(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、水晶振動子等の電子部品素子を用いた従来の電子部品装置が広く使用されている。この電子部品装置では、電子部品素子を円筒状の金属パッケージに収納し、電極リードを円筒状の金属パッケージ開口部から外部に出して、金属蓋で封止することが一般的である。
しかし、半導体発光装置の用途が広がるにつれて、より小型でより高さの低い直方体の電子部品装置が求められている。
例えば、携帯電話機やスマートホンに利用される電子部品装置では、装置の温度が―20℃以下から80℃以上という広い範囲で変化し、振動にもさらされる。このような場合に、上記のような円筒状の金属パッケージによる封止では、限られたスペースに実装することは不可能であり、環境試験をすることさえできなかった。
そこで、円筒状の金属パッケージによる封止に代えて、セラミック及びガラスによるパッケージを行う技術が特許文献1で提案されている。
【0003】
図7は、このようなパッケージの1種であるセラミックタイプパッケージの一例で、水晶振動子を収容した水晶振動子装置の模式断面図である。
図7に示した水晶振動子装置は、水晶振動子8を収容する凹部が形成されたアルミナセラミックス等の電気絶縁材料からなる基体10と、ガラス、セラミックス等の電気絶縁材料からなる蓋体20とから構成されている。
基体10内に収容された水晶振動子8は、導電接着材70で内部配線30に接続され、内部配線30は基部10の底面部の外側に形成された外部電極50と電気的に接続されている。
基部10と蓋体20とは、真空中において有機樹脂、ガラス、低融点ロウ材等から成る封止部材90により接合させることで、内部に水晶振動子8が気密封入されている。
このようにパッケージがセラミックにて構成された水晶振動子装置は、一定以上の大きさの場合には、高い信頼性を有し、耐湿性、耐熱性、及び気密性に優れている。
【0004】
しかし、電子部品装置では、例えば、高い信頼性を確保するためにはパッケージ内を気密性良くシールすることが重要となるが、小型化するにつれてパッケージ材の厚みが薄くなる。このため、従来のセラミックパッケージを使用した場合、セラミック同士を均一に接合することが難しく、製造歩留まりや気密の信頼性が低くなる可能性があった。
また、セラミックパッケージの場合、材料厚0.2mm以下の薄さであると、パッケージ全体の強度が低下する可能性もある。
更に、蓋体20との溶接時に起こる応力歪により溶接界面にクラックが生じるおそれもあった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本願発明の電子部品装置における好適な実施形態及び変形例について
図1から
図6を参照しながら説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の電子部品装置は、金属材料により収容凹部が形成された基部1と、収容凹部の開放部分側を覆う蓋体(リッド)2により、収容凹部内に収容した水晶振動子、電池、センサー部品等の電子部品素子を密封封止する。
本実施形態では、基部1と蓋体2の密封構造として、基部1の側壁(収容凹部の側壁)の開放する先端部分と、蓋体2の外周縁部分とに形成した嵌合凹部と嵌合凸部との嵌合構造とし、嵌合部分についてはシーム溶接等の金属接合を行う。
【0011】
このように、本実施形態の電子部品装置では、収容凹部周辺先端と蓋体2との突き当たり部分だけの面積による接合ではなく、嵌合凸部を嵌合凹部に嵌め合わせた嵌合構造とすることで、より広い接合面積(嵌合凹部底面、嵌合凹部両側側面、及び、嵌合凹部先端面の片側又は両側による複数面(4面又は5面))を確保し、より高い密封度を得ることができる。
特に、本実施形態の嵌合構造とすることで、電子部品装置の中央部分を圧迫する力に対しても接合部への応力発生を小さく押さえることができる。
