(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記所定の服用時期になると、前記警報装置に警報を発生させつつ、前記薬包を載置した前記受け皿を前記本体ケーシング外に突き出させることを特徴とする請求項1記載の服薬支援装置。
前記制御部は、前記所定の服用時期になると、前記警報装置から警報を発生させるとともに、前記警報開始から一定時間内に、前記服用者側から服用了解の応答を受けることにより、前記薬包を載置した前記受け皿を前記本体ケーシング外に突き出させることを特徴とする請求項1記載の服薬支援装置。
前記本体ケーシング外に突き出された前記受け皿上の前記薬包が、前記受け皿から取り出されたことを検知して、前記受け皿を前記本体ケーシング内に没入させるようにする薬包検知センサを有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の服薬支援装置。
前記本体ケーシング外に突き出された前記受け皿上の前記薬包が、一定時間経過しても前記受け皿から取り出されない場合には、前記受け皿を前記本体ケーシング内に没入させて、前記受け皿上の前記薬包を、これを取り出した前記収納部内に戻させるようにするタイマーを有していることを特徴とする請求項5記載の服薬支援装置。
前記収納部は、積層された前記薬包全体を上方に持ち上げるリフターと、前記リフターにて持ち上げられた前記薬包の最上部が所定位置に達したことを検出して、前記リフターに前記薬包の移動を停止させるようにする位置センサとを有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の服薬支援装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、
図15を用いて薬包について説明する。薬包は、処方箋中の服用時期が同じ薬を一包化することにより形成されるものであり、PTP包装シートから薬を取り出す手間をなくし、かつ、同時に複数個の薬を服用できるようにするものである。
【0030】
図15(a)は、複数の薬包Yが一列につながれている薬包帯Tを示している。薬包帯Tは、引き破り容易な、例えば細長いセロハン紙を2つ折りにしたものの中に、必要な薬Kを一定間隔で入れた後、セロハン紙の折り目部以外の外周部分と薬包Y間の境界部分を熱圧着シールすることにより形成される。薬包帯Tは、その薬包Y間の熱圧着部F1の中央にミシン目カット部T1が設けられているので、これを切り離すことにより、
図15(b)で示されるような、個々の薬包Yに容易に分離できる。すなわち、薬包Yは、周囲が熱圧着部F1によりシールされた収納袋F内に、薬Kを密閉状態で収納したものであり、その大きさは、一般的に、縦と横のサイズが約7cmで、厚さが数mm程度のものである。
【0031】
図15(b)で示される薬包Y1は、朝(例えば、8時)と晩(例えば、19時)とに服用する2錠の錠剤からなる咳止め薬K1を有しており、
図15(c)で示される薬包Y2は、朝と晩とに服用する咳止め薬K1と晩に服用するカプセルタイプの頭痛緩和薬K2とを有している。したがって、薬包Y1は、朝用であり、薬包Y2は、晩用となる。また、
図15(d)で示される薬包Y3は、症状に応じて必要時期に服用するカプセルタイプの解熱頓服薬K3を有しており、
図15(e)で示される薬包Y4は、新たに処方された就眠前(例えば、23時)に服用する錠剤の血圧降下薬K4を有している。
【0032】
つぎに、本発明の一実施形態に係る服薬支援装置について説明する。この服薬支援装置Aは、薬包Yを使用するものであり、
図1〜
図3に、その全体構成が示されている。
【0033】
服薬支援装置Aは、服用者に薬Kの服用時期を知らせるとともに、必要な薬Kを服用者側に差し出すようにして、薬Kの服用支援を行うものである。この服薬支援装置Aは、
図1で示されるように、本体ケーシング1と、収納部2と、吸着装置3と、受け皿4と、吸引部移動機構5と、受け皿移動機構7と、警報装置である警報灯80及びスピーカ81と、タイマー82(
図13参照)と、電源ボタン83(
図4参照)と、ディスプレイ84と、制御部85とから構成されている。なお、警報装置は、警報灯80又はスピーカ81の何れかのみであってもよい。
【0034】
本体ケーシング1は、
