特許第6428638号(P6428638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ベークライト株式会社の特許一覧

特許6428638金属張積層板、回路基板、および電子装置
<>
  • 特許6428638-金属張積層板、回路基板、および電子装置 図000027
  • 特許6428638-金属張積層板、回路基板、および電子装置 図000028
  • 特許6428638-金属張積層板、回路基板、および電子装置 図000029
  • 特許6428638-金属張積層板、回路基板、および電子装置 図000030
  • 特許6428638-金属張積層板、回路基板、および電子装置 図000031
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6428638
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】金属張積層板、回路基板、および電子装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20181119BHJP
   B32B 15/092 20060101ALI20181119BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20181119BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20181119BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20181119BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20181119BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20181119BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20181119BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20181119BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20181119BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B32B15/08 J
   B32B15/092
   B32B27/20 Z
   B32B7/02 105
   C08J5/24CFC
   C08K3/00
   C08K7/02
   C08K3/22
   C08L63/00 Z
   C08L79/00 Z
   H05K1/03 610L
   H05K1/03 610R
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-547696(P2015-547696)
(86)(22)【出願日】2014年10月14日
(86)【国際出願番号】JP2014077294
(87)【国際公開番号】WO2015072262
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-234280(P2013-234280)
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和太
(72)【発明者】
【氏名】北原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏寛
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−292484(JP,A)
【文献】 特開2007−305963(JP,A)
【文献】 特開2012−49423(JP,A)
【文献】 特開2013−216086(JP,A)
【文献】 特開2014−84441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B32B 7/02
B32B 15/092
B32B 27/20
C08J 5/24
C08K 3/00
C08K 3/22
C08K 7/02
C08L 63/00
C08L 79/00
H05K 1/03
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂組成物と繊維基材とを含む絶縁層の両面に金属箔を有する金属張積層板であって、
前記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含み、
エッチングにより当該金属張積層板両面の前記金属箔を除去後、
熱機械分析装置を用いて、
30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる一回目の熱機械分析測定(1stRun)と、
30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる二回目の熱機械分析測定(2ndRun)と、
を続けて行ったとき、
前記絶縁層の厚み方向における、
二回目の前記昇温過程における50℃から100℃の範囲において算出した平均線膨張係数αが10ppm/℃以上100ppm/℃以下であり、
二回目の前記昇温過程における210℃から230℃の範囲において算出した平均線膨張係数αが100ppm/℃以上220ppm/℃以下である、金属張積層板。
【請求項2】
請求項1に記載の金属張積層板において、
一回目の前記熱機械分析測定前の30℃での絶縁層の厚みをLとし、
二回目の前記昇温過程における30℃での絶縁層の厚みをLとした場合、
(L−L)/L×100(%)が0.005%以上0.70%以下である、金属張積層板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属張積層板において、
二回目の前記熱機械分析測定による前記絶縁層のガラス転移温度が155℃以上である、金属張積層板。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の金属張積層板において、
前記絶縁層を25℃で搬送方向に曲げた際の曲げ弾性率が15GPa以上である、金属張積層板。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の金属張積層板において、
前記硬化剤がノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂である、金属張積層板。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の金属張積層板において、
前記無機充填材が水酸化アルミニウムであり、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における、前記水酸化アルミニウムの平均粒子径d50が1μm以上10μm以下である、金属張積層板。
【請求項7】
請求項6に記載の金属張積層板において、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、10質量%以上60質量%以下である、金属張積層板。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の金属張積層板において、
前記繊維基材が、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラスおよび石英ガラスからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるガラス繊維基材である、金属張積層板。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の金属張積層板において、
前記エポキシ樹脂組成物に含まれるシアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂およびベンゾオキサジン系樹脂から選択される一種または二種以上の含有量が、前記エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、1質量%以下である、金属張積層板。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の金属張積層板を回路加工してなる、回路基板。
【請求項11】
請求項10に記載の回路基板において、
前記回路基板の少なくとも一方の最外層に配置された回路層と絶縁層との間には、熱硬化性樹脂を含むCステージ状態の応力緩和層が設けられており、
前記応力緩和層の−40℃の貯蔵弾性率E'LTが0.1GPa以上、3.5GPa以下である、回路基板。
【請求項12】
請求項11に記載の回路基板において、
前記応力緩和層に含まれる無機充填材の含有量が、前記応力緩和層を100質量%としたとき、60質量%以下である、回路基板。
【請求項13】
請求項11または12に記載の回路基板において、
Cステージ状態の前記応力緩和層の厚みが50μm以下である、回路基板。
【請求項14】
請求項10乃至13いずれか一項に記載の回路基板と、
前記回路基板上に設けられた電子部品と、
