(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構成では、吸着材が吸着媒体を吸着する吸着量は、熱媒の温度、容器の内部へ吸着媒体を供給する際の吸着媒体の圧力、及び吸着媒体を容器の内部から排出する際の吸着媒体の圧力によって決まる。
【0005】
本発明の課題は、熱媒の温度、容器の内部へ吸着媒体を供給する側の圧力、及び吸着媒体を容器の内部から排出する側の圧力によって決まる吸着材による吸着媒体の吸着量と比して、吸着材による吸着媒体の吸着量を増やすことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る吸着装置は、吸着媒体が流入する流入口及び吸着媒体が流出する流出口が連通する第一空間と、前記第一空間とは異なる第二空間とに内部が仕切られている容器と、前記第一空間に配置され、相対的に低温の第一熱媒との間で熱交換により吸着媒体を吸着し、相対的に高温の第二熱媒との間で熱交換により吸着媒体を脱着する複数の吸着材と、前記第一空間を仕切ることで複数の前記吸着材を、前記流入口と連通され前記流出口と非連通とされた第一吸着材と、前記流出口と連通され前記流入口と非連通とされた第二吸着材と、前記流入口及び前記流出口と非連通とされた第三吸着材及び第四吸着材とに区分けする仕切機構と、少なくとも一部が、前記容器の前記第二空間に配置され、前記第一吸着材及び前記第三吸着材との間で熱交換する第一熱媒が流れる第一流路と、前記第二吸着材及び前記第四吸着材との間で熱交換する第二熱媒が流れる第二流路と、が形成されている流路部材と、前記第三吸着材と前記第四吸着材とを連通する連通部と、前記仕切機構、前記流路部材、及び前記連通部を複数の前記吸着材に対して相対的に移動させることで、個別の前記吸着材を第一吸着材、第三吸着材、第二吸着材、第四吸着材に順次に切り替える切替装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、第一空間には、相対的に低温の第一熱媒との間で熱交換により吸着媒体を吸着し、相対的に高温の第二熱媒との間で熱交換により吸着媒体を脱着する複数の吸着材が配置されている。また、仕切機構は、第一空間を仕切ることで複数の吸着材を、流入口と連通され流出口と非連通とされた第一吸着材と、流出口と連通され流入口と非連通とされた第二吸着材と、流入口及び流出口と非連通とされた第三吸着材及び第四吸着材とに区分けする。さらに、連通部が、第三吸着材と第四吸着材とを連通する。
【0008】
そして、切替装置が、仕切機構、流路部材、及び連通部を複数の吸着材に対して相対的に移動させることで、個別の吸着材を第一吸着材、第三吸着材、第二吸着材、第四吸着材に順次に切り替える。
【0009】
ここで、連通部は、第三吸着材と、第四吸着材とを連通する。これにより、第四吸着材からさらに吸着媒体が脱着し、この脱着した吸着媒体が、第三吸着材に吸着される。
【0010】
このようにして、熱媒の温度、容器の内部へ吸着媒体を供給する側の圧力、及び吸着媒体を容器の内部から排出する側の圧力によって決まる吸着材による吸着媒体の吸着量と比して、吸着材による吸着媒体の吸着量を増やすことができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る吸着装置は、請求項1に記載の吸着装置において、前記容器の前記流入口は、前記容器の一方向の一端側に形成され、前記容器の前記流出口は、前記容器の前記一方向の他端側に形成され、前記吸着材は、前記一方向において前記流入口と前記流出口との間に配置され、前記仕切機構は、前記吸着材に対して前記流入口側に配置され、前記第二吸着材、前記第三吸着材、及び前記第四吸着材と前記流入口とを非連通とする第一仕切部材と、前記吸着材に対して前記流出口側に配置され、前記第一吸着材、前記第三吸着材、及び前記第四吸着材と前記流出口とを非連通とする第二仕切部材とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、仕切機構は、吸着材に対して流入口側に配置され、第二吸着材、第三吸着材、及び第四吸着材と前記流入口とを非連通とする第一仕切部材と、吸着材に対して流出口側に配置され、第一吸着材、第三吸着材、及び第四吸着材と流出口とを非連通とする第二仕切部材とを備えている。
【0013】
これにより、夫々の吸着材に開閉弁を個別に設けることなく、吸着媒体を吸着する第一吸着材と、吸着媒体を脱着する第二吸着材とを切り替える構成を得ることができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る吸着装置は、請求項2に記載の吸着装置において、前記連通部は、前記第三吸着材に向けられている第一開口部と、前記第四吸着材に向けられている第二開口部とが形成された連通ダクトを備え、前記切替装置が、前記連通ダクト、前記第一仕切部材、前記第二仕切部材及び前記流路部材を前記吸着材に対して相対移動させることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、連通ダクトに形成された第一開口部が第三吸着材に向けられ、連通ダクトに形成された第二開口部が、第四吸着材に向けられている。
【0016】