図1で示されるように、吸着装置3の一部(ファン31)が外部に飛び出しているが、他の構成機器全てを内部に収納しており、内部に制御部85を収納する、比較的高さの低い基底部19と、基底部19の上方を覆うカバー部10とから構成される。カバー部10は、基底部19の上面に設けられた枠部材19aが内部に嵌め込まれて、基底部19と着脱容易に一体化されるが、不図示のロック機構を介して、基底部19と容易に分離しない構造となっている。基底部19には、不図示の電源コードが取り付けられているが、カバー部10側に取り付けられる吸着装置3、吸引部移動機構5、受け皿移動機構
7等にも電気が伝えられるように、カバー部10と基底部19との接触部には、不図示の電気導通部が設けられている。
【0035】
カバー部10は、前後パネル11,12と、左右パネル13,14(
図2参照)と、天井パネル15と、補強パネル16とから構成されている。前パネル11には、
図4で示されるように、上部に、警報灯80用とスピーカー81用の開口11a,11bが形成され、下部に
、ディスプレイ8
4用の開口11cが形成されている。また、前パネル11の右側には、収納部2の上端よりやや高い位置に、受け皿4の出入り用開口11dが形成されている。なお、開口11dの左端側には、開口11dの高さよりやや長い補強パネル16が、前パネル11と後パネル12とを連結するように設けられている。
【0036】
収納部2は、同種の薬包Yを積み重ねた状態で、取り出しやすく収納するものであり、例えば、4種の薬包Yが収納できるように、本体ケーシング1の基底部19上には、
図3で示されるように、本体ケーシング1の開口11d側の受け皿4の下方位置から、反時計回りに、4つの収納部2A,2B,2C,2Dが設けられている。収納部2は、
図5〜
図7で示されるように、内部に薬包Yを積み重ねた状態で収納する、矩形筒状の収納筒20と、積み重ねられた薬包Yの上端位置を検知する位置センサー21と、薬包Yを上下方向に移動させるリフター22とから構成される。収納筒20は、本体ケーシング1の基底部19上に設置され、上端の対向位置に、位置センサ21の発光部21aと受光部21bとが取り付けられている。また、収納筒20には、これらが互いに向き合わない側に、指を差し込んで、内部の薬包Yを取り出すための切欠20aが形成されている。なお、収納部2A,2B,2C,2Dの各収納筒20は、使用者が容易に認識できるように、外面が、例えば、赤、黄、青、緑に着色されている。
【0037】
位置センサ21は、発光部21aからの光を受光部21bで検知するものであるが、リフター22によって上昇する最上端の薬包Yが、発光部21aからの光を遮ると、リフター22を停止させる。すなわち、位置センサ21は、収納筒20内における最上端の薬包Yの位置を、位置センサ21の位置に定めるものである。
【0038】
リフター22は、
図5〜
図7で示されるように、収納筒20内に積層された薬包Yを支持する支持板23と、支持板23を収納筒20内で上下動させる、左右1対のリンク機構24,24と、リンク機構24,24を動かすための駆動部、すなわち、リフター駆動モータ25、移動部材26、軸受け27、一対の案内部材28,28と、一対の支持部29,29とから構成される。
【0039】
支持板23は、
図5で示されるように、収納筒20の内側サイズよりやや小さい板状のものであり、下面の後部に、一対の支持部23a,23aが設けられ、下面の前部に、一対の下溝部23b,23bが形成されている。リンク機構24は、X字状に中間部が回動自在に連結される2本のリンク部材24a,24aを上下方向に2セット配置して、下側のリンク部材24aの上端側と上側のリンク部材24aの下端側とを回動自在に連結したものである。この場合、左右2つのリンク機構24,24は、その対応する連結部同士が、
図7で示されるように、回動軸となる水平な軸部材24bによって結ばれている。そして、リンク機構24の後部側の上端が、支持板23の支持部23aに回動自在に支持され、前部側の上端が、これに回動自在に取り付けられた支持車24cを介して、支持板23の下溝部23b内を前後に移動できるようになっている。
【0040】
収納筒20内の本体ケーシング1の基底部19上には、