また、基部1と蓋体2を金属材料で形成することで、例えば、0.2mm以下の薄い材料でも十分に強度を確保することが可能になり、プレス加工や絞り加工により容易に形成することも可能になる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態に係る水晶振動子を収容した電子部品装置の側断面を模式的に示した図である。
図1は
図2のBB断面を表している。
図2は、電子部品装置の内部構造を表した図で、
図1のAA断面を表す。
また、本明細書では、基部1、蓋体2について、水晶振動子8が設置される収容凹部と対向する側を内側、その反対側を外側という。
本実施形態の電子部品装置は、
図1に示されるように、収容凹部が形成された基部1と、蓋体2を備えており、水晶振動子8が配設された収容凹部内は不活性ガス又は真空状で気密封止されている。
電子部品装置の外形寸法は、高さ(収容凹部の深さ方向)が0.5mm、長さ方向(
図2の横方向)が1.6mm、縦(
図2の上下方向)1.2mmに形成されている。
【0013】
なお、この電子部品装置の形状及びサイズについては、電子部品素子として水晶振動子を収容する本実施形態に関するものであり、他の電子部品素子を収容する電子部品装置については他の形状及びサイズに形成される。例えば、電子部品装置の形状として上面視の形状が円形、楕円形などとしてもよい。
【0014】
基部1は、内部に水晶振動子8を収容する収容凹部が底面部1tと側面部1sで構成されている。基部1は、金属材料のプレス加工、絞り加工などによって形成される。なお、金属材料及び形成については後述する。
底面部1tの材料厚は、0.05mm〜0.2mmが好ましく、より好ましくは0.05mm〜0.1mmである。
一方、基部1の側面部1s(周辺部)の材料厚は0.05mm〜0.2mmが好ましく、より好ましくは0.05mm〜0.1mmである。
【0015】
底面部1tの内側には、電子部品素子としての水晶振動子8が、ほぼ中央部に配設されている。
この水晶振動子8は、一端側に正負1対の電極が形成されている。
図1に示されるように、水晶振動子8は、他端側が基部1の底面部1tから所定の間隔だけ浮いた状態で、一端側の両電極が導電性接着材7a、7bによって基部1に固定されている。
【0016】
底面部1tの内側には、水晶振動子8の左右両側に1箇所ずつ厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、
図2に示されるように、両貫通孔から導電性接着材7a、7bまで内部配線3a、3bが形成されている。
底面部1tの外側には、両貫通孔を含む所定領域に外部電極5a、5bが形成されており、一方の貫通孔内には、内部配線3aと外部電極5aとを電気的に接続する貫通電極4aが配設され、他方の貫通孔内には内部配線3bと外部電極5bとを接続する貫通電極4bが配設されている。
貫通電極4a、4bは、底面部材料の熱膨張率と同等の金属、例えば、Fe50%とNi50%の合金により形成されている。
貫通電極4a、4bはピン形状の電極を挿入してもよく、金属ペーストを塗布・充填することで貫通孔を穴埋めして形成してもよい。また、貫通電極4a、4bは、ピン形状の電極を貫通孔内に挿入した後、金属ペーストでピン形状電極と貫通孔との隙間を埋めるようにしてもよい。
【0017】
外部電極5a、5bは電子部品装置が実装用基板に実装される際の実装面を形成している。これにより、基部1の中央底部に収納される水晶振動子8は、導電性接着材7a、7b、内部配線3a、3b、貫通電極4a、4b、及び外部電極5a、5bを介して、電力受給及び電気信号出力をする。
【0018】
なお、本実施形態の基部1は金属材料で形成されているため、この基部1から絶縁するために、底面部1tの内側、貫通孔内周面、及び底面部1t外側の所定領域には、二酸化ケイ素等の電気絶縁膜6が形成されている。この電気絶縁膜6上(内側)に、導電性接着材7a、7b、内部配線3a、3b、貫通電極4a、4b、及び外部電極5a、5bが形成されている。