そして、切替装置が、連通ダクト、流入口側に配置される第一仕切部材、流出口側に配置される第二仕切部材、及び流路部材を移動させることで、第一開口部が向けられた第三吸着材と、第二開口が向けられた第四吸着材とを替えることができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る吸着装置は、請求項3に記載の吸着装置において、前記容器の内部に配置され、前記一方向に延び、外側の前記第一空間と内側の前記第二空間とを仕切る軸管を備え、前記吸着材は、前記軸管の周方向に間隔を空けて複数配置され、前記周方向において隣り合う前記吸着材の間には、吸着空間が形成され、前記切替装置が、前記連通ダクト、前記第一仕切部材、前記第二仕切部材及び前記流路部材を前記軸管の周方向に回転させることを特徴とする。
上記構成によれば、切替装置が、連通ダクト、第一仕切部材、第二仕切部材及び流路部材を軸管の周方向に回転させ、吸着媒体を吸着する第一吸着材と、吸着媒体を脱着する第二吸着材とを切り替える。
【0018】
ここで、隣り合う第一吸着材は、吸着空間に流れ込んだ吸着媒体を吸着する。一方、隣り合う第二吸着材から脱着した吸着媒体は、吸着空間に放出される。
【0019】
このように、隣り合う第一吸着材は、吸着空間に流れ込んだ吸着媒体を吸着し、さらに、隣り合う第二吸着材から脱着した吸着媒体は、吸着空間に放出される。このため、吸着材が吸着媒体を吸着する面積、及び吸着材が吸着媒体を脱着する面積を増やすことができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る吸着式ヒートポンプは、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸着装置と、前記容器の前記流入口に連結され前記容器へ供給される吸着媒体を生成する蒸発器と、前記容器の前記流出口に連結され前記容器から流出される吸着媒体を凝縮する凝縮器と、を備えることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、吸着装置では、連通部を設けることで、熱媒の温度、容器の内部へ吸着媒体を供給する側の圧力、及び吸着媒体を容器の内部から排出する側の圧力によって決まる吸着材による吸着媒体の吸着量と比して、吸着材による吸着媒体の吸着量が増やされる。
【0022】
このように、吸着材による吸着媒体の吸着量が増やされることで、吸着式ヒートポンプにおいては、例えば、蒸発器から取り出される冷熱量を増やすことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熱媒の温度、容器の内部へ吸着媒体を供給する側の圧力、及び吸着媒体を容器の内部から排出する側の圧力によって決まる吸着材による吸着媒体の吸着量と比して、吸着材による吸着媒体の吸着量を増やすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る吸着装置及び吸着式ヒートポンプの一例について
図1〜
図13を用いて説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
【0026】
本実施形態に係る吸着式ヒートポンプ10(以下「ヒートポンプ10」)は、
図11に示されるように、水の蒸発を行う蒸発器12と、水蒸気V(吸着媒体の一例)の凝縮を行う凝縮器22と、吸着装置32とを備えている。さらに、ヒートポンプ10は、蒸発器12と凝縮器22との間で、液体又は気体の流通を可能とする流通部28を備えている。
【0027】
そして、蒸発器12、凝縮器22及び吸着装置32は、内圧が大気圧と比して低い減圧系とされている。
【0028】
この吸着式ヒートポンプ10は、詳細は後述するが、例えば、自動車等の廃熱によって第二熱媒F2を生成し、吸着工程において流体F3を冷却することができる装置である。
【0029】
(蒸発器)
蒸発器12は、
図11に示されるように、内部に水が貯留される容器14と、容器14の内部に一部が配置され、流体F3が流れる流路18と備えている。また、容器14の内部は、気相部14Aと液相部14Bとに分かれており、流路18は、少なくとも液相部14Bを含む部分で、液相部14Bの水と流体F3との熱交換が行われるように配置されている。また、流体F3には、一例として、20℃〜50〔℃〕程度の水を用いることができる。
【0030】
この構成において、蒸発器12は、貯留した水を蒸発させて水蒸気Vを生成し、この水蒸気Vが吸着装置32に供給するようになっている。そして、水を蒸発させる際の気化熱により、流路18を流れる流体F3が冷却されるようになっている。
【0031】
(凝縮器)
凝縮器22は、
図11に示されるように、内部に水が貯留される容器24と、容器24の内部に一部が配置され、流体F4が流れる流路26とを備えている。容器24の内部は、気相部24Aと液相部24Bとに分かれており、流路26は、少なくとも気相部24Aを含む部分で、気相部24Aの水蒸気と流体F4との熱交換が行われるように配置されている。また、流体F4には、一例として、20℃〜35〔℃〕程度の水を用いることができる。
【0032】
この構成により、凝縮器22は、吸着装置32から流出した(排出された)水蒸気Vを、凝縮するようになっている。
【0033】
(流通部)
流通部28は、
図11に示されるように、凝縮器22の液相部24Bと、蒸発器12の気相部14Aとを連通する連通管28Aと、連通管28Aの途中に設けられるポンプ28Bとを備えている。この構成により、流通部28は、凝縮器22から蒸発器12へ水を搬送するようになっている。
【0034】
(吸着装置)
