(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチ制御部は、前記受電電圧値が、所定のしきい値よりも小さくなった場合には、前記スイッチ素子をオフすることにより、前記共振回路と前記リアクタンス素子との接続を切断するように構成されている、請求項1に記載の非接触給電システム。
前記スイッチ制御部は、前記受電電圧値を検出するとともに、検出された前記受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、前記スイッチ素子をオンする信号を前記スイッチ素子に出力するように構成されている、請求項1または2に記載の非接触給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の非接触給電装置では、2次側(受電装置側)の受電電圧値が設定した電圧値よりも小さい場合にも、過飽和リアクトルに電流が流れてしまうため、電力損失が発生するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置の回路部品を保護することが可能な非接触給電システムおよびこの非接触受電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による非接触給電システムは、給電装置と、給電装置から共鳴方式により非接触で電力を受電する受電装置と、を備え、受電装置は、受電コイルと共振コンデンサとを有する共振回路と、リアクタンス素子と、オンされることにより
、共振回路とリアクタンス素子とを接続す
るスイッチ素子と、共振回路の受電コイルを介して給電装置から受電した電力の受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオンする信号をスイッチ素子に出力するスイッチ制御部と、を含
み、共振コンデンサは、受電コイルに直列に接続された第1コンデンサと、受電コイルに並列に接続された第2コンデンサと、を有し、リアクタンス素子は、第1コンデンサに直列に接続された第1リアクタンス素子と、第2コンデンサに直列に接続された第2リアクタンス素子と、を有する。
【0008】
この発明の第1の局面による非接触給電システムでは、上記のように、共振回路の受電コイルを介して給電装置から受電した電力の受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオンする信号をスイッチ素子に出力するスイッチ制御部を設ける。これにより、受電電圧値が所定のしきい値以上の場合にのみ、リアクタンス素子が共振回路の一部を構成するように、共振回路とリアクタンス素子とをスイッチ素子により接続することができる。すなわち、受電電圧値が所定のしきい値よりも小さい場合には、リアクタンス素子には、電流が流れない。したがって、受電電圧値が所定のしきい値よりも小さい場合にリアクタンス素子に電流が流れないので、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置の回路部品を保護することができる。
【0009】
上記第1の局面による非接触給電システムにおいて、好ましくは、スイッチ制御部は、受電電圧値が、所定のしきい値よりも小さくなった場合には、スイッチ素子をオフすることにより、共振回路とリアクタンス素子との接続を切断するように構成されている。このように構成すれば、共振回路とリアクタンス素子とを接続することにより変化させた共振周波数を、元の共振周波数に戻すことができる。その結果、受電電圧値が所定のしきい値よりも小さくなった場合には、元の共振周波数の共振回路により効率的な受電を行うことが可能な状態にすることができる。
【0010】
上記第1の局面による非接触給電システムにおいて、好ましくは、スイッチ制御部は、受電電圧値を検出するとともに、検出された受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオンする信号をスイッチ素子に出力するように構成されている。このように構成すれば、スイッチ制御部により受電電圧値を検出して、共振回路とリアクタンス素子とを、容易に、リアクタンス素子が共振回路の一部を構成するように接続させることができる。
【0011】
上記第1の局面による非接触給電システムにおいて、好ましくは、リアクタンス素子は、コンデンサにより構成されている。このように構成すれば、リアクタンス素子がコンデンサよりも比較的大きい素子であるコイルにより構成される場合と比べて、受電装置の回路を小型化することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、コンデンサにより構成されるリアクタンス素子の静電容量値は、共振コンデンサの静電容量値よりも大きい。このように構成すれば、リアクタンス素子が共振回路の一部を構成するように、共振回路とコンデンサにより構成されるリアクタンス素子とを接続させた際に、容易に、共振回路の共振周波数を変化させることができる。
【0013】
