(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(C)成分として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の繊維処理剤組成物。
(A)成分と(B)成分と合計に対する(C)成分の質量比((C)/((A)+(B)))が0.005〜0.05である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(A)成分:カチオン性界面活性剤
(A)成分は、主に、(B)成分と一緒になって、繊維処理剤組成物へ風合い付与効果(特に、肌着等の衣類へ柔らかさを付与する効果)を与えるために配合される。
(A)成分は、炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群より選ばれ、かつ、カチオン界面活性剤として機能するものである。
アミン化合物中、炭化水素基は窒素原子に結合しており、窒素原子へ結合している炭化水素基の数は1〜3である。
炭化水素基の炭素数は、10〜24、好ましくは12〜22、特に好ましくは14〜18である。
また炭化水素基は、エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基により分断されていてもよい。エステル基、エーテル基及びアミド基の中ではエステル基が特に好ましい。分断する基の数は、分断する基がエステル基又はアミド基である場合は、炭化水素基1つにつき1つである。分断する基がエーテル基である場合は、炭化水素基1つにつき1つである。なお、分断基が有する炭素原子は、炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
【0009】
中和物とは、上述のアミン化合物を酸で中和することによって得られる化合物である。中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸や、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。中和物はアミン塩の形であることが好ましい。
中和物の製造は、予め酸で中和したアミン化合物を水で分散させる、液状若しくは固体状のアミン化合物の酸水溶液中への投入、又は、アミン化合物と酸との水中への同時投入等により行うことができる。
【0010】
4級化物とは、上述のアミン化合物のうち、窒素原子へ結合している炭化水素基の数が3であるもの(3級アミン)を4級化剤で処理することによって得られる化合物である。4級化剤としては、塩化メチルやジメチル硫酸等が挙げられる。
【0011】
(A)成分として、下記一般式(A-I)〜(A-VII)のいずれかで表されるアミン化合物、その中和物又はその4級化物を例示することができる。
【0013】
上記(A-I)〜(A-VII)の各式中、R
1は同一又は異なっていてもよい炭素数15〜17の炭化水素基(別言すれば、炭素数16〜18の脂肪酸からカルボキシル基を除くことで誘導される残基)である。炭化水素基はアルキル基であってもよく、アルケニル基であってもよい。R
1を誘導する脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸や分岐脂肪酸があげられる。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比が、シス体/トランス体=25/75〜100/0であることが好ましく、40/60〜80/20であることが特に好ましい。
R
1を誘導する好ましい脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リノレン酸、アラキジン酸、ガトレイン酸、エイコセン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。より好ましくは、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸及びリノレン酸の混合物であって、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の質量比が95/5〜50/50、シス体/トランス体の質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の脂肪酸含量が混合物総質量に対して80質量%以上、かつ、リノール酸及びリノレン酸の合計量が混合物総質量に対して2質量%以下である混合物である。
【0014】
(A)成分として、一般式(A-I)で表される化合物と一般式(A-II)で表される化合物とを含む組成物を用いる場合、当該組成物は、上記の脂肪酸混合物又はそのメチルエステル化物と、メチルジエタノールアミンとを縮合反応させることにより合成することができる。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各化合物の質量比が(A-II)/(A-I)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
【0015】
一般式(A-I)で表される化合物の4級化物と一般式(A-II)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸を用いることができるが、分子量が小さく4級化のために必要な量を少なくできる塩化メチルが好ましい。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各4級化物の質量比が(A-II)の4級化物/(A-I)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、(A-I)で表される化合物と(A-II)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-I)の4級化物+(A-II)の4級化物)と未反応物((A-I)で表される化合物+(A-II)で表される化合物)の質量比が4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
【0016】
(A)成分として、一般式(A-III)で表される化合物と、一般式(A-IV)で表される化合物と、一般式(A-V)で表される化合物とを含む組成物を用いる場合、当該組成物は、上記脂肪酸組成物又はそのメチルエステル化物と、トリエタノールアミンとを縮合反応させることにより合成することができる。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各化合物の質量比が[(A-IV)+(A-V)]/(A-III)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
【0017】
一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と一般式(A-V)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いることができるが、4級化反応の反応性の観点からジメチル硫酸が好ましい。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各4級化物の質量比が[(A-IV)+(A-V)]/(A-III)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、一般式(A-III)で表される化合物と、一般式(A-IV)で表される化合物と、一般式(A-V)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-III)の4級化物+(A-IV)の4級化物+(A-V)の4級化物)と未反応物((A-III)で表される化合物+(A-IV)で表される化合物+(A-V)で表される化合物)の質量比が4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
【0018】
