(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
本実施形態を具体的に説明する前に概要を述べる。本実施形態は、いわゆるHブリッジ回路(フルブリッジ回路ともいう)により構成される電源回路におけるスイッチ素子の回路配置技術に関し、電源回路を低インダクタンス化する技術に関する。単相交流を出力させる電源回路では、直流バス間に直列に設けられる上アームと下アームが二組設けられ、直列接続されない一方の上アームと他方の下アームを同時にオンにすることにより、負荷に電力を供給する。このとき、数kHzから数MHz程度の交流電圧を出力させる高周波電源であれば、負荷へ効率良く電力を供給するため回路のインダクタンスが低いことが望ましい。また、負荷を接続した状態において共振回路が構成されるよう、インダクタタンス成分や容量成分を出力ラインに接続してインピーダンス調整する場合にも、電源回路のインダクタンスが低い方が調整がしやすい。
【0014】
一方で、単相交流用の電源回路を構成する上アームと下アームは、負荷への出力端子を共通とする一組を基板上に近接して配置することが多く、その結果、負荷への出力端子を別にするアーム同士は対角の位置に設けられ、出力端子を共通とするアームと比べて遠くに配置されることとなる。そうすると、同時にオンとなる上アームと下アームは、相対的に遠い位置に配置されるため、一方の直流電源ラインから上アーム、負荷、下アームを通って他方の直流電源ラインへと抜ける経路における鎖交面積が大きくなり、電源回路のインダクタンス成分が増大する。そこで、本実施形態においては、同時にオンとなる上下アームを近接して配置することで回路の鎖交面積を小さくし、回路を低インダクタンス化する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る電源回路100の構成を示す回路図である。本図の電源回路100は、コントローラ4からの制御パルスS1a、S2a、S1b、S2bに応じて、第1出力端子14aと第2出力端子14bの間に接続される負荷6に矩形状の出力電圧V
OUTを印加する単相交流電圧を出力する。
【0016】
電源回路100は、上側電源ライン10と、下側電源ライン12と、コンデンサ8と、2個の出力端子14a、14bと、2個の上アーム16a、16bと、2個の下アーム18a、18bと、2個の上側ドライバ20a、20bと、2個の下側ドライバ22a、22b、を備える。
【0017】
コンデンサ8は、上側電源ライン10と下側電源ライン12の間に接続される。コンデンサ8は、上側電源ライン10および下側電源ライン12に接続される図示しない電源から高電圧の直流電圧V
DCが印加されて蓄電する。コンデンサ8は、蓄電した電力を上アーム16a、16bおよび下アーム18a、18bに供給することで、主に高周波の交流成分を供給する電源として機能する。
【0018】
出力端子14a、14bは、負荷6の両端と接続される。第1上アーム16aは、上側電源ライン10と第1出力端子14aの間に設けられ、第1下アーム18aは、第1出力端子14aと下側電源ライン12の間に設けられる。第2上アーム16bは、上側電源ライン10と第2出力端子14bの間に設けられ、第2下アーム18bは、第2出力端子14bと下側電源ライン12の間に設けられる。
【0019】
コントローラ4は、上アーム16a、16b、下アーム18a、18bそれぞれのオン、オフ状態を示す制御パルスS1a、S2a、S1b、S2bを生成する。第1上側ドライバ20aは、制御パルスS1aにもとづいて、第1上アーム16aをスイッチングする。第2上側ドライバ20bは、制御パルスS1bにもとづいて、第2上アーム16bをスイッチングする。第1下側ドライバ22aは、制御パルスS2aにもとづいて、第1下アーム18aをスイッチングする。第2下側ドライバ22bは、制御パルスS2bにもとづいて、第2下アーム18bをスイッチングする。
【0020】
コントローラ4は、第1上アーム16aと第2下アーム18bがオン、第2上アーム16bと第1下アーム18aがオフする第1状態と、第1上アーム16aと第2下アーム18bがオフ、第2上アーム16bと第1下アーム18aがオンする第2状態と、を交互に繰り返す。第1状態において第1出力端子14aには、ハイレベル電圧(V
DC)が、第2出力端子14bにはローレベル電圧(V
GND)が発生し、第2状態において第1出力端子14aには、ローレベル電圧(V
GND)が、第2出力端子14bにはハイレベル電圧(V
DC)が発生する。
【0021】
以上が電源回路100の回路構成である。
