特許第6428311号(P6428311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許6428311液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置
<>
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000002
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000003
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000004
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000005
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000006
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000007
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000008
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000009
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000010
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000011
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000012
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000013
  • 特許6428311-液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6428311
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/045 20060101AFI20181119BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B41J2/045
   B41J2/015 101
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-14095(P2015-14095)
(22)【出願日】2015年1月28日
(65)【公開番号】特開2016-137651(P2016-137651A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】島 駿一
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−076562(JP,A)
【文献】 特開2011−199153(JP,A)
【文献】 特開2006−332864(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0091530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部と、前記変調信号に基づいて増幅制御信号を生成するゲートドライバーと、第1帰還端子と、第2帰還端子と、を含む集積回路装置と、
前記増幅制御信号に基づいて、前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成するローパスフィルターと、
前記駆動信号に基づいて、前記駆動信号よりも高周波数の帰還信号を生成し、前記第1帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還する第1帰還回路と、
前記第2帰還端子を介して前記駆動信号を前記変調部に帰還する第2帰還回路と、
前記駆動信号が印加されることで変位する圧電素子と、
内部に液体が充填され、前記圧電素子の変位により、内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティに連通し、前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内の前記液体を液滴として吐出するノズルと、
を備え、
前記変調部は、
前記第1帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記第1帰還端子から帰還された前記帰還信号は、前記第1帰還端子から前記第1回路ブロックの前記加算器に入力され、
前記第2帰還端子から帰還された前記駆動信号は、前記第2帰還端子から前記第2回路ブロックにおける他の加算器に入力され、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックと前記ゲートドライバーとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記第1回路ブロックが形成されたウェルは、前記第2回路ブロックが形成されたウェルよりも、平面視における面積が小さい、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体吐出装置において、
前記第1回路ブロックは、前記帰還信号のレベルを変換する信号レベル変換部をさらに含む、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記変調信号の発振周波数は、1MHz以上8MHz以下である、液体吐出装置。
【請求項5】
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部と、前記変調信号に基づいて増幅制御信号を生成するゲートドライバーと、第1帰還端子と、第2帰還端子と、を含む集積回路装置と、
前記増幅制御信号に基づいて、前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成するローパスフィルターと、
前記駆動信号に基づいて、前記駆動信号よりも高周波数の帰還信号を生成し、前記第1帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還する第1帰還回路と、
前記第2帰還端子を介して前記駆動信号を前記変調部に帰還する第2帰還回路と、
前記駆動信号が印加されることで変位する圧電素子と、
内部に液体が充填され、前記圧電素子の変位により、内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティに連通し、前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内
の前記液体を液滴として吐出するノズルと、
を備え、
前記変調部は、
前記第1帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記第1帰還端子から帰還された前記帰還信号は、前記第1帰還端子から前記第1回路ブロックの前記加算器に入力され、
前記第2帰還端子から帰還された前記駆動信号は、前記第2帰還端子から前記第2回路ブロックにおける他の加算器に入力され、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックと前記ゲートドライバーとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、ヘッドユニット。
【請求項6】
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部と、前記変調信号に基づいて増幅制御信号を生成するゲートドライバーと、第1帰還端子と、第2帰還端子と、を含む集積回路装置と、
前記増幅制御信号に基づいて、前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成して容量性負荷に出力するローパスフィルターと、
前記駆動信号に基づいて、前記駆動信号よりも高周波数の帰還信号を生成し、前記第1帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還する第1帰還回路と、
前記第2帰還端子を介して前記駆動信号を前記変調部に帰還する第2帰還回路と、
を備え、
前記変調部は、
前記第1帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記第1帰還端子から帰還された前記帰還信号は、前記第1帰還端子から前記第1回路ブロックの前記加算器に入力され、
前記第2帰還端子から帰還された前記駆動信号は、前記第2帰還端子から前記第2回路ブロックにおける他の加算器に入力され、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックと前記ゲートドライバーとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、容量性負荷駆動回路。
【請求項7】
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部と、
前記変調信号に基づいて、容量性負荷を駆動する駆動信号を生成する出力回路を制御する増幅制御信号を生成するゲートドライバーと、
第1帰還端子と、
第2帰還端子と、
を備え、
前記変調部には、前記駆動信号に基づいて生成された、前記駆動信号よりも高周波数の帰還信号が前記第1帰還端子を介して帰還され、前記駆動信号が前記第2帰還端子を介して帰還され、
前記変調部は、
