(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面的に見て、前記接続部材接合領域の外縁から前記第1半導体領域までの距離をLとし、前記半導体基体の厚さをTとしたとき、L≦Tを満たす領域においても、前記第1半導体領域が形成されていない、又は、前記接続部材非接合領域においてよりも前記第1半導体領域の形成密度が低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパワー半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のパワー半導体装置900においては、コレクタ領域920を形成する際のレーザ照射により半導体基体910に歪み層(図示せず。)が形成されるため、半導体基体の厚さ及び接続部材の断面積によっては、エミッタ電極層940に接続部材960を接合する際の超音波により半導体基体910が破壊され易く、クレタリングC(
図11参照。)が発生し易いという問題がある(例えば、半導体基体の厚さが薄い場合には、コレクタ領域920を形成する際のレーザ照射の影響が大きくなるためクレタリングCが発生し易い。また、接続部材の断面積が大きい場合には、接合部材をエミッタ電極層940に接合するために必要な超音波のパワーが大きくなるためクレタリングCが発生し易い)。
図11中、符号LSは、クレタリングCの表面に出現する模様を示し、通常、レーザ照射のパターンを模した模様となっている。このような問題は、IGBTのみに発生する問題ではなくパワーMOSFET、ダイオードその他の半導体装置全般に発生する問題である。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、半導体基体の厚さ及び接続部材の断面積が、第2電極層に接続部材を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置を提供することを目的とする。また、そのようなパワー半導体装置を製造するパワー半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明のパワー半導体装置は、第1導電型の半導体基体と、前記半導体基体の第1主面側の表面に第1導電型又は第2導電型の不純物を導入した後、レーザ光を照射して前記半導体基体の前記第1主面側の表面を溶融させることにより形成された第1半導体領域と、前記第1半導体領域を覆うように形成された第1電極層と、前記半導体基体の第2主面側の表面に形成された第2電極層と、前記第2電極層に超音波接合により接合された電流取出し用の接続部材とを備え、前記半導体基体の厚さ及び前記接続部材の断面積は、前記第2電極層に前記接続部材を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積であるパワー半導体装置であって、平面的に見て、前記第2電極層に前記接続部材が接合された接続部材接合領域においては、前記第1半導体領域が形成されていない、又は、前記第2電極層に前記接続部材が接合されていない接続部材非接合領域においてよりも前記第1半導体領域の形成密度が低いことを特徴とする。
【0010】
なお、本明細書中、「クレタリング」とは、電流取出し用の接続部材が半導体基体の一部とともに半導体基体から剥離する現象、又は、その現象が発生したときの半導体基体表面のくぼみをいう。また「接続部材の断面積」とは、ボンディング前の接続部材において、接続部材の電流経路に対して垂直な断面の面積のことをいう。さらにまた、「クレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積」とは、具体的には、半導体基体の厚さが90μm以下で、かつ、電流取出し用の接続部材の断面積が70000μm
2以上である。
【0011】
[2]本発明のパワー半導体装置においては、前記半導体基体の厚さは、90μm以下であり、前記接続部材の断面積は、70000μm
2以上であることが好ましい。
【0012】
[3]本発明のパワー半導体装置においては、前記接続部材は、ボンディングワイヤであり、前記ボンディングワイヤの直径は、300μm以上であることが好ましい。
【0013】
なお、本明細書中、「ボンディングワイヤの直径」とは、ボンディング前のボンディングワイヤにおいて、ボンディングワイヤの電流経路に対して垂直な断面の直径のことをいう。
【0014】
[4]本発明のパワー半導体装置においては、平面的に見て、前記接続部材接合領域の外縁から前記第1半導体領域までの距離をLとし、前記半導体基体の厚さをTとしたとき、L≦Tを満たす領域においても、前記第1半導体領域が形成されていない、又は、前記接続部材非接合領域においてよりも前記第1半導体領域の形成密度が低いことが好ましい。
【0015】
[5]本発明のパワー半導体装置においては、前記第1半導体領域は、離間した状態で形成されている複数の領域からなることが好ましい。
【0016】
[6]本発明のパワー半導体装置においては、前記第1半導体領域は、連続して形成されている1つの領域からなることが好ましい。
【0017】
