(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429277
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】三方断裁機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/01 20060101AFI20181119BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
B26D7/01 C
B26D1/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-109776(P2015-109776)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-221619(P2016-221619A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金尾 真道
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
(72)【発明者】
【氏名】田渕 秀明
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−230530(JP,A)
【文献】
特開2014−46414(JP,A)
【文献】
特開平5−162479(JP,A)
【文献】
特開2005−254623(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/179380(WO,A1)
【文献】
特開2011−140092(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102009053975(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第3931349(DE,A1)
【文献】
特開2001−252890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/06
B26D 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本身と前記本身に取り付けられた表紙とからなる製本物の天部、地部及び小口部を断裁するための三方断裁機であって、
断裁前の前記製本物を位置決めする位置決め部と、
前記製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、を備え、
前記小口断裁部は、
前記製本物の小口部を断裁するための小口断裁刃と、
前記小口断裁刃で断裁する際に、前記製本物の前記小口部を押さえる小口押さえ板と、
前記小口断裁刃を断裁位置と非断裁位置との間で移動する断裁刃移動機構と、
前記小口押さえ板を押圧位置と非押圧位置との間で移動する押さえ板移動機構と、を備え、
前記三方断裁機は、さらに、
前記製本物の小口部を押して、前記製本物を前記位置決め部から前記小口断裁部へ搬送するプッシャと、
前記プッシャを搬送方向及び逆搬送方向に移動するプッシャ移動機構と、
前記本身の小口側端部と前記表紙の小口側端部との間の飛び出し距離Lを決定する決定部と、
前記断裁刃移動機構、前記押さえ板移動機構及び前記プッシャ移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記製本物が前記位置決め部から前記小口断裁部へ搬送するために前記プッシャが前記搬送方向に向けて待機位置から押し当て位置へ移動し、
前記プッシャが前記表紙の小口側端部に当接するために前記プッシャが前記飛び出し距離Lだけ前記逆搬送方向に向けて前記押し当て位置から位置決め位置へ移動し、
前記プッシャが前記表紙の小口側端部に当接している間に前記小口押さえ板が前記非押圧位置から前記押圧位置に移動し、
前記小口押さえ板が前記製本物を押さえている間に前記小口断裁刃が前記非断裁位置から前記断裁位置に移動する
ことを特徴とする三方断裁機。
【請求項2】
さらに、作業者からの入力を受ける入力部を備え、
前記入力部は、前記本身の背側端部と小口側端部との間の第1距離L1を入力する第1入力欄と、前記表紙の背側端部と小口側端部との間の第2距離L2を入力する第2入力欄と、を備え、