なお本実施形態では、内部配線3a、3bと外部電極5a、5bに対応した領域に電気絶縁膜6が形成されているが、底面部1tの内側と外側、及び貫通孔の全体に電気絶縁膜6を形成するようにしてもよい。
内部配線3a、3bは、電子部品素子の電流容量に制限を加えない高伝導率の材料である、ナノ金属、例えば銀ナノ金属を、電気絶縁膜6上にインクジェット塗布することで形成される。
外部電極5a、5bは、金属材料を電気絶縁膜6上にスクリーン印刷することにより形成するが、内部配線3a、3bと同様にナノ金属をインクジェット塗布することにより電気絶縁膜6上に形成するようにしてもよい。
【0019】
なお、貫通電極4a、4bのいずれか一方を基部1と一体成形することもできる。この場合、基部1が極性を持つことになるが、内部配線、貫通孔、貫通電極、外部電極、及び電気絶縁膜6を片方の電極(基部1が兼用する側の反対側の電極)にだけ形成すればよいため、電気絶縁膜6や電気的配線に関して容易に低コストで形成することができる。
【0020】
基部1は、
図1に示すように、収容凹部を形成する側面部1sの開放端部(底面部1tと反対側)全体には、環状の第1嵌合部として機能する嵌合凸部11が形成されている。即ち、側面部1sは、開放端部が収容凹部の中心方向に断面L字状に屈曲することで、
収容凹部の内側底面1tに対して水平な方向の嵌合凸部11が形成されている。
【0021】
一方、蓋体2は、電子部品装置の平面視での外形寸法に形成され、その外周縁には、基部1の嵌合凸部11と全周に亘って嵌合する
、収容凹部の内側底面1tに対して水平な方向の嵌合凹部21が環状に形成されている。
蓋体2の材料厚は、基部1の底面部1tと同様に、0.05mm〜0.2mmが好ましく、より好ましくは0.05mm〜0.1mmである。
本実施形態の蓋体2は、基部1と同様に金属で形成されているが、少なくとも嵌合凹部21の嵌合凸部11との接合部分が金属で構成されていればよい。
なお、収容凹部を形成する側面部1sの開放端部全体に、内側底面1tに対して水平な方向の嵌合凹部を環状に形成し、蓋体2の外周縁に基部1の嵌合凹部と全周に亘って嵌合する、内側底面1tに対して水平な方向の嵌合凸部を環状に形成するようにしてもよい。
【0022】
蓋体2は、その中央部分が平板状に形成され、その外周縁から所定距離だけ中心よりの位置から、内側に向かう断面L字状部が形成され、断面L字状部と外周縁とにより嵌合凹部21が形成されている。この嵌合凹部21は、第2嵌合部として機能している。
蓋体2の嵌合凹部21、及び基部1の嵌合凸部11については、金属材料のプレス加工及びへら絞り加工(spinning)等の絞り加工などによって形成される。
【0023】
図3は、蓋体2における嵌合凹部21の詳細について表したものである。
この
図3(a)〜(c)に示すように、蓋体2の断面L字状部については加工方法により一部が2重になるため、当該2重部分については他の部分よりも厚くなるが、できるだけ近い厚さとなるように2重部分の厚さ調整がなされる。
【0024】
このように形成された蓋体2を、不活性ガス又は真空状環境において、内部に水晶振動子8を収容した基部1に嵌合させる。
即ち、蓋体2の嵌合凹部21と、基部1の嵌合凸部11とを、いわゆるジャンパーホック(ジャンパードットボタン)のバネとゲンコ(ダボ)を嵌合する際と同様に、厚さ方向に圧力を加えることで嵌合凹部21と嵌合凸部11の塑性変形を利用して嵌め合わせた後、封止材9によって金属封止されている。
【0025】
金属封止については、例えば、次のように行われる。
即ち、基部1の表面には、Ni層がメッキされた上に、さらに、ろう材としてAg、Pd、Au、Al等のメッキ層が形成され、蓋体2の表面は、ろう材としてのNi、Au、Ag、Pd、Al等のメッキ層が形成されている。
