(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトの形状は、前記第2ガイド部が前記ホールに挿入されて、前記第3ガイド部が前記凸部と接触する状態では、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部がそれぞれ1つ以下の点で前記ホールと接触することで、前記シャフトの前記ホールに対する傾きが最小角度誤差以下になる形状であり、
前記最小角度誤差は、前記シャフトの前記ホールに対する傾きを補正しないで、前記位相を補正できる角度である
請求項1に記載の挿入ガイド。
前記シャフトの形状は、前記シャフトの前記ホールに対する傾きが最大回転誤差以下である状態で、前記第1ガイド部が1つ以下の点で前記ホールと接触して、前記第1ガイド部を前記ホールに挿入できる形状である
請求項1または請求項2に記載の挿入ガイド。
前記シャフトは、前記第2狭円筒部の基端側に設けられ、前記ホールの直径よりも小さく前記第2狭円筒部の直径よりも大きい直径を有し、前記ホールと接触することで前記シャフトの前記ホールに対する傾きを小さくする第4ガイド部をさらに備え、
前記第4ガイド部は、第3ガイド部の底面に前記凸部が接触する前に前記ホールと接触するように形成されている
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の挿入ガイド。
前記第1ガイド部および前記第2ガイド部がそれぞれ1つの点で前記ホールと接触する状態で、前記シャフトに加えられる回転モーメントが、前記回転モーメントを検出する力検出部の検出分解能より大きい、
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の挿入ガイド。
前記位相を補正する際に、前記第1ガイド部、前記第2ガイド部および前記第3ガイド部がそれぞれ1つ以下の点で前記ホールと接触する状態が維持されるように、前記前記第2狭円筒部の直径が決められている
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の挿入ガイド。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明に係る挿入ガイドおよび挿入ガイド装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0011】
まず、実施の形態の説明に先立って、特許文献1に記載の挿入ガイドにおいて、ホール内部の側面に位相を補正するためのピンが設けられ、シャフトの先端にピンの嵌め合い部が設けられている場合に、回転補正を的確に行うことができなくなるという問題について、詳細に説明する。
【0012】
図1は、従来の挿入ガイドに位相補正の機能を付加した場合に生じる問題を示す構成図である。
図1では、シャフト10の末端に設けられた力検出部1000を座標原点とするRX、RYの回転補正、およびRZの位相補正を行う場合を示している。なお、「回転」とは、X軸、Y軸周りの回転を示し、「位相」とは、Z軸周りの回転を示している。また、構造物にホール30が設けられている。
【0013】
図1において、構造物に設けられたホール30内部の側面には、ピン状の位相ガイド凸部31が設けられ、シャフト10の先端には、テーパ部501および嵌合部502を有する位相ガイド凹部500が設けられている。また、シャフト10とホール30とは、特許文献1に示された第1のガイド部、第2のガイド部で互いに接触するとともに、位相ガイド凹部500と位相ガイド凸部31とで接触している。
【0014】
ここで、RZの位相モーメントが位相ガイド凹部500と位相ガイド凸部31とで発生する場合、同時にRX、RYの回転モーメントも発生しているので、どの方向に回転補正および位相補正を行うべきであるかが不明である。このとき、回転モーメントTXYは、次式で表される。
【0016】
なお、上記式において、ベクトルLAは力検出部1000から第1のガイド部とホール30との接触点までの
ベクトルを示し、ベクトルLBは力検出部1000から第2のガイド部とホール30との接触点までの
ベクトルを示し、ベクトルLCは力検出部1000から位相ガイド凹部500と位相ガイド凸部31との接触点までの
ベクトルを示している。ここで、ベクトルLA、ベクトルLB、ベクトルLCは、力検出部1000を基準とする。以下、ベクトルは同様に力検出部1000を基準とする。
【0017】
また、上記式において、ベクトルFAは第1のガイド部とホール30との接触点で発生する力を示し、ベクトルFBは第2のガイド部とホール30との接触点で発生する力を示し、ベクトルFCは位相ガイド凹部500と位相ガイド凸部31との接触点で発生する力を示している。
