【文献】
MARKL, Christian et al.,N-Acetyl-5-arylalkoxytryptamine Analogs: Probing the Melatonin Receptors for MT1-Selectivity,Archiv der Pharmazie,2011年,344(10),p. 666-674
【文献】
GOMEZ-PINILLA, Pedro J. et al.,Effect of Melatonin on Age Associated Changes in Guinea Pig Bladder Function,Journal of Urology,2007年,177(4),p. 1558-1561
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
N-[2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、又はその塩。
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、又はその塩。
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド、又はその塩。
N-[2-(6-フルオロ-2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、又はその塩。
1-[2-(5-{2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]-3-メチルウレア、又はその塩。
【背景技術】
【0002】
尿失禁とは、尿の不随意の漏れがあって、他覚的に認められ、社会的または衛生的にこれらが問題となる状態である(Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics, 25, 251-263(2000))。尿失禁の代表的なものとしては、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、機能性尿失禁、反射性尿失禁、溢流性尿失禁、及び、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が混在している混合型尿失禁等が知られている。
【0003】
尿失禁の最も一般的なタイプは腹圧性尿失禁であり、尿失禁を発症している女性の50%が腹圧性尿失禁であることが報告されている(International Urogynecology Journal, 11(5), 301-319(2000))。腹圧性尿失禁とは、咳、くしゃみ、運動などの腹圧上昇時に、膀胱が収縮しないのにもかかわらず、不随意に尿が漏れ出てしまう疾患をいう。腹圧性尿失禁の原因は、大きく2つに分けられる。一つは、膀胱頸部・尿道過可動性で、骨盤底筋弛緩に基づく膀胱頸部下垂により腹圧の尿道への伝導が不良となり、腹圧上昇時に膀胱内圧のみが上昇し尿が漏れるものである。他の一つは、内因性括約筋不全による括約筋機能の低下により、腹圧上昇時に尿が漏れるものである。腹圧性尿失禁の発症には、加齢や出産による骨盤底筋の脆弱化や尿道機能の低下が関与している可能性が高い。特に、妊娠や経膣出産による骨盤の外傷は持続的な腹圧性尿失禁発症の危険因子として知られ、初産後5年間での腹圧性尿失禁罹患率は約30%と報告されている(Neurourology and Urodynamics, 21(1), 2-29 (2002))。
【0004】
切迫性尿失禁とは、急に起こる、抑えられないような強い尿意で我慢することが困難な愁訴(尿意切迫感)の直後に不随意に尿が漏れるという疾患である。混合型尿失禁とは、複数の尿失禁を併発している状態であり、多くは切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁を発症している。
【0005】
尿失禁は、生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)に大きな影響を与える。その症状を気にすることによる患者の活動範囲を制限し、社会的な孤立や孤独感を感じさせることになる。
【0006】
腹圧性尿失禁治療薬として、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害作用を有するデュロキセチン(SNRI)が報告されている(International Urogynecology Journal, 14, 367-372 (2003))。
【0007】
デュロキセチンは、臨床試験で腹圧性尿失禁に対する有効性が報告されているが、吐き気、不眠及びめまい等の副作用を有することも報告されている(BJU International, 94, 31-37(2004))。
【0008】
蓄尿時における膀胱の伸展刺激による自律神経の神経反射において、尿道に存在するα
1アドレナリン受容体は尿道収縮を惹起させることにより禁制を保つ役割を果たしている。これまでに、複数のα
1アドレナリン受容体アゴニスト作用を有する薬剤が、強い尿道収縮作用を有することが報告され、また、臨床試験において、α
1アドレナリン受容体アゴニスト作用を有する薬剤が腹圧性尿失禁に有効であることも示されてきた(Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics, 25, 251-263(2000)、International Urogynecology Journal, 14, 367-372(2003)、Urology, 62(Sup 4A), 31-38(2003)、及びBJU International, 93, 162-170(2004))。しかしながら、α
1アドレナリン受容体アゴニストは、血圧上昇等の心血管副作用を有することが知られている(International Urogynecology Journal, 14, 367-372(2003)及びBJU International, 93, 162-170 (2004))。
【0009】
以上のように、腹圧性尿失禁に対する薬物治療として、蓄尿時に膀胱内圧が上昇した際に、禁制を維持するために尿道抵抗を上昇させることが有効と考えられ、いくつかの作用機序に基づく薬剤が検討されてきた。しかし、更に副作用の少ない、新たな作用機序に基づく腹圧性尿失禁治療剤の開発が強く望まれている。
【0010】
一方、下式で示されるメラトニン(Melatonin)は、生殖腺の機能や発育に対して抑制効果を示す松果体から分泌されるホルモンである。メラトニンは、動物のサーカディアンリズムに影響し、生殖機能を環境の光周期に同調させる役割を演じている。
【化1】
【0011】
メラトニンの受容体は、MT
1、MT
2、MT
3の3つのサブタイプが知られている(Cell and Tissue Research, 309, 151-162(2002)及びJournal of Biological Chemistry 275, 31311-31317(2000))。MT
1及びMT
2は、G
i及びG
qに共役するGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるが、MT
3はキノン還元酵素(QR2)であり、メラトニン結合部位を有しているものである。メラトニンのMT
1及びMT
2受容体に対する親和性は高いが、MT
3受容体に対する親和性は低い(Journal of Biological Chemistry 275, 31311-31317(2000))。
【0012】
そして、MT
1及び/又はMT
2受容体アゴニストは、睡眠障害やうつ病などの中枢神経系疾患の治療に有用であることが多数報告されている。
【0013】
代表的なMT
1及び/又はMT
2受容体アゴニストとしては、以下のものが報告されている。
下記の式(A)で示される化合物がMT
1及びMT
2受容体アゴニスト活性を有し、睡眠−覚醒リズム障害、時差ぼけ、三交替勤務等による体調の変調、季節的憂鬱病、生殖および神経内分泌疾患、老人性痴呆、アルツハイマー病、老化に伴う各種障害、脳循環障害、頭部外傷、脊髄損傷、ストレス、てんかん、痙攣、不安、うつ病、パーキンソン病、高血圧、緑内障、癌、不眠症、糖尿病などの予防・治療に使用でき、さらに免疫調節、向知能、精神安定または排卵調整特性を有することが報告されている(特許文献1)。殊に、下式で示されるラメルテオン(Ramelteon)は、入眠障害を特徴とする不眠症の治療剤として知られている(非特許文献1及び2)。
【化2】
(式中の記号は当該公報を参照のこと)
【0014】
下記式(B)で示される化合物が、メラトニンレセプターに対して親和性を有し、ストレス、睡眠障害、不安、季節性情動障害または大うつ病、心血管系病態、消化系病態、時差ぼけによる不眠症および疲労、統合失調症、パニック発作、憂うつ症、食欲障害、肥満症、不眠症、精神異常、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老人性認知症、正常または病的な加齢に付随する様々な障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病の処置、ならびに脳循環障害に有用であること、性機能不全の処置に有用であり、排卵抑制および免疫調整特性を有し、そして癌の処置に用いるのにも有用であることが記載されている(特許文献2)。
【化3】
(式中、R
1はC
1-6アルキル基等を、R
2及びR
3はそれらを担持する窒素原子と一緒となって、5〜8員環の複素環を形成し、当該複素環は追加のヘテロ原子を含まず、nは2乃至6の整数を示す。)
【0015】
下記(C)及び(D)の式で示される化合物を含むいくつかの化合物がMT
1及びMT
2受容体に対して親和性を有することが記載されている(非特許文献3)。
【化4】
【0016】
下記(E)及び(F)の式で示される化合物を含むいくつかの化合物が、MT
1及びMT
2受容体に対して親和性を有することが記載されている(非特許文献4)。
【化5】
【0017】
下記式(G)で示される化合物が、MT
1及びMT
2受容体に親和性を有し、ストレス、睡眠障害、不安、季節的情動障害、心臓血管系病理、消化管系病理、時差ぼけによる不眠と疲労、精神分裂病、パニック発作、鬱状態、食欲障害、肥満、不眠症、疼痛、精神障害、癲癇、糖尿病、パーキンソン病、老人性痴呆、正常または病理的加齢に関連する各種障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、および脳循環障害の処置において有用であり、さらに、性的機能不全の処置に使用可能であり、排卵阻止特性および免疫調節特性があり、また癌の処置に使用可能であることが記載されている(特許文献3)。
【化6】
(式中、G
1は-X'-(CH
2)
n-X-(CH
2)
m-X''-であり、XはCH
2等を示し、X'及びX''はそれぞれ酸素原子等であり、n、mは同一又は異なって0〜5の整数であり、Cyはインドール等を示し、当該インドール2位に水素原子又は低級アルキル等の置換基を有し、当該インドール3位からG
2に結合し、G
2はハロゲン等の1以上の基で置換されていてもよい1〜6個の炭素原子を含有する鎖であり、AはNRCOR'等を示し、R及びR'はそれぞれ水素原子又はC
1-6アルキル基等を示す。上記以外の記号は当該公報を参照のこと)
【0018】
また、末梢性のMT1及び/又はMT2アゴニスト活性を示し、泌尿器疾患、殊に腹圧性尿失禁に有用な下記の式(H)の化合物が報告されている。(特許文献4)
【化7】
(式中、Yは、N又はCR
1であり、R
1、R
3、及びR
4は、同一又は異なって、それぞれ置換されていてもよい低級アルキル、H又はハロゲンであり、R
2は、ハロゲン及びシアノからなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよい低級アルキルであり、更に、R
2はR
1と一体となって-(CH
2)
n-を形成してもよく、又は、R
2はR
3と一体となって-(CH
2)
n-を形成してもよく、nは、2又は3であり、Xは、結合、-NR
11-又は-NR
11-O-であり、R
6は、置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいシクロアルキル等を示す。上記以外の記号は当該公報を参照のこと。)
【0019】
また、メラトニン受容体活性化作用を有する化合物である、メラトニン、ラメルテオン、アゴメラチン、タシメルテオン及びTIK-301がラット摘出尿道を収縮させ、ラットの尿道内圧を上昇させることが記載されている(特許文献5)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「尿失禁」とは、不随意に尿が漏れ出てしまう疾患であり、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合型尿失禁、機能性尿失禁、反射性尿失禁等が挙げられる。
「腹圧性尿失禁」とは、咳、くしゃみ、運動などの腹圧上昇時に、膀胱が収縮しないのにもかかわらず、不随意に尿が漏れ出てしまう疾患であり、「切迫性尿失禁」は、急に起こる抑えられないような強い尿意で我慢することが困難な愁訴(尿意切迫感)の直後に不随意に尿が漏れ出てしまう疾患である。「混合型尿失禁」は、上記腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁を併発している疾患である。
本発明医薬組成物の用途としては、尿失禁であり、別の態様としては、腹圧性尿失禁又は混合型尿失禁であり、更に別の態様としては、腹圧性尿失禁であり、また更に別の態様としては混合型尿失禁である。
【0028】
本明細書において「MT
1及び/又はMT
2受容体」は、「MT
1受容体及びMT
2受容体」であるか、「MT
1受容体」を意味する。
【0029】
「C
1-6アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が1から6(以後、C
1-6と略す)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等である。別の態様としては、C
1-3アルキルであり、さらに別の態様としては、メチル、エチル又はn-プロピルであり、またさらに別の態様としては、メチル又はエチルであり、また更に別の態様としては、メチルであり、またさらに別の態様としては、エチルである。
【0030】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを意味する。好ましくは、F、Cl及びBrであり、更に好ましくは、F及びClである。また更に好ましくはFである。
【0031】
「C
3-8シクロアルキル」とは、C
3-8の飽和炭化水素環基であり、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。別の態様としては、C
3-6シクロアルキルであり、またさらに別の態様としては、シクロプロピルである。
【0032】
