特許第6429102号(P6429102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429102
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20181119BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20181119BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20181119BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20181119BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   G09F9/00 313
   G09F9/00 324
   G09F9/00 323
   G09F9/00 362
   G09F9/00 335Z
   G03B21/62
   H05B33/14 A
   G09F9/40 303
   G09F9/30 365
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-88212(P2014-88212)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-206934(P2015-206934A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】田 崎 啓 子
(72)【発明者】
【氏名】荒 川 文 裕
(72)【発明者】
【氏名】井 上 功
【審査官】 石本 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058406(JP,A)
【文献】 特開平10−025975(JP,A)
【文献】 特開2012−155320(JP,A)
【文献】 特開2010−001628(JP,A)
【文献】 特開2012−173449(JP,A)
【文献】 特開2014−059432(JP,A)
【文献】 特開2010−015075(JP,A)
【文献】 特開2000−171783(JP,A)
【文献】 特開2005−038608(JP,A)
【文献】 特開2009−175767(JP,A)
【文献】 特開2009−229946(JP,A)
【文献】 特開2007−071948(JP,A)
【文献】 特開2014−013369(JP,A)
【文献】 特開2006−227581(JP,A)
【文献】 特開2006−227161(JP,A)
【文献】 特開2011−081245(JP,A)
【文献】 特開2008−256989(JP,A)
【文献】 特開2007−072146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00−9/46
G03B21/132
21/56−21/64
G02B5/00−5/08
5/10−5/136
G02F1/133−1/1334
1/1339−1/1341
1/1347
H01L27/32
51/50
H05B33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの空間を区画する区画部材に組み込まれて用いられる画像表示板を備え、
前記画像表示板は、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する両側画像表示パネルと、
前記両側画像表示パネルに積層された調光シートと、を有し、
前記両側画像表示パネルは、可視光透過性を有し、前記両側画像表示パネルによって表示される画像が、前記第1面側及び前記第2面側の両方から観察されるようになっており、
前記調光シートは、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能になっており、
前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第1面に積層されており、
前記両側画像表示パネルに、当該両側画像表示パネルの前記第2面側から映像光を投射する映像投射機をさらに備え、
前記両側画像表示パネルは、前記映像投射機から投射される映像光を反射及び透過して、当該映像光によって表示される画像が、前記第1面側及び前記第2面側の両方から観察されるようになっている、画像表示装置。
【請求項2】
前記両側画像表示パネルの前記第1面が前記区画部材に区画された室内側に面し、前記両側画像表示パネルの前記第2面が前記区画部材に区画された室外側に面するようにして、前記画像表示板が前記区画部材に組み込まれるようになっており、
前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第1面に積層されている、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記両側画像表示パネルの前記第1面が前記区画部材に区画された室内側に面し、前記両側画像表示パネルの前記第2面が前記区画部材に区画された室外側に面するようにして、前記画像表示板が前記区画部材に組み込まれるようになっており、
前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第2面に積層されている、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記両側画像表示パネルに積層された追加調光シートをさらに備え、
前記調光シートと前記追加調光シートとの間に、前記両側画像表示パネルが配置されている、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記調光シートは、電圧が印加されていない場合に低ヘイズ状態となり、電圧が印加された場合に高ヘイズ状態となる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記調光シートは、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークと、前記ポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に位置する液晶分子及び二色性色素と、を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記両側画像表示パネルは、有機発光層と、
前記有機発光層の一方の側に透明導電体を用いて形成された第1電極と、
