(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の投射型表示システムの一構成例を示すブロック図である。
図1は、映像形成素子としてDMD(Digital Micro-mirror Device:登録商標)を用いるDLP(Digital Light Processing)方式の投射型表示装置を備えた投射型表示システムの構成例を示している。本発明の投射型表示システムは、映像形成素子として液晶パネルを用いる液晶方式の投射型表示装置にも適用可能である。
図1に示すように、第1の実施の形態の投射型表示システムは、外部から供給される映像信号で示される映像を投射する投射型表示装置1と、投射型表示装置1から投射された光の色を計測する色彩検出器4と、色彩検出器4の計測結果に基づいて投射型表示装置1が備える発光ホイールの回転タイミングを調整するための制御信号を出力する第1色彩判定部5と、色彩検出器4の計測結果に基づいて投射型表示装置1が備える色分離ホイールの回転タイミングを調整するための制御信号を出力する第2色彩判定部6とを有する。
【0016】
色彩検出器4は、受光した光の色に対応する色度値(xy色度座標値)を出力する周知のセンサである。色彩検出器4は光検出部の一例である。光検出部は、映像形成素子が光変調した光を検出する。詳細には、光検出部は、映像形成素子が光変調した光の色を検出する。
第1色彩判定部5は、色彩検出器4から出力された色度値が所要の値となるように、上記制御信号により、後述する投射型表示装置1が備える第1フォトインタラプタ25を移動させて光変調のタイミングに対する発光ホイールの回転タイミングを調整する。第2色彩判定部6は、色彩検出器4から出力される色度値が所要の値となるように、上記制御信号により、後述する投射型表示装置1が備える第2フォトインタラプタ31を移動させて光変調のタイミングに対する色分離ホイールの回転タイミングを調整する。発光ホイールの回転タイミングは、回転する発光ホイールの位相(回転角)を変更することで調整する。同様に、色分離ホイールの回転タイミングは、回転する色分離ホイールの位相(回転角)を変更することで調整する。第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)、該CPUで処理する情報を一時的に保持するメモリ、該CPUに処理を実行させるためのプログラムやデータ等が保存される記録媒体を含む情報処理装置(コンピュータ)によって実現できる。
【0017】
情報処理装置(コンピュータ)は制御部の一例である。第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6(制御部)および/または色彩検出器4は、投射型表示装置1に内蔵されていてもよく、投射型表示装置1の外部に配置されていてもよい。また、
図1は、第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6をそれぞれ個別に備える構成例を示しているが、第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6の機能は1つの色彩判定部で実現してもよい。
【0018】
投射型表示装置1は、光源11と、光源11が出射する光によって励起される光と光源11が出射する光を透過または反射した光とを順次出力する発光ホイール16と、発光ホイール16の回転運動を制御する第1ホイール制御部9と、発光ホイール16から出力された光からカラー映像の形成に必要な各色光を順次分離する色分離ホイール18と、色分離ホイール18の回転運動を制御する第2ホイール制御部10と、外部から入力される映像信号にしたがって色分離ホイール18を介して照射された光を光変調することで、該映像信号で示される画像光を形成する映像形成素子21と、該映像信号にしたがって映像形成素子21を動作させる映像形成素子制御回路22と、光源11から出射された光を発光ホイール16へ導くと共に、発光ホイール16から出力された光を映像形成素子21面まで導く照明光学系8と、映像形成素子21で形成された画像光をスクリーン等へ拡大投射する投射光学系40とを有する。
【0019】
光源11には、例えば青色波長域のレーザ光を出射するレーザダイオードが用いられる。
照明光学系8は、第1レンズ12、第1反射ミラー13、1/4波長板14、第2レンズ15、第3レンズ17、ライトパイプ19及び第2反射ミラー20を備える。
第1反射ミラー13は、光源11から出射された光の光路を変更して発光ホイール16へ照射すると共に、発光ホイール16で反射または発光した光を透過させて色分離ホール18へ照射する。1/4波長板14は、発光ホイール16で反射または発光した光の偏光面を変更することで第1反射ミラー13を透過させるために設けられている。第1レンズ12、第2レンズ15及び第3レンズ17は、光源11から出射された光を集光・拡散して発光ホイール16面及び色分離ホイール18面に照射させる。ライトパイプ19は、色分離ホイール18を透過した光の輝度分布を均一にして出射する。第2反射ミラー20は、ライトパイプ19を通過した光を映像形成素子21面へ照射する。
照明光学系8は、
図1に示した構成に限定されるものではなく、光源11から出射された光を発光ホイール16へ導くと共に、発光ホイール16で反射または発光した光を、色分離ホイール18を通して映像形成素子21まで導くことができれば、どのような構成でもよい。
投射光学系40は、投射レンズ23を備えている。
【0020】
映像形成素子21には、周知のDMD(Digital Micro-mirror Device:登録商標)あるいは液晶パネルが用いられる。映像形成素子21は、色分離ホイール18が出力した光(各色光)を、入力された映像信号に応じて順次光変調して画像光を形成する。上述したように、
図1は映像形成素子21にDMDを用いた構成例を示している。
映像形成素子制御回路22は、外部から供給される映像信号にしたがって、映像形成素子21が備える微少ミラー(液晶パネルの場合はセル)により、色分離ホイール18を介して照射された光を画素単位で反射させる(または透過させる)光変調を行うことで画像光を形成する。
【0021】
図2に示すように、色分離ホイール18は、青色波長域の光を透過させる青色フィルタと、赤色波長域と緑色波長域の光を含む黄色波長域の光を透過させる黄色フィルタと、赤色波長域の光を透過させる赤色フィルタと、緑色波長域の光を透過させる緑色フィルタとを備える。