図2は、電源回路100の外観斜視図である。電源回路100は、基板70を備え、基板70には、4個のスイッチ31〜34と、4個の制御部41〜44と、4本の直流バス51〜54と、第1コンデンサ8aと、第2コンデンサ8bと、第1出力端子14aと、第2出力端子14bが設けられる。
【0022】
基板70は、その表面上に第1領域C1と、第2領域C2と、中央領域C3が設けられる。中央領域C3は、基板70の表面における中央付近に設けられる。第1領域C1および第2領域C2は、中央領域C3を境界にして、基板70の表面上の領域を二分するように設けられる。例えば、基板70の表面を左右に分ける場合、第1領域C1は左半分に相当する領域として設けられ、第2領域C2は右半分に相当する領域として設けられる。第1領域C1と第2領域C2は、その領域が互いに重ならないように設けられる。第1領域C1には第1スイッチ31と第2スイッチ32が配置され、第2領域C2には第3スイッチ33と第4スイッチ34が配置される。また、第1領域C1と第2領域C2に挟まれる中央領域C3には、第1出力端子14a、第2出力端子14bが配置される。
【0023】
4個のスイッチ31〜34は、
図1に示した第1上アーム16a、第2上アーム16b、第1下アーム18a、第2下アーム18bのいずれかに対応する。同様に、4個の制御部41〜44は、
図1に示した第1上側ドライバ20a、第2上側ドライバ20b、第1下側ドライバ22a、第2下側ドライバ22bのいずれかに対応する。第1コンデンサ8aと第2コンデンサ8bは、
図1に示したコンデンサ8を構成する。4個の直流バス51〜54は、
図1に示した上側電源ライン10または下側電源ライン12を構成する。なお、電源回路を構成するアームと4個のスイッチ31〜34の対応関係については、
図3を用いて後述する。
【0024】
第1スイッチ31と第2スイッチ32は、第1領域C1に配置され、それぞれが第1の方向(x方向)に距離d
1だけ離間して配置される。第3スイッチ33と第4スイッチ34は、第2領域C2に配置される。第3スイッチ33は、第1スイッチ31とx方向に交差する第2の方向(y方向)に距離d
2だけ離間して配置される。第4スイッチ34は、第3スイッチ33とx方向に距離d
1だけ離間して配置される。このような配置関係とすることで、4個のスイッチ31〜34は、格子状に配列される。また、x方向の距離d
1をy方向の距離d
2よりも小さくすることにより、第1スイッチ31と第2スイッチ32が近接して配置され、第3スイッチ33と第4スイッチ34が近接して配置される。
【0025】
4個のスイッチ31〜34のそれぞれは、FET(Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなどのスイッチ素子で構成される。それぞれのスイッチは、1個のスイッチ素子または複数のスイッチ素子を並列または直列に接続したもので構成される。本実施形態においては、高電圧かつ高周波の出力を得るため、複数のFETを直列接続したものを4個のスイッチ31〜34のそれぞれとして用いる。直列接続させる個数は、用いるFETの耐圧や必要とする出力電圧に応じて定めればよく、例えば、10個の直列接続とする。
【0026】
第1制御部41は、第1スイッチ31に隣接して配置され、第1スイッチ31をオン状態またはオフ状態とするための駆動信号を生成する。同様に、第2制御部42、第3制御部43、第4制御部44は、それぞれ第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34に隣接して配置され、それぞれのスイッチへの駆動信号を生成する。
【0027】
4個の直流バス51〜54は、基板70の上にy方向に延設され、図示しない直流電源の正極または負極のいずれか一方と接続される。第1直流バス51と第2直流バス52は、x方向に離間して設けられる。同様に第3直流バス53と第4直流バス54は、x方向に離間して設けられる。第1直流バス51は、第1スイッチ31と接続される。同様に、第2直流バス52、第3直流バス53、第4直流バス54は、それぞれ第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34と接続される。
【0028】
第1コンデンサ8aは、第1直流バス51と第2直流バス52の間に接続され、第1領域C1に配置される。より詳細には、第1コンデンサ8aは、第1スイッチ31が設けられる位置と第2スイッチ32が設けられる位置の間の領域に配置される。また、第2コンデンサ8bは、第3直流バス53と第4直流バス54の間に接続され、第2領域C2に配置される。より詳細には、第2コンデンサ8bは、第3スイッチ33が設けられる位置と第4スイッチ34が設けられる位置の間の領域に配置される。これにより、第1コンデンサ8aは、主に第1スイッチ31および第2スイッチ32に対して高周波の交流成分を供給し、第2コンデンサ8bは、第3スイッチ33および第4スイッチ34に対して高周波の交流成分を供給する。
