(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施例に係る搬送装置としての記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[実施例1](
図1〜
図7)
図1は本実施例の記録装置1を表す概略側面図である。
【0020】
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体P(被搬送体)のセット部14から、被記録媒体Pの支持部であるプラテン2、プラテン3及びプラテン4を介して、被記録媒体Pの巻取部15まで、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する。すなわち、セット部14から巻取部15までが記録装置1における被記録媒体Pの搬送経路であり、プラテン2、プラテン3及びプラテン4は該搬送経路に設けられた被記録媒体Pの支持部である。なお、セット部14は回転方向Cに回転して被記録媒体Pを送出し、巻取部15は回転方向Cに回転して被記録媒体Pを巻き取る。
【0021】
なお、本実施例では記録面16が外側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用しているので、被記録媒体Pをセット部14から送出する際、セット部14の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用する場合は、セット部14の回転軸は回転方向Cとは逆回転して送出することが可能である。
そして、同様に、本実施例の巻取部15は被記録媒体Pの記録面16が外側になるように巻き取るので、巻取部15の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻き取る場合は、巻取部15の回転軸は回転方向Cとは逆回転して巻き取ることが可能である。
【0022】
なお、本実施例の記録装置1は、ロール状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成であるが、このような構成に限定されず、単票状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成であってもよい。単票状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成である場合、被記録媒体Pのセット部14として、例えば、所謂、給紙(給送)トレイ及び給紙(給送)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。また、被記録媒体Pの回収部として、巻取部15以外の回収部として、例えば、所謂、排出用受部、排紙(排出)トレイ及び排紙(排出)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。さらには、ロール状の被記録媒体P及び単票状の被記録媒体Pの少なくとも一方を使用可能な記録装置において、特に回収部を設けない構成としてもよい。
【0023】
また、本実施例の記録装置1は、プラテン2とプラテン3の間に、搬送方向Aと交差する交差方向Bの回転軸を有し、記録面16の反対側の面である被記録媒体Pの面17に送り力を付与する駆動ローラー5が設けられている。
そして、被記録媒体Pの搬送経路における駆動ローラー5と対向する側には、交差方向Bの回転軸を有する従動ローラー7が設けられている。そして、ローラー対を構成する駆動ローラー5と従動ローラー7とで被記録媒体Pを挟持することができる。このような構成により、駆動ローラー5及び従動ローラー7などで搬送部9を構成している。ここで、従動ローラーとは、被記録媒体Pの搬送に伴って回転するローラーを意味する。
また、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する際は、駆動ローラー5は回転方向Cに回転し、従動ローラー7は回転方向Cとは逆方向に回転する。
【0024】
また、本実施例の記録装置1は、プラテン3と対向する側に記録部としての記録ヘッド12が備えられている。記録装置1は、キャリッジ11を介して交差方向Bに記録ヘッド12を往復移動させながら、記録ヘッド12のノズル形成面Fから被記録媒体Pにインクを吐出させて所望の画像を形成する。このような構成により、記録ヘッド12は、被記録媒体Pにインクを吐出することができる。
【0025】
なお、本実施例の記録装置1は、往復移動しながら記録する記録ヘッド12を備えているが、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する交差方向Bに複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。
ここで、「ラインヘッド」とは、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向Bに形成されたノズルの領域が、被記録媒体Pの交差方向B全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッド又は被記録媒体Pを相対的に移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの交差方向Bのノズルの領域は、記録装置が対応している全ての被記録媒体Pの交差方向B全体をカバー可能でなくてもよい。
また、本実施例の記録ヘッド12は、被記録媒体Pに液体としてのインクを吐出することで記録可能な記録部であるが、このような記録部に限定されず、例えば、色材を被記録媒体Pに転写して記録する転写式の記録部を使用してもよい。