図7で示されるように、リフター駆動モーター25と、軸受け27と、一対の案内部材28,28と、一対の支持部29,29とが取り付けられている。リフター駆動モータ25の出力軸には、外周部に雄ねじが形成された回転軸Pが前方に延びるように取り付けられ、この回転軸Pの前端部が軸受け27により支持されている。この回転軸Pには、内側に雌ねじが形成された、移動部材26の中央部26aが螺合しており、かつ、中央部26aから左右に延びる、移動部材26の突出部26b,26bの端部が、左右の案内部材28,28の横溝28a,28aに差し込まれている。このため、リフター駆動モータ25が、例えば、正回転すると、移動部材26は、案内部材28,28にガイドされつつ前方に移動し、リフター駆動モータ25が逆回転すると、移動部材26は、案内部材28,28にガイドされつつ後方に移動することとなる。そして、移動部材26の突出部26bには、リンク機構24の前側下端が回動自在に連結され、後方のリフター駆動モータ25横にある支持部29には、リンク機構24の後側下端が回動自在に支持されている。
【0041】
すなわち、リフター駆動モータ25が正回転すると、移動部材26が前方に移動するため、交差する一対のリンク部材24a,24a間の下側角度αが増大し、リンク機構24,24が折りたたまれて、支持板23は下降する。また、リフター駆動モータ25が逆回転すると、移動部材26が後方に移動するため、交差する一対のリンク部材24a,24a間の下側角度αが減少し、リンク機構24,24が延びて、支持板23は上昇する。ここで、支持板23が上昇する場合、位置センサ21が、支持板23上の最上端の薬包Yを検知すると、リフター22が停止され、支持板23が下降する場合、これが最下端位置に達すると、不図示のセンサが支持板23を検出し、リフター22が停止される。なお、これらのコントロールは制御部85によって行われる。
【0042】
吸着装置3は、吸引部30から空気を吸引することにより、吸引部30に下方の薬包Yを吸着保持させ、吸引部30から加圧空気を吹き出すことにより、薬包Yを吸引部30から離脱させて下方に落下させる機能を有している。吸着装置3は、
図1で示されるように、吸引部30と、ファン31と、空気溜め32と、湾曲容易な細いパイプ33と、位置補正バー34等から構成されている。
【0043】
吸引部30は、弾性変形容易な材料から形成され、積層されている薬包Yの上面を吸着できるように、断面が三日月形に形成されるとともに、中央に空気路30aが貫通するように形成されている。この吸引部30は、吸引部移動機構5によって移動できるように、吸引部移動機構5の上下移動部材50(後述)の下端に取り付けられる。ファン31は、軸流タイプのもので、空気溜め32に取り付けられている。このファン31は、正回転することにより、空気溜め32内から空気を吸引し、逆回転することにより、空気溜め32に空気を送って、空気溜め32内を加圧する。空気溜め32は、本体ケーシング1の後パネル12に、ファン31を外方に突き出すように取り付けられている。パイプ33は、吸引部移動機構5を介して、吸引部30と空気溜め32間に空気路を形成するものであり、吸引部30の移動に対応できるように、充分な長さを有している。位置補正バー34は、上から見ると十字状に形成されており、吸引部30近くの吸引部移動機構5(上下移動部材50)に取り付けられていて、薬包Yが吸引部30に吸着されるときに、薬包Yを水平に保つ働きを有している。
【0044】
すなわち、吸引部30は、所定位置にある薬包Yの直上の位置に位置決めされると、ファン31の正回転によって、薬包Yを吸着保持し、薬包Yを保持した状態で、所定位置に達すると、ファン31の逆回転によって、薬包Yを離脱させ(分離し)、この薬包Yを下方に落下させる。
【0045】
受け皿4は、吸着装置3の吸引部30から薬包Yを受け取り、この薬包Yを本体ケーシング1外に差し出すためのものである。受け皿4は、
図9で示されるように、本体ケーシング1の前面の開口11d近くの収納部2A上方に、通常は位置決めされている。以下、この位置を受け皿4の通常位置H1という。この受け皿4は、左右対称に形成されており、
図8で示されるように、コの字形と逆コの字形をした左右の側壁41,42間に、薬包Yの載置部40が形成されている。また、この受け皿4は、載置部40の下面に、薬包Yの有無を検知する薬包検知センサ43を有している。薬包検知センサ43は、検知部43aが載置部40から上方に突出させるように設けられている。なお、