(A)成分として、一般式(A-VI)で表される化合物と一般式(A-VII)で表される化合物とを含む組成物を用いる場合、当該組成物は、上記脂肪酸組成物とN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミン(J. Org. Chem., 26, 3409(1960)に記載の方法にしたがいN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物とから合成)とを縮合反応させることにより合成することができる。風合い付与効果を良好にする観点から、各化合物の質量比が(A-VII)/(A-VI)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(A-VI)で表される化合物の4級化物と一般式(A-VII)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルを用いることができる。その際、風合い付与効果を良好にする観点から、各4級化物の質量比が(A-VII)の4級化物/(A-VI)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、(A-VI)で表される化合物と(A-VII)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-VI)の4級化物+(A-VII)の4級化物)と未反応物((A-VI)で表される化合物+(A-VII)で表される化合物)の質量比が4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
【0019】
上述の組成物のなかでは、一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と、一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と、一般式(A-V)で表される化合物の4級化物とを含む組成物がより好ましい。
この場合、柔軟剤としての機能をより高める観点から、組成物中における各4級化物の含量は、組成物の総質量に対して、(A-III)で表される化合物の4級化物が5〜98質量%、(A-IV)で表される化合物の4級化物が1〜60質量%、(A-V)で表される化合物の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは、組成物の総質量に対して、(A-III)で表される化合物の4級化物が10〜55質量%、(A-IV)で表される化合物の4級化物が30〜60質量%、(A-V)で表される化合物の4級化物が5〜35質量%である。
【0020】
(A)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0021】
(A)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。混合物として用いる場合、窒素原子に結合した炭化水素基の数が2又は3であるアミン化合物の含量が、混合物の総質量に対して50質量%以上であると、柔軟剤としての機能をより高めることができるので好ましい。
【0022】
(A)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して10〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。30質量%以下であると、繊維処理剤組成物の液粘度が高くなることによるハンドリング性低下を抑制することができる。10質量%以上であると、十分な風合い付与効果を得ることができる。
【0023】
(B)成分:アミノ変性シリコーン
(B)成分は、主に、(A)成分と一緒になって、繊維処理剤組成物へ風合い付与効果(特に、肌着等の衣類へ平滑性を付与する効果)を与えるために配合される。
(B)成分は、25℃での動粘度が100〜20,000mm
2/sであり、アミノ当量が400〜8000g/molであるアミノ変性シリコーンである。
【0024】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ基を導入してなる化合物である。
好ましいアミノ変性シリコーンは次の一般式(B):
(式中、Rは、それぞれ独立して、―H、―OH、−CH
3及び−Si(CH
3)
3からなる群より選ばれ、Xは、―(CH
2)
a―NH
2、または、―(CH
2)
a―NH(CH
2)
bNH
2であり(aは0〜3の整数であり、bは1〜3の整数である)、nは1〜10,000であり、mは1〜1000である。)で表される、側鎖Xにアミノ基を導入してなる化合物である。
【0025】
アミノ変性シリコーンは、25℃での動粘度が100〜20000mm
2/s、好ましくは500〜10000mm
2/sである。25℃での動粘度が100〜20000mm
2/sの範囲であると、高い風合い付与効果が得られ、かつ、繊維処理剤組成物の製造性及び取扱性が容易になる。
動粘度は、オストワルト型粘度計で測定することができる。
【0026】
アミノ変性シリコーンは、アミノ当量が400〜8000g/mol、好ましくは500〜5000g/molであることが好ましく、1200〜4000g/molであることがより好ましい。アミノ当量が400〜8000g/molの範囲であると、十分な配合効果を得ることができる。
アミノ当量は、アミノ変性シリコーンの重量平均分子量を当該アミノ変性シリコーンに含まれる窒素原子数で割ることにより求めることができる。窒素原子数は元素分析により求めることができる。
【0027】
アミノ変性シリコーンは、オイルの形態(シリコーンオイル)であってもよく、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として用いることで乳化させたエマルジョン(シリコーンエマルジョン)の形態であってもよい。シリコーンエマルジョンの形態であることが好ましい。
【0028】
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができる。
シリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社から商品名:SF―8417、BY16−849、BY16−892、FZ−3785又はBY16−890で販売されているものや、信越化学工業株式会社から商品名:KF−864、KF−860、KF−880、KF−8004、KF−8002、KF−867又はKF−869、KF−861、KF―8610で販売されているものなどがあげられる。
【0029】
(B)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0030】
(B)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。0.1質量%以上であると、(B)成分の配合効果を充分に発現させることができる。10質量%以下であると、粘度安定性の著しい上昇が抑えられる上に、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0031】
(B)成分と(A)成分との配合比について、風合い付与効果の観点で(A)成分リッチであることが好ましい。(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))は2/1〜50/1であることがより好ましく、2/1〜10/1であることがより好ましい。
【0032】
(C)成分:無機塩
(C)成分は、主に、繊維処理剤組成物の粘度を調節し、更に繊維処理剤組成物へ安定性を付与するために配合される。
(C)成分は無機塩である。無機塩としては、繊維処理剤組成物へ配合できることが知られているものを特に制限なく用いることができる。
好ましい無機塩としては、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物が挙げられる。より好ましい無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが挙げられる。