なお、メッキ層については、全体に形成してもよいが、シーム溶接における封止材9(ろう材)として機能するため、嵌合凸部11と嵌合凹部21の互いに対向する面に形成されていればよい。
【0026】
そして基部1の嵌合凸部11と蓋体2の嵌合凹部21とを嵌合により接触した状態で、蓋体2の2点に電極をあててパルス電流を流すことにより、嵌合凸部11と嵌合凹部21の接合部に発生するジュール熱を利用して連続的にシーム溶接を行う。このシーム溶接により嵌合凸部11と嵌合凹部21に形成したメッキ層が溶接され、封止材9として基部1と蓋体2とが気密封止される。
なお、嵌合凸部11と嵌合凹部21の接合は、シーム溶接以外の金属接合、例えば、ろう付、拡散接合、他の溶接、異種金属接合などを用いることも可能である。
【0027】
次に、基部1及び蓋体2の材質について説明する。
基部1、及び貫通電極4a、4bの熱膨張率は、0.05×10−4/deg以上0.20×10−4/deg以下の範囲であることが好ましい。
基部1の熱膨張率は、前記電気絶縁膜6の熱膨張率と同様の値か、若しくは大きい値であることが好ましい。
熱膨張率が同様の値である場合、互いの部材が破損されることなく熱密着させることができる。
一方、基部1の熱膨張率が大きい場合、これらの熱膨張率の差が0.01×10−4/deg以下であれば、互いの接触面積を出来るだけ大きくすることで熱膨張率の差による破損を回避しつつ、熱膨張率の差の効果によって、ほどよく基部1が貫通孔の内部方向に収縮され、前記貫通孔の内壁に基材の酸化膜を設けなくても、基部1と貫通孔内の電気絶縁膜6とを密着させることができる。これにより、作業工程が簡略化され生産性が良好な電子部品装置が得られる。
【0028】
また、基部1の基材は、強い強度を有することが好ましく、これにより薄型のパッケージを信頼性高く形成することができる。金属パッケージの好ましい基材として、コバール、鉄などが挙げられる。コバールは、Fe−Ni−Co合金であり、電気絶縁膜6に用いられる低融点ガラスと近似の熱膨張率を有するので良好に気密封止を行うことができる。
【0029】
一方、蓋体2の基材は、基部1本体と熱膨張係数が近似していることが好ましい。また、蓋体2の材質の表面は基材の保護膜としてNi、Au等のメッキ層を有することが好ましい。
また、蓋体2本体の中央部に開口部を形成しタブレット状のガラスを配置し、通炉させることにより透明ガラス(図示せず)と蓋体2とを気密絶縁的に封着させることができる。
蓋体2本体の中央部のガラス形状(レンズ形状でも良い)は、基部1と密接可能な滑らかな平面を有し、且つ、基部1を気密封止できれば特に限定されるものではない。上記のような蓋体2本体の中央部のガラス形状を有するものは、発光、受光センサー用の電子部品装置として使用可能である。
【0030】
図4は、本実施形態における電子部品装置の厚さ方向の圧力に対する嵌合部の変形状態について、交差する2方向の断面斜視状態を表したものである。なお、
図4では、収容凹部内に収容される電子部品素子の表示については省略している。
図4(a)は、電子部品装置に加圧する前の状態を表したものである。
これに対して
図4(b)は、電子部品装置の中央点100に上下方向(厚さ方向)から圧力を加えた状態(シミュレーション結果)を表したものである。
本実施形態の電子部品装置によれば、基部1と蓋体2とが、嵌合凸部11と嵌合凹部21との嵌合により4面で接合されているため嵌合部における応力の発生がおさえられ、接合面の剥離を抑制し気密性の高い密封が可能になる。
具体的には、
図4(b)に示すように、4面で接触する領域のうち、収容凹部内側での剥離は見られるものの、電子部品装置の外周側での剥離は発生していない。
これは、加えられる厚さ方向の圧力に対して、互いに直交する4面つの接合面が、それぞれ異なる位置と方向で圧力を受けるためにその影響を受けにくくなっていること、及び、接合面積を嵌合によって広く確保しているためと考えられる。