前記第1帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記第1帰還端子から帰還された前記帰還信号は、前記第1帰還端子から前記第1回路ブロックの前記加算器に入力され、
前記第2帰還端子から帰還された前記駆動信号は、前記第2回路ブロックにおける他の加算器に入力され、
前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックと前記ゲートドライバーとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、容量性負荷駆動用集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターなどの液体吐出装置には、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動されることにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
【0003】
このため、上述の液体吐出装置においては、増幅回路で増幅した駆動信号をヘッドユニット(インクジェットヘッド)に供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、増幅前の源信号をAB級などで電流増幅する方式が挙げられるが、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級アンプについて提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−114711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットヘッド用のD級アンプでは吐出精度を得る(出力波形を高精度化する)ために、オーディオ用のD級アンプと比較して20倍以上の高い発振周波数(1〜8MHz)が必要となる。しかしながら、この高い発振周波数のために、様々なノイズの影響を受けやすいといった特徴がある。このため、インクジェット用のD級アンプにおいては、オーディオ用では検討する重要性が少なかったIC内の部品レイアウトがノイズ低減のために重要であることを本願発明者は見出した。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、液体の吐出精度を向上できる、液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例に係る液体吐出装置は、
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部を含む集積回路装置と、
帰還回路と、
前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成するローパスフィルターと、
前記駆動信号が印加されることで変位する圧電素子と、
内部に液体が充填され、前記圧電素子の変位により、内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティに連通し、前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内の前記液体を液滴として吐出するノズルと、
を備え、
前記帰還回路は、前記駆動信号に基づいて帰還信号を生成し、帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還し、
前記変調部は、
前記帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、液体吐出装置である。
【0009】
本適用例によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置を実現できる。
【0010】
[適用例2]
上述の液体吐出装置において、
前記第1回路ブロックが形成されたウェルは、前記第2回路ブロックが形成されたウェルよりも、平面視における面積が小さくてもよい。
【0011】
本適用例によれば、加算器を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置を実現できる。
【0012】
[適用例3]
上述の液体吐出装置において、
前記第1回路ブロックは、前記帰還信号のレベルを変換する信号レベル変換部をさらに含んでもよい。
【0013】
本適用例によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器と信号レベル変換部を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器と信号レベル変換部を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置を実現できる。
【0014】
[適用例4]
上述の液体吐出装置において、
前記帰還回路は、前記駆動信号の高周波帯域の信号を前記帰還信号として帰還してもよい。
【0015】
本適用例によれば、駆動信号の高周波帯域の信号を帰還信号として帰還することによって、変調部が精度良い変調信号を生成できる。また、ノイズの影響を受けやすい高周波信号へのノイズの影響を低減できる。したがって、圧電素子に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置を実現できる。
【0016】
[適用例5]
上述の液体吐出装置であって、
前記変調信号の発振周波数は、1MHz以上8MHz以下であってもよい。
【0017】
上述の液体吐出装置では、増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成し、駆動信号が印加されることによって圧電素子が変位して、ノズルから液体を吐出させる。ここで、液体吐出装置が例えば小ドットを吐出するための駆動信号の波形を周波数スペクトル解析すると、50kHz以上の周波数成分が含まれていることが判っている。このような50kHz以上の周波数成分を含む駆動信号を生成するためには、変調信号の周波数(自励発振の周波数)を1MHz以上とする必要がある。
【0018】
もし、当該周波数を1MHzよりも低くしてしまうと、再現される駆動信号の波形のエッジが鈍って丸くなってしまう。換言すれば、角が取れて波形が鈍ってしまう。駆動信号の波形が鈍ると、波形の立ち上がり、立ち下がりエッジに応じて動作する圧電素子の変位が緩慢になり、吐出時の尾引きや、吐出不良などを発生させて、印刷の品質を低下させてしまう。
【0019】
一方、自励発振の周波数を8MHzよりも高くすれば、駆動信号の波形の分解能は高まる。ただし、トランジスターにおけるスイッチング周波数が上昇することによって、スイッチング損失が大きくなり、AB級アンプなどのリニア増幅と比べて、優位性を有する省電力性、省発熱性が損なわれてしまう。
【0020】
このため、上述の液体吐出装置において、変調信号の周波数は、1MHz以上8MHz以下であることが好ましい。
【0021】
[適用例6]
本適用例に係るヘッドユニットは、
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部を含む集積回路装置と、
帰還回路と、
前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成するローパスフィルターと、
前記駆動信号が印加されることで変位する圧電素子と、
内部に液体が充填され、前記圧電素子の変位により、内部容積が変化するキャビティと、
前記キャビティに連通し、前記キャビティの内部容積の変化に応じて前記キャビティ内の前記液体を液滴として吐出するノズルと、
を備え、
前記帰還回路は、前記駆動信号に基づいて帰還信号を生成し、帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還し、
前記変調部は、
前記帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、ヘッドユニットである。
【0022】
本適用例によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できるヘッドユニットを実現できる。
【0023】
[適用例7]
本適用例に係る容量性負荷駆動回路は、
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部を含む集積回路装置と、
帰還回路と、
前記変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスターと、
前記増幅変調信号を復調して駆動信号を生成して容量性負荷に出力するローパスフィルターと、
を備え、
前記帰還回路は、前記駆動信号に基づいて帰還信号を生成し、帰還端子を介して前記帰還信号を前記変調部に帰還し、
前記変調部は、
前記帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記集積回路装置は、前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、容量性負荷駆動回路である。
【0024】
本適用例によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、容量性負荷に印加される電圧を高精度に制御できる容量性負荷駆動回路を実現できる。
【0025】
[適用例8]
本適用例に係る容量性負荷駆動用集積回路装置は、
源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部と、
前記変調信号に基づいて、容量性負荷を駆動する駆動信号を生成する出力回路を制御する増幅制御信号を生成するゲートドライバーと、
を備え、
前記変調部には、前記駆動信号に基づいて生成された帰還信号が帰還端子を介して帰還され、
前記変調部は、