無機塩は、ハンドリング性の観点で水溶性無機塩であることが好ましい。水溶性無機塩とは、20℃下、100gの脱イオン水に10g以上溶解する無機塩をいう。水溶性無機塩の具体例としては、塩化カルシウムや塩化マグネシウム等が挙げられる。
【0033】
無機塩としては商業的に入手できるものを使用することができる。
【0034】
(C)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0035】
(C)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.001〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.8質量%、より好ましくは0.01〜0.6質量%である。配合量が0.01〜1.0質量%であると、(C)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
【0036】
(C)成分と(A)成分と(B)成分との配合比について、(A)成分と(B)成分と合計に対する(C)成分の質量比((C)/((A)+(B)))が0.005〜0.05であると、繊維処理剤組成物の保存中にカチオン界面活性剤((A)成分)中のエステル部分が加水分解することを抑制し、繊維処理剤組成物の風合い付与効果をより高くすることができるので好ましい。
【0037】
(D−1)成分:炭素数9〜18の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均40〜100モルを付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(D−1)成分は、主に、繊維処理剤組成物へ粘度安定性を付与するために配合される。
(D−1)成分は、炭素数9〜18の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均40〜100モル付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
(D−1)成分を構成するアルコールの炭素数は9〜18、好ましくは9〜16、より好ましくは9〜15である。アルコールの炭素数が9〜18であると、(D−1)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
(D−1)成分を構成するアルコールは、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。直鎖及び分岐鎖は、アルコールを構成するアルキル基の構造を指し、アルキル基が炭化水素基の枝分かれ構造を有する場合を分岐鎖とする。分岐鎖アルコールを用いると、繊維処理剤組成物の保存安定性をより高めることができるので好ましい。
(D−1)成分を構成するアルコールは、1級アルコールであってもよく、2級アルコールであってもよい。1級アルコールとは、水酸基が結合する炭素原子が第1炭素原子であるアルコールをいう。2級アルコールとは、水酸基が結合する炭素原子が第2炭素原子であるアルコールをいう。
【0038】
(D−1)成分は、上述のアルコールへエチレンオキサイドが付加された構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである。エチレンオキサイドの平均付加モル数は40〜100であり、好ましくは40〜70ある。エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100の範囲内であると、(D−1)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
【0039】
(D−1)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0040】
(D−1)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0041】
(D−1)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して1.0〜5.0質量%である。配合量が1.0〜5.0質量%であると、(D−1)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
【0042】
(D−2)成分:炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均5〜25モル付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテル
(D−2)成分は、主に、繊維処理剤組成物中で(B)成分を均一に分散させるために配合される。
(D−2)成分は、炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均5〜25モル付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
(D−2)成分を構成するアルコールの炭素数は8〜16である。アルコールの炭素数が8〜16であると、(D−2)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
(D−2)成分を構成するアルコールは、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。直鎖及び分岐鎖は、アルコールを構成するアルキル基の構造を指し、アルキル基が炭化水素基の枝分かれ構造を有する場合を分岐鎖とする。
(D−2)成分を構成するアルコールは、1級アルコールであってもよく、2級アルコールであってもよい。1級アルコールとは、水酸基が結合する炭素原子が第1炭素原子であるアルコールをいう。2級アルコールとは、水酸基が結合する炭素原子が第2炭素原子であるアルコールをいう。
【0043】
(D−2)成分は、上述のアルコールへエチレンオキサイドが付加された構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである。エチレンオキサイドの平均付加モル数は5〜25であり、好ましくは5〜15ある。エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜25の範囲内であると、(D−2)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
【0044】
(D−2)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0045】
(D−2)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0046】
(D−2)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.01〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%である。配合量が0.01〜2.0質量%であると、(D−2)成分の配合効果を充分に発現させることができる。
【0047】
(D−2)成分と(B)成分との配合比について、(D−2)成分と(B)成分との質量比((D−2)/(B))が0.02〜0.5であると、(B)成分を繊維処理剤組成物中により均一に分散させることができるので好ましい。
【0048】
(D−2)成分を用いた(B)成分の繊維処理剤組成物中における分散は、(D−2)成分で(B)成分を乳化することにより達成することができる。乳化は、(B)成分と(D−2)成分とを混合し、これを公知のホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサーや、万能混合機などの乳化機で乳化することによって行うことができる。場合によっては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどエチレングリコールモノアルキルエーテルと(B)成分を予め混合し、(D−2)成分にて乳化させることが好ましい。