【0031】
また、本実施形態では、基部1の嵌合凸部11と蓋体2の嵌合凹部21の最表面にメッキを施すことで、メッキ層が溶接用ろう材(封止材9)となり、水晶振動子8、導電性接着材7、及び蓋体2と、基部1本体との密着性を向上することが可能である。
【0032】
また本実施形態の電子部品装置では、基部1及び蓋体2を金属で構成しているため、0.2mm以下の厚さであっても十分な対圧力強度を得ることができる。
また薄い金属で電子部品装置を構成することで、収容凹部内の容積を大きくとることができ、同一内容積に対して小型化が可能になる。
【0033】
なお、本実施形態では、
図4(b)に示すように、嵌合凸部11と嵌合凹部21の嵌合構造により、密性の高い密封が可能であるため、金属以外の材料、例えば、炭素繊維複合材料、セラミック繊維複合材料、シリカ繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、アルミナ繊維複合材料、特殊アクリル繊維複合材料、及び金属繊維複合材料等により基部1と蓋体2を構成するようにしてもよい。
【0034】
次に、本実施形態における電子部品装置の製造方法について説明する。
基部1の加工方法は、例えば金属平板に絞り加工を施すことにより構成される。本実施の形態では、長尺(リードフレーム状)の金属平板の主面方向からプレスで連続的に絞り加工を施して金属を背面方向に流し収容凹部を形成する。この背面方向に流れた金属が凹部底面部1tの一部となるように構成することで、実装面の面積を大きくすることができるとともに、側面部1sの底面部1t側の材料厚を正確に狙い値に調整することができる。収容凹部の形成と同時に、底面部1tの所定の位置2カ所に貫通電極4a、4b用の貫通孔を形成する。
その後、形成した収容凹部を構成する側面部1sの開放側(底面部1tの反対側)の端部を、内側に屈曲させることで嵌合凸部11を形成する。
【0035】
次に基部1の所定領域(底面部1tの内側、貫通孔内周面、底面部の外側)にインクジェットで電気絶縁膜6を塗布し、続いて電気絶縁膜6上にナノ金属ペーストを所定の位置にインクジェット塗布し焼成して内部配線3a、3bを形成する。
また、貫通孔内に貫通電極4a、4bを形成した後、外部電極5a、5bを形成する。
【0036】
一方、同様に蓋体2も長尺(リードフレーム状)の金属平板の主面方向からプレスで連続的に絞り加工を施して、その外周縁に
図3(a)〜(c)に示す嵌合凹部21を形成する。
次に、基部1と蓋体2の所定領域に封止材9(ろう材)となるメッキ層を施す。
【0037】
その後、基部1の内部配線3a、3b上に導電性接着材7をディスペンサーにて塗布し、水晶振動子8を所定の位置に置載し硬化させる。
その後、長尺(リードフレーム状)の蓋体2と水晶振動子8を実装した長尺(リードフレーム状)の基部1とを、不活性ガス又は真空状環境において順次嵌合し、嵌合部をシーム溶接により気密封止することで電子部品装置が完成する。
【0038】
次に、基部1と蓋体2の嵌合構造部に関する第1変形例について説明する。
図5は、第1変形例に係る電子部品装置の側断面を表したものである。なお、
図1の実施形態と同様の部分については同一の符号を付して適宜その説明を省略することとする。
説明した実施形態では、基部1の嵌合凸部11を内側(収容凹部側)に突出させ、一方、蓋体2の嵌合凹部22の開口部が外側に向くように形成している。
これに対して、本第1変形例では、
図5に示すように、基部1の嵌合凸部12は、側面部1sの開放端部を全周に亘ってフランジ状に形成する。
一方、蓋体2の嵌合凹部22は、凹部の開口部が内側に向くように形成されている。具体的には
図5に示されるように、断面L字状部を蓋体2の外周端に下向きにし、L字の屈曲が内側に向くように形成する。
【0039】
このように第1変形例では、実施形態と同様に、嵌合凸部12と嵌合凹部22により基部1と蓋体2を嵌合させ、嵌合部の4面を金属接合させているので、高い気密性を確保することが可能である。
