(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6429100
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】リニア振動モータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-115636(P2018-115636)
(22)【出願日】2018年6月18日
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】201721548021.2
(32)【優先日】2017年11月17日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515342457
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC TECHNOLOGIES PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】毛 路斌
(72)【発明者】
【氏名】湯 ▲ゆん▼
【審査官】
小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6195422(JP,B2)
【文献】
特開2017−29969(JP,A)
【文献】
特開2017−6901(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/153029(WO,A1)
【文献】
特開2011−250637(JP,A)
【文献】
特開2016−182569(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第3226392(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有するベースと、前記収容空間に置かれる振動ユニットと、前記振動ユニットを前記収容空間に懸架する弾性部材と、前記ベースに固定される、前記振動ユニットが振動するように駆動するコイルと、を備えるリニア振動モータであって、
前記振動ユニットはカウンターウェイトブロックと、前記カウンターウェイトブロック内に嵌設される第一永久磁石及び第二永久磁石と、を備え、前記第二永久磁石が2つあり、それぞれ前記第一永久磁石の対向する両側に間隔を置いて設置され、前記コイルは互いに絶縁的に設置される第一コイル及び第二コイルを含み、前記第一コイルは前記第一永久磁石が第一方向に沿って振動するように駆動し、前記第二コイルは前記第二永久磁石が第二方向に沿って振動するように駆動して、前記第一方向が前記第二方向に垂直であることを特徴とするリニア振動モータ。
【請求項2】
前記第一永久磁石の磁化方向が前記第二永久磁石の磁化方向に垂直であることを特徴とする請求項1に記載のリニア振動モータ。
【請求項3】
2つの前記第二永久磁石が前記第一永久磁石に関して対称に分布することを特徴とする請求項1又は2に記載のリニア振動モータ。
【請求項4】
前記ベースはハウジング及び前記ハウジングに蓋設されるカバープレートを備え、前記コイルが前記カバープレートに固定されることを特徴とする請求項3に記載のリニア振動モータ。
【請求項5】
前記リニア振動モータは更に前記カウンターウェイトブロックの前記カバープレートから離れる片側に固定される透磁プレートを備えることを特徴とする請求項4に記載のリニア振動モータ。
【請求項6】
前記リニア振動モータは更に前記カウンターウェイトブロックの前記第一方向に沿う両側に固定される第一緩衝ブロックを備えることを特徴とする請求項3に記載のリニア振動モータ。
【請求項7】
前記リニア振動モータは更に前記カウンターウェイトブロックの前記第二方向に沿う両側に固定される第二緩衝ブロックを備えることを特徴とする請求項6に記載のリニア振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関し、特にモバイル電子製品分野に適用されるリニア振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、ポータブル消費者向け電子製品、例えば携帯電話、パームトップゲーム機、ナビゲーション装置又はパームトップマルチメディアエンターテイメントデバイス等はますます人気が高まっており、これらの電子製品は一般的にリニア振動モータを用いてシステムフィードバック、例えば携帯電話の着信番号表示、情報表示、ナビゲーション表示、ゲーム機の振動フィードバック等を行う。このように広く応用されるためには、振動モータの性能に優れ、耐用年数が長いことが要求される。
【0003】
従来技術におけるリニア振動モータは、収容空間を有するベースと、前記収容空間に位置する振動ユニットと、前記振動ユニットを前記収容空間に固定・懸架する弾性部材と、前記ベースに固定されるコイルと、を備え、コイルにより生じた磁界が振動ユニットにより生じた磁界と相互作用することにより、前記振動ユニットが往復直線運動をすることで振動するように駆動する。