上記第1の局面による非接触給電システムにおいて、好ましくは、受電装置は、受電した受電電圧を変圧するための昇降圧回路をさらに含み、所定のしきい値は、昇降圧回路の耐電圧値よりも小さい値である。ここで、一般的に、昇降圧回路の耐電圧値は、他の回路部品よりも小さいことが多いため、受電装置の回路部品に大きな電圧(受電電圧)が印加された場合に、昇降圧回路が破壊されやすい。そこで、上記のように受電装置の回路部品を保護するための所定のしきい値を昇降圧回路の耐電圧値よりも小さい値になるように構成すれば、受電装置の全体の回路部品を保護することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による非接触受電装置は、給電装置から共鳴方式により非接触で電力を受電する受電コイルと、共振コンデンサとを有する共振回路と、リアクタンス素子と、オンされることにより
、共振回路とリアクタンス素子とを接続す
るスイッチ素子と、共振回路の受電コイルを介して給電装置から受電した電力の受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオンする信号をスイッチ素子に出力するスイッチ制御部と、を備
え、共振コンデンサは、受電コイルに直列に接続された第1コンデンサと、受電コイルに並列に接続された第2コンデンサと、を有し、リアクタンス素子は、第1コンデンサに直列に接続された第1リアクタンス素子と、第2コンデンサに直列に接続された第2リアクタンス素子と、を有する。
【0015】
この発明の第2の局面による非接触受電装置では、上記のように、共振回路の受電コイルを介して給電装置から受電した電力の受電電圧値が、所定のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオンする信号をスイッチ素子に出力するスイッチ制御部を設ける。これにより、第2の局面による非接触受電装置においても、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置の回路部品を保護することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置の回路部品を保護することが可能な非接触給電システムおよびこの非接触受電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態による非接触給電システム100の構成について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による非接触給電システム100は、
図1に示すように、給電装置1と、受電装置2とを備えている。なお、受電装置2は、本発明の「非接触受電装置」の一例である。
【0021】
非接触給電システム100では、給電装置1と受電装置2とは、磁界共鳴方式により非接触で電力を受給(給電および受電)するように構成されている。非接触給電システム100は、たとえば、自動車のダッシュボードや商用の飲食施設のテーブルなどに設置された給電装置1と、非接触で電力を受電可能な電子機器(たとえば、スマートフォンやデジタルカメラ)としての受電装置2とにより構成される。なお、上記した給電装置1と受電装置2との組み合わせは一例であり、非接触給電システム100は、上記した組み合わせ以外の給電装置1と受電装置2とにより構成されてもよい。
【0022】
図1に示すように、給電装置1は、電源部11と、共振回路12と、通信部13と、制御部14とを含んでいる。
【0023】
電源部11は、商用電源90から電力が供給されるとともに、所定の周波数の交流電力を、共振回路12に供給するように構成されている。
【0024】
共振回路12は、給電コイルL1と、共振コンデンサC1とを有し、電源部11から供給される交流電力の所定の周波数と略同一の共振周波数で共振するように構成されている。また、共振回路12では、給電コイルL1は、電源部11から所定の周波数の交流電力が供給されることにより、受電装置2に非接触で給電を行うための磁界を発生するように構成されている。これにより、給電装置1は、共振回路12により受電装置2に非接触で電力を給電するように構成されている。
【0025】
通信部13は、所定の規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)規格)に基づいて受電装置2と無線通信するように構成されている。給電装置1は、通信部13を介して受電装置2から受電電圧に関する情報などを取得するように構成されている。
【0026】
制御部14は、CPUと、ROMおよびRAMなどの記憶部とを含み、給電装置1の各構成要素を制御するように構成されている。制御部14は、通信部13を介して取得された受電電圧に関する情報に基づいて、受電装置2に給電する電力の電圧値(給電電圧値)を制御するように構成されている。
【0027】
図1および
図2に示すように、受電装置2は、共振回路21と、整流部22と、昇降圧回路23と、負荷24と、リアクタンス部25と、スイッチ部26と、受電電圧監視回路27と、通信部28と、制御部29とを含んでいる。なお、受電電圧監視回路27は、本発明の「スイッチ制御部」の一例である。
【0028】