【0018】
そのため、回転補正を的確に行うことができず、位相補正が必要なシャフトの挿入作業を的確に行うことができない。以下の実施の形態では、シャフトとホールとの回転補正を的確に行うとともに、シャフトとホールとの位相補正を行い、シャフトのホールへの挿入を高速に行うことができる挿入ガイドについて説明する。
【0019】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1に係る挿入ガイドのシャフトを示す構成図である。
図2において、シャフト10は、シャフト10の先端に設けられ、構造物に設けられたホール30よりも直径が小さく、ホール30に対する並進補正を行う第1ガイド部100と、第1ガイド部100の基端側に設けられ、第1ガイド部100よりも直径の小さい第1狭円筒部200と、第1狭円筒部200の基端側に設けられ、ホール30よりも直径が小さく、ホール30に対する回転補正を行う第2ガイド部300と、第2ガイド部300の基端側に設けられ、第2ガイド部300よりも直径の小さい第2狭円筒部400と、シャフト10の先端に設けられ、ホール30に設けられた位相ガイド凸部31と嵌合してホール30に対する位相補正を行う第3ガイド部である位相ガイド凹部500とを備えている。
【0020】
また、第1ガイド部100は、並進をガイドするテーパ状の第1並進ガイド101、構造物に設けられたホール30の内面と接触する第1ガイド接触面102、第1狭円筒部200と第1ガイド部100とを接続する第1接続部103、およびホール30のホール底面32と接触する第1ガイド底部接触面104とを有している。
【0021】
また、第2ガイド部300は、並進をガイドする第2並進ガイド301、構造物に設けられたホール30の内面と接触する第2ガイド接触面302、および第2狭円筒部400と第2ガイド部300とを接続する第2接続部303を有している。
【0022】
また、第3ガイド部である位相ガイド凹部500は、シャフト10とホール30との位相をガイドするテーパ部501および嵌合部502を有している。なお、
図2では、位相ガイド凹部500は、第1ガイド部100に設けられている。
【0023】
図3は、この発明の実施の形態1に係る挿入ガイドのホールを示す斜視図である。また、
図4は、この発明の実施の形態1に係る挿入ガイドのホールを示す断面図である。また、
図5は、この発明の実施の形態1に係る挿入ガイドのホールを示す断面図であり、ホール周辺の構造物が
図4のものよりも小さい場合を示している。
【0024】
図3〜5において、構造物に設けられたホール30は、シャフト10の第1ガイド部100および第2ガイド部300を挿入可能な円筒形状を有しており、ホール30内部の側面には、位相を補正するための位相ガイド凸部31が設けられている。
【0025】
以下、
図6〜12を参照しながら、上記構成のシャフト10を、構造物に設けられたホール30に挿入する際の挿入シーケンスについて説明する。ここでは、XY平面内にXY方向の位置誤差ΔEXYが存在し、XY軸周りの回転誤差ΔREXYが存在し、Z軸周りの位相誤差ΔREZが存在する場合について説明する。
【0026】
図6において、初期位置では、第1並進ガイド101の直径がホール30の直径よりも小さいので、XY方向の位置誤差ΔEXYがあっても、シャフト10がホール30の入口に挿入されている。
【0027】
ここで、XY方向の位置誤差ΔEXYがあるため、シャフト10とホール30とは、第1並進ガイド101の第1接触点101Cで接触し、第1接触点101Cで発生する力FAが力検出部1000で計測される。このとき、この力FAのうちX、Y成分が小さくなるようにシャフト10を並進方向に動かすことで、XY方向の位置誤差ΔEXYを補正することができる。
【0028】
図7は、第1接触点101Cがホール30と接触しながら挿入されているが、第2接触点が発生しておらず、第1ガイド部100がホール30内部に挿入されている状態を示している。
【0029】
図7において、ホール30内部で、回転誤差ΔREXYが想定される最大回転誤差ΔREXYmaxとなる場合であっても、シャフト10とホール30とが2点で接触することがないように、ホール30の内径30D、第1ガイド部100の高さ100Hおよび最大径100Dが設計されている。そのため、シャフト10がロックすることなく、
図6と同じく第1接触点101Cで発生する力FAに従い並進補正するだけで、シャフト10をスムーズに挿入することができる。
【0030】