[7]本発明のパワー半導体装置においては、前記パワー半導体装置は、IGBTであって、前記第2主面側の表面に形成された第2導電型のベース領域と、前記ベース領域の表面に形成された第1導電型のエミッタ領域と、前記第2主面の上方にゲート酸化膜を介して形成されたゲート電極層とをさらに備え、前記第1半導体領域が、第2導電型のコレクタ領域であり、前記第1電極層が、コレクタ電極層であり、前記第2電極層が、前記エミッタ領域に接続されたエミッタ電極層であり、前記第2主面側の表面における前記エミッタ電極層と離間した位置には、前記ゲート電極層と接続されているゲートパッド電極層が形成され、前記ゲートパッド電極層には、電流制御用の第2接続部材が接合されていることが好ましい。
【0018】
[8]本発明のパワー半導体装置においては、前記パワー半導体装置は、パワーMOSFETであって、前記第2主面側表面に形成された第2導電型のベース領域と、前記ベース領域の表面に形成された第1導電型のソース領域と、前記第2主面の上方にゲート酸化膜を介して形成されたゲート電極層とをさらに備え、前記第1半導体領域が、第1導電型のドレイン領域であり、前記第1電極層が、ドレイン電極層であり、前記第2電極層が、前記ソース領域と接続されたソース電極層であり、前記第2主面側の表面における前記ソース電極層と離間した位置には、前記ゲート電極層と接続されているゲートパッド電極層が形成され、前記ゲートパッド電極層には、電流制御用の第2接続部材が接合されていることが好ましい。
【0019】
[9]本発明のパワー半導体装置においては、前記パワー半導体装置は、前記第2主面側の表面に、第2導電型のアノード領域をさらに備え、前記第1半導体領域が、カソード領域であり、前記第1電極層が、カソード電極層であり、前記第2電極層が、アノード電極層であるダイオード、又は、前記第2主面側の表面に、第1導電型のカソード領域をさらに備え、前記第1半導体領域が、アノード領域であり、前記第1電極層が、アノード電極層であり、前記第2電極層が、カソード電極層であるダイオードであることが好ましい。
【0020】
[10]本発明のパワー半導体装置の製造方法は、[1]〜[9]のいずれかに記載のパワー半導体装置を製造するためのパワー半導体装置の製造方法であって、第2主面側の表面に第2電極層が形成された第1導電型の半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、前記半導体基体の第1主面側の表面に第1導電型又は第2導電型の不純物を導入した後、レーザ光を照射して前記半導体基体の前記第1主面側の表面を溶融させることにより、第1半導体領域を形成する第1半導体領域形成工程と、前記第1半導体領域を覆うように第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、前記第2電極層に電流取出し用の接続部材を超音波接合により接合する接続部材接合工程とをこの順序で含み、前記半導体基体準備工程において準備する前記半導体基体の厚さ及び前記接続部材接合工程において前記第2電極層に接合する前記接続部材の断面積は、前記第2電極層に前記接続部材を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積であり、前記第1半導体領域形成工程においては、平面的に見て、前記接続部材接合工程で前記第2電極層に前記接続部材が接合される接続部材接合領域において、前記第1半導体領域を形成しない、又は、前記接続部材接合工程において前記第2電極層に前記接続部材が接合されない領域においてよりも前記第1半導体領域の形成密度が低くなるように前記第1半導体領域を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のパワー半導体装置によれば、接続部材接合領域においては、第1半導体領域が形成されていない、又は、接続部材非接合領域においてよりも第1半導体領域の形成密度が低いことから、接続部材接合領域においては、第1半導体領域を形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなり、第2電極層に電流取出し用の接続部材を接合する際の超音波接合によって半導体基体が破壊され難くなる。その結果、本発明のパワー半導体装置は、半導体基体の厚さ及び接続部材の断面積が、第2電極層に接続部材を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0022】
本発明のパワー半導体装置の製造方法によれば、第1半導体領域形成工程においては、平面的に見て、接続部材接合工程で第2電極層に接続部材が接合される接続部材接合領域において、第1半導体領域を形成しない、又は、接続部材接合工程において第2電極層に接続部材が接合されない領域においてよりも第1半導体領域の形成密度が低くなるように第1半導体領域を形成するため、接続部材接合領域においては、第1半導体領域を形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなり、第2電極層に電流取出し用の接続部材を接合する際の超音波接合によって半導体基体が破壊され難くなる。その結果、半導体基体の厚さ及び接続部材の断面積が、第2電極層に接続部材を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1に係るパワー半導体装置100を示す図である。