「O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を1以上有する5〜6員ヘテロアリール」とは、酸素、硫黄及び窒素からなる群から選択されるヘテロ原子を環原子として1以上有する5員若しくは6員の単環式のヘテロアリールであり、ここに、当該6員ヘテロアリールとしては、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等が挙げられ、当該5員ヘテロアリールとしては、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チエニル、フリル、ピロリル等が挙げられる。「O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を1以上有する5〜6員ヘテロアリール」のある態様としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルであり、別の態様としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルであり、更に別の態様としては、ピリジル及びピラゾリルである。また更に別の態様としては、ピラゾリルである。
また、「O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を2以上有する5員ヘテロアリール」とは、上記の「O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を1以上有する5〜6員ヘテロアリール」の5員ヘテロアリールのうち、該ヘテロ原子を環原子として2以上有する環基である。ある態様としては、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル及びオキサジアゾリルであり、別の態様としては、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルであり、更に別の態様としては、チアゾリル及びピラゾリルであり、また更に別の態様としては、ピラゾリルである。
【0033】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、無置換又は置換基を1個以上有していることを意味する。例えば、「1〜3個の置換基で置換されていてもよい」とは、無置換であるか、1個、2個又は3個の置換基で置換されていることを意味し、また、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0034】
R
1、R
2、R
4、R
5及びR
6における「置換されていてもよいC
1-6アルキル」の置換基のある態様としては、-OH、-O-(C
1-6アルキル)及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンである。
【0035】
R
3における「置換されていてもよい5〜6員ヘテロアリール」の置換基のある態様としては、-OH、-O-(C
1-6アルキル)及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンであり、別の態様としては、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル、-O-(C
1-6アルキル)、C
3-8シクロアルキル及びハロゲンであり、別の態様としては、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル、-O-(C
1-6アルキル)及びハロゲンであり、更に別の態様としては、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及びハロゲンである。また、別の態様としては、メチル、エチル、n-プロピル、メトキシ、トリフルオロメチル、シクロプロピル、F、Cl及びBrであり、更に別の態様としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル及びClであり、更に別の態様としては、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルであり、更に別の態様としてはメチル及びメトキシであり、更に別の態様としてはメチル及びトリフルオロメチルであり、また更に別の態様としては、メチルである。
【0036】
本発明の式(I)の化合物のある態様を以下に示す。
(1)R
1は、H又は置換されていてもよいC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(1−1)R
1が、H又はC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(1−2)R
1が、H又はメチルである化合物又はその塩。
(1−3)R
1が、Hである化合物又はその塩。
(1−4)R
1が、メチルである化合物又はその塩。
(2)Xが、結合、-NH-又は-N(C
1-6アルキル)-である化合物又はその塩。
(2−1)Xが、結合又は-NH-である化合物又はその塩。
(2−2)Xが、結合である化合物又はその塩。
(2−3)Xが、-NH-である化合物又はその塩。
(3)R
2は、置換されていてもよいC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(3−1)R
2が、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(3−2)R
2が、1〜3個のFで置換されていてもよいC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(3−3)R
2が、C
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(3−4)R
2が、メチル、エチル、n-プロピル又はジフルオロメチルである化合物又はその塩。
(3−5)R
2が、メチル又はエチルである化合物又はその塩。
(3−6)R
2が、エチルである化合物又はその塩。
(3−7)R
2が、メチルである化合物又はその塩。
(4)Yは、結合、-CH
2-、-NH-又は-O-である化合物又はその塩。
(4−1)Yが、結合又は-O-である化合物又はその塩。
(4−2)Yが、結合である化合物又はその塩。
(4−3)Yが、-O-である化合物又はその塩。
(5)R
3が、置換されていてもよい5〜6員ヘテロアリールであり、ただし、Yが結合であるときは、R
3は更に-NR
31-CO-O-R
32であってもよく、R
31は、H又はC
1-6アルキルであり、R
32は、C
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(5−1)
(i)Yが-O-であるときは、R
3が、O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を1以上有する5〜6員ヘテロアリールであり、又は、
(ii)Yが結合であるときは、R
3が、O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を2以上有する5員ヘテロアリールであり、
ここで、該ヘテロアリールは、-OH、-O-(C
1-6アルキル)及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
また、Yが結合であるときは、R
3は更に-NR
31-CO-O-R
32であってもよく、
R
31は、H又はC
1-6アルキルであり、R
32は、C
1-6アルキルである、化合物又はその塩。
(5−2)
(i)Yが-O-であるときは、R
3が、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、又は、
(ii)Yが結合であるときは、R
3が、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、
ここで、上記(i)及び(ii)に示されるヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
また、Yが結合であるとき、R
3は更に-NH-CO-O-R
32であってもよく、
R
32はC
1-6アルキルである、化合物又はその塩。
(5−3)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択される5〜6員ヘテロアリールであり、該5〜6員ヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル、-O-(C
1-6アルキル)、C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3が、チアゾリル及びピラゾリルからなる群から選択される5員ヘテロアリールであり、該5員ヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及びハロゲンからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
また、Yが結合であるとき、R
3は更に-NH-CO-O-R
32であってもよく、R
32はC
1-3アルキルである、化合物又はその塩。
(5−4)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を1以上有する5〜6員ヘテロアリールであり、又は、
(ii)Yが結合であるときは、R
3が、O、S及びNからなる群より選択されるヘテロ原子を2以上有する5員ヘテロアリールであり、
ここで、上記(i)及び(ii)に示されるヘテロアリールは、-OH、-O-(C
1-6アルキル)及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、化合物又はその塩。
(5−5)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3が、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、
ここで、該ヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、化合物又はその塩。
(5−6)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択される5〜6員ヘテロアリールであり、該5〜6員ヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル、-O-(C
1-6アルキル)、C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3が、チアゾリル及びピラゾリルからなる群から選択される5員ヘテロアリールであり、該5員ヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及びハロゲンからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、化合物又はその塩。
(5−7)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、ピリジル若しくはピラゾリルであり、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3が、ピラゾリルであり、
ここで、該ピリジル及びピラゾリルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及び-O-(C
1-6アルキル)からなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、化合物又はその塩。
(5−8)
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、メチル及びメトキシからなる群から選択される1個の置換基で置換されたピリジル、若しくは、1個のメチルで置換されたピラゾリルであり、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3が、メチル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1個の置換基で置換されたピラゾリルである、化合物又はその塩。
(5−9)R
3が、メチル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1個の置換基で置換されたピラゾリルである、化合物又はその塩。
(5−10)R
3が、1個のメチルで置換されたピラゾリルである、化合物又はその塩。
(5−11)R
3が、ピラゾリルであり、ここに、該ピラゾリルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及び-O-(C
1-6アルキル)からなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、化合物又はその塩。
(6)R
4は、H、置換されていてもよいC
1-6アルキル又はハロゲンであり、
(6−1)R
4が、H又はハロゲンである化合物又はその塩。
(6−2)R
4が、H、F又はClである化合物又はその塩。
(6−3)R
4が、H又はFである化合物又はその塩。
(7)R
5及びR
6が、それぞれ同一又は異なって、H又は置換されていてもよいC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(7−1)R
5及びR
6が、それぞれ同一又は異なって、H又はC
1-6アルキルである化合物又はその塩。
(7−2)R
5及びR
6が、それぞれ同一又は異なって、H又はメチルである化合物又はその塩。
(7−3)R
5が、同一又は異なって、H又はメチルであり、R
6がHである化合物又はその塩。
(7−4)R
5及びR
6が、いずれもHである化合物又はその塩。
(8)上記(1)〜(7−4)に記載の態様のうち、任意の二以上の矛盾しない組み合わせである化合物又はその塩。
【0037】
本発明には上記(8)に記載したような、上記(1)から(7−4)に記載の態様のうち、任意の二以上の矛盾しない組み合わせである化合物又はその塩が包含されるが、その具体例として以下の態様も挙げられる。
【0038】
(9)上記(1−2)、(2−1)、(3−2)、(4−1)、(5−2)、(6−1)及び(7−2)の組み合わせである以下の態様。
R
1が、H又はメチルであり、
Xが、結合又は-NH-であり、
R
2が、1〜3個のFで置換されていてもよいC
1-6アルキルであり、
Yが、結合又は-O-であり、
(i)Yが-O-であるときは、R
3が、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、又は、
(ii)Yが結合であるときは、R
3が、チアゾリル、ピラゾリル及びイソオキサゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであり、
ここで、上記(i)及び(ii)に示されるヘテロアリールは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル;-O-(C
