【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の室内用履物1の分解斜視図、
図2は袋体、基体の裏面の斜視図、
図3は組立てた状態の斜視図、
図4は使用状態の説明図である。
【0017】
実施例1の室内用履物1は、治療用インソール2と、治療用インソール2を収納する収納部3と、この収納部3を載置する基体部4とから成っている。この室内用履物1は足のサイズに応じて複数種が用意され、適宜のサイズのものを選択して使用することができる。
【0018】
外反母趾等の足指の骨格の変形は、患者により形状が異なることから、治療用インソール2は専門家による個別注文により製造される。治療用インソール2は緩衝性の高い材料から成り、利用者の外反母趾等の足指、足裏形状に対して治療効果の高い形状になるように、隆起部や凹部を適宜に配置した立体的な形状とされている。治療用インソール2の材料として、例えばラバー、ポリウレタン、EVA、ポリエチレン、軟質塩化ビニル、コルク材等から適宜の材料を用いることができる。
【0019】
この従来の治療用インソールは、前述したように基材と表面材の二層で構成されているのに対して、本実施例の室内用履物1で使用する治療用インソール2は、収納部3の上面部が表面材の機能を果たすため、表面材を設けずに基材のみの構成でよい。
【0020】
収納部3は伸縮性、弾力性を有する合成樹脂や合成繊維等の材料から成る足裏形状とした平面状の袋体とされ、この収納部3の外表面は例えば織物地とされ、面ファスナのフック部が係止されるようになっている。
【0021】
また、収納部3の裏面部3aには、足幅方向に沿う方向に直線状に切込みを入れた開口部3bが設けられている。この開口部3bから収納部3内に治療用インソール2が挿入するようにされている。
【0022】
更に、収納部3の裏面部3aの後方である踵側には、収納部3を基体部4に装着時に基体部4からはみ出た際に、床面との滑りを防止するための滑り止めシート材3cが貼り付けられている。
【0023】
なお、収納部3の大きさは、収納する治療用インソール2に対して、一回り小さい程度の大きさが好適である。これにより、治療用インソール2は、収納部3が全体に引っ張られた状態で、収納部3内に保持されるため、収納部3内でずれたりすることはない。治療用インソール2が底部体内で多少でもずれると、治療すべき足指、足裏に完全に適合せず、逆に余分な痛みを与えることがある。
【0024】
基体部4は例えば、厚さ5mm程度の合成ゴム等の軟質樹脂から成る主シート材4aを主体として、この主シート材4aの裏面に、例えば、面ファスナのフック部が係止可能なフェルト繊維状の副シート材4bを接着した二層構造となっている。
【0025】
また、基体部4は収納部3の前方部を載置する底部4cと、この底部4cから側方に延在する2組のバンド部4d、4e、4f、4gとを有している。底部4cの表面には、収納部3を貼着するためのフック部を有する固定用面ファスナ4hが複数個所に取り付けられている。なお、実施例1では固定用面ファスナ4hを複数個配置しているが、複数個を連続した1つの面ファスナを配置するようにしてもよい。
【0026】
底部4cの裏面側である副シート材4bの爪先側には、シート材3cと同様の床面との滑りを防止するためのシート材4iが貼付されている。
【0027】
足甲締付用の2組のバンド部4d〜4gは数cm程度の2対の帯状体であり、一方のバンド部の4d、4fの先端側の表面には調整用面ファスナ4jが取り付けられていて、使用時に調整用面ファスナ4jは他方のバンド部4e、4gの裏側に係止可能とされている。
【0028】
なお、実施例1では固定用面ファスナ4hを複数個配置しているが、複数個を連続した1つの面ファスナを配置するようにしてもよい。
【0029】
使用に際しては、先ず収納部3に開口部3b長手方向に大きく開口した後、治療用インソール2の踵部から収納部3の踵方向へ向けて挿入する。続いて治療用インソール2の爪先部を収納部3の爪先側で覆うことで、収納部3内に治療用インソール2を収納する。
【0030】
この場合に、収納部3の開口部3bは布地同士が重ね合わせとしておくと、挿入した治療用インソール2が位置ずれが生じ難く、容易に脱落することがなくなる。
【0031】
続いて、治療用インソール2を収納した収納部3の裏面部3aを、基体部4の底部4cの固定用面ファスナ4hに載置する。
【0032】
この際に、裏面部3aの開口部3bが固定用面ファスナ4hに貼り付くことで、収納部3は密閉状態となり、収納部3から治療用インソール2がはみ出すことがなくなる。
【0033】
そして、治療すべき足を収納部3上に載置し、2組のバンド部4d〜4gにより足甲への締め付け具合を調整しながら、調整用面ファスナ4jにより係止する。2組のバンド部4d〜4gを足の大きさに合わせて調整用面ファスナ4jの位置を調整することで、室内用履物1に対して足の位置がずれたりすることがなく、足裏の必要個所に治療用インソール2の凹凸が正確に対応し、治療効果が高まる。
【0034】
室内用履物1を脱ぐ際は、調整用面ファスナ4jをバンド部4e、4gの副シート材4bから剥がすことで足を開放し、更に収納部3から治療用インソール2を取り出す際は、基体部4から収納部3を剥がして、開口部3bから治療用インソール2を取り出すことになる。
【0035】
このように、治療用インソール2を収納部3内に収納することで、素足で室内用履物1を使用する場合であっても、治療用インソール2に直接触れることがないので、足の匂いや汗が治療用インソール2に移ることがない。このため、治療用インソール2は傷み難くなり、長期に渡って治療用インソール2を使用することができる。