図1(a)はパワー半導体装置100のうちの第1半導体領域の配置位置を説明するために示す平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA−A断面図であり、
図1(c)は
図1(b)の破線Aで囲まれた領域の拡大図である。なお、
図1(a)は第1主面側から視た平面図である(以下、
図5(a)、
図6(a)、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)及び
図10(a)において同じ。)。
【
図2】実施形態1に係るパワー半導体装置100をリードフレーム200に搭載した状態を示す図である。
【
図3】実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
図3(a)〜
図3(c)は各工程図である。なお、
図3においては第2主面側のMOS構造等の図示を省略している(以下、
図4においても同じ。)。
【
図4】実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
図4(a)〜
図4(c)は各工程図である。
【
図5】変形例に係るパワー半導体装置100aを示す図である。
図5(a)はパワー半導体装置100aのうちのコレクタ領域120aの配置位置を説明するために示す平面図であり、
図5(b)は
図5(a)のA−A断面図である。
【
図6】実施形態2に係るパワー半導体装置100bを示す図である。
図6(a)はパワー半導体装置100bのうちのコレクタ領域120bの配置位置を説明するために示す平面図であり、
図6(b)は
図6(a)のA−A断面図である。
【
図7】実施形態3に係るパワー半導体装置100cを示す図である。
図7(a)はパワー半導体装置100cのうちのコレクタ領域120cの配置位置を説明するために示す平面図であり、
図7(b)は
図7(a)のA−A断面図である。
【
図8】実施形態4に係るパワー半導体装置100dを示す図である。
図8(a)はパワー半導体装置100dのうちのドレイン領域120dの配置位置を説明するために示す平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のA−A断面図であり、
図8(c)は
図8(a)の破線Aで囲まれた領域の拡大図である。
【
図9】実施形態5に係るパワー半導体装置100eを示す図である。
図9(a)はパワー半導体装置100eのうちのカソード領域120eの配置位置を説明するために示す平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のA−A断面図である。
【
図10】従来のパワー半導体装置900を説明するために示す図である。
図10(a)はパワー半導体装置900のうちのコレクタ領域920の配置位置を説明するために示す平面図であり、
図10(b)は
図10(a)のA−A断面図である。なお、
図10においては第2主面側のMOS構造等の図示を省略している。
【
図11】クレタリングCが発生したときの様子を説明するために示す図である。なお、
図11は第2主面側から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のパワー半導体装置及びパワー半導体装置の製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。特に半導体基体については、実際よりも厚く表示している。
【0026】
[実施形態1]
まず、実施形態1に係るパワー半導体装置100について説明する。
【0027】
実施形態1に係るパワー半導体装置100は、IGBTであって、
図1に示すように、半導体基体110と、コレクタ領域120(第1半導体領域)と、コレクタ電極層130(第1電極層)と、エミッタ電極層140(第2電極層)を含む後述するMOS構造と、ゲートパッド電極層150と、電流取出し用の接続部材160と、電流制御用の第2接続部材170とを備える。
【0028】
実施形態1に係るパワー半導体装置100は、
図2に示すように、リードフレーム200に搭載されており、樹脂(図示せず。)で樹脂封止されている。リードフレーム200は、ダイパッドを有し外側に向かってリードが伸びるダイパッド部210と、ダイパッド部210とは離間して設けられている第1リード部220と、ダイパッド部210及び第1リード部220とは離間して設けられている第2リード部230とを有する。
【0029】
実施形態1に係るパワー半導体装置100においては、コレクタ電極層130がはんだ層(図示せず。)を介してダイパッド部210のダイパッドに固定されており、エミッタ電極層140が電流取出し用の接続部材160を介して第1リード部220と接続されており、ゲートパッド電極層150が第2接続部材170を介して第2リード部230と接続されている。
【0030】
半導体基体110は、n型半導体基体である。半導体基体110の厚さは、90μm以下であり、例えば、70μmである。
