(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間プレートの前記複数の伝熱フィンは、X方向およびX方向に直交するY方向に配列されており、前記ブリッジは、平面視で前記X方向又は前記Y方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0019】
熱交換器の構成
まず、
図1により、本実施の形態による熱交換器の概略について説明する。
図1は、本実施の形態による熱交換器を示す分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態による熱交換器(プレート型熱交換器)10は、一方の固定板11と、一方の固定板11から離間して設けられた他方の固定板12と、一方の固定板11と他方の固定板12との間に互いに積層して配置された複数(
図1では8枚)の金属薄板状のプレート20A〜20Hとを備えている。
【0021】
このうちプレート20A〜20Hは、第1の流体F
1用のプレート20A〜20Dと、第2の流体F
2用のプレート20E〜20Hとからなっている。すなわち、プレート20A〜20Dによって、第1の流体F
1用の第1プレートユニット31が構成され、プレート20E〜20Hによって、第2の流体F
2用の第2プレートユニット32が構成されている。各プレート20A〜20Hは、溶融点に近い温度で隣接するプレート20A〜20Hに圧着されることにより、接触面でプレートを構成する金属原子を相互に拡散させ、互いに強固に接合されている(拡散接合)。また、一方の固定板11と他方の固定板12とは、図示しない連結手段で互いに連結されており、これにより一方の固定板11とプレート20Aとが互いに密着し、他方の固定板12とプレート20Hとが互いに密着している。
【0022】
一方の固定板11および他方の固定板12は、それぞれ平面略矩形状を有している。このうち一方の固定板11には、流入管13A、13Bおよび流出管14A、14Bが接続されている。これに対して他方の固定板12は、開口等が形成されることなく、平坦な形状を有している。
【0023】
流入管13Aおよび流出管14Aは、それぞれ第1の流体F
1が流入および流出するものである。第1の流体F
1は、図示しないコンプレッサー又はポンプによって、流入管13Aから熱交換器10に流入し、プレート20A〜20D内で循環しながら熱交換を行い、流出管14Aから流出するようになっている。
【0024】
また、流入管13Bおよび流出管14Bは、それぞれ第2の流体F
2が流入および流出するものである。第2の流体F
2は、図示しないコンプレッサー又はポンプによって、流入管13Bから熱交換器10に流入し、プレート20E〜20H内で循環しながら熱交換を行って、流出管14Bから流出するようになっている。
【0025】
第1の流体F
1および第2の流体F
2は、少なくとも流入管13A、13Bに流入する時点では、互いに温度が異なっている。第1の流体F
1および第2の流体F
2としては、二酸化炭素、空気等の気体であっても良く、水等の液体であっても良い。第1の流体F
1および第2の流体F
2は、同一種類の流体を用いても良く、互いに異なる種類の流体を用いても良い。
【0026】
このように、熱交換器10においては、プレート20A〜20Dの間を通過する第1の流体F
1と、プレート20E〜20Hの間を通過する第2の流体F
2との間で、熱交換が行われるようになっている。なお、プレート20A〜20Hの枚数は、
図1では便宜上8枚の場合を示しているが、これに限らず、例えば40枚〜400枚程度としても良い。
【0027】
なお、このような熱交換器10は、例えば給湯器のヒートポンプユニット、空調設備、化学プラント等に用いることができる。
【0028】
プレートの構成
次に、
図2乃至
図6を参照して、本実施の形態によるプレートの構成について説明する。なお、以下においては、第1の流体F
1用のプレート20A〜20D(第1プレートユニット31)の構成について説明するが、第2の流体F
2用のプレート20E〜20H(第2プレートユニット32)についてもその構成は略同様である。
【0029】
図2(a)(b)および
図3(a)(b)に示すように、プレート20A〜20Dは、それぞれ平面略矩形形状であり、長手方向と短手方向とを有している。
図2(a)(b)および
図3(a)(b)において、長手方向はY方向に平行であり、短手方向はY方向に直交するX方向に平行である。