を備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属張積層板、回路基板、および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板上に電子部品を積層した電子装置が使用されている。例えば、特許文献1には、回路基板と半導体素子とを備え、半導体素子と回路基板とをワイヤにて接続した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8―55867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子装置においては、電子部品と回路基板との間において、様々な環境温度の変化にも耐えうる高い接続信頼性が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の温度範囲における平均線膨張係数が特定の範囲にある絶縁層を回路基板に設けることで、電子部品の平均線膨張係数と回路基板の平均線膨張係数との差により生じる応力を低減できることがわかった。これにより、電子部品と回路基板との間の接続信頼性を高めることができる。
【0006】
本発明はこのような知見に基づいて発案されたものである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、
エポキシ樹脂組成物と繊維基材とを含む絶縁層の両面に金属箔を有する金属張積層板であって、
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含み、
エッチングにより当該金属張積層板両面の上記金属箔を除去後、
熱機械分析装置を用いて、
30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる一回目の熱機械分析測定(1stRun)と、
30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる二回目の熱機械分析測定(2ndRun)と、
を続けて行ったとき、
上記絶縁層の厚み方向における、
二回目の上記昇温過程における50℃から100℃の範囲において算出した平均線膨張係数αが10ppm/℃以上100ppm/℃以下であり、
二回目の上記昇温過程における210℃から230℃の範囲において算出した平均線膨張係数αが100ppm/℃以上220ppm/℃以下である、金属張積層板が提供される。
【0008】
この金属張積層板は、50℃から100℃の範囲において算出した平均線膨張係数αと210℃から230℃の範囲において算出した平均線膨張係数αとの差が従来の基準よりも小さい。これにより、急激な温度変化により生じる回路基板と電子部品間の応力を低減することができる。その結果、環境温度に急激な変化が生じても電子部品と回路基板との間の接続信頼性を高めることができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、上記金属張積層板を回路加工してなる、回路基板が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、上記回路基板と、上記回路基板上に設けられた電子部品と、
を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子部品と回路基板との接続信頼性を向上させることができる金属張積層板、これを用いた回路基板および電子装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0013】
図1】本実施形態における金属張積層板の構成の一例を示す断面図である。
図2】本実施形態における回路基板の構成の一例を示す断面図である。
図3】本実施形態における回路基板の構成の一例を示す断面図である。
図4】本実施形態における電子装置の構成の一例を示す断面図である。
図5】本実施形態における電子装置の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。
【0015】
(金属張積層板)
はじめに、本実施形態における金属張積層板の構成について説明する。図1は、本実施形態における金属張積層板100の構成の一例を示す断面図である。
金属張積層板100は、エポキシ樹脂組成物と繊維基材とを含む絶縁層101を有し、絶縁層101の両面に金属箔103を備えている。上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、無機充填材(D)とを含む。
そして、金属張積層板100は、エッチングにより両面の金属箔103を除去後、熱機械分析装置を用いて、(1)30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる一回目の熱機械分析測定(1stRun)と、(2)30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる二回目の熱機械分析測定(2ndRun)とを含む熱機械分析測定を続けて行ったとき、絶縁層101の厚み方向における平均線膨張係数αが10ppm/℃以上100ppm/℃以下であり、平均線膨張係数αが100ppm/℃以上220ppm/℃以下である。
αは二回目の昇温過程における50℃から100℃の範囲において算出した平均線膨張係数であり、αは二回目の昇温過程における210℃から230℃の範囲において算出した平均線膨張係数である。
平均線膨張係数αは、好ましくは20ppm/℃以上80ppm/℃以下であり、より好ましくは25ppm/℃以上50ppm/℃以下である。平均線膨張係数αは、好ましくは120ppm/℃以上210ppm/℃以下であり、より好ましくは120ppm/℃以上200ppm/℃以下であり、さらに好ましくは140ppm/℃以上180ppm/℃以下である。
ここで、αは絶縁層101のガラス転移温度よりも低い温度領域における絶縁層101の線膨張係数の指標を示す。
また、αは絶縁層101のガラス転移温度よりも高い温度領域における絶縁層101の線膨張係数の指標を示す。
金属張積層板100は、平均線膨張係数αと平均線膨張係数αの差が従来の基準よりも小さい。そのため、絶縁層101のガラス転移温度を超えるような急激な温度変化が生じても、絶縁層101の線膨張係数の変化は小さいため、回路基板と電子部品間に生じる応力を低減することができる。これにより、環境温度に急激な変化が生じても電子部品と回路基板との間の接続信頼性を高めることができる。
【0016】
このような平均線膨張係数αおよびαを達成するためには、後述するエポキシ樹脂(A)の種類や量、後述する無機充填材(D)の種類や量、繊維基材の種類等を適宜調整すればよい。
【0017】
また、一回目の熱機械分析測定前の30℃での絶縁層101の厚みをLとし、二回目の昇温過程における30℃での絶縁層101の厚みをLとした場合、本実施形態の金属張積層板100は(L−L)/L×100(%)が、0.005%以上0.70%以下であり、好ましくは0.05%以上0.60%以下であり、より好ましくは0.10%以上0.55%以下である。ここで、(L−L)/L×100(%)は、30℃から230℃の範囲で熱履歴を経たのちにおける金属張積層板100の寸法変化の度合いを示す指標である。(L−L)/L×100(%)の値が小さいほど、30℃から230℃の範囲における金属張積層板100の寸法変化の度合いが小さいことを意味する。
(L−L)/L×100(%)を上記範囲内とすることで、温度変化の繰り返しによる絶縁層101の寸法の経時的変化を抑制することができる。これにより、自動車のエンジンルーム内など温度変化が激しい状況に長期間置かれても、回路基板と電子部品間で発生する応力をより一層低減することができる。その結果、電子部品の回路基板に対する位置ずれを抑制でき、電子部品と回路基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
このような(L−L)/L×100(%)を達成するためには、後述するエポキシ樹脂(A)の種類や量、後述する無機充填材(D)の種類や量、繊維基材の種類等を適宜調整すればよい。
【0018】
また、本実施形態の金属張積層板100は、二回目の熱機械分析測定による絶縁層101のガラス転移温度が、好ましくは155℃以上であり、より好ましくは160℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。上限については、例えば、230℃以下が好ましい。
金属張積層板100は、絶縁層101のガラス転移温度が上記範囲を満たすと、絶縁層101の剛性が高まり、絶縁層101の反りをより一層低減できる。その結果、電子部品の回路基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、電子部品と回路基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
このようなガラス転移温度を達成するためには、後述するエポキシ樹脂(A)の種類や量、後述する無機充填材(D)の種類や量、繊維基材の種類等を適宜調整すればよい。
【0019】
また、本実施形態の金属張積層板100は、絶縁層101を25℃で搬送方向(いわゆるMD)に曲げた際の曲げ弾性率が好ましくは15GPa以上であり、さらに好ましくは18GPa以上である。また、絶縁層101を25℃で搬送方向に曲げた際の曲げ弾性率の上限値は特に限定されるものではないが、通常は、25GPa以下程度の範囲とすることができる。
金属張積層板100は、絶縁層101の25℃での曲げ弾性率が上記範囲を満たすと、絶縁層101の剛性が高まり、絶縁層101の反りをより一層低減できる。その結果、電子部品の回路基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、電子部品と回路基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