1-6アルキル);C
3-8シクロアルキル及びハロゲンからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
また、Yが結合であるとき、R
3は更に-NH-CO-O-R
32であってもよく、
R
4が、H又はハロゲンであり、及び
R
5及びR
6が、同一又は異なってH又はメチルである、
式(I)の化合物又はその塩。
(10)上記(1−2)、(2−1)、(3−5)、(4−1)、(5−7)、(6−1)及び(7−3)の組み合わせである以下の態様。
R
2が、メチル又はエチルであり、
(i)Yが-O-であるとき、R
3が、ピリジル若しくはピラゾリルであり、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3がピラゾリルであり、
ここで、該ピリジル及びピラゾリルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル及び-O-(C
1-6アルキル)からなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
R
5が、同一又は異なって、H又はメチルであり、及び、R
6がHである、
上記(9)記載の化合物又はその塩。
(11)上記(1−2)、(2−1)、(3−5)、(4−1)、(5−8)、(6−1)及び(7−3)の組み合わせである以下の態様。
(i)Yが-O-であるとき、R
3がメチル及びメトキシからなる群から選択される1個の置換基で置換されたピリジル、若しくは、1個のメチルで置換されたピラゾリルであり、又は、
(ii)Yが結合であるとき、R
3がメチル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1個の置換基で置換されたピラゾリルである、
上記(10)記載の化合物又はその塩。
(12)上記(1−2)、(2−2)、(3−5)、(4−3)、(5−10)、(6−3)及び(7−4)の組み合わせである以下の態様。
Xが、結合であり、
Yが、-O-であり、
R
3が、1個のメチルで置換されたピラゾリルであり、R
4が、H又はFであり、及び
R
5及びR
6が、いずれもHである、上記(11)記載の化合物又はその塩。
【0039】
本発明の異なる態様を以下に示す。
ある態様としては、下記群から選択される化合物又はそれらの塩が挙げられる。
N-[2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド及び
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド。
【0040】
別の態様としては、下記群から選択される化合物又はそれらの塩が挙げられる。
1-[2-(5-{2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]-3-メチルウレア、
N-[2-(5-{2-[(6-メチルピリジン-2-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(6-フルオロ-2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、
N-(2-{2-メチル-5-[2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド及び
1-[2-(5-{2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]-3-メチルウレア。
【0041】
更に別の態様としては、下記群から選択される化合物又はそれらの塩が挙げられる。
N-[2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド、
1-メチル-3-[2-(2-メチル-5-{2-[(2-メチルピリジン-4-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]ウレア、
1-メチル-3-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]ウレア、
N-[(2R)-2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)プロピル]アセトアミド及び
N-[(2R)-2-(6-クロロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)プロピル]アセトアミド。
【0042】
また更に別の態様としては、下記群から選択される化合物又はそれらの塩が挙げられる。
N-[2-(5-{2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(5-{2-[3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド及び
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(2-メチルピリジン-4-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド。
【0043】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0044】
さらに、本発明は、式(I)で示される化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0045】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0046】
式(I)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。
【0047】
さらに、本発明は、式(I)の化合物又はその塩の各種の水和物や溶媒和物、結晶多形及び共結晶の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0048】
(製造法)
式(I)の化合物又はその塩は、その基本構造あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料から中間体へ至る段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、ウッツ(P. G. M. Wuts)及びグリーン(T. W. Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第4版、2006年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行ったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。
【0049】
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0050】
(第1製法)
【化9】
(式中、Pは保護基を示す。以下同様。)
本製法は、化合物(a)に対して、インドール窒素原子の脱保護を行うことで、本発明化合物である式(I)の化合物を製造する方法である。ここで、保護基Pの例としては、p-トルエンスルホニル基等が挙げられる。
本反応は、前述のグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版、John Wiley & Sons Inc.、2006年を参照して実施することができる。例えば、メタノール中、ソニケーションで活性化させたマグネシウムを用いた反応を挙げることができる。
【0051】
(第2製法)
【化10】
(式中、Lは脱離基を示す。以下同様。)
本製法は、本発明化合物である式(I)の化合物のうち、Yが-O-である式(Ia)の化合物を製造する方法である。ここで、脱離基Lの例としては、p-トルエンスルホニルオキシ基、ブロモ基等が挙げられ、Lは同一でも互いに異なっていてもよい。
(第一工程)
本工程は、式(b)の化合物と式(c)の化合物から、式(d)の化合物を製造する工程である。
この反応では、式(b)の化合物と式(c)の化合物とを等量若しくは式(c)の化合物を過剰量用い、これらの混合物を、塩基の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から80℃において、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル及びこれらの混合物が挙げられる。塩基の例には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、n-ブチルリチウム等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド等の無機塩基が含まれる。塩化テトラ-n-ブチルアンモニウム等の相間移動触媒の存在下で反応を行うことが有利な場合がある。
〔文献〕
S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年
日本化学会編「実験化学講座(第5版)」14巻(2005年)(丸善)
(第二工程)
本工程は、式(d)の化合物と式(e)の化合物から、式(Ia)の化合物を製造する工程である。本工程の反応条件は、前述の第一工程と同様である。
(原料化合物の製造)
上記製造法における原料化合物は、例えば下記の方法、後述の製造例に記載の方法、公知の方法、あるいはそれらの変法を用いて製造することができる。
【0052】
(原料合成1)
【化11】
(式中、P及びP
1は保護基を示し、L
1は脱離基を示す。)
本製法は式(a)の化合物のうち、Xが結合である式(o)の化合物の製造方法である。ここで、保護基Pの例としては、p-トルエンスルホニル基等が、保護基P
1の例としては、ベンジル基、メチル基等がそれぞれ挙げられる。また、脱離基L
1の例としては、ブロモ基、クロロ基等が挙げられる。
(第一工程)
本工程は、式(f)の化合物と式(g)の化合物とをアミド化反応に付すことにより、式(h)の化合物を製造する工程である。
この反応では、式(f)の化合物と式(g)の化合物とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、縮合剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃〜60℃において、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル又は水、及びこれらの混合物が挙げられる。縮合剤の例としては、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1'-カルボニルジイミダゾール、ジフェニルリン酸アジド、オキシ塩化リンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いることが反応に好ましい場合がある。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下で反応を行うことが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
また、式(g)の化合物を反応性誘導体へ変換した後に式(f)の化合物と反応させる方法も用いることができる。カルボン酸の反応性誘導体の例としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応して得られる酸ハロゲン化物、クロロギ酸イソブチル等と反応して得られる混合酸無水物、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等と縮合して得られる活性エステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体と化合物(f)との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-20℃〜60℃で行うことができる。
さらに、トリエチルアミン等の塩基存在下、式(g)の化合物に代えて、カルボン酸無水物と式(f)の化合物とを反応させる方法も用いることができる。カルボン酸無水物の例としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物等が挙げられる。これらのカルボン酸無水物と式(f)の化合物との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-20℃〜60℃で行うことができる。
〔文献〕
S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年
日本化学会編「実験化学講座(第5版)」16巻(2005年)(丸善)
【0053】
(第二工程)
本工程は、式(h)の化合物のインドール1位を保護する反応である。本反応は前述のグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版、John Wiley & Sons Inc.、2006年を参照して実施することができる。
【0054】
(第三工程)
本工程は、式(i)の化合物の脱保護反応により、式(j)の化合物を製造する工程である。
本工程は、前述のグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版、John Wiley & Sons Inc、2006年を参照して実施することができる。
【0055】
(第四工程)
本工程は、式(j)の化合物に対し、式(k)の化合物又は式(m)の化合物を反応させることにより、式(o)の化合物を製造する工程である。
本工程にて、式(k)の化合物を用いる場合においては、公知のジアゾカルボン酸エステル類又はジアゾカルボン酸アミド類を公知のホスフィン類とともに用いる方法、或いは(トリブチルホスホラニリデン)アセトニトリル(角田試薬)等を用いる、いわゆる光延反応又はその変法が利用でき、これらは当業者によく知られた反応である。
本反応では、化合物(j)と化合物(k)を等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から150℃において、通常0.1時間〜5日間攪拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトニトリル及びこれらの混合物が挙げられる。
本反応の参考文献としては、例えば以下を参照することができる。
Synthesis (1981), 1
Tetrahedron Letters (1995) 36, 2529; ibid, (1996) 37, 2463
また、本工程にて式(m)の化合物を用いる場合の反応条件は、前述の第2製法の第一工程と同様である。
【0056】
(原料合成2)
【化12】
(式中、L
2は脱離基を示す。)
本製法は式(f)の化合物から、式(p)の化合物を経て、式(a)の化合物のうち、XがNHである式(s)の化合物を製造する方法である。ここで、脱離基L