具体的には、想定される回転誤差ΔREXYが最大回転誤差ΔREXYmaxである場合に、ホール30の内径30D、第1ガイド部100の高さ100Hおよび最大径100Dは、次式(1)の関係式が成立するように設計される。なお、第1並進ガイド101および第1接続部103のシャフト軸方向の高さを考慮すれば、これらの設計自由度は大きくなる。
【0032】
図8は、シャフト10とホール30とが、第1並進ガイド101の第1接触点101Cと、第2並進ガイド301の第2接触点301Cとで接している状態を示している。
図8において、第1狭円筒部200の高さ200Hおよび最大径200Dは、第1接触点101Cで発生する力FAおよび第2接触点301Cで発生する力FBを起因とする回転モーメントTXY1が、力検出部1000の検出分解能1000RESよりも十分大きくなるように設計されている。
【0033】
具体的には、第1接触点101Cで発生する力FAおよび第2接触点301Cで発生する力FBを起因とする回転モーメントTXY1と、力検出部1000の検出分解能1000RESとの間に、次式(2)の関係式が成立するように、第1狭円筒部200の高さ200Hおよび最大径200Dが設計される。
【0035】
式(2)において、ベクトルLAは力検出部1000から第1接触点101Cまでの
ベクトルを示し、ベクトルLBは力検出部1000から第2接触点301Cまでの
ベクトルを示し、ベクトルFAは第1接触点101Cで発生する力を示し、ベクトルFBは第2接触点301Cで発生する力を示している。
【0036】
ここで、ベクトルLAおよびベクトルLBは、ともにシャフト10の第1ガイド部100の高さ100H、第1狭円筒部の高さ200Hおよび最大径200Dから算出されるベクトルである。これにより、回転誤差ΔREXYを補正する回転方向を的確に検出することができる。
【0037】
なお、
図8では、第2並進ガイド301に第2接触点301Cがある場合について説明したが、第2接触点301Cは、第1狭円筒部200や、
図9に示されるように第2ガイド接触面302にあってもよい。何れの場合においても、回転モーメントTXY1とシャフト10の回転誤差ΔREXYとを補正する回転方向が一意の関係性を有するので、回転誤差の補正をスムーズに行うことができる。
【0038】
また、第2ガイド部300の高さ300Hは、次式(3)の関係式が成立するように設計される。ここでは、300D=100Dとする。
【0040】
式(3)において、30Hはホール30の高さであり、31Hは、
図9における位相ガイド凸部31の上端とホール底面32との距離である。また、最小回転誤差ΔREXYminは、
図9に示された第2ガイド部300がホール30に挿入された状態において残る回転誤差であり、100D=300Dの場合には次式(4)で表される。なお、第2並進ガイド301および第2接続部303のシャフト軸方向の高さを考慮すれば、これらの設計自由度は大きくなる。
【0042】
これにより、位相を補正するための位相ガイド凸部31と位相ガイド凹部500とが接触する前に、第1ガイド部100および第2ガイド部300を用いて回転補正を完了させることで、回転誤差ΔREXYを最小回転誤差ΔREXYminまで低減することができる。
【0043】
図10は、回転補正が完了してシャフト10がホール30に挿入され、位相ガイド凹部500のテーパ部501と位相ガイド凸部31とが接触している状態を示している。また、
図11は、
図10のA−A断面を示しており、位相誤差ΔREZを補正する手段を示している。
【0044】
位相誤差ΔREZがある場合、テーパ部501と位相ガイド凸部31とが第3接触点501Cで接触して力FCが発生し、力検出部1000で回転モーメントTXY2および位相モーメントTZ2が発生する。
【0045】
このとき、
図9までに回転補正が完了し、回転誤差ΔREXYが最小回転誤差ΔREXYminまで低減されているので、回転モーメントTXY2が検知されても回転補正は行わず、位相モーメントTZ2が小さくなるように位相を補正することができる。
【0046】
なお、位相の補正が完了するまでに第1接触点101C、第2接触点301Cおよび第3接触点501C以外で接触点が発生しないように、第2狭円筒部400が設けられている。また、第2狭円筒部400の最大径400Dは、次式(5)の関係式が成立するように設計される。
【0048】
式(4)において、32Hは、
図10における位相ガイド凸部31の下端とホール底面32との距離である。これにより、位相補正中に新たな接触状態が発生することを防止して、スムーズに位相を補正することができる。
【0049】
図12は、位相補正が完了して、第1ガイド部100の第1ガイド底部接触面104とホール30のホール底面32とが接触した状態を示している。ここでは、
図9までに補正しきれなかったXY方向の位置誤差ΔEXY、および回転誤差ΔREXYを補正する手段を示している。
