(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電圧変換用のトランスの一次側巻線に間欠的に電流を流すためのスイッチング素子を、前記トランスの一次側巻線に流れる電流に比例した電圧と、前記トランスの二次側からの出力電圧検出信号が入力されることでオン、オフ制御する駆動パルスを生成し出力する電源制御用半導体装置であって、
前記スイッチング素子をオン、オフ制御する制御信号を生成するオン、オフ制御信号生成回路と、
AC入力の電圧が入力される高圧入力起動端子と、
前記トランスの補助巻線に誘起される電圧が入力される電源端子と、
前記高圧入力起動端子と前記電源端子との間に設けられたスイッチ手段と、
前記電源端子の電圧を監視し該電圧が所定の第1電圧値以下である時に前記スイッチ手段をオンさせ、前記電源端子の電圧が前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に達すると前記スイッチ手段をオフさせる制御を行う電源電圧制御回路と、
前記電源端子の電圧に基づいて前記スイッチ手段をオン、オフ制御して前記電源端子の電圧が、前記第1電圧値−第2電圧値の電圧範囲よりも狭い電圧範囲に入るように制御する状態制御回路と、
前記補助巻線のショートを検出する補助巻線ショート検出回路と、
を備え、前記補助巻線ショート検出回路が前記補助巻線のショートを検出すると、前記補助巻線ショート検出回路から出力される信号によって、オン、オフ制御信号生成回路の動作が停止されるとともに前記状態制御回路が動作状態になるように構成されていることを特徴とする電源制御用半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、補助巻線を備えたトランスを使用した絶縁型直流電源装置においては、補助巻線がショート(短絡)した状態になると、電源制御回路に電源電圧が供給されなくなり、通常の制御動作が行なえなくなる。
なお、補助巻線を備えたトランスを使用した絶縁型直流電源装置において、補助巻線の短絡を検出する回路を設け、補助巻線の短絡を検出した場合にスイッチングの動作を停止させるようにした発明が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、特許文献2に開示されている発明は、スイッチング制御のための発振回路を内蔵しない自励式の直流電源装置において、補助巻線電流が流れ終わったタイミングを検出してスイッチング素子をオンさせる制御を行ういわゆるゼロ電流検出方式のAC−DCコンバータにおいて、入力電圧を分圧した電圧と電流検出電圧CSおよび電圧補助巻線電圧に基づいて補助巻線の短絡を検出し、スイッチングの動作を停止させるようにした発明であり、本発明とは対象も検出方式も異なる。
【0007】
また、本発明者らが適用を検討した電源制御回路(IC)は、AC電源のダイオード・ブリッジ回路で整流される前の電圧が印加される高圧入力起動端子を設け、AC入力投入時は、この高圧入力起動端子HVからの電圧で動作することができるように構成されている。そのため、補助巻線の短絡が発生して補助巻線側からIC電源端子への電圧の供給がなくなると、高圧入力起動端子と電源端子間にある起動回路(スタート回路)が働いて、ある電圧レベルに達するとIC電源端子に接続されている容量(コンデンサ)に対して電流を流すことでIC電源端子に電圧を供給する。そして、電流を遮断し、上記容量にチャージされた電圧でICが動作する。
【0008】
また、補助巻線がショートして高圧入力起動端子からの電流供給もない場合、ICの電源電圧は前記容量にチャージされた電圧のみとなる。すると、この電圧がICの動作に伴う消費電流により放電されて電圧が低下していく。そして、電源電圧がある電圧レベルまで低下すると前記起動回路がオンして高圧入力起動端子からのIC電源端子に接続された前記容量に電流を流し始め、IC電源端子の電圧を上昇させる。以降、この動作を繰り返す。
そのため、補助巻線がショートすると、電源装置が過負荷状態に陥り、トランスや補助巻線に大電流が流れ、電源装置のスイッチング動作を停止させないと、電源装置が発熱を起こしてしまうおそれがある。
本発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、トランスを備えた絶縁型電源装置において補助巻線がショートした際に、補助巻線がショートしたことを電源制御用半導体装置で検出して電源装置のスイッチング動作を停止させ、電源装置が発熱を起こすのを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、
電圧変換用のトランスの一次側巻線に間欠的に電流を流すためのスイッチング素子を、前記トランスの一次側巻線に流れる電流に比例した電圧と、前記トランスの二次側からの出力電圧検出信号が入力されることでオン、オフ制御する駆動パルスを生成し出力する電源制御用半導体装置であって、
前記スイッチング素子をオン、オフ制御する制御信号を生成するオン、オフ制御信号生成回路と、
AC入力の電圧が入力される高圧入力起動端子と、
前記トランスの補助巻線に誘起される電圧が入力される電源端子と、