2の例としては、イミダゾリル、4-ニトロフェノキシ基等が挙げられる。
(第一工程)
本工程は、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃から80℃で、式(f)の化合物を等量若しくは過剰量のカルボニル化試薬と通常0.1時間〜1日程度反応させることにより行われる。カルボニル化試薬の例としては、1,1’-カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸 4-ニトロフェニル、ジホスゲン、トリホスゲン、クロロギ酸フェニル等が挙げられる。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定されないが、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル或いはこれらの混合物が挙げられる。なお、トリエチルアミン等の塩基の存在下で反応を行うことが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
(第二工程)
本工程は、式(p)の化合物を単離することなく、反応混合物に等量若しくは過剰量の式(q)の化合物を加え、この混合物を、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃から80℃で0.1時間〜1日程度反応させるものである。式(p)の化合物が安定である場合には、これを一旦単離した後に式(q)の化合物との反応を行っても良い。
〔文献〕
S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第2巻、Academic Press Inc.、1991年
(第三〜第五工程)
本工程は、前述の原料合成1の第二〜第四工程と同様の方法で行うことができる。
【0057】
(試験例)
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
【0058】
試験例1 ヒトMT
1及びヒトMT
2受容体発現細胞を用いた、被検化合物のヒトMT
1及びヒトMT
2受容体の活性化を評価する試験
実験方法
(1)ヒトMT
1及びヒトMT
2受容体及びG
q/iキメラG蛋白質発現ベクターの構築
ヒトMT
1受容体遺伝子(GenBank登録番号:NM_005958.3)及びヒトMT
2受容体遺伝子(GenBank登録番号:NM_005959.3)を、それぞれ発現ベクターpcDNA3.1/Zeo(Invitrogen社)に導入した。また、ヒトG
q遺伝子(GenBank登録番号:NM_002072.4)がコードするタンパク質のC末端の5アミノ酸をG
i遺伝子(GenBank登録番号:NM_002069.5)がコードするタンパク質のC末端の5アミノ酸で置換したG
q/iキメラG蛋白を発現する遺伝子配列をpcDNA3.1/Hyg (Invitrogen社)に導入した。
(2)ヒトMT
1及びヒトMT
2受容体安定発現細胞の構築
ヒトMT
1受容体発現ベクター及びヒトG
q/iキメラG蛋白発現ベクターをHEK293EBNA1細胞に、ヒトMT
2受容体発現ベクター及びヒトG
q/iキメラG蛋白発現ベクターを、HEK293細胞に導入した。導入には、Lipofectamine(登録商標)2000試薬(Invitrogen社)を用いて、添付説明書に準じて行った。導入した細胞を37℃、5% CO
2環境下にて、選抜薬剤としてゼオシン及びハイグロマイシンをそれぞれ0.02 mg/mL及び0.05 mg/mL含む 10% FBS含有のDMEM(Invitrogen社)培地にて15日間細胞を培養し、薬剤耐性クローンを取得した。
(3)FLIPR(登録商標)による細胞内Ca
2+濃度の測定
各安定発現細胞を、実験前日に40,000細胞/wellとなるように、96well、ポリ-D-リジン-コートプレート(Falcon社)に分注し、37℃、5% CO
2にて、10% FBSを含むDMEM(Invitrogen社)培地にて一晩培養した。培地をローディングバッファー(Fluo-4AM(Dojindo社)2μM及びPluronic F-127(Life technologies社)0.04%を含む洗浄溶液(最終濃度20mM HEPES-NaOH、2.5mMプロベネシドを含むハンクスバランス塩溶液(HBSS))に置き換え、37℃、5% CO
2にて1時間培養した。その後、洗浄溶液をセットしたプレートウォッシャー(ELx405、BIO-TEK Instrument社)にて細胞を洗浄し、細胞内Ca
2+濃度測定システム(FLIPR(登録商標)、Molecular Device社)にセットした。被検化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、洗浄溶液にて最終濃度-12〜-5 logMとなるように希釈し、細胞とともに、FLIPR(登録商標)装置にセットし、装置内で細胞に添加し、その際の細胞内Ca
2+濃度変化を測定した。
アゴニスト活性はラメルテオンによる最大反応を100% とし、ラメルテオンの最大反応に対する被検化合物の活性化作用(Emax(%))を求め、logistic回帰法により効力(EC
50(nM))を算出した。
【0059】
メラトニン(Sigma社より購入)、ラメルテオン(武田薬品工業株式会社より販売されているロゼレム8mg錠より精製)、及び、本発明の実施例化合物のEC
50値並びにEmax値を表1に示す。Exは被検化合物の実施例番号を示す。
【0061】
【表2】
上記の結果から、上記の本発明の実施例化合物がヒトMT
1及び/又はヒトMT
2受容体アゴニスト活性を有することが確認された。
【0062】
試験例2 被検化合物の尿道内圧に及ぼす影響を評価する試験
尿道内圧を高めることが、尿失禁、殊に腹圧性尿失禁の治療に有用であることが報告されている(例えば、Drugs, 64, 14, 1503-1516 (2004))。本発明の化合物が尿道内圧を高め、尿失禁、殊に腹圧性尿失禁の治療に有用であるかどうかを確認するために、以下の試験を行った。
【0063】
実験方法
SD系雌性ラットをウレタンで麻酔し、開腹後、膀胱頂部を切開し膀胱頂部よりカテーテルを挿入し、カテーテル先端が近位尿道部に位置するよう結紮固定した。カテーテルを圧トランスデューサーおよびインフュージョンポンプに接続した。また、大腿静脈に化合物投与のためのカテーテルを装着した。尿道内へ生理食塩水を持続注入し、尿道内の潅流圧を測定した。尿道内圧が安定した後に、生理食塩水又は5%ジメチルアセトアミド及び0.5%クレモフォールを含む生理食塩水に溶解した被検化合物0.01 mg/kg又は0.1 mg/kgを静脈内投与し、尿道内圧の変化を測定した。
【0064】
なお、α
1アドレナリン受容体アゴニストであり、腹圧性尿失禁に対する臨床的効果が確認されているミドドリン(J. Urology, 118, 980-982 (1977))の活性代謝物(ST-1059:CHEMIZON社より購入)を、臨床用量に相当すると推定されるラット投与量である0.01 mg/kg、及び、0.1 mg/kgを投与した結果を参考として下表中に示した。
ラメルテオン及び本発明の実施例化合物を投与時の尿道内圧上昇値を表3に例示する。Exは被検化合物の実施例番号を示し、N.T.は未評価であることを示す。
【0066】
ラメルテオン及び上記本発明の実施例化合物投与群は、ST-1059と同等もしくはそれ以上の尿道内圧上昇値を示した。このことから、ラメルテオンや本発明の実施例化合物は尿道内圧上昇作用を有することが示唆された。
【0067】
試験例3 中枢移行性評価試験
「中枢移行性」とは、脳脊髄液(cerebrospinal fluid、以下、CSFと記載する)内の被検化合物濃度(以下、C
CSFと記載する)と被検化合物の血漿中非結合型濃度(以下、C
plasma, uと記載する)の比であるCSF-血漿中非結合型濃度比(C
CSF / C
plasma, uで表される値を意味し、以下、K
p,uu,CSFと記載する)や、被検化合物の脳内総濃度(以下、C
brainと記載する)と被検化合物の血漿中総濃度(以下、C
plasma, tと記載する)の比である脳-血漿中濃度比(C
brain / C
plasma, tで表される値を意味し、以下、K
p,brainと記載する)を指標として示すことができることが報告されている(Xenobiotica, 42, 11-27 (2012)及びJ. Pharmacol. Exp. Ther., 325, 349-356 (2008))。例えば、被検化合物を静脈内投与して15分後に採取したサンプルを用いてCSF内と血漿中の薬物濃度からK
p,uu,CSFを算出し、中枢移行性を評価することが記載されている。更に、中枢移行性が低いことが知られている複数の薬剤、Verapamil、Quinidine及びImatinibについて、K
p,uu,CSF値が0.11又はそれ以下の値であったことが記載されている(Xenobiotica, 42, 11-27(2012))。
さらに、中枢移行性を、被検化合物のCSF内の時間曲線下面積(AUC)と血漿中非結合型濃度のAUCの比である、CSF-血漿中非結合型濃度-時間曲線下面積比(K
p,uu,CSF, AUC)及び脳内総濃度のAUCと血漿中総濃度のAUCの比である、脳-血漿中濃度-時間曲線下面積比(K
p,brain,AUC)を指標として示すことができることも報告されている(Bioorg. Med. Chem. Lett.,22, 2932-2937,(2012))。
(1)超遠心法によるラット血漿中非結合型分率(fp)測定
ラット血漿に被検化合物(100 μg/mL, 50%アセトニトリル溶液)を血漿量の1%(v/v)添加し、上清用サンプルと血漿サンプルに分注した。上清用サンプルは436,000×g, 37 ℃, 140分間超遠心し、血漿用サンプルは37 ℃ 140分インキュベーションをおこなった。
140分後、超遠心後の上清用サンプル及び血漿用サンプルを分取し、それぞれブランク血漿またはブランク上清と混合した。各試料に内部標準物質を含むアセトニトリルを加えて除タンパクをおこない、2150×g, 4 ℃, 10分間遠心分離後の上清をLC-MS/MSで測定した。
血漿中非結合型分率は次式により算出した。
【化13】
(式中fp ; 血漿中非結合型分率、D; 血漿希釈率、
fu,app = 上清サンプルpeak area ratio / 血漿サンプルpeak area ratio、
peak area ratio = 被検化合物peak area / 内部標準物質peak area
をそれぞれ示す。)
(2)平衡透析法によるラット血漿中非結合型分率(fp)測定
平衡透析法による血漿中非結合型分率は、Rapid Equilibrium Dialysis Device (RED deivice: Thermo Scientific社製)を用いて以下の様に測定した。
ラット血漿に、被検化合物(0.2 mM, 50%アセトニトリル溶液)を血漿量の1%(v/v)に相当する量を添加し、得られた血漿サンプル200 μLをRED deviceインサートのプラズマチャンバーに充填した。バッファーチャンバーには350 μLのPBSを充填し、CO
2インキュベーター中で37℃、16時間撹拌し平衡透析を行った。平衡透析終了後のサンプルを回収し、血漿サンプルの体積を測定した。平衡透析終了後の血漿サンプルにPBS、20mMギ酸アンモニウム緩衝液および内部標準物質を含むアセトニトリルを添加した。同様に、平衡透析終了後のPBSサンプルにはブランク血漿、20mMギ酸アンモニウム緩衝液および内部標準物質を含むアセトニトリルを添加した。このサンプルを4℃、30分静置後、1500×g、10分間遠心し、上清をLC-MS/MSにて測定した。血漿中非結合型分率は、以下の式にて算出した。
fp = Cf / { ( Cp - Cf ) ( V / V0 ) + Cf }
fp : 血漿中非結合型分率
Cf : 透析後の緩衝液側薬物濃度
Cp : 透析後の血漿側薬物濃度
V : 透析後の血漿体積
V0 : 透析前の血漿体積
(3)ラットCSF-血漿中非結合型濃度比
ラットに被検化合物を静脈内投与し、15分後に血漿およびCSFを採取した。採取した血漿またはCSFに50 %アセトニトリル溶液および内部標準物質を含むアセトニトリルを添加した。このサンプルを4℃, 2150×g, 10分間遠心し、上清をLC-MS/MSで測定し、被検化合物の血漿中総濃度(C
plasma,t)と、被検化合物のCSF内濃度(C
CSF)を得た。被検化合物の血漿中非結合型濃度(C
plasma,u)及びCSF-血漿中非結合型濃度比(K
p,uu,CSF)は、以下の式にて算出した。
【0068】
【化14】
(4)ラット脳-血漿中濃度比
ラットに被検化合物を静脈内投与し、15分後に血漿および脳を採取した。採取した血漿には50 %アセトニトリル溶液および内部標準物質を含むアセトニトリルを添加した。採取した脳は2倍容量のPBSを加えてホモジナイズし、脳ホモジネートに50 %アセトニトリル溶液および内部標準物質を含むアセトニトリルを添加した。このサンプルを4℃, 2150×g, 10分間遠心し、上清をLC-MS/MSで測定し、被検化合物の脳内総濃度(C
brain)及び被検化合物の血漿中総濃度(C
plasma,t)を得た。脳-血漿中濃度比(K
p,brain)は、以下の式にて算出した。
【0070】
ラメルテオン、及び、いくつかの本発明の実施例化合物のK
p,uu,CSF 値およびK
p,brain値を表4に示す。Exは被検化合物の実施例番号を示す。なお、特に記載のないものについては、K
p,uu,CSFは超遠心法により求めたfp値を用いて算出した。また、N.T.は未評価であることを示す。
【0071】
【表4】
(なお、ラメルテオンは静脈内投与した10分後のK
p,uu,CSFの値を示した。また、実施例37及び38のK
p,uu,CSF は平衡透析法により求めたfp値を用いて算出した。さらに、N.D.は被検化合物のCSF内濃度が検出限界以下であったことを示す。)
(5)ラットCSF-血漿中非結合型濃度-時間曲線下面積比及びラット脳-血漿中濃度-時間曲線下面積比
ラットに被検化合物を経口投与し、15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後の血漿およびCSFを採取して、静脈内投与時と同様の方法で測定し、ラットCSF-血漿中非結合型濃度-時間曲線下面積比K
p,uu,CSF,AUC及びラット脳-血漿中濃度-時間曲線下面積比K
p,brain,AUCを以下の式にて算出した。AUC
0-tは台形法にて算出した。
K
p,uu,CSF,AUC = AUC
0-t,CSF/AUC
0-t,plasma,u
K
p,brain,AUC = AUC
0-t ,brain/AUC
0-t,plasma,t
AUC
0-t,plasma,u = fp×AUC
0-t,plasma,t
AUC
0-t,CSF;CSF中薬物AUC
0-t
AUC
0-t,plasma,u;血漿中非結合型薬物AUC
0-t
AUC
0-t,plasma,t;血漿中薬物AUC
0-t
AUC
0-t,brain;脳内薬物AUC