【0050】
XY方向の位置誤差ΔEXYおよび回転誤差ΔREXYがある場合、第1ガイド底部接触面104とホール底面32とが第4接触点32Cで片当たりして力FDが発生し、力検出部1000で回転モーメントTXY3が検知される。そのため、この回転モーメントTXY3が小さくなるようにXY方向の位置誤差ΔEXYおよび回転誤差ΔREXYをさらに小さく補正することができる。
【0051】
また、第1ガイド部100の第1ガイド接触面102、第2ガイド部300の第2ガイド接触面302、または第1ガイド部100の第1ガイド接触面102および第2ガイド部300の第2ガイド接触面302がホール30と接触することで、ホール30に対してシャフト10が重力鉛直方向から傾いた状態でも線接触または面接触となるため、耐荷重を大きくすることができる。
【0052】
以上のように、実施の形態1によれば、シャフトは、ホールに挿入されるシャフトの先端に設けられ、ホールよりも小さい直径を有する第1ガイド部と、第1狭円筒部の基端側に設けられ、ホールの直径よりも小さく第1狭円筒部の直径よりも大きい直径を有する第2ガイド部と、シャフトの先端に設けられ、ホールに設けられた凸部と嵌合することでシャフトの軸まわりの回転である位相を決める凹部である第3ガイド部とを備え、シャフトの形状は、第3ガイド部が凸部と接触するまでシャフトをホールに挿入したときに、シャフトをホールに対して傾けると2つ以下の点でホールと接触する形状である。
言い換えると、シャフト10の形状は、第3ガイド部が凸部と接触するまでシャフト10をホール30に挿入したときに、ホール30に対してシャフト10を傾けても2つ以下の点でホール30と接触する形状となっている。第3ガイド部が凸部と接触した時点で、シャフト10は、2つ以下の点でホール30と接触し、回転モーメントTXY2および位相モーメントTZ2を切り分けて求められるから、位相補正を容易に行うことができる。
そのため、シャフトとホールとの回転補正を的確に行うとともに、シャフトとホールとの位相補正を行い、シャフトのホールへの挿入を高速に行うことができる。
【0053】
実施の形態2.
図13は、この発明の実施の形態2に係る挿入ガイドのシャフトを示す構成図である。
図13において、シャフト10は、
図2に示されたシャフト10に加えて、第2狭円筒部400の基端側に設けられ、ホール30よりも直径が小さく、ホール30に対する回転補正を行う第4ガイド部600をさらに備えている。
【0054】
また、第4ガイド部600は、並進をガイドする第4並進ガイド601、および構造物に設けられたホール30の内面と接触する第4ガイド接触面602を有している。
【0055】
以下、
図6〜11および
図14〜15を参照しながら、上記構成のシャフト10を、構造物に設けられたホール30に挿入する際の挿入シーケンスについて説明する。ここでは、XY平面内にXY方向の位置誤差ΔEXYが存在し、XY軸周りの回転誤差ΔREXYが存在し、Z軸周りの位相誤差ΔREZが存在する場合について説明する。
【0056】
まず、
図6〜11に相当する挿入シーケンスは、上述した実施の形態1と同様である。また、
図14は、位相補正が完了して、第4ガイド部600の第4並進ガイド601とホール30とが接触した状態を示している。ここでは、
図11に示した位相補正が完了した状態で残っている回転誤差ΔREXYを補正する手段を示している。
【0057】
位相誤差ΔREZの補正が完了した後に、第4並進ガイド601とホール30とが第5接触点601Cで接触して力FEが発生すると、第1ガイド部100の第1接触点101Cを含む2点接触が実現され、力検出部1000で回転モーメントTXY1が検知される。なお、シャフト10の形状は、第3ガイド部が凸部と接触するまでシャフト10をホール30に挿入したときに、ホール30に対してシャフト10を傾けても2つ以下の点でホール30と接触する形状とするとよい。このとき、この回転モーメントTXY1が小さくなるようにシャフト10を回転補正することで、回転誤差ΔREXYをさらに小さくすることができる。なお、回転モーメントTXY1は、次式(6)で表される。
【0059】
ここで、第5接触点601Cが発生する前に、位相ガイド凹部500の底面に位相ガイド凸部31が接触することを避けるために、第2狭円筒部400の高さ400Hおよび位相ガイド凹部500の深さ500Hは、次式(7)の関係式が成立するように設計される。
【0061】
また、第5接触点601Cが発生する前に、ホール底面32に第1ガイド底部接触面104が接触することを避けるために、第2狭円筒部400の高さ400Hは、次式(8)の関係式が成立するように設計される。