前記有機発光層の他方の側に透明導電体を用いて形成された第2電極と、を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記調光シートは、一対の樹脂製基材を含み、柔軟性を有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの空間を区画する区画部材と共に用いられる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1及び2には、屋内と屋外とを区画するショーウィンドに、ディスプレイを設置する例が記載されている。このうち、特許文献1では、店舗外側からのみ観察可能な液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイが示されている。一方、特許文献2には、有機発光層の両側に配置される電極を透明にした有機ELディスプレイ(OLED:Organic Electro−Luminescence)が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−133715号公報
【特許文献2】特表2009−531811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のショーウィンドでは、店舗外側からディスプレイを介して店舗内部を観察することができないため、見栄えの点で劣り、且つ、ショーウィンドに主として求められる商品の展示機能を阻害してしまう。
【0005】
一方、特許文献2に記載のショーウィンドでは、有機ELディスプレイの各電極を透明にすることにより、店舗外から店舗内、あるいは、店舗内から店舗外を観察することができる。しかしながら、夜間に、屋外の観察者が有機ELディスプレイに表示される画像を観察すると、画像の背景として明るい屋内が透けて視えるため、画像が大きく劣化してしまう。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、2つの空間を区画する区画部材と共に用いられ、表示される画像を2つの空間のいずれ側からも観察可能な画像表示装置において、2つの空間のうちの一の空間側から他の空間側に向かって画像を観察したときに起こり得る画像の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像表示装置は、2つの空間を区画する区画部材に組み込まれて用いられる画像表示板を備え、
前記画像表示板は、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する両側画像表示パネルと、
前記両側画像表示パネルに積層された調光シートと、を有し、
前記両側画像表示パネルは、可視光透過性を有し、前記両側画像表示パネルによって表示される画像が、前記第1面側及び前記第2面側の両方から観察されるようになっており、
前記調光シートは、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能になっている。
【0008】
本発明による画像表示装置において、前記両側画像表示パネルの前記第1面が前記区画部材に区画された室内側に面し、前記両側画像表示パネルの前記第2面が前記区画部材に区画された室外側に面するようにして、前記画像表示板が前記区画部材に組み込まれるようになっており、前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第1面に積層されていてもよい。
【0009】
本発明による画像表示装置において、前記両側画像表示パネルの前記第1面が前記区画部材に区画された室内側に面し、前記両側画像表示パネルの前記第2面が前記区画部材に区画された室外側に面するようにして、前記画像表示板が前記区画部材に組み込まれるようになっており、前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第2面に積層されていてもよい。
【0010】
本発明による画像表示装置は、前記両側画像表示パネルに積層された追加調光シートをさらに備え、前記調光シートと前記追加調光シートとの間に、前記両側画像表示パネルが配置されていてもよい。
【0011】
本発明による画像表示装置において、前記調光シートは、電圧が印加されていない場合に低ヘイズ状態となり、電圧が印加された場合に高ヘイズ状態となってもよい。
【0012】
本発明による画像表示装置において、前記調光シートは、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークと、前記ポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に位置する液晶分子及び二色性色素と、を有してもよい。
【0013】
本発明による画像表示装置において、前記両側画像表示パネルは、有機発光層と、前記有機発光層の一方の側に透明導電体を用いて形成された第1電極と、前記有機発光層の他方の側に透明導電体を用いて形成された第2電極と、を有してもよい。
【0014】
本発明による画像表示装置において、前記調光シートは、前記両側画像表示パネルの前記第1面に積層されていて、
前記両側画像表示パネルに、当該両側画像表示パネルの前記第2面側から映像光を投射する映像投射機をさらに備え、
前記両側画像表示パネルは、前記映像投射機から投射される映像光を反射及び透過して、当該映像光によって表示される画像が、前記第1面側及び前記第2面側の両方から観察されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一の空間側から他の空間側に向かって画像を観察したときに起こり得る画像の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態による画像表示装置が設置されたショーウィンドを示す斜視図。
図2図1に示す画像表示装置の画像表示板の断面図。
図3図2に示す画像表示板に組み込まれ得る両側画像表示パネルの一例を示す断面図。
図4図2に示す画像表示板に組み込まれ得る調光シートの一例を示す断面図であって、電圧を印加していない状態の調光シートを示す図である。
図5】電圧を印加している状態にて、図4の調光シートを示す断面図である。
図6図2の画像表示板に組み込まれ得る調光シートの他の例を示す断面図であって、電圧を印加していない状態の調光シートを示す図である。
図7】電圧を印加している状態にて、図6の調光シートを示す断面図である。