【0049】
(E)成分:香料
(E)成分は、繊維製品に香気を付与するために配合される。
香料としては、繊維処理剤組成物へ配合できることが知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0050】
下記の香料成分(E−1)、(E−2)、(E−3)及び(E−4)は、本発明の繊維処理剤組成物で処理した繊維(衣類)の乾燥後の残香感を高めることができるので好ましい。
(E−1):アンブロキサン、ボアザンブレンフォルテ、アンバーコア、カラナール及びアンブリノールからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(E−2):パチョリオイル、ジャバノール、ポリサントール及びイソボルニルシクロヘキサノールからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(E−3):イソイースーパー及びベルトフィックスからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(E−4):クマリン、9−デセノール及びダマスコン類(例えば、α−ダマスコン、β−ダマスコン及びδ−ダマスコン)からなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(E−1)〜(E−4)は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の成分がそのまま使用されていても良いし、最終的に上記成分が放出される形態(例えば、香料前駆体やカプセル香料等)のものでも良い。
【0051】
香料成分のその他の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
炭化水素系の香料成分として、例えばリモネン、α−ピネン、β−ピネン、ターピノレンなどが挙げられる。
アルコール系の香料成分として、例えばリナロール、ゲラニオール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ターピネオール、l−メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、チモール、オイゲノールなどが挙げられる。
エーテル系の香料成分として、例えば1,8−シネオール、ローズオキサイド、アネトール、エストラゴールなどが挙げられる。
アルデヒド系の香料成分として、例えばウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、リラール、デュピカール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリアール、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリンなどが挙げられる。
ケトン系の香料成分として、例えばα−イオノン、β−イオノン、α−イソメチルイオノン、ダイナスコン、マルトール、ジヒドロジャスモン、シスジャスモン、ラズベリーケトンなどが挙げられる。
エステル系の香料成分として、例えば酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸リナリル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、2−メチル酢酸エチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、フルテートなどが挙げられる。
ラクトン系の香料成分として、例えばγ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンなどが挙げられる。
ムスク系の香料成分としては、例えばガラクソリド(Galaxolide)、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレート、6−アセチルヘキサテトラリン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピランなどが挙げられる。
【0052】
(E)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0053】
(E)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0054】
(E)成分の配合量は、配合効果を発現させることができるものであれば特に制限されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜1.0質量%である。
【0055】
任意成分
本発明の繊維処理剤組成物には、以下の成分を任意に配合することができる。
【0056】
(F)成分:高度分岐環状デキストリン
(F)成分は、(A)成分の加水分解を更に抑制することや、保存後の繊維処理剤組成物で処理した繊維(特に肌着)の肌触りを高めることや、更に繊維へ消臭性及び防臭性を付与するために配合することができる。
(F)成分の高度分岐環状デキストリンとは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重量平均重合度が50から10000の範囲にあるグルカンをいう。
内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれている物質である。
高度分岐環状デキストリンは、1つの内分岐環状構造部分に複数(例えば、100個)の非環状のグルコース鎖(外分岐構造部分)が結合した構造を有している。
内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されている。すなわち、内分岐環状構造部分の重合度は10〜100の範囲である。
外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分を構成する非環状グルコース鎖における平均重合度は10〜20である。但し、1本の非環状グルコース鎖における重合度は40以上であってもよい。
高度分岐環状デキストリンにおけるグルコースの重量平均重合度は50〜10000、具体的には50〜5000の範囲、更に具体的には2500程度である。
また、本発明における高度分岐環状デキストリンの分子量は3万〜100万程度の範囲である。
【0057】
かかる構造及び重合度(分子量)を有する高度分岐環状デキストリンは、グルコースの重合度が6〜8の一般的なシクロデキストリンであるα−シクロデキストリン(重合度6)、β−シクロデキストリン(重合度7)や、γ−シクロデキストリン(重合度8)とは相違する物質である。
【0058】
高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造することができる。
原料であるデンプンは、グルコースがα−1、4−グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α−1,6−グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなる。アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。
使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物や微生物中に広く見いだされるグルカン鎖転移酵素である。ブランチングエンザイムは、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
【0059】
高度分岐環状デキストリンの具体例としては、特開平8−134104号公報に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンが挙げられる。本発明において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104号公報の記載を参酌して理解され得る。