【0063】
式(7)、(8)において、最小回転誤差ΔREXYminは、
図15に示された第4ガイド部600がホール30に挿入された状態において残る回転誤差であり、100D=600Dの場合には次式(9)で表される。
【0065】
式(9)から分かるように、この発明の実施の形態2における最小回転誤差ΔREXYminは、上述した実施の形態1における最小回転誤差ΔREXYminよりも小さくすることができる。なお、第3並進ガイド601のシャフト軸方向の高さを考慮すれば、これらの設計自由度は大きくなる。
【0066】
図15は、第1ガイド部100の第1ガイド底部接触面104とホール30のホール底面32とが接触した状態を示している。ここでは、
図14までに補正しきれなかったXY方向の位置誤差ΔEXY、および回転誤差ΔREXYを補正する手段を示している。
【0067】
XY方向の位置誤差ΔEXYおよび回転誤差ΔREXYがある場合、第1ガイド底部接触面104とホール底面32とが第4接触点32Cで片当たりして力FDが発生し、力検出部1000で回転モーメントTXY3が検知される。そのため、この回転モーメントTXY3が小さくなるようにXY方向の位置誤差ΔEXYおよび回転誤差ΔREXYを補正することができる。
【0068】
以上のように、実施の形態2によれば、シャフトは、上述した実施の形態1に係るシャフトに加えて、第2狭円筒部の基端側に設けられ、ホールよりも直径が小さく、ホールに対する回転補正を行う第4ガイド部をさらに備えている。
そのため、シャフトとホールとの回転補正をより的確に行うことができる。
【0069】
なお、上記実施の形態1、2では、
図2、13に示したように、シャフト10の第1ガイド部100の第1並進ガイド101および第1接続部103、第2ガイド部300の第2並進ガイド301および第2接続部303、並びに第4ガイド部600の第4並進ガイド601が直線で描かれている。
【0070】
しかしながら、これに限定されず、第1ガイド部100の第1並進ガイド101および第1接続部103、第2ガイド部300の第2並進ガイド301および第2接続部303、並びに第4ガイド部600の第4並進ガイド601は、球体を含む曲率のある形状であってもよい。具体的には、シャフト10は、
図16〜19に示されるような形状を有していてもよい。
【0071】
これにより、シャフト10とホール30とが第1接触点101C、第2接触点301Cまたは第5接触点601Cで接触する際の接触圧を低減することが期待できる。
【0072】
このとき、第1ガイド部100の第1並進ガイド101および第1接続部103、第2ガイド部300の第2並進ガイド301および第2接続部303、並びに第4ガイド部600の第4並進ガイド601について、直線と球体を含む曲率のある形状とを任意に組み合わせてもよい。
【0073】
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、シャフト10側に並進補正および回転補正を行う機能を持たせる場合について説明したが、これに限定されず、ホール30側に並進補正および回転補正を行う機能を持たせてもよい。
【0074】
図20は、この発明の実施の形態3に係る挿入ガイドのシャフトおよびホールを示す構成図である。
図20では、上記実施の形態1で挙げたシャフト10の第1並進ガイド101で実現されるホール30に対する並進補正の機能を、ホール30側に持たせた場合を示している。
【0075】
図20において、シャフト10からは、
図2に示されたシャフト10の第1並進ガイド101が省略され、ホール30には、並進をガイドするテーパ状のホール並進ガイド33が設けられている。
【0076】
これにより、シャフト10に並進ガイド機能を持たせた場合と比較して、ホール並進ガイド33を大きくすることにより、より大きな位置誤差ΔEXYに容易に対応することができる。
【0077】
図21は、この発明の実施の形態3に係る挿入ガイドのシャフトおよびホールを示す別の構成図である。
図21では、
図20に示したホール並進ガイド33に加えて、上記実施の形態1で挙げたシャフト10の第1狭円筒部200の機能を、ホール30側に持たせた場合を示している。
【0078】
具体的には、シャフト10の第1狭円筒部200は、第1狭円筒部200による回転誤差により発生する回転モーメントTXY1が、力検出部1000の検出分解能1000RES以上になるように、第1接触点101Cと第2接触点301Cとの距離を十分に離す機能を有している。
【0079】
図21において、シャフト10からは、
図2に示されたシャフト10の第1狭円筒部200および第2ガイド部300が省略され、ホール30には、シャフト10の第1狭円筒部200に相当する広円筒部34が設けられている。
