(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した流体容器の栓構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0021】
図1〜3に示すように、流体容器の栓構造(以下、栓構造とも言う)10は、例えば、ウォータサーバ等の給液装置に装着される流体容器1に設けられるものである。更に、栓構造10が給液装置のサーバコネクタ40に着脱可能に取り付けられることで、流体容器1が給液装置に着脱可能に取り付けられる。
【0022】
この流体容器1は、可撓性を有し、容量が可変の可撓性容器であって、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等の合成樹脂材料でブロー成形等によって成形されている。また、これらの合成樹脂シートを用いて製袋した容器であっても良い。更に、合成樹脂シートを用いる場合には、このシートは、同種又は異種の複数のシートの積層シートであっても良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の積層シートを用いることが出来る。この際、流体を水とする場合には、水と接する面は、臭いの発生しにくい素材を選択することが望ましい。
【0023】
なお、この流体容器1には、流体として、水、ミネラルウォータ等の他に、ジュース、コーヒー、紅茶などの清涼飲料、飲料水、酒類、醤油、みりん、ドレッシング、味噌などの流体調味料、みそ汁やコーンスープなどの流体料理等を含む飲食料や、工業品等の流体、粘性流体、ゲル状体、スラリー状体などを収容することが出来る。
【0024】
更に、この流体容器1は、容量が可変の可撓性容器に限定されるものではなく、例えば合成樹脂材料をブロー成形等によって成形して成る容量が可変でないハード容器であっても良い。若しくは、ブロー成形等によって成形された容量可変の容器であっても良い。
【0025】
また、
図4及び
図5に示すように、流体容器1に設けられる栓構造10は、例えば、流体容器1の側面部(一主面)に設けられている。具体的に、この栓構造10は、流体容器1の側面部に設けられる口部11と、口部11に着脱可能に装着される栓体12とを備えている。
【0026】
口部11は、
図6に示すように、比較的大径の筒状の外径部20と、この外径部20の内部に位置し、外径部20よりも小径の筒状の内径部21とを有する。この内径部21は、上面及び下面が開口されており、口部11の内側と外側とに連通する連通口22を有する。更に、内径部21は、外径部20よりも軸方向に短く、外径部20内に配設されている。
【0027】
また、
図6及び
図7に示すように、内径部21は、外径部20から延設され且つ内径部21の位置を固定する一つ以上の支持部23を有する。具体的に、支持部23は、外径部20と内径部21との間に、外径部20と内径部21とに亘って、口部11の口軸を中心に、等間隔に複数個形成されている。更に、支持部23は、口部11の口軸方向に長く、口軸直角方向に薄いフィン状を成すように形成されている。従って、支持部23は、口軸直角方向に薄く形成されているので、平面視では肉薄であるが、口軸方向には長く形成されているので、内径部21を充分固定可能な強度を有する。
【0028】
また、
図6及び
図7に示すように、外径部20と内径部21との間には、口部11の内側と外側とに連通する少なくとも一つ以上の連通部24を有する。具体的に、連通部24は、フィン状を成す複数の支持部23,23同士の間に設けられている。そして、連通部24は、支持部23が口軸直角方向に薄いフィン状を成すように形成されているので、連通面積(開口面積)を大きく設けることが出来る。
【0029】
また、
図6に示すように、内径部21の基端側の内周面には、凹環状の口部封止部25が形成されている。この口部封止部25は、
図4に示すように、栓体12の栓部31の外周面に形成された凸環状の栓体封止部32と嵌合される。これにより、口部封止部25は、内径部21の内周面と栓部31の外周面との隙間から漏れが発生しないようにしている。更に、口部封止部25は、栓体12の栓体封止部32が嵌合されることで、栓体12が内径部21の内部で位置ずれすることを防止する。なお、口部封止部25が凹環状に形成され、栓体封止部32が凸環状に形成されることに限定されるものではなく、口部封止部25が凸環状に形成され、栓体封止部32を凹環状に形成されるようにしても良い。
