(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429002
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】太陽電池複合表示体
(51)【国際特許分類】
G09F 19/18 20060101AFI20181119BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20181119BHJP
H02S 40/20 20140101ALI20181119BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20181119BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20181119BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
G09F19/18 F
G03B21/14 Z
H02S40/20
H01L31/04 500
G03B21/00 D
G02B5/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-144878(P2014-144878)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-20995(P2016-20995A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美帆
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸夫
【審査官】
大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−151496(JP,A)
【文献】
特開2004−302223(JP,A)
【文献】
特開2009−069550(JP,A)
【文献】
特開2010−192468(JP,A)
【文献】
特開2010−147440(JP,A)
【文献】
特表2009−524794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/18
G02B 5/02
G03B 21/00
G03B 21/14
H01L 31/042
H02S 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面を有する太陽電池パネルと、
前記受光面に対して所定の角度で傾斜すると共に、水平方向に延在する複数の光拡散部と、
前記光拡散部に映像を投影するプロジェクターと、
からなり、
前記光拡散部が鉛直方向に互いに等間隔で設けられ、
前記受光面には前記光拡散部同士の間の空間から太陽光が導かれることを特徴とする太陽電池複合表示体。
【請求項2】
前記光拡散部が前記プロジェクターからの投影を透過することで映像を表示することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池複合表示体。
【請求項3】
前記光拡散部が前記プロジェクターからの投影を反射することで映像を表示することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池複合表示体。
【請求項4】
前記光拡散部が光拡散板であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池複合表示体。
【請求項5】
前記光拡散部がフィルム表面に設けられる光拡散層であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池複合表示体。
【請求項6】
前記光拡散部がフィルムの内部に設けられる光拡散層であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池複合表示体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示を行うための表示面を含み、太陽電池パネルによる発電も行うことが可能な太陽電池複合型表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の環境との調和を図ると共に、表示面による表示及び太陽電池パネルによる発電の両立が可能であり、交通標識や広告などに供することができる太陽電池複合型表示体が提案されている。
【0003】
上記のような太陽電池複合表示体の類例としては、特許文献1(特願2014−075571)には、第1面及び前記第1面に対向する第2面を有するシート状の本体部と、前記本体部の第2面に対向して配置された太陽電池パネルと、を備え、前記本体部の前記第1面は、一軸方向に交互に配列された複数の向き調整面及び複数の光透過面と、を含み、前記向き調整面は、前記太陽電池パネルのパネル面に対して傾斜し、前記光透過面は、前記太陽電池パネルのパネル面に対して前記向き調整面とは異なる角度で傾斜し、前記向き調整面に、表示を行うための表示面が配置されている、太陽電池複合型表示体が開示されている。
【特許文献1】特願2014−075571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、プリズムシートと太陽電池とからなる太陽電池複合型表示体であって、受光面と表示面が角度をなすように配置することにより、図柄の視認性と太陽電池の発電が両立できる太陽電池複合表示体である。
【0005】
ところで、例えば、太陽電池複合表示体を広告に用いるような場合には、表示面の図柄の変更を適宜行いたい、というニーズがある。しかしながら、特許文献1のような太陽電池複合表示体では、表示面に図柄が固定されているために、太陽電池複合表示体の表示情報を変更するためにはプリズムシート全体を交換する必要があり、簡便に図柄を変更することができない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、本発明に係る太陽電池複合表示体は、受光面を有する太陽電池パネルと、前記受光面に対して所定の角度で傾斜すると共に、