【0080】
広円筒部34は、並進をガイドする広円筒部並進ガイド341、シャフト10と接触する広円筒部側面342、およびホール並進ガイド33と接続する広円筒部接続部343を有している。これにより、シャフト10の剛性を高めることができる。
【0081】
図22は、この発明の実施の形態3に係る挿入ガイドのシャフトおよびホールを示すさらに別の構成図である。
図22では、
図21に示したシャフト10に加えて、第2狭円筒部400の基端側に、ホール30よりも直径が小さく、ホール30に対する回転補正を行う第4ガイド部600を設けた構成を示している。
【0082】
第4ガイド部600は、並進をガイドする第4並進ガイド601、および構造物に設けられたホール30の内面と接触する第4ガイド接触面602を有している。これにより、位相ガイド凹部500と位相ガイド凸部31とが接触する前に回転補正を完了させることができるので、
図21のものよりも回転誤差ΔREXYを低減することができる。
【0083】
実施の形態4.
図23は、この発明の実施の形態4に係る挿入ガイドのシャフトを示す構成図である。
図23において、シャフト10の力検出部1000として、6軸力センサ1001が取り付けられている。また、6軸力センサ1001は、力計測ロガー1002に接続され、力計測ロガー1002は、力計測モニタ1003に接続されている。ここで、作業者は、6軸力センサ1001の出力を力計測モニタ1003で確認しながら、シャフト10をホール30に挿入する。
【0084】
これにより、定量的に6軸の力をモニタすることができるので、位置補正、回転補正および位相補正を的確に行うことができる。また、シャフト10の挿入時にかかった荷重を、力計測ロガー1002を用いて記録することもできる。なお、6軸力センサ1001、力計測ロガー1002および力計測モニタ1003は、実施の形態1〜3に示した何れのシャフト10にも適用することができる。
【0085】
実施の形態5.
図24は、この発明の実施の形態4に係る挿入ガイドを適用した挿入ガイド装置を示す構成図である。
図24では、ロボットを用いて、シャフト10をホール30に自動挿入する構成を示している。なお、シャフト10の形状は、実施の形態1〜3に示した何れのシャフトの形状でもよい。
【0086】
図24において、ロボット2000は、駆動リンク2001および駆動リンク2001の関節角度センサ2002を備え、ベース2003に取り付けられている。また、関節角度センサ2002から出力される関節角度信号2004、およびシャフト10の力検出部1000として取り付けられた6軸力センサ1001からの6軸力センサ信号2005がフィードバック信号としてロボット制御器2006に取り込まれ、目標の関節角度を実現するように関節角度指令信号2007が駆動リンク2001に出力される。
【0087】
図25は、この発明の実施の形態4に係る挿入ガイドを適用した挿入ガイド装置の処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの動作主体は、ロボット制御器2006である。ロボット制御器2006は、CPUと記憶装置を有し、以下の処理は、CPUと記憶装置を用いて処理される。記憶装置には、外部センサからの信号の値、内部のパラメータ、数値演算過程の変数、外部出力パラメータなどが記憶され、これらを使ってCPUが演算処理を行う。
【0088】
図25において、ロボット制御器2006は、Z位相モーメントを検知したか否かを判定する(ステップS1)。
【0089】
ステップS1において、Z位相モーメントを検知していない(すなわち、No)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY並進力を検知したか否かを判定する(ステップS2)。
【0090】
ステップS2において、XY並進力を検知した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY方向の並進補正を行う(ステップS3)。
【0091】
なお、
図6〜7では、Z相位相モーメントは検知されないが、XY並進力が検知されるので、XY方向の並進補正が行われる。また、ここでの並進補正は、6軸力センサ1001の6軸の力出力のうち、X、Y成分が小さくなるようにロボットを動かすことで実現される。
【0092】
一方、ステップS2において、XY並進力を検知していない(すなわち、No)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY回転モーメントを検知したか否かを判定する(ステップS4)。
【0093】