【0030】
また、
図6に示すように、内径部21の基端側の内周面には、段差によって構成されたストッパ26が形成されている。このストッパ26は、
図5に示すように、栓体12の突部33と係止されることで、口部11の口部封止部25と栓体12の栓体封止部32との嵌合状態が解除されて栓体12が流体容器1の内部側に移動された際に、栓体12が流体容器1の内部に入り込み過ぎないように防止すると共に栓体12の位置決めを行う。
【0031】
また、
図6に示すように、外径部20の先端側の外周面には、栓体12の栓体装着部37と嵌合される口部装着部27が形成されている。この口部装着部27は、栓体12の栓体装着部37が配置される収納凹部27aと、この収納凹部27aによって外径部20の先端内周面側に形成された基端側よりも肉薄の突片27bと、この突片27bの先端部に張り出して形成された膨出部27cと、突片27bの基端側の外周面に形成され、栓体12の栓体装着部37に形成された第一嵌合部37aが嵌合される嵌合凹部27dとを有する。
【0032】
そして、
図4に示すように、内径部21内に栓体12の栓部31が収納されて、口部11の突片27bが栓体12の略U字状の栓体装着部37の隙間に差し込まれ、口部11の突片27bが栓体12の栓体装着部37で狭持された状態で、膨出部27cが内周面側から栓体12の栓体装着部37に形成された第二嵌合部37bによって嵌合されつつ、嵌合凹部27dが外周面側から栓体12の栓体装着部37に形成された第一嵌合部37aによって嵌合されることで、口部11と栓体12との間の密閉性を確保しつつ、口部11には、栓体12が着脱可能に取り付けられる。
【0033】
また、
図6に示すように、外径部20の先端側の外周面には、流体容器1の側面部に形成された開口部2の周縁部2aに溶着される接合片28が形成されている。この接合片28は、外径部20の外周面の全周に外側に向けて突設されて設けられており、平面視略円形状等に形成されている。すなわち、口部11は、接合片28と開口部2の周縁部2aの外周面又は内周面とを面接触させた状態で、接合片28と開口部2の周縁部2aとが溶着されることで、流体容器1の側面部に取り付けられている。なお、接合片28は、平面視略円形状等に形成されることに限定されるものではなく、接合片28と開口部2の周縁部2aとが溶着可能なものであれば、矩形状等、その他の如何なる形状であっても良い。
【0034】
また、
図4に示すように、内径部21の内部には、栓体12が挿入されている。この栓体12は、
図6及び
図7に示すように、口部11と別部材であり、口部11の外径部20を覆って連通部24による流体容器1の外側との繋がりを封じる封鎖部30と、この封鎖部30に連なって口部11の内径部21を開栓可能に閉栓させる栓部31とを有する。
【0035】
栓部31は、
図6に示すように、有底筒状に設けられ、外径が口部11の内径部21のストッパ26よりも先端側の内周面の内径とほぼ同じ大きさとなるように形成されており、口部11の内径部21の口軸方向に摺動可能に内径部21内に収納されている。
【0036】
また、
図6に示すように、栓部31の基端側の外周面には、外側に張り出した凸環状の栓体封止部32が設けられている。この栓体封止部32は、
図4に示すように、口部11の口部封止部25に嵌合される。これにより、栓体封止部32は、口部11の内径部21の内周面と栓部31の外周面との隙間から漏れが発生しないようにしている。更に、栓体12は、栓体封止部32が口部11の口部封止部25に嵌合されることで、口部11の内径部21の内部で位置ずれを生じることが防止される。
【0037】
また、
図6に示すように、栓部31の先端側の外周面には、外側に張り出した突部33が連続又は断続的に設けられている。この突部33は、
図3に示すように、栓部31がサーバコネクタ40によって流体容器1側に押されて、栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合状態が解除されて、栓部31が口部11の内径部21内を流体容器1側に移動した際に、口部11のストッパ26に係止されて、栓体12の押し込み量を規制し、栓体12が流体容器1内に落ちないようにする。更に、突部33の外径は、口部11の内径部21の内周面と栓部31の外周面との隙間から漏れが発生しないように、口部11の内径部21のストッパ26の内径とほぼ同じ大きさ又はやや大きく設けて、内径部21のストッパ26の内周面に圧接するように設けられている。