吸着装置32は、
図1に示されるように、内部が真空脱気されている容器34と、容器34の内部に設けられている吸着モジュール36と、容器34の内部に設けられている仕切機構48とを備えている。さらに、吸着装置32は、
図6に示されるように、第一熱媒F1が流れる第一流路70と、第二熱媒F2が流れる第二流路72とが形成されている流路部材の一例としての流路機構60を備えている。また、吸着装置32は、仕切機構48及び流路機構60を移動させる切替装置52を備えている。
【0035】
〔容器〕
容器34は、
図1、
図11に示されるように、円筒状の本体部34Aと、本体部34Aの一端部(図中左端部)を閉止する閉止蓋34Bと、本体部34Aの他端部(図中右端部)を閉止する閉止蓋34Cとを備えている。さらに、容器34は、蒸発器12で生成される水蒸気Vが流入する流入口34Dと、凝縮器22へ受け渡す水蒸気Vが流出する流出口34Eとを備えている。
【0036】
本体部34Aは、装置奥行方向(一方向の一例)に延びる円筒状とされ、流入口34Dは、本体部34Aにおいて装置奥行方向の一端側(図中左側)の上方側を向いた部分に取り付けられている。さらに、流出口34Eは、本体部34Aにおいて装置奥行方向の他端側(図中右側)の下方側を向いた部分に取り付けられている。
【0037】
〔吸着モジュール〕
吸着モジュール36は、
図1、
図11に示されるように、容器34の内部で、装置奥行方向において、流入口34Dと流出口34Eとの間に配置されている。この吸着モジュール36は、本体部34Aの軸線Cを軸線とする軸管40と、軸管40の周方向に間隔を空けて複数配置される吸着体42とを備えている。
【0038】
[軸管]
軸管40は、
図6に示されるように、装置奥行方向に延び、軸管40の一端部は、閉止蓋34Bに取り付けられ、軸管40の他端部は、閉止蓋34Cに取り付けられている。そして、軸管40の一端部と閉止蓋34Bとの間は、図示せぬシール部材によってシールされ、軸管40の他端部と閉止蓋34Cとの間は、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0039】
この構成において、軸管40は、容器34の内部を、軸管40の外周面と本体部34Aの内周面との間で水蒸気Vが流れる第一空間の一例としての空間56と、軸管40の内部の第二空間の一例としての空間58とに仕切っている。
【0040】
[吸着体]
夫々の吸着体42は、
図7に示されるように、矩形板状とされ、吸着体42の板面が軸管40の周方向を向くように同様の間隔で夫々の吸着体42が配置されている。
【0041】
また、吸着体42の基端部が軸管40の外周面に取り付けられ、吸着体42の先端部が容器34の本体部34Aの内周面に接触している(
図6参照)。そして、吸着体42の基端部と軸管40の外周面との間は、図示せぬシール部材によってシールされ、吸着体42の先端部と本体部34Aの内周面との間は、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0042】
また、周方向において隣り合う吸着体42の間には、吸着空間の一例としての空間50(
図9参照)が形成されている。なお、本実施形態では、吸着体42は、軸管40の外周面に18〔°〕ピッチで配置されている。
【0043】
さらに、吸着体42は、
図8に示されるように、3層構造とされ、仕切板44と、仕切板44の表面及び裏面に積層された吸着材46とを有している。吸着材46は、水蒸気Vを吸着して発熱し、水蒸気Vを脱着して吸熱するようになっている。この吸着材46としては、本実施形態では、シリカゲルが用いられている。
【0044】
また、仕切板44の内部には、第一熱媒F1、又は第二熱媒F2が流れる流路44Aが形成されている。この流路44Aの一端部は、
図6に示されるように、軸管40の一端側に配置され、流路44Aの他端部は、軸管40の他端側に配置されている。さらに、軸管40には、流路44Aの両端部と対向する貫通孔(符号省略)が形成されている。これにより、流路44Aと、軸管40の内部とは連通している。
【0045】
なお、仕切板44の板面に吸着材46を積層する場合は、例えば、吸着材を含む塗布液を仕切板44に塗布する方法、又は吸着材を含む吸着材成形体を仕切板44に接着する方法等を用いることができる。
【0046】
〔流路機構〕
流路機構60は、
図1、
図6に示されるように、軸管40の内周面と間隔を空けて軸管40を貫通している第一管部材62と、第一管部材62の内周面と間隔を空けて第一管部材62の内部に配置されている第二管部材64とを備えている。そして、第一管部材62及び第二管部材64は、本体部34Aの軸線Cを軸線としている。
【0047】
さらに、第一管部材62及び第二管部材64の一端側は、閉止蓋34Bに形成された貫通孔35Aを通って閉止蓋34Bから容器34の外部に露出している。また、第一管部材62及び第二管部材64の他端側は、閉止蓋34Cに形成された貫通孔35Bから容器34の外部に露出している。
【0048】
さらに、第一管部材62の一端側で、かつ、軸管40の内部に配置されている部分には、第一管部材62の内部と外部とを連通させる貫通孔62Aが形成されている。また、第一管部材62の他端側で、かつ、軸管40の内部に配置されている部分には、第一管部材62の内部と外部とを連通させる貫通孔62Bが形成されている。そして、貫通孔62Aと貫通孔62Bとは、第一管部材62を装置奥行方向から見て、周方向の同様の位置に配置されている。