共振回路21は、受電コイルL2と、直列共振コンデンサC2と、並列共振コンデンサC3とを有している。直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3は、それぞれ、受電コイルL2に直列および並列に接続されている。また、共振回路21は、給電装置1の共振回路12の共振周波数と略同一の共振周波数で共振するように構成されている。すなわち、非接触給電システム100は、給電装置1の電源部11の交流電力の所定の周波数と、給電装置1の共振回路12の共振周波数と、受電装置2の共振回路21の共振周波数とが略同一になるように構成されている。なお、直列共振コンデンサC
2は、本発明の「共振コンデンサ」
および「第1コンデンサ」の一例である。
また、並列共振コンデンサC3は、本発明の「共振コンデンサ」および「第2コンデンサ」の一例である。
【0029】
また、共振回路21では、受電コイルL2は、給電装置1の共振回路12の給電コイルL1で発生された磁界により非接触で電力を受電するように構成されている。この際、共振回路21では、共振回路21の共振周波数と略同一の周波数を有する交流電力が発生する。
【0030】
整流部22は、4つのダイオードD1、D2、D3およびD4を含むブリッジ整流回路により構成されており、共振回路21で発生した交流電力を直流電力に整流するように構成されている。また、整流部22は、整流した直流電力を昇降圧回路23に供給するとともに、整流した直流電力の電圧値(受電電圧値)の情報を制御部29に出力するように構成されている。
【0031】
昇降圧回路23は、DC/DCコンバータを含み、整流部22から供給された直流電力の電圧値を所定の電圧値に昇圧または降圧して、負荷24に電力を供給するように構成されている。
【0032】
負荷24は、充放電可能な2次電池を含んでいる。2次電池としての負荷24は、昇降圧回路23から供給された電力により充電されるように構成されている。なお、負荷24は、充放電可能な2次電池以外の負荷を含んでいてもよい。
【0033】
リアクタンス部25は、2つのコンデンサC4およびC5を有している。コンデンサC4は、一方側の電極が共振回路21の直列共振コンデンサC2と直列に接続されている。また、コンデンサC5は、一方側の電極が共振回路21の並列共振コンデンサC3と直列に接続されている。なお、コンデンサC
4は、本発明の「リアクタンス素子」
および「第1リアクタンス素子」の一例である。
また、コンデンサC5は、本発明の「リアクタンス素子」および「第2リアクタンス素子」の一例である。
【0034】
また、コンデンサC4およびC5の静電容量値は、それぞれ、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3の静電容量値よりも大きくなるように構成されている。ここで、コンデンサC4およびC5の静電容量値は、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3の静電容量値の2倍以上に構成されることが好ましい。
【0035】
スイッチ部26は、2つのFET(Field Effect Transister)Q1およびQ2を有している。なお、FETQ1およびQ2は、共に、本発明の「スイッチ素子」の一例である。
【0036】
FETQ1は、ドレイン(D)がコンデンサC4の他方側の電極に接続されている。また、FETQ1は、ソース(S)が接地されており、ゲート(G)が配線B1を介して受電電圧監視回路27に接続されている。
【0037】
FETQ2は、ドレインがコンデンサC5の他方側の電極に接続されている。また、FETQ2は、ソースが接地されており、ゲートが配線B2を介して受電電圧監視回路27に接続されている。
【0038】
ここで、第1実施形態では、スイッチ部26は、FETQ1がオンされることによりコンデンサC4が、FETQ2がオンされることによりコンデンサC5がそれぞれ共振回路21の一部を構成するように、共振回路21とリアクタンス部25のコンデンサC4およびC5とを接続するように構成されている。具体的には、スイッチ部26は、FETQ1およびFETQ2がオンされる(オン状態になる)ことにより、リアクタンス部25のコンデンサC4およびC5が共振回路21の一部を構成して、
図3に示す共振回路21aと等価な回路を構成するように、共振回路21とリアクタンス部25のコンデンサC4およびC5とを接続するように構成されている。
【0039】
また、第1実施形態では、受電電圧監視回路27は、整流部22から昇降圧回路23に供給される直流電力の電圧値を、共振回路21の受電コイルL2を介して給電装置1から受電した電力の受電電圧値(Vr)として検出するように構成されている。そして、受電電圧監視回路27は、検出された受電電圧値が、所定の第1しきい値(たとえば、10V)以上の場合には、スイッチ部26のFETQ1およびQ2をオンする信号を、それぞれ、配線B1およびB2を介してFETQ1およびQ2に出力するように構成されている。ここで、この所定の第1しきい値は、受電装置2の回路部品を保護することが可能な値であり、この第1実施形態では、昇降圧回路23の耐電圧値(たとえば、昇降圧回路23を構成する回路部品のうち最も定格電圧値の低い回路部品の定格電圧値)よりも小さい値になるように構成されている。なお、所定の第1しきい値は、本発明の「所定のしきい値」の一例である。
【0040】