前記決定部は、前記第2距離L2から前記第1距離L1を減じることで、前記飛び出し距離Lを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の三方断裁機。
【請求項3】
前記入力部は、タッチパネルで構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の三方断裁機。
【請求項4】
本身と前記本身に取り付けられた表紙とからなる製本物の天部、地部及び小口部を断裁するための三方断裁機の制御方法であって、
前記三方断裁機は、
断裁前の前記製本物を位置決めする位置決め部と、
前記製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、を備え、
前記小口断裁部は、
前記製本物の小口部を断裁するための小口断裁刃と、
前記小口断裁刃で断裁する際に、前記製本物の前記小口部を押さえる小口押さえ板と、を備え、
前記三方断裁機は、さらに、
前記製本物の小口部を押すことで、前記製本物を前記位置決め部から前記小口断裁部へ搬送するプッシャと、
前記本身の小口側端部と前記表紙の小口側端部との間の飛び出し距離Lを決定する決定部と、
前記断裁刃移動機構、前記押さえ板移動機構及び前記プッシャ移動機構を制御する制御部と、を備え、
(1)前記製本物が前記位置決め部から前記小口断裁部へ搬送するために前記プッシャが前記搬送方向に向けて待機位置から押し当て位置へ移動するステップと、
(2)前記プッシャが前記表紙の小口側端部に当接するために前記プッシャが前記飛び出し距離Lだけ前記逆搬送方向に向けて前記押し当て位置から位置決め位置へ移動するステップと、
(3)前記プッシャが前記表紙の小口側端部に当接している間に前記小口押さえ板が前記非押圧位置から前記押圧位置に移動するステップと、
(4)前記小口押さえ板が前記製本物を押さえている間に前記小口断裁刃が前記非断裁位置から前記断裁位置に移動するステップと、を実行する
ことを特徴とする三方断裁機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本工程に用いられて、製本の仕上げのために、製本物の天部、地部および小口部を断裁するための三方断裁機及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三方断裁機は、製本の仕上げのために、製本物の天部、地部及び小口部を断裁する。製本物は、本身と、本身に取り付けられた表紙と、で構成される。特許文献1に、三方断裁機が開示されている。
【0003】
特許文献1の
図5の通り、三方断裁機では、製本物Hは、ベルトコンベア2に載せられて搬送されて、位置決めプレート3に当接されて位置決めされる。位置決めプレート3で位置決めされた製本物Hは、製本物Hの小口部H1側に配置されたプッシャ4で押されて、製本物Hの小口部H1を断裁するための小口断裁部へ搬送される。
【0004】
小口用断裁部は、小口断裁刃5を備える。小口断裁部へ搬送された製本物Hは、製本物Hの小口部H1が小口断裁刃5の下方に配置されるように位置決めされる。小口断裁刃5が非断裁位置から断裁位置へ降下すると、製本物Hの小口部H1が断裁される。小口部H1が断裁された製本物Hは、チャック機構6で把持されて、製本物Hの天部H2及び地部H3を断裁するための天地断裁部へ搬送される。
【0005】
ところで、特許文献1の
図1の通り、断裁前の製本物Hの表紙は、本身の小口側端部から飛び出す部分H0を有する場合がある。この場合に、製本物Hの小口部H1をプッシャ4で押すと、特許文献1の
図6の通り、表紙が大きく湾曲して、プッシャ4と製本物Hの小口部H1との間に隙間が発生して、製本物Hを小口断裁部で正確に位置決めできないことがある。
【0006】
そこで、特許文献1の
図1の通り、プッシャ4が製本物Hを押すときに、表紙が大きく湾曲しないように、三方断裁機は、プッシャ4に隣接する表紙めくりガイド11を備える。この表紙めくりガイド11によって、製本物Hが位置決めプレート3で位置決めされるとき、表紙の飛び出し部分H0がプッシャ4の上方へめくり上げられる。そして、特許文献1の
図4の通り、プッシャ4が本身の小口側端部のみに当接して、表紙が大きく湾曲することを防止できる。
【0007】
しかし、上記の三方断裁機は、次の問題がある。三方断裁機の小口断裁部は、小口断裁刃で断裁する際に、製本物の小口部を押さえる小口押さえ板を備える。表紙の飛び出し部分H0がプッシャ4の上方へめくり上げられて、プッシャ4が製本物Hの小口部H1に当接している間に、小口押さえ板が製本物Hの小口部H1を押さえると、表紙が撓んで(