図8中符号44は、受け皿4の抜け出しを防止するストッパーである。
【0046】
吸引部移動機構5は、吸着装置3の吸引部30を、上下方向、前後方向、左右方向に所定距離だけ移動させる機能を有している。吸引部移動機構5は、
図2で示されるように、上下移動部材50用のガイド部材51が取り付けられた台座52と、台座52に取り付けられ、その回転駆動軸に取り付けられたギヤ53を上下移動部材50の不図示のラックに噛合させて、この上下移動部材50をガイド部材51に沿って上下に移動させる上下動モータ54と、台座52を支持するとともに、この台座52が左右方向に移動するのを案内する前後移動台55と、台座52に取り付けられ、その回転駆動軸に取り付けられたギヤ56を前後移動台55の不図示のラックに噛合させて、台座52を左右に移動させる左右動モータ57と、前後移動台55を支持するとともに、前後移動台55が前後方向に移動するのを案内する一対のレール58,58と、前後移動台55に取り付けられ、その回転駆動軸に取り付けられたギア59をレール58の不図示のラックに噛合させて、前後移動台55をレール58,58に沿って前後方向に移動させる前後動モータ60とから構成される。
【0047】
レール58,58は、開口11dよりやや上方の、本体ケーシング1の左パネル13と右パネル14とに取り付けられており、前後移動台55の左右の両端部を移動容易に支持している。上下移動部材50の下端には、吸着装置3の吸引部30が取り付けられ、上端には吸着装置3のパイプ33が連結されている。そして、この上下移動部材50の内部には、パイプ33と吸引部30の空気路30aとをつなぐ空気路が形成されている。吸引部30近くの上下移動部材50の下部には、吸着装置3の位置補正バー34が取り付けられている。また、吸着装置3の吸引部30は、
図3で示される、収納部2Bの中心軸線G2の位置の、上下移動部材50が最も上昇した位置をホーム位置H4(
図2又は
図3参照)として、収納部2A、収納部2C、収納部2Dの中心軸線G1,G3,G4の位置に、吸引部移動機構5を介して水平移動する。また、この吸引部30は、吸引部移動機構5を介して、各収納部2A,2B,2C,2Dの位置センサ21の位置にある最上端の薬包Yの位置の直上まで下降するとともに、通常位置H1にある受け皿4上の薬包Yの位置直上まで下降する。なお、受け皿4上に複数の薬包Yがある場合、吸引部30は、まず、その上端にある薬包Yの位置の直上まで下降する。
【0048】
受け皿移動機構7は、
図10で示されるように、収納部2A上方の通常位置H1にある受け皿4を、本体ケーシング1の前方に突出させる突出位置H2と、収納部2B上方に後退させる後退位置H3とに移動させるものである。受け皿移動機構7は、
図8で示されるように、左右一対の無端状歯付きベルト70,70と、歯付きベルト70の後端部内側と前端部内側とに噛合する駆動ギア71及び従動ギア72(
図10参照)と、駆動ギア71を回転軸73を介して正逆回転させるベルトモータ74と、側壁41の下面側から受け皿4の左部を支持する複数の支持ローラ75・・と、側壁42の下面側から受け皿4の右部を支持する、同様な支持ローラ75・・と、本体ケーシング1の開口11dの左側と右側とに2個ずつ設けられ(
図9参照)、突出位置H2にある受け皿4を、側壁41,42の上面側から支持する支持ローラ76・・と、出力軸73の軸受け77と、ベルトモータ74の支持板78等とから構成される。
【0049】
そして、
図8で示されるように、受け皿4の側壁41,42後部と歯付きベルト70,70の側面側とを連結部79,79でつなぐことにより、受け皿4は、受け皿移動機構7により、前後に移動できるようになっている。また、ベルトモータ74の駆動軸につながる回転軸73には、2つの駆動ギア71,71が取り付けられ、その端部は軸受け77により支持されている。ここで、
図8で示されるように、受け皿4の側壁41側にある、駆動ギア71、従動ギア72、ベルトモータ74、及び支持ローラ75,76は、本体ケーシング1の補強パネル16により支持され、受け皿4の側壁42側にある、駆動ギア71、従動ギア72、支持ローラ75,76、及び軸受け77は、本体ケーシング1の右パネル14により支持されている。なお、ベルトモータ74をもう1台設け、回転軸73や軸受け77を設けずに、駆動ギア71を、それぞれのベルトモータ74で回転させるようにしてもよい。この場合、2つのベルトモータ74,74は、同期して同時にON−OFF作動される。