【0026】
また、被記録媒体Pの搬送経路において記録ヘッド12の搬送方向Aにおける下流側であってプラテン4と対向する位置には、被記録媒体Pの搬送速度を検出可能な速度センサーとしてのセンサー8が設けられている。該センサー8についての詳細は後述する。
【0027】
また、被記録媒体Pの搬送経路におけるセンサー8と巻取部15との間の位置には、被記録媒体Pに搬送方向Aに沿う方向に張力を付与する張力付与部としてのテンションバー10が設けられている。
なお、本実施例のテンションバー10、セット部14及び巻取部15は、制御部18(
図2参照)の制御により姿勢及び位置を変更可能であり、姿勢及び位置の少なくとも一方を変更して被記録媒体Pの交差方向Bにおける搬送方向の調整を行うことが可能に構成されている。
【0028】
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図2は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部18には、記録装置1の全体の制御を司るCPU19が設けられている。CPU19は、システムバス20を介して、CPU19が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンス等を格納したROM21と、データを一時的に格納可能なRAM22と、接続されている。
【0029】
また、CPU19は、システムバス20を介して、記録ヘッド12を駆動するためのヘッド駆動部23と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、キャリッジ11を移動させるためのキャリッジモーター25、送出部14の駆動源である送出モーター26、駆動ローラー5の駆動源である搬送モーター27、巻取部15の駆動源である巻取モーター28、を駆動させるためのモーター駆動部24と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、張力発生部10の姿勢及び位置を変更するための張力発生部移動部6と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、送出部14の姿勢及び位置を変更するための送出部移動部30と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、巻取部15の姿勢及び位置を変更するための巻取部移動部13と接続されている。
さらに、CPU19は、システムバス20を介して、入出力部31と接続されており、入出力部31は、センサー8、記録データ等を記録装置1に入力する外部装置であるPC29、と接続されている。
【0030】
次に、本実施例のセンサー8について詳細に説明する。
図3及び
図4は、本実施例の記録装置1におけるセンサー8の周辺部を表す概略平面図である。このうち、
図3は、斜行搬送されることなく被記録媒体Pが搬送されている状態を表す図である。一方、
図4は、被記録媒体Pが搬送方向Aの下流側に進むにつれて図中の左側(センサー8b側)にずれるように搬送されている状態を表す図である。
【0031】
図3及び
図4で表されるように、本実施例の記録装置1は、搬送される被記録媒体Pの搬送速度を検出するセンサー8として、第1速度センサーとしてのセンサー8aと、搬送方向Aから見て該搬送方向Aと交差する交差方向Bにおいてセンサー8aと異なる位置に設けられる第2速度センサーとしてのセンサー8bと、を備えている。そして、本実施例の制御部18は、斜行検出部として、センサー8a及びセンサー8bの検出速度に基づいて相対速度差を求め、該相対速度差から被記録媒体Pの斜行状態を検出することができる。
【0032】
このように、例えば被記録媒体Pの搬送方向Aから見て左側及び右側など、交差方向Bにおいて異なる位置で相対速度差を求め、該相対速度差から被搬送体の斜行状態(斜行度合い)を検出することで、絶対速度の検出が高精度で行えない速度センサーを第1速度センサー及び第2速度センサーとして用いた場合であっても、絶対速度の検出が高精度で行えないということを補完することができる。すなわち、被記録媒体Pの斜行状態の検出精度を高くすることができる。
【0033】
絶対速度の検出が高精度で行えない速度センサーを第1速度センサー及び第2速度センサーとして用いた場合であっても、絶対速度の検出が高精度で行えないということを補完することができるのは、以下の理由である。
本実施例の制御部18は、センサー8a及びセンサー8bで検出される検出速度に基づく相対速度差を以下のように演算する。
本実施例の記録装置1では、センサー8a及びセンサー8bは、共に、交差方向Bの位置を変更可能に設けられている。このため、ユーザーは、
図3及び
図4における被記録媒体Pの右側端部からセンサー8aまでの距離と被記録媒体Pの左側端部からセンサー8bまでの距離とが同等となるように配置させることができる。センサー8a及びセンサー8bをこのように配置させ、センサー8aの検出速度をV1とし、センサー8bの検出速度をV2とすると、被記録媒体P全体としての搬送速度Vaveは、Vave=(V1+V2)/2となる。本実施例の制御部18は、((V1−V2)/Vave)×100(%)を演算し、この値を相対速度差としている。
なお、本実施例の制御部18は、((V1−V2)/Vave)×100(%)を相対速度差としているが、V1−V2を相対速度差としてもよい。
【0034】
このように相対速度差を基準として被記録媒体Pの斜行状態を判断しているので、本実施例の記録装置1のような構成は、絶対速度の検出が高精度で行えない速度センサーを用いたとしても、被記録媒体Pの斜行状態の検出が高精度になる。