本実施形態の色分離ホイール18は、後述する色分離ホイール18による色分離のタイミング調整で用いる色光を透過させる色フィルタと、発光ホイール16による光出力のタイミング調整で用いる色光を透過させる色フィルタとが隣接しないように配置する。すなわち、光源11が出射する光の波長を第1波長域とし、光源11が出射する光によって励起される光の波長を第2波長域としたとき、色分離ホイール18は、少なくとも第1波長域の光を出力する第1領域と、第2波長域に含まれる第3波長域の光を分離する第3領域とを有し、第1領域と第3領域とが隣接しないように配置される。例えば、発光ホイール16のタイミング調整に光源11から出射される青色光を用いる場合、色分離ホイール18のタイミング調整には赤色光または緑色光を用いる。したがって、色分離ホイール18のタイミング調整に赤色光を用いる場合、色分離ホイール18では、赤色フィルタと青色フィルタとが隣接しないように配置する。また、色分離ホイール18のタイミング調整に緑色光を用いる場合、色分離ホイール18では、緑色フィルタと青色フィルタとが隣接しないように配置する。そして、第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6(制御部)は、第3波長域に対応する色に基づいて光変調と色分離ホイール18の回転タイミングを調整し、第1波長域に対応する色に基づいて光変調と発光ホイール16の回転タイミングを調整する。
【0022】
なお、上述したように、色分離ホイール18は、上記第3領域に隣接し、第2波長域に含まれる波長域であり、かつ、第3波長域以外の波長を含む波長域をそれぞれ出力する第2領域および第4領域を有していてもよい。第2領域、第3領域および第4領域は、光源が出射する光によって励起される、発光ホイール16が出力する光が照射される。具体的には、第2領域は黄色波長域(第2波長域)の光を透過させる黄色フィルタである。また、第3領域が赤色フィルタである場合、第4領域は緑色フィルタであり、第3領域が緑色フィルタである場合、第4領域は赤色フィルタである。
以下では、色分離ホイール18のタイミング調整に赤色光を用いる例で説明する。
図2は、赤色フィルタと青色フィルタとを隣接しないように配置した例を示している。
光源11から出射された青色波長域のレーザ光がそのまま投射レンズ23から出射されないように、色分離ホイール18の上記第1領域には、青色フィルタに代えて青色波長域の光を透過・拡散させる拡散板を用いてもよい。拡散板は光源11から出射された青色波長域の光が透過すればよく、フィルタ機能を有する必要はない。また、色分離ホイール18には、上記黄色フィルタに代えて青色波長域を遮断する色フィルタを備えていてもよい。色分離ホイール18の回転軸近傍には、該色分離ホイール18の基準位置(基準角度)を示す反射率の高い第2反射マーカ30(第2被検知部)が固定されている。
【0023】
図3に示すように、発光ホイール16は、光源11から出射された青色波長域の光を励起光にして赤色波長域と緑色波長域の光を含む黄色波長域の光を発光する蛍光体(発光部)が形成された黄色領域と、青色波長域の光を反射する鏡(非発光部)が形成された青色領域とを備える。発光ホイール16の回転軸近傍には、該発光ホイール16の基準位置(基準角度)を示す反射率の高い第1反射マーカ24(第1被検知部)が固定されている。
図1は、光源11から出射された青色波長域を発光ホイール16で反射させ、さらに色分離ホイール18を透過させて映像形成素子21まで導く照明光学系8を備えた投射型表示装置1を例示しているが、投射型表示装置1の照明光学系8は
図1に示した構成に限定されるものではない。例えば、発光ホイール16は光源11から出射された青色波長域の光を透過させる構成でもよく、色分離ホイール18は青色波長域の光を反射する構成でもよい。さらに、色分離ホイール18は、黄色波長域の光から所定の波長域の光を反射することで赤色波長域の光または緑色波長域の光を分離する構成でもよい。投射型表示装置1の照明光学系8は、発光ホイール16及び色分離ホイール18による青色波長域の光の反射または透過に応じて適宜設計すればよい。
【0024】
第1ホイール制御部9は、回転軸に発光ホイール16が固定された第1駆動モータ29と、第1フォトインタラプタ25を備えた第1タイミング調整部2と、第1フォトインタラプタ25を用いて発光ホイール16が備える第1反射マーカ24を検出する第1検出回路26と、映像信号と共に外部から入力される映像同期信号及び第1検出回路26の出力信号に基づいて第1駆動モータ29を回転させる第1モータ制御回路28とを備える。第1フォトインタラプタ25は、発光素子と受光素子とが一体化されたセンサであり、発光素子から出射している光が第1反射マーカ24で反射され、該反射光を受光素子で受光すると信号を出力する。第1検出回路26は、第1フォトインタラプタ25の受光素子から出力された信号を検出すると、該信号を同期信号として第1モータ制御回路28へ出力する。
【0025】
第1反射マーカ24は第1被検知部の一例である。詳細には、第1被検知部は発光ホイール16に固定される。第1フォトインタラプタ25は第1検知部の一例である。詳細には、第1検知部は、第1被検知部(第1反射マーカ24)を検出すると信号を出力する、発光ホイール16の回転方向に沿って移動可能な構成である。第1ホイール制御部(第1回転制御部)9は、映像信号と共に入力される映像同期信号と第1検出回路26の出力信号とが同期するように発光ホイール16を回転させる。すなわち、第1モータ制御回路28は、映像信号と共に入力される映像同期信号(例えば、垂直同期信号)と、第1検出回路26から出力された同期信号との位相差が一定となるように(同期するように)第1駆動モータ29の回転速度を制御する。
第1タイミング調整部2は、第1反射マーカ24を検出する第1フォトインタラプタ25の物理的な位置を調整するためのものであり、第1フォトインタラプタ25が搭載される不図示の可動テーブルと、第1色彩判定部5から出力された制御信号にしたがって該可動テーブルを発光ホイール16の回転方向に沿って移動させる不図示の駆動機構とを備えた構成である。第1タイミング調整部2が備える駆動機構は、第1フォトインタラプタ25が搭載された可動テーブルを第1色彩判定部5からの制御信号にしたがって移動させることが可能であれば、どのような構成でもよい。
【0026】
第2ホイール制御部10は、回転軸に色分離ホイール18が固定された第2駆動モータ35と、第2フォトインタラプタ31を備えた第2タイミング調整部3と、第2フォトインタラプタ31を用いて色分離ホイール18が備える第2反射マーカ30を検出する第2検出回路32と、映像信号と共に外部から入力される映像同期信号及び第2検出回路32の出力信号に基づいて第2駆動モータ35を回転させる第2モータ制御回路34とを備える。第2フォトインタラプタ31は、発光素子と受光素子とが一体化されたセンサであり、発光素子から出射している光が第2反射マーカ30で反射され、該反射光を受光素子で受光すると信号を出力する。第2検出回路32は、第2フォトインタラプタ31の受光素子から出力された信号を検出すると、該信号を同期信号として第2モータ制御回路34へ出力する。
【0027】
