(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記先端接続部材の幅は、前記先端接続部材の中央部が最も広く、前記先端接続部材の両端部に向けて徐々に狭くなっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のリードフレーム部材。
半導体素子が搭載されるダイパッドと、前記ダイパッド周囲に設けられ、それぞれ外部端子を有する端子部と、前記端子部から内側に延びるとともに裏面側から薄肉化されたインナーリードとを含む複数のリード部と、各インナーリードの先端側に設けられ、前記複数のリード部を互いに接続する先端接続部材とを備え、前記外部端子が内側に位置するリード部と、前記外部端子が外側に位置するリード部とが交互に配置されることにより、前記複数のリード部の前記外部端子が平面から見て千鳥状に配置されている、リードフレーム部材の製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板をエッチング加工することにより、前記金属基板に前記ダイパッド、前記リード部および前記先端接続部材を形成する工程とを備え、
前記先端接続部材は、裏面側から薄肉化され、前記先端接続部材の表面は前記インナーリードの表面と同一平面上にあることを特徴とするリードフレーム部材の製造方法。
半導体素子が搭載されるダイパッドと、前記ダイパッド周囲に設けられ、それぞれ外部端子を有する端子部と、前記端子部から内側に延びるとともに裏面側から薄肉化されたインナーリードとを含む複数のリード部と、各インナーリードの先端側に設けられ、前記複数のリード部を互いに接続する先端接続部材とを備え、前記外部端子が内側に位置するリード部と、前記外部端子が外側に位置するリード部とが交互に配置されることにより、前記複数のリード部の前記外部端子が平面から見て千鳥状に配置されている、リードフレーム部材の製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板をエッチング加工することにより、前記金属基板に前記ダイパッド、前記リード部および前記先端接続部材を形成する工程とを備え、
前記先端接続部材の表面に、凹部が形成され、
前記先端接続部材の、表面に前記凹部が形成されている部分以外の部分は、薄肉化されておらず、前記端子部と同一の厚みをもち、
前記先端接続部材の、表面に前記凹部が形成されている部分は、前記凹部を形成することにより表面側から薄肉化されていることを特徴とするリードフレーム部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、
図1乃至
図11を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0023】
リードフレーム部材の構成
まず、
図1乃至
図3により、本実施の形態によるリードフレーム部材の概略について説明する。なお、本明細書中、「表面」とは、半導体素子を搭載する側の面のことをいい、「裏面」とは、表面の反対側の面であって、外部回路に実装される側の面のことをいう。
【0024】
図1および
図2に示すように、リードフレーム部材10は、半導体素子21(後述)を搭載するダイパッド11と、ダイパッド11周囲に設けられ、半導体素子21と外部回路(図示せず)とを接続する複数の細長いリード部12A、12Bと、ダイパッド11とリード部12A、12Bとの間に設けられ、複数のリード部12A、12Bを互いに接続する先端接続部材14とを備えている。
【0025】
このリードフレーム部材10は、それぞれ半導体装置20(後述)に対応する領域である、複数の単位リードフレーム10aを含んでいる。なお、単位リードフレーム10aは、
図1において仮想線の内側に位置する領域である。これら複数の単位リードフレーム10aは、支持リード(支持部材)13を介して互いに連結されている。この支持リード13は、ダイパッド11とリード部12A、12Bとを支持するものであり、X方向、およびX方向に垂直なY方向に沿ってそれぞれ延びている。
【0026】
ダイパッド11は、平面略矩形状であり、その4辺はX方向又はY方向のいずれかに沿って延びている。また、ダイパッド11の四隅には吊りリード16が連結されており、ダイパッド11は、この4本の吊りリード16を介して支持リード13に連結支持されている。
【0027】
次に、リード部12A、12Bの構成について更に説明する。
【0028】
図1乃至
図3に示すように、各リード部12A、12Bは、それぞれインナーリード51と、端子部53とを有している。このうちインナーリード51は、端子部53から内側(ダイパッド11側)に延びており、その先端において先端接続部材14に連結されている。この場合、インナーリード51は、平面から見て支持リード13に対して垂直又は傾斜して延びている。また、インナーリード51の先端部表面には内部端子15Aが形成されている。この内部端子15Aは、後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に電気的に接続される領域となっている。このため、内部端子15A上には、ボンディングワイヤ22との密着性を向上させるめっき部25が設けられている。