【0060】
(F)成分は前述の通り製造することができ、また、市場において容易に入手可能である。高度分岐環状デキストリンの市販品としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
【0061】
(F)成分は、1種類の高度分岐環状デキストリンを単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0062】
(F)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。配合量が0.01質量%以上であると、配合効果(特に、繊維への消臭性及び防臭性の付与効果)を充分に発現させることができる。配合量が10質量%以下であると、繊維処理剤組成物の粘度上昇を抑制して、容器からの排出性や、洗濯機の投入口への入れやすさ等の使用性を良好に保つことができる。
【0063】
(G)成分:染料及び/又は顔料
染料及び/又は顔料は、繊維処理剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。
染料及び顔料としては、当該技術分野で汎用の染料及び顔料を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、例えば、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
繊維処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性をより向上させる観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料が好ましく、赤色系又は黄色系の水溶性染料がより好ましい。赤色系の水溶性染料としてはアシッドレッドが挙げられる。黄色系の水溶性染料としてはアシッドイエローが挙げられる。
【0064】
(G)成分は、1種類の染料又は顔料を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0065】
(G)成分の配合量は、配合効果を発現させることができる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001〜0.005質量%、より好ましくは0.0001〜0.003質量%である。
【0066】
水
繊維処理剤組成物は、好ましくは液体の水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水や、蒸留水等を特に制限なく用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。配合量が50質量%以上であると、繊維処理剤組成物のハンドリング性を良好なものとすることができる。
【0067】
防腐剤
防腐剤は、主に、繊維処理剤組成物の防腐力及び殺菌力を強化して、長期保存中の防腐性を保つために配合することができる。
防腐剤としては、当該技術分野で知られているものを特に制限なく用いることができる。具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物(例えば、商品名ケーソンCG/ICP)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンや、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンや、類縁化合物としてのジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましい。配合量が0.0001〜1質量%であると、防腐剤の配合効果を充分に発現させることができる。
【0068】
紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、主に、紫外線による変色防止から繊維処理剤組成物を防御するために配合することができる。
紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、当該技術分野で知られているものを特に制限なく用いることができる。具体的には、アミノ安息香酸誘導体(例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルや、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等)、サリチル酸誘導体(例えば、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチルや、サリチル酸ミリスチル等)、ケイ皮酸誘導体(ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルや、p−メトキシケイ皮酸ブチル等)、ベンゾフェノン誘導体(例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸や、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、アゾール系化合物(例えば、ウロカニン酸や、ウロカニン酸エチル等)や、4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、配合効果を発現させることができる量である限り特に限定されない。
【0069】
抗菌剤
抗菌剤は、処理した繊維上での菌の増殖を抑え、更には微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑えるために配合することができる。
抗菌剤とは、処理した繊維上での菌の増殖を抑え、更には微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、当該技術分野で知られているものを特に制限なく用いることができる。具体例としては、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリンや、ポリリジン等が挙げられる。
抗菌剤の配合量は、配合効果を発現させることができる量である限り特に限定されない。
【0070】
その他の任意成分
本発明の繊維処理剤組成物には、前述の任意成分以外の成分を任意に配合することができる。具体例としては、繊維処理剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物、例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRN−100など)などが挙げられる。
【0071】
繊維処理剤組成物のpH
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の加水分解をより抑制する等の観点から、25℃におけるpHが1〜6の範囲内であることが好ましく、2〜4の範囲内であることがより好ましい。
pH調整を行う場合、pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0072】
繊維処理剤組成物の粘度
繊維処理剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、1000mPa・s未満であることが好ましい。
保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。製造直後の粘度が800mPa・s未満であると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。使用性の観点からは粘度の下限は特に制限されない。
繊維処理剤組成物の粘度とは、B型粘度計(TOKIMEC社製、B型粘度計)を用いて25℃にて測定される値をいう。
【0073】
繊維処理剤組成物の製造方法