【0050】
警報灯80は、服用時刻になると点滅して、服用者側に薬Kの服用時期を知らせるものであり、スピーカ81は、服用時刻になると服用を促す音声や音楽を発して、服用者側に薬Kの服用時期を知らせるものである。タイマー82(
図13参照)は、本体ケーシング1外に差し出された薬包Yを、服用者側が受け取らない場合に必要となる。警報灯80とスピーカ81と電源ボタン83は、本体ケーシング1の前面に設けられる。
【0051】
ディスプレイ84は、薬Kについての服用情報を、服用者側に知らせるものであり、本体ケーシング1の前パネル11下部に取り付けられる。このディスプレイ84は、タッチパネルの機能を有しており、これにより種々の入力が可能となっている。以下、このディスプレイ84の代表的な画面について、
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0052】
図11の(a)は、ディスプレイ84の基本画面B1であり、電源ボタン83をONにすると表示される。基本画面B1中には、「お薬の取り込み」と、「情報の入力」と、「運転開始」と、「今あるお薬の情報」の4つの選択画像が示される。「お薬の取り込み」画像をタッチすると、「少しお待ちください」の表示の後、
図11の(b)で示される薬の取込許可画面B2が表示され、本体ケーシング1のカバー部10が取り外せる状態となる。なお、薬包Yの取り込みが終了して、カバー部10を基底部19上にセットした後、電源ボタン83をONすると、基本画面B1が表示される。基本画面B1中の「運転開始」画像をタッチすると、
図11の(c)で示される待機画面B3が示される。その後、薬Kの服用時期(服用時刻)に達すると、
図11の(d)で示されるような、服用時刻になったことと、服用する薬Kの情報とを示す、服用促進画面B4が表示される。なお、どの収納部2にも薬Kの取り込みがなされていない場合には、待機画面B3は表示されず、薬Kの取り込みを促す画面が短時間表示された後、基本画面B1が表示される。
【0053】
待機画面B3中の「頓服薬服用」画像をタッチして、頓服薬K3の取り出しが可能な場合には、
図11の(e)で示されるような、取り出し開始画面B5が表示される。そして、服用者が受け皿4から薬包Y3を受け取ると、待機画面B3が表示される。つぎの服用予定の薬Kの取り出しと作業が重なり合うため、頓服薬K3の取り出しができない場合には、
図11の(f)で示されるような、現在、頓服薬Y3の取り出しはできませんといった、頓服薬取り出し不可画面B6が示された後、待機画面B3に戻される。なお、待機画面B3中の「基本画面」画像をタッチすると、基本画面B1に戻される。
【0054】
基本画面B1中の「情報入力」画像をタッチすると、
図12の(a)で示されるように、どの収納部2A,2B,2C,2Dの薬包Yを変更したかを問う収納部変更画面B7が表示される。変更したものをタッチすれば、変色して入力が完了するし、変更しなかった場合には、つぎに基本画面B1が表示される。なお、収納部2Aの収納筒20は赤色に着色され赤箱と呼ばれ、収納部2Bの収納筒20は黄色に着色され黄箱と呼ばれ、収納部2Cの収納筒20は青色に着色され青箱と呼ばれ、収納部2Dの収納筒20は緑色に着色され緑箱と呼ばれる。次の画面に進むと、
図12の(b)で示されるような、薬の服用時期を問う服用時期表示画面B8が表示される。例えば、朝、昼、晩の1日3回服用するのであれば、それぞれの画像をタッチすれば、これらが変色して、入力が完了する。なお、例えば、朝は8時、昼は13時、晩は19時、就眠時は23時に設定されている。次の画面に進むと、
図12の(c)で示されるような、薬包Yの取込量を問う薬包量表示画面B9が表示される。何回分か、何日分かを選択した後、テンキー部を用いて数字を入力する。日数で表示した場合、端数があれば、端数を選択する。
【0055】
次の画面に進むと、
図12の(d)で示されるような、薬包Y中の薬Kの情報(内容)を問う薬情報表示画面B10が表示される。画面に表示される入力キー(図における表示は省略している)を用いて、薬の情報を入力する。次の画面に進むと、