【0030】
プレート20A〜20Dのうち、プレート20A、20Dは、それぞれ外側に配置されており、プレート20B、20Cは、プレート20A、20Dの間に介在されている。すなわち一方の固定板11側から見て、プレート20A、20B、20C、20Dの順に互いに積層されている。本実施の形態において、プレート20Aが第1のプレート(又は第2のプレート)に対応し、プレート20Dが第2のプレート(又は第1のプレート)に対応する。また、プレート20B、20Cがそれぞれ中間プレートに対応する。
【0031】
次に、
図2(a)および
図3(b)を参照して、プレート20A、20D(第1のプレートおよび第2のプレート)の構成について説明する。
【0032】
図2(a)および
図3(b)に示すように、プレート20A、20Dは、それぞれ外周領域21と、外周領域21の内側に形成された薄肉領域(ハーフエッチング領域)22とを備えている。このうち外周領域21は、各プレート20A、20Dの外周全域に沿って環状に形成されている。この外周領域21は、ハーフエッチングが施されておらず、薄肉領域22よりも厚い領域である。また、外周領域21は、本実施の形態においては、全面にわたりほぼ同一の厚みを有している。
【0033】
また、薄肉領域22は、外周領域21よりも薄肉となっており、プレート20A、20Dの一面側のみに形成されている。この場合、薄肉領域22は、当該一面側から例えばハーフエッチング加工を施すことにより形成されている。なお、「ハーフエッチング」とは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。薄肉領域22の深さは、例えば、外周領域21の厚みの40%〜60%程度とされても良い。
【0034】
薄肉領域22のうち、プレート20A、20Dの一対の角部近傍には、それぞれ入口側開口23A、出口側開口24Aが形成されている。この入口側開口23A、出口側開口24Aは、第1の流体F
1が通過するとともに、薄肉領域22に連通している。
【0035】
また、外周領域21のうち、プレート20A、20Dの他の一対の角部近傍には、それぞれ入口側開口23B、出口側開口24Bが形成されている。この入口側開口23B、出口側開口24Bは、第2の流体F
2が通過するとともに、プレート20A、20Dの薄肉領域22とは連通しないようになっており、他方、プレート20E〜20Hの内部に形成された流路26に連通するようになっている。
【0036】
これらの入口側開口23A、23B、出口側開口24A、24Bは、それぞれプレート20A、20Dを貫通するように形成される。なお、入口側開口23A、23B、出口側開口24A、24Bは、薄肉領域22を片面側からハーフエッチングにより形成する際、薄肉領域22と同時に両面側からエッチングすることにより形成されても良い。
【0037】
薄肉領域22には、複数の伝熱フィン25がそれぞれZ方向(プレート20A、20Dの厚み方向)に突出して設けられている。各伝熱フィン25が設けられている箇所の厚みは、外周領域21の厚みと同一である。一方、各伝熱フィン25は、外周領域21および他の伝熱フィン25からそれぞれ平面方向(X方向およびY方向)に離間して配置されている。このため、各伝熱フィン25は島状に独立して配置されており、各伝熱フィン25の周囲には、第1の流体F
1が通過するための流路26(の一部)が形成されている。なお、
図1乃至
図3において、便宜上、一部の伝熱フィン25のみを示しているが、実際には、薄肉領域22の略全域に亘って伝熱フィン25が配置されている。なお、伝熱フィン25は、薄肉領域22を片面側からハーフエッチングにより形成する際、ハーフエッチングされずに残存する領域の一部からなっている。
【0038】
本実施の形態において、外周領域21のうち薄肉領域22側に位置する縁部27が、縁部27に隣接する伝熱フィン25の形状に沿って波形状又はジグザグ形状となっている。また、波形状又はジグザグ形状の縁部27は、略S字状の伝熱フィン25の形状に合わせた形状となっている。すなわち、縁部27は、各伝熱フィン25の外形形状に沿って湾曲している。これにより、縁部27と伝熱フィン25との間の流路26が略一定の幅となるので、第1の流体F
1をプレート20A〜20D間に均一に流すことができる。この結果、流体の流路抵抗を低減することができるので、流体の圧力損失を小さくすることができる。しかしながら、これに限らず、縁部27は、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)に沿って直線状に形成されていても良い。