0-t
(なお、K
p,uu,CSF,AUCは平衡透析法によるfp値を用いて算出した。)
【0072】
ラメルテオン、及び、いくつかの本発明の実施例化合物のK
p,uu,CSF,AUC値およびK
p,brain,AUC値を表5に示す。Exは被検化合物の実施例番号を示す。
【0074】
上記の結果から、ラメルテオンは、K
p,uu,CSF値が1を超えており、血漿中濃度よりCSF内濃度が高く中枢移行性が高いのに対し、本発明の実施例化合物は、上記結果に示す通りK
p,uu,CSF値が0.2以下とラメルテオンに比べて中枢移行性が低く、いくつかの実施例化合物では0.1未満と中枢移行性が非常に低いことが示された。また、本発明の実施例化合物のK
p,brain、K
p,uu,CSF,AUC及びK
p,brain,AUCの値は、ラメルテオンに比べて小さく、いくつかの実施例化合物では0.1未満と中枢移行性が非常に低いことが示された。
【0075】
試験例4 ラット脳波測定試験
(1)ハンドリング
動物を実験時の操作に慣らすため、動物入手の翌日から投与の前日まで1日1回1例に付き約1分間のハンドリングを行った。
(2)脳波電極の植込み標本作製方法
検疫期間終了後、健康状態に異常が認められない動物についてPellegrino(Plenum Press, New York(1979))らの脳図譜を参考に脳波電極慢性植込み手術を施した。ペントバルビタールナトリウム麻酔下で脳定位固定装置にラットを保定した。皮質前頭葉には、先端の直径が約1 mmの単極銀球電極を脳硬膜上に設置した。海馬には、ステンレス製双極形貼合せ電極を刺入した。基準電極は、嗅脳付近にビス止めした。さらに、筋電図測定用としてリード線を頚部に極間約1 cmで双極に植込み、他端は皮下を通して頭部に露出した。これらの電極及びリード線は、コネクターソケットとハンダ付けを行い、歯科用樹脂等で頭蓋に固定した。
(3)動物の選別及び群分け
脳波電極慢性植込み手術を施したラットは手術の侵襲から回復し、安定した脳波が得られることを確認した。動物は手術後6日間以上経過し、最初の投与の前日に電子天秤を用いて体重を測定し、体重の降順に投与を行う様に振り分けた。被検物質の投与の順序は表計算ソフトExcel(Microsoft Corporation)の乱数機能を用いて層別無作為割付法で決めた。
(4)測定方法
投与日の朝に測定ケージに給餌、給水下でラットを収容し、測定環境に慣らした。電子上皿天秤を用いて体重を測定後、脳波測定開始の30分以上前にコネクターソケットとリード線を連結し、無麻酔及び無拘束下での測定状態にラットを慣らした。被検化合物をラットに腹腔内投与、若しくは経口投与し、投与6時間後まで連続的に脳波の測定を行った。
化合物の投与量及び投与経路を以下に示す
ラメルテオン:溶媒、0.1 mg/kg、1 mg/kg、及び10 mg/kg;腹腔内投与
実施例1:溶媒、3 mg/kg、30 mg/kg、及び300 mg/kg;経口投与
実施例6:溶媒、10 mg/kg、30 mg/kg、及び300 mg/kg;経口投与
脳波及び筋電図の電気信号はスリップリングを中継して脳波計に入力し、脳波計からパーソナルコンピュータの脳波周波数解析プログラムを用いて脳波の波形を取得した。また、脳波波形の画像信号をEEGビデオシステムに入力し、DVDレコーダを用いてDVD-Rに記録した。脳波測定と同時にビデオカメラを介して行動観察を行い、その画像についてもDVDレコーダを用いてDVD-Rに録画した。
(5)解析方法
(i)自発脳波
各動物の投与直後から投与後6時間までにおける脳波波形の異常の有無を観察した。
(ii)睡眠-覚醒周期
睡眠-覚醒周期の解析は脳波周波数解析プログラムで取得した脳波の波形を基に睡眠ステージ表示支援プログラム(MTS50061B,日本サンテク(株))を用いて行った。脳波、筋電図及び行動を指標にし、睡眠段階を覚醒期(awake)、安静期(rest)、徐波軽睡眠期(slow wave light sleep : S.W.L.S.)、徐波深睡眠期(slow wave deep sleep : S.W.D.S.)及び速波睡眠期(fast wave sleep : F.W.S.、REM sleep)に分類した。さらに安静期、徐波軽睡眠期及び徐波深睡眠期を合計して徐波睡眠期(slow wave sleep :S.W.S.、Non-REM sleep)を求めた。投与終了後から投与後6時間までの20秒単位で分類した各睡眠段階(覚醒期、安静期、徐波軽睡眠期、徐波深睡眠期及び速波睡眠期)はヒストグラム表示し、各睡眠段階の占有率を求めた。各睡眠段階の判定基準は、日本薬理学雑誌 84, 25-89 (1984)に記載の基準を用いた。
【0076】
(6)結果
ラメルテオンを用いて、上記脳波測定試験を行った結果、0.1 mg/kgの投与量から脳波の睡眠段階の占有率が増加傾向を示し、1 mg/kgでは各睡眠段階の占有率が有意に増加し、睡眠作用を有することが確認された。一方、本発明の実施例1の化合物を用いて上記試験を行った結果、いずれの投与量においても脳波の各睡眠段階の占有率に変動はみられず、睡眠作用を有さないことが確認された。
また、実施例6の化合物を用いて上記の試験を行った結果、10mg/kg及び30mg/kgの投与量においては脳波の各睡眠段階の占有率に変動は見られず、睡眠作用を有さないことが確認された。一方、300 mg/kgの投与量においては、脳波の変動が認められた。
このことは、脳内における本発明化合物の濃度が、実施例1の化合物については300 mg/kgの投与量において、実施例6の化合物については30 mg/kgにおいて、睡眠作用が発現する濃度まで達していないことを示している。一方、試験例2で示す通り、本発明の実施例1及び実施例6の化合物は、0.01mg/kgの投与量で良好な尿道内圧上昇作用を示すことから、実施例1及び実施例6の化合物は、睡眠作用を示さない投与量において尿道内圧上昇作用を示すことが確認された。これらの結果はK
p,uu,CSF値、K
p,brain値、K
p,uu,CSF,AUC値及びK
p,brain,AUC値が中枢移行性の指標であること、K
p,uu,CSF値、K
p,brain値、K
p,uu,CSF,AUC値及びK
p,brain,AUC値がそれぞれ0.1もしくはそれ以下の値の本発明化合物は、尿失禁に対する作用を有する投与量において中枢神経系疾患に対する作用を示さないこと、更に、実施例1及び6の化合物は、尿失禁の治療用途における有効投与量投与時に睡眠作用等を示さないことを裏付けるものである。
【0077】
上記試験例1の結果より、本発明化合物のMT
1及び/又はMT
2受容体アゴニスト作用が確認された。また、いくつかの化合物について尿道内圧上昇作用を確認したところ、試験例2に示すような上昇作用を示した。さらに、いくつかの化合物について中枢移行性を確認したところ、試験例3及び4に示すように、中枢移行性が低く、尿失禁に対する作用を有する投与量においては睡眠作用のような中枢神経系疾患に対する作用を示さないことが確認された。従って、式(I)の化合物は、尿失禁、好ましくは腹圧性尿失禁及び混合型尿失禁の治療又は予防に使用できることが期待される。
【0078】
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち、薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0079】
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えば滑沢剤や崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0080】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばエタノールのようなアルコール類がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0081】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0082】
投与経路、剤形、投与部位、賦形剤や添加剤の種類によって異なるが、本発明の医薬組成物は0.01〜100重量%、ある態様としては0.01〜50重量%の有効成分である1種またはそれ以上の式(I)の化合物又はその塩を含有する。
【0083】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【実施例】
【0084】
以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0085】
また、実施例、製造例及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。
PEx:製造例番号、Ex:実施例番号、PSyn:同様の方法で製造した製造例番号(例えば、Psynが「PEx3」である場合は、製造例3に記載の方法と同様の方法で製造したことを示す)、Syn:同様の方法で製造した実施例番号(例えば、Synが「Ex1」である場合は、実施例1に記載の方法と同様の方法で製造したことを示す)、Str:化学構造式(Me:メチル、Et:エチル、nPr:ノルマルプロピル、cPr:シクロプロピル、Boc:tert-ブチルオキシカルボニル、Ts:p-トルエンスルホニル、TMS:トリメチルシリル、TBDPS:tert-ブチルジフェニルシリルを示す。)、DAT:物理化学的データ、ESI+:質量分析におけるm/z値(イオン化法ESI、断りのない場合[M+H]
+)、ESI-:質量分析におけるm/z値(イオン化法ESI、断りのない場合[M-H]
-)、APCI/ESI+:APCI/ESI-MS[M+H]
+(大気圧化学イオン化法APCI、APCI/ESIはAPCIとESIの同時測定を意味する。断りのない場合[M+H]
+)、APCI/ESI-:APCI/ESI-MS[M-H]
-(大気圧化学イオン化法APCI、APCI/ESIはAPCIとESIの同時測定を意味する。断りのない場合[M-H]
-)、1H-NMR(DMSO-d6):DMSO-d
6中の
1H-NMRにおけるシグナルのδ(ppm)、1H-NMR(CDCl3):CDCl
3中の
1H-NMRにおけるシグナルのδ(ppm)、s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、br:幅広線 (例:brs)、m:多重線を示す。また、1つの製造例化合物について2つの構造式で示される化合物を併記している場合において、構造式に加えてandと記載しているものは、それらの構造式で示される化合物の混合物として得られたことを示す。さらに、構造式中のHClは、その化合物が一塩酸塩であることを示す。
【0086】
なお、本明細書において、化合物の命名にACD/Name(登録商標、Advanced Chemistry Development, Inc.)等の命名ソフトを使用している場合がある。
【0087】
粉末X線回折の測定は、RINT−TTRIIを用い、管球:Cu、管電流:300 mA、管電圧:50 kV、サンプリング幅:0.020°、走査速度:4°/min、波長:1.54056Å、測定回折角範囲(2θ):2.5〜40°の条件で測定した。なお、データ処理を含む装置の取り扱いは、各装置で指示された方法及び手順に従った。
各種パターンから得られる数値は、その結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件等によって多少の誤差が生じる場合がある。従ってこれらの誤差を考慮して、本明細書中、粉末X線回折パターンにおける回折角(2θ(°))の記載に含まれる「付近」は、当該データ測定法において通常許容される誤差範囲を含むことを意味し、おおよそその回折角であることを意味する。粉末X線回折における回折角(2θ(°))の誤差範囲は、ある態様としては±0.2°である。なお、粉末X線回折パターンはデータの性質上、結晶の同一性認定においては、結晶格子間隔や全体的なパターンが重要であり、回折角及び回折強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0088】
また、便宜上、濃度mol/LをMとして表す。例えば、1M水酸化ナトリウム水溶液は1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液であることを意味する。
【0089】
製造例1
メタンスルホン酸50.0mLにメチオニン9.10gを室温にて加え、撹拌後、7-フルオロ-6-メトキシ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-1-オン4.70gを加え65℃にて終夜撹拌した。反応混合物を氷水に少しずつ加えて撹拌し、析出した固体をろ取し、得られた固体を水で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、7-フルオロ-6-ヒドロキシ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-1-オン4.53gを固体として得た。
【0090】
製造例2
5-ヒドロキシ-2-メトキシピリジン1.00g、1,2-ジブロモエタン7.06mL、炭酸カリウム11.0g、アセトニトリル20.0mLの混合物を60℃に加熱し、終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、固体をろ別した後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜50:50)により精製し、5-(2-ブロモエトキシ)-2-メトキシピリジン1.63gを油状物として得た。
【0091】
製造例3
N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド3.20g、1,2-ジブロモエタン12.6mL、炭酸セシウム57.3g、ジメチルホルムアミド64.0mLの混合物を70℃に加熱し4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜20:1)により精製し、N-{2-[5-(2-ブロモエトキシ)-1H-インドール-3-イル]エチル}アセトアミド301mgを油状物として得た。
【0092】
製造例4
4-(ベンジルオキシ)アニリン塩酸塩14.0 gをジメチルホルムアミド84mL及び4.5M塩酸90mLの混合物に懸濁し、得られた混合物に氷冷下、亜硝酸ナトリウム4.51gの水溶液22.9 mLをゆっくり加え、氷冷下で2.5時間撹拌した(溶液A)。2-オキソピペリジン-3-カルボン酸エチル11.0g に1M水酸化カリウム水溶液72.5mLを加え、室温で1.5時間撹拌した(溶液B)。先に得られた溶液Aに氷冷下、溶液Bを加え、飽和酢酸ナトリウム水溶液を加え、pHを4.6に調整し、氷冷下4時間撹拌した。析出した固体をろ取することにより、3-{[4-(ベンジルオキシ)フェニル]ヒドラゾノ}ピペリジン-2-オン(E体及びZ体の混合物)5.94gを固体として得た。
【0093】
製造例5