図12の(e)で示されるような、入力内容を確認する入力確認画面B11が表示される。次の画面に進むと、
図12の(f)で示されるような、他の収納部2A,2B,2C,2Dの薬包Yを変更したか否かを問う他の収納部変更画面B12が表示される。変更している場合には、その収納部2A,2B,2C,2Dの画像、すなわち、赤箱、黄箱、青箱、緑箱の画像をタッチして、次の画面に進めばよいし、変更がなければ、「変更しなかった」画像をタッチし、基本画面B1を表示する。なお、基本画面B1中の「今あるお薬の情報」画像をタッチすると、現在 収納部2A,2B,2C,2Dに収納されている全ての薬Kの情報が表示される。
【0056】
制御部85は、服薬支援プログラムを記憶するROMと、プログラムを実行するCPU(中央処理ユニット)と、CPUに作業用メモリを提供するRAMと、種々の情報を記憶するメモリ等とからなるコンピュータを有しており、服薬支援装置Aの制御手段となるものである。
図13は、制御部85における入出力信号を示している。すなわち、制御部85には、ディスプレイ84のタッチパネルと、使用されている収納部2A,2B,2C,2Dの位置センサ21と、受け皿4の薬包検知センサ43と、タイマー82と、電源ボタン83とから入力がなされる。また、制御部85は、これらの入力とプログラム内容に基づいて、使用されている収納部2A,2B,2C,2Dのリフター22と、吸着装置3のファン31と、吸引部移動機構5の、上下動モータ54、左右動モータ57、前後動モータ60と、受け皿移動機構7のベルトモータ74と、警報灯80と、スピーカ81と、タイマー82とをコントロールするとともに、ディスプレイ84の表示内容をコントロールする。
【0057】
つぎに、服薬支援装置Aの各機器の動作を示しつつ、制御部85によるコントロールの内容を説明する。
まず、収納部2への薬包Yの取り込みについて説明する。取り込む薬包Yは、朝(8時)に服用する薬K1の薬包Y1と、晩(19時)に服用する薬K1と薬K2の薬包Y2と、必要時に服用する頓服薬K3の薬包Y3である。電源ボタン83をONして、
図11の(a)で示される基本画面B1を表示させ、「お薬の取り込み」画像をタッチすると、収納部2のリフター22が作動し、最下端位置にない全ての収納部2A,2B,2C,2Dの支持板23を最下端位置に移動させる。つづいて、本体ケーシング1のカバー部10を開け、例えば、10日分の薬包Y1を、収納部2Bの収納筒20(黄箱)に入れ、10日分の薬包Y2を収納部2Cの収納筒20(青箱)に入れ、10回分の薬包Y3を収納部2Dの収納筒20(緑箱)に入れる。つづいて、カバー部10を基底部19上にセットした後、電源ボタン83をONして、基本画面B1を表示させ、「情報の入力」画像をタッチして、薬包Yや薬Kに関する情報を入力する。そして、基本画面B1が再度示されると、収納部2への薬包Yの取り込み作業は終了する。
【0058】
つづいて、基本画面B1の「運転開始」画像をタッチすると、薬包Yが収納されている収納部2B,2C,2Dのリフター22と位置センサ21とが作動し、積層された薬包Yの最上端のものが、位置センサ21の位置まで来るように支持板23が上昇する。その後、服薬支援装置Aの各機器は、収納部2内の薬Kの服用時期(服薬時刻)がくるまで待機状態となる。
【0059】
つぎに、服薬支援装置Aの通常の運転状態について、制御部85がどのような処理を行うかを、
図14のフローチャートを参照しつつ説明する。
処理がスタートすると、システムクロック等からシステム時刻が取得され(ステップS1)、収納部2内の何れかの薬包Y(正確には、薬包Y中の薬K)が服用時期(服薬時刻)に達しているか否かが調査される(ステップS2)。何れかの薬包Y、例えば、収納部2B中の薬包Y1が服用時期に達しておれば、YESとなって、吸引部30と吸引部移動機構5とを使用して、収納部2B内の薬包Y1が通常位置H1にある受け皿4上に載置される(ステップS3)。つづいて、服用時期に達している薬包Yが他にあるか否かが調査され(ステップS4)、他にあれば、YESとなってステップS3に戻され、別の収納部2内の薬包Yが、受け皿4上の薬包Y1上に積み重ねられる。
【0060】