【0039】
次に、
図2(b)および
図3(a)を参照して、プレート20B、20C(中間プレート)の構成について説明する。
【0040】
図2(b)および
図3(a)に示すように、プレート20B、20Cは、それぞれ外周領域21と、外周領域21の内側に形成された貫通領域28とを備えている。このうち外周領域21は、各プレート20B、20Cの外周全域に沿って環状に形成されている。この外周領域21の構成は、上述したプレート20A、20Dの外周領域21の構成と同一である。
【0041】
また、貫通領域28は、プレート20B、20CをZ方向(プレート20B、20Cの厚み方向)に貫通して形成された領域である。この場合、貫通領域28は、プレート20B、20Cの両面側から例えばエッチング加工により形成されたものであっても良い。
【0042】
外周領域21のうち、プレート20B、20Cの一対の角部近傍には、それぞれ入口側開口23B、出口側開口24Bが貫通形成されている。この入口側開口23B、出口側開口24Bは、第2の流体F
2が通過するとともに、プレート20B、20Cの貫通領域28とは連通しないようになっている。一方、上述したプレート20A、20Dと異なり、プレート20B、20Cには、入口側開口23A、出口側開口24Aは形成されていない。
【0043】
貫通領域28の内部には、複数の伝熱フィン25が配置されている。各伝熱フィン25の厚みは、外周領域21の厚みと同一である。また、各伝熱フィン25は、外周領域21および他の伝熱フィン25からそれぞれ平面方向(X方向およびY方向)に離間して配置されている。このため、各伝熱フィン25は島状に独立して配置されており、各伝熱フィン25の周囲には、第1の流体F
1が通過するための流路26(の一部)が形成されている。なお、伝熱フィン25は、貫通領域28を両面側からエッチングにより形成する際、エッチングされずに残存する領域の一部からなっている。
【0044】
本実施の形態において、プレート20B、20Cの各伝熱フィン25は、それぞれブリッジ29を介して、直接又は間接的に外周領域21に保持されている。すなわち、各伝熱フィン25には少なくとも1本のブリッジ29が連結されており、このブリッジ29は、他の伝熱フィン25又は外周領域21に連結されている。これにより、全ての伝熱フィン25が、ブリッジ29を介して外周領域21に保持され、外周領域21から脱落しないようになっている。
【0045】
また、複数の伝熱フィン25のうち、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)両端に位置するいくつかの伝熱フィン25は、それぞれ外周領域21に対して固定用ブリッジ29Aによって繋がれている。これにより、複数の伝熱フィン25が貫通領域28内で不安定になり変形してしまう不具合が防止される。固定用ブリッジ29Aは、プレート20B(20C)の外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。固定用ブリッジ29Aは、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチングにより形成される。
【0046】
次に、
図4乃至
図6を参照して、伝熱フィン25およびブリッジ29の構成について更に説明する。ここで
図4は
図2(b)のIV部拡大図であり、
図5(a)は
図2(a)のVA部拡大図であり、
図5(b)は
図2(b)のVB部拡大図であり、
図5(c)は
図3(a)のVC部拡大図であり、
図5(d)は
図3(b)のVD部拡大図であり、
図6は
図5(a)〜(d)のVI−VI線断面に対応する図である。
【0047】
図4および
図5(a)〜(d)に示すように、各伝熱フィン25は、平面略S字形状を有している。この伝熱フィン25は、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)に沿って一定の間隔を隔てて多数配置されている。また、伝熱フィン25は、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)にも一定の間隔で平行に配置されている。この伝熱フィン25は、その長手方向両端を渦や旋回流などの乱れが生じないような流線型にそれぞれ成形しており、流体抵抗を最小にするように構成されている。
【0048】