繊維処理剤組成物の製造方法は特に限定されない。繊維処理剤組成物の公知の製造方法、例えば、主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の繊維処理剤組成物の製造方法と同様の方法により製造することができる。
例えば、(A)成分、(D−1)成分及び(E)成分を含む油相と、水を含む水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下(例えば、50〜60℃)で混合して乳化物を調製し、その後、(C)成分、及び、(D−2)成分で乳化した(B)成分を添加して、混合することにより繊維処理剤組成物を製造することができる。
油相は、(A)成分の融点以上の温度で、(A)成分と(D−1)成分とを混合し、必要に応じてその他の成分とを更に混合することにより調製することができる。
水相は、水と、必要に応じてその他成分とを混合することにより調製できる。
(B)成分の添加時期は特に制限されないが、(B)成分を(D−2)成分により乳化したものを予め調製しておき、この乳化物を、上記油相と水相との乳化物へ添加すると、(B)成分を繊維処理剤組成物中により均一に分散させることができ、更に、繊維処理剤組成物の外観安定性をより高めるので好ましい。なお、(B)成分を(D−2)成分により乳化して得られた乳化物は、水相へ添加してもよい。
(C)成分の添加時期は特に制限されないが、水相と油相との混合後に得られる乳化物へ添加することが好ましい。
(D−1)成分の添加時期は特に制限されないが、油相調製時に添加することが好ましい。
(D−2)成分の添加時期は特に制限されないが、前述した(B)成分の乳化物を調製する際に添加することが好ましい。
なお、(D−2)成分による(B)成分の乳化物を油相と水相からなる乳化分散物に添加する場合は、40℃以下で添加することが望ましい。40℃以下で添加すると繊維処理剤組成物の外観安定性をより向上させることができる。
(E)成分を添加する場合、添加時期は特に制限されないが、油相調製時に添加することが好ましい。
(F)成分を添加する場合、添加時期は特に制限されないが、水相に溶解させるか、油相と水相により乳化分散させた後に、水に溶解させた(F)成分を添加することが好ましい。
(G)成分を添加する場合、添加時期は特に制限されないが、水相に溶解させることが好ましい。
【0074】
最も好ましい製造方法としては、(A)成分、(E)成分及び(D−1)成分からなる油相を水、場合によっては水溶性物質を溶解した水相で乳化分散させて、乳化物を調製し、その後(C)成分、及び(D−2)成分で乳化した(B)成分を添加する工程を含む方法が挙げられる。この製造方法では、添加工程を40℃以下、好ましくは5〜35℃で行うことが好ましい。
【0075】
繊維処理剤組成物の使用方法
繊維処理剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の繊維処理剤組成物と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ繊維処理剤組成物を溶解させて被洗物を処理する方法や、繊維処理剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に被洗物を入れて浸漬処理する方法がある。
なお、洗濯のすすぎ回数に関わらず、本発明の繊維処理剤組成物は、充分な処理効果を発揮することができる。
繊維処理剤組成物の使用量は、使用目的を達成できる量であれば特に制限されないが、例えば、衣料に対し、(A)+(B)成分の衣料1gに対する濃度が、0.05%〜0.5%となるような量で使用するのが好ましい。
処理対象となる繊維の種類に特に制限なく、綿等の天然繊維製品や、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、充分な処理効果を発揮することができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0077】
(A)成分:カチオン界面活性剤
下記の(a−1)及び(a−2)を使用した。
(a−1):一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と一般式(A-V)で表される化合物(各式中、R
1は炭素数15又は17のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の質量比が60/40であり、不飽和部分のシス体/トランス体=75/25(質量比)である)をジメチル硫酸で4級化したものを含むもの(分子量798.6)。
(a−1)は、特開2003−12471号公報の実施例4に記載された手順に準拠し、下記合成方法に従って合成した。
a−1の合成方法
ステアリン酸メチル45質量%とオレイン酸メチル35質量%とパルミチン酸メチル20質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)782g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、25%水酸化ナトリウム水溶液2.06g(エステル交換触媒;前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.10質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計、及び窒素導入管を備えた2Lの五ツ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、5時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。得られたアルカノールアミンの分子量は582であった。
得られたアルカノールアミンエステル(分子量582)300g(0.515モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換をした。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸63.7g(0.505モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇がないように温度を調整し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間攪拌した。反応終了後、約69gのエタノールを滴下しながら冷却して、a−1を含むエタノール溶液を得た。なお、すべての操作は窒素流通下で行った。
【0078】
(a−2):一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と一般式(A-V)で表される化合物(各式中、R
1は炭素数15又は17のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の質量比が60/40であり、不飽和部分のシス体/トランス体=75/25(質量比)である)をジメチル硫酸で4級化したものを含むもの(分子量802.6)。
(a−2)は、特開2003−12471号公報の実施例4に記載された手順に準拠し、下記合成方法に従って合成した。
a−2の合成方法
ステアリン酸メチル30質量%とオレイン酸メチル40質量%とパルミチン酸メチル30質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)782g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、25%水酸化ナトリウム水溶液2.06g(エステル交換触媒;前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.10質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計、及び窒素導入管を備えた2Lの五ツ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、5時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。得られたアルカノールアミンエステルアミン価を測定し、分子量を求めると558であった」