例えば、センサー8aの検出速度V1及びセンサー8bの検出速度V2の絶対速度で斜行状態を判断すると、被記録媒体Pの種類などによってその絶対速度の検出値が変わり、正確な斜行状態が判断できない場合がある。
一方、本実施例によれば、センサー8aの検出速度V1及びセンサー8bの検出速度V2が変化したとしても、Vaveに対するV1及びV2の比率は変化しないので、((V1−V2)/Vave)×100(%)の値は変化しない。このため、正確な斜行状態が判断できる。
なお、同じ相対速度差であっても搬送状態は、センサー8a及びセンサー8bの距離に応じて当然変化する。このため、このセンサー8a及びセンサー8bの距離に基づいて斜行状態を判断している。
【0035】
また、被記録媒体Pの先端を検出するような従来の斜行検出は、被記録媒体Pの搬送経路における斜行によって被記録媒体Pのずれが大きい位置に、斜行検出センサーを設置しないと有効な検出が困難であった。一方、本実施例の記録装置1は、セット部14から巻取部15まで、所謂、roll to rollで連続する被記録媒体Pを搬送する構成である。このため、被記録媒体Pの搬送経路の何れにおいても、被記録媒体Pが斜行搬送された場合の斜行度合いが大きく異ならないという傾向にある。このため、被記録媒体Pの搬送経路におけるどの位置でも、相対速度差(斜行度合い)は実質的に変わらない傾向にある。したがって、第1速度センサー8a及び第2速度センサー8bの設置位置の自由度を高くすることができる。
また、roll to rollで連続する被記録媒体Pを搬送する構成でない場合においても、被記録媒体Pの相対速度差により斜行搬送を判断する構成とすることで、被記録媒体Pの斜行搬送が累積する位置以外の位置にセンサー8を配置して高い精度で斜行搬送を判断できる。このため、被記録媒体Pの斜行搬送が累積する位置に配置されないと高い精度で斜行状態を判断できない、被記録媒体Pの絶対速度を検出して斜行状態を判断する構成や被記録媒体Pの先端を検出して斜行状態を判断する構成に比べて、センサー8の設置位置の自由度を高くすることができる。
なお、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは同様の構成である。ただし、異なる構成の速度センサーとしてもよい。
【0036】
図3の状態においては、センサー8aで検出される被記録媒体Pの搬送速度と、センサー8bで検出される被記録媒体Pの搬送速度と、では差が無い。このため、センサー8a及びセンサー8bの検出速度に基づく相対速度差は無いと、制御部18は判断する。
一方、
図4の状態においては、センサー8aで検出される被記録媒体Pの搬送速度と、センサー8bで検出される被記録媒体Pの搬送速度と、では、センサー8aで検出される被記録媒体Pの搬送速度のほうが速くなる。センサー8aで検出される被記録媒体Pの搬送速度のほうが速いため、センサー8a側の方がセンサー8b側よりも搬送量が大きくなり、搬送方向Aの下流側に進むにつれてセンサー8b側にずれて搬送されるためである。このため、センサー8a及びセンサー8bの検出速度に基づく相対速度差は有り、交差方向Bにおけるセンサー8a側の方が速いと、制御部18は判断する。
【0037】
ここで、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、共に、被記録媒体Pに電磁波(光)を発射し、被記録媒体Pから反射される電磁波を受けて、ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求めるものである。
ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求める速度センサーは、被記録媒体Pの種類の違いによって検出速度値(絶対速度の値)が変わってしまう場合がある。被記録媒体Pの種類が変わると該被記録媒体Pで反射される散乱光の状態も変わってしまう場合があるためである。このような速度センサーは検出速度値をそのまま用いて被記録媒体Pの斜行状態を求めると、被記録媒体Pの種類の違いの影響を受けて、斜行状態を精度良く検出することが難しい場合がある。
一方、上記のように本実施例の記録装置1は、センサー8a及びセンサー8bで検出される検出速度に基づく相対速度差を求め、該相対速度差から被記録媒体Pの斜行状態を検出するので、被記録媒体Pの種類の違いによるセンサー8a及びセンサー8bで検出される検出速度の変化量を相殺することができ、以って、斜行状態を精度良く検出することができる。
なお、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、共に、被記録媒体Pに電磁波を発射して被記録媒体Pから反射される電磁波を受ける構成であるが、被記録媒体Pに音波を発射して被記録媒体Pから反射される音波を受ける構成としてもよい。
【0038】
ここで、ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求めることが可能な速度センサーの好ましい具体例について説明する。
1つ目の例としては、2本の照射光を被記録媒体Pの搬送方向Aの上流側及び下流側から発射させ、夫々の照射光に基づく被記録媒体Pからの反射光(散乱光)を同一の受光部で受ける構成である。該散乱光の中には被記録媒体Pの搬送方向Aにおける速度情報が光の波長変化という形で含まれており、上流側の照射光由来の散乱光は波長が長くなり、下流側の照射光由来の散乱光は波長が短くなる。そこで、これら両方の波長の波長差をヘテロダイン検波して波長を検出することで被記録媒体Pの搬送速度を求めることができる。