本実施の形態において、複数の伝熱フィン25は、互いに線対称な形状を有する2種類の伝熱フィン25a、25bを複数組合せることによって構成されている。このうち伝熱フィン25aは、X方向マイナス側およびY方向マイナス側から、X方向プラス側およびY方向プラス側へ向かって延びる略S字形状を有している。一方、伝熱フィン25bは、X方向プラス側およびY方向マイナス側から、X方向マイナス側およびY方向プラス側へ向かって延びる略S字形状を有している。伝熱フィン25aおよび25bは、それぞれX方向に沿って一列に配置されており、伝熱フィン25aの列と伝熱フィン25bの列とは、Y方向に沿って交互に配置されている。複数の伝熱フィン25は、これら一組の伝熱フィン25a、25bの位置をX方向およびY方向にそれぞれ所定量だけずらして多数配置するように構成され、いわゆる千鳥状の配列(デルタ配列)となっている。本明細書中、これら2種類の伝熱フィン25a、25bを合わせて、伝熱フィン25と称する。伝熱フィン25の幅は、プレート20A〜20Dの材料の厚みや流体によって適宜異ならせても良い。具体的には、各伝熱フィン25のうち最も幅の広い箇所で例えば0.3mm〜1.0mmとしても良い。
【0049】
そして、第1の流体F
1は、X方向に互いに隣接する一対の伝熱フィン25間の流路26を通過した後、より下流側(Y方向プラス側)に位置する他の伝熱フィン25の上流側(Y方向マイナス側)の端部で分岐され、この伝熱フィン25とX方向に隣接する一対の伝熱フィン25と間の各流路26をそれぞれ通過する。その後、伝熱フィン25に沿って流れた第1の流体F
1は、伝熱フィン25の下流側(Y方向プラス側)の端部で合流する。これにより、流路26における急激な曲がりによる渦形成や旋回流に起因する圧力損失を最小限に抑え、流路面積の変化、すなわち、流路26の拡大や縮小を抑えることができ、拡流や縮流による圧力損失を小さく抑えることができる。流路26の幅は、プレート20A〜20Dの材料の厚みや流体によって適宜異ならせても良く、例えば0.2mm〜3.0mmとしても良い。
【0050】
各ブリッジ29は、平面略直線形状を有している。ブリッジ29は、各伝熱フィン25aの上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)端部と、当該伝熱フィン25aの上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)に隣接する伝熱フィン25bの略中央部分とを互いに連結している。
【0051】
本実施の形態において、各ブリッジ29は、平面視で第1の流体F
1が流れる方向(
図4の矢印F
L参照)を横切る方向に延びている。すなわち、各ブリッジ29は、それぞれX方向マイナス側およびY方向マイナス側から、X方向プラス側およびY方向プラス側へ向かって延びている。この場合、各ブリッジ29の長手方向は、第1の流体F
1が流れる方向に対して例えば30°〜90°程度の角度で交わっていても良い。
【0052】
図6は、プレート20A〜20Dが積層された状態を示しており、
図5(a)〜(d)のVI−VI線断面図に対応している。
図6に示すように、プレート20B(20C)のブリッジ29は、プレート20B(20C)の外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。各ブリッジ29は、貫通領域28を両面側からエッチング形成する際に一緒に形成される。すなわち、各ブリッジ29は、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチングを施すことにより形成される。このため、ブリッジ29は、伝熱フィン25と一体に構成されている。この場合、プレート20Bのブリッジ29と、プレート20Cのブリッジ29とは、プレート20B、20Cの接合界面で互いに接触している。このようにブリッジ29を薄肉化したことにより、ブリッジ29によって流路26が大幅に塞がれることを防止し、第1の流体F
1の流路抵抗を低減することができる。
【0053】
ブリッジ29の幅や厚みは、プレート20B、20Cの材料の厚みや流体によって適宜設定することができる。具体的には、ブリッジ29の幅は例えば0.1mm〜1.0mmとしても良く、ブリッジ29の厚みは例えば外周領域21の厚みの40%〜60%程度としても良い。
【0054】
