(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように自動調整を行う製袋機においても、製袋機が停止している間の手動調整と製袋機が駆動されている間の自動調整は、胴材の搬送方向に水平方向において直交する方向に設けられたメインラックのメインラックギヤと、当該メインラックギヤと勘合した駆動ギヤを用いることで行われていた。このため、手動調整及び自動調整のどちらの場合でも、メインラックギヤと駆動ギヤに負担がかかっていた。そして、負荷等の要因で駆動ギヤやメインラックギヤが摩耗した場合には、ヒートシール部の位置を調整する精度が低下するため、駆動ギヤとメインラックを適宜交換していた。
【0006】
とりわけメインラックを交換する際には、製袋機を停止させたうえで作業を行わなければならないだけではなく、さらには多くの部品を取り外さなくてはならない。このため、非常に手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、ヒートシール部の位置を手動で移動させるための部材の摩耗を減らし、ひいては、当該部材の交換頻度を下げることができる製袋機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による製袋機は、
第1胴材と第2胴材とをヒートシールして袋を製造する製袋機であって、
前記第1胴材と前記第2胴材とを重ね合わせた状態で、前記第1胴材及び前記第2胴材の少なくとも一方を加熱することで、前記第1胴材と前記第2胴材とをヒートシールするヒートシール部と、
前記第1胴材及び前記第2胴材の搬送方向における前記ヒートシール部の位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部からの検知結果に基づいて前記ヒートシール部の位置を調整するための駆動部を有する第一移動機構と、
前記ヒートシール部の位置を手動で移動させるための第二移動機構と、
を備える。
【0009】
本発明による製袋機において、
前記第一移動機構は、前記駆動部で駆動される第一駆動部材と、前記第一駆動部材によって駆動される第一被駆動部材とを有しており、
前記ヒートシール部は前記第一被駆動部材に固定されてもよい。
【0010】
本発明による製袋機において、
前記第一駆動部材は、前記駆動部で回転される第一駆動ギヤであり、
前記第一被駆動部材は、前記第一駆動ギヤに嵌合した第一ラックであってもよい。
【0011】
本発明による製袋機において、
前記第一駆動ギヤは水平方向において回転するようにして設けられてもよい。
【0012】
本発明による製袋機において、
前記第一被駆動部材は、前記第二移動機構に対して相対的に移動できてもよい。
【0013】
本発明による製袋機において、
前記第一移動機構は案内部材をさらに有し、
前記第一被駆動部材は、前記案内部材に沿って移動できるように設けられてもよい。
【0014】
本発明による製袋機において、
前記案内部材には、前記第一被駆動部材の両方向の移動を規制するための一対のストッパが設けられてもよい。
【0015】
本発明による製袋機において、
前記駆動部はロック可能となっており、
前記第二移動機構を手動で移動させる際に、前記駆動部がロックされてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置検知部からの検知結果に基づいてヒートシール部の位置を調整するための駆動部を有する第一移動機構と、ヒートシール部の位置を手動で移動させることができる第二移動機構の両方を有している。このため、位置検知部からの検知結果に基づいて、第一移動機構によってヒートシール部の位置を自動調整することができる。他方、このような自動調整には原則ヒートシール部の位置を手動で移動させるための第二移動機構が用いられない。したがって、第二移動機構に含まれる部材の摩耗を減らし、ひいては、当該部材の交換頻度を下げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る製袋機の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図7は本発明の実施の形態を説明するための図である。
【0019】
本実施の形態の製袋機100は、フィルムからなる第1胴材61及び第2胴材62を重ね合わせた状態で、第1胴材61及び第2胴材62のうち同じ部分を複数回加熱プレスすることで、第1胴材61と第2胴材62とをヒートシールして三方袋やスタンド袋(つまり、底材63を持つ袋であって自立可能な袋)等の袋を製造するためのものである。なお、本実施の形態では、