前記帰還端子から前記変調部の出力までの信号経路上にある加算器を含む第1回路ブロックと、
前記変調部のうち前記加算器とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロックと、
を含み、
前記第1回路ブロックと前記第2回路ブロックとをトリプルウェル構造で分離するように構成されている、容量性負荷駆動用集積回路装置である。
【0026】
本適用例によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器を含む第1回路ブロックの寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロックで発生したノイズが加算器に回りこむことを抑制できるので、変調部が精度良い変調信号を生成できる。したがって、容量性負荷に印加される電圧を高精度に制御できる容量性負荷駆動用集積回路装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図2】液体吐出装置の構成を示すブロック図である。
図3】ヘッドユニットにおける吐出部の構成を示す図である。
図4】ヘッドユニットにおけるノズル配列を示す図である。
図5】ヘッドユニットにおける選択制御部の動作を説明するための図である。
図6】ヘッドユニットにおける選択制御部の構成を示す図である。
図7】ヘッドユニットにおけるデコーダーのデコード内容を示す図である。
図8】ヘッドユニットにおける選択部の構成を示す図である。
図9】選択部により選択される駆動信号を示す図である。
図10】駆動回路(容量性負荷駆動回路)の回路構成を示す図である。
図11】駆動回路の動作を説明するための図である。
図12】集積回路装置のレイアウト構成の一例を模式的に示す平面図である。
図13図13(A)は、集積回路装置の構造を概念的に示す断面図、図13(B)は、集積回路装置を概念的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0029】
1.液体吐出装置の概要
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じてインクを吐出させることによって、紙などの印刷媒体にインクドット群を形成し、これにより、当該画像データに応じた画像(文字、図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
【0030】
なお、液体吐出装置としては、例えば、プリンター等の印刷装置、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置等を挙げることができる。
【0031】
図1は、液体吐出装置1の内部の概略構成を示す斜視図である。図1に示されるように、液体吐出装置1は、移動体2を、主走査方向に移動(往復動)させる移動機構3を備える。
【0032】
移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有している。
【0033】
移動体2のキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を正逆走行させると、移動体2がキャリッジガイド軸32に案内されて往復動する。
【0034】
また、移動体2のうち、印刷媒体Pと対向する部分にはヘッドユニット20が設けられる。このヘッドユニット20は、後述するように、多数のノズルからインク滴(液滴)を吐出させるためのものであり、フレキシブルケーブル190を介して各種の制御信号等が供給される構成となっている。
【0035】
液体吐出装置1は、印刷媒体Pを、副走査方向にプラテン40上で搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して、印刷媒体Pを副走査方向に搬送する搬送ローラー42と、を備える。
【0036】
印刷媒体Pが搬送機構4によって搬送されたタイミングで、ヘッドユニット20が当該印刷媒体Pにインク滴を吐出することによって、印刷媒体Pの表面に画像が形成される。
【0037】
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0038】
この図に示されるように、液体吐出装置1では、制御ユニット10とヘッドユニット20とがフレキシブルケーブル190を介して接続される。
【0039】
制御ユニット10は、制御部100と、キャリッジモーター31と、キャリッジモータードライバー35と、搬送モーター41と、搬送モータードライバー45と、駆動回路50−a、駆動回路50−bと、を有する。このうち、制御部100は、ホストコンピューターから画像データが供給されたときに、各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
【0040】
詳細には、第1に、制御部100は、キャリッジモータードライバー35に対して制御信号Ctr1を供給し、キャリッジモータードライバー35は、当該制御信号Ctr1にしたがってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、キャリッジ24における主走査方向の移動が制御される。
【0041】
第2に、制御部100は、搬送モータードライバー45に対して制御信号Ctr2を供給し、搬送モータードライバー45は、当該制御信号Ctr2にしたがって搬送モーター41を駆動する。これにより、搬送機構4による副走査方向の移動が制御される。
【0042】
第3に、制御部100は、2つの駆動回路50−a、50−bのうち、一方の駆動回路50−aにデジタルのデータdAを供給し、他方の駆動回路50−bにデジタルのデータdBを供給する。ここで、データdAは、ヘッドユニット20に供給する駆動信号のうち、駆動信号COM−Aの波形を規定し、データdBは、駆動信号COM−Bの波形を規定する。
【0043】
なお、詳細については後述するが、駆動回路50−aは、データdAをアナログ変換した後に、D級増幅した駆動信号COM−Aをヘッドユニット20に供給する。同様に、駆動回路50−bは、データdBをアナログ変換した後に、D級増幅した駆動信号COM−Bをヘッドユニット20に供給する。また、駆動回路50−a、50−bについては、入力するデータ、および、出力する駆動信号が異なるのみであり、後述するように回路的な構成は同一である。このため、駆動回路50−a、50−bについて特に区別する必要がない場合(例えば後述する図10を説明する場合)には、「−(ハイフン)」以下を省略し、単に符号を「50」として説明する。
【0044】
第4に、制御部100は、ヘッドユニット20に、クロック信号Sck、データ信号Data、制御信号LAT、CHを供給する。
【0045】
ヘッドユニット20には、選択制御部210と、選択部230および圧電素子(ピエゾ素子)60の複数組とが設けられる。なお、後述されるように、ヘッドユニット20が駆動回路50−a、50−bを備えていてもよい。
【0046】
選択制御部210は、選択部230のそれぞれに対して駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択すべきか(または、いずれも非選択とすべきか)を、制御部100から供給される制御信号等によって指示し、選択部230は、選択制御部210の指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bを選択し、圧電素子60の一端にそれぞれに駆動信号として供給する。なお、図2では、この駆動信号の電圧をVoutと表記している。圧電素子60のそれぞれにおける他端は、電圧VBSが共通に印加されている。
【0047】
圧電素子60は、駆動信号が印加されることで変位する。圧電素子60は、ヘッドユニット20における複数のノズルのそれぞれに対応して設けられる。そして、圧電素子60は、選択部230により選択された駆動信号の電圧Voutと電圧VBSとの差に応じて変位してインクを吐出させる。そこで次に、圧電素子60への駆動によってインクを吐出させるための構成について簡単に説明する。
【0048】
図3は、ヘッドユニット20において、ノズル1個分に対応した概略構成を示す図である。
【0049】
図3に示されるように、ヘッドユニット20は、圧電素子60と振動板621とキャビティ(圧力室)631とリザーバー641とノズル651とを含む。このうち、振動板621は、図において上面に設けられた圧電素子60によって変位(屈曲振動)し、インクが充填されるキャビティ631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティ631に連通する開孔部である。キャビティ631は、内部に液体(例えば、インク)が充填され、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する。ノズル651は、キャビティ631に連通し、キャビティ631の内部容積の変化に応じてキャビティ631内の液体を液滴として吐出する。
【0050】
図3で示される圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611、612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601にあっては、電極611、612により印加された電圧に応じて、電極611、612、振動板621とともに図3において中央部分が両端部分に対して上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60は、駆動信号の電圧Voutが高くなると、上方向に撓む一方、電圧Voutが低くなると、下方向に撓む構成となっている。この構成において、上方向に撓めば、キャビティ631の内部容積が拡大するので、インクがリザーバー641から引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ631の内部容積が縮小するので、縮小の程度によっては、インクがノズル651から吐出される。