得られたアルカノールアミンエステル(分子量558)300g(0.538モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換をした。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸66.5g(0.527モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇がないように温度を調整し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間攪拌した。反応終了後、約65gのエタノールを滴下しながら冷却して、a−2を含むエタノール溶液を得た。なお、すべての操作は窒素流通下で行った。
【0079】
(B)成分:アミノ変性シリコーン
下記の(b−1)〜(b−6)を使用した。
(b−1):信越化学工業(株)より商品名:KF−864として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル。(25℃における動粘度:1700mm
2/s、アミノ当量:3800g/mol)。(b−1)は、一般式(B)で表される化合物であった。
(b−2):信越化学工業(株)より商品名:KF−880として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル(25℃における動粘度:650mm
2/s。アミノ当量:1800g/mol)。(b−2)は、一般式(B)で表される化合物であった。
(b−3):信越化学工業(株)より商品名:KF−8004として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル(25℃における動粘度:800mm
2/s。アミノ当量:1500g/mol)。(b−3)は、一般式(B)で表される化合物であった。
(b−4):信越化学工業(株)より商品名:KF−8005として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル(25℃における動粘度:1200mm
2/s。アミノ当量:11000g/mol)。(b−4)は比較例として使用した。
(b−5):信越化学工業(株)より商品名:KF−393として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル(25℃における動粘度:70mm
2/s。アミノ当量:350g/mol)。(b−5)は比較例として使用した。
(b−6):下記記載のポリエーテル変性シリコーン。(b−6)は比較例として使用した。
【0080】
(C)成分:無機塩
下記の(c−1)を使用した。
(c−1):塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ製)
【0081】
(D−1)成分:炭素数9〜18の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均40〜100モルを付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテル
下記の(d−1−1)及び(d−1−2)を使用した。
(d−1−1):1級イソトリデシルアルコール(炭素数13)のエチレンオキシド60モル付加物(平均付加モル数:60)(BASF社製のルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの)。
(d−1−2):1級イソトリデシルアルコール(炭素数13)のエチレンオキシド40モル付加物(平均付加モル数:40)(BASF社製のルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの)。
【0082】
(D−2)成分:炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルコールに、エチレンオキサイドを平均5〜25モル付加してなるポリオキシエチレンアルキルエーテル
下記の(d−2)を使用した。
(d−2):炭素数11の分岐鎖アルコールのエチレンオキサイド8モル付加物(平均付加モル数:8)(花王社製、エマルゲン1108)。
【0083】
(E)成分:香料
下記の表に示す組成を有する香料組成物(e−1)〜(e−4)を使用した。各表中の数値は、香料組成物の総質量に対する香料の含量(単位:質量%)である。
【0084】
【0085】
(F)成分:高度分岐環状デキストリン(任意成分)
下記の(f−1)を使用した。
(f−1):クラスターデキストリン(登録商標)(グリコ栄養食品株式会社製)。
クラスターデキストリン(登録商標)の主成分は、分子量が3万から100万程度であり、分子内に内分岐環状構造部分を1つ有し、さらにその内分岐環状構造部分に多数の非環状グルコース鎖が結合した(外分岐構造部分)、重量平均重合度が2500程度のグルカンであった。また、内分岐環状構造部分は16〜100個程度のグルコースで構成されていた。
【0086】
(G)成分:染料(任意成分)
下記の(g−1)を使用した。
(g−1):アシッドレッド138(日本化薬 カヤノールミーリングレッドBW)
【0087】
その他の成分(任意成分)
pH調整剤:2N塩酸(関東化学)
pH調整剤は、繊維処理剤組成物のpH(25℃)が2.5になる量を添加した。
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)
BHTの配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.01質量%であった。
防腐剤:イソチアゾロン液(商品名:ケーソンCG)
防腐剤の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.01質量%であった。
水:イオン交換水
水はバランス量で配合した。
【0088】
繊維処理剤組成物の調製
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)とを用い、表1に記載の組成を有する繊維処理剤組成物を、下記の製法I、製法II又は製法IIIに従い調製した。
【0089】
製法I
まず、(A)成分、酸化防止剤を予め溶解した(E)成分、及び、(D−1)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。
他方、防腐剤及び(G)成分を水に溶解させて水相混合物を得た。
次に、50℃〜60℃に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、50℃〜60℃に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌して乳化物を得た。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とした。攪拌は、回転速度1500rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。
得られた乳化物へ(C)成分を添加し、30℃に冷却した。続いて、(D−2)成分を含む水へ(B)成分を滴下して得られた乳化物を添加(添加工程の温度:30℃)し、更に必要に応じて(F)成分及びpH調整剤を添加してpH2.5(25℃)に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤組成物を得た。
製法Iに従い製造した繊維処理剤組成物を、表1の「製法」欄に「製法I」で示す。
【0090】
製法II
まず、(A)成分、酸化防止剤を予め溶解した(E)成分、及び、(D−1)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。
他方、防腐剤及び(G)成分を水に溶解させて水相混合物を得た。