図8図1に示す画像表示装置の作用を説明するための図であって、調光シートを低ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図9図1に示す画像表示装置の作用を説明するための図であって、調光シートを高ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図10】調光シートの他の配置例を説明するための図であって、調光シートを高ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図11図10に示す画像表示装置の調光シートを低ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図12図2に示す画像表示装置が追加調光シートをさらに備える例を説明するための図であって、調光シートを高ヘイズ状態に維持し且つ追加調光シートを低ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図13図12に示す画像表示装置の調光シートを低ヘイズ状態に維持し且つ追加調光シートを高ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図14図2に示す画像表示装置の変形例を説明するための図であって、調光シートを低ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
図15図14に示す画像表示装置の調光シートを高ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0018】
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルムや板と呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「配光シート」は、「配光フィルム」や「配光板」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0019】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0020】
図1図15は、本発明による画像表示装置の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、本発明の一実施の形態による画像表示装置10を示す斜視図である。図1に示すように、画像表示装置10は、2つの空間S1、S2を区画する区画部材2に組み込まれて用いられる画像表示板11を備える。図1に示す例では、画像表示板11は、室内S1と室外S2とを区画する区画部材2に組み込まれて、区画部材2と共に店舗のショーウィンド1を構成している。図1に示す区画部材2は、店舗の室内S1と室外S2とを区画するウィンドウガラスからなる。ウィンドウガラスからなる区画部材2には、開口2aが形成されており、当該開口2a内に画像表示板11が嵌め込まれている。ただし、区画部材2は、2つの空間S1、S2を区画する部材であれば、図1に示す例に限定されない。他の形態の一例として、区画部材2は、部屋と部屋とを区画する壁であってもよいし、オフィス内の隣り合う作業スペースを区画する衝立であってもよい。
【0021】
図2は、図1に示す画像表示板11の断面図である。図2に示すように、画像表示板11は、可視光透過性を有する両側画像表示パネル20と、両側画像表示パネル20に積層された調光シート40と、を有している。両側画像表示パネル20は可視光透過性を有するため、両側画像表示パネル20によって表示される画像が、当該両側画像表示パネル20の両側から観察可能になる。調光シート40は、電圧の印加に応じて、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能に構成される。このような両側画像表示パネル20によれば、調光シート40のヘイズ状態を選択的に切り換えることによって両側画像表示パネル20に入射する外光を制御し、両側画像表示パネル20によって表示される画像の視認性を確保することに寄与する。
【0022】
このうち、両側画像表示パネル20は、観察者によって観察されるようになる静止画または動画を形成する手段である。図2に示すように、両側画像表示パネル20は、第1面21及び当該第1面21に対向する第2面22を有している。本実施の形態において、両側画像表示パネル20によって表示される画像は、第1面21側及び第2面22側の両方から観察されるようになっている。また、上述のように、両側画像表示パネル20は、光透過性を有している。したがって、両側画像表示パネル20の第1面21に入射する外光の一部は、第2面22を透過し、両側画像表示パネル20の第2面22に入射する外光の一部は、第1面21を透過する。
【0023】
本実施の形態では、両側画像表示パネル20の第1面21は、区画部材2に区画された室内S1側に面し、両側画像表示パネル20の第2面22が区画部材2に区画された室外S2側に面している。この場合、第1面21つまり室内S1側から両側画像表示パネル20によって表示される画像を観察すると、当該画像の背景に室外S2が透けて視え得る。第2面22つまり室外S2側から両側画像表示パネル20によって表示される画像を観察すると、当該画像の背景に室内S1が透けて視え得る。このように、室内S1及び室外S2のうちの一方の側から他方の側に向かって両側画像表示パネル20を視たときに、他方の側の空間S1、S2が透けて視えるため、見栄えの点で優れ、且つ、ショーウィンド1に主として求められる商品の展示機能を確保することができる。
【0024】
図2に示すように、両側画像表示パネル20の第1面21に、調光シート40が積層されている。したがって、調光シート40は、両側画像表示パネル20よりも室内S1側に位置している。一方、両側画像表示パネル20の第2面22には、第1機能層32が積層されている。第1機能層32は、何らかの機能を発揮することを意図された層である。一例として、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、防汚性、或いはこれらの二以上の機能を発揮する層が挙げられる。画像表示板11に含まれる第1機能層32の数は、一以上の任意の数とすることができる。
【0025】
図3に、両側画像表示パネル20の一例を示す。図3に示す例では、両側画像表示パネル20は、有機ELディスプレイとして構成されている。図3に示すように、両側画像表示パネル20は、室外S2側から室内S1側に向かって、第1基板23、TFT素子28、絶縁膜29、第1電極25、有機EL層24、第2電極26及び第2基板27をこの順で含んだ積層体である。第1基板23の有機EL層24とは反対側を向く面が両側画像表示パネル20の第2面22をなし、第2基板27の有機EL層24とは反対側を向く面が両側画像表示パネル20の第1面21をなしている。本実施の形態において、有機EL層24において発生した光が、両側画像表示パネル20の第1面21及び第2面22の両側から取り出されるようになっている。