図10(A)参照)、断裁後の製本物の表紙が本身の小口側端部から突出して、精度よく断裁できないことがある(
図10(B)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−230530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、断裁前の製本物の表紙の小口側端部が、本身の小口側端部から飛び出す場合でも、製本物を小口断裁部に正確に位置決めできると共に、製本物の小口部を精度よく断裁できる三方断裁機及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る三方断裁機は、
本身と本身に取り付けられた表紙とからなる製本物の天部、地部及び小口部を断裁するための三方断裁機であって、
断裁前の製本物を位置決めする位置決め部と、
製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、を備え、
小口断裁部は、
製本物の小口部を断裁するための小口断裁刃と、
小口断裁刃で断裁する際に、製本物の小口部を押さえる小口押さえ板と、
小口断裁刃を断裁位置と非断裁位置との間で移動する断裁刃移動機構と、
小口押さえ板を押圧位置と非押圧位置との間で移動する押さえ板移動機構と、を備え、
三方断裁機は、さらに、
製本物の小口部を押して、製本物を位置決め部から小口断裁部へ搬送するプッシャと、
プッシャを搬送方向及び逆搬送方向に移動するプッシャ移動機構と、
本身の小口側端部と表紙の小口側端部との間の飛び出し距離Lを決定する決定部と、
断裁刃移動機構、押さえ板移動機構及びプッシャ移動機構を制御する制御部と、を備え、
製本物が位置決め部から小口断裁部へ搬送するためにプッシャが搬送方向に向けて待機位置から押し当て位置へ移動し、
プッシャが表紙の小口側端部に当接するためにプッシャが飛び出し距離Lだけ逆搬送方向に向けて押し当て位置から位置決め位置へ移動し、
プッシャが表紙の小口側端部に当接している間に小口押さえ板が非押圧位置から押圧位置に移動し、
小口押さえ板が製本物を押さえている間に小口断裁刃が非断裁位置から断裁位置に移動する。
【0011】
好ましくは、
さらに、作業者からの入力を受ける入力部を備え、
入力部は、本身の背側端部と小口側端部との間の第1距離L1を入力する第1入力欄と、表紙の背側端部と小口側端部との間の第2距離L2を入力する第2入力欄と、を備え、
決定部は、第2距離L2から第1距離L1を減じることで、飛び出し距離Lを決定する。
【0012】
好ましくは、
入力部は、タッチパネルで構成されている。
【0013】
さらに、本発明に係る三方断裁機の制御方法は、
本身と本身に取り付けられた表紙とからなる製本物の天部、地部及び小口部を断裁するための三方断裁機の制御方法であって、
三方断裁機は、
断裁前の製本物を位置決めする位置決め部と、
製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、を備え、
小口断裁部は、
製本物の小口部を断裁するための小口断裁刃と、
小口断裁刃で断裁する際に、製本物の小口部を押さえる小口押さえ板と、を備え、
三方断裁機は、さらに、
製本物の小口部を押すことで、製本物を位置決め部から小口断裁部へ搬送するプッシャと、
本身の小口側端部と表紙の小口側端部との間の飛び出し距離Lを決定する決定部と、
断裁刃移動機構、押さえ板移動機構及びプッシャ移動機構を制御する制御部と、を備え、
(1)製本物が位置決め部から小口断裁部へ搬送するためにプッシャが搬送方向に向けて待機位置から押し当て位置へ移動するステップと、
(2)プッシャが表紙の小口側端部に当接するためにプッシャが飛び出し距離Lだけ逆搬送方向に向けて押し当て位置から位置決め位置へ移動するステップと、
(3)プッシャが表紙の小口側端部に当接している間に小口押さえ板が非押圧位置から押圧位置に移動するステップと、