【0051】
なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60を変形させてインクのような液体を吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、いわゆる縦振動を用いる構成でもよい。
【0052】
また、圧電素子60は、ヘッドユニット20においてキャビティ631とノズル651とに対応して設けられ、当該圧電素子60は、図1において、選択部230にも対応して設けられる。このため、圧電素子60、キャビティ631、ノズル651および選択部230のセットは、ノズル651毎に設けられることになる。
【0053】
図4(a)は、ノズル651の配列の一例を示す図である。
【0054】
図4(a)に示されるように、ノズル651は、例えば2列で次のように配列している。詳細には、1列分でみたとき、複数個のノズル651が副走査方向に沿ってピッチPvで配置する一方、2列同士では、主走査方向にピッチPhだけ離間して、かつ、副走査方向にピッチPvの半分だけシフトした関係となっている。
【0055】
なお、ノズル651は、カラー印刷する場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)などの各色に対応したパターンが例えば主走査方向に沿って設けられるが、以下の説明では、簡略化するために、単色で階調を表現する場合について説明する。
【0056】
図4(b)は、図4(a)に示したノズル配列による画像形成の基本解像度を説明するための図である。なお、この図は、説明を簡易化するために、ノズル651からインク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法(第1方法)の例であり、黒塗りの丸印がインク滴の着弾により形成されるドットを示している。
【0057】
ヘッドユニット20が、主走査方向に速度vで移動するとき、同図に示されるように、インク滴の着弾によって形成されるドットの(主走査方向の)間隔Dと、当該速度vとは、次のような関係にある。
【0058】
すなわち、1回のインク滴の吐出で1ドットが形成される場合、ドット間隔Dは、速度vを、インクの吐出周波数fで除した値(=v/f)、換言すれば、インク滴が繰り返し吐出される周期(1/f)においてヘッドユニット20が移動する距離で示される。
【0059】
なお、図4(a)および図4(b)の例では、ピッチPhがドット間隔Dに対して係数nで比例する関係にして、2列のノズル651から吐出されるインク滴が、印刷媒体Pにおいて同一列で揃うように着弾させている。このため、図4(b)に示されるように、副走査方向のドット間隔が、主走査方向のドット間隔の半分となっている。ドットの配列は、図示の例に限られないことは言うまでもない。
【0060】
ところで、高速印刷を実現するためには、単純には、ヘッドユニット20が主走査方向に移動する速度vを高めればよい。ただし、単に速度vを高めるだけでは、ドットの間隔Dが長くなってしまう。このため、ある程度の解像度を確保した上で、高速印刷を実現するためには、インクの吐出周波数fを高めて、単位時間当たりに形成されるドット数を増やす必要がある。
【0061】
また、印刷速度とは別に、解像度を高めるためには、単位面積当たりで形成されるドット数を増やせばよい。ただし、ドット数を増やす場合に、インクを少量にしないと、隣り合うドット同士が結合してしまうだけでなく、インクの吐出周波数fを高めないと、印刷速度が低下する。
【0062】
このように、高速印刷および高解像度印刷を実現するためには、インクの吐出周波数fを高める必要があるのは、上述した通りである。
【0063】
一方、印刷媒体Pにドットを形成する方法としては、インク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法のほかに、単位期間にインク滴を2回以上吐出可能として、単位期間において吐出された1以上のインク滴を着弾させ、当該着弾した1以上のインク滴を結合させることで、1つのドットを形成する方法(第2方法)や、これら2以上のインク滴を結合させることなく、2以上のドットを形成する方法(第3方法)がある。以降の説明では、ドットを上記第2方法によって形成する場合について説明する。
【0064】
本実施形態では、第2方法について、次のような例を想定して説明する。すなわち、本実施形態において、1つのドットについては、インクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意して、それぞれにおいて、1周期に前半パターンと後半パターンとを持たせている。1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子60に供給する構成となっている。
【0065】
そこで、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための構成について説明する。なお、駆動信号COM−A、COM−Bについては、それぞれ駆動回路50によって生成されるが、駆動回路50については、便宜的に、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための構成の後に説明する。
【0066】
図5は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
【0067】
図5に示されるように、駆動信号COM−Aは、周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。
【0068】
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
【0069】
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズル651の開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子60の一端に供給されたとしても、当該圧電素子60に対応するノズル651からインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
【0070】
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcで開始し、電圧Vcで終了する波形となっている。
【0071】
図6は、図2における選択制御部210の構成を示す図である。
【0072】
図6に示されるように、選択制御部210には、クロック信号Sck、データ信号Data、制御信号LAT、CHが制御ユニット10から供給される。選択制御部210では、シフトレジスタ(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。
【0073】
データ信号Dataは、画像の1ドットを形成するにあたって、当該ドットのサイズを規定する。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、データ信号Dataは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
【0074】
データ信号Dataは、クロック信号Sckに同期してノズルごとに、ヘッドユニット20の主走査に合わせて制御部100からシリアルで供給される。シリアルで供給されたデータ信号Dataを、ノズルに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ212である。
【0075】
詳細には、圧電素子60(ノズル)に対応した段数のシフトレジスタ212が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給されたデータ信号Dataが、クロック信号Sckにしたがって順次後段に転送される構成となっている。
【0076】
なお、圧電素子60の個数をm(mは複数)としたときに、シフトレジスタ212を区別するために、データ信号Dataが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
【0077】
ラッチ回路214は、シフトレジスタ212で保持されたデータ信号Dataを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
【0078】
デコーダー216は、ラッチ回路214によってラッチされた2ビットのデータ信号Dataをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部230での選択を規定する。
【0079】
図7は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。
【0080】
図7において、ラッチされた2ビットのデータ信号Dataについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー216は、例えばラッチされたデータ信号Dataが(0,1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルとし、期間T2ではそれぞれL、Hレベルとして、出力するということを意味している。
【0081】
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、データ信号Data、制御信号LAT、CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
【0082】
