【実施例】
【0032】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
〔実験材料及び実験方法〕
1. CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)の作製
1-1. CAG-Creトランスジェニックマウス(Braf
+/+; Cre):
CAG-Creトランスジェニックマウス(B6.Cg-Tg(CAG-Cre)CZ-MO2Osb mice)は理化学研究所バイオリソースセンターより譲渡された。
【0034】
1-2. CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)作製方法(
図2A):
CFC症候群モデルマウスにおけるターゲットベクターを作製するために、Braf遺伝子のエクソン5及び6を含む領域(short arm: NotI-SacII DNAフラグメント)、エクソン7及び8を含む領域(long arm: XmaI-BamHI DNAフラグメント)、そしてエクソン8の下流の領域(long arm: BamHI-SacI DNAフラグメント)を、BACクローン(Roswell Park Cancer Institute; ID: RP23-218B13、RP23-444M20及びRP23-140J8)を元にPCRにより増幅した。
【0035】
次いで、増幅したDNAフラグメントをpBSIISK+ベクターにライゲーションした。また、Loxp、FRTサイトによって囲まれたPGK-Neo-STOPカセットはPsp0MI-XhoIサイトを利用して導入した。
【0036】
構築したターゲットベクターを、制限酵素SalIにより直線化し、ES細胞(C57BL/6J系統)にエレクトロポレーションした。ターゲットベクターが導入されたES細胞クローンを確認するために、ジェノタイピング、シークエンス及びCreリコンビナーゼを介した組換え試験により確認した。さらに、相同組換えを確認するためにサザンブロティングを行った。サザンブロティングではDNAを制限酵素SacI、NcoI、AflIIで切断し、5’、3'及びNeoプローブにてそれぞれ検出した。プローブシークエンスを、下記の表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
これらの試験によってスクリーニングしたES細胞クローンを、BALB/cマウスの胚盤胞に入れ、キメラマウスを得た。その後、1世代目のBraf
Q241R Neo/+マウスは、キメラマウスとC57BL/6Jマウスと掛け合わせ獲得した。
【0039】
CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)は、Braf
Q241R Neo/+マウスとBraf
+/+; Creマウスとを交配させ、loxpサイトによって囲まれたPGK-Neo-STOPカセットを除去することで獲得した。
【0040】
1-3. ジェノタイピング:
ゲノムDNAを、DNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN)又はMaxwell 16 Mouse tail DNA purification Kit(Promega)を使用して抽出した。Braf
+/+、Braf
+/+; Cre、Braf
Q241R Neo/+、Braf
Q241R/+; Creの各マウスのジェノタイピングを、KOD FX Neo(東洋紡)又はTaKaRa Taq(タカラバイオ)及び下記の表2に示すプライマーを用いて行った。
【0041】
【表2】
【0042】
1-4. サンガーシークエンス:
RNAを、TRIzol試薬(Invitogen)を用いて抽出し、cDNAをHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を用いて合成した。
【0043】
Braf遺伝子を、TaKaRa Taq及びM13プライマー: (5'-GTAAAACGACGGCCAGTGAAGTACTGGAGAATGTCCC-3'(配列番号19)、5'-AGGAAACAGCTATGACCCCACATGTTTGACAACGGAAACCC-3'(配列番号20))を用いて増幅した。
【0044】
その後、PCR産物をQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)で精製し、ABI 3500xl automated DNA sequencer(Applied Biosystems)によってシークエンスを行った。
【0045】
2. 試薬
MAZ-51及びLovastatinは、Calbiochemより購入した。PD0325901、アルシアンブルー8GX及びアリザリンレッドは、Sigma-Aldrichより購入した。MEK162、Sorafenib、Everolimus、NCDM-32b、GSK-J4は、Active Biochem、Toronto Research Chemicals、Selleckchem、和光純薬工業、Cayman Chemicalからそれぞれ購入した。