また、受電電圧監視回路27は、検出された受電電圧値が、所定の第1しきい値よりも小さい所定の第2しきい値(たとえば、8V)以下の場合には、スイッチ部26のFETQ1およびQ2をオンする信号を出力しないように構成されている。また、受電電圧回路27は、FETQ1およびQ2をオフ状態からオン状態にする場合のしきい値(所定の第1しきい値)と、オン状態からオフ状態にする場合のしきい値(所定の第2しきい値)とが異なるように(ヒステリシスを有するように)構成されている。これにより、受電電圧監視回路27によるスイッチ部26のFETQ1およびQ2のスイッチング動作が頻繁に行われるのを抑制することが可能になる。
【0041】
また、受電電圧監視回路27は、端子T2と、9つの抵抗R1〜R9と、2つのコンデンサC6およびC7と、ダイオードD5と、シャントレギュレータIC1と、バイポーラ型のトランジスタQ3とを有している。
【0042】
端子T2は、整流部22から昇降圧回路23の間に設けられる端子T1と図示しない配線により接続されている。この端子T2により、受電電圧回路27は、整流部22から昇降圧回路23に供給される直流電力の電圧値を、受電電圧値(Vr)として検出するように構成されている。
【0043】
抵抗R1は、一端が端子T2に接続され、他端が抵抗R2の一端に直列に接続されている。抵抗R2の他端は、トランジスタQ3のエミッタ(E)に接続されている。また、抵抗R3は、一端が抵抗R2の他端とトランジスタQ3のエミッタとに接続されおり、他端が抵抗R4と接続されている。
【0044】
抵抗R2と抵抗R3との間の配線には、ダイオードD5およびコンデンサC6が接続されている。ダイオードD5は、出力端が抵抗R2と抵抗R3との間の配線に接続され、入力端が接地されている。また、コンデンサC6は、一方側の電極が抵抗R2と抵抗R3との間の配線に接続され、他方側の電極が接地されている。
【0045】
抵抗R5は、一端が端子T2に接続され、他端が抵抗R6の一端に直列に接続されている。抵抗R6の他端は、抵抗R7の一端とシャントレギュレータIC1の入力端とに接続されている。抵抗R7の他端は、接地されている。ここで、抵抗R5〜R7は、分圧回路を形成しており、端子T2から入力された受電電圧を抵抗R5〜R7の抵抗値に応じて分圧した状態で、シャントレギュレータIC1の入力端に印加するように構成されている。
【0046】
抵抗R6とシャントレギュレータIC1との間の配線には、コンデンサC7および抵抗R8が接続されている。コンデンサC7は、一方側の電極が抵抗R6とシャントレギュレータIC1との間の配線に接続され、他方側の電極が接地されている。抵抗R8は、一端が抵抗R6とシャントレギュレータIC1との間の配線に接続されており、他端がトランジスタQ3のコレクタ(C)と抵抗R9との間の配線に接続されている。
【0047】
トランジスタQ3のコレクタは、抵抗R9の一端に接続されている。抵抗R9の他端は、接地されている。トランジスタQ3のコレクタと抵抗R9との間の配線には、FETQ1およびQ2と受電電圧回路27とを接続するための配線B1およびB2が設けられている。
【0048】
シャントレギュレータIC1の出力端は、抵抗R4を介して、トランジスタQ3のベース(B)に接続されている。そして、シャントレギュレータIC1は、端子T2から所定の第1しきい値以上の受電電圧値が入力された場合には、出力端からトランジスタQ3のベースにトランジスタQ3をオンする信号を出力するように構成されている。
【0049】
また、シャントレギュレータIC1は、端子T2から所定の第2しきい値以下の受電電圧値が入力されている場合には、出力端からトランジスタQ3のベースにトランジスタQ3をオンする信号を出力しないように構成されている。また、シャントレギュレータIC1は、端子T2から所定の第1しきい値以上の受電電圧値が入力された後、所定の第2しきい値以下に受電電圧値が小さくなるまで、出力端からトランジスタQ3のベースにトランジスタQ3をオンする信号の出力を維持するように構成されている。
【0050】
図1に示すように、通信部28は、所定の規格(たとえば、Bluetooth(登録商標)規格)に基づいて給電装置1と無線通信するように構成されている。受電装置2は、通信部28を介して給電装置1に受電電圧に関する情報などを送信するように構成されている。
【0051】
制御部29は、CPUと、ROMおよびRAMなどの記憶部とを含み、受電装置2の各構成要素を制御するように構成されている。また、制御部29は、通信部28を介して受電電圧に関する情報を給電装置1に送信する制御を行うことによって、給電装置1から受電装置2に給電する電力の電圧値(給電電圧値)を制御するように構成されている。
【0052】
次に、
図2〜
図4を参照して、受電装置2の受電動作について説明する。ここでは、受電した受電電圧値が所定の第1しきい値以上になる場合について説明する。
【0053】
まず、給電装置1(
図1参照)から受電装置2への給電が開始される。この際、受電装置2の制御部29により通信部28を介して給電装置1に給電電圧値を大きくする指示が行われる。そして、給電装置1において給電電圧値を大きくする制御が行われることにより、受電装置2の受電する受電電圧値が大きくなる。
【0054】