3-{[4-(ベンジルオキシ)フェニル]ヒドラゾノ}ピペリジン-2-オン(E体及びZ体の混合物)5.57gを80% ギ酸水溶液45mLに溶解し、100℃で1時間加熱撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、氷冷し、水を加え、析出した固体を濾取することにより、6-(ベンジルオキシ)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-1-オン3.44gを固体として得た。
【0094】
製造例6
6-(ベンジルオキシ)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-1-オン5.79gをエタノール30mL、水30mLの混合物に懸濁し、水酸化カリウム10.3gを加えて、105℃で7時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、氷冷して酢酸9.06mLを加え、析出した固体を濾取することにより、3-(2-アミノエチル)-5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸5.67gを固体として得た。
【0095】
製造例7
3-(2-アミノエチル)-5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸5.67gをテトラヒドロフラン18mL、水18mLの混合物に懸濁し、炭酸水素ナトリウム4.61g、二炭酸ジ-tert-ブチル5.19gを加えて、室温で5時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、1M塩酸を加えて弱酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた固体をヘキサン:酢酸エチル=90:10で洗浄し、5-(ベンジルオキシ)-3-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}-1H-インドール-2-カルボン酸7.04gを固体として得た。
【0096】
製造例8
5-(ベンジルオキシ)-3-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}-1H-インドール-2-カルボン酸7.00g、N,N-ジイソプロピルエチルアミン8.75mL、メチルアミン塩酸塩2.50gをジメチルホルムアミド98.9mLに溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N',-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩7.13gを加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、析出した固体をろ取することにより、tert-ブチル {2-[5-(ベンジルオキシ)-2-(メチルカルバモイル)-1H-インドール-3-イル]エチル}カーバメート6.87gを固体として得た。
【0097】
製造例9
tert-ブチル {2-[5-(ベンジルオキシ)-2-(メチルカルバモイル)-1H-インドール-3-イル]エチル}カーバメート6.87gをジオキサン30mLに懸濁し、塩化水素(4Mジオキサン溶液)30mLを加え、室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下留去することにより、3-(2-アミノエチル)-5-(ベンジルオキシ)-N-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド塩酸塩6.10gを固体として得た。
【0098】
製造例10
アルゴン雰囲気下、2-クロロピラジン4.00g、エチレングリコール27.3mL、ジオキサン60.0mLの混合物に、氷冷下、カリウムtert-ブトキシド4.70gを加え60℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧下濃縮し、得られた残渣に塩化アンモニウム水溶液を加えてクロロホルムにて抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=30:70〜0:100)にて精製し、2-(ピラジン-2-イルオキシ)エタノール2.77gを油状物として得た。
【0099】
製造例11
3-(2-アミノエチル)-5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸12.0gをジオキサン60.0mLと水60.0mLの混合物に懸濁し、トリエチルアミン18.9mL、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]スクシンイミド12.0gを加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、体積が約半分になるまで反応混合物を減圧下濃縮した。反応混合物に1M塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルを加えて析出した固体をろ別し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた固体をヘキサン:酢酸エチル=5:1で洗浄することで、5-(ベンジルオキシ)-3-[2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)エチル]-1H-インドール-2-カルボン酸13.8gを固体として得た。
【0100】
製造例12
1-メチル-1H-ピラゾール-3-オール4.90g、2-ブロモエタノール17.6mL、炭酸カリウム34.5g、アセトニトリル73.5mLの混合物を、加熱還流下、終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、固体をろ別し酢酸エチルで洗浄した後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40〜10:90)にて精製し、2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エタノール 3.33gを油状物として得た。
【0101】
製造例13
N-(2-{5-(2-ブロモエトキシ)-6-フルオロ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド400mg、5-フルオロ-6-メトキシ-3-ピリジノール220mg、炭酸セシウム800mgをジメチルホルムアミド12.0mLに加え、70℃に加熱し3時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜90:10)により精製し、N-[2-(6-フルオロ-5-{2-[(5-フルオロ-6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド348mgを固体として得た。
【0102】
製造例14
N-[(2R)-2-{6-フルオロ-5-ヒドロキシ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}プロピル]アセトアミド300mg、炭酸セシウム726mg、1-(2-クロロエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール215mg、テトラブチルアンモニウムヨージド28.0mg、ジメチルホルムアミド6.00mLの混合物を、50℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水6mLを加え、析出した固体をろ取し、水:ジメチルホルムアミド=1:1で洗浄し、N-[(2R)-2-{6-フルオロ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-[2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ]-1H-インドール-3-イル}プロピル]アセトアミド245mgを固体として得た。
【0103】
製造例15
2-[(2R)-2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)プロピル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン2.49g、ヒドラジン一水和物17.7g、メタノール75.0mLの混合物を、室温で2時間撹拌した。反応混合物に1M水酸化ナトリウム水溶液100mLを加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、溶媒を減圧下濃縮後、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜50:1〜30:1)により精製し、(2R)-2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)プロパン-1-アミン1.28gを油状物として得た。
【0104】
製造例16
1-{2-[5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル]エチル}-3-メチルウレア7.59gをエタノール380mL、テトラヒドロフラン76.0mLの混合物に加え、アルゴン気流中で、10% パラジウム担持炭素(54%含水) 1.24 gを加えた後、水素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。触媒を濾別し、溶媒を減圧下留去し、1-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]-3-メチルウレア5.93gを固体として得た。
【0105】
製造例17
(3R)-4-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-3-メチルブタナール5.65g、(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ヒドラジン塩酸塩4.70g、酢酸141mLの混合物を、2時間還流下撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧下濃縮した。得られた残渣にクロロホルム500mLを加えて、1M水酸化ナトリウム水溶液400mLで洗浄した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜4:1〜2:1)により精製し、2-[(2R)-2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)プロピル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン2.49gを固体として得た。
【0106】
製造例18
アルゴン雰囲気下、2-[(2R)-4-ヒドロキシ-2-メチルブチル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン8.41g、トリエチルアミン15.1mLをジクロロメタンジクロロメタン123mL、ジメチルスルホキシド123mLの混合物に加え、氷冷した後、三酸化硫黄ピリジン錯体17.2gをジメチルスルホキシド123mLに溶解したものを10分間かけて滴下した。滴下終了後、室温に昇温し4時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜4:1)により精製し、(3R)-4-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-3-メチルブタナール5.65gを油状物として得た。
【0107】
製造例19
アルゴン雰囲気下、(2R)-4-{[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}-2-メチルブタン-1-オール28.8g、フタルイミド16,1g、トリフェニルホスフィン28.6g、テトラヒドロフラン500mLの混合物に、氷冷下、アゾジカルボン酸ジイソプロピル23.8gとトルエン50.0mLの混合物を30分かけて滴下した。滴下終了後、室温に昇温し1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜90:1〜84:16)により精製し、2-[(2R)-4-{[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}-2-メチルブチル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン39.7gを固体として得た。
【0108】
製造例20
(2R)-2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)プロパン-1-アミン1.28gをテトラヒドロフラン11.8mLに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液11.8mL、無水酢酸1.09mLを加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで抽出し、有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:1〜30:1)により精製し、N-[(2R)-2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)プロピル]アセトアミド1.57gを油状物として得た。
【0109】
製造例21
アルゴン雰囲気下、N-(2-{5-メトキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド1.95gをジクロロメタン60.0mLに溶解し、氷冷下、三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液)10.0mLを滴下して、氷冷下45分間撹拌した。反応混合物にメタノールを加え、水を加えた後、クロロホルムにて抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製し、N-(2-{5-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド1.51gを固体として得た。
【0110】
製造例22