【0029】
第1コンデンサ8aおよび第2コンデンサ8bは、大容量の電源として機能するよう、複数のコンデンサを並列または直列接続としたものがそれぞれ用いる。第1コンデンサ8aおよび第2コンデンサ8bは、フィルムコンデンサなどの高周波成分の電力供給に向いたコンデンサを含めることが望ましい。また、蓄電容量を大きくするため、電解コンデンサなど容量が比較的大きいコンデンサを含めることとしてもよい。
【0030】
第1出力端子14aと第2出力端子14bは、中央領域C3に設けられる。第1出力端子14aには、4個のスイッチ31〜34のうち上下アームを構成するいずれか2個が接続される。第2出力端子14bには、第1出力端子14aに接続されない残りの上下アームを構成する2個のスイッチが接続される。
【0031】
図3(a)〜(c)は、
図1のアームと、
図2のスイッチとの対応関係を示す図である。
図3(a)は、比較例に係る対応関係を示し、
図3(b)は、実施の形態に係る対応関係を示す。
図3(c)は変形例に係る対応関係を示す。
図3(a)〜(c)は、基準として、第1スイッチ31を第1上アーム16aとした場合を示しており、その場合に、その他のアームが配置されるバリエーションの種類をそれぞれが示している。
【0032】
以下、
図3(a)、(b)に示す回路配置とした場合における電源回路の構成および動作について示す。まず、
図3(a)に示す比較例を用いて本発明が解決しようとする課題について
図4〜6を参照しながら説明する。次に、
図3(b)に示す本発明の実施形態について
図7以降を参照しながら説明する。なお、
図3(c)に示す回路配置とした場合については、実施の形態について説明した後に、変形例として詳述する。
【0033】
図4は、比較例に係る電源回路の配置を示す図であり、
図3(a)に示した配置に対応する。比較例に係る電源回路は、近接配置される第1スイッチ31と第2スイッチ32をそれぞれ第1上アーム16aと第1下アーム18aとし、近接配置される第3スイッチ33と第4スイッチ34をそれぞれ第2上アーム16bと第2下アーム18bとしている。このとき、
図2に示す第1直流バス51および第3直流バス53は、上側電源ライン10として機能し、第2直流バス52および第4直流バス54は、下側電源ライン12として機能する。
【0034】
比較例における回路配置は、スイッチとして、上アームと下アームを一つにパッケージ化したモジュールを利用する場合に一般的に採用される配置である。この場合、第1スイッチ31と第2スイッチ32の代わりに第1モジュール30aを配置し、第3スイッチ33と第4スイッチ34の代わりに第2モジュール30bを配置する。また、比較例に示す回路配置は、上アームと下アームを別のモジュールとする場合であっても、出力端子を共通とするアーム同士を近接させることで基板70上の配線が交差しないように配置できるメリットがあり、採用されることの多い回路配置である。
【0035】
図5、6は、比較例に係る電源回路の動作を示す図である。
図5は、第1出力端子14aから第2出力端子14bの向きに電流I
1を流す第1状態を示しており、
図6は、逆向きに電流I
2を流す第2状態を示している。
図5に示す第1状態では、同時にオン状態となる第1スイッチ31と第4スイッチ34が対角の位置にあるため、第1コンデンサ8aから第1スイッチ31、負荷6、第4スイッチ34を通って第1コンデンサ8aに戻る閉ループが囲む鎖交面積が大きくなる。このため、回路が構成するインダクタンス成分が大きくなる。
【0036】
同様に、
図6に示す第2状態では、同時にオン状態となる第2スイッチ32と第3スイッチ33が対角の位置にあるため、第2コンデンサ8bから第3スイッチ33、負荷6、第2スイッチ32を通って第2コンデンサ8bに戻る閉ループが囲む鎖交面積が大きくなる。このため、回路が構成するインダクタンス成分が大きくなる。
【0037】
そこで、本実施の形態では、インダクタンス成分を低減させるため、回路が構成する閉ループの鎖交面積を上述の比較例と比べて小さくすることのできる回路配置とする。
図7は、実施の形態に係る電源回路100の配置を示す図であり、