【0004】
単一の振動ユニットの平面のX軸方向及びY軸方向での双方向振動を実現するために、従来技術におけるリニア振動モータにおいて、前記振動ユニットはカウンターウェイトブロックと、前記カウンターウェイトブロック内に嵌設されて間隔を置いて設置される第一永久磁石及び第二永久磁石と、を備え、前記第一永久磁石が前記カウンターウェイトブロックの幾何中心位置に位置し、前記コイルは前記第一永久磁石がX軸方向に沿って振動するように駆動する第一コイル及び前記第二永久磁石がY軸方向に沿って振動するように駆動する第二コイルを含む。
【0005】
ところが、前記第一永久磁石がカウンターウェイトブロックの幾何中心位置に位置するが、前記第二永久磁石が前記カウンターウェイトブロックの一端に位置するため、該構造によって前記振動ユニットが非対称となって、質量分布が不均一となり、その振動過程において捩れが発生しやすく、それにより前記リニア振動モータの振動安定性に影響を与えてしまう。
【0006】
このため、上記問題を解決するために、新しいリニア振動モータを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決すべき技術的問題は双方向振動を実現して振動安定性に優れたリニア振動モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的問題を解決するために、本発明はリニア振動モータを提供し、収容空間を有するベースと、前記収容空間に置かれる振動ユニットと、前記振動ユニットを前記収容空間に懸架する弾性部材と、前記ベースに固定される、前記振動ユニットが振動するように駆動するためのコイルと、を備え、前記振動ユニットはカウンターウェイトブロックと、前記カウンターウェイトブロック内に嵌設される第一永久磁石及び第二永久磁石と、を備え、前記第二永久磁石が2つあり、それぞれ前記第一永久磁石の対向する両側に間隔を置いて設置され、前記コイルは互いに絶縁的に設置される第一コイル及び第二コイルを含み、前記第一コイルは前記第一永久磁石が第一方向に沿って振動するように駆動し、前記第二コイルは前記第二永久磁石が第二方向に沿って振動するように駆動して、前記第一方向が前記第二方向に垂直である。
【0009】
好ましくは、前記第一永久磁石の磁化方向が前記第二永久磁石の磁化方向に垂直である。
【0010】
好ましくは、2つの前記第二永久磁石が前記第一永久磁石に関して対称に分布する。
【0011】
好ましくは、前記ベースはハウジング及び前記ハウジングに蓋設されるカバープレートを備え、前記コイルが前記カバープレートに固定される。
【0012】
好ましくは、前記リニア振動モータは更に前記カバープレートから離れる前記カウンターウェイトブロックの片側に固定される透磁プレートを備える。
【0013】
好ましくは、前記リニア振動モータは更に前記第一方向に沿う前記カウンターウェイトブロックの両側に固定される第一緩衝ブロックを備える。
【0014】
好ましくは、前記リニア振動モータは更に前記第二方向に沿う前記カウンターウェイトブロックの両側に固定される第二緩衝ブロックを備える。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本発明のリニア振動モータにおいて、前記振動ユニットにおける第二方向の振動を実現する前記第二永久磁石を2つ設置して、それらがそれぞれ第一方向の振動を実現する前記第一永久磁石の対向する両側に位置し、それにより前記振動ユニットの構造を対称にして質量分布を均一にし、更にリニア振動モータの振動安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明のリニア振動モータの立体構造分解図である。
【
図2】
図2は本発明のリニア振動モータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施形態を参照しながら本発明を更に説明する。
【0018】
図1−2に示すように、本発明に係るリニア振動モータ100であって、収容空間10を有するベース1、振動ユニット2、弾性部材3、コイル4、透磁プレート5、第一緩衝ブロック6及び第二緩衝ブロック7を備える。
【0019】
前記ベース1が収容空間10を有する。具体的に、前記ベース1はハウジング11及び前記ハウジング11に蓋設固定されるカバープレート12を備えて、それらが前記収容空間10を取り囲む。当然ながら、前記ハウジング11及び前記カバープレート12が一体構造であってもよい。
【0020】
前記振動ユニット2が前記弾性部材3で前記収容空間10内に懸架される。
【0021】
具体的に、前記振動ユニット2はカウンターウェイトブロック21と、それぞれ前記カウンターウェイトブロック21内に嵌設される第一永久磁石22及び第二永久磁石23と、を備える。
【0022】
