(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸気室の空間容積は、前記吸気管の連続吸気流量と、及び前記気液混合部の狭窄部における流入口と流出口の差圧とで決定されるとともに前記電磁弁が閉じている間も前記吸気量が0にならない値である
請求項6に記載の洗浄装置。
前記吸気室の空間容積は、前記吸気管の連続吸気流量と、及び前記気液混合部の狭窄部における流入口と流出口の差圧とで決定されるとともに前記間欠的な吸気量に制御する電磁弁が閉じている間も前記吸気量が0にならない値である
請求項11に記載の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の洗浄装置による実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。この場合、本発明の洗浄方法の各実施の形態についても同時に適用されることは言うまでもない。また、給湯機の風呂配管及び浴槽の洗浄を例として挙げ、液体は水、吸気する気体は空気を用いるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1に示す、本発明の実施の形態1による洗浄装置において、槽1の側面には、水を出し入れするための浴槽アダプタ2が設置される。槽1は、液体を排出するための排水口16を備えている。浴槽アダプタ2には、ポンプ3とエジェクタ5が取り付けられた水配管4が接続されている。エジェクタ5の吸気部11には、弁6と吸気室8が取り付けられた吸気管7が接続されている。吸気管7の吸気部11とは反対側の気体導入端部には電磁弁10が接続されている。吸気室8には圧力計9が接続されている。弁6は、エジェクタ5の吸気部11が所定の圧力以下に減圧されると開く安全弁、又は吸気部11からの気体の逆流を防ぐ逆止弁である。なお、配管4は、ポンプ3によって水を循環させるが、ポンプ4を用いずに外部から供給するものでもよい。
【0013】
次に、本発明の実施の形態1による洗浄装置の動作について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、本発明で使用される微細気泡を発生させるためのエジェクタ5の概略構成と動作原理を示す。
図3は、
図2に示すエジェクタ5の狭窄部21の圧力変動を示す。
図4は、本発明の実施の形態1におけるエジェクタ5への気体の吸気流量の変化を示す。また、
図5は、吸気室8の内部の圧力変化を示す。
【0014】
まず、ポンプ3により、水を矢印方向に循環させ、洗浄を開始する。洗浄後、槽1の液体は、排水口16を通して、槽1の外へ排出される。
図2に示すように、エジェクタ5は、管路20に、狭窄部21と、液体22の流入口23及び流出口24と、気体25が注入される気体吸気口26とを有する。気体吸気口26は、
図1に示す吸気部11に接続されている。なお、エジェクタ5において、狭窄部21は気液混合を行う気液混合部でもあるが、以下の説明では、エジェクタ5全体が気液混合部を指称するものとし、狭窄部21とは分けて指称する。
【0015】
エジェクタ5は、管路20の狭窄部21で液体22の流速を高め、その部分で発生する減圧現象(ベルヌーイの定理)を利用して、気体吸気口26からの気体を吸引し、液体22に微細気泡27を導入させる機能を有するものである。従って、基本的には送風ポンプ等を使用することなく、自然に気体25を液体22に導入することができ、以て液体22に微細気泡27を注入することが可能となる。
【0016】
