特許第6427999号(P6427999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427999色補正装置、画像形成装置、及び色補正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427999
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】色補正装置、画像形成装置、及び色補正プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20181119BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20181119BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20181119BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   H04N1/60
   H04N1/40
   G06T1/00 510
   B41J2/525
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-139951(P2014-139951)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-19106(P2016-19106A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】針貝 潤吾
(72)【発明者】
【氏名】東方 良介
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】照井 千絵
(72)【発明者】
【氏名】青野 博之
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−244519(JP,A)
【文献】 特開2005−103850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/60
B41J 2/525
G06T 1/00
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の現状の出力状態を示す色データが、予め定めた基準色を示す基準色データに近づくように前記機器に入力する色信号を補正する補正部と、
前記基準色データ、及び前記補正部による過去の連続した複数の補正結果に応じた前記機器の出力状態を表す複数の補正結果データに基づいて、前記複数の補正結果データが示す補正傾向となるように、前記補正部が次回の補正目標とする前記基準色データを更新する更新部と、
を備え
前記更新部は、色領域毎に前記基準色データを更新する色補正装置。
【請求項2】
機器の現状の出力状態を示す色データが、予め定めた基準色を示す基準色データに近づくように前記機器に入力する色信号を補正する補正部と、
前記基準色データ、及び前記補正部による過去の連続した複数の補正結果に応じた前記機器の出力状態を表す複数の補正結果データに基づいて、前記複数の補正結果データが示す補正傾向となるように、前記補正部が次回の補正目標とする前記基準色データを更新する更新部と、
を備え
前記更新部は、前記複数の補正結果データの補正量差若しくは補正量比から求めた補正量、前記複数の補正結果データのベクトル差から求めた補正量、又は前記複数の補正結果データから予測した機器の変動量を前記補正傾向として前記基準色データを更新する色補正装置。
【請求項3】
前記補正部による補正後の前記機器の出力状態を示す補正結果データと前記基準色データとの誤差が予め定めた範囲外の場合に、前記補正部による補正及び前記更新部による更新を繰り返す請求項1又は請求項2に記載の色補正装置。
【請求項4】
前記色データと前記基準色データとの誤差が予め定めた範囲外の場合に、前記補正部による補正及び前記更新部による更新を行う請求項1又は請求項2に記載の色補正装置。
【請求項5】
前記更新部は、色領域毎に前記基準色データを更新する請求項2、請求項2に従属する請求項3、または請求項2に従属する請求項4に記載の色補正装置。
【請求項6】
前記更新部は、前記複数の補正結果データの補正量差又は補正量比から求めた補正量、前記複数の補正結果データのベクトル差から求めた補正量、又は前記複数の補正結果データから予測した機器の変動量を前記補正傾向として前記基準色データを更新する請求項1、請求項1に従属する請求項3、又は請求項1に従属する請求項4に記載の色補正装置。
【請求項7】
請求項1〜の何れか1項に記載の色補正装置と、
予め定めたカラーチャートを形成する画像形成部と、
予め定めた基準カラーチャートを読み取ることにより前記基準色データを取得し、前記画像形成部によって形成されたカラーチャートを読み取ることにより前記色データを取得する取得部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜の何れか1項に記載の色補正装置を構成する各部として機能させるための色補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色補正装置、画像形成装置、及び色補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、印刷機に依存した色データをプリンタに依存した色データへ変換するデバイスリンクプロファイルについて、色再現特性修正部が、色再現における誤差を印刷機の色再現特性のデータにフィードバックして再作成する処理を行う。このとき色再現特性修正部が印刷機の色値を修正するために用いる重み係数を、デバイスリンク色変換部により色変換されたカラー画像の色データにおける階調の連続性に関する指標に基づいて予め設定しておき、その重み係数を用いて、フィードバック処理を行うことが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、所望の入力データ値に対応して印刷プロファイルを利用してプリンタから出力されるプルーフ上の着目点での色を測色すると共に、カラー印刷物上で着目点に対応する点での色を測色し、各測色値の差分に対応する値を、所望の入力データ値を囲む補間処理に使用する直近の格子点に規定されている測色値に加算して印刷プロファイルを修正することが提案されている。これにより、修正後の印刷プロファイルを使用して得たプルーフ上の、前記所望の入力データ値に対応して得られる着目点の色を、カラー印刷物上の着目点の測色値と一致させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−80486号公報