【0029】
また、
図2および
図3に示すように、リード部12A、12Bのインナーリード51は、それぞれ裏面側(半導体素子21を搭載する面の反対側)からハーフエッチングにより薄肉に形成されている。他方、端子部53は、ハーフエッチングされることなく、ダイパッド11および支持リード13と同一の厚みを有している。このように、インナーリード51の厚さが端子部53の厚さよりも薄いことにより、幅の狭いリード部12A、12Bを精度良く形成することができ、小型でピン数の多い半導体装置20を得ることができる。なお、ハーフエッチングとは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。なお、インナーリード51の幅は、例えば0.05mm〜0.10mmであり、インナーリード51の厚みは、例えば0.04mm〜0.10mmである。
【0030】
各リード部12A、12Bの端子部53の裏面には、それぞれ外部の実装基板(図示せず)に電気的に接続される外部端子17A、17Bが形成されている。各外部端子17A、17Bは、半導体装置20(後述)の製造後に、それぞれ半導体装置20から外方に露出するようになっている。
【0031】
この場合、複数のリード部12A、12Bの外部端子17A、17Bは、隣り合うリード部12A、12B間で内側および外側に位置するよう、平面から見て交互に千鳥状に配置されている。すなわち、ダイパッド11の周囲において、相対的に内側(ダイパッド11側)に位置する外部端子(内側外部端子)17Aをもつリード部12Aと、相対的に外側(支持リード13側)に位置する外部端子(外側外部端子)17Bをもつリード部12Bとが、全周にわたり交互に配置されている。これにより、リード部12Aとリード部12Bを近接して設けた場合でも、外部端子17Aと外部端子17Bとが接触する不具合が防止される。この場合、外部端子17Aおよび外部端子17Bは、全て同一の平面形状を有している。
【0032】
図1に示すように、複数の外部端子17Aは、平面から見ていずれもダイパッド11の一辺に対して平行な直線に沿って配列されている。また、複数の外部端子17Bは、平面から見ていずれもダイパッド11の一辺に対して平行な直線上に配列されている。すなわち、複数の外部端子17A、17Bは、X方向又はY方向のいずれかに対して平行な直線に沿って、2列に配列されている。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、複数の外部端子17Aおよび/または複数の外部端子17Bが、それぞれ平面から見てV字状又は円弧状に配列されても良い。また、複数の外部端子が3列に以上に配列されていても良い。
【0033】
また、内側に位置する外部端子(内側外部端子)17Aを有するリード部12Aは、支持リード13に接続される接続リード52を有している。各接続リード52は、端子部53よりも外側(支持リード13側)に位置しており、その基端部は支持リード13に連結されている。この接続リード52は、当該接続リード52が連結される支持リード13に対して垂直に延びている。また接続リード52は、それぞれ裏面側(半導体素子21を搭載する面の反対側)からハーフエッチングにより薄肉に形成されている。
【0034】
一方、外側に位置する外部端子(外側外部端子)17Bを有するリード部12Bは、接続リード52を有しておらず、端子部53によって直接支持リード13に連結されている(
図3参照)。しかしながら、これに限らず、リード部12Aと同様、リード部12Bが、支持リード13に接続されるとともに裏面側から薄肉化された接続リード52を有していても良い。
【0035】
なお、隣接するリード部12A、12B同士は、半導体装置20(後述)の製造後に互いに電気的に絶縁される形状となっている。また、各リード部12A、12Bは、半導体装置20の製造後にダイパッド11とも電気的に絶縁される形状となっている。
【0036】
この場合、互いに隣接する外部端子17A、17B間の間隔は、0.15mm〜0.35mmとしても良い。このように、外部端子17A、17B間の間隔を0.15mm以上とすることにより、互いに隣接するリード部12A、12B間の貫通部分をエッチングにより確実に形成することができる。また、上記間隔を0.25mm以下とすることにより、各半導体装置20の外部端子17A、17Bの数(ピン数)を一定数以上確保することができる。具体的には、半導体装置20の一辺が12mmである場合、外部端子17A、17Bの数(ピン数)は、例えば140ピン〜200ピンとすることができる。
【0037】
次に、先端接続部材14の構成について説明する。
【0038】
図1および
図2に示すように、先端接続部材14は、リード部12A、12Bのインナーリード51の先端側に設けられており、それぞれダイパッド11の辺に沿って配置されている。先端接続部材14を各インナーリード51の先端側に連結したことにより、例えば半導体装置20の製造時に、インナーリード51が変形することを防止することができる。
【0039】