【0038】
また、
図6及び
図7に示すように、栓部31の基端側の側面部には、流体容器1の内部とサーバコネクタ40とを連通する連通孔34が複数個形成されている。この連通孔34は、栓部31の側面部の全周に亘って等間隔に複数個形成されている。ここでは、連通孔34は、栓部31の側面部の全周に亘って等間隔に二個形成されている。なお、連通孔34は、一個又は三個以上形成されるようにしても良く、非等間隔に形成されるようにしても良い。更に、連通孔34は、栓部31の口軸方向において、栓体封止部32と突部33との間に形成されている。そして、
図5に示すように、連通孔34は、栓部31がサーバコネクタ40によって流体容器1側に押されて、栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合状態が解除されて、内径部21を閉栓する閉栓位置から栓部31が口部11の内径部21内を流体容器1側に移動して、栓部31が流体容器1の内部の内径部21を開栓する開栓位置に進入した際、流体容器1の内部の流体を取り込み、サーバコネクタ40に流体を供給する。
【0039】
また、
図6に示すように、栓部31の基端面には、略中心部に流体容器1側に向けて凹状の摺動嵌合部35が設けられている。この摺動嵌合部35は、
図3に示すように、流体容器1がサーバコネクタ40に取り付けられる際に、サーバコネクタ40の先端面に形成された凸状の摺動嵌合部45が嵌合される。これにより、栓体12は、流体容器1がサーバコネクタ40から取り外される際に、流体容器1(口部11)と共に移動せず、流体容器1(口部11)がサーバコネクタ40の先端側に移動するのに伴って、栓部31が口部11の内径部21内に挿入される。そして、栓体12は、栓体封止部32が口部11の口部封止部25に嵌合されると、摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45との嵌合状態が解除されて、流体容器1(口部11)と共に移動する。すなわち、栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合力は、摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45との嵌合力よりも強く設けられている。また、摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45とが嵌合することで、流体容器1がサーバコネクタ40に位置決めされる。
【0040】
また、
図6に示すように、栓部31の先端部には、連通部24による流体容器1の外側との繋がりを封じる封鎖部30が設けられている。この封鎖部30は、栓部31の先端部から外側に張り出して形成されている。具体的に、封鎖部30は、栓部31の先端部から基端側に外折りに略U字状に湾曲して設けられ、可撓性や伸縮性を有する変形部36と、変形部36の先端部から先端側に外折りに略U字状に湾曲して設けられ、口部11の突片27bを挟持する栓体装着部37とで構成され、略S字状に設けられている。変形部36は、略U字状に湾曲して設けられており可撓性や伸縮性を有するので、
図5に示すように、栓部31が口部11の内径部21内を流体容器1側に移動した際にはこれに追従して変形することが出来る。従って、栓部31は、栓体装着部37が突片27bに取り付けられた状態であっても、変形部36が追従して変形することで、口部11の内径部21内を口軸方向に摺動することが出来る。なお、栓体装着部37は、口部11の突片27bを挟持した際に外径が口部11の外径部20の外径とほぼ同じ大きさとなるように形成されることが好ましい。
【0041】
また、
図6に示すように、栓体装着部37の内周面には、口部11の嵌合凹部27dに対向する位置に、口部11の嵌合凹部27dに嵌合される第一嵌合部37aが設けられている。この第一嵌合部37aは、例えば、内側に張り出した凸環状に設けられている。更に、栓体装着部37の内周面には、口部11の突片27bの内周面に対向する位置に、口部11の膨出部27cに嵌合される第二嵌合部37bが設けられている。この第二嵌合部37bは、例えば、外側に張り出した凸環状に設けられている。