【特許文献2】特許第378147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
色補正精度を得るために色補正を複数回繰り返していた。本発明は、色補正の回数を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の色補正装置は、機器の現状の出力状態を示す色データが、予め定めた基準色を示す基準色データに近づくように前記機器に入力する色信号を補正する補正部と、前記基準色データ、及び前記補正部による過去の連続した複数の補正結果に応じた前記機器の出力状態を表す複数の補正結果データに基づいて、前記複数の補正結果データが示す補正傾向となるように、前記補正部が次回の補正目標とする前記基準色データを更新する更新部と、を備え、前記更新部は、色領域毎に前記基準色データを更新する
請求項2に記載の発明は、機器の現状の出力状態を示す色データが、予め定めた基準色を示す基準色データに近づくように前記機器に入力する色信号を補正する補正部と、前記基準色データ、及び前記補正部による過去の連続した複数の補正結果に応じた前記機器の出力状態を表す複数の補正結果データに基づいて、前記複数の補正結果データが示す補正傾向となるように、前記補正部が次回の補正目標とする前記基準色データを更新する更新部と、を備え、前記更新部は、前記複数の補正結果データの補正量差若しくは補正量比から求めた補正量、前記複数の補正結果データのベクトル差から求めた補正量、又は前記複数の補正結果データから予測した機器の変動量を前記補正傾向として前記基準色データを更新する。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記補正部による補正後の前記機器の出力状態を示す補正結果データと前記基準色データとの誤差が予め定めた範囲外の場合に、前記補正部による補正及び前記更新部による更新を繰り返す。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記色データと前記基準色データとの誤差が予め定めた範囲外の場合に、前記補正部による補正及び前記更新部による更新を行う。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項2、請求項2に従属する請求項3、または請求項2に従属する請求項4に記載の発明において、前記更新部は、色領域毎に前記基準色データを更新する。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1、請求項1に従属する請求項3、又は請求項1に従属する請求項4に記載の発明において、前記更新部は、前記複数の補正結果データの補正量差又は補正量比から求めた補正量、前記複数の補正結果データのベクトル差から求めた補正量、又は前記複数の補正結果データから予測した機器の変動量を前記補正傾向として前記基準色データを更新する。
【0011】
請求項に記載の画像形成装置は、請求項1〜の何れか1項に記載の色補正装置と、予め定めたカラーチャートを形成する画像形成部と、予め定めた基準カラーチャートを読み取ることにより前記基準色データを取得し、前記画像形成部によって形成されたカラーチャートを読み取ることにより前記色データを取得する取得部と、を備えている。
【0012】
請求項に記載の色補正プログラムは、コンピュータを、請求項1〜の何れか1項に記載の色補正装置を構成する各部として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2に記載の発明によれば、色補正精度を得るまで色補正を複数回繰り返す場合と比較して、補正回数を低減させることが可能な色補正装置を提供することができる、という効果がある。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、繰り返し補正により色再現の誤差を予め定めた範囲内にすることができる、という効果がある。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、補正を繰り返さずに色再現の誤差を補正することができる、という効果がある。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、色毎に補正を行う場合に比べて、容易に色全域の補正を行うことができる、という効果がある。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、現状の出力結果から基準色データを更新する場合よりも適正な更新量で基準色データを更新することができる、という効果がある。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、色補正精度を得るまで色補正を複数回繰り返す場合と比較して、補正回数を低減させることが可能な画像形成装置を提供することができる、という効果がある。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、色補正精度を得るまで色補正を複数回繰り返す場合と比較して、補正回数を低減させることが可能な色補正プログラムを提供することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。