第2反射マーカ30は第2被検知部の一例である。詳細には、第2被検知部は色分離ホイール18に固定される。第2フォトインタラプタ31は第2検知部の一例である。詳細には、第2検知部は、第2被検知部(第2反射マーカ30)を検出すると信号を出力する、色分離ホイール18の回転方向に沿って移動可能な構成である。第2ホイール制御部(第2回転制御部)10は、映像同期信号と第2検出回路32の出力信号とが同期するように色分離ホイール18を回転させる。すなわち、第2モータ制御回路34は、映像信号と共に入力される映像同期信号(例えば、垂直同期信号)と、第2検出回路32から出力された同期信号との位相差が一定となるように(同期するように)第2駆動モータ35の回転速度を制御する。
第2タイミング調整部3は、第2反射マーカ35を検出する第2フォトインタラプタ31の物理的な位置を調整するためのものであり、第2フォトインタラプタ31が搭載される不図示の可動テーブルと、第2色彩判定部6から出力される制御信号にしたがって該可動テーブルを色分離ホイール18の回転方向に沿って移動させる不図示の駆動機構とを備えた構成である。第2タイミング調整部3が備える駆動機構は、第2フォトインタラプタ31が搭載された可動テーブルを第2色彩判定部6からの制御信号にしたがって移動させることが可能であれば、どのような構成でもよい。
【0028】
このような構成において、次に映像形成素子21による光変調に対して、発光ホイール16による光出力、並びに色分離ホイール18による色分離のタイミングを調整するための本発明のタイミング調整方法について図面を用いて説明する。
まず、本発明のタイミング調整方法の原理について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、可視波長域の光の色及び投射型表示装置で再現可能な色をxy色度座標で示した色度図である。
図4に示す曲線(a)は単色スペクトル軌跡であり、可視波長域光における全ての色はこの
図4に示す領域(a)内に存在する。一方、赤色光、緑色光、青色光の組み合わせでカラー映像を再現する投射型表示装置1では、色の再現範囲が
図4の三角形(b)で示す領域となる。すなわち、投射型表示装置1で再現される色の色度値は、色分離ホイール18の赤色フィルタを透過した色光の色度値Rと、緑色フィルタを透過した色光の色度値Gと、青色フィルタ(拡散板)を透過した色光の色度値Bとを頂点とする三角形(b)の領域内に存在する。発光ホイール16で発光される黄色波長域の光の色度値Yは、
図4のR点とG点とを結ぶ直線上にある。
【0029】
したがって、映像形成素子21による赤色光の光変調時に、色分離ホイール18の赤色フィルタを透過した赤色光のみが映像形成素子21へ照射されれば、色彩検出器4では
図4のR点の色度値が検出される。同様に、映像形成素子21による緑色光の光変調時に、色分離ホイール18の緑色フィルタを透過した色光のみが映像形成素子21へ照射されれば、色彩検出器4では
図4のG点の色度値が検出される。また、映像形成素子21による青色光の光変調時に、色分離ホイール18の青色フィルタを透過した色光のみが映像形成素子21へ照射されれば、色彩検出器4では
図4のB点の色度値が検出される。
【0030】
一方、映像形成素子21による赤色光の光変調時に赤以外の色光が映像形成素子21へ照射されると、色度検出器4で検出される色度値は
図4に示すR点からG点方向またはB点方向へ移動する。同様に、映像形成素子21による緑色光の光変調時に緑以外の色光が映像形成素子21へ照射されると、色度検出器4で検出される色度値は
図4に示すG点からR点方向またはB点方向へ移動する。また、映像形成素子21による青色光の光変調時に、青以外の色光が映像形成素子21へ照射されると、色度検出器4で検出される色度値は
図4に示すB点からR点方向またはG点方向へ移動する。
【0031】
よって、映像形成素子21による光変調と、色分離ホイール18による色分離とを同期させるには、映像形成素子21による所定色光の光変調時に、色度検出器4で検出される色度値が該色光に対応する色度値となるように色分離ホイール18の位相(回転角)を調整すればよい。すなわち、第2色彩判定部6(制御部)は、上記第3波長域に対応する色のみの画像を投射する映像信号が映像形成素子21に入力されたとき、色度検出器(光検出部)4が検出する色が第3波長域に対応する色となるように光変調に対する色分離ホイール18の回転タイミングを調整する。例えば、映像形成素子21による赤色光の光変調時、色度検出器4で検出される色度値が
図4のR点(x値が最大)となるように、回転する色分離ホイール18の位相(回転角)を調整する。
【0032】
同様に、映像形成素子21による光変調と、発光ホイール16による光出力とを同期させるには、映像形成素子21による所定色光の光変調時、色度検出器4で検出される色度値が該色光に対応する色度値となるように発光ホイール16の位相(回転角)を調整すればよい。すなわち、第1色彩判定部5は、上記第1波長域に対応する色のみの画像を投射する映像信号が映像形成素子21に入力されたとき、色度検出器(光検出部)4が検出する色が第1波長域に対応する色となるように光変調に対する発光ホイール16の回転タイミングを調整する。ここでは光源11の出射光が青色波長域であるため、例えば映像形成素子21による青色光の光変調時に、色度検出器4で検出される色度値が
図4のB点(x値が最小)となるように、回転する発光ホイール16の位相(回転角)を調整する。
【0033】
但し、発光ホイール16のタイミング調整時、色分離ホイール18が先に調整されていないと、調整後の発光ホイール16の位相(回転角)には、色分離ホイール18の位相(回転角)のずれ量が含まれてしまう。そのため、色分離ホイール18のタイミング調整後に、再度、発光ホイール16のタイミング調整を実行する必要がある。一方、
図3で示したように、発光ホイール16は、黄色波長域の光を発光する黄色領域が青色波長域の光を反射する青色領域と比べて大きな面積を占めているため、色分離ホイール18のタイミング調整時、例えば映像形成素子21により赤色光を光変調させれば、発光ホイール16の位相(回転角)が多少ずれていても、色分離ホイール18の調整にはほとんど影響しない。特に、色分離ホイール18には、青色フィルタと隣接しないように赤色フィルタが配置されているため(
図2参照)、赤色光を利用すれば、色分離ホイール18のタイミング調整に与える影響をより低減できる。そこで、本本発明では、先に色分離ホイール18のタイミング調整を実行し、その後、発光ホイール16のタイミング調整を実行する。
【0034】
発光ホイール16の位相(回転角)は、
図1に示した第1タイミング調整部2が備える第1フォトインタラプタ25を移動させることで調整可能であり、色分離ホイール18の位相(回転角)は、
図1に示した第2タイミング調整部3が備える第2フォトインタラプタ31を移動させることで調整可能である。
上述したように、第1モータ制御回路28は、映像同期信号と第1フォトインタラプタ25による第1反射マーカ24の検出タイミングを示す同期信号との位相差が一定となるように発光ホイール16を回転させる。そのため、第1フォトインタラプタ25を移動させれば、第1モータ制御回路28は、移動後の第1フォトインタラプタ25の位置に対応する同期信号にしたがって発光ホイール16の位相を遅らせる(または進ませる)。すなわち、発光ホイール16の位相(回転角)を調整することが可能になる。