そして、受電装置2の受電する受電電圧値が所定の第1しきい値以上になった場合には、受電電圧監視回路24からスイッチ部26にFETQ1およびQ2をオンする信号が出力される。具体的には、受電電圧監視回路24では、シャントレギュレータIC1からトランジスタQ3のベースにトランジスタQ3をオンする信号が出力される。その結果、トランジスタQ3のエミッタからコレクタに電流が流れるとともに、コレクタから配線B1およびB2を介して、FETQ1およびQ2のゲートに信号が出力される。これにより、FETQ1およびQ2がオンされる。
【0055】
そして、FETQ1およびQ2がオンされた場合には、受電装置2の共振回路21は、
図3に示すように、共振回路21aと等価な回路となる。ここで、FETQ1およびQ2がオフ状態における共振回路21の共振周波数faは、受電コイルL2のインダクタンスをL、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3の合成静電容量値をCaとすると、下記の式(1)により表される。
【数1】
【0056】
ここで、合成静電容量値Caは、直列共振コンデンサC2の静電容量値をa、並列共振コンデンサC3の静電容量値をbとすると、下記の式(2)により表される。
【数2】
【0057】
そして、FETQ1およびQ2がオン状態における共振回路21の共振周波数fb(共振回路21aと等価な回路としての共振回路21の共振周波数)は、直列共振コンデンサC2、並列共振コンデンサC3、コンデンサC4およびC5の合成静電容量値をCbとすると、下記の式(3)により表される。
【数3】
【0058】
ここで、合成静電容量値Cbは、コンデンサC4の静電容量値をc、コンデンサC5の静電容量値をdとすると、下記の式(4)により表される。
【数4】
【0059】
そして、Ca<Cbとなるので、fa>fbとなる。したがって、受電装置2の共振回路21の共振周波数は、FETQ1およびQ2がオンされることにより、小さくなる方向に変化(シフト)する。
【0060】
この場合、
図4に示すように、共振回路21の共振周波数が変化するのに応じて、受電電圧値がVaからVbまで小さくなる。その結果、受電装置2の回路部品を保護することが可能である。
【0061】
一方、受電装置2の受電する受電電圧値が所定の第1しきい値以上になった場合には、制御部29により通信部28を介して給電装置1に給電電圧値を小さくする指示が行われる。すなわち、共振回路21の共振周波数が変化するのと並行して、給電装置1において給電電圧値を小さくする制御も行われる。
【0062】
その後、受電電圧値が所定の第2しきい値以下になるまでは、シャントレギュレータIC1からトランジスタQ3をオンする信号の出力が維持される。したがって、受電電圧値が所定の第2しきい値以下になるまでは、FETQ1およびQ2のオン状態が維持される。そして、受電電圧値が所定の第2しきい値以下になった場合には、シャントレギュレータIC1からトランジスタQ3をオンする信号が出力されなくなるので、FETQ1およびQ2がオフ状態となる。その結果、共振回路21とコンデンサC4およびC5との接続が切断される。したがって、共振回路21の共振周波数は、変化させた共振周波数fbから元の共振周波数faに戻る。
【0063】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、共振回路21の受電コイルを介して給電装置1から受電した電力の受電電圧値が、所定の第1しきい値以上の場合には、FETQ1およびQ2をオンする信号をFETQ1およびQ2に出力する受電電圧監視回路27を設ける。これにより、受電電圧値が所定の第1しきい値以上の場合にのみ、コンデンサC4およびC5が共振回路21の一部を構成するように、共振回路21とコンデンサC4およびC5とをFETQ1およびQ2により接続することができる。すなわち、受電電圧値が所定の第1しきい値よりも小さい場合には、コンデンサC4およびC5には、電流が流れない。したがって、受電電圧値が所定の第1しきい値よりも小さい場合にコンデンサC4およびC5に電流が流れないので、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置2の回路部品を保護することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、受電電圧監視回路27は、受電電圧値が、所定の第1しきい値よりも小さくなった場合には、FETQ1およびQ2をオフすることにより、共振回路21とコンデンサC4およびC5との接続を切断するように構成されている。このように構成すれば、共振回路21とコンデンサC4およびC5とを接続することにより変化させた共振周波数(すなわち、共振周波数fb)を、元の共振周波数(すなわち、共振周波数fa)に戻すことができる。その結果、受電電圧値が所定の第1しきい値よりも小さくなった場合には、元の共振周波数の共振回路21により効率的な受電を行うことが可能な状態にすることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、受電電圧監視回路27は、受電電圧値を検出するとともに、検出された受電電圧値が、所定の第1しきい値以上の場合には、FETQ1およびQ2をオンする信号をFETQ1およびQ2に出力するように構成されている。