【0026】
第1電極25及び第2電極26の一方は、陽極からなり、第1電極25及び第2電極26の他方は、陰極からなる。第1電極25と第2電極26とにより挟まれた有機EL層24には、電圧が印加され、陽極から正孔が陰極から電子が有機EL層24に注入される。有機EL層24に注入された正孔と電子との結合により生じるエネルギーにより、有機EL層24をなす有機材料が励起させられ、励起状態から基底状態に戻るときに有機EL層24が発光する。第1電極25及び第2電極26は、透明導電体から形成されている。透明導電体として、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、InZnO(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛酸化物)、等を用いることができる。
【0027】
一対の電極25、26の間に配置された有機EL層24は、各々が両側画像表示パネル20の単位画素を構成する赤色有機発光要素24R、緑色有機発光要素24G及び青色有機発光要素24Bを含んでいる。赤色有機発光要素24R、緑色有機発光要素24G及び青色有機発光要素24Bは、エレクトロルミネッセンスにより赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ放出する。各有機発光要素24R、24G、24Bをなす材料は、所定の電圧を印加することにより所望の色で発光する蛍光性有機物質を含有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が用いられる。
【0028】
TFT素子28は、一対の電極25、26から有機発光要素24R、24G、24Bに選択的に印加される電圧を制御するようになっている。TFT素子28として、それ自体既知の例えば多結晶シリコンTFTを用いることができる。TFT素子28は、当該TFT素子28上に形成された絶縁膜29を貫通する配線電極を介して第1電極25に接続されている。
【0029】
絶縁膜29としては、絶縁性を有する材料が用いられる。例えば、絶縁膜29として、酸化ケイ素などの無機系材料をスパッタ又は真空蒸着で成膜した層、あるいは、フォトレジスト、アクリル樹脂などの樹脂系材料の塗膜が挙げられる。
【0030】
なお、両側画像表示パネル20によって表示される画像の画質を向上させるために、両側画像表示パネル20は、有機EL層24の配列に対応した不図示のカラーフィルタ層をさらに有していてもよい。
【0031】
次に、両側画像表示パネル20の室内S1側に積層された調光シート40について説明する。調光シート40は、ヘイズ値〔%〕が変化するシート状の部材である。ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
【0032】
調光シート40は、ヘイズ値が変化する種々のシート状の部材を用いて形成され得る。
ただし、ここで説明する画像表示装置10において、調光シート40は、高ヘイズ状態において、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、両側画像表示パネル20によって表示される画像を隠蔽すると共に、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景に室内S1が明るく透けて視えることを妨げることが意図されている。このような観点から、高ヘイズ状態における調光シート40のヘイズ値は、90%以上となっていることが好ましい。その一方で、調光シート40は、低ヘイズ状態において、両側画像表示パネル20によって形成される画像の視認性を害さないことを意図されている。したがって、低ヘイズ状態における調光シート40のヘイズ値は、10%以下となっていることが好ましい。
【0033】
ヘイズ値の切り換えを可能とする調光シート40として、電圧を印加しているか否かに応じてヘイズ値が変化するシート状の部材を例示することができる。図4図7には、電圧印加の有無に応じて高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能な調光シートとして、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC)が例示されている。このうち、図4及び図5に示された調光シート40は、ノーマルモード型と呼ばれるタイプであり、図6及び図7に示された調光シート40は、リバースモード型と呼ばれるタイプである。
【0034】
図4及び図5に示されたノーマルモード型の調光シート40は、互いに対向して配置された第1基材41及び第2基材42と、一対の基材41,42間に配置され且つ対応する側の基材41,42にそれぞれ積層されている第1調光電極43及び第2調光電極44と、一対の調光電極43,44間に配置されたポリマーネットワーク48及び液晶材料49と、を有している。一対の基材41,42は、可視光透過性を有しており、両側画像表示パネル20によって形成される画像の視認を可能にする。同様の理由から、一対の調光電極43,44も可視光透過性を有している。一対の基材41,42は、例えば、透明なガラスや樹脂フィルムを用いて形成され得る。また、一対の調光電極43,44は、酸化インジウム錫等の透明導電性材料を用いて形成され得る。
【0035】
一方、図6及び図7に示されたリバースモード型の調光シート40は、一対の調光電極43,44間に配置された一対の配向膜45,46を更に有している。第1配向膜45は、第1調光電極43に積層され、第2配向膜46は、第2調光電極44に積層されている。ポリマーネットワーク48及び液晶材料49は、一対の配向膜45,46の間に配置されている。配向膜45,46は、いわゆる垂直配向膜であり、液晶分子の長手方向が配向膜45,46の法線方向に沿うように、当該液晶分子を配向する。
【0036】
ポリマーネットワーク48は、三次元の網目状に、言い換えると、スポンジ状に形成されている。ポリマーネットワーク48は、その内部に多数の空隙を形成している。この空隙内に液晶材料49が設けられている。ポリマーネットワーク48は、樹脂材料の硬化物から形成される。一方、液晶材料49は、長手方向を有する液晶分子50を含んだ液状の材料である。液晶分子50は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子50の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子50の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なる。