図2】第1実施形態に係る色補正装置で行われる処理例を示すフローチャートである。
図3】(A)は過去の補正結果の補正量の比を基にしたターゲット色データの更新量の決定を説明するための図であり、(B)は過去の補正結果の補正量差を基にしたターゲット色データの更新量の決定を説明するための図であり、(C)は過去の補正結果のベクトル量を基にしたターゲット色データの更新量の決定を説明するための図であり、(D)は過去の補正結果のデータより予測した画像形成装置の変動量を基にしたターゲット色データの更新量の決定を説明するための図である。
図4】第2実施形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。
図5】第2実施形態に係る色補正装置で行われる処理例を示すフローチャートである。
図6】参考形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。
図7】参考形態に係る色補正装置で行われる処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、機器(以下、デバイスという)の色再現を補正する色補正装置について説明する。ここで、デバイスとしては、以下では、画像形成装置を一例として想定して説明するが、表示装置等の他の色を扱うデバイスを適用するようにしてもよい。
【0022】
カラーの画像を形成する場合には、基準となる画像形成装置等のデバイスで出力したカラーチャートと、他のデバイスで出力したカラーチャートとでは、色再現性が異なる場合がある。
【0023】
そこで、基準となるデバイスで表現される色を他のデバイスで再現するために、他のデバイスに入力する色信号を補正する必要がある。例えば、予め定めた基準となる画像形成装置等のデバイスで出力したカラーチャートを測色した基準測色データと該基準測色データに対応するC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の基準色データとの組み合わせからなる基準対応関係と、補正対象のデバイスで出力して測色した測色データとそれに対応するCMYKの色データとの組み合わせからなるデバイス対応関係を作成する。なお、基準対応関係及びデバイス対応関係は、例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルが適用される。
【0024】
そして、CMYKの基準色データを、基準対応関係により補正対象のデバイスに依存しない色空間に変換した後、デバイス対応関係により補正対象のデバイスに依存するCMYKの色データに変換する。このようにして変換されたデバイスに依存するCMYKの色データを補正対象のデバイスで出力することで、基準のカラーチャートに近い色が再現される。
【0025】
しかしながら、デバイスの経時的な変動等の要因により、基準のカラーチャートと、デバイスによって出力されたカラーチャートとの間で、色再現の誤差が発生するので、補正が必要となる。また、色再現の誤差の補正は、複数回行うことにより精度が向上するが、本実施の形態に係る色補正装置では、過去の補正結果を用いて色再現の誤差を補正することにより、補正回数を低減して精度が高い補正を行うようにしたものである。
【0026】
(参考形態)
【0027】
まず、本実施の形態に係る色補正装置を詳細に説明する前に、参考形態の色補正装置について説明する。図6は、参考形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0028】
参考形態に係る色補正装置50は、図6に示すように、ターゲット色データ取得部52、デバイス色データ取得部54、色予測パラメータ設計部56、色補正パラメータ算出部60、色補正データ取得部62、繰り返し判定部64、及びターゲット色データ更新部58を備えている。
【0029】
ターゲット色データ取得部52は、目標となる予め定めた基準のカラーチャートが形成された基準板を測色することによって取得した基準測色データと、該基準測色データに対応する基準色データとをターゲット色データとして取得する。参考形態では、基準測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、基準色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、本実施形態では、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。
【0030】
デバイス色データ取得部54は、補正対象の画像形成装置によってカラーチャートを形成し、形成したカラーチャートを測色することによって取得した測色データと、該測色データに対応する色データをデバイス色データとして取得する。参考形態では、測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、ターゲット色データ取得部12と同様に、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。
【0031】
色予測パラメータ設計部56では、色領域毎に色補正量を制御するための色補正パラメータが保持されている。なお、色補正パラメータは、色予測を行う際にターゲット色データ取得部52によって取得したデータに対して付加される予め定めた重要度に従った重み係数等を示す。
【0032】
色補正パラメータ算出部60は、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルを生成する。多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値の算出は、色領域毎(例えば、カラーチャート毎)に全格子点について算出する。これにより、入力色に対する色補正を行う。