このように構成すれば、受電電圧監視回路27により受電電圧値を検出して、共振回路21とコンデンサC4およびC5とを、容易に、コンデンサC4およびC5が共振回路21の一部を構成するように接続させることができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、コンデンサC4およびC5は、コンデンサにより構成されている。このように構成すれば、コンデンサC4およびC5がコンデンサよりも比較的大きい素子であるコイルにより構成される場合と比べて、受電装置2の回路を小型化することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、コンデンサにより構成されるコンデンサC4およびC5の静電容量値は、共振コンデンサの静電容量値よりも大きい。このように構成すれば、コンデンサC4およびC5が共振回路21の一部を構成するように、共振回路21とコンデンサにより構成されるコンデンサC4およびC5とを接続させた際に、容易に、共振回路21の共振周波数を変化させることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、受電装置2は、受電した受電電圧を変圧するための昇降圧回路23をさらに含み、所定の第1しきい値は、昇降圧回路23の耐電圧値よりも小さい値である。ここで、一般的に、昇降圧回路23の耐電圧値は、他の回路部品よりも小さいことが多いため、受電装置2の回路部品に大きな電圧(受電電圧)が印加された場合に、昇降圧回路23が破壊されやすい。そこで、上記のように受電装置2の回路部品を保護するための所定の第1しきい値を昇降圧回路23の耐電圧値よりも小さい値になるように構成すれば、受電装置2の全体の回路部品を保護することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、
図1および
図5を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、共振回路の直列共振コンデンサおよび並列共振コンデンサがそれぞれ別個のコンデンサに接続された上記第1実施形態の構成とは異なり、直列共振コンデンサおよび並列共振コンデンサが共通(1つ)のコンデンサに接続される例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
本発明の第2実施形態による非接触給電システム200は、
図1に示すように、受電装置102を備えている。受電装置102には、リアクタンス部125と、スイッチ部126とが設けられている。リアクタンス部125には、コンデンサC104が設けられている。スイッチ部126には、FETQ101が設けられている。なお、コンデンサC104は、本発明の「リアクタンス素子」の一例である。また、FETQ101は、本発明の「スイッチ素子」の一例である。
【0072】
第2実施形態では、コンデンサC104は、一方側の電極が共振回路21の直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3と直列に接続されている。また、コンデンサC104は、他方側の電極がFETQ101のドレイン(D)に接続されている。
【0073】
FETQ101のソース(S)は、接地されている。また、FETQ101のゲート(G)は、受電電圧監視回路27と接続されている。そして、FETQ101は、上記第1実施形態のFETQ1およびQ2と同様に、受電電圧値が所定の第1しきい値以上の場合には、受電電圧監視回路27によりオンされるように構成されている。
【0074】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
第2実施形態では、上記のように、受電電圧値が所定の第1しきい値以上の場合には、FETQ101をオンする信号をFETQ101に出力する受電電圧監視回路27を設ける。これにより、上記第1実施形態と同様に、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置102の回路部品を保護することができる。
【0077】
また、第2実施形態では、上記のように、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3を共通(1つ)のコンデンサC104に接続する。これにより、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3を別個のコンデンサに接続する場合に比べて、回路部品の点数が増加するのを抑制することができる。その結果、受電装置102の回路をより小型化することができる。
【0078】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0079】
(第3実施形態)
次に、
図1および
図6を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、共振回路が直列共振コンデンサおよび並列共振コンデンサを有した上記第1および第2実施形態とは異なり、共振回路が直列共振コンデンサのみを有する例について説明する。なお、上記第1および第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0080】