図1において、上方で搬送される胴材を第1胴材61と呼び、下方で搬送される胴材を第2胴材62と呼ぶこととする。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の製袋機100は、原反60を回転可能に支持し、当該原反60を供給する原反供給部10と、原反供給部10から連続的に繰り出された原反60を適宜案内する複数の案内ロール11と、原反60を略中央で切断して第1胴材61及び第2胴材62を生成するレザー刃25と、レザー刃25で原反60を切断することで生成された第1胴材61及び第2胴材62の各々を案内する複数の案内ロール12と、を備えている。なお、このように原反60を略中央で切断することの一つの理由は、原反60の一方の面にしか絵柄が印刷されておらず、製造される袋の前後面に絵柄を配置するには当該原反60を切断して上下で貼り合わせる必要があるためである。なお、
図1及び
図2で示されている案内ロール11,12は一部であり、実際にはより多くの案内ロール11,12が配置されている。
【0021】
本実施の形態の製袋機100は、原反60、第1胴材61及び第2胴材62を所定方向に沿って送る送り機構20を備えている(
図3参照)。
図3に示すように、この送り機構20は、原反60を連続的に送る連続送り機構21と、原反60と、この原反60から生成された第1胴材61及び第2胴材62の各々を間欠送りで送る間欠送り機構22とを有している。間欠送り機構22はアキュームレータ22aを含んでおり(
図1参照)、このアキュームレータ22aまで原反60が連続送り機構21によって連続的に送られ、このアキュームレータ22a以降で、アキュームレータ22aを含む間欠送り機構22によって原反60、第1胴材61及び第2胴材62が間欠送りされることとなる。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態の製袋機100は、第1胴材61及び第2胴材62の間に挟まれ、製造される袋の底を構成する底材63を供給する一対の底テープ原反ロール15を有している。そして、この底テープ原反ロール15から間欠送り機構22によって間欠送りされた底材63は三角板16によって2つ折りにされ、さらに下流側へと間欠送りされることとなる。なお、本実施の形態では、底材63もフィルムからなっている。この底材63は、スタンド袋を生産する際に用いられることとなる。ちなみに、底材63は切欠きを有しており、この切欠きの境界線上(すなわち、底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重なる部分と底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重ならない部分との境界線上)で後述するポイントシール部33によって加熱プレスされることとなる。
【0023】
図1では紙面の手前側の底テープ原反ロール15しか図示されていないが、実際には、
図1に示された底テープ原反ロール15の他に、
図1の紙面の奥行き方向に位置する底テープ原反ロールが設けられている。
【0024】
図3に示すように、本実施の形態の製袋機100は、第1胴材61と第2胴材62とを重ね合わせた状態で、第1胴材61及び第2胴材62の少なくとも一方を加熱することで、第1胴材61と第2胴材62とをヒートシールする複数のヒートシール部30を備えている。
【0025】
図1及び
図2に示すように、複数のヒートシール部30には、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って延在するとともに製造される袋の底に対応する部分を加熱してヒートシールするための縦シール部31と、水平方向において第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に直交するようにして延在するとともに製造される袋の幅方向の縁に対応する部分を加熱してヒートシールするためのサイドシール部32と、製造される袋の幅方向の縁に対応する部分であって、底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重なる部分と底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重ならない部分との境界線上の部分を加熱してヒートシールするためのポイントシール部33とが含まれている。なお、本実施の形態では、
図3に示すように、縦シール部31、サイドシール部32及びポイントシール部33の各々は、熱板31a,32a,33aと、当該熱板31a,32a,33aの温度を検知する温度検知部36,37,38と、を有している。また、熱板31a,32a,33a及び温度検知部36,37,38には、当該温度検知部36,37,38による検知結果を受けて熱板31a,32a,33aの温度を調整する制御部80が接続されている。
【0026】
ちなみに、本実施の形態の製袋機100によって製造される袋の大きさの一例としては、幅が100mm〜250mm程度であり、高さが150mm〜250mm程度であるものを挙げることができる。また、本実施の形態の製袋機100によれば、例えば、1分間に60〜100袋程製造することができ、ヒートシール部30によるヒートシールは1分間に60〜100程行われることとなる。
【0027】