【0035】
同様に、第2モータ制御回路34は、映像同期信号と第2フォトインタラプタ31による第2反射マーカ30の検出タイミングを示す同期信号との位相差が一定となるように色分離ホイール18を回転させる。そのため、第2フォトインタラプタ31を移動させれば、第2モータ制御回路34は、移動後の第2フォトインタラプタ31の位置に対応する同期信号にしたがって色分離ホイール18の位相を遅らせる(または進ませる)。すなわち、色分離ホイール18の位相(回転角)を調整することが可能になる。
【0036】
ここで、映像形成素子21で光変調するための映像信号と、発光ホイール16による光出力のタイミング及び色分離ホイール18による色分離のタイミングの一例を
図5に示す。
図5は、第1反射マーカ24が発光ホイール16の基準位置として青色領域(反射光(B))の開始位置に固定され、第2反射マーカ30が色分離ホイール18の基準位置として青色フィルタ(または拡散板(B))の開始位置に固定された例を示している。
図5(a)は、映像形成素子が実行する光変調のタイミングを示している。例えば、Bの期間は青色の光に対応する青色の映像を表示する表示期間であり、映像形成素子は青色の映像信号により駆動される。Gの期間は緑色の光に対応する緑色の映像を表示する表示期間であり、映像形成素子は緑色の映像信号により駆動される。Rの期間は赤色の光に対応する赤色の映像を表示する表示期間であり、映像形成素子は赤色の映像信号により駆動される。また、Yの期間は黄色の光に対応する黄色の映像を表示する表示期間であり、映像形成素子は黄色の映像信号により駆動される。
【0037】
発光ホイール16には、B(青)の期間に対応した幅の青色領域と、G(緑)、R(赤)及びY(黄)の期間に対応した幅の黄色領域とが、予め形成されているものとする。すなわち、映像信号による1フレーム分の光変調期間と、発光ホイール16が1回転する期間とが一致するように発光ホイール16を回転させると、発光ホイール16は、色光毎の光変調に対応した幅(期間)で各色光(B,Y)を順次反射または発光する。但し、ここでは、調整前の発光ホイール16が、映像信号に対して期間T12に対応する位相(回転角)だけ遅れて回転しているものとする(
図5(c))。
また、色分離ホイール18には、B(青)の期間に対応した幅の青色フィルタ(拡散板(B))と、G(緑)の期間に対応した幅の色フィルタ(G)と、R(赤)の期間に対応した幅の色フィルタ(R)と、Yの期間に対応した幅の色フィルタ(Y)とが、予め形成されているものとする。すなわち、映像信号による1フレーム分の光変調期間と、色分離ホイール18が1回転する期間とが一致するように色分離ホイール18を回転させると、色分離ホイール18からは色光毎の光変調に対応した幅(期間)で各色光(B,G,R,Y)が順次出射される。但し、ここでは、調整前の色分離ホイール18が、映像信号に対して期間T22に対応する位相(回転角)だけ進んで回転しているものとする(
図5(e))。
【0038】
なお、上記映像形成素子21による赤色光の光変調とは、
図5(a)に示すR(赤)の期間において映像形成素子21が照射光を投射レンズ23へ反射することで投射レンズ23から赤色光が投射され、他の期間では映像形成素子21が照射光を投射レンズ23へ反射させない状態を指す。同様に、上記映像形成素子21による青色光の光変調とは、
図5(a)に示すB(青)の期間において映像形成素子21が照射光を投射レンズ23へ反射することで投射レンズ23から青色光が投射され、他の期間では映像形成素子21が照射光を投射レンズ23へ反射させない状態を指す。映像形成素子21が照射光を投射レンズ23へ反射させない状態では、投射レンズ23から光が出射されないため、投射映像は黒画像となる。
【0039】
図5(e)で示す例のように、調整前の色分離ホイール18が映像信号に対して期間T22に対応する位相(回転角)だけ進んで回転している場合、赤色光を光変調する期間T21では、映像形成素子21に対して赤色フィルタ(R)を透過した赤色光と黄色フィルタ(Y)を透過した黄色光とが照射される。そのため、赤色光と黄色光とが混色して色純度が低下する。
上述したように、色分離ホイール18の位相(回転角)は、投射レンズ23から投射される光の色を色彩検出器4で計測し、色彩検出器4から出力される色度値が所要の値となるように、第2フォトインタラプタ31の位置を移動させることで調整する。具体的には、色彩検出器4で計測された色度値が
図4のR点(x値が最大)となるように第2フォトインタラプタ31の位置を移動させる。
その結果、
図5(d)で示すように、Bの期間の開始位置(開始時刻)に第2反射マーカ30の検出時刻が一致するため、映像形成素子21による光変調と、色分離ホイール18による色分離とを同期させることができる。
【0040】
なお、上述したように、発光ホイール16は、黄色波長域の光を発光する黄色領域が青色波長域の光を反射する青色領域と比べて大きな面積を占めている。そのため、
図5(c)で示すように発光ホイール16が映像信号に対して期間T12に対応する位相(回転角)だけ遅れて回転していても、色分離ホイール18の回転タイミング調整に影響することはない。
【0041】
同様に、調整前の発光ホイール16が映像信号に対して期間T12に対応する位相(回転角)だけ遅れて回転している場合、青色光を光変調する期間T11では、映像形成素子21に対して黄色フィルタ(Y)を透過した黄色光と青色フィルタ(B)を透過した青色光が照射される。そのため、青色光と黄色光が混色して色純度が低下する。
発光ホイール16の位相(回転角)は、投射レンズ23から投射される光の色を色彩検出器4で計測し、色彩検出器4から出力される色度値が所要の値となるように、第1フォトインタラプタ25の位置を移動させることで調整する。具体的には、色彩検出器4で計測された色度値が
図4のB点(x値が最小)となるように第1フォトインタラプタ25の位置を移動させる。
その結果、
図5(b)で示すように、Bの期間の開始位置(開始時刻)に第1反射マーカ24の検出時刻が一致するため、映像形成素子による色光毎の光変調と、発光ホイール16による光出力とを同期させることができる。
【0042】
図6は、本発明の同期調整方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本発明では、上述したように、先に映像形成素子21による光変調に対して色分離ホイール18の回転タイミングを調整して光変調と色分離とを同期させ、その後、映像形成素子21による光変調に対して発光ホイール16の回転タイミングを調整して光変調と発光ホイール16による光出力とを同期させる。