また、ステップS4において、服用時期に達している薬包Yが他になければ、NOとなって、薬包Y1を載置した受け皿4が本体ケーシング1外の突出位置H2まで突き出され、スピーカ81からお薬の時間ですよという音声等が流されるとともに、警報灯80が点滅して、服用者に薬包Y1の服用が促される(ステップS5)。この場合、タイマー82もスタートし、かつ、ディスプレイ84に薬K1の情報が表示される。つづいて、受け皿4上の薬包Y1を服用者側が取り出したか否かが調べられ(ステップS6)、取り出していなければ、NOとなって、所定時間が経過しているか(タイマー82から所定時間経過の信号があるか)否かが調べられる(ステップS7)。そして、所定時間経過していなければ、NOとなって、ステップS6に戻される。
【0061】
また、所定時間(例えば1時間)が経過しても、服用者が薬包Y1を受け皿4から取り出さない場合には、薬Kの飲み忘れが生じたとして、薬包Y1を有する受け皿4は本体ケーシング1内の通常位置H1に戻される(ステップS8)。つづいて、吸引部30と吸引部移動機構5とを使用して、受け皿4上の薬包Y1が元の収納部2Bに戻され(ステップS9)、その後、スタートに戻されて、処理が継続される。なお、薬Kの飲み忘れが生じた場合には、その情報が記憶され、ディスプレイ84を介して、その旨が服用者側に示される。また、ステップS6において、服用者が受け皿4から薬包Y1を受け取れば、YESとなって、受け皿4が本体ケーシング1内に戻され(ステップS10)、つづいて、リフター22が作動し、収納部2B内の最上端の薬包Yが位置センサ21の位置まで持ち上げられた(ステップS11)後、スタートに戻される。
【0062】
また、ステップS2において、収納部2内のいずれの薬包Yも服用時期に達していなければ、NOとなって、頓服薬(解熱頓服薬)K3の受け取り要求があるか否かが調べられる(ステップS12)。この場合、つぎの服用時期に達する薬包Yが受け取れるように、一定の時間的余裕(例えば5分以上)があり、かつ、頓服薬K3の受け取り要求があれば、YESとなって、頓服薬Y3を受け取る一連の作業が実施される(ステップS13)。すなわち、服用者側が、
図11の(c)で示される「待機画面」B3の「頓服薬服用」画像をタッチするとともに、一定の条件が満たされると、吸引部30と吸引部移動機構5とにより、収納部2D内の頓服薬K3を有する薬包Y3が通常位置H1にある受け皿4上に載せられた後、ステップS5〜ステップS11と同様な動作が実行される。なお、ステップS5と同様なステップでは、スピーカ81は、たとえば、「ご希望の頓服薬を出しました」といった音声等を発するとともに、使用されるタイマーの設定時間も1〜2分の短い時間となる。そして、服用者側が、受け皿4から頓服薬K3の薬包Y3を受け取ると、受け皿4が通常位置H1に戻され、収納部2D内の最上端の薬包Y3が位置センサ21の位置まで押し上げられた後、スタートに戻されて、処理が継続される。また、ステップS12において、頓服薬K3の受け取り要求等が無ければ、ステップS1に戻される。
【0063】
つぎに、就眠前(例えば、23時)に服用する、新たな薬(血圧降下剤)K4の薬包Y4を追加する場合について説明する。まず、ディスプレイ84の基本画像B1を表示させ、「お薬の取り込み」画像をタッチして、カバー部10を開ける。つづいて、残っている空の収納部2A内に、所定量の薬包Y4を収納した後、カバー部10を閉じて電源ボタン83をONし、基本画面B1を表示させる。つづいて、「情報の入力」画像をタッチして、薬包Y4や薬K4に関する情報を入力した後、基本画面B1の「運転開始」画像をタッチする。このことにより、薬包Yが収納されている収納部2A,2B,2C,2Dのリフター22と位置センサ21とが作動し、積層された薬包Yの最上端のものが、位置センサ21の位置まで来るように支持板23が上昇する。
【0064】
その後は、
図14のフローチャートで示す通りであるが、受け皿4等の動きはやや異なる。すなわち、薬K4の服用時期になると、通常位置H1にある受け皿4が後退位置H3に退避し、吸着装置3の吸引部30が、収納部2Aの中心軸線G1の位置まで移動した後、収納部2A内の最上端にある薬包Y4の位置の直上まで下降する。そして、吸引部30は、収納部2A内の薬包Y4を吸引して所定位置まで上昇する。つづいて、受け皿4が通常位置H1に復帰すると、吸引部30が薬包Y4を受け皿4上に載置するように落下させる。その後は、前述の説明通りである。