【0049】
さらに、流路機構60は、第一管部材62と第二管部材64とを連結する連結管66A、66Bを備えている。連結管66Aは、軸線Cを挟んで貫通孔62Aの反対側に配置され、連結管66Bは、軸線Cを挟んで貫通孔62Bの反対側に配置されている。これにより、連結管66A、66Bは、第二管部材64の内部と、第一管部材62の外部とを連通させている。
【0050】
そして、第一管部材62と第二管部材64との間の空間が、第一熱媒F1が流れる第一流路70とされ、第二管部材64の内部が、第二熱媒F2が流れる第二流路72とされている。なお、第一熱媒F1には、一例として、20℃〜35〔℃〕程度の水を用いることができ、第二熱媒F2には、一例として、50℃〜90〔℃〕程度の水を用いることできる。この第二熱媒F2は、例えば、自動車等の廃熱を輸送するものであり、吸着式ヒートポンプ10における利用の対象となる流体である。
【0051】
さらに、流路機構60は、装置幅方向から見て、軸管40の内部を分割する分割板76(
図6参照)と、装置奥行方向から見て、軸管40の内部を分割する分割板78(
図9参照)とを備えている。
【0052】
分割板76は、
図6に示されるように、軸管40の内部を装置奥行方向一端側と、他端側とに分割するように配置されている。具体的には、分割板76は、軸管40の内周面と第一管部材62の外周面との間の空間82を分割する円環状の板部材76Aと、第一管部材62の内周面と第二管部材64の外周面との間の第一流路70を分割する円環状の板部材76Bとを備えている。さらに、分割板76は、第二管部材64の内部の第二流路72を分割する円状の板部材76Cを備えている。そして、板部材76A、76B、76Cは、第一管部材62、及び第二管部材64の少なくとも一方に取り付けられている。また、各部材間は、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0053】
分割板78は、
図9に示されるように、装置奥行方向から見て、空間82を貫通孔62A、62Bを介して第一流路70と連通する空間と、連結管66A、66Bを介して第二流路72と連通する空間とに分割するように配置されている。
【0054】
具体的には、分割板78は、装置奥行方向において軸管40の一端部から他端部まで設けられている。そして、分割板78は、装置奥行方向から見て、基端部が第一管部材62の外周面に取り付けられ、第一管部材62の径方向の一方側に延びて先端部が軸管40の内周面に接触している板部材78Aを備えている。
【0055】
さらに、分割板78は、装置奥行方向から見て、基端部が第一管部材62の外周面に取り付けられ、第一管部材62の径方向の他方側に延びて先端部が軸管40の内周面に接触している板部材78Bを備えている。
【0056】
そして、装置奥行方向から見て、板部材78Aと板部材78Bとは、第一管部材62の中心に対して点対称となるように配置されている。また、各部材間は、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0057】
なお、以後の説明では、
図6に示されるように、第一流路70において、分割板76で分割された装置奥行方向の一端側の部分を第一流路70Aと記載し、他端側の部分を第一流路70Bと記載する。また、第二流路72において、分割板76で分割された装置奥行方向の一端側の部分を第二流路72Aと記載し、他端側の部分を第二流路72Bと記載する。
【0058】
さらに、空間82において、分割板76及び分割板78で分割され、第一流路70Aと貫通孔62Aを介して連通する部分を空間82Aと記載し、第一流路70Bと貫通孔62Bを介して連通する部分を空間82Bと記載する。また、空間82において、分割板76及び分割板78で分割され、第二流路72Aと連結管66Aを介して連通する部分を空間82Cと記載し、第二流路72Bと連結管66Bを介して連通する部分を空間82Dと記載する。
【0059】
この構成において、第一熱媒F1は、第一流路70Aに供給され、貫通孔62Aを通って空間82Aへ流れ込むようになっている。さらに、空間82Aへ流れ込んだ第一熱媒F1は、軸管40の壁部を挟んで空間82A、82Bの反対側に配置されている吸着体42の流路44Aの内部に流路44Aの一端部から流れ込むようになっている。また、流路44Aの内部に流れ込んだ第一熱媒F1は、流路44Aの他端部から流出して、空間82Bへ流れ込むようになっている。さらに、空間82Bへ流れ込んだ第一熱媒F1は、貫通孔62Bを通って第一流路70Bに流れ込み、外部に排出されるようになっている。
【0060】
また、第二熱媒F2は、第二流路72Aに供給され、連結管66Aを通って空間82Cへ流れ込むようになっている。さらに、空間82Cへ流れ込んだ第二熱媒F2は、軸管40の壁部を挟んで空間82C、82Dの反対側に配置されている吸着体42の流路44Aの内部に流路44Aの一端部から流れ込むようになっている。また、流路44Aの内部に流れ込んだ第二熱媒F2は、流路44Aの他端部から流出して、空間82Dへ流れ込むようになっている。さらに、空間82Dへ流れ込んだ第二熱媒F2は、連結管66Bを通って第二流路72Bに流れ込み、外部に排出されるようになっている。
【0061】
ここで、閉止蓋34B、34Cの貫通孔35A、35Bの孔縁と、第一管部材62の外周面との間には、図示せぬ軸受が設けられ、第一管部材62、第二管部材64、分割板76及び分割板78は、軸線Cを中心に回転可能とされている(