【0042】
そして、
図4に示すように、栓部31が口部11の内径部21内に収納されて、略U字状の栓体装着部37の隙間に口部11の突片27bが差し込まれ、栓体装着部37が口部11の突片27bを狭持した状態で、第一嵌合部37aによって口部11の嵌合凹部27dを外周面側から嵌合しつつ、第二嵌合部37bによって口部11の膨出部27cを内周面側から嵌合することで、口部11と栓体12との間の密閉性を確保しつつ、栓体12は、口部11に嵌合される。
【0043】
なお、栓体12は、
図4に示すように、栓体装着部37の先端面に保護フィルム38が貼着されるようにしても良い。この保護フィルム38は、口部11及び栓体12を塵埃や雑菌等から保護し、衛生状態を維持する。更に、このような保護フィルム38は、例えば流体容器1がサーバコネクタ40に取り付けられる際に、サーバコネクタ40によって切り裂かれる。従って、保護フィルム38が剥がされていないことや切り裂かれていないことを確認することで、使用者は、流体容器1が密封された状態から手が加えられていないことを容易に把握することが出来る。なお、保護フィルム38は、切り裂かれた後に栓体12に干渉しないように、配向性を有する材料で形成され、切り裂かれると、配向方向に沿って内側に折り曲げられ、栓体12から退避し、破断した保護フィルム38が栓体12とサーバコネクタ40との間に挟み込まれることが無いように構成することが好ましい。更に、保護フィルム38は、張力が付加された状態で取り付けられ、切り裂かれると、栓体装着部37の縁部側に逃げて、栓体12から退避し、破断した保護フィルム38が栓体12とサーバコネクタ40との間に挟み込まれることが無いように構成することが好ましい。また、破断し易くする為に、ハーフカット等の易断部を設ける等して構成しても良い。勿論、配向性フィルムの他、無配向性フィルムを用いたり、或いは、複数の機能性フィルムを積層して用いても良く、破断した保護フィルム38が栓体12とサーバコネクタ40との間に挟み込まれることが無いように構成されていれば、保護フィルム38の構成は特に限定されない。
【0044】
次に、
図1に示すように、以上のような栓構造10を有する流体容器1が取り付けられるサーバコネクタ40について説明する。
【0045】
このサーバコネクタ40は、
図1に示すように、内部に通路41aが形成されると共に、側面部に通路41aと連通する取込開口41bが形成された筒状部41と、筒状部41の軸方向に摺動可能に設けられ、取込開口41bを覆うと共に露出させるシャッタ部42と、流体容器1が未装着時にシャッタ部42が取込開口41bを覆うように付勢する付勢部43とを有している。
【0046】
筒状部41は、
図1に示すように、筒状に形成されており、内部に通路41aが形成されている。更に、筒状部41は、給液装置の装着部のベース部(不図示)に立設されて設けられている。
【0047】
また、
図1に示すように、筒状部41の側面部の先端側には、外側に張り出したフランジ部44が形成されている。このフランジ部44は、外径が栓体12の栓部31の内径とほぼ同じ大きさとなるように形成されている。そして、
図3に示すように、フランジ部44は、サーバコネクタ40が栓体12の栓部31内に差し込まれた際に、栓体12の栓部31の内周面に圧接される。更に、
図1に示すように、筒状部41の側面部の先端側には、フランジ部44よりも基端側に、取込開口41bが複数個形成されている。例えば、取込開口41bは、筒状部41の側面部に等間隔に二個形成されている。なお、取込開口41bは、筒状部41の側面部に一個又は三個以上形成されるようにしても良く、非等間隔に形成されるようにしても良い。
【0048】
また、
図1に示すように、筒状部41の先端面には、栓体12の栓部31の基端面の摺動嵌合部35と嵌合される凸状の摺動嵌合部45が設けられている。この摺動嵌合部45は、