【0031】
半導体基体110の第1主面側(
図1(b)における下側)にはコレクタ領域120が形成され、第2主面側(
図1(b)における上側)には後述するMOS構造(
図1(c)参照。)が形成されている。半導体基体110の材料としては、シリコンを用いるが、炭化珪素や窒化ガリウム等の適宜の材料を用いてもよい。
【0032】
コレクタ領域120は、半導体基体110の第1主面側の表面にp型不純物(例えば、ボロン)をイオン注入した後、レーザ光を照射して半導体基体110の第1主面側の表面を所定のピッチで溶融させることにより形成されたp型半導体領域である。なお、半導体基体110の第1主面側の表面に不純物を導入する方法は、イオン注入の他に不純物を塗布する等適宜の方法を用いてもよい。また、照射するレーザとしては、グリーンレーザを用いるが、全固体レーザ、エキシマレーザ等適宜のレーザを用いてもよい。
【0033】
コレクタ領域120は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、半導体基体110の第1主面側の表面のうち、平面的に見て、コレクタ電極層130に接続部材160が接合された接続部材接合領域R1においては形成されておらず、コレクタ電極層130に接続部材160が接合されていない接続部材非接合領域R2(接続部材接合領域R1以外の領域)においてのみ形成されている。コレクタ領域120は、所定のピッチで互いに離間した状態で形成された複数の領域からなる。所定のピッチは、例えば10μm〜50μmである。
【0034】
MOS構造は、
図1(c)に示すように、n型の半導体基体110の第2主面側表面に形成されたp型のベース領域111と、当該ベース領域111の表面に形成されたn
+型のエミッタ領域112と、n型不純物が高濃度でドープされた多結晶シリコン層からなり、ゲート絶縁膜113を介して形成されたゲート電極層114と、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜115と、後述するエミッタ電極層140とから構成されるプレーナー型のMOS構造である。
【0035】
コレクタ電極層130は、
図1(b)に示すように、コレクタ領域120を覆うように半導体基体110の第1主面側の表面に形成されている。エミッタ電極層140は、
図1(b)に示すように、半導体基体110の第2主面側の表面に形成され、エミッタ領域112と接続されている。ゲートパッド電極層150は、
図1(b)に示すように、半導体基体110の第1主面においてコレクタ電極層130と離間した位置に形成され、ゲート電極層114と接続されている。コレクタ電極層130、エミッタ電極層140及びゲートパッド電極層150の材料はそれぞれ、アルミニウム又はアルミニウムシリコン合金からなる。
【0036】
接続部材160は、
図1(b)及び
図2に示すように、エミッタ電極層140とリードフレーム200の第1リード部220とを接続するためのボンディングワイヤである。接続部材160の断面形状は円形であり、接続部材160の直径は300μm以上であり、例えば350μmである。従って、接続部材160の断面積は70000μm
2よりも広く、約96160μm
2である。接続部材160は、ワイヤボンディング装置を用いて超音波接合によりエミッタ電極層140及び第1リード部220に接合されている。接続部材160の材料は例えば、アルミニウムやニッケルアルミニウム合金からなる。
【0037】
電流制御用の第2接続部材170は、
図1(b)及び
図2に示すように、ゲートパッド電極層150とリードフレーム200の第2リード部230とを接続するためのボンディングワイヤである。第2接続部材170の断面形状は円形であり、第2接続部材170の直径は、接続部材160の直径よりも小さく、例えば100μmである。従って、第2接続部材170の断面積は、接続部材160の断面積よりも狭く、約7850μm
2である。第2接続部材170は、ワイヤボンディング装置を用いて超音波接合により第2リード部230及びゲートパッド電極層150に接合されている。第2接続部材170の材料は例えば、アルミニウムやニッケルアルミニウム合金からなる。
【0038】
次に、実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法について説明する。実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法は、
図3及び
図4に示すように、半導体基体準備工程と、コレクタ領域形成工程と、コレクタ電極層形成工程と、チップ化工程と、接続部材接合工程とをこの順序で含む。以下、実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
【0039】
(a)半導体基体準備工程
まず、第2主面側の表面にエミッタ電極層140を含むMOS構造及びゲートパッド電極層150が形成されているn型の半導体基体110を準備する(
図3(a)参照。)。半導体基体110の厚さは例えば、70μmである。
【0040】
(b)コレクタ領域形成工程
次に、半導体基体110の第1主面側の表面全面にp型不純物(例えば、ボロン。)をイオン注入(