この場合、先端接続部材14は、各単位リードフレーム10a内で、ダイパッド11の各辺に対応して4本設けられている。各先端接続部材14は、各支持リード13に連結された複数のリード部12A、12Bによって支持されている。この場合、全てのインナーリード51がいずれかの先端接続部材14に連結されているが、これに限らず、一部のインナーリード51が先端接続部材14に連結されていなくても良い。
【0040】
また各先端接続部材14は、平面から見て内側(ダイパッド11側)に向けて開くV字形状を有している。すなわち、各先端接続部材14は、その中央部が最もダイパッド11に遠く、その両端部に向けて徐々にダイパッド11に近づく形状となっている。この場合、ダイパッド11の両端部側において例えば金製のボンディングワイヤ22の距離を短くすることができるので、半導体装置20の製造コストを低減することができる。なお、
図1において、先端接続部材14は吊りリード16に連結されていないが、これに限らず、先端接続部材14が吊りリード16に連結されていても良い。
【0041】
図2および
図3に示すように、先端接続部材14は、裏面側から例えばハーフエッチングにより薄肉化されている。先端接続部材14を薄肉化したことにより、先端接続部材14を打ち抜き金型39によって切り離す作業(
図6(g)参照)が容易となる。
【0042】
また、先端接続部材14の厚みt
aは、インナーリード51の厚みt
bよりも厚いことが好ましい(
図3参照)。具体的には、インナーリード51の厚みt
bは、先端接続部材14の厚みt
aの60%〜100%とすることが好ましい。先端接続部材14をインナーリード51よりも厚くすることにより、先端接続部材14を打ち抜き金型39によって切り離す際(
図6(g)参照)、打ち抜き金型39の刃(パンチ38)が先端接続部材14に当たりやすくなるため、先端接続部材14が切除しやすくなる。また、先端接続部材14をインナーリード51よりも厚くする方法は、例えば先端接続部材14の裏面側の原版の設計を調整したり、エッチング加工条件を調整したりすることにより設定することができる。
【0043】
以上説明したリードフレーム部材10は、全体として銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属から構成されている。また、リードフレーム部材10の厚みは、製造する半導体装置20の構成にもよるが、0.1mm〜0.152mmとすることができる。本実施の形態において、リードフレーム部材10から各先端接続部材14を除去することにより、リードフレーム50が作製される(
図7(a)参照)。
【0044】
なお、
図1において、リード部12A、12Bは、ダイパッド11の4辺全てに沿って配置されているが、これに限られるものではなく、例えばダイパッド11の対向する2辺のみに沿って配置されていても良い。この場合、先端接続部材14は、当該2辺に沿って配置されたリード部12A、12Bのみによって支持されても良い。
【0045】
半導体装置の構成
次に、
図4および
図5により、本実施の形態による半導体装置について説明する。
図4および
図5は、本実施の形態による半導体装置(DR−QFN(Dual Row QFN)タイプ)を示す図である。
【0046】
図4および
図5に示すように、半導体装置(半導体パッケージ)20は、ダイパッド11と、ダイパッド11の周囲に配置された複数のリード部12A、12Bと、ダイパッド11上に搭載された半導体素子21と、リード部12A、12Bと半導体素子21とを電気的に接続する複数のボンディングワイヤ(導電部材)22とを備えている。また、ダイパッド11、リード部12A、12B、半導体素子21およびボンディングワイヤ22は、封止樹脂23によって樹脂封止されている。
【0047】
このうちダイパッド11およびリード部12A、12Bは、上述したリードフレーム部材10から作製されたものである。このダイパッド11およびリード部12A、12Bの構成は、単位リードフレーム10aに含まれない領域を除き、上述した
図1乃至
図3に示すものと略同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
なお、上述した先端接続部材14は、打ち抜き金型39(
図6(g)参照)によって切り離されて除去されている。このため、
図4および
図5に示すように、各リード部12A、12Bは互いに分離されており、電気的に独立している。
【0049】
一方、半導体素子21としては、従来一般に用いられている各種半導体素子を使用することが可能であり、特に限定されないが、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等を用いることができる。この半導体素子21は、各々ボンディングワイヤ22が取り付けられる複数の電極21aを有している。また、半導体素子21は、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24により、ダイパッド11の表面に固定されている。
【0050】