特に、微細気泡の中でも、直径が1mm以下のマイクロバブルと称される気泡は、体積に対して表面積が非常に大きい特徴を有する。気泡の表面は疎水性のため、皮脂等の汚れを吸着する性質を有する。このことから、マイクロバブルを多く発生させて、汚れに接触させることで、汚染された部品等を洗浄することができる。マイクロバブルの中でも特に、直径100μm以下の気泡を多く発生させることで、高効率の洗浄を達成することができる。
本発明の洗浄装置は、このような微細気泡表面が持つ吸着作用を利用して、ポンプ3により微細気泡を含む液体を循環させて、風呂配管内面や浴槽壁面等に付着する汚れを除去するものである。
【0017】
図3は、エジェクタ5の狭窄部21の圧力変動を示す。本発明では、電磁弁10の開閉動作により、発生する微細気泡27を微細化させる。電磁弁10を閉めると、エジェクタ5の吸気部11と電磁弁10との間に設置した吸気室8内に残留する気体が、エジェクタ5の吸気部11へ吸気される。従って、エジェクタ5の狭窄部21の圧力は、電磁弁10を常時開いた状態と比べて低い圧力P2に低下する。
【0018】
続いて、電磁弁10を開けると、電磁弁10→吸気管7→吸気室8→吸気管7→弁6を通ってエジェクタ5の吸気部11から気体が吸気されるため、エジェクタ5の狭窄部21の圧力は、電磁弁10を常時開いた状態の圧力P1に吸気室8の内部圧力が加わるため、圧力P1より高い圧力P3に一旦上昇する。その後、エジェクタ5の狭窄部21の圧力は、電磁弁10を常時開いた状態の圧力P1に低下して落ち着く。このとき、狭窄部21の圧力は、0<P2<P1≦P3<0.1MPaの関係にある。
【0019】
従来例のように吸気室8を設置しない状態と比べて、本発明のように電磁弁10と吸気部11との間に吸気室8を設置することで、圧力が低下する部分の空間容積が増大し、狭窄部21の圧力変動ΔPが、差圧=P1−P2より大きくなり、P3−P2となる。
その結果、吸気部11からの吸気量は、
図4の実線で示す本発明の例のように、電磁弁10を開けた時に、点線で示す従来例の間欠吸気よりも、瞬間的に増大し、微細気泡の数が増大する。
【0020】
また、従来例よりも多量の空気が瞬間的にエジェクタ5の狭窄部21に突入するため、従来例よりも狭窄部21で発生する衝撃力が大きくなり、発生した微細気泡27が100μm以下に微細化され、100μm以下の微細気泡数が増加し、配管や浴槽等の洗浄力が向上する。
【0021】
このように、電磁弁10と吸気部11との間に吸気室8を設置して間欠吸気させることで、洗浄に有効な100μm以下の微細気泡数を増加させることができる。
このとき、必要な吸気室8の空間容積は、使用するエジェクタ5の種類や液体の種類、使用環境等により変化し、エジェクタ5の連続吸気流量、及びエジェクタ5の流入口23と流出口24の差圧で決定される。
【0022】
すなわち、エジェクタ5を間欠吸気させず、連続吸気させた場合の吸気量をa[L/min]、エジェクタ5の流入口23と流出口24の差圧をP
E[MPa]、大気圧をP
0[MPa]としたとき、吸気室8の必要な空間容積Vは、次式(1)により算出できる。
V=a×(P
E/P
0)[L] ・・・・・・式(1)
【0023】
ここで、a[L/min]は、a[L/min]=(a/60)×10
−3[m
3/sec]、P
0=0.1[MPa]であるので、空間容積Vは次式(2)のようになる。
V=(a/60)×10
−3×(P
E/P
0)
=1.67×a×P
E×10
−6[m
3] ・・・・・・式(2)
従って、吸気室8は1.67×a×P
E×10
−6[m
3]以上の空間容積を必要とする。なお、この空間容積Vは、電磁弁10が閉じている間も吸気量が0にならない値であることは言うまでもない。
【0024】
電磁弁10の開時間と閉時間も、使用するエジェクタの種類や液体の種類、使用環境等により変化し、吸気室8の内部の圧力により決定される。