図8は、図2における圧電素子60(ノズル651)の1個分に対応する選択部230の構成を示す図である。
【0083】
図8に示されるように、選択部230は、インバーター(NOT回路)232a、232bと、トランスファーゲート234a、234bとを有する。
【0084】
デコーダー216からの選択信号Saは、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート234bの正制御端に供給される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bの負制御端に供給される。
【0085】
トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート234a、234bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子60の一端に接続される。
【0086】
トランスファーゲート234aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート234bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
【0087】
次に、選択制御部210と選択部230との動作について図5を参照して説明する。
【0088】
データ信号Dataが、制御部100からノズル毎に、クロック信号Sckに同期してシリアルで供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ212において順次転送される。そして、制御部100がクロック信号Sckの供給を停止させると、シフトレジスタ212のそれぞれには、ノズルに対応したデータ信号Dataが保持された状態になる。なお、データ信号Dataは、シフトレジスタ222における最終m段、…、2段、1段のノズルに対応した順番で供給される。
【0089】
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスタ212に保持されたデータ信号Dataを一斉にラッチする。図5において、L1、L2、…、Lmは、データ信号Dataが、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ212に対応するラッチ回路214によってラッチされたデータ信号Dataを示している。
【0090】
デコーダー216は、ラッチされたデータ信号Dataで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図7に示されるような内容で出力する。
【0091】
すなわち、第1に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(1,1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(0,1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(1,0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー216は、当該データ信号Dataが(0,0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
【0092】
図9は、データ信号Dataに応じて選択されて、圧電素子60の一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
【0093】
データ信号Dataが(1,1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート234aがオンし、トランスファーゲート234bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部230は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
【0094】
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子60の一端に供給されると、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、データ信号Dataで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
【0095】
データ信号Dataが(0,1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート234aがオンし、トランスファーゲート234bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
【0096】
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、データ信号Dataで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
【0097】
データ信号Dataが(1,0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート234a、234bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート234a、234bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート234a、234bの出力端同士の接続点から圧電素子60の一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子60は、自己が有する容量性によって、トランスファーゲート234a、234bがオフする直前の電圧(Vc−VBS)を保持する。
【0098】
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズル651から、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、印刷媒体Pには、データ信号Dataで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
【0099】
データ信号Dataが(0,0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート234aがオフし、トランスファーゲート234bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
【0100】
このため、期間T1においてノズル651の開孔部付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、データ信号Dataで規定された通りの非記録になる。
【0101】
このように、選択部230は、選択制御部210による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子60の一端に供給する。このため、各圧電素子60は、データ信号Dataで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
【0102】
なお、図5に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、ヘッドユニット20の移動速度や印刷媒体Pの性質などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
【0103】
また、ここでは、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って上方向に撓む例で説明したが、電極611、612に供給する電圧を逆転させると、圧電素子60は、電圧の上昇に伴って下方向に撓むことになる。このため、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って下方向に撓む構成では、図9に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcを基準に反転した波形となる。
【0104】
このように本実施形態において、印刷媒体Pに対して1ドットは単位期間である周期Taを単位として形成される。このため、周期Taにおいて(最多で)2回のインク滴の吐出により1ドットを形成する本実施形態では、インクの吐出周波数fは2/Taとなり、ドット間隔Dは、ヘッドユニット20が移動する速度vを、インクの吐出周波数f(=2/Ta)で除した値となる。
【0105】
一般に、単位期間Tにおいてインク滴がQ(Qは2以上の整数)回吐出可能であって、当該Q回のインク滴の吐出で1ドットが形成される場合、インクの吐出周波数fはQ/Tと表すことができる。
【0106】
本実施形態のように、印刷媒体Pに異なるサイズのドットを形成する場合の方が、1回のインク滴の吐出で1ドットを形成する場合と比較して、1ドットを形成するために要する時間(周期)が同じでも、1回のインク滴を1回吐出するため時間を短くする必要がある。
【0107】
なお、2以上のインク滴を結合させないで2以上のドットを形成する第3方法については、特段の説明は要しないであろう。
【0108】
2.駆動回路の回路構成
続いて、駆動回路50−a、50−bについて説明する。このうち、一方の駆動回路50−aについて概略すると、次のようにして駆動信号COM−Aを生成する。すなわち、駆動回路50−aは、第1に、制御部100から供給されるデータdAをアナログ変換し、第2に、出力の駆動信号COM−Aを帰還するとともに、当該駆動信号COM−Aに基づく信号(減衰信号)と目標信号との偏差を、当該駆動信号COM−Aの高周波成分で補正して、当該補正した信号にしたがって変調信号を生成し、第3に、当該変調信号にしたがってトランジスターをスイッチングすることによって増幅変調信号を生成し、第4に、当該増幅変調信号をローパスフィルターで平滑化(復調)して、当該平滑化した信号を駆動信号COM−Aとして出力する。