第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63が間欠送りされる際には、これら第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63が一回の移動で縦シール部31を抜けず、これらは縦シール部31によって複数回(例えば最大3回)押圧されて加熱プレスされることとなる(
図4参照)。他方、サイドシール部32及びポイントシール部33に関しては、一回の移動で、第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63がサイドシール部32及びポイントシール部33を抜けてしまう(
図5参照)。なお、袋の幅方向の縁に関しては、上述したようにヒートシールが1分間に60〜100程行われて高速に処理される場合には、サイドシール部32で1回押圧されて加熱されるだけでは十分に加熱することができないことから、複数(本実施の形態では3つ)のサイドシール部32が設けられている。そして、各サイドシール部32によって同じ箇所が加熱プレスされることで袋の幅方向の縁がヒートシールされることとなる。ちなみに、一回の間欠送りでの第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63の移動距離が製造される袋の幅の長さに対応することとなる。なお、
図4及び
図5においては、製造される袋の高さ方向に関して、一袋分のみの第1胴材61及び第2胴材62を示している。
【0028】
図4に示すように、縦シール部31によって加熱される部分の高さ(すなわち水平方向において第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に直交する方向における長さ)は、製造される袋の幅方向の縁から中央に向かうにつれて低くなっており、縦シール部31はいわゆる「船底型」で袋の底に対応する部分を加熱プレスしてヒートシールするようになっている。
【0029】
ちなみに、本実施の形態において「第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向」は「底材63の搬送方向」と同じ方向であり、
図1及び
図2において右から左に向かう方向であるが、本実施の形態の説明では「第1胴材61、第2胴材62及び底材63の搬送方向」とは言わず、単に「第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向」と言うこととする。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態では、縦シール部31が一対の熱板31a,31aを有するとともに、ポイントシール部33が一対の熱板33a,33aを有しており、これら熱板31a,31a,33a,33aの各々が金属材からなっている。一対になった熱板31a,31aの各々は互いに対向するようにして配置され、同様に、一対になった熱板33a,33aの各々は互いに対向するようにして配置されている。そして、これら一対の熱板31a,31a又は一対の熱板33a,33aによってヒートされる部分が挟まれることで、ヒートシールされる部分が加熱プレスされることとなる。
【0031】
本実施の形態のサイドシール部32は、熱板32aと、この熱板32aに対向して配置されるシリコンゴム等からなる弾性部32cとを有している。そして、これら熱板32aと弾性部32cによってヒートされる部分が挟まれることで、ヒートシールされる部分が加熱プレスされることとなる。
【0032】
本実施の形態のように複数のサイドシール部32が設けられている場合には、熱板32aと弾性部32cとの位置関係が交互に変わってもよく、具体的には
図1に示すように、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向において最も上流側に位置するサイドシール部32では熱板32aが弾性部32cの上方に位置し、次のサイドシール部32では熱板32aが弾性部32cの下方に位置し、最も下流側に位置するサイドシール部32では熱板32aが弾性部32cの上方に位置するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、3つのサイドシール部32と、1つのポイントシール部33とが設けられている。そして、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向において最も上流側に位置するサイドシール部32が設けられ、その直後にポイントシール部33が設けられ、その直後に別の1つのサイドシール部32が設けられ、その直後に最も下流側に位置するサイドシール部32が設けられている。なお、本実施の形態において「直後」とは、当該部材とその「直後」に配置された部材との間に、第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63に対して何らしかの処理を施す部材が存在しないことを意味している。
【0034】
ちなみに、
図1及び
図2に示す態様は一例であり、縦シール部31、サイドシール部32及びポイントシール部33の数や配置は、
図1及び