ステップS4において、XY回転モーメントを検知した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY回転補正を行う(ステップS5)。
【0094】
なお、
図8〜9では、Z相位相モーメントおよびXY並進力は検知されないが、XY回転モーメントが検知されるので、XY回転補正が行われる。また、ここでのXY回転補正は、X、Y軸周りの回転モーメントTX、TYが小さくなるようにロボットを動かすことで実現される。
【0095】
一方、ステップS4において、XY回転モーメントを検知していない(すなわち、No)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、Z軸方向にシャフト10を挿入する(ステップS6)。
【0096】
また一方、ステップS1において、Z位相モーメントを検知した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、位相補正を行う(ステップS7)。
【0097】
なお、
図10では、Z位相モーメントが検知されるので、位相補正が行われる。また、ここでの位相補正は、Z軸周りの回転モーメントTZが小さくなるようにロボットを動かすことで実現される。
【0098】
続いて、ロボット制御器2006は、シャフト10がホール底面32に接触したか否かを判定する(ステップS8)。
【0099】
ステップS8において、シャフト10がホール底面32に接触していない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS1に移行する。
【0100】
一方、ステップS8において、シャフト10がホール底面32に接触した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY回転モーメントを検知したか否かを判定する(ステップS9)。
【0101】
ステップS9において、XY回転モーメントを検知した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、XY回転補正を行う(ステップS10)。
【0102】
なお、
図12では、シャフト10がホール底面32に接触した状態で、XY回転モーメントが検知されるので、XY回転補正が行われる。また、ここでのXY回転補正は、X、Y軸周りの回転モーメントTX、TYが小さくなるようにロボットを動かすことで実現される。
【0103】
一方、ステップS9において、XY回転モーメントを検知していない(すなわち、No)と判定された場合には、ロボット制御器2006は、Z軸方向にシャフト10を挿入する(ステップS11)。
【0104】
次に、ロボット制御器2006は、シャフト10の挿入が完了したか否かを判定する(ステップS12)。
【0105】
ステップS12において、シャフト10の挿入が完了していない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS9に移行する。
【0106】
一方、ステップS12において、シャフト10の挿入が完了した(すなわち、Yes)と判定された場合には、
図25の処理を終了する。
【0107】
なお、
図25のステップS8において、シャフト10がホール底面32に接触したか否かは、力検出部1000で検出されるZ方向の並進力が、シャフト10をホール30に挿入している最中に発生する力よりも大きくなったことで判定することができる。また、接触を検知するセンサや挿入量を計測するセンサを用いてもよいし、ロボットが挿入した量を記録する手段を有していてもよい。
【0108】
また、
図25のステップS12において、シャフト10の挿入が完了したか否かは、挿入完了を検知するセンサや挿入量を計測するセンサを用いて判定してもよいし、ロボットが挿入した量を記録する手段を有し、記録された量に基づいて判定してもよい。
【0109】
これにより、上述した構成を有するロボット2000を用いて、シャフト10を、構造物に設けられたホール30に自動的に挿入することができる。
【0110】
なお、上記実施の形態1〜5では、ホール30の位相ガイド凸部31がピン状であり、位相ガイド凹部500がテーパ部501および嵌合部502を有すると説明した。しかしながら、これに限定されず、
図26、27に示されるように、楕円形状や多角形状のシャフト先端位相ガイド凸部700とホール底面位相ガイド凹部35とにより位相補正が行われてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態1〜5では、操作対象がシャフト10である場合について説明したが、これに限定されず、操作対象は、ホール30であってもよい。