ここで、電磁弁10の開時間をt
O秒、閉時間をt
C秒とする。
図5に示すように、電磁弁10を或る時刻で閉じ、この時を経過時間t=0秒とする。連続して電磁弁10を閉じ続けた場合、吸気室8内の圧力Aは経過時間とともに低下し続け、吸気室8の飽和値Pcに漸近する。この飽和値P
Cは、使用するエジェクタ5の種類や液体の種類、使用環境等により変化する。
【0025】
このとき、吸気室8の内部圧力の変動曲線Aの経過時間t=0秒における接線Bと、圧力変動の飽和値P
Sとの交点を求め、交点の時刻をt
Sとする。これは、例えば、操作者が圧力計9を目視しながら曲線Aのデータを取ることにより、やはり前以て求めた飽和値P
Sとの関係から交点の時刻t
Sを求めることができる。或いは、電子的なデータ処理によっても交点の時刻t
Sを求めることができる。
【0026】
間欠吸気における電磁弁10の閉時間t
Cは、この交点の時刻t
Sより決定され、t
S≦t
Cとする。t
S≧t
Cとした場合、弁閉時間が短いため、吸気室8の内部圧力が十分に低下せず、電磁弁10を開けた時にエジェクタ5の狭窄部21に突入する吸気量(
図4参照)が少なくなり、従って、狭窄部21で発生する衝撃力が弱くなり、気泡が微細化されない。
【0027】
一方、電磁弁10の開時間t
Oは、上記の通り求めた電磁弁10の閉時間t
Cにより決定される。すなわち、電磁弁10の開時間t
Oと閉時間t
Cで表わされるデューティ比t
O/(t
O+t
C)により開時間t
Oが決定され、デューティ比は、後述するように、0.75より小さくすることが望ましい。デューティ比が0.75以上になると、間欠吸気の周期(t
O+t
C)の内、電磁弁の開時間t
O(吸気する時間)の割合が大きくなり、すなわち閉時間tcの相対的割合が小さくなり、連続吸気の場合と同様の気泡径分布となる。
以上のように、電磁弁10は開時間をt
O秒、閉時間をt
C秒として設定し、繰り返し開閉(間欠)動作を行う。
【0028】
従来例では、間欠吸気のデューティ比を小さくして気泡数を減らすことで、気泡同士が衝突して合一する機会を減らし、微細気泡を多く残している。すなわち、電磁弁の閉時間を長くしている。このとき、従来例のように吸気室を設置しない場合の間欠吸気では、電磁弁が閉じている間は、吸気部11からの気体の吸気が無いため、気液混合部で微細気泡が発生しない。そのため、100μm以下の微細気泡の数は相対的には増加するが、気泡の絶対数が減少する。従って、微細気泡による洗浄効果が得られない。
【0029】
一方、本発明のように、エジェクタ5の吸気部11と電磁弁10との間に吸気室8を設置することで、電磁弁10を閉じている間も気体が吸気され続けるため、気泡数の減少を防ぐことができる。
本発明の構成では、
図4に示したように、電磁弁10が閉じている間も、吸気室8に残留する気体がエジェクタ5の吸気部11より吸気され続ける。そのため、電磁弁10の閉時間においても、狭窄部21より微細気泡が発生し続ける。
【0030】
このとき、電磁弁10が閉じている間に吸気量を確保するために、前述したように吸気室8の空間容積は1.67×a×P
E×10
−6[m
3]以上とする必要がある。また、
図4に示すように、吸気量は電磁弁が開いている時と比べて少なくなるため、狭窄部21で発生する微細気泡の数が通常よりも少なくなる。従って、気泡同士が合一する機会が減少するため、多くの微細気泡を残すことが可能となる。このように、デューティ比を小さくしたとしても、すなわち弁閉時間を長くしたとしても本発明の構成を採用することで、従来例よりも100μm以下の微細気泡の数が増加し、洗浄効果を向上させることができる。
【0031】