前記高圧入力起動端子と前記電源端子との間に設けられたスイッチ手段と、
前記電源端子の電圧を監視し該電圧が所定の第1電圧値以下である時に前記スイッチ手段をオンさせ、前記電源端子の電圧が前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に達すると前記スイッチ手段をオフさせる制御を行う電源電圧制御回路と、
前記電源端子の電圧に基づいて前記スイッチ手段をオン、オフ制御して前記電源端子の電圧が、前記第1電圧値−第2電圧値の電圧範囲よりも狭い電圧範囲に入るように制御する状態制御回路と、
前記補助巻線のショートを検出する補助巻線ショート検出回路と、
を備え、前記補助巻線ショート検出回路が前記補助巻線のショートを検出すると、前記補助巻線ショート検出回路から出力される信号によって、オン、オフ制御信号生成回路の動作が停止されるとともに前記状態制御回路が動作状態になるように構成した。
【0010】
上記した構成によれば、トランスの補助巻線がショートしたような場合に、電源端子(VDD)の電圧が第2電圧範囲(例えば12V−13V)に入るように制御する状態制御回路(ラッチ停止制御回路)が動作される。そのため、信号生成回路(ドライバ)の動作停止で補助巻線電圧が下がることで起動回路(スタート回路)が動作して電源端子(VDD)に接続されている容量がチャージされて電源端子の電圧が上昇し内部レギュレータが動作することによって、補助巻線(ショート)からの電圧供給のない容量の電荷が消費されて再び電源端子の電圧が下がることで、電源端子(VDD)の電圧が第1電圧範囲(例えば6.5V−21V)に入るように制御する動作をICが長時間にわたって繰り返して、電源装置が発熱を起こすのを回避することができる。
【0011】
ここで、望ましくは、前記補助巻線ショート検出回路は、前記電源電圧制御回路から出力される前記スイッチ手段のオン、オフ制御信号を監視し、前記スイッチ手段が連続して所定回数オン、オフ動作を繰り返した場合に前記補助巻線がショートしていると判定するように構成する。
これにより、補助巻線がショートしたような場合に、確実かつ速やかに信号生成回路(ドライバ)の動作を停止させるとともに電源端子(VDD)の電圧が第2電圧範囲(例えば12V−13V)に入るように制御する状態制御回路(ラッチ停止制御回路)を動作させることができる。
【0012】
また、望ましくは、前記高圧入力起動端子に接続され該高圧入力起動端子の電圧を監視する高圧入力監視回路と、前記高圧入力起動端子と接地点との間に、前記スイッチ手段と直列に接続された放電手段とを備え、前記高圧入力監視回路が、前記高圧入力起動端子の電圧が所定の電圧値を下回らない時間が所定時間継続したことを検出した場合に、前記放電手段がオンされるように構成する。
高圧入力起動端子と接地点との間にスイッチ手段と直列に接続された放電手段を設けることにより、外部端子数を増やすことなく、従って大幅にチップサイズを増大させることなく、プラグ引き抜き時にXコンデンサの残留電荷を速やかに放電することができる。また、補助巻線ショートを検出した場合に、ICの動作を停止させずにラッチ停止制御回路を動作させるため、電源の停止を認識したユーザがプラグをコンセントから引き抜くことがあるが、その際に放電回路を動作させて速やかにXコンデンサを放電させることができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記トランスの一次側巻線に流れる電流に比例した電圧が入力される電流検出端子と、
前記電流検出端子の状態を監視して異常状態を検出する電流異常検出回路と、
を備え、前記異常検出回路が前記電流検出端子の異常を検出すると、前記異常検出回路から出力される信号によって、前記オン、オフ制御信号生成回路の信号生成動作が停止されるとともに前記状態制御回路が動作状態になるように構成する。
【0014】
これにより、電流検出端子がオープン状態になったような場合にも、状態制御回路(ラッチ停止制御回路)を動作させ電源装置の再起動を回避し、信号生成回路(ドライバ)の動作を停止させるので、電源が発熱を起こすのを防止することができる。また、補助巻線がショートした場合も電流検出端子がオープン状態になった場合も共通の状態制御回路(ラッチ停止制御回路)を動作させるので、ラッチ停止機能追加に伴う回路規模の増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電圧変換用のトランスを備え一次側巻線に流れる電流をオン、オフして出力を制御する絶縁型直流電源装置の制御用半導体装置において、補助巻線がショートした場合に、補助巻線がショートしたことを電源制御用半導体装置で検出して電源装置のスイッチング動作を停止させ、電源装置が発熱を起こすのを回避することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した絶縁型直流電源装置としてのAC−DCコンバータの一実施形態を示す回路構成図である。
【0018】