【0109】
他方の駆動回路50−bについても同様な構成であり、データdBから駆動信号COM−Bを出力する点についてのみ異なる。そこで以下の図10においては、駆動回路50−a、50−bについて区別しないで、駆動回路50として説明する。
【0110】
ただし、入力されるデータや出力される駆動信号については、dA(dB)、COM−A(COM−B)などと表記して、駆動回路50−aの場合には、データdAを入力して駆動信号COM−Aを出力し、駆動回路50−bの場合には、データdBを入力して駆動信号COM−Bを出力する、ということを表すことにする。
【0111】
図10は、駆動回路(容量性負荷駆動回路)50の回路構成を示す図である。
【0112】
なお、図10では、駆動信号COM−Aを出力するための構成を示しているが、集積回路装置500については、実際には、2系統の駆動信号COM−AおよびCOM−Bの双方を生成するための回路が1個にパッケージ化されている。
【0113】
図10に示されるように、駆動回路50は、集積回路装置(容量性負荷駆動用集積回路装置)500や、出力回路550のほか、抵抗やコンデンサーなどの各種素子から構成される。
【0114】
本実施形態における駆動回路50は、源信号をパルス変調した変調信号を生成する変調部510と、変調信号が増幅された増幅変調信号を生成するトランジスター(第1トランジスターM1および第2トランジスターM2)と、増幅変調信号を復調して駆動信号を生成するローパスフィルター560と、駆動信号に基づいて帰還信号を生成し、帰還信号を変調部510に帰還する帰還回路590と、変調部510と帰還回路590とを電気的に接続する帰還端子Ifbと、を備えている。
【0115】
本実施形態における集積回路装置500は、変調部510と、変調信号に基づいて、増幅制御信号を生成するゲートドライバー520と、帰還端子Ifbと、を備えている。
【0116】
集積回路装置500は、制御部100から端子D0〜D9を介して入力した10ビットのデータdA(源信号)に基づいて、第1トランジスターM1および第2トランジスターM2のそれぞれにゲート信号(増幅制御信号)を出力するものである。このため、集積回路装置500は、変調部510と、第1ゲートドライバー521と、第2ゲートドライバー522と、第1電源部530と、昇圧回路540と、を含む。変調部510は、DAC(Digital to Analog Converter)511と、加算器512と、加算器513と、コンパレーター514と、インバーター515と、積分減衰器516と、減衰器517(信号レベル変換部)と、を含む。
【0117】
DAC511は、駆動信号COM−Aの波形を規定するデータdAを、アナログ信号Aaに変換し、加算器512の入力端(+)に供給する。なお、このアナログ信号Aaの電圧振幅は、例えば0〜2ボルト程度であり、この電圧を約20倍に増幅したものが、駆動信号COM−Aとなる。つまり、アナログ信号Aaは、駆動信号COM−Aの増幅前の目標となる信号である。
【0118】
積分減衰器516は、帰還回路590および帰還端子Vfbを介して入力した端子Outの電圧、すなわち、駆動信号COM−Aを減衰するとともに、積分して、加算器512の入力端(−)に供給する。
【0119】
加算器512は、入力端(+)の電圧から入力端(−)の電圧を差し引いて積分した電圧の信号Abを加算器513の入力端(+)に供給する。
【0120】
なお、DAC511からインバーター515までに至る回路の電源電圧は、低振幅の3.3ボルト(電圧Vdd)である。このため、アナログ信号Aaの電圧が最大でも2ボルト程度であるのに対し、駆動信号COM−Aの電圧が最大で40ボルトを超える場合があるので、偏差を求めるにあたって両電圧の振幅範囲を合わせるため、駆動信号COM−Aの電圧を積分減衰器516によって減衰させている。
【0121】
減衰器517(信号レベル変換部)は、帰還回路590および帰還端子Ifbを介して入力した駆動信号COM−Aの高周波成分を減衰して、加算器513の入力端(−)に供給する。加算器513は、入力端(+)の電圧から入力端(−)の電圧を減算した電圧の信号Asを、コンパレーター514に供給する。減衰器517による減衰は、積分減衰器516と同様に、駆動信号COM−Aを帰還するにあたって、振幅を合わせるためである。
【0122】
加算器513から出力される信号Asの電圧は、アナログ信号Aaの電圧から、帰還端子Vfbに供給された信号の減衰電圧を差し引いて、帰還端子Ifbに供給された信号の減衰電圧を減算した電圧である。このため、加算器513による信号Asの電圧は、目標であるアナログ信号Aaの電圧から、端子Outから出力される駆動信号COM−Aの減衰電圧を指し引いた偏差を、当該駆動信号COM−Aの高周波成分で補正した信号ということができる。
【0123】
コンパレーター514は、加算器513による減算電圧に基づいて、次のようにパルス変調した変調信号Msを出力する。詳細には、コンパレーター514は、加算器513から出力される信号Asが電圧上昇時であれば、電圧閾値Vth1以上になったときにHレベルとなり、信号Asが電圧下降時であれば、電圧閾値Vth2を下回ったときにLレベルとなる変調信号Msを出力する。なお、後述するように、電圧閾値は、
Vth1>Vth2
という関係に設定されている。
【0124】
コンパレーター514による変調信号Msは、インバーター515による論理反転を経て、第2ゲートドライバー522に供給される。一方、第1ゲートドライバー521には、論理反転を経ることなく変調信号Msが供給される。このため、第1ゲートドライバー521と第2ゲートドライバー522に供給される論理レベルは互いに排他的な関係にある。
【0125】
第1ゲートドライバー521および第2ゲートドライバー522に供給される論理レベルは、実際には、同時にHレベルとはならないように(第1トランジスターM1および第2トランジスターM2が同時にオンしないように)、タイミング制御してもよい。このため、ここでいう排他的とは、厳密にいえば、同時にHレベルになることがない(第1トランジスターM1および第2トランジスターM2が同時にオンすることがない)、という意味である。
【0126】
ところで、ここでいう変調信号は、狭義には、変調信号Msであるが、アナログ信号Aaに応じてパルス変調したものと考えれば、変調信号Msの否定信号も変調信号に含まれる。すなわち、アナログ信号Aaに応じてパルス変調した変調信号には、変調信号Msのみならず、当該変調信号Msの論理レベルを反転させたものや、タイミング制御されたものが含まれる。
【0127】
なお、コンパレーター514が変調信号Msを出力するので、当該コンパレーター514またはインバーター515にいたるまでの回路、すなわち、DAC511と、加算器512、加算器513と、コンパレーター514と、インバーター515と、積分減衰器516と、減衰器517と、が変調信号を生成する変調部510に相当する。
【0128】
また、図10に示した構成では、デジタルのデータdAをDAC511によってアナログ信号Aaに変換したが、DAC511を介することなく、例えば制御部100による指示にしたがって外部回路からアナログ信号Aaの供給を受けてもよい。デジタルのデータdAにしても、アナログ信号Aaにしても、駆動信号COM−Aの波形を生成するにあたっての目標値を規定しているので、源信号であることには変わりはない。
【0129】
第1ゲートドライバー521は、コンパレーター514の出力信号である低論理振幅を高論理振幅にレベルシフトして、端子Hdrから出力する。第1ゲートドライバー521の電源電圧のうち、高位側は、端子Bstを介して印加される電圧であり、低位側は、端子Swを介して印加される電圧である。端子Swは、第1トランジスターM1におけるソース電極、第2トランジスターM2におけるドレイン電極、コンデンサーC5の他端、および、インダクターL1の一端に接続される。
【0130】
第2ゲートドライバー522は、第1ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。第2ゲートドライバー522は、インバーター515の出力信号である低論理振幅(Lレベル:0ボルト、Hレベル:3.3ボルト)を高論理振幅(例えばLレベル:0ボルト、Hレベル:7.5ボルト)にレベルシフトして、端子Ldrから出力する。第2ゲートドライバー522の電源電圧のうち、高位側として、電圧Vm(例えば7.5ボルト)が印加され、低位側として、グラウンド端子Gndを介して電圧ゼロが印加される、すなわちグラウンド端子Gndはグラウンドに接地される。また、端子Gvdは、逆流防止用のダイオードD10のアノード電極に接続され、当該ダイオードD10のカソード電極は、コンデンサーC5の一端と端子Bstとに接続される。
【0131】
第1トランジスターM1および第2トランジスターM2は、例えばNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)である。このうち、ハイサイドの第1トランジスターM1において、ドレイン電極には、電圧Vh(例えば42ボルト)が印加され、ゲート電極が、抵抗R1を介して端子Hdrに接続される。ローサイドの第2トランジスターM2については、ゲート電極が、抵抗R2を介して端子Ldrに接続され、ソース電極が、グラウンドに接地されている。
【0132】
インダクターL1の他端は、この駆動回路50で出力となる端子Outであり、当該端子Outから駆動信号COM−Aが、ヘッドユニット20に、フレキシブルケーブル190(図1および図2参照)を介して供給される。