(4)小口押さえ板が製本物を押さえている間に小口断裁刃が非断裁位置から断裁位置に移動するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る三方断裁機及びその制御方法は、断裁前の製本物の表紙の小口側端部が、本身の小口側端部から飛び出す場合でも、製本物を小口断裁部に正確に位置決めできると共に、製本物の小口部を精度よく断裁できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】三方断裁機の搬入部、位置決め部及び小口断裁部を示す斜視図。
【
図3】三方断裁機の位置決め部及び小口断裁部を示す平面図。
【
図5】押し当て位置に配置されたプッシャを示す側面図。
【
図6】位置決め位置に配置されたプッシャを示す側面図。
【
図7】位置決め位置に配置されたプッシャを示す平面図。
【
図10】(A)は従来の三方断裁機の小口断裁部を示す側面図、(B)は従来の三方断裁機で断裁された製本物を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る三方断裁機について説明する。
【0017】
図1の通り、製本物1は、小口部1a、天部1b、地部1c及び背部1dを有する。三方断裁機は、製本物1の小口部1a、天部1b及び地部1cを断裁することで、製本物1を所定寸法に仕上げる。
【0018】
三方断裁機は、搬入部50、位置決め部51、小口断裁部52、天地断裁部53及び搬出部54で構成される。製本物1は、搬入部50に設けられたベルトコンベア100によって位置決め部51へ搬送され、位置決め部51の位置合わせプレート110に製本物1の天部1bが当接して位置合わせされる。その後、製本物1は、位置決め部51のプッシャ2で押されて小口断裁部1cへ搬送される。そして、製本物1は、小口断裁部52の小口断裁刃3によって製本物1の小口部1aが断裁される。その後、製本物1は、チャック部15で挟まれて天地断裁部53へ搬送される。そして、製本物1は、天地断裁部53の天断裁刃120及び地断裁刃121によって製本物1の天部1b及び地部1cが断裁される。その後、製本物1は、チャック部15に挟まれて搬出部54へ搬送されて、搬出部54のベルトコンベア101によって搬出される。
【0019】
図2の通り、製本物1は、本身10と表紙11とを備えており、本身10の背側端部10aに糊が塗布されて、その背側端部10aに表紙11が貼り付けられている。断裁前の製本物1では、表紙11の小口側端部11bが、本身10の小口側端部10bから飛び出している。即ち、本身10の背側端部10aと小口側端部10bとの間の第1距離L1は、表紙11の背側端部11aと小口側端部11bとの間の第2距離L2よりも、本身10の小口側端部10bと表紙11の小口側端部11bとの飛び出し距離Lだけ短い。
【0020】
三方断裁機は、プッシャ2に連結された本体部21を備える。本体部21は、プッシャ移動機構20に連結されている。プッシャ移動機構20は、本体部21と共にプッシャ2を水平方向に前後移動する。プッシャ移動機構20の構成については後述する。さらに、三方断裁機は、プッシャ2に隣接する表紙めくりガイド7を備える。表紙めくりガイド7は、搬入部50から位置決め部51に向けて上方に傾斜する面7aを備える。製本物1が搬入部50から位置決め部51に移動するとき、本身10から飛び出した表紙11の飛び出し部分11cが、表紙めくりガイド7の傾斜面7aに沿って上がり、プッシャ2の上方に配置される。
【0021】
三方断裁機は、小口断裁刃3を上下方向に断裁位置と非断裁位置との間で移動するための断裁刃移動機構30を備える。断裁位置は、小口断裁刃3が製本物1の小口部1aを断裁する位置である一方、非断裁位置は、小口断裁刃3が製本物1から離れた位置である。また、三方断裁機は、小口断裁刃3で製本物1を断裁する際に製本物1を押さえるための小口押さえ板4を備える。三方断裁機は、小口押さえ板4を上下方向に押圧位置と非押圧位置との間で移動するための押さえ板移動機構40を備える。押圧位置は、小口押さえ板4が製本物1の小口部1aを押さえる位置である一方、非押圧位置は、小口押さえ板4が製本物1から離れた位置である。断裁刃移動機構30及び押さえ板移動機構40は、周知なボールねじ機構、リンク機構等で構成されるので、詳細な説明は省略する。三方断裁機は、製本物1を載置するための断裁台7を備える。断裁台7は、小口断裁刃3の刃先を受けるための刃受け70を備える。
【0022】
三方断裁機は、プッシャ移動機構20、断裁刃移動機構30及び押さえ板移動機構40を制御する制御部5を備える。三方断裁機は、飛び出し距離Lを決定する決定部6を備える。本実施形態では、三方断裁機は、作業者からの入力を受ける入力部60を備えており、作業者が、入力部60を通じて第1距離L1及び第2距離L2を入力すると、その入力値に基づいて、決定部6が飛び出し距離Lを演算して決定するように構成されている。
