端で接続されることで、他の端から入った信号を導体線120A,120Bに流すことができて、一方は、送付線、他方は戻り線で回路を構成する。
保護管111の外側には、親綱として強度をもつ綱体130が編み込まれ形成されている。
綱体130が柔軟に曲がるように、導体線120A、120Bも含め保護管111も柔軟に曲がる。1−Aにおいては、親綱の先端(この図で右先端)側の長さ方向に、導体線120A、120Bが引き出されているが、1−Bでは、親綱の先端(この図で右先端)側の綱の側面方向に導体線120A、120Bが引き出されている点が違っている例である。以上、説明した保護管111の管孔112の中を2本の導体線120A、120Bがある状況を左の先端を拡大して示したのが1−Cである。導体線120Aは、絶縁被覆電線121が金属網122でその周りを覆われている。金属網122に繋がる接地用電線123が接地用に使われる。例えば、右側では、導体線120A、120Bが接続されて、左側の絶縁被覆電線121、124が各々、信号線として信号源や、検知器に電気的に繋げられる。この様に、親綱内に2本の導体線を備えると、これのみで電気回路を構成できるので好都合である。
尚、2本の導体線の内、往復の線のどちらかをシールドしたのは、以下の理由である。
シールドした場合は、シールドされた側の電線の電磁界は外には出てこないので、外では検知されない。従って、シールドされない側の電磁界のみ外にでて検知されるので、検知信号を得ることができる。両方ともシールドされていない場合は、両方の電線に同じ信号が流れ、しかも逆向きなので、電磁界は互いに打ち消しあい外に出てこない。従って、検出信号を得ることができない。一方のみシールドするのはこのためである。
尚、保護管111は、必ずしも必要ではないが、あれば、絶縁被覆電線等の電線を出し入れする場合には、容易になり好都合である。
【0018】
1−Dと1−Eには、導体線が1本の場合を示す。1−Dでは、絶縁被覆電線140(この場合は、必ずしも絶縁でなくともよい)の周りに親綱として強度をもつ綱体130が編み込まれた構成である。
1−Eでは、親綱として強度をもつ綱体130の少なくとも側面150が導体である例である。
勿論、親綱全体が導体で編まれていても良い。
導体線が1本しかないので、親綱以外に、導体線に繋がる戻りの導体線を他に準備しなければならないので、2本線の場合より少し不便である。
尚、以上では、電磁界を検知するとして電気回路を構成したが、単なる電気的接触を見ることで考えるとフックの接触を見るためにフック側との電気回路を構成することになるので、1本線でもよい。しかし、1本線は、他に導体線を引いて、全体的には回路にしないと用を成さないので、使用上は面倒であり、極めて使いにくい。
【0019】
図2は、本発明の信号線付き親綱の使用時の一実施態様を示す図である。
特に図1の1−A、1−Bに示す信号線付き親綱の2本の導体線120A、120Bを一方の先端で簡単に接続する接続具200を示している。
親綱側の導体線120A、120Bは、それぞれ二つの導体ピン201に接続してあり、一方、右側では、この導体ピン201が挿入される二つの導体ピン受け202があり、これらは、接続体203で電気的に繋がっている。導体ピン201と導体ピン受け202は、各々、互いに嵌め合える雄雌構造のコネクタ容器210A、210Bに内在している。
ゆえに、この接続具であるコネクタは、嵌めることで容易に導体線120A、120Bの電気的接続ができる。
【0020】
図6は、本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の一実施態様を示す図である。
安全帯フック掛け検知装置600は、以上説明した信号線付き親綱610を用いたものであり、
上記の信号線付き親綱610と、フック掛けを検出するための検出信号を発生する検知信号発生器620と、検知信号を受けてフック掛けを判断する検知器630と、フック640と、これに備えた電気回路部641とを備え、検知信号は、検知信号発生器620から信号線付き親綱610の導体線(図1では、120A、120B)へ導体線611を介して送られ、フック640は、Cの字形状部642と切片643を有し、Cの字形状部642の一端に切片643の一端が回転結合部644により回転自在に付いていて、フック640の開閉に対応して、Cの字形状部642の他端の内側で、切片643の他端が、離間または接触するものであり、フック640が信号線付き親綱610に掛けられた状態でのフックの閉状態では、Cの字形状部642の端と切片643の端が電気的に接触して、