各ボンディングワイヤ22は、例えば金、銅等の導電性の良い材料からなっている。各ボンディングワイヤ22は、それぞれその一端が半導体素子21の電極21aに接続されるとともに、その他端が各リード部12A、12Bの内部端子15Aにそれぞれ接続されている。なお、内部端子15Aには、ボンディングワイヤ22と密着性を向上させるめっき部25がそれぞれ設けられている。
【0051】
封止樹脂23としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。封止樹脂23全体の厚みは、0.4mm〜1.0mm程度とすることができる。なお、
図4において、ダイパッド11およびリード部12A、12Bよりも表面側に位置する封止樹脂23の表示を省略している。
【0052】
なお、半導体装置20の一辺は、例えば8mm〜16mmとしても良い。
【0053】
リードフレーム部材およびリードフレームの製造方法
次に、
図1乃至
図3に示すリードフレーム部材10およびリードフレーム50の製造方法について、
図6(a)−(g)を用いて説明する。なお、
図6(a)−(g)は、リードフレーム部材10およびリードフレーム50の製造方法を示す断面図(
図2に対応する図)である。
【0054】
まず
図6(a)に示すように、平板状の金属基板31を準備する。この金属基板31としては、銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属からなる基板を使用することができる。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0055】
次に、金属基板31の表裏全体にそれぞれ感光性レジスト32a、33aを塗布し、これを乾燥する(
図6(b))。なお感光性レジスト32a、33aとしては、従来公知のものを使用することができる。
【0056】
続いて、この金属基板31に対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(
図6(c))。
【0057】
次に、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す(
図6(d))。これにより、ダイパッド11、複数のリード部12A、12B、支持リード13および先端接続部材14の外形が形成される。腐蝕液は、使用する金属基板31の材質に応じて適宜選択することができ、例えば、金属基板31として銅合金を用いる場合、通常、塩化第二鉄水溶液を使用し、金属基板31の両面からスプレーエッチングにて行うことができる。
【0058】
その後、エッチング用レジスト層32、33を剥離して除去する(
図6(e))。
【0059】
なお、上記においては、金属基板31の両面側からスプレーエッチングを行う場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、金属基板31の片面ずつ2段階のスプレーエッチングを行っても良い。具体的には、まず所定のパターンをもつエッチング用レジスト層32、33を形成し(
図6(c)参照)、その後、金属基板31の裏面側に耐エッチング性のある封止層(図示せず)を設け、この状態で金属基板31の表面側のみエッチングを実施する。次いで、当該裏面側の封止層を剥離し、金属基板31の表面側に封止層(図示せず)を設ける。このとき、表面側の封止層は、エッチング加工された金属基板31の表面側の凹部内にも進入する。続いて、金属基板31の露出した裏面のみをエッチングし、その後表面側の封止層を剥離することにより、ダイパッド11および複数のリード部12A、12Bの外形が形成される。このように金属基板31の片面ずつスプレーエッチングを行うことにより、リード部12A、12Bの変形を回避しやすいという効果が得られる。
【0060】
次に、ボンディングワイヤ22と各内部端子15Aとの密着性を向上させるため、各内部端子15Aにそれぞれメッキ処理を施し、めっき部25を形成する(
図6(f))。この場合、選択されるメッキ種は、ボンディングワイヤ22との密着性を確保できればその種類は問わないが、たとえばAgやAuなどの単層めっきでもよいし、Ni/PdやNi/Pd/Auがこの順に積層される複層めっきでもよい。なお、本実施の形態において、めっき部25は、インナーリード51のうちボンディングワイヤ22との接続部と、先端接続部材14の一部(インナーリード51との連結部近傍)とに施されているが、これに限られるものではない。例えば、めっき部25は、インナーリード51のうちボンディングワイヤ22との接続部のみに施してもよいし、リードフレーム部材10の全面に施してもよい。
【0061】
なお、一般に、リード部12A、12Bのインナーリード51は、このめっき処理工程(
図6(f))で変形が生じやすい。これに対して本実施の形態によれば、インナーリード51の先端側に先端接続部材14が設けられ、この先端接続部材14が複数のリード部12A、12Bを互いに接続している。このため、めっき処理時にインナーリード51に変形が生じてしまう不具合を防止することができる。
【0062】
このようにして、
図1乃至
図3に示すリードフレーム部材10が得られる。
【0063】