この実施形態のAC−DCコンバータは、ノーマルモードノイズを減衰するためにAC端子間に接続されたXコンデンサCxと、コモンモードコイルなどからなるノイズ遮断用のラインフィルタ11と、交流電圧(AC)を整流するダイオード・ブリッジ回路12と、整流後の電圧を平滑する平滑用コンデンサC1と、一次側巻線Npと二次側巻線Nsおよび補助巻線Nbとを有する電圧変換用のトランスT1と、このトランスT1の一次側巻線Npと直列に接続されたNチャネルMOSFETからなるスイッチングトランジスタSWと、該スイッチングトランジスタSWを駆動する電源制御回路13を有する。この実施形態では、電源制御回路13は、単結晶シリコンのような1個の半導体チップ上に半導体集積回路(以下、電源制御用ICと称する)として形成されている。
【0019】
上記トランスT1の二次側には、二次側巻線Nsと直列に接続された整流用ダイオードD2と、このダイオードD2のカソード端子と二次側巻線Nsの他方の端子との間に接続された平滑用コンデンサC2とが設けられ、一次側巻線Npに間歇的に電流を流すことで二次側巻線Nsに誘起される交流電圧を整流し平滑することによって、一次側巻線Npと二次側巻線Nsとの巻線比に応じた直流電圧Voutを出力する。
【0020】
さらに、トランスT1の二次側には、一次側のスイッチング動作で生じたスイッチングリップル・ノイズ等を遮断するためのフィルタを構成するコイルL3およびコンデンサC3が設けられているとともに、出力電圧Voutを検出するための検出回路14と、該検出回路14に接続され検出電圧に応じた信号を電源制御用IC13へ伝達するフォトカプラの発光側素子としてのフォトダイオード15aが設けられている。そして、一次側には、上記電源制御用IC13のフィードバック端子FBと接地点との間に接続され上記検出回路14からの信号を受信する受光側素子としてのフォトトランジスタ15bが設けられている。
【0021】
また、この実施形態のAC−DCコンバータの一次側には、上記補助巻線Nbと直列に接続された整流用ダイオードD0と、このダイオードD0のカソード端子と接地点GNDとの間に接続された平滑用コンデンサC0とからなる整流平滑回路が設けられ、該整流平滑回路で整流、平滑された電圧が上記電源制御用IC13の電源電圧端子VDDに印加されている。
一方、電源制御用IC13には、ダイオード・ブリッジ回路12で整流される前の電圧がダイオードD11,D12および抵抗R1を介して印加される高圧入力起動端子HVが設けられており、AC入力投入時(プラグが差し込まれた直後)は、この高圧入力起動端子HVからの電圧で動作することができるように構成されている。
【0022】
さらに、本実施形態においては、スイッチングトランジスタSWのソース端子と接地点GNDとの間に電流検出用の抵抗Rsが接続されているとともに、スイッチングトランジスタSWと電流検出用抵抗RsとのノードN1と電源制御用IC13の電流検出端子CSとの間に抵抗R2が接続されている。さらに、電源制御用IC13の電流検出端子CSと接地点との間にはコンデンサC4が接続され、抵抗R2とコンデンサC4によりローパスフィルタが構成されるようになっている。
【0023】
次に、
図2を用いて、上記電源制御用IC13の具体的な構成例について説明する。
図2に示すように、本実施例の電源制御用IC13は、フィードバック端子FBの電圧VFBに応じた周波数で発振する発振回路31と、該発振回路31で生成された発振信号φcに基づいて一次側スイッチングトランジスタSWをオンさせるタイミングを与えるクロック信号CKを生成するワンショットパルス生成回路のような回路からなるクロック生成回路32と、クロック信号CKによってセットされるRS・フリップフロップ33と、該フリップフロップ33の出力に応じてスイッチングトランジスタSWの駆動パルスGATEを生成するドライバ(駆動回路)34を備える。
【0024】
また、電源制御用IC13は、電流検出端子CSに入力されている電圧Vcsを増幅するアンプ35と、該アンプ35により増幅された電位Vcs’と過電流状態の監視のための比較電圧(スレッシホールド電圧)Vocpとを比較する電圧比較回路としてのコンパレータ36aと、フィードバック端子FBの電圧VFBに基づいて
図3(A)に示すような所定の波形の電圧RAMPを生成する波形生成回路37と、前記アンプ35により増幅された
図3(B)に示すような波形の電位Vcs’と波形生成回路37により生成された波形RAMPとを比較するコンパレータ36bと、コンパレータ36aと36bの出力の論理和をとるORゲートG1を備える。本実施例の電源制御用IC13においては、
図3(A)の電圧RAMPは、FB電圧からある一定の傾きをもって電圧が低下するように生成される。
【0025】
上記ORゲートG1の出力RS(
図3(C)参照)がORゲートG2を介して上記フリップフロップ33のリセット端子に入力されることで、スイッチングトランジスタSWをオフさせるタイミングを与えるように構成されている。なお、フィードバック端子FBと内部電源電圧端子と間にはプルアップ抵抗が設けられており、フォトトランジスタ15bに流れる電流は該抵抗によって電圧に変換される。また、波形生成回路37を設けているのは、サブハーモニック発振対策のためであり、電圧VFBを直接あるいはレベルシフトしてコンパレータ36bへ入力するように構成しても良い。