図3(b)に示した配置に対応する。電源回路100は、近接配置される第1スイッチ31と第2スイッチ32をそれぞれ第1上アーム16aと第2下アーム18bとし、近接配置される第3スイッチ33と第4スイッチ34をそれぞれ第2上アーム16bと第1下アーム18aとしている。これにより、第1状態において同時にオン状態となる第1上アーム16aと第2下アーム18bが近接配置されるとともに、第2状態において同時にオン状態となる第2上アーム16bと第1下アーム18aが近接配置される。
【0038】
図8、9は、実施の形態に係る電源回路100の動作を示す図である。
図8は、第1出力端子14aから第2出力端子14bの向きに電流I
1を流す第1状態を示しており、
図9は、逆向きに電流I
2を流す第2状態を示している。
図8に示す第1状態では、同時にオン状態となる第1スイッチ31と第2スイッチ32が隣接する位置にあるため、第1コンデンサ8aから第1スイッチ31、負荷6、第4スイッチ34を通って第1コンデンサ8aに戻る閉ループの面積が小さくなる。そのため、回路が構成するインダクタンス成分を低減させることができる。
【0039】
同様に、
図9に示す第2状態では、同時にオン状態となる第3スイッチ33と第4スイッチ34が隣接する位置にあるため、第2コンデンサ8bから第3スイッチ33、負荷6、第4スイッチ34を通って第2コンデンサ8bに戻る閉ループの面積が小さくなる。これにより、回路のインダクタンス成分を低減させることができる。
【0040】
また、第1コンデンサ8aは、第1スイッチ31が設けられる位置と第2スイッチ32が設けられる位置の間の領域に配置されるため、第2スイッチ32から第1コンデンサ8aを通って第1スイッチ31に至る経路が短くなる。また、第1スイッチ31と第2スイッチ32の間の経路として、負荷6を通る経路と第1コンデンサ8aを通る経路が近接することとなり、図示する閉ループの面積がより小さくなる。これにより、第1スイッチ31および第2スイッチ32に高周波の交流成分を安定的に供給するとともに、回路のインダクタンス成分を低減させることができる。また、電源回路のインダクタンス成分が低減されることで負荷へ電力を効率的に供給することができ、電源回路の出力特性を向上させることができる。
【0041】
同様に、第2コンデンサ8bは、第3スイッチ33が設けられる位置と第4スイッチ34が設けられる位置の間の領域に配置されるため、第4スイッチ34から第2コンデンサ8bを通って第3スイッチ33に至る経路が短くなる。また、第3スイッチ33と第4スイッチ34の間の経路として、負荷6を通る経路と第2コンデンサ8bを通る経路が近接することとなり、図示する閉ループの面積がより小さくなる。これにより、第3スイッチ33および第4スイッチ34に高周波の交流成分を安定的に供給するとともに、回路のインダクタンス成分を低減させることができる。
【0042】
以上が電源回路100の動作である。続いて、電源回路100の用途を示す。
電源回路100は、たとえばCO
2レーザに利用できる。
図10は、CO
2レーザの構成を示す図である。CO
2レーザ500は、放電電極502と、駆動装置504を備える。駆動装置は、サイリスタ整流器506、ブリッジ回路508、トランス510、ダイオード整流器512、514、電源回路100を備える。
【0043】
サイリスタ整流器506は、商用電源などの三相交流電圧を平滑、整流する。ブリッジ回路508は、平滑化された直流電圧を、台形の交流電圧に変換する。トランス510は、ブリッジ回路508により生成された交流電圧を昇圧する。昇圧された交流電圧は、ダイオード整流器512、514によって、正および負の直流電圧に変換される。ダイオード整流器512の出力は、電源回路100の上側電源ライン10と接続され、ダイオード整流器514の出力は、電源回路100の下側電源ライン12と接続される。
【0044】
電源回路100の構成は、上述した通りであり、その出力端子14a、14bには、放電電極502が接続される。電源回路100がスイッチングすることにより、放電電極502の対向電極に、交流の高電圧が印加され、放電電極502の間のCO
2ガスにプラズマが発生する。
【0045】
以上がCO
2レーザの構成である。
図10の構成において、電源回路100の出力端子14a、14bの間には、数kHz〜数MHzの交流電圧が出力される。このとき、電源回路100が有するインダクタンス成分を低減させることにより、電源回路100は、交流電力を効率的に放電電極502に供給することができる。また、電源回路100と放電電極502が接続された構成が共振回路となるように設計する場合に、電源回路100のインダクタンス成分を低減させることで、設計の自由度を高めることができる。
【0046】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0047】