【0037】
一例として、図4図7に示された調光シート40では、液晶分子50が配向されている状態(図5及び図6)において、液晶分子50の屈折率とポリマーネットワーク48の屈折率とが揃う。この状態において、調光シート40へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、調光シート40を透過することができる。すなわち、液晶分子50が配向されている状態において、調光シート40は低ヘイズ状態となる。この状態において、調光シート40は透明な状態となり、調光シート40越しに両側画像表示パネル20によって表示される画像を観察することができる。
【0038】
一方、図4図7に示された調光シート40において、液晶材料49の液晶分子50が配向されていない状態(図4及び図7)では、液晶分子50の長手方向の向きが、当該液晶分子50の近傍に位置するポリマーネットワーク48にも依存して、不規則的となる。
この状態において、調光シート40へ入射した光は、進行方向を大きく曲げられて拡散する。すなわち、液晶分子50が配向されていない状態において、調光シート40は高ヘイズ状態となる。このとき、調光シート40は白濁した状態となり、調光シート40によって両側画像表示パネル20が隠蔽される。
【0039】
図4及び図5に示されたノーマルモード型の調光シート40では、ポジ型の液晶分子50が使用される。図4に示されたスイッチ18が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子50の向きは不規則となっている。したがって、ノーマルモード型の調光シート40は、電界が印加されていない状態において、白濁して両側画像表示パネル20を隠蔽することができる。一方、図5に示すように、スイッチ18が閉じて電圧源17から電圧が印加される状態(スイッチ18が入った状態)において、液晶分子50は配向されるようになる。したがって、ノーマルモード型の調光シート40は、電圧を印加された状態で、透明となり、観察者は、透明な調光シート40を介して両側画像表示パネル20によって表示される画像を観察することができる。
【0040】
図6及び図7に示されたリバースモード型の調光シート40では、ネガ型の液晶分子50が使用される。図6に示されたスイッチ18が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子50は、一対の配向膜45,46の配向作用により垂直配向される。したがって、リバースモード型の調光シート40は、電圧を印加されていない状態で、透明となり、観察者は、透明な調光シート40を介して両側画像表示パネル20の画像形成面20a上に形成された画像を観察することができる。一方、図7に示すように、スイッチ18が閉じた状態(入った状態)において、ネガ型の液晶分子50の向きは不規則となる。したがって、リバースモード型の調光シート40は、電界が印加されている状態において、白濁して両側画像表示パネル20を隠蔽することができる。
【0041】
ところで、液晶材料49が二色性色素を有するようにしてもよい。二色性色素は、液晶分子50と同様に、長手方向を有するとともに、電圧印加の有無に応じてその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有し得ようになる。このため、調光シート40は、低ヘイズ状態において無色透明に維持され、その一方で、高ヘイズ状態において、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら隠蔽性を発揮することができる。ここで所定の色味を、画像表示板11が設置される周囲の色、図示された例では特定の色味を有する場合の区画部材2の色と同様にすることができる。この例によれば、周囲環境の色調を崩すことなく、画像表示板11を配置することができる。すなわち、周囲との調和を保ちながら画像表示板11を配置することができる。このような二色性色素として、例えば特開2007−009120や特開2011−246411に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。
【0042】
以上のような調光シート40は、一対の基材41,42、調光電極43,44及び配向膜45,46の間に、ポリマーネットワーク48をなすようになる未硬化状態の樹脂組成物を液体状態の液晶材料49とともに配置する。この状態から、未硬化状態の樹脂組成物を硬化させる。この際の硬化速度を調整することにより、樹脂組成物及び液晶材料49が、それぞれ、或る程度凝集する。これにより、液晶材料49が或る程度分散して配置される一方で、三次元網目状(スポンジ状)のポリマーネットワーク48が形成されるようになる。なお、ポリマーネットワーク48をなすようになる樹脂組成物は、一例として、光を照射されることによって硬化する光硬化型樹脂とすることができる。光硬化型樹脂を用いた場合、樹脂組成物の照射する光量を調整することにより、液晶材料49の分散を調整することができる。
【0043】
さて、図2に戻って、本実施の形態において、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21と接合されている。図示された例において、調光シート40は、接合層31を介して、両側画像表示パネル20の第1面21面に接合されている。すなわち、接合層31は、調光シート40と両側画像表示パネル20との間において、調光シート40及び両側画像表示パネル20に面接触してこれらを互いに接合している。
【0044】
接合層31として、種々の接着層や粘着層を用いることができる。ただし、接合層31と、調光シート40又は両側画像表示パネル20との間での屈折率差が大きくなると、両側画像表示パネル20からの画像光が反射されたり、画像表示板11に入射した外部光が反射されたりする。この場合、画像が暗くなる、コントラストが低下するといった不具合が生じる。したがって、接合層31は、隣接する部位との屈折率差が小さくなるよう、適宜選択されることが好ましい。
【0045】
図示する例では、画像表示板11の積層方向、言い換えると画像表示板11の法線方向からみて、両側画像表示パネル20の外輪郭と調光シート40の外輪郭とが重なるように配置され、接合層31は、両側画像表示パネル20の第1面21の全面を覆っている。この場合、両側画像表示パネル20の第1基板23及び第2基板27の割れに対する飛散防止効果を、画像表示板11に付与することができる。ただし、画像表示板11の積層方向からみて、両側画像表示パネル20の外輪郭が調光シート40の外輪郭よりも大きく、接合層31は、両側画像表示パネル20の第1面21の一部を覆っていてもよい。この場合、調光シート40によって両側画像表示パネル20を部分的に隠蔽することにより、画像表示板11の意匠性を高めることに寄与する。