図6は、デューティ比を変化させた場合の気泡径分布の変化を示す。
図7は、本発明の実施の形態1により発生する微細気泡の気泡径分布を示す。気泡径分布の測定は、透明なアクリル製のスリットを、槽1の水の吐出口である浴槽アダプタ2より水平方向に10cm槽1の中心側に離れた位置に設置し、その内部に発生した微細気泡を含む水を吸い上げ、スリット側面より気泡を撮影した。撮影した画像を処理して気泡径を測定した。槽1内に10[L]の水を入れ、水温は20度とした。循環水流量は10[L/min]、吸気流量は1.0[L/min]であった。また、エジェクタ5から浴槽アダプタ2までの配管は、15[m]の架橋ポリエチレン配管を接続して、給湯機の設置状態を再現させた。
【0032】
図6に示すように、デューティ比が0.75以上になると、連続吸気(デューティ比1.00)と同様の気泡径分布となり、デューティ比が小さいほど、洗浄に有効な100μm以下の微細気泡の数が増加することが明らかとなった。
【0033】
図7に示すように、間欠のタイミングは、本実施の形態として電磁弁10の開時間を2秒、閉時間を1秒とすることで、点線で示す従来例と比べて発生する気泡数が増加し、特に、洗浄に有効な100μm以下の微細気泡の数が増加することが明らかとなった。
【0034】
図8に本発明による洗浄力の評価結果を示す。水のみ(微細気泡なし)と、従来例と、本発明について洗浄力を比較した。洗浄サンプルには、給湯機の配管として用いられている架橋ポリエチレン配管5[cm]を用いた。汚れは、風呂配管を想定して、皮脂の代用させたトリオレイン0.5[mg]をイソプロピルアルコール9[mL]に溶かし、エアーブラシを用いて60[kPa]の圧力で、縦に半割りした配管の内面に塗布した。
【0035】
塗布後の洗浄サンプルは、50℃の恒温槽に30分間入れて、イソプロピルアルコールを揮発させた。洗浄サンプルは、
図1における槽1の浴槽アダプタ2の液体吐出口に設置した。水温を20℃とし、洗浄時間は30秒とした。洗浄力評価は、洗浄後の配管内面の残留油分を溶媒に抽出し、油分濃度を測定して、配管内面の残留油分濃度を求めた。この測定値より、各測定条件での油分除去率を計算した。その結果、100μm以下の微細気泡の数が最も多くなる本発明の条件で、最も洗浄力が高くなることが明らかとなった。
【0036】
以上は、給湯機の風呂配管や浴槽等の洗浄を例に述べたが、本発明は給湯機に限定されず、微細気泡を用いた工業用や産業用等の部品等の脱脂洗浄や微粒子洗浄等にも適用可能である。
図9に、工業用や産業用等の部品等の洗浄する場合の構成図を示す。図示のように、洗浄物18を洗浄する場合は、洗浄物18を槽1内に設置する。
【0037】
本実施の形態では、エジェクタ5に吸気する気体を空気としたが、空気以外にも酸素や窒素、水素、二酸化炭素、オゾン等の特定の気体、或いは混合させた気体を吸気することも可能である。吸気する気体の種類は、使用する用途に応じて選定する。
【0038】
例えば、半導体等で用いられるシリコンウェハ等の洗浄物を精密洗浄する場合、洗浄物等の酸化を防ぐために、不活性ガスである窒素等を吸気する。また、洗浄液によるデバイスへの摩擦帯電を防ぐために、洗浄液の導電性を向上させる場合は、二酸化炭素等を吸気する。さらに、機能水を用いた洗浄する場合は、水素やオゾン等を吸気させる。
【0039】
工業用や産業用等の部品等の脱脂洗浄の場合、半導体等の洗浄と比べて汚れが多く、強固に付着している。そのため、洗浄力を向上させるためには、液中の微細気泡の数を多くする必要がある。しかし、液中の微細気泡が多くなり過ぎると、気泡同士が合一して気泡が大きくなるため、洗浄効果が低下してしまう。
【0040】