このような曲げ弾性率を達成するためには、後述するエポキシ樹脂(A)の種類や量、後述する無機充填材(D)の種類や量、繊維基材の種類等を適宜調整すればよい。
【0020】
本実施形態における絶縁層101の厚さは、例えば、0.05mm以上0.40mm以下である。絶縁層101の厚さが上記範囲内であると、機械的強度および生産性のバランスが特に優れ、薄型回路基板に適した金属張積層板100を得ることができる。
【0021】
(金属張積層板100の製造方法)
つづいて、本実施形態における金属張積層板100の製造方法について説明する。金属張積層板100は、例えば、エポキシ樹脂組成物と繊維基材とを含むプリプレグを加熱硬化することによって得られる。ここで用いるプリプレグはシート状材料であり、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性などの各種特性に優れ、回路基板用の金属張積層板100の製造に適しており好ましい。
【0022】
プリプレグは、例えば、繊維基材に一または二以上のエポキシ樹脂組成物を含浸させ、その後、加熱してエポキシ樹脂組成物を半硬化させることにより得ることができる。
【0023】
また、繊維基材に一または二以上のエポキシ樹脂組成物を含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、次いで、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより繊維基材に樹脂ワニスを塗布する方法、スプレーにより繊維基材に樹脂ワニスを吹き付ける方法、支持基材付きエポキシ樹脂組成物を繊維基材にラミネートする方法などが挙げられる。
【0024】
つづいて、上記で得られたプリプレグを用いた金属張積層板100の製造方法について説明する。プリプレグを用いた金属張積層板100の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の通りである。
得られたプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔103を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔103を重ねる。
つぎに、プリプレグに金属箔103を重ねたものを真空プレス機で加熱、加圧するかあるいは乾燥機で加熱し、金属張積層板100を得ることができる。
【0025】
(金属張積層板の構成材料)
以下、金属張積層板100を製造する際に使用する各材料について詳細に説明する。
(金属箔)
金属箔103を構成する金属としては、例えば、銅および銅系合金、アルミおよびアルミ系合金、銀および銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金、鉄および鉄系合金、コバール(商標名)、42アロイ、インバーまたはスーパーインバーなどのFe−Ni系の合金、WまたはMoなどが挙げられる。これらの中でも、金属箔103を構成する金属としては、導電性に優れ、エッチングによる回路形成が容易であり、また安価であることから銅または銅合金が好ましい。すなわち、金属箔103としては、銅箔が好ましい。
また、金属箔103としては、キャリア付金属箔なども使用することができる。
金属箔103の厚みは、例えば10μm以上150μm以下である。
【0026】
(エポキシ樹脂組成物)
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、無機充填材(D)とを含む。
エポキシ樹脂(A)は、芳香環構造および脂環構造(脂環式の炭素環構造)の少なくともいずれか一方を有するエポキシ樹脂(A1)を含むことが好ましい。
このようなエポキシ樹脂(A1)を使用することで、ガラス転移温度および曲げ弾性率を高くするとともに、αおよびαを低減することができる。
そして、芳香環あるいは脂環構造を有するエポキシ樹脂(A1)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタンノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂などのアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
【0027】
これらの中でも、比較的安価であり、かつ、上記金属箔との密着性を向上させることができる観点から、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。ここで、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量%に対し、好ましくは5質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上85質量%以下である。
【0028】
また、ガラス転移温度および曲げ弾性率をより一層高くでき、かつ、線膨張係数αおよびαを低減できる観点から、芳香環あるいは脂環構造を有するエポキシ樹脂(A1)として、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。ここで、ナフタレン型エポキシ樹脂とは、ナフタレン環骨格を有し、かつ、グリシジル基を2つ以上有するものを呼ぶ。ナフタレン型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以上30質量%以下である。
【0029】
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、以下の式(5)〜(8)のいずれかを使用できる。なお、式(6)において、m、nはナフタレン環上の置換基の個数を示し、それぞれ独立して1〜7の整数を示している。また、式(7)においては、Meはメチル基を示し、l、m、nは1以上の整数である。ただし、l、m、nは10以下であることが好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】
なお、式(6)の化合物としては、以下のいずれか1種以上を使用することが好ましい。
【0034】
【化4】
【0035】
また、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、以下の式(8)で表されるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂も使用できる。
【0036】
【化5】
(上記式(8)において、nは1以上20以下の整数であり、lは1以上2以下の整数であり、Rはそれぞれ独立に水素原子、ベンジル基、アルキル基または下記式(9)で表される構造であり、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。)
【0037】
【化6】
(上記式(9)において、Arはそれぞれ独立にフェニレン基またはナフチレン基であり、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、mは1又は2の整数である。)
【0038】
上記式(8)で表されるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂は、下記式(10)で表されるものが例として挙げられる。
【0039】
【化7】
(上記式(10)において、nは1以上20以下の整数であり、好ましくは1以上10以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数である。Rはそれぞれ独立に水素原子または下記式(11)で表される構造であり、好ましくは水素原子である。)
【0040】
【化8】
(上記式(11)において、mは1又は2の整数である。)
【0041】
上記式(10)で表されるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂は、例えば、下記式(12)〜(16)で表されるものが例として挙げられる。
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
また、エポキシ樹脂(A1)として、ガラス転移温度を低下させずに、難燃性を向上させる観点から、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうちテトラブロモビスフェノールAをベースとするエポキシ樹脂等の高臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
高臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は臭素含有量が好ましくは30質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上50質量%以下である。高臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、DIC社製のEPICLON 152、153、153−60T、および153−60M等が挙げられる。ここで、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以上30質量%以下である。
【0048】
エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂(A)の含有量は、その目的に応じて適宜調整されれば良く特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、20質量%以上80質量%以下が好ましく、さらに35質量%以上50質量%以下が好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、ハンドリング性が向上し、絶縁層101を形成するのが容易となる。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、絶縁層101の強度や難燃性が向上したり、絶縁層101の線膨張係数が低下し金属張積層板100の反りの低減効果が向上したりする場合がある。
【0049】
また、エポキシ樹脂組成物は、シアネート樹脂(シアネート樹脂のプレポリマーを含む)、ビスマレイミド樹脂およびベンゾオキサジン系樹脂を積極的に含まないことが好ましい。具体的には、シアネート樹脂脂、ビスマレイミド樹脂およびベンゾオキサジン系樹脂から選択される一種または二種以上の含有量はエポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂およびベンゾオキサジン系樹脂を積極的に含まないことにより、絶縁層101の難燃性を向上させることができる。また、得られる積層板のコストを低減することができる。
【0050】
また、硬化剤(B)としては、例えば、フェノール系硬化剤等が挙げられる。フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、硬化剤(B)がノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂が好ましく、サリチルアルデヒド由来のノボラック型フェノール樹脂がより好ましい。
硬化剤(B)の配合量は、エポキシ樹脂(A)との当量比(フェノール性水酸基当量/エポキシ基当量)が0.1〜1.0であると好ましい。これにより、未反応の硬化剤(B)の残留がなくなり、吸湿耐熱性が向上する。
硬化剤(B)の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、5質量%以上69質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0051】
エポキシ樹脂組成物は、硬化触媒(C)をさらに含むのが好ましい。
硬化触媒(C)としては、例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの3級アミン類;2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタンなどの有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸;など、またはこの混合物が挙げられる。硬化触媒(C)として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
硬化触媒(C)の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0052】
無機充填材(D)としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩;などを挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
これらの中でも、難燃性向上の観点から、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0053】
ガラス転移温度および曲げ弾性率をより一層高くでき、かつ、線膨張係数αおよびαを低減できる観点から、水酸化アルミニウムの平均粒子径d50は、1μm以上10μm以下が好ましく、特に2μm以上8μm以下が好ましい。
この平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布におけるd50であり、例えば粒度分布計(島津製作所社製、製品名:レーザー回折式粒度分布測定装置SALDシリーズ)により測定することができる。
また、水酸化アルミニウムの含有量は、エポキシ樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、10質量%以上60質量%以下が好ましく、25質量%以上45質量%以下がより好ましい。水酸化アルミニウムの含有量が上記上限値以下であると、樹脂ワニスを塗布した際の外観の向上の点で好ましい。また、水酸化アルミニウムの含有量が上記下限値以上であると、難燃性向上の点で好ましい。
【0054】
さらに、エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤(E)を含んでもよい。カップリング剤(E)は、エポキシ樹脂(A)と無機充填材(D)との界面の濡れ性を向上させる。
【0055】
カップリング剤(E)としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。
カップリング剤(E)の添加量は無機充填材(D)の比表面積に依存するので、特に限定されないが、無機充填材(D)100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下が好ましく、特に0.1質量部以上2質量部以下が好ましい。
【0056】
(繊維基材)
繊維基材としては、特に限定されないが、ガラス織布、ガラス不織布などのガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維などのポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維などのポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維のいずれかを主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、あるいはリンターとクラフトパルプの混抄紙などを主成分とする紙基材などの有機繊維基材などが挙げられる。これらのうち、いずれかを使用することができる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましく、ガラス織布が特に好ましい。これにより、低吸水性で、高強度、低熱膨張性の絶縁層101を得ることができる。
繊維基材の厚みは、例えば、5μm以上200μm以下である。
【0057】
ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラスおよび石英ガラスなどからなるガラス繊維基材が好適に用いられる。
【0058】
(回路基板)
次に、回路基板の製造方法について説明する。図2は、本実施形態における回路基板2の構成の一例を示す断面図である。
はじめに、レーザー等で、金属箔103および絶縁層101を貫通するホールを形成する。次いで、絶縁層101から金属箔103を除去し、露わになった絶縁層101の表面に回路層212を形成する。また、金属箔103を回路加工し、回路層212としてもよい。これにより、コア層21となる内層回路基板が得られる。このコア層21は、絶縁層101と、絶縁層101の表裏面に形成された回路層212と、回路層212間を接続するビア213とを備える。
次に、図2に示すように、このようなコア層21の一方の面にBステージのプリプレグ(絶縁層22)を積層する。
このプリプレグは、繊維基材と、この繊維基材に含浸した熱硬化性の樹脂層とを含む。ただし、繊維基材を含まず、樹脂層のみからなるものとしてもよい。プリプレグとしては、電子部品と回路基板との接続信頼性をより一層向上させる観点から、前述した絶縁層101に用いたものと同じものが好ましい。
次に、コア層21の他方の面にも、同様にプリプレグ(絶縁層22)を積層する。
その後、この積層体を積層方向に加圧しながら、例えば、190℃、2時間加熱する。これにより、絶縁層22がCステージとなった積層体が得られる。
【0059】
次いで、絶縁層22の表面に金属層13を形成し、レーザー等で、金属層13、絶縁層22を貫通するホールを形成する。絶縁層22を貫通する部分がビアホールとなる。また、絶縁層22の表面に金属箔を設けた場合は、金属箔をそのまま金属層13としてもよい。
金属層13は、例えばCu等で構成される。金属層13の厚みは、例えば、10〜50μmである。
その後、上記ホールおよび金属層13表面に図示しないシード層を形成し、このシード層上にマスクを形成する。マスクの一部の開口部は、上記ホールに連通するとともに、他の一部の開口部からは、シード層表面が露出する。
次に、めっきにより、マスクの一部の開口部を通じて、上記ホール内に導電膜を形成するとともに、マスクの他の一部の開口部内に導電膜(例えば、Cu膜)を形成する。
ビアホール内の導電膜は図2のビア23となる。その後、マスクを除去し、マスクにより被覆されていた部分の金属層13およびシード層をエッチングで除去することで、図2に示す回路層24が形成される。回路層24はエッチングされた金属層13と、この金属層13上に設けられた導電膜(例えば、Cu膜)241とで構成される。導電膜241は、ビア23に接続され、コア層21の回路層212に接続されている。
【0060】
なお、この回路基板2においては、プリプレグ(絶縁層22)の硬化体がビルドアップ層となる。
その後、図2に示すように、回路層24上にソルダーレジストSRを設ける。
【0061】
以上のようにして、ソルダーレジストSRと、金属層13を選択的に除去して得られた回路層と、絶縁層22と、コア層21とを備える回路基板2が得られる。