次に、50℃〜60℃に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、50℃〜60℃に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌して乳化物を得た。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とした。攪拌は、回転速度1500rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。
得られた乳化物へ(C)成分を添加した。続いて、(D−2)成分を含む水へ(B)成分を滴下して得られた乳化物を添加し、更に必要に応じて(F)成分を添加した。添加工程の温度は、45℃〜55℃であった。その後、pH調整剤を添加してpH2.5(25℃)に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤組成物を得た。
製法IIに従い製造した繊維処理剤組成物を、表1の「製法」欄に「製法II」で示す。
なお、製法Iと製法IIとの相違は、(B)成分の乳化物を添加する工程の温度(換言すれば、(B)成分の乳化物が添加される乳化物の温度)である。
【0091】
製法III
まず、(A)成分、酸化防止剤を予め溶解した(E)成分、及び、(D−1)成分、(D−2)成分、更に(B)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。
他方、防腐剤及び(G)成分を水に溶解させて水相混合物を得た。
次に、50℃〜60℃に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、50℃〜60℃に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌して乳化物を得た。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とした。攪拌は、回転速度1500rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。
得られた乳化物へ(C)成分を添加した。更に必要に応じて(F)成分を添加した。添加工程の温度は、45℃〜55℃であった。その後、pH調整剤を添加してpH2.5(25℃)に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤組成物を得た。
製法IIIに従い製造した繊維処理剤組成物を、表1の「製法」欄に「製法III」で示す。
なお、製法IIIと、製法I及び製法IIとの相違は、(B)成分及び(D−2)成分の添加時期(製法IIIでは、(B)成分及び(D−2)成分を油相混合物へ予め添加している)である。
【0092】
調製した各繊維処理剤組成物を保存処理に付し、保存後の繊維処理剤組成物の風合い付与効果、使用性、香り(残香性)及び外観を評価した。
【0093】
保存後の繊維処理剤組成物の風合い付与効果
1.繊維処理剤組成物の保存方法
繊維処理剤組成物100mlをガラス瓶へ入れて密栓して、40℃の恒温槽中で1ヶ月間保管した。
2.評価用布の前処理方法
市販の綿肌シャツ(BVD製)を市販洗剤「ブルーダイヤ」(ライオン社製)により二槽式洗濯機(三菱電機製CW−C30A1−H)を用いて3回前処理を行なった(洗剤標準使用量:浴比30倍。45℃の水道水。10分間の洗浄後、10分間の注水すすぎ2回)。
3.洗濯時すすぎ工程における繊維処理剤組成物による処理
前処理洗浄した綿肌シャツ1.5kgを、縦型全自動洗濯機(東芝製TW-80V)を用いてお任せコース/設定にて洗濯をした(洗浄15分、すすぎ2回、脱水5分)。使用洗剤は「トップNANOX」(ライオン社製)であった。洗剤使用量は10mLであった。
ためすすぎ2回目に自動投入口より繊維処理剤組成物を投入した。繊維処理剤組成物の使用量は10mLであった。
処理後、20℃、60%RHの恒温恒湿条件下で綿肌シャツを16時間乾燥させ、下記に示す評価試験に供した。
4.風合いの評価
処理後の評価用布の風合いを、滑らか且柔らかな感触を指標に評価した。具体的には、各繊維処理剤組成物での処理により綿肌シャツへもたらされた風合いの良さを、以下の評価基準に従い官能評価し、一対比較を行った。
対照には、市販の繊維処理剤である「ふんわりソフラン」(ライオン社製)を用い、上記3と同方法で柔軟処理した綿肌シャツを使用した。
評価は、専門パネラー5人により行った。
<評価基準>
5:対照よりもかなり感触が良い
4:対照よりもやや感触が良い
3:対照と同等
2:対照よりもやや感触がよくない
1:対照よりもかなり感触がよくない
パネラー5名の点数の平均をとり、平均点3.0点以上を、保存後の繊維処理剤組成物が有する風合い付与効果として合格であると判定した。平均点を、表1の「風合い付与効果」の欄に示す。
【0094】
保存後の繊維処理剤組成物の使用性
保存後の繊維処理剤組成物の使用性を、粘度を指標に評価した。具体的には、各繊維処理剤組成物400mLを、市販の繊維処理剤の容器(ライオン(株)社製「香りとデオドラントのソフラン アロマナチュラル」の容器)に入れて密栓して、40℃で6ヶ月間保存した。保存後の繊維処理剤組成物の使用性を、粘度上昇及び計量キャップに計量する際の注ぎやすさの観点で、以下の評価基準に従い評価した。評価は、専門パネラー3人により行った。
<評価基準>
3:問題なく計量できる
2:粘度上昇はみられるが、問題なく計量できる
1:粘度上昇がみられ、計量しにくい又は計量できない
パネラー3名の点数の平均をとり、平均点2.0点以上を、繊維処理剤組成物としての商品価値上合格であると判定した。平均点を、表1の「使用性」の欄に示す。
【0095】
処理タオルの残香性
1.評価用布の前処理方法
評価用布として綿タオル(東進)を用いたことを除き、前述した「保存後の繊維処理剤組成物の風合い付与効果」の「2.評価用布の前処理方法」欄に記載の手順に従い、評価用布を前処理した。
2.洗濯時すすぎ工程における繊維処理剤組成物による処理
前処理洗浄した綿タオル600gを、縦型全自動洗濯機(東芝製TW-80V)を用いてお任せコース/設定にて洗濯をした(洗浄8分、すすぎ2回、脱水5分)。使用洗剤は「トップNANOX」(ライオン社製)であった。洗剤使用量は4mLであった。
ためすすぎ2回目に自動投入口より繊維処理剤組成物を投入した。繊維処理剤組成物の使用量は4mLであった。
処理後、綿タオルを一晩自然乾燥させ、その後20℃、60%部屋内にある衣装ケースに入れた。衣装ケースに入れてから3日後の残香性を下記に示す試験に供した。
3.残香性評価
処理後の評価用布の残香性を、香りの強度(臭気強度)を指標にして、以下の評価基準に従い評価した。評価は、専門パネラー5人により行った。
<評価基準>
5点:強烈なニオイ
4点:強いニオイ
3点:楽にわかるニオイ
2点:弱いニオイ
1点:何のニオイであるかわからない弱いニオイ(閾値)
0点:無臭
パネラー5名の点数の平均をとり、平均点2.0点以上を、繊維処理剤組成物としての商品価値上合格であると判定した。平均点を、表1の「残香性」の欄に示す。
【0096】
保存後の繊維処理剤組成物の外観
1.繊維処理剤組成物の保存方法
前述した「保存後の繊維処理剤組成物の風合い付与効果」の「1.繊維処理剤組成物の保存方法」欄に記載の手順に従い、繊維処理剤組成物を保存した。
2.外観の評価
保存後の繊維処理剤組成物の外観を、以下の評価基準に従い評価した。
<評価基準>
×:油性成分が浮いており、かつ、5℃保存品と比較して外観が黄変している。
△:油性成分が極わずかに浮いており、かつ、5℃保存品と比較して外観が黄変している。
○:油性成分の浮きはないが、5℃保存品と比較して外観が黄変している。
◎:外観上全く問題はない(均一)。
上記評価基準中、5℃保存品とは、保管温度を5℃としたことを除き、「1.繊維処理剤組成物の保存方法」欄に記載の手順に従い、繊維処理剤組成物を保存したものである。
「△」、「○」及び「◎」を、繊維処理剤組成物の外観として問題がなく、商品価値上合格であると判定した。判定結果を、表1の「外観」の欄に示す。