そこで本実施の形態では、界面活性剤などの気泡同士の合一を抑制する働きを有する添加剤を液体に添加することで、エジェクタ5で発生した気泡を液体中で安定化させて、高密度の微細気泡を発生させることができる。添加剤としては、有機系添加剤ではポリエチレングリコール等の高分子化合物等、無機系では炭酸水素ナトリウム(所謂、重曹やベーキングパウダー)等がある。
【0041】
また、市販の入浴剤や洗浄剤を用いることもできる。入浴剤は含有成分として、無機塩類、生薬類、酵素類、有機酸類のうち、少なくとも1種類以上の添加物を含むものが望ましい。また洗浄剤では、界面活性剤を含有すること望ましい。添加剤の濃度としては、0.1ppm〜1000ppmの範囲で用いることが望ましい。添加剤の濃度が低すぎれば、添加剤の効果が現れず、微細気泡の数が増えない。
【0042】
一方、濃度が高過ぎると、洗浄後に洗浄物へ多くの添加剤成分が残留するため、すすぎに多量の水や時間が必要になる。また、液面の発泡量が多くなり、洗浄の度に槽のメンテナンスが必要になる等の問題がある。添加剤の添加方法は、浴槽に手動で添加するが、自動供給装置を浴槽1、或いは、ポンプ3とエジェクタ5との間の水配管4に設置してもよい。
【0043】
また、
図9に示す洗浄物18に強固な汚れが付着している場合は、槽1に超音波振動子を投入して、超音波のエネルギーやキャビテーションを併用させて、強固な汚れを洗浄してもよい。周波数は1[MHz]以下、超音波出力は2000[W]以下が望ましい。周波数が高過ぎると超音波のエネルギーやキャビテーションが弱くなり、洗浄効果が得られない。また、超音波出力が大き過ぎると、洗浄物18へのダメージが発生するため、洗浄物18の材質などを考慮して、超音波出力を調整する必要がある。
【0044】
また、槽1に噴流パイプや撹拌手段の追加や、洗浄物18を揺動するなど、浴槽アダプタ2から吐出されるポンプ3による水流以外の水流を与えて、洗浄物18の表面に水流を発生させて、洗浄力を高めることもできる。
【0045】
図10に、添加剤としてバブ(入浴剤、花王製)を0.2ppm添加した場合の気泡径分布を示す。図示のように、添加剤を添加した場合でも、本発明では、連続吸気や従来例よりも気泡数が増加し、洗浄に有効な100μm以下の気泡数が増加することが明らかとなった。
このように、添加剤や洗浄剤を併用することで、洗浄に有効な100μm以下の微細気泡が増加するため、工業用や産業用等の部品等の洗浄にも適用することができる。
【0046】
実施の形態2.
図11に示す本実施の形態2による洗浄装置では、実施の形態1で示した、ポンプ3とエジェクタ5との間の水配管4に流路切換弁212を設置し、この流路切換弁212には、更に、実施の形態1と同様の構成が直列的に接続されている。
【0047】
すなわち、エジェクタ205が取り付けられた水配管204の一端が流路切換弁212に接続されており、水配管204の他端は、液体供給部213に接続されている。エジェクタ205の吸気部211には弁206と吸気室208が取り付けられた吸気管207が接続されている。吸気管207の吸気部211とは反対側の端部には電磁弁210が接続されている。吸気室208には圧力計209が接続されている。弁206は、エジェクタ205の吸気部211が所定の圧力以下に減圧されると開く安全弁、又は吸気部211からの気体の逆流を防ぐ逆止弁である。槽1には、オーバーフロー部217が設置されている。
【0048】
次に、本実施の形態2による洗浄装置の動作について
図12に示すフローチャートを参照して説明する。
図示のように、洗浄(ステップS201)と、リンス洗浄、すなわちすすぎ洗浄(ステップS202)とを有している。洗浄(ステップS201)では、実施の形態1と同様の動作をする。すなわち、ポンプ3により流路214にて液体を循環させて、エジェクタ5で微細気泡を発生させて洗浄する。