2つ目の例としては、レーザーから照射光を搬送方向Aに移動する被記録媒体Pに照射し、被記録媒体Pで反射されることで波長が変化した散乱光(戻り光)をレーザーで受光する構成である。該戻り光がレーザーに戻ってきたとき、照射光と戻り光との位相が揃うとレーザーの出力は微小に増加するが、該増加現象を活用することで被記録媒体Pの搬送速度を求めることができる。
なお、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、上記1つ目の例の構成である。
【0039】
ここで、被記録媒体Pの搬送速度Vとドップラー周波数fdとの一般的な関係について
図5を用いて説明する。
搬送速度Vで移動する被搬送体である物体に、波長λで周波数f0の照射光を入射角Θで照射すると、該物体で反射された周波数f0の照射光に基づく反射光の周波数は、周波数f0とドップラー周波数fdの和である周波数f0+fdとなる。ここで、搬送速度Vにおける照射光の照射方向における速度成分をVzとすると、Vz=VcosΘと表すことができる。
すると、ドップラー周波数fdは、fd=2Vz/λと、表すことができる。
【0040】
なお、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは共に交差方向Bにユーザーが手動で移動可能な構成であるがこのような構成に限定されず、センサー8a及びセンサー8bが共に交差方向Bに移動できない構成や、センサー8a及びセンサー8bの一方のみが交差方向Bに移動可能な構成であってもよい。ただし、センサー8a及びセンサー8bの少なくとも一方が交差方向Bに移動可能な構成であれば、様々な幅(交差方向Bの長さ)の被記録媒体Pに対応できるので、そのような構成であることが好ましい。また、センサー8a及びセンサー8bの移動機構を設け、制御部18の制御により自動で交差方向Bに移動可能な構成としてもよい。
また、センサー8a及びセンサー8bは、被記録媒体Pが斜行搬送した場合でも被記録媒体Pが検出領域から外れない位置(例えば、交差方向Bにおいて被記録媒体Pの端部から2cm程度内側)に配置されることが好ましい。ただし、センサー8a及びセンサー8bの距離が遠いほど被記録媒体Pが斜行搬送した場合の相対速度差を検出しやすくなるため、センサー8a及びセンサー8bは交差方向Bになるべく離して設けられることが好ましい。
【0041】
また、本実施例の記録装置1は、制御部18による斜行検出の検出結果にもとづいて被記録媒体Pの斜行搬送を修正することが可能な構成になっている。具体的には、制御部18は、被記録媒体Pが斜行搬送をしていると判断した場合には、斜行搬送の程度及び斜行方向などに応じて、テンションバー10、セット部14及び巻取部15の少なくとも1つの、姿勢及び位置の少なくとも一方を変更して、被記録媒体Pの交差方向Bにおける搬送方向を調整することが可能である。すなわち、制御部18は、被記録媒体Pの斜行修正を実行する斜行修正実行部としての役割を兼ねている。このように、センサー8a及びセンサー8bの検出結果に基づいて斜行検出し、その検出結果にもとづいて被記録媒体Pの斜行修正を制御部18は実行するので、本実施例の記録装置1は斜行状態を精度良く修正することができる。
【0042】
また、本実施例の記録装置1は、制御部18の制御により、被記録媒体Pの搬送方向Aへの搬送動作と、該搬送動作を停止し記録ヘッド12が設けられたキャリッジ11を交差方向Bへ移動させつつ記録ヘッド12からインクを吐出させる吐出動作と、を交互に繰り返して記録する。すなわち、本実施例の記録装置1は、制御部18の制御により、被記録媒体Pを間欠搬送しながら画像を形成する。
このように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備えているが、制御部18は、搬送部9によって被記録媒体Pを間欠搬送する際の相対速度差の変化の傾向に基づいて、斜行修正を実行することができる。このため、被記録媒体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備える記録装置1として、斜行状態を精度良く修正することができる構成になっている。
【0043】
また、相対速度差の変化の傾向に基づく斜行修正の実行例として、制御部18は、被記録媒体Pを間欠搬送する際の相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第1の閾値と比較し、該累積値が該第1の閾値を超えた場合に斜行修正を実行するよう、テンションバー10、セット部14及び巻取部15の少なくとも1つを制御することができる。被記録媒体Pが搬送される際、交差方向Bにおける一方側にずれて搬送し続ける場合もあるが、交差方向Bにおける一方側及び他方側へ、交互にずれて搬送される場合もある。本実行例によれば、このように、被記録媒体Pを間欠搬送する際の相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第1の閾値と比較することで、斜行修正を実行すべき斜行度合いとなった場合を適正に判断して斜行修正を実行することができる。
【0044】
本実施例の記録装置1の斜行修正実行タイミングを説明するための図である
図6を用いて具体的に説明する。