【0065】
以上のように、この服薬支援装置Aでは、種類の異なる薬包Yが、別々の収納部2A,2B,2C,2Dに収納されるので、薬包Yの種類が多くても、これらを簡単に、収納部2A,2B,2C,2D内に収納することができる。また、この服薬支援装置Aでは、薬包Yが収納部2内に積み重ねられるので、多量の薬包Yを収納しても装置が大幅に大型化することはない。さらに、この服薬支援装置Aでは、途中で別の薬包Yを加える場合でも、これらを空いている収納部2に収納すればよいので、その操作も容易である。
【0066】
また、この服薬支援装置Aでは、薬Kの服用に必要な情報を服用者側に示す、タッチパネルタイプのディスプレイ84を有しているので、薬包Y中の薬Kの情報(服用時期や薬Kの効能等の情報)を容易に入力できるとともに、服用者に、服用する薬Kの情報や収納部2中の薬包Yの残量等を容易に知らせることができる。
【0067】
さらに、この服薬支援装置Aでは、本体ケーシング1外に突き出された受け皿4上の薬包Yが、受け皿4から取り出されたことを検知して、受け皿4を本体ケーシング1内に移動(没入)させるようにする薬包検知センサ43を有しているので、操作の簡単化を達成できる。
【0068】
また、この服薬支援装置Aでは、本体ケーシング1外に突き出された受け皿4上の薬包Yが、一定時間経過しても受け皿4から取り出されない場合には、受け皿4を本体ケーシング1内に移動(没入)させて、受け皿4上の薬包Yを、これを取り出した収納部2内に戻させるようにするタイマー82を有しているので、操作の簡単化を達成できる。
【0069】
さらに、この服薬支援装置Aでは、収納部2に、積層された薬包Y全体を上方に持ち上げるリフター22と、リフター22にて持ち上げられた薬包Yの最上部が所定位置に達したことを検出して、リフター22に薬包Yの移動を停止させるようにする位置センサ21とを設けているので、収納部2内において、吸着される薬包Yの上下位置を一定にでき、吸着装置3の吸引部30による薬包Yの吸着の容易化を図ることができる。
【0070】
なお、上記実施の形態では、薬Kの服用時刻、例えば、晩の19時になると、吸引部30を移動させて、薬包Yを受け皿4上に載置するようにしたが、この作業を19時の数分前からおこなって、ちょうど19時に、薬包Yを載せた受け皿4を本体ケーシング1外に突き出させるようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、処方箋中の薬Kのうち、同時に服用する薬Kを一包化して薬包Yを形成しているが、服用時期が全て同じ薬K毎に薬Kを一包化して(例えば、朝、昼、晩に服用する薬Kと、晩のみに服用する薬Kとを別々に一包化して)、薬包Yを形成するようにしてもよい。
【0072】
さらに、薬Kの服用時期(服薬時刻)、例えば、晩の19時、になると、警報灯80やスピーカ81を用いて、服用者側に薬Kの服用時刻であることを知らせ、その後、一定時間内に服用者からの応答があれば(例えば、ディスプレイ84に示した応答画像に服用者がタッチすれば)、収納部2内の薬包Yを受け皿4上に載せて、これを本体ケーシング1外に突き出させるようにしてもよい。このことにより、服用者が不在の時などに、吸着装置3と受け皿移動機構7とに無駄な動きをさせる必要が無く、機器の寿命をの延ばすことができる。この場合、服用者へのお知らせは、受け皿4に薬包Yを載せた後に行ってもよい。なお、服用者から所定時間内に応答がない場合には、薬の飲み忘れがあったとして、その後、服薬支援装置の運転が進行する。
【0073】
また、
図15の(f)で示されるような、薄い開閉可能な密閉ケース86内に薬Kを入れ、この密閉ケース86を収納部2に収納するようにしてもよい。服用者の病状の変化等によって、服用中の薬Kが変更された場合(例えば、薬Kの錠数が1回2錠から、1回1錠に変更された場合)であっても、簡単にケース86内の薬Kを変更できるからである。
【0074】
さらに、表1で示されるように、朝、昼、晩、就眠前の、食前、食後、食間の服薬タイミング毎に、薬Kの服用時期を、服用者の生活習慣に合わせた服薬時刻で細かく定め、これらを制御部85側に記憶させて、これらの時刻毎に、薬Kの服用を促すようにしてもよい。
【0075】
【表1】