続いて、リードフレーム部材10をパンチ38を含む打ち抜き金型39に装着する。次いで、パンチ38が下降することにより、先端接続部材14が各インナーリード51から切断され、先端接続部材14がリード部12A、12Bから取り除かれる(打ち抜き工程)(
図6(g))。これにより、リードフレーム部材10から各先端接続部材14を除いたリードフレーム50が作製される。なお、パンチ38は、先端接続部材14を下方から打ち抜くものであっても良い。
【0064】
半導体装置の製造方法
次に、
図4および
図5に示す半導体装置20の製造方法について、
図7(a)−(e)を用いて説明する。
図7(a)−(e)は、半導体装置20の製造方法を示す断面図(
図5に対応する図)である。
【0065】
まず、例えば
図6(a)−(g)に示す方法(上述)により、リードフレーム50を得る(
図7(a))。
【0066】
次に、リードフレーム50のダイパッド11上に、半導体素子21を搭載する。この場合、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24を用いて、半導体素子21をダイパッド11上に載置して固定する(ダイアタッチ工程)(
図7(b))。
【0067】
次に、半導体素子21の各電極21aと、各リード部12A、12Bのめっき部25(内部端子15A)とを、それぞれボンディングワイヤ(導電部材)22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(
図7(c))。
【0068】
このとき、リードフレーム50をワイヤボンディング装置のヒートブロック36上に載置する。次いで、ヒートブロック36により、各リード部12A、12Bのインナーリード51をその裏面側から加熱する。これとともに、ワイヤボンディング装置のキャピラリー(図示せず)を介して超音波を印加しながら、半導体素子21の各電極21aと、各リード部12A、12Bのめっき部25とを、それぞれボンディングワイヤ22を用いて電気的に接続する。
【0069】
次に、リードフレーム50に対して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を射出成形またはトランスファ成形することにより、封止樹脂23を形成する(
図7(d))。このようにして、ダイパッド11、複数のリード部12A、12B、半導体素子21、およびボンディングワイヤ22を樹脂封止する。
【0070】
その後、各半導体素子21間のリードフレーム50および封止樹脂23をダイシングすることにより、リードフレーム50を各単位リードフレーム10a(
図1参照)毎に分離する。この際、例えばダイヤモンド砥石からなるブレード(図示せず)を回転させながら、各単位リードフレーム10a間のリードフレーム50および封止樹脂23を切断しても良い。
【0071】
このようにして、
図4および
図5に示す半導体装置20が得られる(
図7(e))。
【0072】
このように本実施の形態によれば、各インナーリード51の先端側に、複数のリード部12A、12Bを互いに接続する先端接続部材14が設けられている。このため、例えば内部端子15Aにめっき部25を形成する際(
図6(f))、先端接続部材14によって各インナーリード51の先端を固定しておくことができるので、インナーリード51の変形を防止することができる。また、インナーリード51の変形が防止されるので、その幅を細くしたり本数を増やしたりすることができ、この結果、半導体装置20の高密度化を図ることができる。例えば12mm角の半導体装置20の場合、リードフレーム部材10の厚みを0.125mm程度まで薄くし、外部端子17A、17Bの間隔(端子ピッチ)を0.250mm程度まで狭めることができる。この場合、図示しない外部の実装基板に接続される外部端子17A、17Bの数(ピン数)を180ピン程度まで増加することができる。さらに、リードフレーム部材10の厚みを薄くすることにより、半導体装置20全体の厚みも薄くすることができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、外部端子17Aが内側に位置するリード部12Aと、外部端子17Bが外側に位置するリード部12Bとが交互に配置され、外部端子17A、17Bが平面から見て千鳥状に配置されている。このため、外部端子17A、17Bの数(ピン数)を増加することができる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、各インナーリード51の先端に先端接続部材14が設けられている。このため、エッチングによりリード部12A、12Bを形成する際(
図6(d))、インナーリード51の先端において、エッチング液が回り込む方向が限定されるので、各インナーリード51先端の幅を均一なものとすることができる。また、先端接続部材14を設けたことにより、エッチング液の回り込みを均一にすることができるので、インナーリード51先端の幅を、先端接続部材14を設けない場合と比較して、例えば5〜10%程度広くすることができる。他方、比較例として、先端接続部材14が設けられていない場合、エッチング液がインナーリード51の先端前方からも回り込むため、先端接続部材14が設けられている場合と比較して、インナーリード51先端の幅を制御することが難しくなり、インナーリード51先端の幅にばらつきが生じやすくなる。