水平方向に延在する複数の光拡散部と、前記光拡散部に映像を投影するプロジェクターと、からな
り、前記光拡散部が鉛直方向に互いに等間隔で設けられ、前記受光面には前記光拡散部同士の間の空間から太陽光が導かれることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る太陽電池複合表示体は、前記光拡散部が前記プロジェクターからの投影を透過することで映像を表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る太陽電池複合表示体は、前記光拡散部が前記プロジェクターからの投影を反射することで映像を表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る太陽電池複合表示体は、前記光拡散部が光拡散板であることを特徴
とする。
【0011】
また、本発明に係る太陽電池複合表示体は、前記光拡散部がフィルム表面に設けられる光拡散層であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る太陽電池複合表示体は、前記光拡散部がフィルムの内部に設けられる光拡散層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の太陽電池複合表示体によれば、表示面の図柄の変更を簡便に行うことが可能となり、広告などへの利用性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の表示例を示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100で用いられるフィルム基材20の構成を説明する斜視図である。
【
図7】フィルム基材20の単位三角柱部30の配列方向を側面からみた図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100で用いられるフィルム部材の製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の斜視図である。また、
図2は本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0016】
太陽電池パネル50は受光面51を有しており、これにより発電を行うことができるようになっている。本実施形態においては、この太陽電池パネル50の受光面51は、鉛直方向と平行である場合を説明しているが、太陽電池パネル50のレイアウトはこれに限定されるものではない。
【0017】
光拡散板10は、太陽電池パネル50の受光面51側に複数配されている。また、光拡散板10は、受光面51に対して所定の角度(θ
0)で傾斜すると共に、鉛直方向と垂直
な方向に延在するようにして設けられている。
【0018】
本実施形態では、全ての光拡散板10が、受光面51に対して所定の角度(θ
0)で傾
斜しているが、全ての光拡散板10が同じ角度で、受光面51に対して傾斜する必要は必ずしもなく、光拡散板10によって、プロジェクター60で投影された映像が表示されるのであれば、複数の光拡散板10は、受光面51に対して任意の傾斜角で配することがで
きる。
【0019】
また、本実施形態では、全ての光拡散板10が、受光面51から同じ距離に設けられているが、全ての光拡散板10が受光面51から等距離である必要はなく、光拡散板10によって、プロジェクター60で投影された映像が表示されるのであれば、複数の光拡散板10は、受光面51から任意の距離で配することができる。
【0020】
また、本実施形態では、全ての光拡散板10が、鉛直方向に互いに等間隔で設けられているが、光拡散板10同士の間の距離も任意とすることができる。
【0021】
また、プロジェクター60は、光拡散板10に映像を投影するものである。プロジェクター60よって、投影する画像は静止画像であっても良いし、動画像であってもよい。本実施形態では、鉛直方向に並んだ光拡散板10の列に対して、観察者のアイポイントEが想定される側と逆側にプロジェクター60が設けられ、光拡散板10が透過型のスクリーンとして利用される。
【0022】
以上のように構成される太陽電池複合表示体100の利用形態について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0023】
太陽電池複合表示体100は、
図2に示すように、光拡散板10同士の間の空間から、太陽Sの光を太陽電池パネル50の受光面51に導くことができるようになっている。これにより、太陽電池パネル50が受光できるので、太陽電池複合表示体100で発電が可能となる。
【0024】
一方、光拡散板10には、プロジェクター60によって、投影された画像が投影される。光拡散板10は、この場合、透過型スクリーンとして機能して、観察者のアイポイントEにおいて、プロジェクター60による投影像を視認することができるようになる。
図3は本発明の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の表示例を示す図である。このように、太陽電池複合表示体100は、表示と太陽電池パネル50による発電の両立が可能であり、交通標識や広告などに供することができる。
【0025】
さらに、ここで、本発明に係る太陽電池複合表示体100においては、プロジェクター60によって、任意の画像を光拡散板10に投影することが可能に構成されているために、本発明の太陽電池複合表示体100によれば、表示面の図柄の変更を簡便に行うことが可能となり、広告などへの利用性をより高めることができる。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図4は本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0027】