【0133】
端子Outは、コンデンサーC1の一端と、コンデンサーC2の一端と、抵抗R3の一端と、にそれぞれ接続される。このうち、コンデンサーC1の他端は、グラウンドに接地されている。このため、インダクターL1とコンデンサーC1とは、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2との接続点に現れる増幅変調信号を平滑化するローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。
【0134】
抵抗R3の他端は、帰還端子Vfbおよび抵抗R4の一端に接続され、当該抵抗R4の他端には電圧Vhが印加される。これにより、帰還端子Vfbには、端子Outからの駆動信号COM−Aがプルアップされて帰還されることになる。
【0135】
一方、コンデンサーC2の他端は、抵抗R5の一端と抵抗R6の一端とに接続される。このうち、抵抗R5の他端はグラウンドに接地される。このため、コンデンサーC2と抵抗R5とは、端子Outからの駆動信号COM−Aのうち、カットオフ周波数以上の高周波成分を通過させるハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。なお、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。
【0136】
また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端とコンデンサーC3の一端とに接続される。このうち、コンデンサーC3の他端はグラウンドに接地される。このため、抵抗R6とコンデンサーC3とは、上記ハイパスフィルターを通過した信号成分のうち、カットオフ周波数以下の低周波成分を通過させるローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。なお、LPFのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。
【0137】
上記ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、上記ローパスフィルターのカットオフ周波数よりも低く設定されているので、ハイパスフィルターとローパスフィルターとは、駆動信号COM−Aのうち、所定の周波数域の高周波成分を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)570として機能する。
【0138】
コンデンサーC4の他端は、集積回路装置500の帰還端子Ifbに接続される。これにより、帰還端子Ifbには、上記バンドパスフィルター570を通過した駆動信号COM−Aの高周波成分のうち、直流成分がカットされて帰還されることになる。
【0139】
ところで、端子Outから出力される駆動信号COM−Aは、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2との接続点(端子Sw)における増幅変調信号を、インダクターL1およびコンデンサーC1からなるローパスフィルターによって平滑化した信号である。この駆動信号COM−Aは、帰還端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に正帰還されるので、帰還の遅延(インダクターL1およびコンデンサーC1の平滑化による遅延と、積分減衰器516による遅延と、の和)と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振することになる。
【0140】
ただし、帰還端子Vfbを介した帰還経路の遅延量が大であるために、当該帰還端子Vfbを介した帰還のみでは、自励発振の周波数を、駆動信号COM−Aの精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。
【0141】
そこで、本実施形態では、帰還端子Vfbを介した経路とは別に、帰還端子Ifbを介して、駆動信号COM−Aの高周波成分を帰還する経路を設けることによって、回路全体でみたときの遅延を小さくしている。すなわち、本実施形態においては、帰還回路590は、駆動信号の高周波帯域の信号を帰還信号として帰還している。このため、信号Abに、駆動信号COM−Aの高周波成分を加算した信号Asの周波数は、帰還端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COM−Aの精度を十分に確保できるほど高くなる。
【0142】
図11は、信号Asと変調信号Msとの波形を、アナログ信号Aaとの波形と関連付けて示す図である。
【0143】
この図に示されるように、信号Asは三角波であり、その発振周波数は、アナログ信号Aaの電圧(入力電圧)に応じて変動する。具体的には、入力電圧が中間値である場合に最も高くなり、入力電圧が中間値から高くなるにつれて、または、低くなるにつれて低くなる。
【0144】
また、信号Asにおいて三角波の傾斜は、入力電圧が中間値付近であれば、上り(電圧の上昇)と下り(電圧の下降)とでほぼ等しくなる。このため、信号Asをコンパレーター514によって電圧閾値Vth1、Vth2と比較した結果である変調信号Msのデューティー比は、ほぼ50%となる。入力電圧が中間値から高くなると、信号Asの下りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に長くなって、デューティー比が大きくなる。一方、入力電圧が中間値から低くなるにつれて、信号Asの上りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に短くなって、デューティー比が小さくなる。
【0145】
このため、変調信号Msは、次のようなパルス密度変調信号となる。すなわち、変調信号Msのデューティー比は、入力電圧の中間値でほぼ50%であり、入力電圧が中間値よりも高くなるにつれて大きくなり、入力電圧が中間値よりも低くなるにつれて小さくなる。
【0146】
第1ゲートドライバー521は、変調信号Msに基づいて第1トランジスターM1をオン/オフさせる。すなわち、第1ゲートドライバー521は、第1トランジスターM1を、変調信号MsがHレベルであればオンさせ、変調信号MsがLレベルであればオフさせる。第2ゲートドライバー522は、変調信号Msの論理反転信号に基づいて第2トランジスターM2をオン/オフさせる。すなわち、第2ゲートドライバー522は、第2トランジスターM2を、変調信号MsがHレベルであればオフさせ、変調信号MsがLレベルであればオンさせる。
【0147】
したがって、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2の接続点における増幅変調信号をインダクターL1およびコンデンサーC1で平滑化した駆動信号COM−Aの電圧は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなるので、結果的に、駆動信号COM−Aは、アナログ信号Aaの電圧を拡大した信号となるように制御されて、出力されることになる。
【0148】
この駆動回路50は、パルス密度変調を用いているので、変調周波数が固定のパルス幅変調と比較して、デューティー比の変化幅を大きく取れる、という利点がある。
【0149】
すなわち、回路全体で扱うことができる最小の正パルス幅と負パルス幅はその回路特性で制約されるので、周波数固定のパルス幅変調では、デューティー比の変化幅として所定の範囲(例えば10%から90%までの範囲)しか確保できない。これに対し、パルス密度変調では、入力電圧が中間値から離れるにつれて、発振周波数が低くなるため、入力電圧が高い領域においては、デューティー比をより大きくすることができ、また、入力電圧が低い領域においては、デューティー比をより小さくすることができる。このため、自励発振型パルス密度変調では、デューティー比の変化幅として、より広い範囲(例えば5%から95%までの範囲)を確保することができるのである。
【0150】
また、駆動回路50は、自励発振であり、他励発振のように高い周波数の搬送波を生成する回路が不要である。このため、高電圧を扱う回路以外の、すなわち集積回路装置500の部分の、集積化が容易である、という利点がある。
【0151】
加えて、駆動回路50では、駆動信号COM−Aの帰還経路として、帰還端子Vfbを介した経路だけでなく、帰還端子Ifbを介して高周波成分を帰還する経路があるので、回路全体でみたときの遅延が小さくなる。このため、自励発振の周波数が高くなるので、駆動回路50は、駆動信号COM−Aを精度良く生成することが可能になる。
【0152】
本実施形態において、変調信号の発振周波数は、1MHz以上8MHz以下であってもよい。
【0153】
上述の液体吐出装置1では、増幅変調信号を平滑化して駆動信号を生成し、駆動信号が印加されることによって圧電素子60が変位して、ノズル651から液体を吐出させる。ここで、液体吐出装置1が例えば小ドットを吐出するための駆動信号の波形を周波数スペクトル解析すると、50kHz以上の周波数成分が含まれていることが判っている。このような50kHz以上の周波数成分を含む駆動信号を生成するためには、変調信号の周波数(自励発振の周波数)を1MHz以上とする必要がある。
【0154】
もし、当該周波数を1MHzよりも低くしてしまうと、再現される駆動信号の波形のエッジが鈍って丸くなってしまう。換言すれば、角が取れて波形が鈍ってしまう。駆動信号の波形が鈍ると、波形の立ち上がり、立ち下がりエッジに応じて動作する圧電素子60の変位が緩慢になり、吐出時の尾引きや、吐出不良などを発生させて、印刷の品質を低下させてしまう。
【0155】