図3(b)参照。)した後、半導体基体110の第1主面側から、所定のピッチでレーザ照射して半導体基体110の第1主面側の表面を溶融させることにより、コレクタ領域120を形成する(
図3(c)参照。)。
【0041】
コレクタ領域形成工程においては、平面的に見て、後述する接続部材接合工程でエミッタ電極層140に接続部材160が接合される接続部材接合領域R1において、コレクタ領域120を形成せず、接続部材非接合領域R2(接続部材接合領域R1以外の領域)においてのみコレクタ領域120を形成する。コレクタ領域120は、所定のピッチで離間した状態で形成されている複数の領域からなる。
【0042】
なお、レーザ照射されなかった領域においては、コレクタ領域120とならない(n型半導体の性質を有した状態のままである)。
【0043】
(c)コレクタ電極層形成工程
次に、コレクタ領域120を覆うように半導体基体110の第1主面側全体に、例えばスパッタリングなどの物理気相成長法によりコレクタ電極層130を形成する(
図4(a)参照。)。
【0044】
(d)チップ化工程
次に、半導体基体110を第1主面側又は第2主面側からダイシングブレード等により切断して半導体基体110をチップ化する(
図4(b)参照。)。
【0045】
(e)接続部材接合工程
次に、チップ化された半導体基体110を、リードフレーム200のダイパッド部210のダイパッド上にはんだ等の接合部材を介して固定する。次に、エミッタ電極層140と第1リード部220とを接続部材160を介して電気的に接続し、かつ、ゲートパッド電極層150と第2リード部230とを第2接続部材170を介して接続する(
図2及び
図4(c)参照。)。
【0046】
エミッタ電極層140と第1リード部220とを電流取出し用の接続部材160を介して接続する方法は以下の通りである。まず、ボンディングワイヤ(以下、単にワイヤという。)の端部をエミッタ電極層140と接触させ、ウェッジツールでワイヤの端部を上から押さえつつ超音波接合によりワイヤとエミッタ電極層140とを接合する。次に、ワイヤがループを形成するようにウェッジツールを移動させた後、ワイヤと第1リード部220とを接触させ、ウェッジツールでワイヤを上から押さえつつ超音波接合によりワイヤと第1リード部220とを接合する。次に、ウェッジツールを外した後、ワイヤを切断し、接続部材160とする。このことにより、エミッタ電極層140と第1リード部220とを接続部材160を介して接続することができる。
【0047】
ゲートパッド電極層150と第2リード部230とを第2接続部材170を介して電気的に接続する方法は、接続部材160の断面積よりも狭い断面積を有する第2接続部材170を用いる点を除いては、エミッタ電極層140と第1リード部220とを接続部材160を介して電気的に接続する方法と同様の方法である。
【0048】
この後、樹脂(図示せず。)によって樹脂封止をして、実施形態1に係るパワー半導体装置100を形成することができる。
【0049】
次に、実施形態1に係るパワー半導体装置100及びパワー半導体装置の製造方法の効果について説明する。
【0050】
実施形態1に係るパワー半導体装置100によれば、接続部材接合領域R1にはコレクタ領域120が形成されていないことから、接続部材接合領域R1においては、コレクタ領域120を形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりエミッタ電極層140に電流取出し用の接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110が破壊され難くなる。その結果、実施形態1に係るパワー半導体装置100は、半導体基体110の厚さ及び接続部材160の断面積が、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0051】
また、実施形態1に係るパワー半導体装置100によれば、半導体基体110の厚さが、90μm以下であり、接続部材160の断面積が、70000μm
2以上であるため、VCE(sat)をより一層低くすることが可能で、かつ、大電流を必要とする電子機器(例えば、電力機器)に使用可能なパワー半導体装置となる。
【0052】
また、実施形態1に係るパワー半導体装置100によれば、接続部材160は、ボンディングワイヤであり、ボンディングワイヤの直径は、300μm以上であるため、高い設計自由度で、大電流が導通する回路にパワー半導体装置を接続することができる。
【0053】
また、実施形態1に係るパワー半導体装置100によれば、電力機器等の大電流を必要とする電子機器に用いることができるIGBTとなる。
【0054】
また、実施形態1に係るパワー半導体装置100によれば、コレクタ領域120が、離間した状態で形成されている複数の領域からなるため、(第1主面の全面にわたってコレクタ領域120を形成する)従来のパワー半導体装置900の場合よりもレーザ照射の回数を少なくすることができ、コレクタ領域120を形成するのに必要な時間を短くすることができる。
【0055】