【0046】
また、調光シート40の両側画像表示パネル20とは反対側となる面には、第2機能層33が積層されている。第2機能層33は、第1機能層32と同様に何らかの機能を発揮することを意図された層である。
【0047】
次に、以上のような画像表示装置10の作用について図8及び図9を参照して説明する。図8及び図9は、それぞれ、調光シート40を低ヘイズ状態及び高ヘイズ状態に維持したときのショーウィンドを示す図である。
【0048】
図8に示すように、画像表示板11の調光シート40が低ヘイズ状態に保たれると、室内S1にいる観察者は、透明な調光シート40を介して、両側画像表示パネル20によって形成される画像を観察することができる。上述のように、両側画像表示パネル20は可視光透過性を有する。このため、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景に室外S2が観察される。とりわけ日中の時間帯においては、室内S1及び室外S2ともある程度の明るさをもつため、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景に室外S2が観察されても、画像が大きく劣化することはない。むしろ、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室外S2が透けて視えることにより、画像表示板11の意匠性を高めることができる。
【0049】
一方、室外S2にいる観察者は、両側画像表示パネル20によって形成される画像の背景に、室内S1が透明な調光シート40を介して観察される。上述のように、とりわけ日中の時間帯においては、室内S1及び室外S2ともある程度の明るさをもつため、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景に室内S1が観察されても、画像が大きく劣化することはない。むしろ、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が透けて視えることにより、画像表示板11の意匠性を高めることができる。したがって、日中の時間帯においては、調光シート40を低ヘイズ状態に保つことで、両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から優れた意匠性で観察することができる。
【0050】
一方、図9に示すように、調光シート40が高ヘイズ状態に保たれると、調光シート40は透過光を散乱させ白濁する。調光シート40が白濁しているため、室内S1にいる観察者は、両側画像表示パネル20を調光シート40越しに観察し難くなる。一方、室外S2にいる観察者は、両側画像表示パネル20によって形成される画像の背景として、白濁した調光シート40が観察される。すなわち、室外S2側から室内S1に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、両側画像表示パネル20によって形成される画像の背景として、室内S1が観察されることを妨げることができる。とりわけ夜間の時間帯においては、室内S1は明るい一方で室外S2が暗くなる。この場合、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として、眩しい室内S1ではなく白濁した調光シート40が観察されることで、画像が大きく劣化することを妨げることができる。したがって、夜間の時間帯においては、調光シート40を高ヘイズ状態に保つことで、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、白濁した調光シート40により両側画像表示パネル20を隠蔽すると共に、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として、明るい室内S1ではなく白濁した調光シート40が観察されることで、当該画像の視認性を確保することができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、2つの空間S1、S2を区画する区画部材2に組み込まれて用いられる画像表示板11を備え、画像表示板11は、互いに対向する第1面21及び第2面22を有する両側画像表示パネル20と、両側画像表示パネル20に積層された調光シート40と、を有し、両側画像表示パネル20は、可視光透過性を有し、両側画像表示パネル20によって表示される画像が、第1面21側及び第2面22側の両方から観察されるようになっており、調光シート40は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能になっている。このような形態によれば、調光シート40を低ヘイズ状態に保つと、調光シート40は透明になる。調光シート40が透明なため、両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から観察することができる。一方、調光シート40が高ヘイズ状態に保たれると、調光シート40は透過光を散乱させ白濁する。調光シート40が白濁しているため、調光シート40とは反対側となる一の空間S2側から他の空間S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景に、白濁した調光シート40が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として、画像を劣化させる得る他の空間S1が観察されることを妨げ、両側画像表示パネル20によって表示される画像の劣化を抑制することができる。一方、調光シート40側となる他の空間S1側から一の空間S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、白濁した調光シート40により両側画像表示パネル20によって表示される画像及び一の空間S2を隠蔽することができる。このようにして、2つの空間S1、S2を区画する区画部材2と共に用いられ、表示される画像を2つの空間S1、S2のいずれ側からも観察可能な画像表示装置10において、2つの空間S1、S2のうちの一の空間S2側から他の空間S1側に向かって画像を観察したときに起こり得る画像の劣化を抑制することが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態の画像表示装置10によれば、調光シート40を低ヘイズ状態に保った状態において、一の空間S2及び他の空間S1のうちの一方の側から他方の側に向かって両側画像表示パネル20を視たときに、他方の空間S1、S2が透けて視える。このため、見栄えの点で優れ、且つ、ショーウィンド1に主として求められる商品の展示機能を確保することができる。