図1矢印F参照)。また、貫通孔35A、35Bの孔縁と第一管部材62の外周面との間は、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0062】
〔仕切機構〕
仕切機構48は、
図1に示されるように、容器34の内部で、流入口34D側に配置される第一仕切部材の一例としての仕切板86と、流出口34E側に配置される第二仕切部材の一例としての仕切板88とを備えている。
【0063】
仕切板86は、磁性体である鋼板等で成形されており、板面が装置奥行方向に向いている。さらに、仕切板86は、円弧状とされている。そして、この仕切板86は、軸管40の壁部を挟んで空間82C、82D(
図9参照)の反対側に配置されている複数の吸着体42、及びこれらの吸着体42に対して軸管40の周方向の一方側に配置される一個の吸着体42の一方側の端面と接触するような形状とされている。具体的には、仕切板86は、
図9に示す範囲Jに配置されている吸着体42の一方側の端面と接触するような形状とされている。
【0064】
また、仕切板86の基端部は、
図1に示されるように、軸管40の外周面と対向しており、仕切板86の先端部は、本体部34Aの内周面と対向している。さらに、仕切板86の基端部は、軸管40の外周面に沿うように折り曲げられ、軸管40の外周面と接触するフランジ部86Bが形成されている。また、仕切板86の先端部と本体部34Aの内周面とは、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0065】
この構成において、仕切板86は、少なくとも軸管40の壁部を挟んで空間82C、82D(
図6参照)の反対側に配置されている複数の吸着体42(第二吸着材、第三吸着材、第四吸着材)と、流入口34Dとを非連通としている。
【0066】
仕切板88は、磁性体である鋼板等で成形されており、
図2に示されるように、板面が装置奥行方向に向いている。さらに、仕切板88は、円弧状とされている。そして、この仕切板88は、軸管40の壁部を挟んで空間82A、82B(
図9参照)の反対側に配置されている複数の吸着体42、及びこれらの吸着体42に対して軸管40の周方向の一方側に配置される一個の吸着体42の他方側の端面と接触するような形状とされている。具体的には、仕切板88は、
図9に示す範囲Kに配置されている吸着体42の他方側の端面と接触するような形状とされている。
【0067】
また、仕切板88の基端部は、
図2に示されるように、軸管40の外周面と対向しており、仕切板86の先端部は、本体部34Aの内周面と対向している。さらに、仕切板88の基端部は、軸管40の外周面に沿うように折り曲げられ、軸管40の外周面と接触するフランジ部88Bが形成されている。また、仕切板88の先端部と本体部34Aの内周面とは、図示せぬシール部材によってシールされている。
【0068】
この構成において、仕切板88は、少なくとも軸管40の壁部を挟んで空間82A、82B(
図6参照)の反対側に配置されている複数の吸着体42(第一吸着材、第三吸着材、第四吸着材)と、流出口34Eとを非連通としている。
【0069】
そして、装置奥行方向から見みると、
図9に示されるように、仕切板86と仕切板88とは、軸管40の周方向において、一方側と他方側とで重なるようになっている(
図9に示す範囲L)。具体的には、装置幅方向において、一方側に位置する空間50と、他方側に位置する空間50とが、仕切板86と仕切板88とで仕切られるようになっている。換言すれば、仕切板86と仕切板88とで仕切られる空間50を両側から挟む吸着材42(第三吸着材、第四吸着材)は、流入口34D、及び流出口34Eと非連通とされるようになっている。
【0070】
〔連通部〕
連通部96は、
図7に示されるように、連通ダクト98を備えている。
【0071】
連通ダクト98は、仕切板86の背面(吸着体42と対向する面とは反対側の面)に向けて開口した開口部材98Aと、開口部材98Aの開口を閉止する仕切板86の一部の部分とを含んで構成されている。連通ダクト98は、仕切板86において、周方向の一端側から他端側まで形成され、装置奥行方向から見て、円弧状とされている。
【0072】
さらに、
図7、
図13に示されるように、仕切板86において連通ダクト98を構成する部分には、連通ダクト98の第一開口部98Bと、第二開口部98Cとが形成されている。
【0073】
第一開口部98Bが、後述する仕切板86の回転方向(
図1の矢印F)において、第二開口部98Cに対して下流側に配置されている。さらに、第一開口部98B及び第二開口部98Cは、装置奥行方向から見て、仕切板86と仕切板88とが重なる部分に配置されている(
図9参照)。
【0074】
〔切替装置〕
切替装置52は、
図6に示されるように、軸線Cを中心に流路機構60を連続的に回転させる駆動部材としてのモータ54と、磁石92、94とを備えている。
【0075】
磁石92は、軸管40の壁部を挟んでフランジ部86Bの反対側に配置され、図示せぬブラケットを介して第一管部材62に取り付けられている。磁石94は、軸管40の壁部を挟んでフランジ部88Bの反対側に配置され、図示せぬブラケットを介して第一管部材62に取り付けられている。
【0076】
この構成において、モータ54の駆動力により、流路機構60が回転(