本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時において、相対速度差の累積値を求める。図中の■が被記録媒体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時の相対速度差を表す検出値であり、図中の◆がその累積値である。また、相対速度差が無い場合は、図中の縦軸方向における0に対応する。また、センサー8a側に被記録媒体Pが斜行搬送された場合(センサー8a側よりもセンサー8b側が速い場合)は、図中の縦軸方向におけるプラス側(上側)に対応する。また、センサー8b側に被記録媒体Pが斜行搬送された場合(センサー8b側よりもセンサー8a側が速い場合)は、図中の縦軸方向におけるマイナス側(下側)に対応する。そして、上側又は下側の閾値(第1の閾値)のいずれかを累積値が超えた場合に、斜行搬送の方向に対応して、斜行修正を実行する。
【0045】
また、制御部18は、被記録媒体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時において相対速度差を第2の閾値と比較し、該相対速度差が該第2の閾値を超えた場合に、警告音を鳴らさせたり、PC29にエラー情報を表示させたりして、エラー情報を報知することができる。1回の搬送動作という短い搬送量で大きく斜行した場合は、斜行修正しきれない場合があるためである。このように、被記録媒体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時において相対速度差を第2の閾値と比較することで、エラー情報を報知し、不具合の拡大を抑制することができる。
なお、該相対速度差を比較する第2の閾値は、上記相対速度差の累積値を比較する第1の閾値と同じでも異なっていてもよい。
【0046】
また、例えば、記録部としてラインヘッドを備える記録装置のように、被記録媒体Pを連続搬送可能な搬送部9を備え、斜行修正実行部としての制御部18が、被記録媒体Pを連続搬送する際の相対速度差の変化の傾向に基づいて、斜行修正を実行する構成としてもよい。このような構成とすることで、被記録媒体Pを連続搬送する記録装置1において、斜行状態を精度良く修正することができる。
【0047】
また、このような構成の記録装置1において相対速度差の変化の傾向に基づく斜行修正の実行例として、制御部18が、被記録媒体Pの連続搬送時における相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第3の閾値と比較し、該累積値が該第3の閾値を超えた場合に斜行修正を実行することが挙げられる。被記録媒体Pが搬送される際、交差方向Bにおける一方側にずれて搬送し続ける場合もあるが、交差方向Bにおける一方側及び他方側へ、交互にずれて搬送される場合もある。本実行例によれば、このように、被記録媒体Pの連続搬送時において相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第3の閾値と比較することで、斜行修正を実行すべき斜行度合いとなった場合を適正に判断して斜行修正を実行することができる。
【0048】
被記録媒体Pを連続搬送可能な記録装置1の斜行修正実行タイミングを説明するための図である
図7を用いて具体的に説明する。
被記録媒体Pを連続搬送可能な記録装置1は、被記録媒体Pを連続搬送する際における相対速度差の累積値を求める。図中の破線が被記録媒体Pを連続搬送する際における相対速度差を表す検出値であり、図中の実線がその累積値である。また、相対速度差が無い場合は、図中の縦軸方向における0に対応する。また、交差方向Bにおける一方側に被記録媒体Pが斜行搬送された場合(該一方側よりも他方側が速い場合)は、図中の縦軸方向におけるプラス側(上側)に対応する。また、他方側に被記録媒体Pが斜行搬送された場合(該他方側よりも一方側が速い場合)は、図中の縦軸方向におけるマイナス側(下側)に対応する。そして、上側又は下側の閾値(第3の閾値)のいずれかを累積値が超えた場合に、斜行搬送の方向に対応して、斜行修正を実行する。
【0049】
このような構成の記録装置1において相対速度差の変化の傾向に基づく斜行修正の実行例として、制御部18が、被記録媒体Pの連続搬送時において相対速度差を第4の閾値と比較し、該相対速度差が該第4の閾値を超えた場合に警告音を鳴らさせたり、PC29にエラー情報を表示させたりして、エラー情報を報知することができる。短い搬送量で大きく斜行した場合は、斜行修正しきれない場合があるためである。このように、被記録媒体Pの連続搬送時において相対速度差を第4の閾値と比較することで、エラー情報を報知し、不具合の拡大を抑制することができる。
なお、該相対速度差を比較する第4の閾値は、上記相対速度差の累積値を比較する第3の閾値と同じでも異なっていてもよい。
【0050】
[実施例2](
図8)
次に、実施例2の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図8は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、搬送される被記録媒体Pの搬送速度を検出するセンサー8として、センサー8a及びセンサー8bの他にセンサー8c及びセンサー8dを備えている以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0051】
実施例1の記録装置1は、搬送方向Aにおいて記録ヘッド12の下流側であって巻取部15の上流側にセンサー8が設けられる構成であった。このため、巻取部15による巻き取り前に斜行搬送を検出でき、巻取部15における巻き取り不良を効果的に抑制できる構成であった。
実施例1の記録装置1は、セット部14から巻取部15まで、所謂、roll to rollで連続する被記録媒体Pを搬送する構成である。このため、被記録媒体Pの搬送経路の何れにおいても、被記録媒体Pが斜行搬送された場合の斜行度合いが大きく異ならないという傾向にある。