図3に示すように、流体容器1がサーバコネクタ40に取り付けられる際に、栓体12の栓部31の摺動嵌合部35に嵌合される。これにより、栓体12は、流体容器1がサーバコネクタ40から取り外される際に、流体容器1(口部11)と共に移動せず、流体容器1(口部11)がサーバコネクタ40の先端側に移動するのに伴って、栓部31が口部11の内径部21内に挿入される。そして、栓体12は、栓体封止部32が口部11の口部封止部25に嵌合されると、摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45との嵌合状態が解除されて、流体容器1(口部11)と共に移動する。すなわち、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合力は、栓体12の摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45との嵌合力よりも強く設けられている。また、栓体12の摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45とが嵌合することで、流体容器1がサーバコネクタ40に位置決めされる。
【0049】
なお、栓体12の栓体装着部37の先端面に保護フィルム38が貼着される場合、筒状部41の先端面には、先端が先鋭な先鋭部が形成されるようにしても良い。これにより、流体容器1をサーバコネクタ40に取り付ける際に、この先鋭部によって保護フィルム38を切り裂くことが出来るので、栓体12から保護フィルム38を剥がす工程を省略することが出来る。
【0050】
シャッタ部42は、
図1に示すように、筒状に形成されており、筒状部41の外周上に筒状部41の口軸方向に摺動可能に設けられている。更に、シャッタ部42は、外径が栓体12の栓部31の内径とほぼ同じ大きさとなるように形成されている。これにより、シャッタ部42は、栓体12の栓部31内に隙間無く圧入され、シャッタ部42と栓体12の間から漏れが発生することを防止する。
【0051】
また、
図1に示すように、シャッタ部42の外周面の基端部には、外側に張り出した突部46が連続又は断続的に形成されている。この突部46は、
図2に示すように、シャッタ部42が栓体12の栓部31内に挿入されると、栓体12の栓部31の先端面に係止される。そして、
図3に示すように、シャッタ部42は、流体容器1がサーバコネクタ40の基端側に移動されると、付勢部43の付勢力に抗して基端側に移動されて、筒状部41の取込開口41bを露出させる。その一方で、シャッタ部42は、流体容器1をサーバコネクタ40から取り外す等、流体容器1がサーバコネクタ40の先端側に移動されると、付勢部43の付勢力によって先端側に移動されて、
図2に示すように、筒状部41の取込開口41bを覆う。
【0052】
また、
図1に示すように、シャッタ部42の先端部には、外側及び内側に張り出すように凸環状の封止部47が少なくとも一個設けられている。この封止部47は、
図3に示すように、シャッタ部42が栓体12の栓部31内に挿入されると、栓体12の栓部31の内周面に圧接される。これにより、栓体12の栓部31の内周面とシャッタ部42の外周面との隙間からの漏れの発生が防止される。
【0053】
付勢部43は、
図1に示すように、例えば圧縮バネ等で構成されており、筒状部41の外周上の給液装置の装着部のベース部(不図示)とシャッタ部42の基端面との間に配設されている。この付勢部43は、流体容器1がサーバコネクタ40に未装着の際やサーバコネクタ40から取り外される際に、シャッタ部42の先端面が筒状部41のフランジ部44の基端面と当接して、シャッタ部42が筒状部41の取込開口41bを覆うように、シャッタ部42を先端部(フランジ部44)側に付勢する。
【0054】
次に、栓構造10を有する流体容器1に流体を充填する方法について説明する。
【0055】
先ず、
図6に示すように、口部11から栓体12を取り外した又は取り付ける前の、口部11に栓体12が取り付けられていなく口部11だけが取り付けられた流体容器1を用意する。
【0056】
次いで、口部11を例えば上方に向けて流体容器1を配置させて、流体容器1の口部11に流体供給装置と連結された充填ノズルを近接させる。そして、この流体供給部から供給された流体を、連通口22及び連通部24を介して、流体容器1の内部に所定量収容する。この際、栓構造10を有する流体容器1は、流体を連通口22及び連通部24を介して流体が内部に収容されるので、口部11の外径部20と同程度の比較的大径の充填ノズルを用いることが出来る。
【0057】