図1の矢印F参照)することで、磁石92、94も軸管40の内部で回転するようになっている。そして、磁石92、94が回転することで、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88は、相対位置を保ちながら、軸管40の周方向に回転(移動)するようになっている。換言すれば、流路機構60、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88は、相対位置を保ちながら軸線Cを中心に回転するようになっている。なお、モータ54の駆動力によって回転する流路機構60、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88の回転速度は、後述する作用で説明する。
【0077】
(作用)
次に、ヒートポンプ10の作用を、ヒートポンプ10の動作によって説明する。
【0078】
容器34の内部は真空脱気され、ヒートポンプ10を動作させる際には、仕切板86は、例えば、
図1に示されるように、軸線Cに対して下方側に配置される吸着体42(第二吸着材、第四吸着材)の装置奥行方向の一方側の端面と接触するように配置されている。さらに、仕切板88は、例えば、
図2に示されるように、軸線Cに対して上方側に配置される吸着体42(第一吸着材、第三吸着材)の装置奥行方向の他方側の端面と接触するように配置されている。
【0079】
また、連通ダクト98の第一開口98Bは、
図9に示されるように、装置幅方向において、一端側に配置され、第二開口98Cは、装置幅方向の他端側に配置されている。
【0080】
そして、仕切板86が、
図6に示されるように、流入口34Dと軸線Cに対して下方側に配置される吸着体42(吸着材46)とを非連通としている。また、仕切板88が、流出口34Eと軸線Cに対して上方側に配置される吸着体42(吸着材46)とを非連通としている。
【0081】
この状態で、第一熱媒F1は、第一流路70Aに供給されて第一流路70Aを流れ、貫通孔62Aを通って空間82Aへ流れ込む。さらに、空間82Aへ流れ込んだ第一熱媒F1は、軸管40の壁部を挟んで空間82A、82Bの反対側に配置されている吸着体42の流路44Aの内部に流路44Aの一端部から流れ込む。また、流路44Aの内部に流れ込んだ第一熱媒F1は、流路44Aの他端部から流出して、空間82Bへ流れ込む。さらに、空間82Bへ流れ込んだ第一熱媒F1は、貫通孔62Bを通って第一流路70Bに流れ込み、外部に排出される。
【0082】
ここで、第一流路70Aに供給される際の第一熱媒F1の温度は、本実施形態では、35〔℃〕とされている。なお、35〔℃〕における吸着材46の水に対する飽和圧力は、5.6〔kPa〕である。また、流入口34Dの内部の圧力は、1.6〔kPa〕とされている。
【0083】
さらに、第二熱媒F2は、第二流路72Aに供給され、第二流路72Aを流れ、連結管66Aを通って空間82Cへ流れ込む。さらに、空間82Cへ流れ込んだ第二熱媒F2は、軸管40の壁部を挟んで空間82C、82Dの反対側に配置されている吸着体42の流路44Aの内部に流路44Aの一端部から流れ込む。また、流路44Aの内部に流れ込んだ第二熱媒F2は、流路44Aの他端部から流出して、空間82Dへ流れ込む。さらに、空間82Dへ流れ込んだ第二熱媒F2は、連結管66Bを通って第二流路72Bに流れ込み、外部に排出される。
【0084】
ここで、第二流路72Aに供給される際の第二熱媒F2の温度は、本実施形態では、90〔℃〕とされている。なお、90〔℃〕における吸着材46の水に対する飽和圧力は、69.3〔kPa〕である。また、流出口34Eの内部の圧力は、5.6〔kPa〕とされている。
【0085】
この状態で、蒸発器12は、液相部14Bの水を、流体F3との熱交換により蒸発させる(
図11参照)。水を蒸発させる際の気化熱により、蒸発器12の流路18を流れる流体F3が冷却される。
【0086】
そして、生成された水蒸気Vは、
図11に示されるように、流入口34Dの内部を矢印D方向に移動して、容器34の本体部34Aの内部に供給される。
【0087】
さらに、流入口34Dと連通している吸着材46と、吸着体42の流路44A内を流れる第一熱媒F1との間で熱交換され、流入口34Dと連通している吸着材46(第一吸着材)は、本体部34Aの内部に供給された水蒸気Vを吸着する。
【0088】
具体的には、本体部34Aの内部に供給された水蒸気Vは、
図10(A)に示されるように、周方向において隣り合う吸着体42の間に形成された空間50に流れ込み、隣り合う吸着材46に吸着される(図中矢印参照)。そして、吸着材46が水蒸気Vを吸着することで、吸着材46は、水蒸気Vを吸着しつつ発熱(放熱)する(吸着工程)。
【0089】
一方、流入口34Dと非連通とされている吸着材46(第二吸着材)と、吸着体42の流路44Aの内部を流れる第二熱媒F2との間で熱交換される。これにより、水蒸気Vを吸着した吸着材46が水蒸気Vを脱着する(
図6参照)。脱着した水蒸気Vは、
図10(B)に示されるように、空間50に放出される(図中矢印参照)。そして、吸着材46は、水蒸気Vを脱着しつつ、吸熱する(脱着工程)。
【0090】
また、吸着材46から脱着した水蒸気Vは、
図11に示されるように、流出口34Eの内部を矢印G方向に移動して、凝縮器22に受け渡される。凝縮器22は吸着装置32から受け取った水蒸気Vを凝縮する。さらに、液相部24Bの水は、流通部28によって、蒸発器12に向けて搬送される。