【0036】
また、治療用インソール2を収納する際は、開口部3bを基体部4の固定用面ファスナ4hに貼り付けることで、収納部3に密閉状態にすることができる。従って、開口部3bに別途ファスナ等の密封手段を設けることなく治療用インソール2を固定できるので、手間を掛けずに簡便に治療用インソール2を収納、取り出しを行うことが可能である。
【0037】
更には、治療用インソール2を装着する場合と逆の手順で外した後に、収納部3、基体部4を洗濯することもできる。長期間の使用により劣化し破損しても、安価である収納部3或いは基体部4のみを交換すればよいので、経済的である。
【0038】
また、使用する治療用インソール2は、従来の治療用インソールに比べて表面材が不要となるため、安価に製造することができる。
【実施例2】
【0039】
図5は実施例2の室内用履物1’に治療用インソール2を収納する前の状態の斜視図、
図6は治療用インソール2を収納した状態の斜視図である。
【0040】
室内用履物1’は、足裏を載置する収納部11と、この収納部11の爪先側の左右の辺部に取り付けられた帯状のバンド部12a、12bとから構成されている。一方のバンド部12aに調整用面ファスナ13aが取り付けられ、他方のバンド部12bに調整用面ファスナ13bが取り付けられている。
【0041】
収納部11は伸縮性、弾力性を有する合成樹脂製や合成繊維等から成る平面状の袋状体であり、後端に治療用インソール2を挿入するための開閉部14を備えている。
【0042】
開閉部14には、治療用インソール2を収納部11内に収納した際に、治療用インソール2がはみ出さないように、開閉部14を閉じる紐体から成る閉止具が取り付けられている。
【0043】
この室内用履物1’を使用する際は、先ず、予め用意した治療用インソール2を、収納部11の開閉部14を開いた状態で矢印方向に挿入して、収納部11を拡げながら収納部11内に収納する。
図6に示すように、治療用インソール2を収納部11内に完全に収納した後に、開閉部14を閉止具によって閉止する。
【0044】
そして、足を収納部11に載置した後に、バンド部12a、12b同士を調整用面ファスナ13a、13bにより係止する。
【実施例3】
【0045】
図7は実施例3の室内用履物1”に治療用インソール2を収納する前の状態の斜視図、
図8は治療用インソール2を収納した後の斜視図、
図9は上面部が裏返るように底部を開いた状態の平面図である。
【0046】
室内用履物1”は、足を載置する平面状で足裏形状をした収納部11’と、この収納部11’の爪先側の上縁部を覆うように取り付けられた帯状の甲被部15とから構成されている。なお、甲被部15は爪先まで覆う袋状であってもよく、長さを調整できるようにしてもよい。
【0047】
袋状体である収納部11’は同形状の上面部16と下面部17とを重ね合わせて成り、収納部11’の長手方向に沿う片側の側辺18は縫合されている。
【0048】
この縫合されている周辺以外の上面部16と下面部17の周辺には、収納部11’を厚み方向に開閉する一対のファスナ19a、19bから成る開閉部20が設けられている。従って、ファスナ19a、19bのスライダは上面部16と下面部17の開閉部20に沿って摺動する。
【0049】
図9に示すように、縫合した側辺18を軸に、上面部16は裏返るように開放可能とされている。なお、開閉部20は
図9に示すように収納部11’の略半分の爪先から踵まで開放する形状であっても、
図5の室内用履物1’のように、治療用インソール2が挿入できる幅を有する開閉部20としても支障はない。
【0050】
そして、開閉部20をファスナ19a、19bで閉止した状態にすると、上面部16と下面部17間で治療用インソール2を挿入する空間が形成されることになる。なお、開閉部20は図示のようなファスナ19a、19b以外に、面ファスナやボタン止め等、治療用インソール2を収納部11’内に収納する適宜の開閉手段を用いても支障はない。
【0051】
更に、下面部17の内面には、載置する治療用インソール2との滑りを防止するための滑り止めシート材を配置することもでき、下面部17の外側底面にも床面との滑りを防止するための滑り止めシート材を配置してもよい。
【0052】
この室内用履物1”を使用する際は、
図9に示すように治療用インソール2を、収納部11の開閉部20を開いた状態で矢印方向に挿入して、収納部11の内部に収納する。治療用インソール2を挿入して収納部11’内に収納した後に開閉部20をファスナ19a、19bを用いて閉止する。
【0053】
なお、治療用インソール2の裏面と室内用履物1”の下面部17の間に、互いを係止する複数個の面ファスナを取り付けておくことが好ましい。この場合に、
図9に示すように開閉部20を全開にし、上面部16を裏返して開放した状態で、下面部17の固定用面ファスナ21と、予め配置した治療用インソール2の裏面の面ファスナとを一致させるように、位置決めして貼り合わせる。
【0054】
このように、固定用面ファスナ21により治療用インソール2を下面部17に固定することで、治療用インソール2が室内用履物1”内で移動することがなくなる。
【0055】
治療用インソール2を固定用面ファスナ21で固定した後に、開閉部20のファスナ19a、19bを閉止することで、
図7に示す治療用インソール2を室内用履物1”内に装着した状態となる。