【0033】
色補正データ取得部62は、色補正パラメータ算出部60で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行し、その出力結果を取得する。また、取得した出力結果を色予測パラメータ設計部56に格納して、出力結果を基に色補正パラメータを更新する。
【0034】
繰り返し判定部64は、色補正パラメータ算出部60で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行して、色補正データ取得部62が取得した出力結果が予め定めた誤差範囲外であるか否かを判定する。
【0035】
ターゲット色データ更新部58は、色補正結果を受けて、次回の色補正の際に目標とするターゲット色データを更新する。なお、色再現の誤差が予め定めた閾値範囲になるまで繰り返し行うことで、高精度の色補正を行う。
【0036】
次に、参考形態に係る色補正装置50で行われる具体的な処理の流れについて説明する。図7は、参考形態に係る色補正装置50で行われる処理例を示すフローチャートである。
【0037】
ステップ300では、ターゲット色データ取得部52がターゲット色データを取得し、デバイス色データ取得部54がデバイス色データを取得してステップ302へ移行する。すなわち、ターゲット色データ取得部52は、基準測色データとこれに対応する基準色データをターゲット色データとして取得する。また、デバイス色データ取得部54は、測色データとこれに対応する色データをデバイス色データとして取得する。
【0038】
ステップ302では、色補正パラメータ算出部60が色予測パラメータ設計部56に保持された色補正パラメータを取得してステップ304へ移行する。
【0039】
ステップ304では、色補正パラメータ算出部60が、色補正パラメータを算出してステップ306へ移行する。すなわち、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルを生成する。
【0040】
ステップ306では、色補正データ取得部62が色予測パラメータ設計部56に保持された色補正パラメータを更新してステップ308へ移行する。すなわち、色補正パラメータ算出部60で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行し、色補正データ取得部62がその出力結果を取得して、取得した出力結果を色予測パラメータ設計部56に格納し、出力結果を基に色補正パラメータを更新する。
【0041】
ステップ308では、繰り返し判定部64が、上記処理を繰り返すか否かを判定する。該判定は、例えば、色補正パラメータ算出部60で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行して、色補正データ取得部62が取得した出力結果が予め定めた誤差範囲外であるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ310へ移行し、判定が否定された場合に処理を終了する。
【0042】
ステップ310では、ターゲット色データ更新部58がターゲット色データを更新してステップ302に戻って上述の処理を繰り返す。すなわち、ターゲット色データ更新部58が、色補正結果を受けて次回の色補正の際に目標とするターゲット色データを更新する。
【0043】
ところで、上記の参考形態では、繰り返し補正することが想定されており、初回の補正結果を受けたあとで補正パラメータの変更が行われるため、必ず複数回の補正が必要である。また、補正精度を向上させるためには、繰り返し回数を多くする必要があり、補正回数が限られる画像形成処理中(所謂ジョブ中)に補正を行う場合には不向きである。
【0044】
そこで、本実施の形態に係る色補正装置は、過去の補正結果を保持しておき、各色領域毎に色補正誤差を予め加味した予測を行うことにより、繰り返し回数が予め定めた回数より少ない、或いは繰り返しがなくても高精度の色補正を実現している。以下、詳細に本実施の形態に係る色補正装置について説明する。
【0045】
(第1実施形態)
【0046】
図1は、第1実施形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0047】
図1に示すように、本実施形態に係る色補正装置10は、ターゲット色データ取得部12、デバイス色データ取得部14、補正履歴格納部16、ターゲット色データ更新部18、色補正パラメータ算出部20、色補正データ取得部22、及び繰り返し判定部24を備えている。
【0048】
ターゲット色データ取得部12は、目標となる予め定めた基準のカラーチャートが形成された基準板を測色することによって取得した基準測色データと、該基準測色データに対応する基準色データとをターゲット色データとして取得する。本実施形態では、基準測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、基準色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、本実施形態では、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。また、ターゲット色データ取得部12は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いてカラーチャートを読み取ったデータを取得するようにしてもよい。或いは、画像形成装置とは別の測色器を用いてカラーチャートを測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0049】