【0091】
そして、
図3、
図4、
図5に示されるように、流路機構60、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88がモータ54(
図6参照)によって回転することで、流出口34Eと非連通とされて水蒸気Vを吸着した吸着材46は、順次、流入口34Dと非連通とされて水蒸気Vを脱着する。一方、流入口34Dと非連通とされて水蒸気Vを脱着した吸着材46は、順次、流出口34Eと非連通とされて水蒸気Vを吸着する。このように、水蒸気Vを吸着する吸着材46と、水蒸気Vを脱着する吸着材46とが切り替えられる。
【0092】
なお、モータ54の駆動力によって流路機構60、仕切板86及び仕切板88が回転する回転速度は、吸着工程においては、吸着材46が第一熱媒F1の温度に対する平衡状態となり、脱着工程においては、吸着材46が第二熱媒F2の温度に対する平衡状態となるように決められている。
【0093】
ここで、第一開口部98B及び第二開口部98Cは、装置奥行方向から見て、仕切板86と仕切板88とが重なる部分に配置されている。そして、仕切板86と仕切板88とで仕切られる空間50に向けて第一開口部98B、及び第二開口部98Cが配置されている。
【0094】
このため、回転する連通ダクト98の第一開口部98Bは、吸着工程の後で脱着工程の前の吸着材46(第三吸着材)によって挟まれた空間50(以下「空間50A」と記載する)に向けられている。これに対して、第二開口部98Cは、脱着工程の後で吸着工程の前の吸着材46(第四吸着材)によって挟まれた空間50(以下「空間50B」と記載する)に向けられている(
図9参照)。
【0095】
この際に、空間50Aの圧力は、1.6〔kPa〕とされ、流入口34Dの内部の圧力と同等とされている。さらに、空間50Bの圧力は、5.6〔kPa〕とされ、流出口34Eの内部の圧力と同等とされている。この圧力差により、空間50Bを挟んでいる吸着材46が水蒸気Vを脱着し、脱着した水蒸気Vは、連通ダクト98の内部を通り、空間50Aへ搬送され、空間50Aを挟んでいる吸着材46によって吸着される。
【0096】
このように、連通ダクト98を用いて空間50Aと空間50Bとを連通させることで、吸着工程で水蒸気Vを吸着した吸着材46が、さらに水蒸気Vを吸着する。
【0097】
そして、流路機構60、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88がモータ54(
図6参照)によって回転することで、流出口34Eと非連通とされて水蒸気Vを吸着した吸着材46(第一吸着材)は、吸着工程の後で脱着工程の前の吸着材46(第三吸着材)、流入口34Dと非連通とされて水蒸気Vを脱着する吸着材46(第二吸着材)、脱着工程の後で吸着工程の前の吸着材46(第四吸着材)に順次に切り替えられる。
【0098】
以下、吸着材46における水蒸気Vの吸着量について説明する。
【0099】
図12には、本実施形態で用いられた吸着材46の吸着等温線がグラフで示されている。
図12に示すグラフの縦軸は、水蒸気Vの吸着量〔g/g〕を示し、グラフの横軸は、吸着材46の相対圧力〔Pa/Pa〕を示している。
【0100】
本実施形態では、流入口34Dの内部の圧力は1.6〔kPa〕とされている。さらに、第一流路70Aに供給される際の第一熱媒F1の温度は35〔℃〕とされ、35〔℃〕における吸着材46の水に対する飽和圧力は、5.6〔kPa〕である。
【0101】
このため、流入口34Dから流入した水蒸気Vを吸着材46が吸着する際の吸着材46の相対圧力は、下記式(1)に示すように、0.29〔Pa/Pa〕となる。
【0102】
1.6÷5.6≒0.29・・・・(1)
【0103】
また、流出口34Eの内部の圧力は5.6〔kPa〕とされている。さらに、第二流路72Aに供給される際の第二熱媒F2の温度は90〔℃〕とされ、90〔℃〕における吸着材46の水に対する飽和圧力は、69.3〔kPa〕である。
【0104】
このため、水蒸気Vを脱着して流出口34Eから水蒸気Vを流出させる際の吸着材46の相対圧力は、下記式(2)に示すように、0.08〔Pa/Pa〕となる。
【0105】
5.6÷69.3≒0.08・・・・(2)
【0106】
そして、吸着材46の相対圧力が0.29〔Pa/Pa〕の場合の吸着量と、吸着材46の相対圧力が0.08〔Pa/Pa〕の場合の吸着量との差は、
図12のグラフに示すように、0.10〔g/g〕となる。つまり、仮に、連通ダクト98が設けられていない場合には、吸着材46における水蒸気Vの吸着量は、0.10〔g/g〕となる。
【0107】
ここで、連通ダクト98によって連通されている空間50Aの圧力は、1.6〔kPa〕とされ、空間50Bの圧力は、5.6〔kPa〕とされている。圧力差がある空間50Aと空間50Bとが連通されることで、空間50Aの圧力と空間50Bの圧力とが同様の圧力になるように、空間50Aを構成している吸着材46と空間50Bを構成している吸着材46とが、水蒸気Vを吸着又は脱着する。
【0108】
そして、空間50Aにおける圧力の変化量と空間50Bにおける圧力の変化量とは同等となり、吸着等温線からフィッテングにより求めると、夫々1.9〔kPa〕となる。
【0109】
これより、空間50Aにおける吸着材46の相対圧力は、下記式(3)に示すように、0.34〔Pa/Pa〕となる。
【0110】
1.9÷5.6≒0.34・・・・(3)
【0111】