【0075】
(先端接続部材の変形例)
次に、
図8乃至
図11を参照してリードフレーム部材の各種変形例について説明する。
図8乃至
図11に示す変形例は、主として先端接続部材14の形状が異なるものであり、他の構成は上述した形態と略同一である。
図8乃至
図11において、
図1乃至
図7と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
図8に示すリードフレーム部材10Aにおいて、各先端接続部材14は、ダイパッド11の各辺に対して平行に一直線状に延びている。この場合、先端接続部材14が直線状に延びているので、先端接続部材14を各インナーリード51から切断する作業を行いやすい。
【0077】
図9に示すリードフレーム部材10Bにおいて、各先端接続部材14は、五角形形状を有しており、ダイパッド11の各辺に対して平行な底辺14pと、底辺14pに対向するとともにインナーリード51に連結された一対の上辺14qと、底辺14pと上辺14qとを接続する側辺14rとを有している。また、各先端接続部材14の幅は、各先端接続部材14の中央部が最も広く、各先端接続部材14の両端部に向けて徐々に狭くなっている。この場合、先端接続部材14の幅をより広くすることができるので、インナーリード51の変形をより効果的に防止することができる。
【0078】
図10に示すリードフレーム部材10Cにおいて、各先端接続部材14は、
図9と同様に五角形形状を有している。また、各先端接続部材14とダイパッド11の各辺とが、それぞれ1本の連結部材19によって互いに連結されている。各連結部材19は、X方向又はY方向のいずれかに対して平行な直線に沿って延びている。なお、連結部材19は、ハーフエッチングにより裏面側から薄肉化されていても良い。この場合、連結部材19によって先端接続部材14の動きを規制することができるので、インナーリード51の変形をより確実に防止することができる。
【0079】
図11に示すリードフレーム部材10Dにおいて、各先端接続部材14は、
図9と同様に五角形形状を有している。また、各先端接続部材14とダイパッド11の各辺とが、それぞれ2本の連結部材19によって互いに連結されている。なお、各連結部材19の構成は、
図10の場合と略同一である。この場合、連結部材19によって先端接続部材14の動きをより強固に規制することができるので、インナーリード51の変形をより確実に防止することができる。
【0080】
なお、
図1および
図8に示すリードフレーム部材10、10Aにおいても、各先端接続部材14とダイパッド11の各辺とを、それぞれ1本以上の連結部材19によって互いに連結しても良い。
【0081】
(第2の実施の形態)
次に、
図12乃至
図18を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
図12乃至
図18は本発明の第2の実施の形態を示す図である。
図12乃至
図18に示す第2の実施の形態は、先端接続部材14の構成と、先端接続部材14を除去する工程とが異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。
図12乃至
図18において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
リードフレーム部材の構成
図12乃至
図14に示すリードフレーム部材10Eにおいて、先端接続部材14は、リード部12A、12Bのインナーリード51の先端側に設けられている。各先端接続部材14は、平面から見て内側に向けて開くV字形状を有している。この場合、先端接続部材14は、薄肉化されておらず、ダイパッド11、支持リード13および端子部53と同一の厚みをもっている(
図13および
図14参照)。
【0083】
先端接続部材14の表面には、先端接続部材14の長手方向に沿って溝状の凹部14aが形成されている。この凹部14aは、ハーフエッチングにより形成されたものであり、厚み方向に貫通することなく一定の深さを持っている。また、凹部14aは、先端接続部材14の幅方向略中央部に形成されており、凹部14aの幅方向両側には、ハーフエッチングされていない土手部14bが形成されている。この場合、先端接続部材14の長手方向に垂直な断面は、略凹字形状又は略U字形状となっている(
図13および
図14参照)。
【0084】
このように凹部14aを設けたことにより、先端接続部材14の体積が減らされるので、後述するように、先端接続部材14をエッチングにより除去しやすくなっている。なお、本実施の形態において、凹部14aは、先端接続部材14の長さ方向全体に設けられているが、一部のみに設けても良い。また、必ずしも先端接続部材14に凹部14aを設けなくても良い。
【0085】
半導体装置の構成
図15および