デバイス色データ取得部14は、補正対象の画像形成装置によってカラーチャートを形成し、形成したカラーチャートを測色することによって取得した測色データと、該測色データに対応する色データをデバイス色データとして取得する。本実施形態では、測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、ターゲット色データ取得部12と同様に、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。また、デバイス色データ取得部14は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いてカラーチャートを読み取ったデータを取得するようにしてもよい。或いは、画像形成装置とは別の測色器を用いてカラーチャートを測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0050】
補正履歴格納部16は、過去の補正結果の出力状態を表す補正結果データを格納する。例えば、格納する補正結果データとして、用紙や画像形成の設定等に従ってベースデータ化した、日間補正や画像形成処理間補正のデータ等を格納する。本実施形態では、補正履歴格納部16に格納されたこれらの補正結果データを用いて、後述のターゲット色データ更新部18の更新量を制御する。
【0051】
ターゲット色データ更新部18は、ターゲット色データ取得部12の取得結果、及び補正履歴格納部16に格納された過去の補正結果データに基づいて、色補正の際に目標とするターゲット色データを更新する。すなわち、ターゲット色データ更新部18は、測色データが基準測色データになるように補正する際の目標とするターゲット色データを更新する。更新量の制御方法としては、過去のカラーマッチング精度などの補正結果をもとに決定する。例えば、過去の連続した複数の補正結果を基にして、図3(A)に示すように、各色毎に補正量の比(図3(A)中のa:b)でパラメータを保持して、該補正量の比を基にして、ターゲット色データの更新量を決定する。具体的には、連続した補正結果FB1、FB2において、補正色差が、FB1≧FB2のとき、a:bとなる更新量を決定する。これにより、ターゲット色データの補正量が調整されて、繰り返し更新する回数が低減される。
【0052】
なお、ターゲット色データの更新量は、過去の複数の補正結果の補正量の比ではなく、図3(B)に示すように、補正量差(図3(B)中のd−c)を用いるようにしてもよい。具体的には、過去の連続した補正結果FB1、FB2において、補正色差が、FB1≧FB2のとき、補正量差(d−c)を更新量として決定する。
【0053】
或いは、図3(C)に示すように、ベクトル量を用いるようにしてもよい。具体的には、過去の連続した補正結果FB1、FB2において、補正色差が、FB1≧FB2のとき、補正ベクトル差(FB2−FB1)を更新量として決定する。
【0054】
或いは、図3(D)に示すように、過去の補正結果データより、出力色における画像形成装置の変動量(図3(D)中のIOT)を予測することで、出バス変動量を加味して更新するようにしてもよい。具体的には、連続した補正結果FB1、FB2において、補正色差が、FB1≧FB2のとき、画像形成装置の変動量ベクトル(IOT)を更新量として決定する。
【0055】
色補正パラメータ算出部20は、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータの多次元ルックアップテーブルを生成する。多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値の算出は、色領域毎(例えば、カラーチャート毎)に全格子点について算出する。これにより、入力色に対する色補正を行う。
【0056】
色補正データ取得部22は、色補正パラメータ算出部20で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行し、その出力結果を取得する。また、取得した出力結果を補正履歴格納部16に格納して、次回の補正の際のターゲット更新量を調整するために使用する。なお、色補正データ取得部22は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いて出力結果を読み取ったデータを取得するようにしてもよいし、画像形成装置とは別の測色器を用いて出力結果を測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0057】
繰り返し判定部24は、色補正パラメータ算出部20で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行して、色補正データ取得部22が取得した出力結果が予め定めた誤差範囲外であるか否かを判定する。
【0058】
続いて、上述のように構成された色補正装置10で行われる具体的な処理の流れについて説明する。図2は、第1実施形態に係る色補正装置10で行われる処理例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップ100では、ターゲット色データ取得部12がターゲット色データを取得し、デバイス色データ取得部14がデバイス色データを取得してステップ102へ移行する。すなわち、ターゲット色データ取得部12は、基準測色データとこれに対応する基準色データをターゲット色データとして取得する。また、デバイス色データ取得部14は、測色データとこれに対応する色データをデバイス色データとして取得する。
【0060】
ステップ102では、ターゲット色データ更新部18が補正履歴格納部16に格納された過去の連続した複数の補正結果データを取得してステップ104へ移行する。
【0061】
ステップ104では、ターゲット色データ更新部18が、ターゲット色データ、及び過去の連続した複数の補正結果データに基づいて、色補正の際に目標とするターゲット色データを更新してステップ106へ移行する。例えば、連続した過去の複数の補正結果を基にして、図3(A)に示すように、各色毎に補正量の比でパラメータを保持して、該補正量の比、ターゲット色データ、及びデバイス色データを基にして、ターゲット色データの更新量を決定して更新する。これにより、ターゲット色データの更新量が調整されて、色補正パラメータ算出部20により繰り返し色補正を行う回数が低減される。