そして、吸着材46の相対圧力が0.29〔Pa/Pa〕の場合の吸着量と、吸着材46の相対圧力が0.34〔Pa/Pa〕の場合の吸着量との差は、
図12のグラフに示すように、0.03〔g/g〕となる。
【0112】
また、空間50Bにおける吸着材46の相対圧力は、下記式(4)に示すように、0.03〔Pa/Pa〕となる。
【0113】
1.9÷69.3≒0.03・・・・(4)
【0114】
そして、吸着材46の相対圧力が0.08〔Pa/Pa〕の場合の吸着量と、吸着材46の相対圧力が0.03〔Pa/Pa〕の場合の吸着量との差は、
図12のグラフに示すように、0.03〔g/g〕となる。
【0115】
しかし、容器34の内部で吸着材46が脱着した水蒸気Vを、吸着材46が脱着する。このため、吸着材46による水蒸気Vの吸着量の増加分は、式(3)で求められた値に式(4)とで求められた値を加えて得られた値の半分である。
【0116】
つまり、本実施形態では、空間50Aと空間50Bとが連通されることで、吸着材46による水蒸気Vの吸着量の増加分は、0.03〔g/g〕となる。
【0117】
(まとめ)
以上説明したように、連通ダクト98によって空間50Aと空間50Bとを連通させることで、第一熱媒F1及び第二熱媒F2の温度、容器34の内部へ水蒸気Vを供給する側の圧力、及び水蒸気Vを容器34の内部から排出する側の圧力によって決まる吸着材46による水蒸気Vの吸着量と比して、吸着材46による水蒸気Vの吸着量を増やすことができる。
【0118】
また、流入口34Dから流入した水蒸気Vを吸着材46(第一吸着材)が吸着し、吸着材46(第二吸着材)が水蒸気Vを脱着する。そして、流路機構60、連通ダクト98、仕切板86及び仕切板88を回転させることで、水蒸気Vを吸着する吸着材46と、水蒸気Vを脱着する吸着材46とが切り替えられる。換言すれば、夫々の吸着材46に開閉弁を個別に設けることなく、水蒸気Vを吸着する吸着材46と、水蒸気Vを脱着する吸着材46とを切り替える構成を得ることができる。
【0119】
また、上記実施形態では、吸着工程においては、流入口34Dから流入した水蒸気Vは、隣り合う吸着体42(吸着材46)の間に形成された空間50に流れ込み、隣り合う吸着材46が水蒸気Vを吸着する。一方、脱着工程においては、隣り合う吸着材46から脱着した水蒸気Vが、空間50に放出される。そして、空間50に放出された水蒸気Vは、流出口34Eから流出する。
【0120】
このように、隣り合う吸着材46の間に形成された空間50に流れ込んだ水蒸気Vと吸着材46が反応する。また、隣り合う吸着材46の間に形成された空間50に吸着材46が水蒸気Vを放出する。これにより、例えば、吸着材が円柱状であって、吸着材が吸着材の外周面から水蒸気Vを吸着、又は吸着材の外周面から水蒸気Vを脱着する場合と比して、吸着材46において水蒸気Vを吸着する面積、及び吸着材46において水蒸気Vを脱着する面積を増やすことができる。
【0121】
また、上記実施形態では、軸管40には、スリット等が形成されていない。これにより、容器34の内部の減圧系を維持することができる。
【0122】
また、吸着材46による水蒸気Vの吸着量が増やされることで、ヒートポンプ10においては、例えば、蒸発器12から取り出される冷熱量を増やすことができる。
【0123】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態とは異なり、夫々の吸着材と蒸発器又は凝縮器との間に仕切機構としての個別の開閉弁を設け、この開閉弁を開放又は閉止することで、水蒸気Vを吸着する吸着材46と、水蒸気Vを脱着する吸着材46とを切り替える構成としてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、連通ダクト98は、仕切板86に設けられたが、連通ダクト98が仕切板88に設けられてもよく、連通ダクト98が仕切板86及び仕切板88の両方に設けられてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、吸着媒体として水蒸気Vを用いたが、アンモニアを気化させて吸着媒体としてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、蒸発器12から冷熱を取り出す場合を例にとって説明したが、凝縮器22から温熱を取り出してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、流路機構60、仕切板86及び仕切板88を連続的に回転させたが、間欠的に回転させてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、吸着材46として、シリカゲルを用いたが、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物等を用いてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、吸着材46による水蒸気Vの吸着については、化学吸着であってもよく、物理吸着であってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、容器34の本体部34Aは、円筒状とされたが、円筒状とされていなくてもよい、例えば、仕切板86、88の先端と、容器34の内側面とが、他の部材等を用いてシールされていれば、容器の形状は限定されない。