本発明の第3実施形態による非接触給電システム300は、
図1に示すように、受電装置202を備えている。受電装置202には、共振回路221と、リアクタンス部225と、スイッチ部226とが設けられている。リアクタンス部225には、コンデンサC204が設けられている。スイッチ部226には、FETQ201が設けられている。なお、コンデンサC204は、本発明の「リアクタンス素子」の一例である。また、FETQ201は、本発明の「スイッチ素子」の一例である。
【0081】
第3実施形態では、共振回路221は、受電コイルL202と、受電コイルL202に直列に接続される直列共振コンデンサC202とを有している。第3実施形態では、上記第1および第2実施形態とは異なり、共振回路221には、並列共振コンデンサが設けられていない。共振回路221のように、受電コイルL202と直列共振コンデンサC202とのみの場合にも、共振することは可能である。なお、直列共振コンデンサC202は、本発明の「共振コンデンサ」の一例である。
【0082】
コンデンサC204は、一方側の電極が共振回路221の直列共振コンデンサC202と直列に接続されている。また、コンデンサC204は、他方側の電極がFETQ201のドレイン(D)に接続されている。
【0083】
FETQ201のソース(S)は、接地されている。また、FETQ201のゲート(G)は、受電電圧監視回路27と接続されている。そして、FETQ201は、上記第1および第2実施形態のFETQ1、Q2およびQ101と同様に、受電電圧値が所定の第1しきい値以上の場合には、受電電圧監視回路27によりオンされるように構成されている。
【0084】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
第3実施形態では、上記のように、受電電圧値が所定の第1しきい値以上の場合には、FETQ201をオンする信号をFETQ201に出力する受電電圧監視回路27を設ける。これにより、上記第1および第2実施形態と同様に、電力損失が発生するのを抑制しながら、受電装置202の回路部品を保護することができる。
【0087】
また、第3実施形態では、上記のように、並列共振コンデンサを共振回路202に設けない。これにより、直列共振コンデンサC2および並列共振コンデンサC3の両方を設ける場合に比べて、回路部品の点数が増加するのを抑制することができる。その結果、受電装置202の回路をより小型化することができる。
【0088】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、磁界共鳴方式により非接触で電力を受給するように非接触給電システム100(200、300)に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、磁界共鳴方式以外の共鳴方式により非接触で電力を受給する非接触給電システムに適用してもよい。たとえば、電界共鳴方式の非接触給電システムに適用してもよい。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明のリアクタンス素子としてコンデンサ(C4、C5、C104およびC204)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、リアクタンス素子としてコンデンサ以外のリアクタンス素子を用いてもよい。たとえば、リアクタンス素子としてコイルを用いてもよい。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明のスイッチ素子としてFET(Q1、Q2、Q101およびQ201)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スイッチ素子としてFET以外のスイッチ素子を用いてもよい。たとえば、スイッチ素子としてバイポーラ型のトランジスタを用いてもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、受電電圧値が所定の第2しきい値以下の場合には、スイッチ部26のFETQ1およびQ2をオンする信号を出力しないように受電電圧監視回路27を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、受電電圧値が所定の第1しきい値よりも小さい場合に、スイッチ部のFETをオンする信号を出力しないように受電電圧監視回路を構成してもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明のスイッチ制御部を受電電圧監視回路27により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スイッチ制御部をマイコンやCPUにより構成してもよい。
【0095】
また、上記第1実施形態では、所定の第1しきい値を昇降圧回路23の耐電圧値よりも小さい値とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、受電装置の回路部品を保護することが可能な値であれば、所定の第1しきい値を昇降圧回路の耐電圧値よりも小さい値以外の値としてもよい。