前記カウンターウェイトブロック21は前記第一永久磁石22及び前記第二永久磁石23を固定することに用いられる一方、前記振動ユニット2の重量を増加させることで、その振動振幅を増大させ、前記リニア振動ユニット100の振動効果を向上させることに用いられる。
【0023】
前記第二永久磁石23が2つあって、それぞれ前記第一永久磁石22の対向する両側に間隔を置いて設置される。より好ましくは、2つの前記第二永久磁石23が前記第一永久磁石22に関して対称に分布し、それにより前記振動ユニット2の構造の対称及び質量分布の均一化を実現し、更に前記振動ユニット2が振動する時に安定性がより高く、捩れ現象が発生することがない。
【0024】
前記弾性部材3は前記振動ユニット2を前記収容空間10内に懸架することに用いられる。本実現形態において、前記弾性部材3は一端が前記カウンターウェイトブロック21に固定され、他端が前記ベース1のハウジング11に固定され、前記振動ユニットに支持及び振動回復力を提供する。
【0025】
前記コイル4は前記ベース1に固定され、前記振動ユニット2が振動するように駆動させることに用いられる。本実施形態において、前記コイル4が具体的に前記カバープレート12に固定される。
【0026】
前記第一永久磁石22及び前記第二永久磁石23に対応するように、前記コイル4は互いに絶縁的に設置される第一コイル41及び第二コイル42を含む。
【0027】
前記第一コイル41は前記第一永久磁石22が第一方向に沿って振動するように駆動し、前記第二コイル42は前記第二永久磁石23が第二方向に沿って振動するように駆動して、前記第一方向が前記第二方向に垂直である。それにより前記リニア振動モータ100の「単振動体二重振動方向」の構造を実現する。本実施形態において、前記第一方向が具体的に水平X軸方向であり、前記第二方向が具体的に水平Y軸方向である。
【0028】
前記振動ユニット2が前記第一永久磁石22及び前記第二永久磁石23によってそれぞれ双方向振動構造を実現することは複数種あり、例えば磁性体構造による設置、コイル位置による設置等が挙げられる。本実施形態において、前記第一永久磁石22の磁化方向及び前記第二永久磁石23の磁化方向を垂直にする。対応する前記第一コイル41に通電する時、前記第一コイル41は前記第一永久磁石22がX軸方向に沿って振動するように駆動し、対応する前記第二コイル42に通電する時、前記第二コイル42は前記第二永久磁石23がY軸方向に沿って振動するように駆動する。
【0029】
前記透磁プレート5が前記カバープレート12から離れる前記カウンターウェイトブロック21の片側に固定され、前記振動ユニット2の質量を増加させ、振動性能を向上させることができる一方、前記第一永久磁石22及び前記第二永久磁石23の磁力線をガイドし、磁力線の損失を低減し、磁界特性を向上させ、更に前記振動ユニット2の振動強度を向上させることもできる。
【0030】
前記第一緩衝ブロック6が前記第一方向(X軸方向)に沿う前記カウンターウェイトブロック21の両側に固定される。
【0031】
前記第二緩衝ブロック7が前記第二方向(Y軸方向)に沿う前記カウンターウェイトブロック21の両側に固定される。
【0032】
前記第一緩衝ブロック6及び前記第二緩衝ブロック7はそれぞれ前記振動ユニット2がX軸方向及びY軸方向に振動する時にベース1と衝突して騒音を発生させることを防止することに用いられ、振動性能を向上させる。
【0033】
従来技術に比べて、本発明のリニア振動モータにおいて、前記振動ユニットにおける第二方向の振動を実現する前記第二永久磁石を2つ設置して、それらがそれぞれ第一方向の振動を実現する前記第一永久磁石の対向する両側に位置し、それにより前記振動ユニットの構造を対称にして質量分布を均一にし、更にリニア振動モータの振動安定性を向上させる。
【0034】
以上の説明は本発明の実施例であって、本発明の特許範囲を制限するためのものではなく、本発明の明細書及び図面の内容に基づき行った等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野における直接又は間接応用は、すべて同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
【要約】 (修正有)
【課題】質量分布を均一にし、リニア振動モータの振動安定性を向上させる。
【解決手段】収容空間を有するベースと、前記収容空間に置かれる振動ユニット2と、前記振動ユニットを前記収容空間に懸架する弾性部材3と、前記ベースに固定される、前記振動ユニットが振動するように駆動するコイル4と、を備え、前記振動ユニットはカウンターウェイトブロック21と、前記カウンターウェイトブロック内に嵌設される第一永久磁石22及び第二永久磁石23と、を備え、前記第二永久磁石が2つあり、それぞれ前記第一永久磁石の対向する両側に間隔を置いて設置され、前記コイルは互いに絶縁的に設置される第一コイル41及び第二コイル42を含み、前記第一コイルは前記第一永久磁石が第一方向に沿って振動するように駆動し、前記第二コイルは前記第二永久磁石が第二方向に沿って振動するように駆動して、前記第一方向が前記第二方向に垂直である。
【選択図】
図1