図2で示される態様に限定されるものではないことには留意が必要である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態では、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向において縦シール部31の直後に、縦シール部31によって加熱プレスされた第1胴材61及び第2胴材62を冷却するためのボトム冷却部41が設けられている。
【0036】
また、本実施の形態では、最も下流側のサイドシール部32の直後に、サイドシール部32及びポイントシール部33によって加熱プレスされた第1胴材61及び第2胴材62、又は、第1胴材61、第2胴材62及び底材63を冷却するためのサイド・ポイント冷却部42が設けられている。
【0037】
上記では、サイドシール部32が、熱板32aと弾性部32cとを有しているとしているが、これに限られることはなく、サイドシール部32は一対の熱板32a,32aを有していてもよい。
【0038】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の製袋機100は、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向におけるサイド・ポイント冷却部42の下流側に、第1胴材61及び第2胴材62を適切な箇所で切断して袋を生成するカッターユニット70が設けられている。そして、このカッターユニット70の下流側には、製造された袋をさらに下流側へと搬送するコンベヤー75が設けられている。
【0039】
なお、本実施の形態の製袋機100でスタンド袋を生産する場合には、フィルムからなる第1胴材61、第2胴材62及び底材63が間欠送りされ、第1胴材61、第2胴材62及び底材63の搬送が停止した時点で、縦シール部31によって製造される袋の底に対応する部分が加熱プレスされ、ポイントシール部33によって製造される袋の幅方向の縁に対応する部分であって底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重なる部分と底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重ならない部分との境界線上の部分が加熱プレスされ、サイドシール部32によって製造される袋の幅方向の縁に対応する部分が加熱プレスされる。
【0040】
ちなみにスタンド袋を生産する場合には、縦シール部31によって製造される袋の底に対応する部分が加熱プレスされる際には、第1胴材61、第2胴材62及び底材63が重なり4重となったフィルムがヒートシールされることなる。サイドシール部32によって製造される袋の幅方向の縁に対応する部分が加熱プレスされる際には、第1胴材61及び第2胴材62が重なり2重となったフィルムと底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重なり4重となったフィルムとがヒートシールされることとなる。ポイントシール部33によってポイントシールされる際には、底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重なる部分と底材63と第1胴材61及び第2胴材62とが重ならない部分との境界線上の部分が加熱プレスされ、つまり2重になったフィルムと4重になったフィルムの境界部分がヒートシールされることとなる。ちなみに、このようなポイントシール部33によるヒートシールは、第1胴材61及び第2胴材62と底材63との間に形成される隙間を塞ぐために行われる。
【0041】
図3に示すように、本実施の形態の制御部80は、位置検知部130(後述する)、駆動部111(後述する)、送り機構20、カッターユニット70、コンベヤー75、ヒートシール部30等に接続されており、これらに指示を与えたり、これらから情報を取得したりするようになっている。
【0042】
なお、以下で用いる「ヒートシール部30」という文言は、サイドシール部32、ポイントシール部33及び縦シール部31のいずれか一つ以上を示す文言であり、サイドシール部32、ポイントシール部33及び縦シール部31のいずれか一つを意味することもあれば、サイドシール部32、ポイントシール部33及び縦シール部31のうちのいずれか二つを意味することもあれば、サイドシール部32、ポイントシール部33及び縦シール部31の全てを意味することもある。
【0043】
本実施の形態のヒートシール部30近傍には、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向における、後述するメインラック125に対するヒートシール部30の位置を検知する位置検知部130(
図3参照)が設けられている。この位置検知部130は例えば光学センサからなり、フィルム等に印刷された印刷柄を読み取るようになっている。
【0044】
また、ヒートシール部30には、位置検知部130からの検知結果に基づいて、ヒートシール部30の位置を調整するためのモータ等の駆動部111を有する第一移動機構110が設けられている(