【0049】
洗浄(ステップS201)終了後に、すすぎ洗浄(ステップS202)が行われる。このため、実施の形態1と同様にエジェクタ5を使用した洗浄工程を行った後、流路切換弁212を切り替えて、流路215とする。その後、液体供給部213より液体を供給し、エジェクタ205で発生した微細気泡を含む液体を、水配管204を通して水配管4及び槽1に供給する。
【0050】
このとき、ポンプ3は動作を停止させて置くので、水配管204からの水は流路切換弁212でエジェクタ5と水配管4とに分岐して流れる。
従って、エジェクタ205で微細気泡化された水は、エジェクタ5へ送られて更に微細気泡化された後、槽1に送られることとなる。また、水配管4への水は、水配管4及びポンプ3を経由することにより、これらを洗浄して槽1に送られることになる。
【0051】
吸気室208の空間容積は、実施の形態1における吸気室8と同様の方法で決定される。すなわち、エジェクタ205の連続吸気量により決定される。また、電磁弁210は実施の形態1における電磁弁10と同様の動作をする。
【0052】
また、吸気室208の内部の圧力により、
図5に示した時間tsが決まり、電磁弁210の開時間と閉時間(デューティ比)が決定される。液体供給部213より、常に液体が槽1に供給され、槽1に設置されるオーバーフロー部217、或いは排水口16を通して、槽1の外へ排出される。
本実施の形態は、槽1内の洗浄物18をすすぎ洗浄する効果がある。また、槽1、浴槽アダプタ2、ポンプ3、水配管4、及びエジェクタ5をすすぎ洗浄する効果もある。
【0053】
本実施の形態では、電磁弁210は、実施の形態1と同様の動作をする。流路215を流れる液体には、洗浄に有効な100μm以下の微細気泡が多く含まれるため、効率的に洗浄物をすすぎ洗浄することができる。また、槽1や水配管4等もすすぎ洗浄されるため、装置の液体接触部を高清浄に保つことができる。流路214を通して洗浄に使用される液体は、常に液体供給部213より供給される。
【0054】
すすぎ洗浄(ステップS202)中は、すすぎ洗浄により洗浄物18から剥離した汚れが、槽1のオーバーフロー部217、或いは、排水口16を通して、液体とともに槽1の外へ排出される。そのため、洗浄物18や、槽1、水配管4などに再付着することはない。従って、洗浄物18の表面をより清浄にでき、洗浄後の装置の槽1や水配管4など、液体と接触する部分を、清浄に保つことができる。
【0055】
本実施の形態において、すすぎ洗浄時における電磁弁10の開閉動作は、任意である。また、エジェクタ5とエジェクタ205は同一仕様である必要はなく、洗浄用途に応じて、適宜、変更可能である。
【0056】
本実施の形態おいても、添加剤や洗浄剤を併用することができる。手動で添加剤や洗浄剤を添加してもよいが、ポンプ3とエジェクタ5の間の水配管4に添加剤や洗浄剤の自動添加装置を設置してもよい。また、すすぎ洗浄(ステップS202)にて、添加剤や洗浄剤を使用する場合は、液体供給部213とエジェクタ205の間の水配管204に添加剤や洗浄剤の自動添加装置を設置してもよい。この場合、添加剤や洗浄剤と微細気泡を含む液体ですすぎ洗浄した後、添加剤や洗浄剤を添加しない液体でさらにすすぎ洗浄することで、洗浄物の洗浄力がさらに向上し、また、装置の液体接触部をより高清浄に保つことができる。
また、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、超音波や噴流パイプ、洗浄物18の揺動追加等により、すすぎ洗浄の洗浄力を向上することができる。
【0057】
実施の形態3.