図6に示すように、プレート20A、20Dは、薄肉領域22が形成された面同士を互いに対向させるように配置されている。さらに、プレート20A、20Dの間にプレート20B、20Cが介在され、この状態でプレート20A〜20Dが互いに接合されている。このとき、プレート20A、20Dの薄肉領域22と、プレート20B、20Cの貫通領域28とによって第1の流体F
1が流れる流路26が形成される。
【0055】
また、プレート20Aの薄肉領域22および複数の伝熱フィン25と、プレート20Bの貫通領域28および複数の伝熱フィン25とは、それぞれ互いに同一形状であり、それぞれプレート20A、20B内で互いに同一の位置に配置されている。さらに、プレート20Dの薄肉領域22および複数の伝熱フィン25と、プレート20Cの貫通領域28および複数の伝熱フィン25とは、それぞれ互いに同一形状であり、それぞれプレート20C、20D内で互いに同一の位置に配置されている。一方、プレート20A、20Dの薄肉領域22および複数の伝熱フィン25は、それぞれ互いに鏡面対称となるように形成され、プレート20B、20Cの貫通領域28および複数の伝熱フィン25は、それぞれ互いに鏡面対称となるように形成されている。このため、プレート20A〜20Dを互いに接合した際、各薄肉領域22と各貫通領域28とが重なり、対応する各伝熱フィン25同士が重なる(
図6参照)。
【0056】
なお、プレート20A〜20Dは、熱伝導性の良い金属が好ましく、例えばステンレス、鉄、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなど、種々選択可能である。また、プレート20A、20Dの厚みは、それぞれ例えば0.1mm〜2.0mmとしても良い。一方、プレート20B、20Cの厚みは、流路26に必要とされる高さによって適宜設定することができるが、プレート20A、20Dの厚みよりも薄くしても良く、それぞれ例えば0.05mm〜1.0mmとしても良い。
【0057】
本実施の形態において、流路26の高さh(
図6参照)は、プレート20A、20Dの薄肉領域22の深さと、プレート20B、20Cの厚みとの合計によって規定される。具体的には、流路26の高さhは、例えば0.2mm〜4.0mmとすることができる。このように、流路26の高さhを高くすることにより、各プレート20A〜20Dそれぞれの厚みを厚くすることなく、プレート20A〜20D間の流路26を高さ方向に拡大することができる。
【0058】
上記において、プレート20A、20Dの間に2枚のプレート(中間プレート)20B、20Cが介在されている場合を例にとって説明したが、これに限らず、中間プレートは少なくとも1枚設けられていれば良い。あるいは、プレート20A、20Dの間に3枚以上の中間プレートが介在されていても良い。
【0059】
本実施の形態の作用
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0060】
まず、
図1に示す熱交換器10において、流入管13Aに第1の流体F
1を導入するとともに、流入管13Bに第2の流体F
2を導入する。この場合、第1の流体F
1の温度と第2の流体F
2の温度とは互いに異なっている。
【0061】
次に、第1の流体F
1は、プレート20A、20Dの薄肉領域22と、プレート20B、20Cの貫通領域28とによって形成された流路26を通過し、熱交換器10の流出管14Aから流出する。同様に、第2の流体F
2は、プレート20E、20Hの薄肉領域22と、プレート20F、20Gの貫通領域28とによって形成された流路26を通過し、熱交換器10の流出管14Bから流出する。流出管14A、14Bから流出する時点で、第1の流体F
1および第2の流体F
2のうち一方の温度は流入時よりも上昇し、他方の温度は流入時よりも降下している。この場合、プレート20Dとプレート20Eとが互いに接合されているので、これらプレート20D、20Eを介して、第1の流体F
1と第2の流体F
2との間で熱交換が効率的に行なわれる。
【0062】
以下、第1の流体F
1がプレート20A〜20Dの流路26内を流れる際の作用について、
図4を参照して説明する。
【0063】
まず、第1の流体F
1が、入口側開口23Aから流入する。続いて、入口側開口23Aからの第1の流体F
1は、互いに隣接する一対の伝熱フィン25間の流路26を通過し、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)に沿って薄肉領域22および貫通領域28内を流れていく。この際、第1の流体F