フックに備えた電気回路部641との間で電気的閉回路が構成され、検知信号による電磁界が電気的閉回路に電気的影響を与え、導体線611を流れる検出信号と電気回路部641との間に電気的相互作用が起こることによりフック掛けを判断することができる。
検知信号発生器620と検知器630と、フック640に備えた電気回路部641は、図3図4の例では、各々説明するような違いが出る。
尚、フック640は、信号線付き親綱610に掛けて使うものである。掛けるときは、
切片643を内側に押して開き、間隙から信号線付き親綱610をCの字形状部642の内側に取り込む。切片643が戻り閉じられると、切片643とCの字形状部642の両端は電気的にも接触して電気回路部641が電気的閉回路になる。
図3図4で共通なところは、図1の1−A又は1−Bの片側シールドの2本の信号線が入った信号線付き親綱100を使用していて、右端は、図2の接続具200で電気的に繋がれていることである。
【0021】
図3は、本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の一実施態様を示す図である。
安全帯フック掛け検知装置3000は、信号線付き親綱100と、フック3100と、信号線付き親綱100の導体線120A、120Bに検出信号を送る検知信号発生器3210と、戻り信号からフック掛けを検知する検知器3220を有する。
【0022】
フック3100は、図6で説明したように、Cの字形状部642と切片643があり、その中には電気回路部641があることは同じである。電気回路部641は、共振素子回路3110となっている。
Cの字形状部642と切片643内には電線(フックが金属では、これを導体代わりにできるので電線が不要)が配され、フックの切片の先端とこれを受けるC字部の先端部で電気的に接触し電気的閉回路を形成している。従って、信号線付き親綱100にフック3100を掛けた状態では、電気的閉回路を親綱の信号線が貫通していて、信号線の電磁界が交差し、共振素子回路3110との間で電磁的カップリングができる。尚、共振素子回路3110は、図示のように、電気抵抗、インダクタンス、静電容量の受動素子の組み合わせでもよいし、これらとトランジスタなどの能動素子の組み合わせでも構成されることは周知のことである。
【0023】
図3の例では、検知信号発生器3210と略同体に検知器3220を有している。検知信号発生器3210は、共振素子回路3110の共振周波数と同じ周波数の信号を発生させるものであり、導体線120A、120Bに送信する。検知器3220は、導体線120A、120Bからの戻り信号を受けて以下のように検知するものである。共振素子回路3110の共振周波数と検知信号発生器3210の発振する信号の周波数が同じなので、共振素子回路3110は、送信された信号に共振して、エネルギーを得る。この分、信号側は、エネルギー損失ができるので、その周波数の損失分を検知すれば、エネルギー損失があれば、その共振素子回路3110を有するフック掛けがあることが検知できる。フックが外れていれば、エネルギー損失はないか少ないことになる。これは、親綱の長さ方向のどの位置にあっても検出が可能である。
尚、相異なる周波数の複数の共振素子回路3110を備えてフック3100側で切り替えると、現場端末の検知信号発生器3210側で、これらの複数の周波数の発振信号を送れば、その中の一つの周波数成分のみエネルギー損失が見られるので、どの共振素子回路3110をもつフック3100が掛かっているか判別でき、複数の間での個別認識(使用者の認識)もできる。
尚、現場端末側でフック掛けが検出できるので、警報手段や通信手段を備えれば、そのまま、フックが掛けられていない場合や外された場合には、現場端末や他の端末、遠隔の管理装置で判断又は/及び警報をすることもできる。
【0024】
図4は、本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の別の実施態様を示す図である。
図3の例では、検知器3220を検知信号発生器3210と略同体に備えたが、図4では、検知器4120は、安全帯のフック4100の側に電気回路部4110と略同体に備えている。