【0046】
3. アルシアンブルー・アリザリンレッド染色(硬骨をアリザリンレッドで赤く、軟骨をアルシアンブルーで薄い青に染める染色)
マウス胎児は蒸留水に1日つけた後、丁寧に皮膚、内臓、筋肉を取り除いた。内臓を取り除いた胎児は少なくとも3日間、95%エタノールで固定し、その後、アルシアンブルー8GX(150 mg/l)/80%エタノール/20%酢酸溶液で16〜24時間染色した。
【0047】
染色した胎児は、95%エタノールで洗い、2%KOH溶液で16〜24時間放置した後、アリザリンレッド溶液(50 mg/l)で染色した。さらに、染色した胎児は1%KOH溶液で3時間、2%KOH溶液で12〜48時間、組織を融解し、20%グリセロール/1%KOH溶液でさらに透明になるまで少なくとも5日間融解した後、最終的に50%グリセロール溶液で保存した。
【0048】
4. 組織学的検査
胎児の心臓は、胎盤からリン酸緩衝生理食塩水及び10%中性緩衝ホルマリン液で潅流した後、10%中性緩衝ホルマリン液で保存した。また、心臓の摘出を行わない胎児は直接10%中性緩衝ホルマリン液に保存した。摘出した心臓又は胎児はエタノールで脱水、キシレンで透徹後、パラフィンに包埋した。パラフィン包埋した心臓は6μmで連続切片を作製し、一方、胎児は3μmで切り出し、ヘマトキシリン・エオシン染色を行った。
【0049】
5. 実験動物への薬剤投与
5-1. 試薬の調製と保存:
PD0325901はエタノールに溶解し、他の全ての薬剤はdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解し-80℃で保存した。ただし、併用投与時はPD0325901もDMSOに溶解し調製した。
【0050】
5-2. 薬剤投与:
溶解したPD0325901は再度、生理食塩水にエタノールの最終濃度が1%になるよう溶解した。その他全ての薬剤は0.5%ヒドロキシメチルセルロース/0.2%Tween80溶液にDMSOの最終濃度が10%になるように溶解した。
【0051】
薬剤は、Braf
Q241R Neo/+雄マウスとの交配により妊娠したBraf
+/+;Cre雌マウスにおいて妊娠10.5日目(E10.5)から腹腔内投与を開始し、妊娠18.5日目まで毎日投与を行った。
【0052】
〔結果〕
1. CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)の作製
CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)を得るために、ターゲットベクターをES細胞にエレクトロポレーションし、適切にターゲットベクターが導入されたクローンをサザンブロティングにより同定した(
図2B)。
【0053】
サザンブロティングにより確認したES細胞を、BALB/cマウスの胚盤胞に入れ、6つの独立したES細胞クローンからそれぞれキメラマウスを獲得し、その後F1マウスを得た(Braf
Q241R Neo/+)。生殖細胞系列でBrafQ241R変異を全身性に発現するため、Braf
Q241R Neo/+マウスをCAG-Creトランスジェニックマウス(Braf
+/+; Cre)と掛け合わせ、その仔マウスの表現型をジェノタイピングにより確認した(
図2C-E)。さらにBrafQ241Rの発現をシークエンスによって確認した(
図2F)。
図2Fのシークエンス結果は、片側のアレルにおいてCAGからCGGへの塩基置換が認められ、アミノ酸がグルタミン(Q)からアルギニン(R)へ変化した(Q241R)ことを示す。
【0054】
2. CFC症候群モデルマウスは子宮内及び出産後死亡する
結果を下記の表3及び
図3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)を得るため、Braf
Q241R Neo/+雄マウスとBraf
+/+; Cre雌マウスを交配させたところ、21日目の離乳時に生存しているCFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)はいなかった(表3)。
【0057】
出生前の死亡が疑われたため胎生期(embryonic day: E)を調べたところ、E14.5まではメンデル比で観察されたが、E16.5からCFC症候群モデルマウス胎児(Braf
Q241R/+; Cre)の減少が認められ(表3)、これらの胎児の約9.8%で皮下出血班及び後頸部浮腫のような浮腫病変が認められた(
図3A及びB:矢印箇所が浮腫である)。
【0058】
続いて、帝王切開でE18.5、E19.5に胎児を取り出したところ、多くのマウスが蒼白、チアノーゼ、つまったような呼吸を示し数時間後に死亡した。また胎児に脊柱後弯症及び下顎形成不全(2/39匹、約5.1%)が認められた(