次いで、内部に所定量の流体が収納された流体容器1の口部11に、栓体12を装着する。具体的に、栓体12の栓部31を口部11の内径部21内に収納して、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とを嵌合させ、略U字状の栓体12の栓体装着部37の隙間に口部11の突片27bを差し込んで、栓体12の栓体装着部37が口部11の突片27bを狭持した状態で、栓体12の第一嵌合部37aによって口部11の嵌合凹部27dを外周面側から嵌合しつつ、栓体12の第二嵌合部37bによって口部11の膨出部27cを内周面側から嵌合することで、栓体12を、口部11に着脱可能に装着する。なお、栓体12を口部11に嵌合した後に、栓体12の栓体装着部37の先端面に保護フィルム38を貼着するようにしても良い。
【0058】
この際、栓構造10は、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とが嵌合されることで、口部11の連通口22が閉栓され、さらに、栓体12の封鎖部30が口部11の外径部20を覆うと共に、栓体12の栓部31が口部11の内径部21の内周面に圧接されることで、口部11の連通部24が閉栓される。従って、栓構造10を有する流体容器1は、密閉性を確保することが出来る。
【0059】
以上のようにして、栓構造10を有する流体容器1に流体を充填する。
【0060】
次に、栓構造10を有する流体容器1をサーバコネクタ40に取り付ける方法について説明する。
【0061】
先ず、栓構造10は、
図1に示すように、サーバコネクタ40と位置合わせされ、
図2に示すように、サーバコネクタ40のシャッタ部42が、突部46と栓部31の基端面とが係止されるまで、栓部31内に差し込まれる。
【0062】
次いで、
図3に示すように、栓構造10は、シャッタ部42の突部46と栓体12の栓部31の基端面とが係止された状態のまま、さらに流体容器1が自重やユーザの操作によってサーバコネクタ40の基端側に移動されて、栓体12の栓部31がサーバコネクタ40によって流体容器1側に押されると、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合状態が解除される。
【0063】
次いで、栓構造10は、さらに流体容器1がサーバコネクタ40の基端側に移動されて、栓部31がサーバコネクタ40によって流体容器1側に移動されると、突部33がストッパ26に係止される。すると、栓部31の基端側は、口部11から流体容器1の内部側に突出されて内部に進入し、連通孔34が流体容器1の内部に配置される。この際、変形部36は、栓部31の移動に追従して変形している。
【0064】
次いで、栓構造10は、突部33が口部11のストッパ26に係止された状態のまま、さらに流体容器1がサーバコネクタ40の基端側に移動されると、突部46と栓部31の基端面とが係止されているので、摺動嵌合部35と摺動嵌合部45とが嵌合されるまで、流体容器1がサーバコネクタ40の基端側に移動されるのに伴って、シャッタ部42が付勢部43の付勢力に抗して基端側に移動されて、サーバコネクタ40の取込開口41bが露出される。これにより、流体容器1の内部と栓体12の連通孔34とサーバコネクタ40の取込開口41bと通路41aとが連通する。そして、流体容器1の流体が、栓構造10及びサーバコネクタ40を介して給液装置に供給される。
【0065】
以上のようにして、栓構造10を有する流体容器1をサーバコネクタ40に取り付けることが出来る。
【0066】
なお、栓体12の栓体装着部37の先端面に保護フィルム38が貼着される場合には、保護フィルム38を先ず剥がした後に、上述したようにして、流体容器1をサーバコネクタ40に取り付けるようにしても良い。または、保護フィルム38が貼り付けられたままの流体容器1をサーバコネクタ40に挿し込み、サーバコネクタ40の先端部又は先端面に設けた先鋭部によって、保護フィルム38を切り裂いて、流体容器1をサーバコネクタ40に取り付けるようにしても良い。
【0067】
次に、栓構造10を有する流体容器1をサーバコネクタ40から取り外す方法について説明する。
【0068】
先ず、栓構造10は、