図6参照)。また、後述する第一移動本体部115には、第一移動機構110を介してヒートシール部30の位置を手動で移動させることができる第二移動機構120の一部(より具体的には後述するシャフト123)が連結されている。ちなみに、第一移動機構110及び第二移動機構120の各々は、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿ってヒートシール部30を移動させることができるようになっている。なお、製袋機100が運転されているときには、第二移動機構120は後述するメインラック125に対して固定されている。他方、製袋機100が運転されておらず、第二移動機構120によってヒートシール部30の位置を手動で移動させるときには、第二移動機構120は後述するメインラック125に対して固定されておらずメインラック125に対して自在に移動できるようになっている。ところで、位置検知部130で得られたデータは制御部80に送られ、この制御部80からの指示に基づいて駆動部111が駆動されることになる。
【0045】
水平方向において第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向と直交する方向には一対のメインラック125が設けられている。つまり、
図2において、第1胴材61の上方と下方向の両方にメインラック125(
図6参照)が設けられている。そして、後述するように各メインラック125は第二移動機構120に含まれており、各第二移動機構120に対して第一移動機構110が設けられている。このため、第一移動機構110及び第二移動機構120はそれぞれ2つずつ設けられている。なお、位置検知部130に関しては1つだけ設けられてもよいが、必要に応じて各メインラック125に対応するように2つ設けてもよい。
【0046】
また、第一移動機構110は、上述した駆動部111と、当該駆動部111で回転される第一駆動ギヤ112と、第一駆動ギヤ112に嵌合した第一ラック113とを有している。なお、ヒートシール部30は第一ラック113に固定されている。そして、第一駆動ギヤ112が回転されることで、第一ラック113が第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って移動され、その結果、ヒートシール部30の第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向における位置を自在に調整することができる。なお、第一ラック113は、第一ラックギヤ113aを有しており、この第一ラックギヤ113aと第一駆動ギヤ112とが互いに嵌合されている。
【0047】
なお、一対の第一移動機構110の各々に含まれる駆動部111の駆動態様は同期されており、同じ態様で駆動される。ところで、本実施の形態では、第一駆動部材の一例として第一駆動ギヤ112を用い、第一被駆動部材の一例として第一ラック113を用いて説明するが、これらはあくまでも例に過ぎない点には留意が必要である。
【0048】
また、
図6に示すように、第一駆動ギヤ112は水平方向において回転するようにして設けられている。第一駆動ギヤ112は駆動部111に対してネジ等の締結部材によって固定されているだけであり、当該締結部材を取り外すことで簡単に駆動部111から取り外すことができる。また、第一ラック113はヒートシール部30に対してネジ等の締結部材によって固定されているだけであり、当該締結部材を取り外すことで簡単にヒートシール部30から取り外すことができる。
【0049】
第一ラック113は、第二移動機構120に対して相対的に移動できるように設けられている。より具体的には、第一移動機構110は、
図7に示すように、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って延在し、グリース等の潤滑剤が塗られた案内部材の一例である案内レール116と、この案内レール116に沿って移動可能に取り付けられた取付部117とをさらに有している。そして、第一ラック113は、取付部117を介して案内レール116に沿って移動できるように取り付けられている。なお、案内レール116と駆動部111は、第一移動本体部115に取り付けられている(
図6も参照)。
【0050】
また、
図7に示すように、案内レール116には、第一ラック113の両方向の移動を規制するための一対のストッパ119が設けられている。より具体的には、案内レール116の両端部近辺に、第一ラック113の移動を規制するためのストッパ119が設けられている。なお、上述した駆動部111(
図6参照)の回転は例えば電磁ブレーキによってロック可能となっている。そして、第二移動機構120を手動で第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って移動させる際には駆動部111がロックされ、その結果、第一ラック113が第二移動機構120とともに移動されることとなる。そして、第一ラック113がストッパ119のうち移動方向側のものに当接すると、ヒートシール部30が、第一ラック113及び第二移動機構120とともに移動されることとなる。