以下では、第1色彩判別部2及び第2色彩判別部3の機能を実現する情報処理装置(コンピュータ)が投射型表示装置1に接続され、色分離ホイール18及び発光ホイール16のタイミング調整に合わせて、該コンピュータにより映像信号や光変調動作の切り換えが可能な例で説明する。投射型表示装置1へ入力する映像信号及び光変調動作の切り換えは操作者による手動でも可能である。
【0043】
図6に示すように、コンピュータは、まず投射型表示装置1から赤色光の映像(赤映像)を投射させる(ステップS1)。赤映像は、映像形成素子21により赤色の映像光のみ投射レンズ23の方向へ反射させることで投射できる。
投射型表示装置1から投射された映像が色彩検出器4で受光されると、色彩検出器4は受光した光の色を計測し(ステップS2)、その色度値を出力する。ここで、映像形成素子21による赤色光の光変調と色分離ホイール18による色分離とが同期していれば、色彩検出器4から出力される色度値は
図4のR点を示す値となる。一方、映像形成素子21による赤色光の光変調と色分離ホイール18による色分離とが同期していない場合は、色彩検出器4から出力される色度値は
図4のR点からB点方向またはG点方向へ移動する。
コンピュータは、第2色彩判定部6として機能することで、色彩検出器4から出力された色度値のxの値が最大であるか否かを判定する(ステップS3)。
xの値が最大でない場合、コンピュータ(第2色彩判定部6)は、第2タイミング調整部3に第2フォトインタラプタ31を移動させるための制御信号を送出して色分離ホイール18のタイミング調整を実行し(ステップS4)、ステップS2の処理に戻ってステップS2〜S4の処理を繰り返す。
【0044】
一方、ステップS3の処理で色彩検出器4から出力された色度値のxの値が最大であると判定した場合、コンピュータは、ステップS5の処理へ移行し、投射型表示装置1から青色光の映像(青映像)を投射させる。
投射型表示装置1から投射された映像が色彩検出器4で受光されると、色彩検出器4は受光した光の色を計測し(ステップS6)、その色度値を出力する。ここで、映像形成素子21による青色光の光変調と発光ホイール16による光出力とが同期していれば、色彩検出器4から出力される色度値は
図4のB点を示す値となる。一方、映像形成素子21による青色光の光変調と発光ホイール16による光出力とが同期していないと、色彩検出器4から出力される色度値は
図4のB点からR点方向またはG点方向へ移動する。
【0045】
コンピュータは、第1色彩判定部5として機能することで、色彩検出器4から出力された色度値のxの値が最小であるか否かを判定する(ステップS7)。
xの値が最小でない場合、コンピュータ(第1色彩判定部5)は、第1タイミング調整部2に第1フォトインタラプタ25を移動させるための制御信号を送出して発光ホイール16のタイミング調整を実行し(ステップS8)、ステップS6の処理に戻ってステップS6〜S8の処理を繰り返す。
一方、ステップS7の処理で色彩検出器4から出力された色度値のxの値が最小であると判定した場合、コンピュータは処理を終了する。
【0046】
本実施形態によれば、第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6(制御部)により、色彩検出器(光検出部)4の出力に基づいて、光変調に対して色分離ホイール18の回転タイミングを調整した後、光変調に対して発光ホイール16の回転タイミングを調整する。上述したように、発光ホイール16の回転タイミングを先に調整すると、色分離ホイール18の回転タイミングを調整した後、再度、発光ホイール16の回転タイミングを調整する必要がある。それに対して、本実施形態では、そのような発光ホイール16のタイミング調整の重複処理を実行する必要がない。したがって、映像形成素子21による色光毎の光変調に対して発光ホイール16及び色分離ホイール18の回転タイミングを簡易に調整できる。
また、本実施形態では、既存の反射マーカ、フォトインタラプタ、色彩検出器を用いて、発光ホイール16及び色分離ホイール18の回転角を調整するため、簡易な構成で映像形成素子21による色光毎の光変調と、発光ホイール16による光出力、並びに色分離ホイール18による色分離とを同期させることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態の投射型表示システムの一構成例を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、第1フォトインタラプタ25及び第2フォトインタラプタ31を物理的(機械的)に移動させることで、発光ホイール16による光出力、並びに色分離ホイール18による色分離のタイミングを調整する構成例を示した。
第2の実施の形態の投射型表示システムは、第1の実施の形態で示した第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6に代えて、プログラムにしたがって処理を実行するCPU部37と、CPU部37で処理された情報を保存する不揮発性のメモリ部36とを備えた構成である。
第2の実施の形態では、第1フォトインタラプタ25による第1反射マーカ24の検出タイミング、並びに第2フォトインタラプタ31による第2反射マーカ30の検出タイミングを示す同期信号を電気的に遅延させることで、発光ホイール16による光出力、並びに色分離ホイール18による色分離のタイミングを調整するための構成例を示す。
【0048】
図7に示すように、第2の実施の形態の投射型表示システムは、第1の実施の形態で示した第1色彩判定部5及び第2色彩判定部6に代えて、プログラムにしたがって処理を実行するCPU部37と、CPU部37で処理された情報を保存する不揮発性のメモリ部36とを備えた構成である。また、第2の実施の形態の投射型表示装置7は、発光ホイール16の回転運動を制御する第1ホイール制御部9と色分離ホイール18の回転運動を制御する第2ホイール制御部10の構成が、第1の実施の形態の投射型表示システムと異なっている。
【0049】
図7に示すCPU部37及びメモリ部36は、情報処理装置(コンピュータ)で実現すればよい。コンピュータは、プログラムにしたがって処理を実行することで、本実施形態のCPU部37及びメモリ部36の機能を実現する。CPU部37及びメモリ部36は、投射型表示装置7に接続されたとき、第1の実施の形態で示した第1色彩判別部2及び第2色彩判別部3の機能を実現する情報処理装置(コンピュータ)と同様に、色分離ホイール18及び発光ホイール16のタイミング調整に応じて、映像信号や光変調動作の切り換えが可能な構成とする。
【0050】