【0026】
また、本実施例の電源制御用IC13は、フィードバック端子FBの電圧VFBに応じて前記発振回路31の発振周波数すなわちスイッチング周波数を、
図4に示すような特性に従って変化させる周波数制御回路38を備える。
図4における周波数f1は例えば22kHzのような値に、またf2は例えば66kHz〜100kHzのような範囲の任意の値に設定される。周波数制御回路38は、ボルテージフォロワのようなバッファと、フィードバック端子FBの電圧が例えば1.8V以下のときは1.8Vに、また2.1V以上のときは2.1Vにそれぞれクランプするクランプ回路とで構成することができる。図示しないが、発振回路31は、周波数制御回路38からの電圧に応じた電流を流す電流源を備え、該電流源が流す電流の大きさによって発振周波数が変化するオシレータによって構成することができる。
【0027】
また、本実施例の電源制御用IC13には、上記クロック生成回路32から出力されるクロック信号CKに基づいて、駆動パルスGATEのデューティ(Ton/Tcycle)が予め規定された最大値(例えば85%〜90%)を超えないように制限をかけるための最大デューティリセット信号を生成するデューティ制限回路39が設けられており、デューティ制限回路39から出力される最大デューティリセット信号を、ORゲートG2を介して上記フリップフロップ33に供給してパルスが最大デューティに達した場合にはその時点でリセットさせることでスイッチングトランジスタSWを直ちにオフさせるように構成されている。
【0028】
また、本実施例の電源制御用IC13には、電流検出端子CSの電圧Vcsを監視してCS端子の異常(オープン)を検出するためのCS端子監視回路61およびラッチ停止制御回路62が設けられている。
CS端子監視回路61は、電流検出端子CSの異常(オープン)を検出すると、その出力がハイレベルに変化して上記ドライバ(駆動回路)34の動作を停止させて、ドライバ34から出力される駆動パルスGATEをローレベルに固定させる(SWをオフさせる)ように構成される。CS端子監視回路61の出力でドライバ34の動作を停止させる代わりに、前段のフリップフロップ33をリセット状態にしてその出力Qをローレベルに固定することで、駆動パルスGATEをローレベルに固定させるように構成してもよい。
【0029】
ラッチ停止は、ICの高圧入力起動端子HVと電源電圧端子VDDとの間に設けられているスイッチS0(
図5参照)を、比較的短い周期でオン、オフさせることによって、電源電圧端子VDDの電圧を例えば12V〜13Vのような電圧範囲に抑え込むことで、電源制御用IC13がリスタートするのを回避するための機能であり、ラッチ停止制御回路62は電源電圧端子VDDの電圧と所定の電圧(12V,13V)とを比較して、上記のような制御動作を行うように構成される。具体的には、電源電圧端子VDDの電圧が12Vまで下がるとスイッチS0をオンさせ、VDDの電圧が13Vまで上がるとスイッチS0をオフさせることを繰り返す。
【0030】
このようなラッチ停止機能がないと、CS端子監視回路61がCS端子オープンを検出してドライバ34の動作を停止させた場合、補助巻線に電流が流れなくなって電源電圧端子VDDの電圧が下がることとなるが、電源電圧端子VDDの電圧がICの動作停止電圧値(例えば6.5V)以下になると後述の起動回路(スタート回路)50が動作してスイッチS0をオンさせ、ICが再起動することでスイッチング制御を再開してしまう。
【0031】
そこで、本実施例では、CS端子監視回路61がCS端子オープンを検出するとドライバ34の動作を停止させるとともに、ラッチ停止制御回路62を動作させて、電源制御用IC13をラッチ停止モードに移行させて、上記のような不合理な動作を回避するようにしている。
なお、上記ラッチ停止モードは、AC電源側のプラグをコンセントから引き抜くことで解除される。
【0032】
さらに、本実施例の電源制御用IC13には、高圧入力起動端子HVに接続され該端子の電圧が入力されると、高圧入力起動端子HVと電源電圧端子VDDとの間に接続されているスイッチS0(
図5参照)をオンさせてICを起動させるための起動回路(スタート回路)50と、高圧入力起動端子HVの電圧を監視してAC電源のプラグがコンセントから抜けているか否か検出し、抜けていると判断した場合にはXコンデンサCxを放電させるための放電回路40とが設けられている。
【0033】
プラグが抜けているか否かは、例えばある一定時間(例えば30m秒)内にAC入力電圧が所定の値(例えばピーク値の30%)を下回ることがなかったことを検出することで判断することができる。また、高圧入力起動端子HVに接続された放電回路40を電源制御用IC13に内蔵させることで、外部端子数を増やすことなく、従って大幅にチップサイズを増大させることなく、プラグ引き抜き時にXコンデンサの残留電荷を速やかに放電することができる。
【0034】