また、実施形態では嵌合構造部を収容凹部内に形成しているのに対し、
図5に示すように第1本変形例では、嵌合構造部を収容凹部の外側に形成しているので、内部空間容積を大きく確保することができる。
また、嵌合凹部22については、実施形態と異なり、金属板の重なりなく形成することが可能であるため、より均一な厚さを確保すると共に、形成工程を簡易化することができる。
【0040】
図6は、他の変形例に係る電子部品装置の側断面を表したものである。
なお、
図6では、嵌合構造部分の断面だけを表示しているが、他の部分については実施形態と同様である。
説明した実施形態及び第1変形例では、基部1の第1嵌合部として嵌合凸部11、12を形成し、蓋体2の第2嵌合部として嵌合凹部21、22を形成する場合について説明した。
これに対して第2〜第4変形例では、基部の第1嵌合部として嵌合凹部13〜15を形成し、蓋体2の第2嵌合部として嵌合凸部23〜25を形成するものである。
【0041】
図6(a)、(b)に示した第2変形例、第3変形例は、実施形態と同様に、嵌合構造部を収容凹部内に形成したものである。
図6(a)の第2変形例では、蓋体2の外周端に全周に亘って収容凹部の内側に屈曲させることで、断面L字状部からなる嵌合凸部23が形成されている。
一方、基部1は側面部1sの開放端側に厚さ方向に開放する嵌合凹部13が形成されている。嵌合凹部13の凹部を形成する側壁の高さを、内側よりも外側が、嵌合凸部23の厚さ分だけ高くなるように形成される。
本変形例においても、互いに直交する4平面で接合する嵌合構造とすることで気密性の高い密封が可能である。
【0042】
図6(b)の第3変形例では、蓋体2の外周端よりも嵌合凹部14の厚さ分だけ中心側に収容凹部の内側方向に嵌合凸部24を形成したものである。
一方、基部1は側面部1sの開放端側に厚さ方向に開放する嵌合凹部14が形成されている。この第3変形例では、嵌合凹部14の凹部を形成する側壁の高さが同じに形成される。
この第3変形例では、互いに直交する5つの平面で接合する嵌合構造なので、より高い気密性を得ることができる。
【0043】
一方、
図6(c)に示した第4変形例は、第1変形例と同様に、嵌合構造部を収容凹部の外側に形成したものである。
図6(c)に示すように、蓋体2の外周端に全周に亘って収容凹部の外側に1度屈曲させることで、断面L字状部からなる嵌合凸部25が形成されている。
基部1は、側面部1sの開放端側に厚さ方向で底面部1t方向に開放する嵌合凹部15が、内側に2度屈曲することで形成されている。
本変形例においても、互いに直交する4平面で接合する嵌合構造とすることで気密性の高い密封が可能である。
【0044】
なお、説明した実施形態及び変形例では、基部1に収容凹部を形成し底面部1tに水晶振動子等の電子部品素子を配置すると共に、基部1に電気配線を形成する場合について説明した。
これに対し、平板状に形成した基部1の中央部に電子部品素子を配置すると共に電気絶縁膜6と電気系統(導電接着剤、内部配線、貫通電極、外部電極)を形成し、蓋体2に収容凹部を形成すると共に収容凹部を基部1にかぶせることで密封するようにしてもよい。
この場合においても、基部1の外周端部に第1の嵌合部を形成し、蓋体2の収容凹部の側面部の開放端側に第2の嵌合部を形成することで、基部1と蓋体2を嵌合する。また4面で接合する嵌合面は、実施形態と同様に封止材により金属接合する。
嵌合凹部と嵌合凸部の具体的な嵌合構造については、説明した実施形態及び第1〜第4変形例と同様に構成することができる。
即ち、説明した実施形態及び変形例の図において、上下を逆にし、収容凹部の底面部1tに配設した電子部品素子8、電気絶縁膜6、導電接着剤7a、7b、内部配線3a、3b、貫通電極4a、4b、外部電極5a、5bを、基部(図面では蓋体2)に形成した状態となる。