【0051】
また、
図6に示すように、第二移動機構120は、手動で回転されるハンドル部122と、ハンドル部122とともに回転する第二ギヤ121と、ハンドル部122と第二ギヤ121とを固定して連結するシャフト123と、第二ギヤ121と嵌合するメインラック125とを有している。なお、メインラック125は、メインラックギヤ125aを有しており、このメインラックギヤ125aと第二ギヤ121とが互いに嵌合されている。
【0052】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
【0053】
本実施の形態によれば、位置検知部130からの検知結果に基づいてヒートシール部30の位置を調整するための駆動部111を有する第一移動機構110と、ヒートシール部30の位置を手動で移動させることができる第二移動機構120の両方を有している。このため、位置検知部130からの検知結果に基づいて、第一移動機構110によってヒートシール部30の位置を自動調整することができる。他方、このような自動調整にはヒートシール部30の位置を手動で移動させるための第二移動機構120が原則用いられない。したがって、第二移動機構120に含まれる部材の摩耗を減らし、ひいては、当該部材の交換頻度を下げることができる(例えば交換頻度を半分以下にすることができる。)。なお、本実施の形態のように第1胴材61及び第2胴材62がフィルムからなる場合には、フィルムの伸び縮みが発生してしまうことから、ヒートシール部30の位置を自動で調整する必要が特に出てくる。自動調整を行う頻度は様々であるが、例えば間欠送りをする度にヒートシール部30の位置を自動で調整してもよいし、10回間欠送りをする度にヒートシール部30の位置を自動で調整してもよい。
【0054】
ちなみに、本実施の形態では、
図6に示すように、第二移動機構120が、手動で回転される第二ギヤ121と、第二ギヤ121と嵌合するメインラック125とを有している。このため、摩耗を減らすことができる部材としては第二ギヤ121とメインラック125を挙げることができる。この点、メインラック125を交換する際には、製袋機100を停止させたうえで作業を行わなければならないだけではなく、さらには多くの部品を取り外さなくてはならないことから、非常に手間がかかってしまう。しかしながら、本実施の形態によれば、このメインラック125の摩耗を減らすことができ、その結果、メインラック125の交換頻度を下げることができ、非常に有益である。ちなみに、新しいメインラック125を注文して納品されるまでには通常1週間程度の長い期間を要してしまう。
【0055】
また、本実施の形態では、
図6に示すように、第一移動機構110は、駆動部111と、当該駆動部111で回転される第一駆動ギヤ112と、第一駆動ギヤ112に嵌合するとともにヒートシール部30が固定された第一ラック113とを有している。このため、第一駆動ギヤ112を駆動部111で回転させるだけでヒートシール部30の第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向における位置を調整することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、第一駆動ギヤ112は水平方向において回転するようにして設けられており、この結果、モータ等からなる駆動部111を上下方向に延在させることができる。このため、水平方向における製袋機100の大きさを小さくすることができる。仮に第一駆動ギヤ112を鉛直方向において回転するようにして設けるとモータ等からなる駆動部111が水平方向に延在することとなり、その結果、水平方向において製袋機100の大きさが大きくなってしまう点で、本実施の形態の態様よりも劣ることとなる。なお、水平方向であって第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に直交する方向にモータ等からなる駆動部111が飛び出てしまうと、操作者が製袋機を操作する際に邪魔になったり、様々な理由から取り付けられているセンサに反応してしまったりする可能性があることからも、あまり好ましくはない。
【0057】
また、本実施の形態では、第一駆動ギヤ112が、駆動部111に対してネジ等の締結部材によって取り付けられている。このため、締結部材を取り外すだけで第一駆動ギヤ112を上方から容易に取り外すことができる。この点、本実施の形態によれば、第一駆動ギヤ112及び第一ラック113によってヒートシール部30の位置が自動調整されることから、第一駆動ギヤ112の摩耗が多くなり、その交換頻度が高くなる。このため、上述したように締結部材を取り外すだけで第一駆動ギヤ112を容易に取り外すことができることは、非常に有益である。
【0058】