また、起動回路50は、AC入力投入時にスイッチS0をオンさせて高圧入力起動端子HVから電源端子VDDに接続されている容量(コンデンサ)C0に対して電流を流すことで電源端子VDDに電圧を供給する。そして、上記容量にチャージされた電圧が21Vに達すると、スイッチS0をオフして電流を遮断し、内部レギュレータが動作を開始してICを動作させる。また、起動回路50は、電源電圧端子VDDの電圧を監視して例えば6.5Vまで下がるとスイッチS0をオンさせる機能を備えており、スイッチS0がオンされると、AC入力投入時と同様に高圧入力起動端子HVから電源端子VDDに接続されている容量(コンデンサ)C0に対して電流を流すことで電源端子VDDに電圧を供給し、電源端子VDDの電圧が21Vに達すると、スイッチS0をオフして電流を遮断し、内部レギュレータが動作を開始する(本明細書ではこれをリスタート動作と称する)。さらに、本実施例の電源制御用IC13は、補助巻線ショート判定機能を備えており、補助巻線がショートしていると判定すると、ドライバ34の動作を停止(ゲート停止)させるとともに、ラッチ停止制御回路62を動作させるように構成されている。
【0035】
図5には、補助巻線ショート判定機能を備えた上記起動回路50の構成例が示されている。
図5に示すように、起動回路50は、電源電圧端子VDDの電圧を常時監視していて例えば21Vに達するとスイッチS0をオフさせるとともにレギュレータ63に内部電源電圧Vregを生成する動作を開始させるVDD動作開始回路51と、VDDが例えば6.5Vまで下がるとスイッチS0をオンさせてレギュレータ63が内部電源電圧Vregを生成する動作を停止させるVDD動作停止回路52とを備える。
また、起動回路50は、上記VDD動作開始回路51とVDD動作停止回路52からの出力信号等に応じてスイッチS0をオン、オフさせるスタート制御信号STを生成するロジック回路53と、該ロジック回路53からのスタート制御信号(パルス)STによってスイッチS0をオン、オフさせるスイッチ制御回路54とを備える。
【0036】
レギュレータ63を動作させたり、停止させたりする制御信号(イネーブル信号)は、ロジック部53を介してレギュレータ63に供給される。なお、レギュレータ63の動作停止中もVDD動作開始回路51とVDD動作停止回路52とロジック回路53およびラッチ停止制御回路62は動作できることが必要であるが、これは、これらの回路が電源電圧端子VDDの電圧で直接動作できるように、耐圧の高い素子で構成することによって実現することができる。なお、スイッチS0を構成するデプレッション型MOSトランジスタは、700Vのような高耐圧の素子で構成される。
【0037】
スイッチS0は、デプレッション型MOSトランジスタで構成されている。そのため、AC入力投入時にはオン状態になっており、電源電圧端子VDDの電圧が21Vに達した時点でオフされる。なお、スイッチS0をオフさせても、オンされている期間に電源電圧端子VDDに接続されているコンデンサC0が充電されるので、該コンデンサC0の電荷によってレギュレータ63は内部電源電圧Vregを生成し内部回路が動作を開始する。電源装置が正常であれば、内部回路が動作を開始するとスイッチング制御が行なわれ、補助巻線から電源電圧端子VDDに対して電流の供給が行なわれることで内部回路が動作を継続する。一方、補助巻線ショートのような異常があることで、補助巻線から電源電圧端子VDDに対する電流の供給がない場合には、電流を消費するため電源電圧端子VDDの電圧が低下し始め、6.5Vまで下がるとスイッチS0がオンされて上記動作を繰り返すこととなる。
【0038】
さらに、起動回路50は、スタート制御信号STのパルス数を計数するカウンタCNTを有しこのカウンタCNTが所定パルスを計数すると補助巻線ショートが発生していると判定する補助巻線ショート判定回路55を備える。そして、補助巻線ショート判定回路55が補助巻線ショートを検出すると、ドライバ(駆動回路)34の動作を停止させるゲート停止信号GS1を生成し、その出力である駆動パルスGATEをローレベルに固定させる(SWをオフさせる)。その結果、トランスの一次側巻線に電流が流されなくなって電源装置の動作が安全に停止することとなる。
【0039】
また、このゲート停止信号GS1は、前記ラッチ停止制御回路62に供給され、ラッチ停止制御回路62を動作させる。
さらに、起動回路50の上記ロジック回路53には、このラッチ停止制御回路62からの制御信号LCが入力されており、この制御信号LCによってスイッチ制御回路54を動作させてスイッチS0をオン、オフさせるように構成されている。これにより、電源電圧端子VDDの電圧を例えば12V〜13Vのような電圧範囲に抑え込むように動作することとなる。
【0040】
前述したように、ラッチ停止制御回路62は電源電圧端子VDDの電圧と所定の電圧(12V,13V)とを比較して、スイッチS0をオン、オフさせて電源電圧端子VDDの電圧を例えば12V〜13Vのような電圧範囲に抑え込む機能を備えているので、補助巻線ショート判定回路55が補助巻線ショートを検出した場合にも、ラッチ停止制御回路62を動作させることで、ロジック回路53が上記VDD動作開始回路51とVDD動作停止回路52からの出力によってスイッチS0をオン、オフさせる電源制御用IC13のリスタート動作に優先して、ラッチ停止制御を実行することでリスタート動作を回避することとなる。
【0041】