図16に示す半導体装置20Eにおいて、上述した先端接続部材14は封止樹脂23によって樹脂封止された後、裏面側からエッチングにより除去されている。このように先端接続部材14が除去されたことに伴い、封止樹脂23の裏面のうち、リード部12A、12Bとダイパッド11との間の領域に、凹部27が形成されている。凹部27は、ダイパッド11の各辺に対応して4箇所設けられている。各凹部27は、先端接続部材14の形状に概ね対応しており、それぞれ平面V字形状を有している。また、凹部27内において、封止樹脂23の一部からなる突起部27aが突出している(
図16参照)。この突起部27aは、上述した先端接続部材14の凹部14aに対応する形状を有している。なお、凹部27には、封止樹脂23と同じあるいは別の種類の絶縁性樹脂23aが充填されていても良い。
【0086】
リードフレーム部材の製造方法
図17(a)−(f)は、本実施の形態によるリードフレーム部材10Eの製造方法を示している。
図17(a)−(f)に示すリードフレーム部材の製造方法は、先端接続部材14の構成が異なることを除き、
図6(a)−(f)に示すリードフレーム部材の製造方法と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0087】
半導体装置の製造方法
図18(a)−(f)は、本実施の形態による半導体装置の製造方法を示している。
【0088】
まず、例えば
図17(a)−(f)に示す方法(上述)により、リードフレーム部材10Eを得る(
図18(a))。次に、リードフレーム部材10Eのダイパッド11上に、半導体素子21を搭載する(
図18(b))。
【0089】
次に、半導体素子21の各電極21aと、各リード部12A、12Bのめっき部25(内部端子15A)とを、それぞれボンディングワイヤ(導電部材)22によって互いに電気的に接続する(
図18(c))。
【0090】
次いで、封止樹脂23により、ダイパッド11、複数のリード部12A、12B、半導体素子21、およびボンディングワイヤ22を樹脂封止する。
【0091】
続いて、リードフレーム部材10Eおよび封止樹脂23の裏面に、所定の開口部34aを有するエッチング用レジスト層34を設ける(
図18(d))。
【0092】
この間、まずリードフレーム部材10Eおよび封止樹脂23の裏面全体にそれぞれ感光性レジストを塗布する。続いて、当該感光性レジストをフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望の開口部34aを有するエッチング用レジスト層34が形成される。
【0093】
この場合、エッチング用レジスト層34は、開口部34aを除くリードフレーム部材10Eおよび封止樹脂23の裏面全体を覆っている。また、開口部34aは、先端接続部材14の位置にほぼ対応しており、開口部34aからは先端接続部材14の裏面(金属部分)が露出している。なお、エッチング用レジスト層34としては、例えば公知のドライフィルムレジストを用いることができる。
【0094】
次に、エッチング用レジスト層34を耐腐蝕膜としてリードフレーム部材10Eに腐蝕液でエッチングを施す(
図18(e))。このとき、開口部34aから進入した腐蝕液が、先端接続部材14の全体を溶解して除去する。この場合、先端接続部材14の表面に凹部14aが設けられているので、開口部34aから進入した腐蝕液が、リード部12A、12Bを必要以上に溶解することがなく、先端接続部材14を効率良く除去することができる。なお、腐蝕液は、例えば塩化第二鉄水溶液を使用することができる。このようにして、先端接続部材14が取り除かれることにより、各リード部12A、12Bが互いに分離される。また、封止樹脂23の裏面のうち、リード部12A、12Bとダイパッド11との間の領域に、先端接続部材14に対応する凹部27が形成される。
【0095】
次いで、エッチング用レジスト層34を剥離して除去する。なお、エッチング用レジスト層34を除去した後、凹部27に封止樹脂23と同じあるいは別の種類の絶縁性樹脂23aを充填する工程が設けられていても良い。
【0096】
その後、各半導体素子21間のリードフレーム部材10Eおよび封止樹脂23をダイシングすることにより、リードフレーム部材10Eを各単位リードフレーム10a毎に分離する。このようにして、
図15および
図16に示す半導体装置20Eが得られる(
図18(f))。
【0097】
なお、本実施の形態においては、先端接続部材14の全体がエッチングにより除去される場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、先端接続部材14の一部のみをエッチングにより除去し、先端接続部材14のうち除去されなかった部分を半導体装置20E内に残すようにしても良い。
【0098】
本実施の形態においても、先端接続部材14によって各インナーリード51の先端を固定しておくことができるので、インナーリード51の変形を防止することができる。また、インナーリード51の変形が防止されるので、その幅を細くしたり本数を増やしたりすることができ、この結果、半導体装置20Eの高密度化を図ることができる。
【0099】
なお、本実施の形態において、先端接続部材14の形状は、
図8乃至
図11に示すものであっても良い。