【0062】
また、図3に示すように、電子部品と回路基板との接続信頼性をより一層向上させる観点から、回路基板2の少なくとも一方の最外層に配置された回路層24と絶縁層22との間には、熱硬化性樹脂を含む応力緩和層11を設けるのが好ましい。
この応力緩和層11は、−40℃における貯蔵弾性率E'LTは、0.1GPa以上3.5GPa以下である。
このように−40℃での応力緩和層11の貯蔵弾性率E'LTを上記範囲内にすることで、環境温度に急激な変化が生じても、回路基板2と電子部品31間で生じる線膨張係数差に起因して発生する応力を応力緩和層11で安定的に緩和することができる。これにより、この応力緩和層11を回路基板2に使用し、電子部品31を搭載した場合に、さまざまな温度環境における回路基板2に対する電子部品31の位置ずれをより一層防止できる(図4参照)。
以上から、−40℃での応力緩和層11の貯蔵弾性率E'LTを上記範囲内にすることで、電子部品と回路基板との間の接続信頼性を高めることができる。
【0063】
以下、応力緩和層11について説明する。
応力緩和層11は、Cステージ状態である。そして、応力緩和層11の厚みは、例えば、5μm以上50μm以下であり、好ましくは10μm以上40μm以下である。応力緩和層11の厚みを上記下限値以上とすることで、応力緩和効果を確実に発揮させることができる。一方で、応力緩和層11の厚みを上記上限値以下とすることで、回路基板2の厚みを抑制することができる。
【0064】
応力緩和層11は、熱硬化性樹脂を含む樹脂成分(A')(硬化剤を除く)を含む組成物を硬化させたものである。
樹脂成分(A')は、熱硬化性樹脂として、芳香環構造および脂環構造(脂環式の炭素環構造)の少なくともいずれか一方を有する熱硬化性樹脂(A'2)を含むことが好ましい。
このような熱硬化性樹脂(A'2)を使用することで、ガラス転移温度を高くすることができる。
そして、芳香環あるいは脂環構造を有する熱硬化性樹脂(A'2)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタンノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂などのアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
これらの中でもガラス転移温度をより一層高くできるとともに、−40℃における貯蔵弾性率E'LTを低下できる観点から、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。ここで、ナフタレン型エポキシ樹脂とは、ナフタレン環骨格を有し、かつ、グリシジル基を2つ以上有するものを呼ぶ。
【0065】
ナフタレン型のエポキシ樹脂としては、例えば、前述した式(5)〜(8)のいずれかを使用できる。
【0066】
また、樹脂成分(A')は、熱硬化性樹脂(A'2)に含まれる反応性基(例えば、グリシジル基)と、反応する反応性基を有する化合物(A'1)を含むことが好ましい。
このような化合物(A'1)としては、芳香環構造および脂環構造(脂環式の炭素環構造)を有しない脂肪族エポキシ樹脂、末端にカルボキシル基を含有する、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体(CTBN、例えば、下記の式(17)で示され、xが0.05以上、0.2以下、yが0.8以上0.95以下(xとyはモル比を示し、x+y=1である)、zが50以上70以下である化合物。例えば、商品名CTBN1300X(宇部興産社製))、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体(例えば、商品名KAYAFLEX BPAM−155、日本化薬社製、末端はアミド基)からなる群から選択されるいずれか1種以上を使用することができる。このような化合物(A'1)を適宜選択して使用することで、応力緩和層11のガラス転移温度の値を維持しつつ、−40℃における貯蔵弾性率E'LTを低下させることができる。
【0067】
【化14】
【0068】
応力緩和層11のガラス転移温度の値を維持しつつ、−40℃における貯蔵弾性率E'LTを低下させて所定の範囲とする観点から、上記脂肪族エポキシ樹脂は、グリシジル基以外に環状構造を有しない脂肪族エポキシ樹脂であることが好ましく、グリシジル基を2以上有する2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂がより好ましい。
以上のような脂肪族エポキシ樹脂としては、化学式(18)〜(27)で示されるものが好ましく、少なくともいずれか1以上を含むことが好ましく、特に化学式(18)で示されるものを含むことが好ましい。このような脂肪族エポキシ樹脂は、エポキシ基が酸化されにくいため、熱履歴による弾性率の上昇が起こりにくいため優れている。
【0069】
【化15】
(式(18)において、l,m,n,p,q,rは0以上の整数、ただし、l、m、nがすべて0の場合を除く。また、p、q、rがすべて0の場合も除く。なかでも、l=1〜5、m=5〜20、n=0〜8、p=0〜8、q=3〜12、r=0〜4が好ましい。)
【0070】
【化16】
【0071】
【化17】
【0072】
【化18】
【0073】
【化19】
【0074】
【化20】
【0075】
【化21】
【0076】
【化22】
【0077】
【化23】
(式(26)において、l、m、nは0以上の整数、ただし、l、m、nがすべて0の場合を除く。なかでも、l=1〜12、m=8〜30、n=0〜10が好ましい。)
【0078】
【化24】
(式(27)において、nは1以上の整数であり、なかでも、2〜15であることが好ましい。)
【0079】
−40℃における貯蔵弾性率E'LTを低下させて所定の範囲とする観点から、化合物(A'1)の含有量は、応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下が好ましく、熱硬化性樹脂(A'2)の含有量は応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
また、応力緩和層11の高いガラス転移温度を達成するとともに、−40℃における貯蔵弾性率E'LTを低下させて所定の範囲とする観点からは、化合物(A'1)の含有量は応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、10質量%以上30質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましく、熱硬化性樹脂(A'2)の含有量は応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、30質量%以上60質量%以下が好ましく、35質量%以上55質量%以下がより好ましい。このとき、熱硬化性樹脂(A'2)として前述したナフタレン型エポキシ樹脂を含むのが好ましい。この場合、化合物(A'1)の合計/熱硬化性樹脂(A'2)の合計で示される質量比を0.1以上1.5以下とすることが好ましく、0.4以上1.2以下とするのがより好ましい。
【0080】
また、熱硬化性樹脂(A'2)と化合物(A'1)とを含む樹脂成分(A')は、応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、55質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、なかでも、60質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
【0081】
応力緩和層11は硬化触媒をさらに含んでもよい。硬化触媒としては、例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類;2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタンなどの有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸;など、またはこの混合物が挙げられる。硬化触媒として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
【0082】
硬化触媒の含有量は、とくに限定されないが、応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、とくに0.2質量%以上2質量%以下が好ましい。
【0083】
また、応力緩和層11は硬化剤をさらに含んでもよい。硬化剤として、フェノール系硬化剤を使用してもよい。フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
硬化剤の含有量は、樹脂成分(A')にエポキシ樹脂が含まれる場合、エポキシ樹脂との当量比(フェノール性水酸基当量/エポキシ基当量)が0.1〜1.0であると好ましい。これにより、未反応の硬化剤の残留がなくなり、吸湿耐熱性が向上する。
硬化剤の含有量は、とくに限定されないが、応力緩和層11を構成する樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、5質量%以上45質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下が好ましく、15質量%以上35質量%以下がより好ましい。
【0084】