全体構成を述べる。
安全帯フック掛け検知装置4000は、信号線付き親綱100と、フック4100と、信号線付き親綱100の導体線120A、120Bに検出信号を送る検知信号発生器4210を有する。
フック4100は、図6で説明したように、Cの字形状部642と切片643があり、その中には電気回路部641があることは同じであり、電気回路部641は、フックの開閉片の先端とこれを受けるC字部の先端部で電気的に接触し、電気的閉回路を構成している。
又、電気回路部641と電気的に結合して検知器4120が備えられている。
尚、図3の例と同じく、フックが金属では、これを導体代わりにできるので電線が不要となる。
従って、信号線付き親綱100にフック4100を掛けた状態では、電気的閉回路を親綱の信号線が貫通していて、信号線の電磁界が交差し、電気的閉回路との間で電磁的カップリングができる。
検知信号によりフック4100の電気回路部の導体を誘導電流がながれると、これが、検知器4120の中の増幅器に入力し増幅され、所定値以上の大きさの信号が検出されていれば、親綱の信号線を流れる信号を検出しているとみて、親綱へのフック掛け状態にあると判断する。
その結果は、警報出力や他の端末や遠隔の管理装置への通信に供されるので、警報手段や通信手段があると好都合であることは図3と同様である。
従って、フック掛けを判断するのは、図3とは違い、検知器4120を備えたフック4100、従って、作業者の側の装置で行うことになる。そして、図3との違いは、共振を利用していないので、現場端末の備える検知信号発生器4210の周波数は任意のものとなる。又、戻りの信号の損失を見ることもない。
【0025】
図5は、本発明の信号線付き親綱を用いた安全帯フック掛け検知装置の別の実施態様を示す図である。尚、図で510は、フックを示す。
5−Aでは、図1の1−Dの親綱を用いて、図3の構成をとった場合である。点線で示すように戻り線が他に必要になる。尚、判断は、当然ながら検知器の役割でもある。
5−Bでは、図1の1−Eの親綱を用いて、電気的接触によるフック掛け検出をした場合である。故に親綱の電気的導体とフックの電気的導体の接触を電気的導通検出によって行うものである。いずれにせよ、1本線の場合は、他に導体線を用意する必要があり、不便さが残る。電気的導通検出は、検知器の役割でもある。
【0026】
尚、安全帯としてのフック以外のロープや帯やハーネスは、安全帯として当然であるので記述を省略した。
又、図3図4には、エリアセンスのためのエリアセンス手段が書かれているが、これは、安全帯又はそのフック従ってこれを付けた作業者が、転落防止のために管理されるべき高所作業エリアに入場していることを検出するもので、この間は、フック掛けを検出するためのものであり、あると好都合である。尚、エリアセンス手段は、そのエリアにいることを検出するので、RFID−TAGとそのリーダー、フットスイッチ、画像検知、スクリーン光スイッチなど多くの検出手段が考えられる。更に、エリアセンス手段は、検知信号発生器側、フック側、所望のエリアなどいずれに備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように本発明による信号線付き親綱とこれを用いた安全帯フック掛け検知装置
では、フック側に付けた機械的・電気的スイッチや、光センサなどに寄らずに、
親綱内に備えた信号線の信号とフック側の電気装置との相互作用により、フック掛けを検出できるので産業上利用して極めて好都合である。
【符号の説明】
【0028】
100 信号線付き親綱
111 保護管
112 管孔
120A、120B 導体線
121、124、140 絶縁被覆電線
122 金属網
123 接地用電線
130 綱体
150 側面
200 接続具
201 導体ピン
202 導体ピン受け
203 接続体
210A、210B コネクタ容器
600 安全帯フック掛け検知装置
610 信号線付き親綱
620、3210、4210 検知信号発生器
630、3220、4120 検知器
640 フック
641、4110 電気回路部
642 Cの字形状部
643 切片
644 回転結合部
3000、4000 安全帯フック掛け検知装置
3100、4100 フック
3110 共振素子回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6