【0062】
ステップ106では、色補正パラメータ算出部20が色補正パラメータを算出してステップ108へ移行する。すなわち、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルを生成する。
【0063】
ステップ108では、色補正データ取得部22が、色補正結果を取得してステップ110へ移行する。すなわち、色補正データ取得部22が、色補正パラメータ算出部20で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行し、その出力状態を測色した結果を補正結果データとして取得する。
【0064】
ステップ110では、色補正データ取得部22が、取得した補正結果データを補正履歴格納部16に格納してステップ112へ移行する。
【0065】
ステップ112では、繰り返し判定部24が、上記処理を繰り返すか否かを判定する。該判定は、例えば、色補正パラメータ算出部20で算出した多次元ルックアップテーブルを使って色変換処理を実行して、色補正データ取得部22が取得した補正結果データが予め定めた誤差範囲外であるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ102へ戻って上述の処理を繰り返し、判定が否定された場合に処理を終了する。
【0066】
(第2実施形態)
【0067】
続いて、第2実施形態に係る色補正装置について説明する。図4は、第2実施形態に係る色補正装置に含まれる機能構成例を示す機能ブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
【0068】
第1実施形態では、繰り返しの補正を行う例を説明したが、第2実施形態では、繰り返しの補正を行わない例を説明する。例えば、デバイスが動作中に色補正を行うような場合に適用される。
【0069】
図4に示すように、本実施形態に係る色補正装置11は、ターゲット色データ取得部12、デバイス色データ取得部14、補正履歴格納部16、ターゲット色データ更新部18、色補正パラメータ算出部20、現状出力結果取得部28、及び補正実施判定部30を備えている。
【0070】
ターゲット色データ取得部12は、目標となる予め定めた基準のカラーチャートが形成された基準板を測色することによって取得した基準測色データと、該基準測色データに対応する基準色データとをターゲット色データとして取得する。本実施形態では、基準測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、基準色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、本実施形態では、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。また、ターゲット色データ取得部12は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いてカラーチャートを読み取ったデータを取得するようにしてもよい。或いは、画像形成装置とは別の測色器を用いてカラーチャートを測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0071】
デバイス色データ取得部14は、補正対象の画像形成装置によってカラーチャートを形成し、形成したカラーチャートを測色することによって取得した測色データと、該測色データに対応する色データをデバイス色データとして取得する。本実施形態では、測色データとしてデバイスに依存しないL*a*b色空間のデータを取得し、色データとしてCMYKの色データを取得する。なお、ターゲット色データ取得部12と同様に、デバイスに依存しない色空間としてL*a*b色空間のデータを用いる例を説明するが、XYZ色空間のデータを用いるようにしてもよい。また、デバイス色データ取得部14は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いてカラーチャートを読み取ったデータを取得するようにしてもよい。或いは、画像形成装置とは別の測色器を用いてカラーチャートを測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0072】
補正履歴格納部16は、過去の補正結果の出力状態を表す補正結果データを格納する。例えば、格納する補正結果データとして、用紙や画像形成の設定等に従ってベースデータ化した、日間補正や画像形成処理間補正のデータ等を格納する。本実施形態では、補正履歴格納部16に格納されたこれらの補正結果データを用いて、後述のターゲット色データ更新部18の更新量を制御する。
【0073】
ターゲット色データ更新部18は、ターゲット色データ取得部12の取得結果、及び補正履歴格納部16に格納された連続した過去の複数の補正結果データに基づいて、色補正の際に目標とするターゲット色データを更新する。すなわち、ターゲット色データ更新部18は、測色データが基準測色データになるように補正する際の目標とするターゲット色データを更新する。更新量の制御方法としては、過去のカラーマッチング精度などの補正結果をもとに決定する。例えば、第1実施形態で説明したように、連続した過去の複数の補正結果の補正量の比を基に更新量を決定してもよいし(図3(A))、補正量差を用いるようにしてもよいし(図3(B))、補正ベクトル差を用いるようにしてもよいし(図3(C))、過去の補正結果のデータより、出力色における画像形成装置の変動量を予測することで、デバイス変動量を加味して更新量を決定するようにしてもよい(図3(D))。
【0074】