1は、主に互いに隣接する伝熱フィン25同士の間の流路26を流れる。
【0064】
本実施の形態において、プレート20Aとプレート20Dとの間にプレート20B、20Cを介在させ、互いに積層されたプレート20A〜20Dの間に流路26を形成している。これにより、プレート20A、20Dの厚みを厚くすることなく、流路26を高さ方向に拡大することができる。これにより、第1の流体F
1が流れる際の流路抵抗を小さくし、圧力損失を低下することができる。
【0065】
その後、伝熱フィン25同士の間の流路26を通過した第1の流体F
1は、他の伝熱フィン25同士の間の流路26を通過した第1の流体F
1と合流し、出口側開口24Aから流出する。
【0066】
なお、第2の流体F
2が一対のプレート20E〜20H間を流れる際の作用についても上記と略同様である。
【0067】
このように本実施の形態によれば、プレート20Aとプレート20Dとの間にプレート20B、20Cを介在させ、互いに積層されたプレート20A〜20Dの間に流路26を形成している。これにより、プレート20A、20Dの厚みを厚くすることなく、流路26を高さ方向に拡大することができる。この場合、流体の流路抵抗を低減することができるので、流体の圧力損失を小さくすることができる。これにより、熱交換器10の流入管13A、13Bに流体を送り込むコンプレッサーやポンプの負荷を低減することができる。また、流体の圧力損失を小さくすることにより、熱交換器10をコンパクト化することができるとともに、使用される流体の量を削減することができる。さらに、熱交換器10を給湯器内で用いる場合には、水道水(流体)に含まれるカルキ成分が熱交換器10内に析出しにくくなるという効果も得られる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、上述したようにプレート20A、20Dの厚みを厚くする必要がないので、プレート20A、20Dの厚みを厚くした場合に生じる不具合、例えば、流路26の形状の寸法精度が下がる不具合や、薄肉領域22の深さ方向の形状の制御が困難になる不具合を防止することができる。
【0069】
変形例
次に、
図7乃至
図14により、本実施の形態によるプレートの各変形例について説明する。
図7乃至
図14に示す各変形例は、ブリッジ29の構成が異なるものであり、他の構成は
図1乃至
図6に示す実施の形態と略同一である。
図7乃至
図14において、
図1乃至
図6に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0070】
変形例1
図7および
図8は、本実施の形態の変形例(変形例1)を示す部分拡大平面図である。
図7および
図8において、
図1乃至
図6に示す実施の形態と異なり、各ブリッジ29は、平面視でY方向(第1の流体F
1の主流方向D)に沿って直線状に延びている。ブリッジ29は、各伝熱フィン25aの上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)端部と、当該伝熱フィン25aの上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)に隣接する伝熱フィン25bとを互いに連結している。この場合、各伝熱フィン25bにはそれぞれ2本のブリッジ29が連結されている。
【0071】
図8は、プレート20A〜20Dが積層された状態を示しており、
図7(a)〜(d)のVIII−VIII線断面図に対応している。
図8に示すように、プレート20B(20C)のブリッジ29は、外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。この場合、プレート20B(20C)の各ブリッジ29は、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチング加工を施すことにより薄肉化されている。
図7および
図8において、各ブリッジ29が、第1の流体F
1の主流方向D(Y方向)に沿って延びていることにより、流体の流路抵抗を低減することができ、流体の圧力損失を小さくすることができる。
【0072】
変形例2
図9および
図10は、本実施の形態の変形例(変形例2)を示す部分拡大平面図である。
図9および
図10において、
図1乃至
図6に示す実施の形態と異なり、各ブリッジ29は、平面視でX方向(第1の流体F