【0053】
とりわけ、本実施の形態によれば、両側画像表示パネル20の第1面21が区画部材2に区画された室内S1側に面し、両側画像表示パネル20の第2面22が区画部材2に区画された室外S2側に面するようにして、画像表示板11が区画部材2に組み込まれるようになっており、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21に積層されている。日中の時間帯においては、室内S1及び室外S2ともある程度の明るさをもつため、調光シート40を低ヘイズ状態に保つことで、両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から優れた意匠性で観察することができる。一方、夜間の時間帯においては、室内S1は明るい一方で室外S2が暗くなるような状況が想定され得る。この場合、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が明るく観察されてしまい、画像が大きく劣化するおそれがある。この点、本実施の形態によれば、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21つまり室内S1側に積層されている。このため、調光シート40を高ヘイズ状態に保つことにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として明るい室内S1ではなく白濁した調光シート40が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が明るく観察されることを回避することで、画像が大きく劣化することを妨げることができる。一方、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、白濁した調光シート40により両側画像表示パネル20及び室外S2を隠蔽することができる。このようにして、室外S2側から室内S1側に向かって画像を観察したときに起こり得る画像の劣化を抑制することが可能な画像表示装置10が実現される。
【0054】
また、本実施の形態によれば、調光シート40は、電圧が印加されていない場合に低ヘイズ状態となり電圧が印加された場合に高ヘイズ状態となる、リバースモード型のヘイズ切り換え方式を採用している。この場合、例えば停電時のように電気を供給できないような状況において、調光シート40が透明となる。このため、例えば停電時のように電気を供給できないような状況においても、透明な調光シート40を介して、区画部材2に区画された2つの空間S1、S2内の状況を速やかに把握することができる。
【0055】
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0056】
上述した実施の形態では、図2に示すように、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21つまり室内S1側に積層されている例を示したが、調光シート40の形態は、上述した配置に限定されない。図10及び図11に、調光シート40の他の形態を示し、図12及び図13に、さらに他の形態を示す。図10及び図11に示す例では、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第2面22つまり室外S2側に積層されている。この場合、図10に示すように、調光シート40を低ヘイズ状態に保つことで、調光シート40が透明になる。調光シート40が透明なため、両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から観察することができる。一方、図11に示すように、調光シート40を高ヘイズ状態に保つことで、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、白濁した調光シート40により、両側画像表示パネル20によって表示される画像及び室内S1を隠蔽することができる。これにより、室外S2側から室内S1が意図せず観察されてしまうことを妨げることができる。その一方で、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として白濁した調光シート40が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室外S2が観察されることを回避しながら当該画像を観察することができる。したがって、このような画像表示装置10によれば、室外S2側から室内S1が意図せず観察されてしまうことを妨げると共に、室内S1側から室外S2が背景として視えることなく両側画像表示パネル20によって表示される画像を観察することが可能な画像表示装置10が実現される。
【0057】
一方、図12及び図13に示す例では、両側画像表示パネル20に積層された追加調光シート60をさらに備え、調光シート40と追加調光シート60との間に、両側画像表示パネル20が配置されている。追加調光シート60の構成は、上述した調光シート40と略同様に構成される。このような形態によれば、調光シート40及び追加調光シート60を低ヘイズ状態に保つことで、調光シート40及び追加調光シート60の両方が透明になる。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から観察することができる。
【0058】
一方、図12に示すように、調光シート40を高ヘイズ状態に保ち、追加調光シート60を低ヘイズ状態に保つことで、調光シート40が白濁し追加調光シート60が透明になる。これにより、とりわけ夜間において、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として明るい室内S1ではなく白濁した調光シート40が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が明るく観察されることを回避し、画像が大きく劣化することを妨げることができる。一方、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときには、白濁した調光シート40により両側画像表示パネル20によって表示される画像を隠蔽することができる。
【0059】