7-フルオロ-6-ヒドロキシ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-1-オン3.00g、炭酸カリウム2.82g、3-(2-ブロモエトキシ)-1-メチル-1H-ピラゾール4.19g、ジメチルホルムアミド60.0mLの混合物を、70℃にて終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水を加え、析出した固体をろ取し、水で洗浄した。得られた固体とエタノール6.94mL、水6.94mLの混合物に、水酸化カリウム1.98gを加え、105℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、氷冷し、濃塩酸2.53mLを加え、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣に4M塩酸18.8mLを加えて90℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、炭酸カリウムを加え塩基性にした後、クロロホルムで抽出し、有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜92:8)により精製し、2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン536mgを固体として得た。
【0111】
製造例23
2-({3-(2-アセトアミドエチル)-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-5-イル}オキシ)エチル 4-メチルベンゼンスルホネート600mg、3-フルオロ-5-ヒドロキシ-2-メトキシピリジン230mg、炭酸カリウム700mgをジメチルホルムアミド12.0mLに加え、70℃に加熱し1.5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜90:10)により精製した。再度アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=100:0〜0:100)により精製し、N-[2-(5-{2-[(5-フルオロ-6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド515mgを固体として得た。
【0112】
製造例24
N-(2-{5-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド200mg、炭酸セシウム505mg、2-クロロエチルカルバミン酸エチル158mg、ヨウ化カリウム9.00mg、ジメチルホルムアミド4.00mLの混合物を、50℃にて終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜93:7)により精製し、エチル [2-({3-(2-アセトアミドエチル)-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-5-イル}オキシ)エチル]カーバメート182mgを固体として得た。
【0113】
製造例25
N-[2-(6-フルオロ-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド3.20g、50%水酸化ナトリウム水溶液 1.20mL、硫酸水素テトラブチルアンモニウム480mg、テトラヒドロフラン51.0mLの混合物を、室温で10分間撹拌した。p-トルエンスルホニルクロリド3.20gを加え、1時間激しく撹拌した。反応混合物に水を加えて希釈し、析出した固体をろ取し、水およびジエチルエーテルで洗浄することにより、N-(2-{6-フルオロ-5-メトキシ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド4.42gを固体として得た。
【0114】
製造例26
N-(2-{5-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド400mg、炭酸セシウム650mgをジメチルホルムアミド8.00mLに懸濁し、混合物に3-(2-ブロモエトキシ)-1-メチル-1H-ピラゾール300mgを加え、室温にて8時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜92:8)により精製し、N-[2-(2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド596mgを得た。
【0115】
製造例27
N-(2-{6-フルオロ-5-ヒドロキシ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド700mg、1,2-ジブロモエタン1.50mL、炭酸セシウム1.40g、ジメチルホルムアミド14.0mLの混合物を、室温で5時間撹拌した。1,2-ジブロモエタン1.50mL、炭酸セシウム1.50g を加え、室温でさらに終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄し、N-(2-{5-(2-ブロモエトキシ)-6-フルオロ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド918mgを固体として得た。
【0116】
製造例28
2-[5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル]エタンアミン13.8gをテトラヒドロフラン140mLに混合し、1,1'-カルボニルジイミダゾール12.7gを加え、室温で30分間撹拌した。メチルアミン(9.8Mメタノール溶液)55.0mLを加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、得られた残渣をクロロホルムで希釈し、有機層を水で洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えた後、混合物を減圧下濃縮した。得られた固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、1-{2-[5-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル]エチル}-3-メチルウレア13.0gを固体として得た。
【0117】
製造例29
2-(5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エタンアミン2.71g、トリエチルアミン5.00mLをジクロロメタン65.0mLに溶解し、プロピオン酸無水物2.50mLを加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製し、N-[2-(5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド2.73gを得た。
【0118】
製造例30
2-[(2R)-4-{[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}-2-メチルブチル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン39.7gをテトラヒドロフラン160mLに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1Mテトラヒドロフラン溶液)124mLを加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜90:10〜30:1)により精製し、2-[(2R)-4-ヒドロキシ-2-メチルブチル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン8.43gを油状物として得た。
【0119】
製造例31
N-(2-{5-(2-ブロモエトキシ)-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}プロピル)アセトアミド400mg、1-メチル-1H-ピラゾール-3-オール160mg、炭酸セシウム870mgをアセトニトリル10.0mLに加え、70℃に加熱し3時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜90:10)により精製し、N-[2-(1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)プロピル]アセトアミド268mgを固体として得た。
【0120】
製造例32
アルゴン雰囲気下、2-(トリメチルシリル)エチル [2-(5-ヒドロキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]カーバメート215mg、2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エタノール137mg、シアノメチレントリブチルホスホラン355μL、トルエン4.30mLの混合物を、加熱還流下で6時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5〜55:45)により精製し、2-(トリメチルシリル)エチル [2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]カーバメート260mgを油状物として得た。
【0121】
製造例33
2-(トリメチルシリル)エチル [2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]カーバメート260mgをジクロロメタン2.00mLに溶解し、トリフルオロ酢酸1.50mLを加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、水層を炭酸カリウムで飽和させ、酢酸エチルにて抽出した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、固体を濾別後、アミノシリカゲルを加えて減圧下濃縮し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5)により精製し、2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン176mgを油状物として得た。
【0122】
製造例34
アルゴン気流下、2-(トリメチルシリル)エチル {2-[5-(ベンジルオキシ)-2-(ヒドロキシメチル)-1H-インドール-3-イル]エチル}カーバメート 584mg、塩化パラジウム(II) 409mg、テトラヒドロフラン12.0mL、メタノール1.20mLの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム175mgを加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水を加え、不溶物をセライトろ過によりろ別した。得られたろ液を酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をアルゴン気流下、塩化パラジウム(II) 940mg、テトラヒドロフラン30.0mL、メタノール3.00mLと混合し、水素化ホウ素ナトリウム401mgを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、不溶物をセライトろ過によりろ別した。得られたろ液を酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜40:60)により精製し、2-(トリメチルシリル)エチル [2-(5-ヒドロキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]カーバメート327mgを油状物として得た。
【0123】
製造例35
5-(ベンジルオキシ)-3-[2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)エチル]-1H-インドール-2-カルボン酸1.02gをテトラヒドロフラン20.3mLに溶解し、1,1'-カルボニルジイミダゾール725mgを加えて、室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷冷した後、反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(254mg)水溶液2.54mLを滴下し、氷冷のまま1時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え10分間撹拌した後、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20〜60:40)により精製し、2-(トリメチルシリル)エチル {2-[5-(ベンジルオキシ)-2-(ヒドロキシメチル)-1H-インドール-3-イル]エチル}カーバメート797mgを固体として得た。
【0124】
製造例36
N-[2-(5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド2.73g、50%水酸化ナトリウム水溶液27.0mL、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド480mg、テトラヒドロフラン54.0mLの混合物に、p-トルエンスルホニルクロリド3.00gを加え、1時間激しく撹拌した。p-トルエンスルホニルクロリド3.00gを加え、さらに1時間激しく撹拌した。p-トルエンスルホニルクロリド3.00gを加え、さらに1時間激しく撹拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜93:7)により精製し、N-(2-{5-メトキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド2.29gをアモルファスとして得た。
【0125】
製造例37
窒素雰囲気下、(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ヒドラジン塩酸塩500mg、5-クロロ-2-ペンタノン358μL、エタノール20.0mL、水4.00mLの混合物を、終夜加熱還流した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧下濃縮した。得られた残渣に水を加えた後、1M水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性として、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2〜93:7)により精製し、2-(6-フルオロ-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エタンアミン及び2-(4-フルオロ-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エタンアミンの混合物569mgを油状物として得た。
【0126】
製造例38
N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド2.00g、1,2-ビス(4-メチルベンゼンスルホニルオキシ)エタン10.0g、炭酸セシウム12.0g、ジメチルホルムアミド60.0mLの混合物を80℃に加熱し1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、反応混合物に酢酸エチルを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5〜10:1)により精製し、2-{[3-(2-アセトアミドエチル)-1H-インドール-5-イル]オキシ}エチル 4-メチルベンゼンスルホネート2.40gを油状物として得た。