1の主流方向Dに直交する方向)に沿って直線状に延びている。ブリッジ29は、各伝熱フィン25a(25b)の略中央部と、当該伝熱フィン25a(25b)のX方向プラス側又はマイナス側に隣接する伝熱フィン25a(25b)の略中央部とを互いに連結している。
【0073】
図10は、プレート20A〜20Dが積層された状態を示しており、
図9(a)〜(d)のX−X線断面図に対応している。
図10に示すように、プレート20B(20C)のブリッジ29は、外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。この場合、プレート20B(20C)の各ブリッジ29は、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチング加工を施すことにより薄肉化されている。
図9および
図10において、各ブリッジ29が、第1の流体F
1の主流方向Dに直交する方向(X方向)に沿って延びていることにより、流体が、ブリッジ29を乗り越えるようにブリッジ29の周囲でZ方向にも流れるため、熱交換の効率を高めることができる。
【0074】
変形例3
図11および
図12は、本実施の形態の変形例(変形例3)を示す部分拡大平面図である。
図11および
図12において、
図1乃至
図6に示す実施の形態と異なり、2枚のプレート20B、20Cのブリッジ29は、平面視で互いに異なる方向に延びている。すなわち、プレート20Bの各ブリッジ29は、X方向(第1の流体F
1の主流方向Dに直交する方向)に沿って直線状に延びており、プレート20Cの各ブリッジ29は、Y方向(第1の流体F
1の主流方向D)に沿って直線状に延びている。なお、プレート20Bは、
図9(b)に示すプレート20Bと略同一の構成を有し、プレート20Cは、
図7(c)に示すプレート20Cと略同一の構成を有している。
【0075】
図12は、プレート20A〜20Dが積層された状態を示しており、
図11(a)〜(d)のXII−XII線断面図に対応している。
図12に示すように、プレート20B(20C)のブリッジ29は、外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。この場合、プレート20B(20C)の各ブリッジ29は、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチング加工を施すことにより薄肉化されている。
図12に示すように、プレート20A〜20Dを積層した状態で、プレート20Bのブリッジ29とプレート20Cのブリッジ29とが、互いに直交している。
図11および
図12において、プレート20B、20Cのブリッジ29は、互いに異なる方向に延びていることにより、第1の流体F
1とプレート20A〜20Dとの接触面積が増え、熱交換の効率を高めることができる。
【0076】
変形例4
図13および
図14は、本実施の形態の変形例(変形例4)を示す部分拡大平面図である。
図13および
図14において、
図1乃至
図6に示す実施の形態と異なり、各ブリッジ29は、平面視で第1の流体F
1が流れる方向に沿って直線状に延びている。ブリッジ29は、各伝熱フィン25a(25b)の上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)端部と、当該伝熱フィン25a(25b)の上流側又は下流側(Y方向マイナス側又はプラス側)に隣接する伝熱フィン25a(25b)の下流側又は上流側(Y方向プラス側又はマイナス側)端部とを互いに連結している。この場合、各伝熱フィン25a(25b)にはそれぞれ2本のブリッジ29が連結されている。
【0077】
図14は、プレート20A〜20Dが積層された状態を示しており、
図13(a)〜(d)のXIV−XIV線断面図に対応している。
図14に示すように、プレート20B(20C)のブリッジ29は、外周領域21の厚みよりも薄肉に形成されており、プレート20B(20C)の一面側のみに形成されている。この場合、プレート20B(20C)の各ブリッジ29は、プレート20B(20C)の面のうち、プレート20A(20D)側を向く面から例えばハーフエッチング加工を施すことにより薄肉化されている。
図13および
図14において、各ブリッジ29が、平面視で第1の流体F
1が流体が流れる方向に沿って延びていることにより、流体の流路抵抗を低減することができ、流体の圧力損失を小さくすることができる。
【0078】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。