また、応力緩和層11は無機充填材をさらに含んでもよい。無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩;などを挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
これらの中でも、水酸化アルミニウムが難燃性を付与する効果が優れる点で好ましい。
【0085】
無機充填材の平均粒子径は、とくに限定されないが、0.01μm以上5μm以下が好ましく、とくに0.5μm以上2μm以下が好ましい。無機充填材の粒径を0.01μm以上とすることで、ワニスを低粘度にし取り扱い性を向上させることができる。また、5μm以下とすることで、ワニス中で無機充填材の沈降などを抑制することができる。この平均粒子径は、例えば粒度分布計(島津製作所社製、製品名:レーザー回折式粒度分布測定装置SALDシリーズ)により測定することができる。
【0086】
また、無機充填材は、とくに限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を1種類または2種類以上併用したりすることもできる。
【0087】
さらに、平均粒子径5μm以下の水酸化アルミニウムが好ましく、とくに平均粒子径0.5μm以上2μm以下の水酸化アルミニウムが好ましい。これにより、樹脂膜厚均一性を向上させることができる。
【0088】
応力緩和層11に含まれる無機充填材の含有量は、応力緩和層11全体を100質量%としたとき、60質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。これにより、回路加工性を向上させることができる。
【0089】
さらに、応力緩和層11となる組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は、樹脂成分(A')と無機充填材との界面の濡れ性を向上させる。
【0090】
カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。
カップリング剤の添加量は無機充填材の比表面積に依存するので、とくに限定されないが、無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下が好ましく、とくに0.1質量部以上2質量部以下が好ましい。
【0091】
応力緩和層11の−40℃における貯蔵弾性率E'LTは、好ましくは0.1GPa以上、より好ましくは0.2GPa以上、特に好ましくは1.0GPa以上、そして、好ましくは3.5GPa以下、より好ましくは3.4GPa以下である。
このように−40℃での応力緩和層11の貯蔵弾性率を上記範囲内にすることで、環境温度に急激な変化が生じても、回路基板2と電子部品31間で生じる線膨張係数差に起因して発生する応力を応力緩和層11で安定的に緩和することができる。
以上から、−40℃での応力緩和層11の貯蔵弾性率を上記範囲内にすることで、環境温度に急激な変化が生じても電子部品31と回路基板2との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0092】
このような貯蔵弾性率を達成するためには、無機充填材の量や、前述した化合物(A'1)および熱硬化性樹脂(A'2)の量を適宜調整すればよい。
なお、上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置で測定したものである。
貯蔵弾性率E'LTは、応力緩和層11に引張り荷重をかけて、周波数1Hz、昇温速度5〜10℃/分で−50℃から300℃で測定した際の、−40℃の貯蔵弾性率の値である。
【0093】
さらに、応力緩和層11のガラス転移温度は、好ましくは190℃以上250℃以下であり、より好ましく200℃以上250℃以下である。また、上記ガラス転移温度は、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定により測定した値である。
応力緩和層11は、ガラス転移温度Tgが190℃以上250℃以下であると、汎用的な回路基板を構成する他の絶縁層22(図3参照)よりも、ガラス転移温度が高くなる。
そのため、回路基板に対してヒートサイクル試験等を行なった際に、昇温過程において、応力緩和層11が回路基板を構成する他の絶縁層22(図3参照)よりも先にゴム状となることはなく、応力緩和層11の物性が保持される。そのため、応力緩和層11により回路基板と電子部品との間で発生する応力をより一層緩和することが可能となる。また、ガラス転移温度を上記範囲内とすることで、電子部品31を回路基板2に実装する際に、電子部品31が回路基板2側に沈み込んでしまうこともより一層防止できる。
【0094】
また、応力緩和層11の25℃からガラス転移温度における応力緩和層11の面内方向の平均線膨張係数が400ppm/℃以下であることが好ましい。
【0095】
次に、図4および図5を参照して、このような回路基板2を用いた電子装置3について説明する。図5は応力緩和層11を用いた電子装置3である。
図4および図5に示すように、電子装置3は、回路基板2と、電子部品31とを備える。
電子部品31は、回路基板2のソルダーレジストSR上に接着剤32を介して固定されている。そして、電子部品31は、回路基板2に対してボンディングワイヤWにより接続されている。
ボンディングワイヤWは、電子部品31に接続されるとともに、回路基板2の回路層24の一部(パッド)に半田接合されている。
【0096】
電子部品31は、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、セラミックコンデンサ、チップ抵抗、マイクロコンピュータ、角度センサーなどが挙げられる。
【0097】
電子装置3は、例えば、ハイブリッド車、燃料電池車および電気自動車などの自動車や飛行機、ロケット等の乗り物に搭載するエレクトロニックコントロールユニット、電力変換インバータユニット;スマートフォンなどの携帯端末に搭載するプロセッサユニット、耐落下衝撃性が活かせるモバイルやアウトドア用電子機器等である。
電子装置3は、温度変化が激しい環境下に長時間置かれても、回路基板と電子部品間で生じる線膨張係数差に起因して発生する応力を安定的に低減できるため、自動車や飛行機、ロケット等の乗り物のエンジンルーム内に使用されるエレクトロニックコントロールユニット等の電子装置に対して用いたとき特に効果的である。
【0098】
電子装置3は、電子部品31と回路基板2との接続信頼性が高い。
これは、回路基板2に絶縁層101が設けられていることによるものである。
前述したように、絶縁層101は平均線膨張係数αと平均線膨張係数αの差が従来の基準よりも小さい。
そのため、絶縁層101のガラス転移温度を超えるような急激な温度変化が生じても、絶縁層101の線膨張係数の変化は小さいため、ボンディングワイヤWや、ボンディングワイヤWと回路層24のパッド部分との接続部分にかかる負荷を低減することができる。これにより、環境温度に急激な変化が生じても電子部品31と回路基板2との間の接続信頼性を高めることができる。
【0099】
また、図5に示す電子装置3は、電子部品31と回路基板2との接続信頼性がより一層優れている。
これは、回路基板2に絶縁層101および応力緩和層11が設けられていることによるものである。絶縁層101を設けることにより電子部品31と回路基板2との接続信頼性が向上する理由は前述した通りである。
また、応力緩和層11は、前述したように、−40℃の貯蔵弾性率E'LTが0.1GPa以上、3.5GPa以下となっている。
これにより、さまざまな温度環境における回路基板2に対する電子部品31の位置ずれを防止できる。よって、電子装置3は、電子部品と回路基板との接続信頼性に優れている。
回路基板2は、電子部品31よりも平均線膨張係数が大きく、温度変化により大きく膨張収縮することとなる。一方で、電子部品31の膨張収縮量は少ないため、ボンディングワイヤWや、ボンディングワイヤWと回路層24のパッド部分との接続部分に負荷がかかる。しかしながら、応力緩和層11は貯蔵弾性率が低いため、応力緩和層11が変形することで、ボンディングワイヤWや、ボンディングワイヤWと回路層24との接続部分にかかった負荷を吸収することができる。
そのため、例えば、回路基板2を構成する絶縁層22として、線膨張係数が比較的高いもの、例えば、25℃〜ガラス転移温度までの平均線膨張係数が25ppm/℃以上となるような絶縁層22を使用しても、回路基板2と電子部品31との接続信頼性を高めることができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、回路基板2において、ボンディングワイヤWが接続される最外層の回路層24の直下に応力緩和層11が配置されているので、応力緩和層11の応力緩和効果を効果的に発揮させることができる。
【0101】
電子部品31と、回路基板2との間の接続信頼性を高めるため、ボンディングワイヤと回路基板との接合に使用する半田を多量に塗布する方法や、ボンディングワイヤと回路基板との接合部分に樹脂を塗布して固めてしまう方法が考えられる。
しかしながら、半田を多量に塗布する場合や、樹脂を塗布する場合には、回路基板のパッド部分を大きくする必要がある。そのため、回路基板の小型化が難しくなる。
これに対し、本実施形態では、応力緩和層11を設けることで、電子部品31と回路基板2との接続信頼性を高めることができるので、回路基板の小型化を妨げることがない。
【0102】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0103】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、本実施形態では、プリプレグが一層の場合を示したが、プリプレグを2層以上積層したものを用いて金属張積層板100を作製してもよい。