第2の実施の形態の第1ホイール制御部9は、発光ホイール16を回転させる第1駆動モータ29と、第1フォトインタラプタ(第1検知部)25を用いて発光ホイール16が備える第1反射マーカ(第1被検知部)24を検出する第1検出回路26と、CPU部37からの制御信号にしたがって第1検出回路26から出力された信号を遅延させる第1遅延回路27と、映像信号と共に外部から入力される映像同期信号及び第1遅延回路27の出力信号に基づいて第1駆動モータ29を動作させる第1モータ制御回路28とを備える。第1フォトインタラプタ(第1検知部)25は、第1の実施の形態と同様に、発光素子と受光素子とが一体化されたセンサであり、上記発光素子から出射している光が第1反射マーカ24で反射され、該反射光を受光素子で受光すると信号を出力する。第1検出回路26は、第1フォトインタラプタ25の受光素子から出力された信号を検出すると、該信号を同期信号として第1遅延回路27へ出力する。第1ホイール制御部(第1回転制御部)9は、映像信号と共に入力される映像同期信号と第1遅延回路27の出力信号とが同期するように発光ホイール16を回転させる。すなわち、第1モータ制御回路28は、映像同期信号(例えば、垂直同期信号)と、第1遅延回路27から出力された同期信号との位相差が一定となるように第1駆動モータ29の回転速度を制御する。
【0051】
第2の実施の形態の第2ホイール制御部10は、色分離ホイール18を回転させる第2駆動モータ35と、第2フォトインタラプタ(第2検知部)31を用いて色分離ホイール18が備える第2反射マーカ(第2被検知部)30を検出する第2検出回路32と、CPU37からの制御信号にしたがって第2検出回路32から出力された信号を遅延させる第2遅延回路33と、映像信号と共に外部から入力される映像同期信号及び第2遅延回路33の出力信号に基づいて第2駆動モータ35を動作させる第2モータ制御回路34とを備える。第2フォトインタラプタ(第2検知部)31は、第1の実施の形態と同様に、発光素子と受光素子とが一体化されたセンサであり、上記発光素子から出射している光が第2反射マーカ30で反射され、該反射光を受光素子で受光すると信号を出力する。第2検出回路32は、第2フォトインタラプタ31の受光素子から出力された信号を検出すると、該信号を同期信号として第2遅延回路33へ出力する。第2ホイール制御部(第2回転制御部)10は、映像同期信号と第2遅延回路33の出力信号とが同期するように色分離ホイール18を回転させる。すなわち、第2モータ制御回路35は、映像同期信号(例えば、垂直同期信号)と、第2遅延回路33から出力された同期信号との位相差が一定となるように第2駆動モータ34の回転速度を制御する。
【0052】
CPU部37は、色彩検出器4から出力される色度値が所要の値となるように、第2遅延回路33に第2フォトインタラプタ31による第2反射マーカ30の検出信号を遅延させ、第1遅延回路27に第1フォトインタラプタ25による第1反射マーカ24の検出信号を遅延させる。CPU部37は、タイミング調整後の第1遅延回路27の遅延量、並びに第2遅延回路33の遅延量をメモリ部36に保存し、以降、投射型表示装置7の動作毎にメモリ部36に保存された遅延量を第1遅延回路27及び第2遅延回路33にそれぞれ設定する。その他の構成及び動作は第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
第2の実施の形態の投射型表示システムでは、第2遅延回路33の遅延量を変更して光変調と色分離ホイール18の回転タイミングを調整し、第1遅延回路27の遅延量を変更して光変調と発光ホイール16の回転タイミングを調整する。
そのため、第2の実施の形態の投射型表示システムにおいても、第1の実施の形態と同様に、映像形成素子21による色光毎の光変調に対して、発光ホイール16及び色分離ホイール18の回転タイミングを簡易に調整できる。
【0054】
また、既存の反射マーカ、フォトインタラプタ、色彩検出器を用いて、発光ホイール16及び色分離ホイール18の回転角を調整するため、簡易な構成で映像形成素子21による色光毎の光変調と、発光ホイール16による光出力、並びに色分離ホイール18による色分離とを同期させることができる。特に、第2の実施の形態の投射型表示システムでは、第1及び第2フォトインタラプタを移動させるための可動テーブルや駆動機構が不要になるため、第1の実施の形態の投射型表示システムよりもさらに簡易な構成となる。
【0055】
なお、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、第1及び第2反射マーカと第1及び第2フォトインタラプタとを用いて、光学的に発光ホイール16及び色分離ホイール18の基準位置を検出する構成例を示したが、発光ホイール16及び色分離ホイール18の基準位置は、例えばホール素子のような磁気結合を利用する素子を用いて検出してもよい。
【0056】
また、上述した第1の実施の形態では、第1及び第2フォトインタラプタの位置を移動させて発光ホイール16及び色分離ホイール18の位相(回転角)を調整する構成例を示したが、第1及び第2フォトインタラプタを固定し、第1及び第2反射マーカの位置を移動させる構成としてもよい。
【0057】
また、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、色彩検出器(光検出部)4を投射型表示装置の外部に設置する構成例を示したが、例えば映像形成素子21が照明光を投射レンズ23の方向へ反射させた投射光のうち、少なくとも一部(例えば投射光の漏れ光)を受光する位置に色彩検出器4を設置すれば、該色彩検出器4を投射型表示装置に内蔵することも可能である。
その場合、制御部(第2色彩判定部6またはCPU部37)は、映像形成素子21が、映像信号に含まれる上記第3波長域のみの光に対応する第3映像の表示期間において、光検出部に向かって光を出力し、第3映像の表示期間以外の期間において光検出部に向かって光を出力しない状態のとき、光検出部が検出する色が第3波長域に対応する色となるように光変調に対する色分離ホイール18の回転タイミングを調整すればよい。また、制御部(第2色彩判定部6またはCPU部37)は、映像形成素子21が、映像信号に含まれる上記第1波長域のみの光に対応する第1映像の表示期間において、光検出部に向かって光を出力し、第1映像の表示期間以外の期間において、前記光検出部に向かって光を出力しない状態のとき、制御部は、光検出部が検出する色が第1波長域に対応する色となるように光変調に対する発光ホイール16の回転タイミングを調整すればよい。
【0058】
また、DMD等の反射型の映像形成素子21を用い、色彩検出器4を投射型表示装置に内蔵する場合、該色彩検出器4は、映像形成素子21が照射光を投射レンズ23の方向へ反射させない光を受光する位置に設置してもよい。その場合、例えば、
図6のステップS1において、Rの期間に映像を投射させる代わりに、
図5(a)に示すG、B及びYの期間に映像を投射させ、ステップS5において、青色の映像期間Bに映像を投射させる代わりに、赤色の映像期間Rと緑色の映像期間Gと黄色の映像期間Yとに映像を投射させる。つまり、ステップS1の処理により該色彩検出器4は赤色光を受光し、ステップS5の処理により該色彩検出器4は青色光を受光することができるようになり、
図6と同様の処理を行うことができる。
【0059】