実施形態1に係るパワー半導体装置の製造方法によれば、コレクタ領域形成工程においては、平面的に見て、接続部材接合工程でエミッタ電極層140に接続部材160が接合される接続部材接合領域R1にコレクタ領域120を形成しないため、接続部材接合領域R1において、コレクタ領域120を形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなり、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110が破壊され難くなる。その結果、半導体基体110の厚さ及び接続部材160の断面積が、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生しにくいパワー半導体装置を製造することができる。
【0056】
[変形例]
変形例に係るパワー半導体装置100aは、基本的には実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の構成を有するが、接続部材接合領域においてもコレクタ領域が形成されている点で実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合と異なる。すなわち、変形例に係るパワー半導体装置100aにおいては、
図5に示すように、接続部材接合領域R1においてもコレクタ領域120aが形成されている。但し、接続部材接合領域R1におけるコレクタ領域120aの形成密度は、接続部材非接合領域R2におけるコレクタ領域120aの形成密度よりも低い。
【0057】
このように、変形例に係るパワー半導体装置100aは、接続部材接合領域においてもコレクタ領域が形成されている点で実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合とは異なるが、接続部材接合領域R1におけるコレクタ領域120aの形成密度は、接続部材非接合領域R2におけるコレクタ領域120aの形成密度よりも低いことから、実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様に、接続部材接合領域R1においては、コレクタ領域120aを形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりエミッタ電極層140に電流取出し用の接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110が破壊され難くなる。その結果、実施形態1に係るパワー半導体装置100は、半導体基体110の厚さ及び接続部材160の断面積が、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0058】
[実施形態2]
実施形態2に係るパワー半導体装置100bは、基本的には実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の構成を有するが、接続部材接合領域の周囲の領域においてもコレクタ領域が形成されていない点で実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係るパワー半導体装置100bにおいては、
図6に示すように、平面的に見て、接続部材接合領域R1の外縁からコレクタ領域120bまでの距離をLとし、半導体基体110の厚さをTとしたとき、L≦Tを満たす領域(接続部材接合領域の周囲の領域)においても、コレクタ領域120bが形成されていない。
【0059】
このように、実施形態2に係るパワー半導体装置100bは、接続部材接合領域の周囲の領域においてもコレクタ領域が形成されていない点で実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様に、接続部材接合領域R1にコレクタ領域120bが形成されていないことから、接続部材接合領域R1において、コレクタ領域120bを形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりエミッタ電極層140に電流取出し用の接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110が破壊され難くなる。その結果、実施形態2に係るパワー半導体装置100bは、半導体基体110の厚さ及び接続部材160の断面積が、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0060】
また、実施形態2に係るパワー半導体装置100bによれば、L≦Tを満たす領域においても、コレクタ領域120bが形成されていないため、当該領域においても歪み層が形成され難くなり、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110がより一層破壊され難くなる。その結果、実施形態2に係るパワー半導体装置100bは、クレタリングがより一層発生し難いパワー半導体装置となる。
【0061】
なお、実施形態2に係るパワー半導体装置100bは、接続部材接合領域の周囲の領域においてもコレクタ領域が形成されていない点以外の点においては実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の方法であるため、実施形態1に係るパワー半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0062】