しかしながら、実施例1の記録装置1は、搬送部9で被記録媒体Pを挟持する構成であるため、挟持前後、すなわち、セット部14から搬送部9までと、搬送部9から巻取部15までとで、斜行状態がわずかに異なることも考えられる。
【0052】
一方、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aにおいて記録ヘッド12の下流側であって巻取部15の上流側のセンサー8a及びセンサー8bの他に、搬送方向Aにおいてセット部14の下流側であって記録ヘッド12の上流側にセンサー8c及びセンサー8dを備えている。このため、セット部14から搬送部9までと、搬送部9から巻取部15までとで、斜行状態が異なっている場合であっても、その両方において効果的に斜行状態を検出でき、その両方において効果的に斜行状態を抑制することが可能な構成になっている。
なお、本実施例のセンサー8cは、搬送される被記録媒体Pの搬送速度を検出する第1速度センサーであり、本実施例のセンサー8dは、搬送方向Aから見て交差方向Bにおいてセンサー8cと異なる位置に設けられ、被記録媒体Pの搬送速度を検出する第2速度センサーである。センサー8c及びセンサー8dはセンサー8a及びセンサー8bと同様の構成である。
また、センサー8a及びセンサー8bを備えず、センサー8c及びセンサー8dを備える構成であってもよい。
【0053】
[実施例3](
図9)
次に、実施例3の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図9は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。なお、上記実施例1及び2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、センサー8a及びセンサー8bの配置以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0054】
実施例1のセンサー8a及びセンサー8bは、被記録媒体Pの記録面16に電磁波を発射し、被記録媒体Pの記録面16から反射される電磁波を受けて、ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求めるものであった。
一方、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、被記録媒体Pの記録面16とは反対側の面17に電磁波を発射し、被記録媒体Pの面17から反射される電磁波を受けて、ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求めるものである。
【0055】
別の表現をすると、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pに記録可能な記録部12を備え、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、被記録媒体Pに電磁波を発射し、被記録媒体Pから反射される電磁波を受けて、ドップラー効果による周波数変化から被記録媒体Pの搬送速度を求めるものであって、被記録媒体Pにおける記録がなされる記録面16とは反対側の面17に電磁波を発射可能に配置されている。このため、電磁波で記録面16に損傷を与えることなく斜行状態を精度良く検出し、記録することができる構成になっている。
なお、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bの代わりに、被記録媒体Pの記録面16とは反対側の面17に音波を発射し、被記録媒体Pの面17から反射される音波を受けることが可能な速度センサーを用いてもよい。
【0056】
[実施例4](
図10)
次に、実施例4の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図10は本実施例の記録装置1の要部の概略平面図であり、実施例1の記録装置1の
図3に対応する図である。なお、上記実施例1から3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、センサー8a及びセンサー8bの配置以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0057】
実施例1のセンサー8a及びセンサー8bは、交差方向Bから見て搬送方向Aにずれることなく配置されていた。
一方、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、交差方向Bから見て搬送方向Aにずれて(平面視で斜めになるように)配置されている。
このように、平面視で斜めになるようにセンサー8a及びセンサー8bが配置される構成であってもよい。なお、本実施例では、センサー8aがセンサー8bよりも搬送方向Aにおいて上流側になっているが、センサー8aがセンサー8bよりも搬送方向Aにおいて下流側になっていてもよい。
【0058】
[実施例5](
図11)
次に、実施例5の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図11は本実施例の記録装置1の要部の概略平面図であり、実施例1の記録装置1の
図3に対応する図である。なお、上記実施例1から4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、センサー8a及びセンサー8bの配置以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0059】
実施例1のセンサー8a及びセンサー8bは、交差方向Bから見て搬送方向Aにずれることなく、共に、被記録媒体Pの記録面16側に配置されていた。