補助巻線ショート判定回路55を持たない従来の電源制御用ICにおいては、補助巻線ショートが発生すると、起動回路50によるリスタート動作で、
図6(A)に破線で示すように、電源電圧端子VDDの電圧が例えば6.5V〜21Vのような電圧範囲で大きく変動してしまうが、補助巻線ショート判定回路55を備えた本実施例の電源制御用ICにおいては、スタート制御信号STのパルス数を8個計数したタイミングt1以降はラッチ停止制御回路62が動作されるため、
図6(A)に実線で示すように、電源電圧端子VDDの電圧を例えば12V〜13Vのような比較的狭い電圧範囲に抑えられることとなる。
【0042】
リスタート動作では、電源電圧端子VDDの電圧を例えば6.5V〜21Vのような電圧範囲で動作し、スイッチング制御している時もあるのに対し、ラッチ停止制御では電源電圧端子VDDの電圧を例えば12V〜13Vのような電圧範囲に抑え込むので、リスタート動作しなくなる。したがって、補助巻線ショートの発生で、電源装置は再起動することなく、安全に停止し続ける。
なお、本実施例では、上述したようにCS端子監視回路61が設けられ、CS端子オープンが発生した場合にも、ドライバ34の動作が停止されるとともにラッチ停止制御が実行されるので、電源制御用ICのリスタート動作による電源装置の再起動を回避し、安全に停止し続けることができる。
【0043】
図7には、
図5の起動回路50の具体的な実施例が示されている。なお、本実施例では、特に限定されるものでないが、
図7に示されている回路は、30V耐圧の素子で構成されているものとする。
図7に示すように、起動回路50を構成するVDD動作開始回路51とVDD動作停止回路52は、一方の入力端子に電源電圧端子VDDの電圧が印加され他方の入力端子に、21Vと6.5Vの比較参照電圧Vref1,Vref2がそれぞれ印加されたコンパレータCMP1,CMP2により構成することができる。
また、ラッチ停止制御回路62は、一方の入力端子に電源電圧端子VDDの電圧が印加され他方の入力端子に、13Vと12Vの比較参照電圧Vref3,Vref4がそれぞれ印加されたコンパレータCMP3,CMP4と、コンパレータCMP3,CMP4の出力が、セット端子とリセット端子にそれぞれ入力されるRSフリップフロップFF1とにより構成することができる。
【0044】
CS端子監視回路61は、内部電源電圧Vregを供給する電源ラインと電流検出端子CSとの間に接続されたプルアップ抵抗Rpと、電流検出端子CSに非反転入力端子が接続され反転入力端子に検出電圧Vref0(例えば2.5V)が印加されたコンパレータCMP0とから構成されており、電流検出端子CSにオープン異常が発生すると該端子の電圧VcsがVregまで上昇しコンパレータCMP0の出力がハイレベルに変化して、トライバ34の動作を停止させるゲート信号GS2を出力する。また、このゲート信号GS2はロジック回路53に供給され、上記ラッチ停止制御回路62の出力を有効化する。なお、CS端子監視回路61のプルアップ抵抗Rpは、定電流源で置き換えても良い。
【0045】
ロジック回路53は、上記VDD動作開始回路51及びVDD動作停止回路52を構成するコンパレータCMP1,CMP2の出力がセット端子とリセット端子にそれぞれ入力されるRSフリップフロップFF2と、CS端子監視回路61の出力と上記補助巻線ショート判定回路55の出力GSとを入力とするORゲートG4と、該ORゲートG4の出力とフリップフロップFF2の出力とを入力とするNORゲートG5と、上記ORゲートG4の出力と上記ラッチ停止制御回路62を構成するフリップフロップFF1の出力とを入力とするNORゲートG6と、該NORゲートG6の出力と上記NORゲートG5の出力とを入力とするNORゲートG7とから構成されている。そして、このNORゲートG7の出力信号STが、上記補助巻線ショート判定回路55を構成するカウンタCNTにクロックパルスとして、またレギュレータ63にイネーブル信号ENとして供給されている。
【0046】
補助巻線ショート判定回路55は、ロジック回路53の出力信号STのパルス数を計数するカウンタCNTと、該カウンタCNTの出力がセット端子に入力されるRSフリップフロップFF3と、該フリップフロップFF3の出力の変化を所定時間(250m秒)遅延させるタイマ回路TMRとから構成され、フリップフロップFF3の出力が上記ロジック回路53のORゲートG4に供給されるとともに、タイマ回路TMRの出力がゲート停止信号GS1としてドライバ34に供給されている。カウンタCNTは、パルスを8個計数すると、補助巻線がショートしていると判定して出力がローレベルに変化するように構成されている。なお、カウンタCNTが計数するパルスは8個に限定されるものでない。また、タイマ回路TMRは省略しても良い。
【0047】
スイッチ制御回路54は、高圧入力起動端子HVと電源電圧端子VDDとの間に設けられた高耐圧のデプレッション型のMOSトランジスタからなる電源供給用のスイッチS0と、該電源電圧端子VDDと接地点との間に直列に接続された抵抗R7,R8およびエンハンスメント型のMOSトランジスタQ1と、該トランジスタQ1と並列に設けられたクランプ用のツェナーダイオードD3とから構成されており、抵抗R7,R8の接続ノードにスイッチS0の制御端子としてのゲート端子が接続されている。