(変形例1)
図11は、変形例1に係る電源回路100の配置を示す図であり、
図3(c)に示した配置に対応する。
図7に示した実施の形態では、第3スイッチ33を第2上アーム16bとし、第4スイッチ34を第1下アーム18aとしたが、変形例1では両者の配置を逆にしている。その結果、変形例1では、第3スイッチ33を第1下アーム18aとし、第4スイッチ34を第2上アーム16bとしている。このとき、
図2に示す第3直流バス53は、下側電源ライン12として機能し、第4直流バス54は、上側電源ライン10として機能する。
【0048】
図12、13は、変形例1に係る電源回路100の動作を示す図である。
図12は、第1出力端子14aから第2出力端子14bの向きに電流I
1を流す第1状態を示しており、
図13は、逆向きに電流I
2を流す第2状態を示している。変形例1においても、同時にオン状態となるスイッチ同士が隣接して配置されるため、電源回路100により構成されるインダクタンス成分を低減させることができる。
【0049】
(変形例2)
図14は、変形例2に係る電源回路200の外観側面図である。実施の形態では、4個のスイッチング素子を一枚の基板上に配置させることとしたが、変形例2においては、二枚の基板70a、70bに分けて配置させている。
【0050】
第1の基板70aには、第1スイッチ31と第2スイッチ32が設けられ、両者は近接してx方向に並置される。したがって、第1の基板70aは、第1スイッチ31と第2スイッチ32が設けられる第1領域となる。第1スイッチ31と第2スイッチ32の間の領域には、第1コンデンサ8aが設けられる。また、第1の基板70aにはy方向に延びる第1直流バス51と第2直流バス52が設けられ、両者はx方向に離間して設けられる。
【0051】
第2の基板70bには、第3スイッチ33と第4スイッチ34が設けられ、両者は近接してx方向に並置される。したがって、第2の基板70bは、第3スイッチ33と第4スイッチ34が設けられる第2領域となる。第3スイッチ33と第4スイッチ34の間の領域には、第2コンデンサ8bが設けられる。また、第2の基板70bには、y方向に延びる第3直流バス53と第4直流バス54が設けられ、両者はx方向に離間して設けられる。
【0052】
第1の基板70aと第2の基板70bは、x方向およびy方向に直交するz方向に距離d
2だけ離間して設けられる。
【0053】
図14に示す電源回路200において、
図3(b)または(c)に示す対応関係となるように二組の上下アームを配置することで、上述の実施の形態に係る電源回路100と同様、回路のインダクタンス成分を低減させることができる。
【0054】
(変形例3)
図15は、変形例3に係る電源回路300の外観側面図である。変形例2においては、4個のスイッチング素子を二枚の基板に分けて配置させることとしたが、変形例3においては、基板70の第1主面71と第2主面72とに分けて配置させている。
【0055】
基板70は、第1主面71と、第1主面71に背向する第2主面72を有する。第1主面71は、第1スイッチ31と第2スイッチ32が設けられる第1領域となり、第2主面72は、第3スイッチ33と第4スイッチ34が設けられる第2領域となる。第1主面71には、第1スイッチ31と、第2スイッチ32と、第1コンデンサ8aが設けられる。第2主面72には、第3スイッチ33と、第4スイッチ34と、第2コンデンサ8bが設けられる。
【0056】
図15に示す電源回路300において、
図3(b)または(c)に示す対応関係となるように二組の上下アームを配置することで、上述の実施の形態に係る電源回路100と同様、回路のインダクタンス成分を低減させることができる。
【0057】
(変形例4)
図3に示すように、上述の実施形態においては、第1スイッチ31と第2スイッチ32が並置されるx方向と、第1スイッチ31と第3スイッチ33が並置されるy方向とが直交して配置される場合を示したが、x方向とy方向とが交差する角度は、必ずしも直交する必要はない。例えば、x方向とy方向とが平行に近い角度となるように4個のスイッチを配置してもよい。
【0058】
また、第1スイッチ31と第2スイッチ32が並置される方向と、第3スイッチ33と第4スイッチ34が並置される方向は、厳密な意味で同一である必要はなく、両者が交差することとなる方向としてもよい。この場合、電源ライン間において、上アームおよび下アームを通る経路と、コンデンサを通る経路とが近接することとなる方向となればよい。
【0059】
(変形例5)
電源回路100の用途は、特に限定されず、上述のCO
2レーザ以外にも利用可能である。