また、上記実施形態では、電子部品と、回路基板とをボンディングワイヤで接続したが、これに限られるものではない。例えば、電子部品と回路基板とを半田バンプで接続してもよい。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、部は特に特定しない限り質量部を表す。また、それぞれの厚みは平均膜厚で表わされている。
(実施例1)
以下の手順を用いて、本実施形態における金属張積層板を作製した。
1.エポキシ樹脂組成物のワニス1の調製
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名EPICLON HP−6000、エポキシ当量250g/eq:化学式(10)において、Rがいずれも水素原子で、n=1である成分とn=2である成分との混合物)6.1質量部および2―フェニル―4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.05質量部を、2−ブタノン4.1質量部に溶解させた。
さらに、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−51470、ヒドロキシ基当量105g/eq)19.7質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 153、エポキシ当量400g/eq)6.2質量部およびブチルセロソルブ29.2質量部を加えて溶解させた。
つづいて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、N−690−70M、エポキシ当量220g/eq、2−ブタノン希釈、固形分70質量%)45.6質量部(固形分換算で31.9質量部)およびシランカップリング剤(信越シリコーン社製、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)0.68質量部を加えて溶解させたのち、水酸化アルミニウム(中国▲アルミ▼業山東公司社製、H−WF−1、平均粒径5μm)35.3質量部を混合し、高速撹拌装置を用い撹拌して、固形分68質量%のエポキシ樹脂組成物の樹脂ワニス1を得た。
【0105】
2.プリプレグの製造
560mm幅のガラス織布(重慶天勤材料有限公司社製、#7628、厚み:165−180μm、Eガラス)を、塗布機を用いてロール間隔400〜535μm、速度0.95〜1.35m/分で樹脂ワニス1に含浸させた。次いで、170〜180℃に温調した10mの乾燥胴で乾燥させることで、47質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグAならびに、54質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグBを得た。
【0106】
3.金属張積層板の製造
得られたプリプレグAと35μm厚の銅箔とを貼り合わせ、真空プレスを用いて、プレス圧3.9MPaで、173℃23分、200℃70分の条件下で加熱加圧成形することにより、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板の絶縁層(銅箔を除いた部分)の厚みは、0.22mmであった。
【0107】
4.回路基板の製造
上記で得られた銅張積層板の両面にアディティブ法で回路パターン形成し、内層回路基板を作製した。得られた内層回路基板の物性は以下の通りである。
・回路層212:銅箔厚み35μm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm
この内層回路基板の表裏面にプリプレグBを重ねあわせた後、真空プレスを用いて、プレス圧力2.9MPaで、125℃30分、195℃70分の条件下で加熱加圧成形を行った。その後、一般的なアディティブ法で銅メッキし、ビア23および回路層24を形成した。回路層24表面にソルダーレジストSR(太陽インキ製造社製、PSR4000/AUS308)を形成し、回路基板2を得た。
【0108】
5.電子装置の製造
得られた回路基板2の表面に、電子部品31(部品サイズ2mm×1.2mm)を搭載し、鉛フリーソルダーペーストを介して回路層24と、電子部品31とを250℃リフローにより接続し、電子装置を得た。
【0109】
(実施例2)
樹脂ワニスを下記の樹脂ワニス2に変えた以外は実施例1と同様に金属張積層板、回路基板および電子装置を製造した。
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON HP−5000、エポキシ当量250g/eq:化学式(7)で示されるエポキシ樹脂)11.6質量部および2―フェニル―4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.05質量部を、シクロヘキサノン4.4質量部に溶解させた。さらに、サリチルアルデヒド由来のノボラック型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH 7500、ヒドロキシ基当量98g/eq)18.7質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 153、エポキシ当量400g/eq)6.2質量部およびシクロヘキサノン30.8質量部を加えて溶解させた。
つづいて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、N−690−70M、エポキシ当量220g/eq、2−ブタノン希釈、固形分70質量%)39.7質量部(固形分換算で27.8質量部)およびシランカップリング剤(信越シリコーン社製、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)0.68質量部を加えて溶解させたのち、水酸化アルミニウム(中国▲アルミ▼業山東公司社製、H−WF−1、平均粒径5μm)35.0質量部を混合し、高速撹拌装置を用い撹拌して、固形分68質量%のエポキシ樹脂組成物の樹脂ワニス2を得た。
【0110】
(実施例3)
樹脂ワニスを下記の樹脂ワニス3に変え、また金属張積層板および回路基板の製造にそれぞれ49質量%、55質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグを用いた以外は、実施例1と同様に金属張積層板、回路基板および電子装置を製造した。
テトラフェノール基エタンノボラック型エポキシ樹脂(南亞科技股▲ふん▼有限公司社製、NPPN431、エポキシ当量194g/eq)0.35質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON 153、エポキシ当量400g/eq)7.6質量部および2―フェニル―4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.05質量部を、2−ブタノン4.8質量部に溶解させた。
さらに、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−51470、ヒドロキシ基当量105g/eq)20.2質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル35.0質量部を加えて溶解させた。
つづいて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、N−690−70M、エポキシ当量220g/eq、2−ブタノン希釈、固形分70質量%)30.1質量部(固形分換算で21.1質量部)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jERエピコート828、エポキシ当量190g/eq)15.0質量部およびシランカップリング剤(信越シリコーン社製、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)0.65質量部を加えて溶解させたのち、水酸化アルミニウム(中国▲アルミ▼業山東公司社製、H−WF−1、平均粒径5μm)35.0質量部を混合し、高速撹拌装置を用い撹拌して、固形分67質量%のエポキシ樹脂組成物の樹脂ワニス3を得た。
【0111】
(実施例4)
1.プリプレグの製造
560mm幅のガラス布(重慶天勤材料有限公司社製、#7628、厚み:165−180μm、Eガラス)を、塗布機を用いてロール間隔400〜535μm、速度0.95〜1.35m/分で樹脂ワニス3に含浸させた。次いで、170〜180℃に温調した10mの乾燥胴で乾燥させることで、49質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグCならびに、54質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグDを得た。
【0112】
2.金属張積層板の製造
得られたプリプレグCと35μm厚の銅箔とを貼り合わせ、真空プレスを用いて、プレス圧3.9MPaで、173℃23分、200℃70分の条件下で加熱加圧成形することにより、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板の絶縁層(銅箔を除いた部分)の厚みは、0.22mmであった。
【0113】
3.回路基板の製造
上記で得られた銅張積層板の両面にアディティブ法で回路パターン形成し、内層回路基板を作製した。得られた内層回路基板の物性は以下の通りである。