【0023】
図3及び
図4の通り、プッシャ移動機構20は、搬送方向2a(逆搬送方向2b)に延設されたガイドレール22を備える。プッシャ2に連結された本体部21は、ガイドレール22にスライド可能に係合される。プッシャ移動機構20は、本体部21に取り付けられたタイミングベルト23を備える。タイミングベルト23は、複数のローラ25及びサーボモータ24に架け渡されている。サーボモータ24の正逆方向の回転によって、プッシャ2が本体部21と共に、搬送方向2a(逆搬送方向2b)に移動するように構成されている。
【0024】
図3の通り、三方断裁機は、表紙めくりガイド7を搬送方向2a(逆搬送方向2b)に移動するガイド移動機構70を備える。ガイド移動機構70は、搬送方向2a(逆搬送方向2b)に延設された送りネジ71と、送りネジ71を回転するサーボモータ72と、を備える。プッシャ2の待機位置は、表紙11の飛び出し距離Lに応じて変化するので、待機位置に配置されたプッシャ2に表紙めくりガイド7が隣接するように、ガイド移動機構70が、表紙めくりガイド7を移動する。
【0025】
図4の通り、製本物1が搬入部50から位置決め部51へ搬送されるとき、プッシャ2は、待機位置で待機している。そして、表紙11の飛び出し部分11cが、表紙めくりガイド7によって、プッシャ2の上方に配置される。このとき、プッシャ2は、本身10の小口側端部10bから離れている。
【0026】
その後、
図5の通り、プッシャ2は、搬送方向2aに向けて移動して、本身10の小口側端部10bを押して、押し当て位置で停止する。プッシャ2が押し当て位置で停止すると、製本物1の背部1dは、小口断裁部52の位置決め部111(
図1参照)に当接する。
【0027】
その後、
図6の通り、プッシャ2は、逆搬送方向2bに向けて移動して、飛び出し距離Lだけ離れた位置決め位置で停止する。表紙11は、比較的厚く剛性を有するので、飛び出し部分11cは水平に保持される。プッシャ2が位置決め位置で停止すると、プッシャ2は、表紙11の小口側端部11bに当接する。
図7の通り、表紙11の背側端部11a、天側端部11d及び地側端部11eは、一対のL形の位置決め部111によって位置決めされる一方、表紙11の小口側端部11bは、プッシャ2によって位置決めされる。
【0028】
図6の通り、プッシャ2が表紙11の小口側端部11bに当接している間に、小口押さえ板4が非押圧位置から押圧位置へ下降して、製本物1を押さえる。小口押さえ板4が製本物1を押さえるとき、
図7の通り、位置決め部111及びプッシャ2が表紙11の周囲11a、11b、11d、11eを位置決めしているので、製本物1は、位置ずれすることなく、所定位置に正確に位置決めされる。そして、小口押さえ板4が製本物1を押さえている間に、小口断裁刃3が非断裁位置から断裁位置へ下降して、製本物1の小口部1aを精度よく断裁する(
図8参照)。
【0029】
入力部6は、タッチパネルで構成される。
図9の通り、タッチパネル画面60には、断裁前の製本物1のイラストと共に、本身10の背側端部10aと小口側端部10bとの間の第1距離L1を入力する第1入力欄61と、表紙11の背側端部11aと小口側端部11bとの間の第2距離L2を入力する第2入力欄62と、が表示される。
【0030】
作業者は、第1入力欄61に第1距離L1の値(例えば215.0mm)を入力し、第2入力欄62に第2距離L2の値(例えば220.0mm)を入力する。そして、決定部6は、第2距離L2の値から第1距離L1の値を減じる(220.0−215.0)ことで、飛び出し距離L(例えば5.0mm)を演算して決定する。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 製本物
1a 製本物の小口部
1b 製本物の天部
1c 製本物の地部
10 本身
10a 本身の背側端部
10b 本身の小口側端部
11 表紙
11a 表紙の背側端部
11b 表紙の小口側端部
51 位置決め部
52 小口断裁部
2 プッシャ
2a 搬送方向
2b 逆搬送方向
3 小口断裁刃
4 小口押さえ板
5 制御部
6 決定部
30 断裁刃移動機構
40 押さえ板移動機構
20 プッシャ移動機構
60 入力部
61 第1入力欄
62 第2入力欄