【0048】
また、MOSトランジスタQ1のゲート端子に上記ロジック回路53の最終段のNORゲートG7の出力STが印加されており、Q1をオンさせることで、デプレッション型のMOSトランジスタであるスイッチS0のゲート端子に、ソース電圧に対して負の電圧を印加して、チャンネルを非導通状態(ドレイン電流が流れない状態)にさせることができるように構成されている。前述したように、スイッチS0は起動回路50により電源電圧端子VDDの電圧が21Vに達するとオフされるとともに、レギュレータ63が動作状態にされ、内部電源電圧Vregを生成する。一方、スイッチ制御回路54のトランジスタQ1がオフされると、スイッチS0がオン状態になるとともに、レギュレータ63の動作が停止される。なお、スイッチS0がオンされると、高圧入力起動端子HVから電流が供給されることでVDD端子に接続されている外付けコンデンサC0が充電され、電源電圧端子VDDの電圧が上昇し、21Vに達するとコンパレータCMP1の出力がハイレベルに変化してトランジスタQ1がオンされ、スイッチS0がオフされる。
【0049】
図8には、本実施形態の電源制御用ICにおける放電回路40(
図2)の構成例が示されている。
図8に示すように、放電回路40は、高圧入力起動端子HVと接地点との間に直列に接続された抵抗R3,R4からなる分圧回路41と、該分圧回路41によって分圧された電圧のピーク値を保持するピークホールド回路42と、抵抗R3,R4の接続ノードN2の電位Vn2とピークホールド回路42に保持されている電圧Vpを比例縮小した電圧Vthとを比較してVn2がVthを下回ったか否か判定する電圧比較回路43と、Vn2がVthを下回らない時間を計時するタイマ回路44と、高圧入力起動端子HVと接地点との間に、スイッチS0と直列形態となるように接続された抵抗RdおよびスイッチSdとからなる放電手段45とを備えて構成されている。
【0050】
ここで、スイッチS0は、高圧入力起動端子HVと電源電圧端子VDDとの間に接続され、起動回路50によって制御されるスイッチであり、例えば高耐圧のMOSトランジスタにより構成される。スイッチS0は、AC電源の立ち上がり直後にオンされ、所定値(例えば21V)以上の電圧になるとオフされ、内部回路が動作を開始する。すると、その後は補助巻線からの電圧が電源電圧端子VDDに供給されるようになり、スイッチS0がオフされたまま内部回路は電源電圧端子VDDからの電圧で動作する。
抵抗R3,R4は、高圧入力起動端子HVの電圧を、放電回路40を構成する素子の耐圧以下の電圧(例えば6V)に落とし込むように抵抗値の比が設定される。
【0051】
上記電圧比較回路43は、接続ノードN2の電位Vn2のピーク値の30%の値と接続ノードN2の電位Vn2とを比較して、下回ることがなかったか否かを検出する。タイマ回路44は、Vn2がVpを下回らない時間を計時して計時時間が例えば30m秒を越えたと判定すると、スイッチS0および放電用スイッチSdをオンさせる信号を出力する。抵抗Rdは、例えば放電速度が47V/秒となるように電流を制限する抵抗値に設定される。タイマ回路44は、Vn2がVpを下回る度にリセットされ、30m秒の計時を開始するように構成されている。
【0052】
図9には、
図8に示す放電回路40による動作タイミングが示されている。
図9において、(A)の実線は高圧入力起動端子HVの電圧VHVの波形を示すもので、破線はピーク値の30%の値を表わしている。また、
図9(B)は電圧比較回路43の出力CP、
図9(C)はタイマ回路44の出力TMを表わしている。
図9に示すように、正常な期間T1中においては、高圧入力起動端子HVの電圧波形の周期に対応した周期でパルスCPが出力される。タイミングt2でプラグが外れた場合には、電圧比較回路43からパルスCPが出力されなくなる。そして、最後のパルスの出力時点t1から30m秒経過した時点t3で、タイマ回路44の出力TMがハイレベルに変化して放電用スイッチSdがオンされてXコンデンサの放電が行なわれ、高圧入力起動端子HVの電圧VHVが速やかに立ち下がるようになる。
【0053】
このように、
図8に示す放電回路40を設けた電源制御用ICにおいては、
図9から分かるように、AC入力が遮断された場合にXコンデンサの残留電荷を速やかに放電させることができるとともに、通常動作状態では起動回路50によって電源供給用のスイッチS0がオフされるため、放電用抵抗Rdによる電力損失をなくすことができる。なお、分圧回路41においては常時電力損失が生じるが、放電用抵抗Rdは放電速度を規定するのに必要な抵抗値とされるのに対し、分圧回路41を構成する抵抗R3,R4は放電用抵抗Rdに比べて充分に高い抵抗値に設定できるので、放電回路40全体としての電力損失は従来に比べて低減することができる。
【0054】
図10には、本実施形態の電源制御用IC13を構成する
図8の放電回路40の具体的な回路構成例が示されている。なお、
図10に示されているスタート制御回路56は、