・回路層212:銅箔厚み35μm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm
この内層回路基板の表裏面にプリプレグDを重ねあわせ、さらにその表面に応力緩和層付き銅箔を重ねあわせた後、真空プレスを用いて、プレス圧力2.9MPaで、125℃30分、195℃70分の条件下で加熱加圧成形を行った。その後、一般的なアディティブ法で銅メッキし、ビア23および回路層24を形成した。回路層24表面にソルダーレジストSR(太陽インキ製造社製、PSR4000/AUS308)を形成し、回路基板2を得た。
【0114】
ここで、応力緩和層付き銅箔は以下の手順で作製した。
はじめに、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル社製、商品名EPL−PB3600:化学式(18)で示した化合物)23.2質量部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名EPICLON HP−4710:化学式(6−3)で示した化合物)24.1質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 商品名エピコート828EL)24.3質量部、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製 商品名PR−51470)27.9質量部、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.5質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度60質量%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、銅箔(日本電解社製、商品名YGP−18、厚さ18μm)に塗布した後、100℃で2分間、180℃で4分間乾燥して、厚さ30μmの樹脂層を得た。樹脂層は、半硬化の状態であった。
【0115】
4.電子装置の製造
得られた回路基板2の表面に、電子部品31(部品サイズ2mm×1.2mm)を搭載し、鉛フリーソルダーペーストを介して回路層24と、電子部品31とを250℃リフローにより接続し、電子装置を得た。
【0116】
(比較例1)
樹脂ワニスを下記の樹脂ワニス4に変え、また金属張積層板および回路基板の製造にそれぞれ46質量%、49質量%のエポキシ樹脂組成物を含有するプリプレグを用いた以外は、実施例1と同様に金属張積層板、回路基板および電子装置を製造した。
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、A−1082G、ヒドロキシ基当量105g/eq)16.6質量部、2―フェニル―4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.03質量部およびテトラフェノール基エタンノボラック型エポキシ樹脂(南亞科技股▲ふん▼有限公司社製、NPPN431、エポキシ当量194g/eq)0.24質量部を、トルエン13.6質量部およびメチルセロソルブ20.5質量部に溶解させた。
つづいて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jERエピコート828、エポキシ当量190g/eq)16.8質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、D.E.R.530−A80、エポキシ当量430g/eq、アセトン希釈、固形分80質量%)36.3質量部およびシランカップリング剤(信越シリコーン社製、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)0.78質量部を加えて溶解させたのち、水酸化アルミニウム(中国▲アルミ▼業山東公司社製、H−WF−8、平均粒径11μm)33.5質量部およびナノシリカ(DSL.ジャパン社製、カープレックス#67)3.0質量部を混合し、高速撹拌装置を用い撹拌して、固形分71質量%のエポキシ樹脂組成物の樹脂ワニス4を得た。
【0117】
(評価)
(平均線膨張係数、ガラス転移温度)
実施例・比較例で作製した金属張積層板5mm×5mmのテストピースを切り出し、エッチング液(塩化銅(II)溶液、35℃)で銅箔を除去した。次いで、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて10℃/分の押しモードで(1)30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる一回目の熱機械分析測定(1stRun)と、(2)30℃から230℃までの昇温過程と230℃から30℃までの降温過程とからなる二回目の熱機械分析測定(2ndRun)とを続けておこない、二回目の昇温過程における50℃から100℃の範囲の平均線膨張係数αと、二回目の昇温過程における210℃から230℃の範囲の平均線膨張係数αをそれぞれ算出した。
また、線膨張係数の測定と同時に、絶縁層の厚みをそれぞれ測定し、(L−L)/L×100(%)を算出した。
は一回目の熱機械分析測定前の30℃での絶縁層の厚みである。Lは二回目の昇温過程における30℃での絶縁層の厚みである。
また、二回目の熱機械分析測定(2ndRun)により、伸び率が急激に変化する温度を絶縁層のガラス転移温度として求めた。
【0118】
(曲げ弾性率)
JIS K 6911に準拠し、測定した。サンプル形状は、幅25mm、厚み1.0mm、長さ50mmのものを用いた。なお、サンプルは、実施例・比較例で作製した金属張積層板を全面エッチングし、絶縁層101を露わにしたものを用いた。なお、表1のXが絶縁層101の搬送方向に曲げた際の曲げ弾性率であり、Yがそれに直交する方向に曲げた際の曲げ弾性率である。
【0119】
(難燃性評価)
UL規格UL94に準じて評価した。なお、サンプルは、実施例・比較例で作製した金属張積層板を全面エッチングしたものを用いた。
また、UL94V−0の基準は以下の通りである。
(1)炎を取り去った後のフレーミング時間10秒以内、(2)5個一組の試料に計10回接炎後のフレーミング時間の合計50秒以内、(3)第2回目の炎を取り去った後のグローイング時間30秒以内、(4)試料から305mm下の脱脂綿を発火させる滴下物がないこと、(5)つかみ具までのフレーミングまたはグローイングがないこと。
【0120】
(応力緩和層の貯蔵弾性率)
実施例4で得られた応力緩和層付き銅箔の応力緩和層を銅箔から剥離して、応力緩和層を190℃2時間加熱して硬化させた。その後、硬化物を切削して、8mm×20mmの試験片を得た。この試験片を用い、動的粘弾性測定装置により、引っ張りモード、周波数1Hz、昇温速度5℃/分として、−50℃〜300℃の温度範囲で測定を行った。そして、−40℃の貯蔵弾性率E'LTを得た。
【0121】
(応力緩和層のガラス転移温度)
実施例4で得られた応力緩和層付き銅箔の応力緩和層を銅箔から剥離して、応力緩和層を190℃2時間加熱して硬化させた。その後、硬化物を切削して、5×20mmの試験片を得た。この試験片をティー・エイ・インスツルメント社製TMA/2940を用いて荷重3g、−50℃から300℃の温度範囲を昇温速度5℃/分、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定により測定し、ガラス転移温度Tgを得た。
【0122】
(導通試験)
実施例および比較例で作製した電子装置3個をフライングチェッカー(1116X−YC ハイテスタ:日置電機社製)を用い、鉛フリーソルダーペーストを介して電子部品と回路基板の導通の測定をおこない、初期値とした。つぎに、60℃、60%の吸湿条件下で40時間処理後、IRリフロー炉(ピーク温度:260℃)で3回処理し、同様に導通を測定して初期値より抵抗値が5%以上上昇したものを実装時の断線と判定した。ここで、初期値で断線が生じていた場合は、回路作製上の不具合と判断しカウントしていない。なお、電子装置1個につき測定箇所は61箇所、計183箇所を測定した。
各符号は、以下の通りである。
○:断線箇所が0%以上2%未満であった
×:断線箇所が2%以上であった
【0123】
(ヒートサイクル試験)
各実施例、各比較例につき、電子装置10個を用意して、ヒートサイクル試験を実施した。ヒートサイクル試験は、−40℃7分〜+125℃7分を1サイクルとして30000回行なった。ヒートサイクル試験後の回路基板の半田接合部を顕微鏡で観察し、クラックが発生していたものをカウントした。
◎:電子装置10個中0〜1個クラックが発生していた
○:電子装置10個中2〜5個クラックが発生していた
×:電子装置10個中6〜10個クラックが発生していた
【0124】
(電子装置の反り量)
電子装置の反り量は、電子部品搭載面を加熱冷却可能なチャンバー上に置いて、125℃の雰囲気下で、電子部品搭載面とは反対の面から基板上の反り量の変化を測定した。なお、サンプルは実施例および比較例で作製した電子装置を用いた。各符号は、以下の通りである。
○:反り量の変化が、1500μm未満であった
×:反り量の変化が、1500μm以上であった
【0125】
以上の結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
この出願は、2013年11月12日に出願された日本出願特願2013−234280号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5