【0127】
製造例39
N-(2-{5-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド200mg、トリフェニルホスフィン263mg、2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール95.0mg、テトラヒドロフラン2.10mLの混合物に、氷冷下、アゾジカルボン酸ビス(2-メトキシエチル)234mgのテトラヒドロフラン1.05mL溶液を滴下した。滴下終了後、室温に昇温し終夜撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した後、有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2〜93:7)により精製し、N-(2-{2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-[2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ]-1H-インドール-3-イル}エチル)プロパンアミド155mgを得た。
【0128】
製造例41
1-メチル-1H-ピラゾール-3-オール20.0g、1,2-ジブロモエタン180mL、炭酸カリウム114g、アセトニトリル500mLの混合物を50℃にて5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、固体をろ別した後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮することにより、3-(2-ブロモエトキシ)-1-メチル-1H-ピラゾール31.0gを油状物として得た。
【0129】
製造例43
N-[2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド1.38gをエタノール8mL、水8mLの混合物に加え、水酸化カリウム2.2gを加えて100℃で2日間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、飽和塩化ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜93:7)により精製し、2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン932mgを油状物として得た。
【0130】
上記製造例に記載の方法と同様にして、後記表に示す製造例40、42、44〜96の化合物を製造した。
製造例化合物の構造を表6〜表24に、物理化学的データ及び製造法を表25〜27にそれぞれ示す。
【0131】
実施例1
窒素気流下、活性化させたマグネシウム懸濁液(メタノール2.00mL中、マグネシウム50mgを超音波処理して調整した)を、N-[2-(2-メチル-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド590mg、マグネシウム160mg、メタノール20.0mLの混合物に加え、窒素気流下、水浴で冷却しながら3時間撹拌した。反応混合物にマグネシウム160mgを加えさらに3時間撹拌し、マグネシウム160mgを加えさらに1時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2〜92:8)により精製し、N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド270 mgを固体として得た。
【0132】
実施例2
N-{2-[5-(2-ブロモエトキシ)-1H-インドール-3-イル]エチル}アセトアミド112mg、1-メチル-1H-ピラゾール-3-オール67.6mg、炭酸セシウム393mgをアセトニトリル3.92mLに加え、60℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、N-[2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド100mgを油状物として得た。
【0133】
実施例3
N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド200mg、2-(ピラジン-2-イルオキシ)エタノール160mg、シアノメチレントリブチルホスホラン508μL、トルエン4.00mLの混合物を、90℃で1.5時間、110℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5)により精製した。さらにアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5)により2回精製しN-(2-{5-[2-(ピラジン-2-イルオキシ)エトキシ]-1H-インドール-3-イル}エチル)アセトアミド250mgを固体として得た。
【0134】
実施例4
N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド200mg、2-[3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール261mg、トリフェニルホスフィン361mg、テトラヒドロフラン2.00mLの混合物に、氷冷下アゾジカルボン酸ジエチル(2.2M トルエン溶液)625μLを滴下した。滴下終了後、室温に昇温し終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜10:1)により精製し、N-[2-(5-{2-[3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド65.0mgを油状物として得た。
【0135】
実施例5
N-{2-[5-(2-ブロモエトキシ)-1H-インドール-3-イル]エチル}アセトアミド100mg、5-ヒドロキシ-2-メトキシピリジン77.0mg、炭酸セシウム301mg、ジメチルホルムアミド3.00mLの混合物を、70℃で48時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜20:1)により精製した。再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜50:50〜0:100)により精製し、N-[2-(5-{2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド40.0mgを油状物として得た。
【0136】
実施例6
N-[2-(6-フルオロ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド385mgをメタノール3.10mLとテトラヒドロフラン6.20mLの混合物に溶解し、炭酸セシウム732mgを加え、65℃に加熱し3時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製し、N-[2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド191mgを固体として得た。
【0137】
実施例7
2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン84.0mg、トリエチルアミン112μLをテトラヒドロフラン3.00mLに溶解し、反応混合物に無水酢酸27.8μLを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物にメタノールを加え撹拌した後、反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜95:5)により精製し、N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド89.0mgを得た。
【0138】
実施例8
2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン150mg、トリエチルアミン200μL、ジクロロメタン3.50mLの混合物に、プロピオン酸無水物96.0μLを加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製し、N-[2-(5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド187mgを得た。
【0139】
実施例9
2-(2-メチル-5-{2-[(2-メチルピリジン-4-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン34.0mgとテトラヒドロフラン1.50mLの混合物に、氷冷下1,1'-カルボニルジイミダゾール23.0mgを加え、室温まで昇温して1時間撹拌した。反応混合物にメチルアミン(9.8Mメタノール溶液)56.9μLを加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に水を加えて、クロロホルムで抽出し、有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製し、1-メチル-3-[2-(2-メチル-5-{2-[(2-メチルピリジン-4-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]ウレア26.0mgを固体として得た。
【0140】
実施例10
2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エタンアミン89.0mg、4-ニトロフェニル メチルカーバメート61.1mg、トリエチルアミン50.0μL、テトラヒドロフラン2.00mLの混合物を、60℃で3時間撹拌した。反応混合物にメタノールを加え撹拌した後に、反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜95:5)により精製した。再度アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1〜95:5)により精製し、1-メチル-3-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]ウレア87.0mgを固体として得た。
【0141】
実施例11
2-{[3-(2-アセトアミドエチル)-1H-インドール-5-イル]オキシ}エチル 4-メチルベンゼンスルホネート200mg、6-メチルピリジン-2-オール110mg、炭酸カリウム200mg、ジメチルホルムアミド4.00mLの混合物を、60℃で18時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物にクロロホルムと水を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5)により精製した。得られた化合物を分取薄層クロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、N-[2-(5-{2-[(6-メチルピリジン-2-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド 86.0mgを得た。
【0142】
上記実施例に記載の方法と同様にして、後記表に示す実施例12〜64の化合物を製造した。
【0143】
実施例65
N-[2-(6-フルオロ-1-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド19.0gをメタノール150mLとテトラヒドロフラン300mLの混合物に溶解し、炭酸セシウム37.0gを加え、65℃に加熱し4時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、固体を濾別し、濾液を減圧下濃縮した.得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=97:3〜92:8)により精製した.このものをジイソプロピルエーテル30mLと酢酸エチル90mLに懸濁撹拌し、得られた固体をろ取して、N-[2-(6-フルオロ-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]アセトアミド10.4gを白色の結晶として得た。
本実施例で得られた結晶は、粉末X線回折で2θ(°) 5.0,9.9,10.1,17.0,17.7,18.1,18.6,19.8,21.5及び24.8付近にピークを有するものである。
【0144】
実施例66
N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミド100mgを2-プロパノール1.00mLに懸濁し、10分間加熱還流した後、室温に冷却し終夜撹拌した。析出した固体をろ取して、減圧下、45℃で終夜乾燥し、N-[2-(2-メチル-5-{2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ]エトキシ}-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパンアミドを43.0mgを白色の結晶として得た
本実施例で得られた結晶は、粉末X線回折で2θ(°) 8.1,8.5,10.8,12.5,15.4,16.3,17.0,17.8,21.1及び21.8付近にピークを有するものである。
実施例化合物の構造を表28〜表41に、物理化学的データ及び製造法を表42〜47にそれぞれ示す。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】
【表8】
【0148】
【表9】
【0149】
【表10】
【0150】
【表11】
【0151】
【表12】
【0152】
【表13】
【0153】
【表14】
【0154】
【表15】
【0155】
【表16】
【0156】
【表17】
【0157】
【表18】
【0158】
【表19】
【0159】
【表20】
【0160】
【表21】
【0161】
【表22】
【0162】
【表23】
【0163】
【表24】
【0164】
【表25】
【0165】
【表26】
【0166】
【表27】
【0167】
【表28】
【0168】
【表29】
【0169】
【表30】
【0170】
【表31】
【0171】
【表32】
【0172】
【表33】
【0173】
【表34】
【0174】
【表35】
【0175】
【表36】
【0176】
【表37】
【0177】
【表38】
【0178】
【表39】
【0179】
【表40】
【0180】
【表41】
【0181】
【表42】
【0182】
【表43】
【0183】
【表44】
【0184】
【表45】
【0185】
【表46】
【0186】
【表47】