[実施形態3]
実施形態3に係るパワー半導体装置100cは、基本的には実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の構成を有するが、コレクタ領域の構成が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合と異なる。すなわち、実施形態3に係るパワー半導体装置100cにおいて、コレクタ領域120cは、
図7に示すように、連続して形成されている1つの領域からなる。
【0063】
このように、実施形態3に係るパワー半導体装置100cは、コレクタ領域の構成が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様に、接続部材接合領域R1にはコレクタ領域120cが形成されていないことから、接続部材接合領域R1において、コレクタ領域120cを形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりエミッタ電極層140に接続部材160を接合する際の超音波接合によって半導体基体110が破壊され難くなる。その結果、実施形態3に係るパワー半導体装置100cは、半導体基体110の厚さ及び接続部材160の断面積が、エミッタ電極層140に接続部材160を接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0064】
また、実施形態3に係るパワー半導体装置100cによれば、コレクタ領域120cは、連続して形成されている1つの領域からなるため、パワー半導体装置使用時に、コレクタ領域120cから半導体基体110(ドリフト層)にホールを注入しやすくなる。その結果、伝導度変調が起こりやすくなり、実施形態3に係るパワー半導体装置100cは、VCE(sat)をより一層低くすることが可能なパワー半導体装置となる。
【0065】
なお、実施形態3に係るパワー半導体装置100cは、コレクタ領域の構成以外の点においては実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の方法であるため、実施形態1に係るパワー半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0066】
[実施形態4]
実施形態4に係るパワー半導体装置100dは、基本的には実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の構成を有するが、パワー半導体装置がパワーMOSFETである点が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合と異なる。すなわち、実施形態4に係るパワー半導体装置100dは、
図8に示すように、第2主面側表面に形成されたp型のベース領域111dと、ベース領域111dの表面に形成されたn
+型のソース領域112dと、第2主面の上方にゲート酸化膜113dを介して形成されたゲート電極層114dと、半導体基体110の第1主面側の表面にn型の不純物を導入した後、レーザ光を照射して半導体基体110の第1主面側の表面を溶融させることにより形成されたドレイン領域120d(第1半導体領域)と、ドレイン領域120dを覆うように形成されたドレイン電極層130d(第1電極層)と、半導体基体110dの第2主面側の表面に形成され、ソース領域112dと接続されたソース電極層140d(第2電極層)とを備える。
【0067】
実施形態4に係るパワー半導体装置100dにおいては、第2主面側の表面におけるソース電極層140dと離間した位置には、ゲート電極層114dと接続されているゲートパッド電極層150dが形成され、ゲートパッド電極層150dには、電流制御用の第2接続部材170dが接合されている。
【0068】
このように、実施形態4に係るパワー半導体装置100dは、パワー半導体装置がパワーMOSFETである点が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様に、接続部材接合領域R1には、ドレイン領域120dが形成されていないことから、接続部材接合領域R1において、ドレイン領域120dを形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりソース電極層140dに接続部材160dを接合する際の超音波接合によって半導体基体110dが破壊され難くなる。その結果、実施形態4に係るパワー半導体装置100dは、半導体基体110dの厚さ及び接続部材160dの断面積が、ソース電極層140dに接続部材160dを接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0069】
また、実施形態4に係るパワー半導体装置100dによれば、電力機器等の大電流を必要とする電子機器に用いることができるパワーMOSFETとなる。
【0070】