図3C及びD:C及びDにおいて矢印箇所が下顎形成不全であり、また、Dにおいて白抜き矢頭箇所が頭部の骨格形成不全であり、且つ黒塗り矢頭箇所が脊柱後弯症である)。
【0059】
また、組織学的検査を行ったところ、CFC症候群モデルマウス(Braf
Q241R/+; Cre)胎児の心臓の肥大がE16.5で認められ、E18.5で肝壊死、肝重量の減少が認められた(
図3E:矢印箇所が肝臓の壊死(ネクローシス)である)。
【0060】
続いて、肺の成熟不全による呼吸不全は新生児における死亡原因となることから、E18.5、E19.5の胎児の肺への酸素の取り込みそして肺の成熟度を解析した。その結果、肺への酸素の取り込みは正常であった。また肺の成熟を肺胞上皮細胞マーカーthyroid transcription factor-1(TTF-1)、サーファクトタンパクCを免疫染色によって、またグリコーゲンをPAS染色によって評価したところ、これらの所見に異常は認められなかった。しかしながら、約11.1%の胎児(1/9匹)で肺胞内出血が認められた(
図3F:矢印箇所が肺胞内出血である)。
【0061】
3. CFC症候群モデルマウスは心疾患を示す
CFC症候群モデルマウスは、心肥大、肝壊死(
図3E)を示すことから、心疾患をもつことが疑われた。そこで、各妊娠ステージで胎児を取り出し心臓の解析を行った。
【0062】
結果を下記の表4及び5並びに
図4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
図4Aにおいて、略号は、以下の通りである;RA:右房、RV:右室、LV:左室、LA:左房、PV:肺動脈弁、AV:大動脈弁、TV:三尖弁、MV:僧帽弁。また、中段の写真において、矢印箇所は肉柱異常増殖であり、黒塗り矢頭箇所は、それぞれ肺動脈弁肥大(中段左から1番目の写真)、大動脈弁肥大(中段左から2番目の写真)である。さらに、星印箇所(中段左から4番目の写真)は心内膜クッション異常であり、四角で囲んだ箇所(中段左から4番目の写真)は心外膜異常である。下段の写真において、黒塗り矢頭箇所(下段左から3番目の写真)は三尖弁肥大であり、白抜き矢頭箇所(下段左から3番目の写真)は心室中隔欠損である。なお、肉柱異常増殖は致死性である。
【0066】
図4Cにおいて、星印箇所は、心外膜異常である。
【0067】
図4Dにおいて、CLは緻密化層であり、TLは肉柱層である。
【0068】
E12.5でCFC症候群モデルマウスの心臓に異常は認められなかった。しかしながら、E14.5では、肺動脈弁の肥大や肉柱形成異常が認められた。さらに、E16.5で14匹の胎児の心臓について詳細に解析を行ったところ、肺動脈弁肥大(7/14匹)、三尖弁肥大(8/14匹)、僧帽弁肥大(9/14匹)が認められ、特に肺動脈弁の肥大はひどく弁の葉の肥厚が顕著であった(
図4A及びB並びに表4及び5)。
【0069】
また特徴的に所見として心室中隔欠損(VSD、2/14匹;
図4A)、心内膜クッション異常(2/14匹;
図4A)、肉柱形成異常(3/14匹;
図4A)、心外膜異常(2/14匹;
図4A及びC)、心室緻密化障害(4/14匹;
図4D)、冠動脈の低形成(3/14匹)が認められた(表4及び5)。
【0070】
続いて、心室径、弁の最大径を評価したところ有意的に心室径の拡大と肺動脈弁、三尖弁の厚みの増加が認められた(
図4E)。これらの結果から、CFC症候群モデルマウスは様々な先天性の心臓異常を示すことが明らかになった。
【0071】
4. CFC症候群モデルマウスはリンパ管形成異常を示す
CFC症候群、ヌーナン症候群のようなRASopathiesの患者は胎児期に後頸部浮腫が超音波検査で認められる。後頸部浮腫はリンパ管内皮細胞の分化異常によって生じる、頸部リンパ管の拡張が原因とされている。そこで、CFC症候群モデルマウスが示す皮下出血や後頸部浮腫を含む浮腫(
図3A)はリンパ管の形成不全によるものであると仮説を立てた。
【0072】
リンパ管に関する組織学的な解析の結果を
図5に示す。
図5Aにおいて、矢印箇所は頸部リンパ管内出血である。
図5Bにおいて、矢頭箇所は頸部リンパ管に類似した詳細不明な内腔である。
【0073】
組織学的な解析から、E12.5及びE16.5のCFC症候群モデルマウスは頸部リンパ管の拡張、頸部リンパ管内に血球が認められた(
図5A及びB)。マウスのリンパ管はE9.5〜E10.5ごろ頸静脈より発生し頸部リンパ管を形作る。その後、リンパ管が全身へ広がるにつれて頸部リンパ管はやがて消失することがわかっている。E16.5ステージの胎児では、頸部リンパ管は一般的には観察されないが、CFC症候群モデルマウスでは、E12.5〜E14.5で認められるような頸部リンパ管構造が認められた(
図5B)。
【0074】