また、色彩検出器4には、発光ホイール16や色分離ホイール18の回転タイミングの調整に用いる青色(第1波長域)光、および/または赤色若しくは緑色(第3波長域)光に対応する色光の照度を測定する照度センサを用いることも可能である。その場合、投射光の色光の照度値が最大となるように第3波長域に対応する色光を検出して色分離ホイール18の回転タイミングを調整し、第1波長域に対応する色光を検出して発光ホイール16の回転タイミングを調整すればよい。また、投射光の色以外の色光の照度値が最小となるように発光ホイール16及び色分離ホイール18の回転タイミングを調整してもよい。なお、照度センサを用いて所定の色光の照度を測定するには、所定の色光に対応する色フィルタなどを照度センサに備えることで可能となる。
【0060】
また、色分離ホイール18が備える各色フィルタは、
図2に示した配置例に限定されるものではない。上述したように、
図2に示した赤色フィルタと緑色フィルタとはその位置を入れ替えて配置してもよい。その場合、色分離ホイール18のタイミング調整には緑色光を利用すればよい。また、色分離ホイール18には、同じ色の色フィルタを複数備えていてもよい。例えば2つの緑色フィルタを備え、青、緑、赤、緑、黄の色順に各色フィルタを配置してもよく、2つの黄色フィルタを備え、青、黄、赤、黄、緑の色順に各色フィルタを配置してもよい。色分離ホイール18が備える各色フィルタの配列を変更する場合、映像形成素子21で光変調する色光の順番を、色分離ホイール18の各色フィルタの配列順に一致させればよい。
【0061】
さらに、光源11から出射する光は青色に限定されるものではなく、赤色や緑色であってもよい。その場合、発光ホイール16には、
図3に示した黄色領域に代えて、カラー映像の形成に必要な、光源11から出射する光以外の色光を発光する蛍光体を設ければよい。
【0062】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細は本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更が可能である。
本願発明は、以下の付記に記載された形態を採りうるが、該付記に記載された形態に限定されるものではない。
(付記1)
光源が出射する光によって励起される光と、前記光源が出射する光を透過または反射した光と、を回転することにより順次出力する発光ホイールと、
前記発光ホイールが出力した光を、回転することにより順次色分離して出力する色分離ホイールと、
前記色分離ホイールが出力した光を、映像信号に応じて光変調する映像形成素子と、
前記光変調した光を検出する光検出部と、
前記光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングとを調整した後、前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングとを調整する制御部と、
を有する投射型表示システム。
(付記2)
付記1記載の投射型表示システムにおいて、
前記光源が出射する光の波長を第1波長域とし、前記光源が出射する光によって励起される光の波長を第2波長域としたとき、
前記色分離ホイールは、少なくとも前記第1波長域の光を出力する第1領域と、前記第2波長域に含まれる第3波長域の光を分離する第3領域と、を有し、
前記第1領域と第3領域とが隣接していない、投射型表示システム。
(付記3)
付記2記載の投射型表示システムにおいて、
前記制御部は、
前記第3波長域に対応する色に基づいて前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングとを調整し、前記第1波長域に対応する色に基づいて前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングとを調整する、投射型表示システム。
(付記4)
付記2または3に記載の投射型表示システムにおいて、
前記光検出部は、投射される画像の光を検出し、
前記第3波長域に対応する色のみの画像を投射する前記映像信号が前記映像形成素子に入力されたとき、前記制御部は、前記光検出部が検出する色が前記第3波長域に対応する色となるように前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、
前記第1波長域に対応する色のみの画像を投射する前記映像信号が前記映像形成素子に入力されたとき、前記制御部は、前記光検出部が検出する色が前記第1波長域に対応する色となるように前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、投射型表示システム。
(付記5)
付記2または3に記載の投射型表示システムにおいて、
前記映像形成素子が、前記映像信号に含まれる、前記第3波長域のみの光に対応する第3映像の表示期間において、前記光検出部に向かって光を出力し、前記第3映像の表示期間以外の期間において、前記光検出部に向かって光を出力しない状態のとき、前記制御部は、前記光検出部が検出する色が前記第3波長域に対応する色となるように前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、
前記映像形成素子が、前記映像信号に含まれる、前記第1波長域のみの光に対応する第1映像の表示期間において、前記光検出部に向かって光を出力し、前記第1映像の表示期間以外の期間において、前記光検出部に向かって光を出力しない状態のとき、前記制御部は、前記光検出部が検出する色が前記第1波長域に対応する色となるように前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、投射型表示システム。
(付記6)
付記2乃至5のいずれか1項に記載の投射型表示システムにおいて、
前記第1波長域に対応する色は青色であり、前記第3波長域に対応する色は赤色または緑色である、投射型表示システム。
(付記7)
付記2乃至6のいずれか1項に記載の投射型表示システムにおいて、
前記色分離ホイールは、さらに、前記第3領域に隣接し、前記第2波長域に含まれる波長域であり、かつ、第3波長域以外の波長を含む波長域をそれぞれ出力する第2領域および第4領域と、を有し、
前記第2領域、第3領域および第4領域は、前記光源が出射する光によって励起される、前記発光ホイールが出力する光が照射される、投射型表示システム。
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1項に記載の投射型表示システムにおいて、
前記発光ホイールに固定された第1被検知部と、
前記色分離ホイールに固定された第2被検知部と、
前記第1被検知部を検出すると信号を出力する、前記発光ホイールの回転方向に沿って移動可能な第1検知部と、
前記第2被検知部を検出すると信号を出力する、前記色分離ホイールの回転方向に沿って移動可能な第2検知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2検知部を移動させて前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、前記第1検知部を移動させて前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、投射型表示システム。