一方、自励発振の周波数を8MHzよりも高くすれば、駆動信号の波形の分解能は高まる。ただし、トランジスターにおけるスイッチング周波数が上昇することによって、スイッチング損失が大きくなり、AB級アンプなどのリニア増幅と比べて、優位性を有する省電力性、省発熱性が損なわれてしまう。
【0156】
このため、上述の液体吐出装置1、ヘッドユニット20、集積回路装置500および駆動回路50において、変調信号の周波数は、1MHz以上8MHz以下であることが好ましい。
【0157】
図10に戻り、図10に示される例では、抵抗R1、抵抗R2、第1トランジスターM1、第2トランジスターM2、コンデンサーC5、ダイオードD10およびローパスフィルター560は、変調信号に基づいて増幅制御信号を生成し、増幅制御信号に基づいて駆動信号を生成して容量性負荷(圧電素子60)に出力する出力回路550として構成されている。
【0158】
第1電源部530は、圧電素子60の駆動信号が印加される端子と異なる端子に信号を印加する。第1電源部530は、例えば、バンドギャップ・リファレンス回路のような定電圧回路で構成される。第1電源部530は、電圧VBSを端子VBSから出力する。図10に示される例では、第1電源部530は、グラウンド端子Gndのグラウンド電位を基準として電圧VBSを生成する。
【0159】
昇圧回路540は、ゲートドライバー520に電源供給する。昇圧回路540は、チャージポンプ回路やスイッチングレギュレーターなどで構成することができる。図10に示される例では、昇圧回路540は、第2ゲートドライバー522の高電位側の電源電圧となる電圧Vmを生成する。また、昇圧回路540は、グラウンド端子Gndのグラウンド電位を基準として電圧Vddを昇圧して電圧Vmを生成する。
【0160】
本実施形態においては、ゲートドライバー520と第1電源部530と昇圧回路540とは共通のグラウンド端子Gndに接続されている。なお、ゲートドライバー520と第1電源部530と昇圧回路540とは、互いに独立したグラウンド端子に接続されていてもよい。
【0161】
本実施形態において、昇圧回路540は、チャージポンプ回路であってもよい。本実施形態によれば、昇圧回路540としてスイッチングレギュレーター回路を用いる場合に比べて、ノイズの発生を抑制できる。したがって、圧電素子60に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置1、ヘッドユニット20、集積回路装置500および駆動回路50を実現できる。
【0162】
本実施形態において、変調部510は、帰還端子Ifbから変調部510の出力までの信号経路上にある加算器513を含む第1回路ブロック518と、変調部510のうち加算器513とは異なる少なくとも一部の回路を含む第2回路ブロック519と、を含んでいる。
【0163】
本実施形態においては、第1回路ブロック518は、加算器513と、減衰器517(信号レベル変換部)を含んでいる。第2回路ブロック519は、DAC511と、加算器512と、コンパレーター514と、インバーター515と、積分減衰器516と、を含んでいる。
【0164】
3.集積回路装置のレイアウト構成
図12は、集積回路装置500のレイアウト構成の一例を模式的に示す平面図である。図12においては、図10に示される各端子のうち主要なもののみが示されている。
【0165】
図12に示される例では、変調部510の第1回路ブロック518と第2回路ブロック519とは、同一の半導体基板5000に形成されている。以下では、半導体基板5000がP型である場合を例に説明する。
【0166】
図13(A)は、集積回路装置500の構造を概念的に示す断面図、図13(B)は、集積回路装置500を概念的に示す回路図である。
【0167】
図13(A)に示される例では、P型の半導体基板5000にN型のウェル、N型のウェルにP型のウェルが形成されたトリプルウェル構造で、第1回路ブロック518、第2回路ブロック519および第1ゲートドライバー521が分離するように構成されている。
【0168】
第1回路ブロック518の高電位側の電位VddIはN型のウェルに供給され、低電位側の電位GndIはP型のウェルに供給される。第2回路ブロック519の高電位側の電位VddAはN型のウェルに供給され、低電位側の電位GndAはP型のウェルに供給される。第1ゲートドライバー521の高電位側の電位BstはN型のウェルに供給され、低電位側の電位SwはP型のウェルに供給される。
【0169】
図13(A)および図13(B)に示されるように、P型の半導体基板5000とN型のウェルとの間は、交流的には空乏層を誘電体とする容量結合されることになる。そのため、例えば、第1ゲートドライバー521の高電位側の電位である電位Bstで発生するノイズは、半導体基板5000を介して第1回路ブロック518の高電位側の電位であるVddIや第2回路ブロック519の高電位側の電位であるVddAに影響を与えることになる。
【0170】
本実施形態によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器513を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器513を含む第1回路ブロック518の寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロック(例えば、ゲートドライバー520)で発生したノイズが加算器513に回りこむことを抑制できるので、変調部510が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子60に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置1、ヘッドユニット20、駆動回路50および集積回路装置500を実現できる。
【0171】
上述したように、第1回路ブロックは、帰還信号のレベルを変換する信号レベル変換部(減衰器517)をさらに含んでもよい。
【0172】
本実施形態によれば、ノイズの影響を受けやすい加算器513と信号レベル変換部(減衰器517)を他の回路とトリプルウェル構造で分離することによって、加算器513と信号レベル変換部(減衰器517)を含む第1回路ブロック518の寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロック(例えば、ゲートドライバー520)で発生したノイズが加算器513に回りこむことを抑制できるので、変調部510が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子60に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置1、ヘッドユニット20、駆動回路50および集積回路装置500を実現できる。
【0173】
図12に示されるように、本実施形態においては、第1回路ブロック518が形成されたウェルは、第2回路ブロック519が形成されたウェルよりも、平面視における面積が小さくてもよい。
【0174】
本実施形態によれば、加算器513を含む第1回路ブロック518の寄生容量を小さくできる。これによって、他の回路ブロック(例えば、ゲートドライバー520)で発生したノイズが加算器513に回りこむことを抑制できるので、変調部510が精度良い変調信号を生成できる。したがって、圧電素子60に印加される電圧を高精度に制御できるので、液体の吐出精度を向上できる液体吐出装置1、ヘッドユニット20、駆動回路50および集積回路装置500を実現できる。
【0175】
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実
施することが可能である。
【0176】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0177】
1…液体吐出装置、2…移動体、3…移動機構、4…搬送機構、10…制御ユニット、20…ヘッドユニット、24…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、35…キャリッジモータードライバー、40…プラテン、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、45…搬送モータードライバー、50,50−a,50−b…駆動回路、60…圧電素子、100…制御部、190…フレキシブルケーブル、210…選択制御部、212…シフトレジスタ、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択部、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、500…集積回路装置、510…変調部、511…DAC、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器(信号レベル変換部)、518…第1回路ブロック、519…第2回路ブロック、520…ゲートドライバー、521…第1ゲートドライバー、522…第2ゲートドライバー、530…第1電源部、532…ロジック回路、540…昇圧回路、550…出力回路、560…ローパスフィルター、570…バンドパスフィルター、590…帰還回路、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティ、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、C1,C2,C3,C4,C5…コンデンサー、D10…ダイオード、Gnda…グラウンド端子、Ifb…帰還端子、L1…インダクター、M1…第1トランジスター、M2…第2トランジスター、P…印刷媒体、R1,R2,R3,R4,R5…抵抗、Vdda…電源端子、Vfb…帰還端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13