色補正パラメータ算出部20は、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータの多次元ルックアップテーブルを生成する。多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値の算出は、色領域毎(例えば、カラーチャート毎)に全格子点について算出する。これにより、入力色に対する色補正を行う。
【0075】
現状出力結果取得部28は、前回の色変換パラメータでの現状の出力状態として出力結果を取得する。すなわち、現状の色変換パラメータを用いてカラーチャートを出力して測色した結果を取得する。これにより、前回の補正からの経時変化を得る。そして、現状の出力結果を補正結果データとして補正履歴格納部16に格納する。なお、現状出力結果取得部28は、画像形成装置に設けられた画像を読み取る読取部を用いて出力結果を読み取ったデータを取得するようにしてもよいし、画像形成装置とは別の測色器を用いて出力結果を測色したデータを取得するようにしてもよい。
【0076】
補正実施判定部30は、現状出力結果取得部28によって取得された現状の出力結果に基づいて補正が必要か否かを判定する。例えば、現状の出力結果が予め定めた誤差範囲外にあるか否かを判定する。
【0077】
続いて、上述のように構成された色補正装置11で行われる具体的な処理の流れについて説明する。図5は、第2実施形態に係る色補正装置11で行われる処理例を示すフローチャートである。
【0078】
ステップ200では、ターゲット色データ取得部12がターゲット色データを取得し、デバイス色データ取得部14がデバイス色データを取得してステップ202へ移行する。すなわち、ターゲット色データ取得部12は、基準測色データとこれに対応する基準色データをターゲット色データとして取得する。また、デバイス色データ取得部14は、測色データとこれに対応する色データをデバイス色データとして取得する。
【0079】
ステップ202では、現状出力結果取得部28が、前回の色変換パラメータでの現状の出力結果を取得してステップ204へ移行する。すなわち、現状の色変換パラメータを用いてカラーチャートを出力して測色した結果を取得することにより、前回の補正からの経時変化を得る。
【0080】
ステップ204では、現状出力結果取得部28が、取得した現状の出力結果を補正結果データとして補正履歴格納部16に格納してステップ206へ移行する。
【0081】
ステップ206では、補正実施判定部30が、現状出力結果取得部28によって取得した現状の出力結果に基づいて補正が必要か否かを判定する。該判定は、上述したように、現状の出力結果が予め定めた誤差範囲外にあるか否かを判定し、判定が肯定された場合にはステップ208へ移行し、否定された場合には色補正が必要ないものとしてそのまま処理を終了する。
【0082】
ステップ208では、ターゲット色データ更新部18が補正履歴格納部16に格納された過去の連続した複数の補正結果データを取得してステップ210へ移行する。
【0083】
ステップ210では、ターゲット色データ更新部18が、ターゲット色データ、及び連続した過去の複数の補正結果データに基づいて、色補正の際に目標とするターゲット色データを更新してステップ210へ移行する。例えば、連続した過去の補正結果を基にして、図3(A)に示すように、各色毎に補正量の比でパラメータを保持して、該補正量の比、ターゲット色データ、及びデバイス色データを基にして、ターゲット色データの更新量を決定して更新する。これにより、過去の補正結果をもとにターゲット色データの更新量が調整されるので、色補正精度が向上される。
【0084】
ステップ212では、色補正パラメータ算出部20が色補正パラメータを算出して一連の処理を終了する。すなわち、基準測色データ、該基準測色データに対応する基準色データ、測色データ、及び測色データに対応する色データに従って色補正パラメータを算出する。例えば、色領域全体の色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルの格子点に対する色補正値を算出することにより色変換パラメータとなる多次元ルックアップテーブルを生成する。
【0085】
このように、第2実施形態では、現状の出力結果から補正が必要か否かを判定し、補正が不要な場合にはそのまま処理を終了する。一方、補正が必要な場合には、第1実施形態と同様に、過去の補正結果を基に補正量を制御するので補正精度が向上される。これにより、デバイスの動作中に精度よく色補正が行われることになる。
【0086】
なお、上記の実施の形態では、各種プログラムをコンピュータに実行させる例を説明したが、各プログラムによって実行される処理の一部または全てをハードウエアで行うようにしてもよい。
【0087】
また、上記の各実施形態に係る色補正装置によって行われる各処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0088】
また、上記の各実施形態に係る色補正装置は、画像を形成する画像形成部と、カラーチャートを読み取ることにより測色データを取得する取得部を備えた画像形成装置に搭載するようによい。すなわち、画像形成部によりカラーチャートを形成し、読取部が予め定めた基準カラーチャートを読み取ることで前記基準色データを取得すると共に、前記画像形成部によって形成されたカラーチャートを読み取ることで測色データを取得し、色変換装置が上述のように色補正を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10、11 色補正装置
12 ターゲット色データ取得部
14 デバイス色データ取得部
16 補正履歴格納部
18 ターゲット色データ更新部
20 色補正パラメータ算出部
22 色補正データ取得部
24 繰り返し判定部
28 現状出力結果取得部
30 補正実施判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7