図13は、本実施の形態3による洗浄装置の構成を示す概略図である。実施の形態2における、吸気室8と吸気室208、圧力計9と圧力計209、並びに電磁弁10と電磁弁210をそれぞれ実施の形態1の構成に統合したものである。
【0058】
すなわち、エジェクタ5の吸気部11に接続された吸気管7と、エジェクタ205の吸気部211に接続された吸気管207が、単一の吸気室308に接続されている。吸気室308には圧力計309が接続され、また、吸気管307を通して電磁弁310に接続されている。
本実施の形態における、吸気室308の空間容積は、実施の形態1における吸気室8と同様の方法で決定される。すなわち、吸気室308の空間容積は、エジェクタ5又はエジェクタ205の連続吸気量と、エジェクタ5又は205の入出力差圧とにより決定される。
【0059】
次に、本実施の形態3による洗浄装置の動作について説明する。
実施の形態3におけるフローチャートは、実施の形態2と同様である(
図12参照)。洗浄(ステップS201)、及びすすぎ洗浄(ステップS202)では、電磁弁310の開閉により、エジェクタ5及びエジェクタ205にて微細気泡を発生させる。本実施の形態において、電磁弁310は、実施の形態1における電磁弁10と同様の動作をする。すなわち、吸気室308の内部の圧力により、電磁弁310の開時間と閉時間(デューティ比)が決定される。
【0060】
本実施の形態は、実施の形態2における吸気室8と吸気室208とを、圧力計9と圧力計209とを、電磁弁10と電磁弁210とをそれぞれ一つに統合した構成である。そのため、構成する部品数が少なくなり、コスト削減と省スペース化が可能となる。また、すすぎ洗浄(ステップS202)において、エジェクタ205にて微細気泡を発生させるために、電磁弁310が開閉動作しているため、エジェクタ5でも微細気泡が必ず発生する。そのため、槽1にはエジェクタ205とエジェクタ5の両方で発生する微細気泡が流入し、槽1内の微細気泡の数が増え、すすぎ洗浄の効果がより向上する。
【0061】
本実施の形態においても、エジェクタ5とエジェクタ205は同一仕様である必要はない。また、実施の形態1及び2と同様に、添加剤や洗浄剤、超音波や噴流パイプ、洗浄物18の揺動等を併用することができる。
【0062】
実施の形態4.
図14は、本実施の形態4による洗浄装置の構成を示す概略図である。実施の形態3における吸気室308を取り去り、弁6及び弁206が吸気管407に共通接続されるとともに、吸気管407は電磁弁410に接続されるように分岐構造になっている。吸気管407には圧力計409が接続されている。
【0063】
本実施の形態の特徴は、吸気管407を長くすることで、吸気室を再現させている。本実施の形態における、吸気管407の長さは、吸気管407の管内部の空間容積により決定され、実施の形態1における吸気室8の空間容積と同様の手順で決定される。すなわち、吸気管407の空間容積は、エジェクタ5又はエジェクタ205の連続吸気量と、エジェクタ5又は205の入出力差圧とにより決定される。
【0064】
本実施の形態4による洗浄装置の動作は、実施の形態3と同様である。本実施の形態において、電磁弁410の開閉により、エジェクタ5或いはエジェクタ205にて微細気泡を発生させる。また、電磁弁410と同様の動作をする。すなわち、吸気管407の内部の圧力により、電磁弁410の開時間と閉時間(デューティ比)が決定される。
【0065】
本実施の形態は、実施の形態3における吸気室308を吸気管407で置き換えることで、吸気室308が不要となるため、部品数を少なくでき、コスト削減ができる。また、装置内に吸気室を設置する空間を設ける必要がない。そのため、装置内の隙間に配管を張り巡らせることで吸気室が再現でき、装置内に吸気室や電磁弁を設置する空間がない既存の装置にも、本発明を適用することができる。
【0066】
本実施の形態においても、エジェクタ5とエジェクタ205は同一仕様である必要はない。また、実施の形態1、2と同様に、添加剤や洗浄剤、超音波や噴流パイプ、洗浄物18の揺動等を併用することができる。