これらの結果から、CFC症候群モデルマウスでは静脈からリンパ管への分化異常そしてリンパ管の発生異常が考えられた。そこで、リンパ管形成に異常が生じていないか調べるために、リンパ管をlymphatic vessel endothelial hyaluronan receptor 1(LYVE-1)、平滑筋をα-smooth muscle actin(α-SMA)、血管内皮細胞をplatelet-endothelial cell adhesion molecule-1(PECAM-1; CD31)で免疫染色を行った。
【0075】
E12.5でCFC症候群モデルマウス、コントロールマウスの頸部リンパ管はともにLYVE-1は陽性だった(
図5C)。一方で、CD31は頸部リンパ管、頸静脈に弱く発現していた(
図5D)。α-SMAの発現は頸部リンパ管、頸静脈ともに認められなかった。
【0076】
またE16.5でCFC症候群モデルマウスの頸部リンパ管のような内腔はLYVE-1、CD31、α-SMA全てにネガティブだった(
図5E)。さらに皮下組織におけるリンパ管形成を調べたところ、皮下のリンパ管は著しくLYVE-1ポジティブだった(
図5F)。
【0077】
これらの結果からCFC症候群モデルマウスは頸静脈から頸部リンパ管への発生異常をきたし、頸部リンパ管拡張、後頸部浮腫を示しているものと考えられた。
【0078】
5. MEK阻害剤、ヒストン脱メチル化阻害剤又はその併用はCFC症候群モデルマウスの胚性致死を改善する
MEK阻害剤であるPD0325901投与は、ヌーナン症候群モデルマウスの胚性致死を改善することが報告されている。そこで、MEK阻害剤をはじめとする、様々な薬剤がCFC症候群モデルマウスの胚性致死を回復するかどうかスクリーニングを行った。
【0079】
結果を下記の表6及び
図6に示す。
【0080】
【表6】
【0081】
Braf
Q241R Neo/+雄マウスと交配し妊娠したBraf
+/+; Cre雌マウスにPD0325901を体重1 kgあたり0.5 mg投与(0.5 mg/kg)したところ、CFC症候群モデルマウスの胚性致死は改善し、30匹中、2匹の生存が確認された(表6)。さらに1.0 mg/kgのPD0325901を投与したところ37匹中、7匹の生存が認められ有意的な改善が認められた(P = 0.3155;表6)。さらに浮腫、下顎形成不全がこれらの投与マウスでは認められなかった(E16.5からP0までで0/31匹)。しかしながら、PD0325901投与により、CFC症候群モデルマウス以外の他のマウス(コントロールマウス)では催奇形性が認められた。
【0082】
近年、肥大型心筋症を示すヌーナン症候群の患者において次世代型のMEK阻害剤であるMEK162が臨床研究されている。そこでMEK162においてもPD0325901のような有益な効果が得られるかどうか検討した。その結果、MEK162投与はCFC症候群モデルマウスの胚性致死の改善を示した(3/29匹;表6)。
【0083】
一方、MAZ51(VEGFR3阻害剤)、ソラフェニブ(BRAF、VEGFR、PDGFR複合阻害剤)、ロバスタチン(HMG-CoA還元酵素、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)、エベロリムス(mTOR阻害剤)投与では、CFC症候群モデルマウスを獲得することができなかった(表6)。
【0084】
ヒストンアセチル化、メチル化のようなヒストン修飾は遺伝子の発現調節に関わっており、細胞分化、発生、炎症応答、癌などに重要な働きをもつことがわかってきている。近年、ヒストン脱アセチル化阻害剤であるSAHAは癌治療において使用されている。そこで、これらのヒストン修飾に影響を与える阻害剤がCFC症候群モデルマウスの胚性致死を改善するかどうか検討したところ、SAHA投与による効果は全くなかった。しかしながら、驚くべきことに、ヒストンH3K27脱メチル化阻害剤(GSK-J4; 5.0 mg/kg)あるいはヒストンH3K9脱メチル化阻害剤(NCDM-32b; 5.0 mg/kg)の投与は胚性致死を改善し、離乳時に1匹ずつのCFC症候群モデルマウスを獲得することができた(表6)。さらに、GSK-J4とPD0325901の併用投与及びNCDM-32bとPD0325901の併用投与は、それぞれ単独の投与と比べ有意的にCFC症候群モデルマウスを獲得することができた(5/31匹; P = 0.1377、10/38匹; P = 0.0928、表6)。また興味深いことに、これらの併用療法ではPD0325901単独投与によって認められる、催奇形性は認められなくなった。GSK-J4及びNCDM-32bとの併用療法を異なるMEK阻害剤、MEK162、で試したところ残念ながら有意な併用効果は得られなかった(表6)。
【0085】
近年、ヒストンH3K27脱メチル化酵素UTX及びJMJD3は心臓の発生に重要な役割をもつことがわかってきている。そこで、GSK-J4とPD0325901の併用投与がCFC症候群モデルマウスの心臓異常を改善するかどうか解析した。その結果、PD0325901単独投与は心臓異常に対して、効果を示さなかった。しかしながら、GSK-J4とPD0325901併用投与では有意的に肺動脈弁、三尖弁、僧帽弁の肥大を緩和した(
図6A及びB)。