一方、本実施例のセンサー8a及びセンサー8bは、交差方向Bから見て搬送方向Aにずれて(平面視で斜めになるように)配置されているとともに、センサー8aは被記録媒体Pの記録面16側に配置されセンサー8bは被記録媒体Pの記録面16とは反対側の面17側に配置されている。
このように、平面視で斜めになるようにセンサー8a及びセンサー8bが配置されるとともに、一方が被記録媒体Pの記録面16側に配置され他方が被記録媒体Pの記録面16とは反対側の面17側に配置される構成であってもよい。なお、本実施例では、センサー8aがセンサー8bよりも搬送方向Aにおいて下流側になっているが、センサー8aがセンサー8bよりも搬送方向Aにおいて上流側になっていてもよい。また、本実施例では、センサー8aが被記録媒体Pの記録面16側に配置され、センサー8bが被記録媒体Pの面17側に配置されているが、センサー8aが被記録媒体Pの面17側に配置され、センサー8bが被記録媒体Pの記録面16側に配置されていてもよい。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。また、記録装置以外の液晶フィルム製造装置や金属延伸ロールなどの搬送装置であってもよいことは言うまでもない。
以上、本発明について具体的な実施例に基づいて詳述した。ここで、本発明について、もう一度まとめて説明する。
【0061】
本発明の第1の態様の搬送装置1は、搬送される被搬送体Pの搬送速度を検出する第1速度センサー8a(8c)と、被搬送体Pの搬送方向Aから見て該搬送方向Aと交差する交差方向Bにおいて第1速度センサー8a(8c)と異なる位置に設けられ、被搬送体Pの搬送速度を検出する第2速度センサー8b(8d)と、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)の検出速度に基づいて相対速度差を求め、該相対速度差から被搬送体Pの斜行状態を検出する斜行検出部18と、を備えることを特徴とする。
【0062】
本態様によれば、例えば被搬送体Pの搬送方向Aから見て左側及び右側など、交差方向Bにおいて異なる位置で相対速度差を求め、該相対速度差から被搬送体Pの斜行の程度である斜行状態を検出する。このため、絶対速度の検出が高精度で行えない速度センサーを第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)として用いた場合であっても、絶対速度の検出が高精度で行えないということを補完することができる。すなわち、被搬送体Pの斜行状態の検出精度を高くすることができる。
また、被搬送体Pの先端を検出するような従来の斜行検出は、被搬送体Pの搬送経路における斜行によって被搬送体Pのずれが大きい位置に、斜行検出センサーを設置しないと有効な検出が困難であった。一方、本態様によれば、roll to rollで連続する被搬送体Pを搬送する構成とすることができ、そのような構成とすることで、被搬送体Pの搬送経路の何れにおいても、被搬送体Pが斜行搬送された場合の斜行度合いが大きく異ならない傾向にすることができる。このため、被搬送体Pの搬送経路におけるどの位置でも、相対速度差(斜行度合い)が実質的に変わらない傾向にすることができる。したがって、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)の設置位置の自由度を高くすることができる。
【0063】
本発明の第2の態様の搬送装置1は、前記第1の態様において、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)は、被搬送体Pに電磁波又は音波を発射し、被搬送体Pから反射される電磁波又は音波を受けて、ドップラー効果による周波数変化から被搬送体Pの搬送速度を求めるものであることを特徴とする。
【0064】
ドップラー効果による周波数変化から被搬送体Pの搬送速度を求める速度センサー8は、被搬送体Pの種類の違いによって検出速度値が変わってしまう場合がある。このような速度センサー8は検出速度値をそのまま用いて被搬送体Pの斜行状態を求めると、被搬送体Pの種類の違いの影響を受けて、斜行状態を精度良く検出することが難しい場合がある。
本態様によれば、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)で検出される検出速度に基づく相対速度差を求め、該相対速度差から被搬送体Pの斜行状態を検出するので、被搬送体Pの種類の違いによる第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)で検出される検出速度の変化量を相殺することができ、以って、斜行状態を精度良く検出することができる。
【0065】
本発明の第3の態様の搬送装置1は、前記第1又は第2の態様において、斜行検出部18の検出結果にもとづいて被搬送体Pの斜行修正を実行する斜行修正実行部18を備えることを特徴とする。
【0066】
本態様によれば、斜行検出部18の検出結果にもとづいて被搬送体Pの斜行修正を実行するので、斜行状態を精度良く修正することができる。
【0067】
本発明の第4の態様の搬送装置1は、前記第3の態様において、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備え、斜行修正実行部18は、搬送部9によって被搬送体Pを間欠搬送する際の前記相対速度差の変化の傾向に基づいて、斜行修正を実行することを特徴とする。
【0068】