また、図13に示すように、調光シート40を低ヘイズ状態に保ち、追加調光シート60を高ヘイズ状態に保つことで、調光シート40が透明となり追加調光シート60が白濁する。これにより、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察したときに、白濁した追加調光シート60により、両側画像表示パネル20によって表示される画像及び室内S1を隠蔽することができる。これにより、室外S2側から室内S1が意図せず観察されてしまうことを妨げることができる。その一方で、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室外S2ではなく白濁した追加調光シート60が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室外S2が観察されることを回避しながら当該画像を観察することができる。
【0060】
また、上述した実施の形態では、図2及び図10に示すように、画像表示板11は、両側画像表示パネル20の一の面21、22側に積層された一枚の調光シート40を有する例を示したが、これに限られない。画像表示板11は、両側画像表示パネル20の一の面21、22側に2つ以上の調光シート40を有するようにしてもよい。複数の調光シート40を設けることによって、高ヘイズ状態における隠蔽性を格段に向上させることができる。その一方で、厚みの厚い調光シートを一枚用いる場合と比較して、複数の調光シート40を用いる場合には、ヘイズ状態を切り換える際の電圧を高くする必要がない。したがって、上述の優れた作用効果を奏し得る画像表示装置10を、低電圧で安全且つ優れた取り扱い性にて使用することができる。
【0061】
また、上述した実施の形態において、両側画像表示パネル20の第1面21及び第2面22は、平坦面からなる例に限られず、曲面であってもよい。この場合、調光シート40の一対の基材41,42を樹脂フィルムによって形成している場合、調光シート40は柔軟性を有するようになる。したがって、両側画像表示パネル20の湾曲した第1面21に面接合または面接触した状態で、当該第1面21上に調光シート40を湾曲して配置することが可能となる。このような画像表示装置10では、画像表示板11全体が湾曲する。したがって、湾曲した画像表示板11を、湾曲した区画部材2に配置すること、或いは、湾曲した区画部材2に嵌め込んで当該区画部材2の表面と画像表示板11の表面とが面一となるように配置することができる。したがって、このような画像表示装置10によれば、画像表示装置10の意匠性を改善し、さらには、画像表示装置10が配置されている領域の質感を向上させて高級感を付与することも可能となる。
【0062】
また、上述した実施の形態では、図4に示すように、両側画像表示パネル20が有機ELディスプレイからなる例を示したが、両側画像表示パネル20の形態は、このような例に限定されない。両側画像表示パネル20は、可視光透過性を有し、両側画像表示パネル20によって表示される画像が、第1面21側及び第2面22側の両方から観察されるようになっている表示パネルであれば種々の形態を採用することが可能である。両側画像表示パネル20の他の例として、例えば、両側画像表示パネル20は、液晶画像表示ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半透過スクリーン及びホロスクリーン等が挙げられる。一例として、図14及び図15に、両側画像表示パネル20が半透過スクリーンからなる例を示す。
【0063】
図14及び図15に示すように、画像表示装置10は、両側画像表示パネル20に、当該両側画像表示パネル20の第2面22側から映像光を投射する映像投射機70をさらに備えている。調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21に積層されている。したがって、映像投射機70は、両側画像表示パネル20を基準として調光シート40の反対となる側から、両側画像表示パネル20に映像光を投射するようになっている。
【0064】
図14及び図15に示す例では、両側画像表示パネル20は、可視光透過性を有する半透過スクリーンからなる。この場合、両側画像表示パネル20は、映像投射機70から投射される映像光の一部を反射し、当該映像光の一部を透過する。したがって、映像光によって表示される画像が、第1面21側及び第2面22側の両方から観察されるようになっている。このような半透過スクリーンは、例えばヘイズ値を所望に調整したそれ自体既知の半透過スクリーンを用いることで実現することができる。
【0065】
このような形態によれば、日中の時間帯においては、室内S1及び室外S2ともある程度の明るさをもつため、図14に示すように、調光シート40を低ヘイズ状態に保つことで、映像投射機70から投射され両側画像表示パネル20によって表示される画像を、第1面21側及び第2面22側の両方から観察することができる。一方、夜間の時間帯においては、室内S1は明るい一方で室外S2が暗くなるような状況が想定され得る。この場合、室外S2側から室内S1側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が明るく観察されてしまい、画像が大きく劣化するおそれがある。この点、本実施の形態によれば、調光シート40は、両側画像表示パネル20の第1面21に積層され、映像投射機70は、第2面22側から両側画像表示パネル20に映像を投射する。このため、図15に示すように、調光シート40を高ヘイズ状態に保つことにより、映像投射機70から投射され両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として明るい室内S1ではなく白濁した調光シート40が観察される。これにより、両側画像表示パネル20によって表示される画像の背景として室内S1が明るく観察されることを回避することで、画像が大きく劣化することを妨げることができる。一方、室内S1側から室外S2側に向かって両側画像表示パネル20を観察すると、白濁した調光シート40により両側画像表示パネル20を隠蔽することができる。このようにして、室外S2側から室内S1側に向かって画像を観察したときに起こり得る画像の劣化を抑制することが可能な画像表示装置10が実現される。
【0066】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ショーウィンド
2 区画部材
10 画像表示装置
11 画像表示板
20 両側画像表示パネル
21 第1面
22 第2面
24 有機EL層
25 第1電極
26 第2電極
40 調光シート
48 ポリマーネットワーク
49 液晶材料
50 液晶分子
60 追加調光シート
70 映像投射機
S1 室内
S2 室外
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15