(付記9)
付記1乃至7のいずれか1項に記載の投射型表示システムにおいて、
前記発光ホイールに固定された第1被検知部と、
前記色分離ホイールに固定された第2被検知部と、
前記第1被検知部を検出すると信号を出力する第1検知部と、
前記第2被検知部を検出すると信号を出力する第2検知部と、
前記第1検知部の出力信号を遅延させる第1遅延回路と、
前記第2検知部の出力信号を遅延させる第2遅延回路と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2遅延回路の遅延量を変更して前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、前記第1遅延回路の遅延量を変更して前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、投射型表示システム。
(付記10)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の投射型表示システムにおいて、
前記発光ホイールと前記色分離ホイールと前記映像形成素子とは、投射型表示装置の中に具備されており、
前記光検出部と前記制御部とは、前記投射型表示装置の外にある、投射型表示システム。
(付記11)
付記10に記載の投射型表示システムにおいて、
前記光検出部は、投射された映像を検出する位置に配置され、
前記制御部は、前記光検出部が配置されている位置とは異なる位置に設置されている、投射型表示システム。
(付記12)
光源が出射する光を用いて励起される光と、前記光源が出射する光を用いて透過または反射する光とを、回転することにより順次出力する発光ホイールと、
前記発光ホイールが出力した光を、回転することにより順次色分離して出力する色分離ホイールと、
前記色分離ホイールが出力した光を、映像信号に応じて光変調する映像形成素子と、を備え、
前記光変調した光を検出する光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングとが調整された後、前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングとが調整される、投射型表示装置。
(付記13)
発光ホイールが、光源が出射する光によって励起される光と、前記光源が出射する光を透過または反射した光と、を回転することによって順次出力し、
色分離ホイールが、前記発光ホイールが出力した光を、回転することにより順次色分離して出力し、
映像形成素子が、映像信号に応じて前記色分離ホイールが出力した光を光変調し、
光検出部が前記光変調した光を検出し、
前記光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングとを調整し、その後、前記光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングとを調整するタイミング調整方法。
(付記14)
付記13に記載のタイミング調整方法において、
前記光源が出射する光の波長を第1波長域とし、前記光源が出射する光によって励起される光の波長を第2波長域とすると、
前記色分離ホイールは、少なくとも、前記第1波長域の光を出力する第1領域と、前記第2波長域に含まれる第3波長域の光を分離する第3領域と、を有し、前記第1領域と第3領域とは隣接していない、タイミング調整方法。
(付記15)
付記14に記載のタイミング調整方法において、
前記光検出部は、投射される画像の光を検出し、
前記第3波長域に対応する色のみの画像を投射する前記映像信号が前記映像形成素子に入力されたとき、前記光検出部が検出する色が前記第3波長域に対応する色となるように前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、
前記第1波長域に対応する色のみの画像を投射する前記映像信号が前記映像形成素子に入力されたとき、前記光検出部が検出する色が前記第1波長域に対応する色となるように前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、タイミング調整方法。
(付記16)
付記14または15に記載のタイミング調整方法において、
前記第1波長域に対応する色は青色であり、前記第3波長域に対応する色は赤色または緑色である、タイミング調整方法。
(付記17)
付記13ないし16のいずれか1項に記載のタイミング調整方法において、
第1被検知部は、前記発光ホイールに固定され、
第2被検知部は、前記色分離ホイールに固定され、
第1検知部は、前記第1被検知部を検出すると信号を出力し、
第2検知部は、前記第2被検知部を検出すると信号を出力し、
前記第2検知部を移動させて前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、前記第1検知部を移動させて前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、タイミング調整方法。
(付記18)
付記13ないし16のいずれか1項に記載のタイミング調整方法において、
第1被検知部は、前記発光ホイールに固定され、
第2被検知部は、前記色分離ホイールに固定され、
第1検知部は、前記第1被検知部を検出すると信号を出力し、
第2検知部は、前記第2被検知部を検出すると信号を出力し、
第1遅延回路は、前記第1検知部の出力信号を遅延させ、
第2遅延回路は、前記第2検知部の出力信号を遅延させ、
前記第2遅延回路の遅延量を変更して前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングを調整し、前記第1遅延回路の遅延量を変更して前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングを調整する、タイミング調整方法。
(付記19)
発光ホイールに、光源が出射する光によって励起される光と、前記光源が出射する光を透過または反射した光と、を回転することによって順次出力させる手順、
色分離ホイールに、前記発光ホイールが出力した光を、回転することにより順次色分離して出力させる手順、
映像形成素子に、映像信号に応じて前記色分離ホイールが出力した光を光変調させる手順、
光検出部に前記光変調した光を検出させる手順、
前記光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記色分離ホイールの回転タイミングとを調整させ、その後、前記光検出部の出力に基づいて、前記光変調と前記発光ホイールの回転タイミングとを調整させる手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。