本態様によれば、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備え、斜行修正実行部18は搬送部9によって被搬送体Pを間欠搬送する際の相対速度差の変化の傾向に基づいて斜行修正を実行する。このため、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備える搬送装置1において、斜行状態を精度良く修正することができる。
【0069】
本発明の第5の態様の搬送装置1は、前記第4の態様において、斜行修正実行部18は、搬送部9によって被搬送体Pを間欠搬送する際の前記相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第1の閾値と比較し、該累積値が該第1の閾値を超えた場合に斜行修正を実行することを特徴とする。
【0070】
本態様によれば、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備える搬送装置1において、被搬送体Pを間欠搬送する際の相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第1の閾値と比較することで、斜行修正を実行すべき斜行度合いとなった場合を適正に判断して斜行修正を実行することができる。
【0071】
本発明の第6の態様の搬送装置1は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備え、搬送部9によって被搬送体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時において前記相対速度差を第2の閾値と比較し、該相対速度差が該第2の閾値を超えた場合にエラー情報を報知することを特徴とする。
【0072】
本態様によれば、被搬送体Pを間欠搬送可能な搬送部9を備える搬送装置1において、被搬送体Pを間欠搬送する際の各搬送動作時において相対速度差を第2の閾値と比較することで、エラー情報を報知し、不具合の拡大を抑制することができる。
なお、該相対速度差を比較する第2の閾値は、上記相対速度差の累積値を比較する第1の閾値と同じでも異なっていてもよい。
【0073】
本発明の第7の態様の搬送装置1は、前記第3の態様において、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備え、斜行修正実行部18は、搬送部9によって被搬送体Pを連続搬送する際の前記相対速度差の変化の傾向に基づいて、斜行修正を実行することを特徴とする。
【0074】
本態様によれば、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備え、斜行修正実行部18は搬送部9によって被搬送体Pを連続搬送する際の相対速度差の変化の傾向に基づいて斜行修正を実行する。このため、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備える搬送装置において、斜行状態を精度良く修正することができる。
【0075】
本発明の第8の態様の搬送装置1は、前記第7の態様において、斜行修正実行部18は、搬送部9による被搬送体Pの連続搬送時における前記相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第3の閾値と比較し、該累積値が該第3の閾値を超えた場合に斜行修正を実行することを特徴とする。
【0076】
本態様によれば、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備える搬送装置1において、被搬送体Pを搬送部9による連続搬送時において相対速度差の累積値を求めるとともに該累積値を第3の閾値と比較することで、斜行修正を実行すべき斜行度合いとなった場合を適正に判断して斜行修正を実行することができる。
【0077】
本発明の第9の態様の搬送装置1は、前記第1から第8のいずれか1つの態様において、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備え、搬送部9による被搬送体Pの連続搬送時において前記相対速度差を第4の閾値と比較し、該相対速度差が該第4の閾値を超えた場合にエラー情報を報知することを特徴とする。
【0078】
本態様によれば、被搬送体Pを連続搬送可能な搬送部9を備える搬送装置1において、被搬送体Pを搬送部9による連続搬送時において相対速度差を第4の閾値と比較することで、エラー情報を報知し、不具合の拡大を抑制することができる。
なお、該相対速度差を比較する第4の閾値は、上記相対速度差の累積値を比較する第3の閾値と同じでも異なっていてもよい。
【0079】
本発明の第10の態様の記録装置1は、前記第1から第9のいずれか1つの態様の搬送装置1と、被搬送体Pとしての被記録媒体Pに記録可能な記録部12と、を備えることを特徴とする。
【0080】
本態様によれば、斜行状態を精度良く検出し、記録することができる。
【0081】
本発明の第11の態様の記録装置1は、前記第2の態様の搬送装置1と、被搬送体Pとしての被記録媒体Pに記録可能な記録部12と、を備え、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)は、被記録媒体Pにおける記録がなされる記録面16とは反対側の面17に電磁波又は音波を発射可能に配置されていることを特徴とする。
【0082】
本態様によれば、第1速度センサー8a(8c)及び第2速度センサー8b(8d)は、被記録媒体Pにおける記録がなされる記録面16とは反対側の面17に電磁波又は音波を発射可能に配置されているので、電磁波又は音波で記録面16に損傷を与えることなく斜行状態を精度良く検出し、記録することができる。