先の実施形態では、鉛直方向に並んだ光拡散板10の列に対して、観察者のアイポイントEが想定される側と逆側にプロジェクター60が設けられ、光拡散板10が透過型のスクリーンとして利用されていた。
【0028】
これに対して、
図4に係る実施形態においては、鉛直方向に並んだ光拡散板10の列に対して、観察者のアイポイントEが想定される側と同じ側にプロジェクター60が設けられ、光拡散板10が反射型のスクリーンとして利用する。
【0029】
このような実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図5は本発明の他の実施形態に係る太
陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0031】
これまでの実施形態においては、プロジェクター60による投影像を表示する光拡散部の構成としては、光拡散板10が用いられていたが、本実施形態においては、フィルム基材20に設けられる光拡散層25によって、光拡散部を構成する。
【0032】
フィルム基材20としては、例えば、透明な有機合成樹脂材料(光透過材料)により形成されるフィルムシートなどを用いることができるが、ガラス基材のような無機材料で形成されたものを用いることもできる。
【0033】
ここで、光拡散層25を構成するフィルム基材20について説明する。
図6は本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100で用いられるフィルム基材20の構成を説明する斜視図である。
図7はフィルム基材20の単位三角柱部30の配列方向を側面からみた図である。
【0034】
フィルム基材20は、第1主面21と、この第1主面21と表裏の関係にある第2主面22とを有している。第1主面21には、複数の単位三角柱部30が設けられており、多面状となっているが、第1主面21を便宜上主面と称することとする。
【0035】
図2及び
図3に示すように、フィルム基材20の第1主面21には、複数の単位三角柱部30が設けられている。また、第1主面21に設けられている単位三角柱部30は、第2主面22と平行な面(
図7の点線で示す面)に対して第1角度θ
1で傾斜した第1面3
1と、前記平行な面に対して第2角度θ
2で傾斜した第2面32とから構成されている。
【0036】
上記のような、フィルム基材20の単位三角柱部30における第2面32には、例えば、インクジェット印刷などで光拡散層25を形成する。これにより、例えば、
図5に示すように、フィルム基材20を用いた構成により、これまで説明した太陽電池複合表示体100と同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図8は本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0038】
図5に示す実施形態においては、フィルム基材20の第2主面22が、太陽電池パネル50の受光面51と対向するレイアウトであったが、
図8に示す実施形態においては、フィルム基材20の第1主面21が、太陽電池パネル50の受光面51と対向するレイアウトとなっている。
【0039】
このような実施形態によっても、これまで説明した太陽電池複合表示体100と同様の効果を得ることができる。
【0040】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図9は本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100の利用形態を説明する図である。
【0041】
図5及び
図8で説明した実施形態においては、光拡散層25がフィルム基材20の表面に設けられたものであったが、
図9に示す光拡散層25がフィルム部材の内部に設けられるようになっている。すなわち、
図9に示すように、光拡散層25が封止部材27によって封止される構成となっている。
【0042】
このような実施形態によれば、これまで説明した太陽電池複合表示体100と同様の効果を得ることができると共に、光拡散層25が損傷する確率が小さくなる、というメリッ
トがある。
【0043】
次に、これまで説明してきた光拡散層25が設けられるフィルム部材を製造する方法について簡単に説明する。
図10は本発明の他の実施形態に係る太陽電池複合表示体100で用いられるフィルム部材の製造工程を説明する図である。
【0044】
まず、
図10(A)に示すように、UV硬化樹脂成型によって、フィルム基材20に凹凸を賦形する。これにより、
図6や
図7に示したフィルム基材20を製造することできる。
【0045】
続いて、
図10(B)に示す工程では、フィルム基材20の複数の第2面32にのみ(
図6、
図7参照)光拡散層25を形成する。この光拡散層25を形成する工程では、インクジェット印刷による方法を用いたり、サンドブラストによる方法を用いたりすることができる。この
図10(B)に示す工程で完成した、光拡散層25付きのフィルム基材20は、
図5及び
図8で説明した実施形態に用いることができる。
【0046】
次の
図10(C)に示す工程では、
図10(B)に示す工程で形成された光拡散層25付きのフィルム基材20表面上を、UV硬化樹脂などによって封止して、封止部材27を追加する。これによって、フィルム部材内部に光拡散層25が設けられたフィルム部材が完成する。この
図10(C)に示す工程で完成した、封止部材27付きのフィルム基材20は、
図9で説明した実施形態に用いることができる。
【0047】
以上、本発明の太陽電池複合表示体によれば、表示面の図柄の変更を簡便に行うことが可能となり、広告などへの利用性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
10・・・光拡散板(光拡散部)
20・・・フィルム基材
21・・・第1主面
22・・・第2主面
25・・・光拡散層(光拡散部)
27・・・封止部材
30・・・単位三角柱部
31・・・第1面
32・・・第2面
50・・・太陽電池パネル
51・・・受光面
60・・・プロジェクター
100・・・太陽電池複合表示体