図3に示すように、流体容器1の内部とサーバコネクタ40とが連通した状態から、流体容器1がユーザの操作等によってサーバコネクタ40の先端側に移動されると、栓体12の摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45とが嵌合されているので、栓体12が流体容器1(口部11)と共に移動せず、この流体容器1(口部11)の先端側の移動に伴って、
図2に示すように、栓部31が内径部21内に挿入されて、栓体封止部32と口部封止部25とが嵌合される。そして、栓構造10は、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とが嵌合されることで、口部11の連通口22が閉栓される。従って、栓構造10を有する流体容器1は、密閉性を確保することが出来る。
【0069】
次いで、
図2に示すように、栓構造10は、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とが嵌合された状態のまま、流体容器1がさらにサーバコネクタ40の先端側に移動されると、栓体12の摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45との嵌合状態が解除される。
【0070】
次いで、栓構造10は、流体容器1がさらにサーバコネクタ40の先端側に移動されると、シャッタ部42が付勢部43によって先端側に移動されて、シャッタ部42によって栓体12の栓部31内で筒状部41の取込開口41bが覆われる。
【0071】
次いで、栓構造10は、流体容器1がさらにサーバコネクタ40の先端側に移動されると、
図1に示すように、シャッタ部42の突部46と栓体12の栓部31の基端面との係止状態が解除され、シャッタ部42が栓体12の栓部31内から取り出される。
【0072】
以上のようにして、栓構造10を有する流体容器1をサーバコネクタ40から取り外すことが出来る。
【0073】
以上のように、栓構造10は、口部11の小径の内径部21内の連通口22が栓体12によって開閉されるので、開栓に必要とされる所要開栓力及び閉栓に必要とされる所要閉栓力を低減することが出来、使用時における流体の取り出し効率を向上させることが出来る。
【0074】
更に、栓構造10は、製造工程時に流体容器1の内部に流体を充填する場合、口部11から栓体12を取り外した又は取り付ける前の、口部11に栓体12が取り付けられていない状態で行うことで、連通口22に加えて、連通部24も、流体を流体容器1の内部に充填するための充填口として使用することが出来、連通口22だけを使用して流体を流体容器1の内部に充填する場合よりも、口部11を通じて流体容器1の内外に連通する連通面積が大きく、大口径の充填ノズルを用いて充填することが出来、充填効率を向上させることが出来る。
【0075】
従って、栓構造10は、単純な構造にして、使用時における流体の取り出し効率を向上させつつ、製造工程等における充填効率を向上させることが出来る。
【0076】
また、栓構造10は、流体容器1がサーバコネクタ40に取り付けられる前又は取り外された場合、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とが嵌合されることで、口部11の連通口22が閉塞され、さらに、栓体12の封鎖部30が口部11の外径部20を覆い、栓体12の栓部31が口部11の内径部21内に圧接されることで、口部11の連通部24が閉塞されている。従って、栓構造10を有する流体容器1は、サーバコネクタ40に取り付けられる前又は取り外された場合であっても、密閉性を確保することが出来る。
【0077】
更に、栓構造10は、流体容器1がサーバコネクタ40に取り付けられた際に、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25との嵌合状態が解除されて、栓体12の突部33が口部11のストッパ26に係止されるまで、栓部31が流体容器1側に移動されて、栓部31の基端側が流体容器1の内部に進入して、連通孔34が流体容器1の内部に配置されることで、流体容器1の内部とサーバコネクタ40とを連通させることが出来、流体容器1内の流体を給液装置に供給することが出来る。
【0078】