図7に示されているVDD動作開始回路51とVDD動作停止回路52とロジック回路53と補助巻線ショート判定回路55を合わせた回路である。従って、スイッチ制御回路54とスタート制御回路56を合わせたものが起動回路50に相当する。
図10に示すように、放電回路40は分圧回路41とピークホールド回路42と電圧比較回路43とタイマ回路44と放電手段45とから構成されており、このうちピークホールド回路42は、接続ノードN2にアノード端子が接続されたダイオードD4と、該ダイオードD4のカソード端子と接地点との間に接続された容量素子C4と、ダイオードD4と容量素子C4との接続ノードN3に入力端子が接続されたボルテージフォロワからなるバッファBFF4とにより構成されている。
【0055】
電圧比較回路43は、上記BFF4の出力端子と接地点との間に直列に接続された分圧用の抵抗R5,R6と、該抵抗R5,R6によって分圧された電圧(接続ノードN3の電位Vn3)と上記分圧回路41によって分圧された電圧(接続ノードN2の電位Vn2)とを比較するコンパレータCMP1とにより構成されている。抵抗R5,R6の抵抗値の比が2:1となるように設定されることにより、容量素子C4に保持されているピーク電圧の1/3の大きさの電圧が接続ノードN3に現れる。これにより、コンパレータCMP1は、接続ノードN2の電位Vn2がそのピーク値のおよそ30%の値を下回ったか否かを検出することができる。
【0056】
タイマ回路44は、発振回路31からのクロック信号φcにより計数動作するダウンカウンタCNTにより構成されており、30m秒に相当するクロック数を計数すると出力がハイレベルに変化するように構成されている。また、上記コンパレータCMP1の出力がダウンカウンタCNTのリセット端子に入力されており、ダウンカウンタCNTは、コンパレータCMP1の出力パルスが入力される毎に30m秒の計時動作をリスタートする。
通常は、30m秒を経過する前にコンパレータCMP1からのパルスCPが入力されるため、出力が変化することはないが、プラグが抜かれてコンパレータCMP1からのリセットパルスCPが入力されなくなると、30m秒を計時した時点でダウンカウンタCNTの出力がハイレベルに変化し、その出力によって放電用のスイッチSdがオンされる。
【0057】
さらに、本実施例では、上記スイッチ制御回路54のMOSトランジスタQ1のゲート端子に、スタート制御回路56からの信号STと上記放電回路40のタイマ回路44からの信号TMとの論理和をとるNORゲートG3の出力信号が印加されており、放電用のスイッチSdをオンさせる際にQ1をオフさせて、電源供給用スイッチS0としてのMOSトランジスタをオンさせるように構成されている。スタート制御回路56は、前述したように電圧コンパレータを内蔵しており、電源電圧端子VDDの電圧が例えば6.5V以下であるとスイッチS0をオンさせ、VDDの電圧が例えば21V以上になるとスイッチS0をオフさせるように動作する。
【0058】
この実施例では、電源供給用のスイッチS0が高耐圧のデプレッション型のMOSトランジスタにより構成されるのに対し、放電用のスイッチSdは中耐圧のエンハンスメント型MOSトランジスタで構成することがきる。
なお、
図10に破線で示すように、ダウンカウンタCNTのリセット端子の前段にORゲートG4等のロジック回路を設け、コンパレータCMP1の出力とダウンカウンタCNTの出力との論理和をとった信号をダウンカウンタCNTのリセット端子に入力して、ダウンカウンタCNTの出力が一旦ハイレベルに変化したら、ダウンカウンタCNTが計時動作を停止するように構成しても良い。
また、放電用の抵抗Rdは、定電流回路に置き換えても良いし、放電用の抵抗Rdもしくは定電流回路と放電用スイッチSdの接続の順序は逆であっても良い。
【0059】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、補助巻線ショート判定回路55およびCS端子監視回路61を設けて、補助巻線ショートの検出とCS端子オープンの検出の両方でラッチ停止制御を行うようにしているが、CS端子オープンの検出の機能は省略し、補助巻線ショートの検出時にのみラッチ停止制御を行うようにしてもよい。また、フィードバック端子FBや電流検出端子CSに有意な電圧VFB,Vcsが発生していないAC入力投入時に、一次側巻線に過大な電流が流れないように徐々に一次側電流を増加させるようにフリップフロップ33をリセットさせる信号を生成するソフトスタート回路を設けても良い。
【0060】
また、前記実施形態では、トランスの一次側巻線に間歇的に電流を流すスイッチングトランジスタSWを、電源制御用IC13とは別個の素子としているが、このスイッチングトランジスタSWを電源制御用IC13に取り込んで、1つの半導体集積回路として構成してもよい。
さらに、前記実施形態では、本発明をフライバック方式のAC−DCコンバータを構成する電源制御用ICに適用した場合について説明したが、本発明はフォワード型や疑似共振型のAC−DCコンバータさらには一次側で取得した情報のみで二次側の出力電圧の制御を行ういわゆる Primary Side Regulation (以下PSR)方式のAC−DCコンバータを構成する電源制御用ICにも適用することができる。