また、本実施の形態では、第一ラック113はヒートシール部30に対してネジ等の締結部材によって固定されているだけであり、当該締結部材を取り外すだけで第一ラック113を上方から容易に取り外すことができる。この点、上述したように、本実施の形態によれば、第一駆動ギヤ112及び第一ラック113によってヒートシール部30の位置が自動調整されることから、第一ラック113の摩耗も多くなり、その交換頻度が高くなる。このため、上述したように締結部材を取り外すだけで第一ラック113を容易に取り外すことができることは、非常に有益である。
【0059】
また、メインラック125と比較すると第一駆動ギヤ112及び第一ラック113は格段に安価であり、その取り寄せ期間もメインラック125と比較すると格段に短い。したがって、この点でも本実施の形態は有益な効果を奏している。
【0060】
また、上述したように第一駆動ギヤ112及び第一ラック113は安価で交換が容易であることから、現実問題として、ある程度の頻度で第一駆動ギヤ112及び第一ラック113を交換することができる。この結果、あまり摩耗していない第一駆動ギヤ112及び第一ラック113を用いることができ、ひいては、ヒートシール部30の位置合わせをより正確に行うことができる。つまり、従来のようにメインラック125を用いる場合には、価格が高く交換にも手間がかかることから、メインラック125を交換することにある程度の障壁があった。このため、メインラックギヤ125aがある程度摩耗していても、そのまま用いられることもあり、その場合には、ヒートシール部30の位置合わせの精度が落ちることもあった。この点、本実施の形態によれば、ある程度の頻度で第一駆動ギヤ112及び第一ラック113を難なく交換することができるので、ヒートシール部30の位置合わせをより正確に行うことができることになる。
【0061】
また、本実施の形態では、ヒートシール部30が固定された第一ラック113が、第二移動機構120に対して相対的に移動できるようになっている。このため、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿ったヒートシール部30の位置を自動調整する際に、主な部材として第一ラック113及びヒートシール部30だけを移動させることができ、第一ラックギヤ113a及び第一駆動ギヤ112にかかる負担を軽減することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、第一ラック113が取付部117を介して案内レール116に沿って移動可能に取り付けられていることから、所定の方向、より具体的には第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って、第一ラック113を容易に移動させることができる。このため、第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿ってヒートシール部30の位置を容易に調整することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、駆動部111がロック可能となっていることから、第二移動機構120を手動で移動させる際に、駆動部111をロックすることで、第一ラック113を第二移動機構120とともに搬送方向に沿って移動させることができる。
【0064】
また、本実施の形態では、案内レール116の両端部近辺に、第一ラック113の移動を規制するためのストッパ119が設けられている。このため、第二移動機構120を手動で第1胴材61及び第2胴材62の搬送方向に沿って移動させる際に第一ラック113をストッパ119のうち移動方向側のものに当接させることで、ヒートシール部30を第一ラック113及び第二移動機構120とともに移動させることができる。ちなみに、第二移動機構120を手動で移動させる場合とは、例えばヒートシール部30の位置を大幅に変更するときであり、一例としては原反の種類を変えるときである。
【0065】
また、このようなストッパ119が設けられていることで、第一ラック113及び取付部117が案内レール116から誤って落下することも防止することができる。
【0066】
また、自動で位置調整する際の要求は一般的にサイドシールにおいて厳しくなっている。この点、上述したように本実施の形態によれば、ある程度の頻度で第一駆動ギヤ112及び第一ラック113を交換することができるので、ヒートシール部30の位置合わせをより正確に行うことができることになる。このため、位置調整する際の要求、とりわけサイドシールにおいて厳しくなっている要求をより確実に満たすことができる。
【0067】
ちなみに、縦シール部31に対して第一移動機構110及び第二移動機構120を用いた場合には縦シール部31の大きさが大きいことから、サイドシール部32に対して第一移動機構110及び第二移動機構120を用いた場合と比較して第一移動機構110及び第二移動機構120の大きさが大きくなる。
【0068】
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。このため、上記内容において、適宜、「第一駆動ギヤ112」を「第一駆動部材」と読み替え、「第一ラック113」を「第一被駆動部材」と読み替え、「案内レール116」を「案内部材」と読み替え、「回転」を「駆動」と読み替えることができる。