更に、栓構造10は、流体容器1がサーバコネクタ40から取り外される場合、栓体12の摺動嵌合部35とサーバコネクタ40の摺動嵌合部45とが嵌合されているので、流体容器1の先端側の移動に伴って、栓体12の栓部31が口部11の内径部21内に挿入されて、栓体12の栓体封止部32と口部11の口部封止部25とを嵌合させることが出来る。従って、栓構造10は、流体容器1をサーバコネクタ40から取り外す一連の動作の中で、栓体12によって口部11を閉栓して、流体容器1の密閉性を確保することが出来る。
【0079】
また、栓構造10は、栓体12がサーバコネクタ40の挿入ガイド部として機能することから、サーバコネクタ40が不正確に流体容器1と接続されることや、接続具合のバラツキによる漏れを防止することが出来る。すなわち、栓構造10は、流体が満杯に入った重い流体容器1を、容易に正しく給液装置の装着部に装着することが出来る。
【0080】
また、栓構造10を有する流体容器1が取り付けられるサーバコネクタ40は、流体容器1の未装着時において、付勢部43によってシャッタ部42が筒状部41の先端側に付勢されて筒状部41の取込開口41bを覆っている。更に、サーバコネクタ40は、流体容器1が取り付けられる際、シャッタ部42が栓体12内に差し込まれた後に、栓体12内で筒状部41の取込開口41bを露出させる動作が行われる。更に、サーバコネクタ40は、流体容器1が取り外される際、シャッタ部42が栓体12内に差し込まれた状態で、栓体12内で筒状部41の取込開口41bを覆う動作が行われる。従って、栓構造10を有する流体容器1が取り付けられるサーバコネクタ40は、流体容器1の未装着時、取り付け時、取り外し時の何れの際にも、筒状部41の取込開口41bに塵埃や雑菌等が付着することを防止することが出来る。よって、栓構造10は、筒状部41の取込開口41bから塵埃や雑菌等が給液装置の内部に侵入することを防止することが出来、衛生状態を維持することが出来る。
【0081】
更に、栓構造10を有する流体容器1が取り付けられるサーバコネクタ40は、上述したように、流体容器1の未装着時において、シャッタ部42が取込開口41bを覆っているので、取込開口41b(フランジ部44の基端面及びシャッタ部42の先端面)に塵埃や雑菌等が付着することを防止することが出来るが、フランジ部44の先端面及びシャッタ部42の外周面には塵埃や雑菌等が付着する虞がある。
【0082】
しかしながら、サーバコネクタ40は、流体容器1の内部の液体が給液装置に供給される際、フランジ部44は栓体12の栓部31の内周面に圧接されているので、栓体12の栓部31内のフランジ部44よりも基端側の空間部は密閉されている。すなわち、サーバコネクタ40は、フランジ部44の先端面が流体容器1の流体と接触することを防止している。従って、サーバコネクタ40は、フランジ部44の先端面側に塵埃や雑菌等が付着していても、フランジ部44の先端面に付着された塵埃や雑菌等が筒状部41の取込開口41bから給液装置の内部に侵入することを防止することが出来、衛生状態を維持することが出来る。
【0083】
更に、サーバコネクタ40は、シャッタ部42の封止部47が栓体12の栓部31の内周面に圧接されているので、封止部47によって、シャッタ部42の外周面が流体容器1の流体と接触することを防止している。従って、サーバコネクタ40は、シャッタ部42の外周面に塵埃や雑菌等が付着していても、シャッタ部42の外周面に付着された塵埃や雑菌等が筒状部41の取込開口41bから給液装置の内部に侵入することを防止することが出来、衛生状態を維持することが出来る。
【0084】
なお、サーバコネクタ40は、シャッタ部42に封止部47を設けることなく、シャッタ部42の外周面が栓体12の栓部31の内周面に圧接されるように設けても良い。このような場合であっても、サーバコネクタ40は、栓体12の栓部31の内周面とシャッタ部42の外周面との隙間から漏れが発生しないようにすることが出来る。更に、流体容器1の流体が給液装置に供給される際には、シャッタ部42の外周面は栓体12の栓部31の内周面に圧接されているので、シャッタ部42は先端面以外流体容器1の流体と接触することがなく、シャッタ部42の外周面が流体容器1の流体と接触することはない。従って、サーバコネクタ40は、シャッタ部42の外周面に塵埃や雑菌等が付着していても、シャッタ部42の外周面に付着された塵埃等が筒状部41の取込開口41bから給液装置内に侵入することを防止することが出来、衛生状態を維持することが出来る。