なお、実施形態4に係るパワー半導体装置100dは、パワー半導体装置がパワーMOSFETである点以外の点においては実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の方法であるため、実施形態1に係るパワー半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0071】
[実施形態5]
実施形態5に係るパワー半導体装置100eは、基本的には実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の構成を有するが、パワー半導体装置がダイオードである点が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合と異なる。すなわち、実施形態5係るパワー半導体装置100eは、
図9に示すように、半導体基体110eの第1主面側の表面にn型の不純物を導入した後、レーザ光を照射して半導体基体110eの第1主面側の表面を溶融させることにより形成されたカソード領域120e(第1半導体領域)と、第2主面側の表面に形成されたp型のアノード領域112eと、カソード領域120eを覆うように形成されたカソード電極層130e(第1電極層)と、半導体基体110eの第2主面側の表面に形成されたアノード電極層140e(第2電極層)とを備える。
【0072】
このように、実施形態5に係るパワー半導体装置100eは、パワー半導体装置がダイオードである点が実施形態1に係るパワー半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様に、接続部材接合領域R1には、カソード領域120eが形成されていないことから、接続部材接合領域R1において、カソード領域120eを形成する際のレーザ照射による歪み層が形成され難くなりアノード電極層140eに接続部材160eを接合する際の超音波接合によって半導体基体110eが破壊され難くなる。その結果、実施形態5に係るパワー半導体装置100eは、半導体基体110eの厚さ及び接続部材160eの断面積が、アノード電極層140eに接続部材160eを接合する際にクレタリングが発生するおそれがある厚さ及び断面積である場合であっても、クレタリングが発生し難いパワー半導体装置となる。
【0073】
また、実施形態5に係るパワー半導体装置100eによれば、電力機器等の大電流を必要とする電子機器に用いることができるダイオードとなる。
【0074】
なお、実施形態5に係るパワー半導体装置100eは、パワー半導体装置がダイオードである点以外の点においては実施形態1に係るパワー半導体装置100と同様の方法であるため、実施形態1に係るパワー半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0075】
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0076】
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ、角度等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0077】
(2)上記実施形態1〜3においては、パワー半導体装置がIGBTであり、上記実施形態4においては、パワー半導体装置がパワーMOSFETであり、上記実施形態5においては、パワー半導体装置がダイオードであるが、本発明はこれに限定されるものではない。パワー半導体装置が、サイリスタ、トライアックその他のパワー半導体装置であってもよい。
【0078】
(3)上記実施形態2において、L≦Tを満たす領域においては、エミッタ領域が形成されていないが、本発明はこれに限定されるものではない。L≦Tを満たす領域におけるエミッタ領域の形成密度は、接続部材非接合領域R2におけるエミッタ領域の形成密度よりも低くなるようにエミッタ領域が形成されていてもよい。
【0079】
(4)上記実施形態5においては、第1半導体領域がアノード領域であるが、本発明はこれに限定されるものではない。第1半導体領域がカソード領域であってもよい。
【0080】
(5)上記各実施形態において、接続部材として、ボンディングワイヤを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。接続部材として、ボンディングリボンを用いてもよい。
【0081】
(6)上記実施形態1〜4において、MOS構造として、プレーナー型のMOS構造を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。MOS構造として、トレンチ型のMOS構造を用いてもよい。
【0082】
(7)上記各実施形態において、接続部材非接合領域R2における第1半導体領域の形成密度は一定であるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。接続部材非接合領域R2における第1半導体領域の形成密度に粗密があってもよい。この場合、クレタリングを生じ難くするために、接続部材接合領域R1に近い領域における第1半導体領域の形成密度を小さくすることが好ましい。