特許第6429410号(P6429410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6429410毛髪染色組成物、キット、方法、及びこれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429410
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】毛髪染色組成物、キット、方法、及びこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20181119BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20181119BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20181119BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20181119BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/41
   A61K8/22
   A61K8/02
   A61Q5/10
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-560732(P2016-560732)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-509681(P2017-509681A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015023962
(87)【国際公開番号】WO2015153819
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年10月3日
(31)【優先権主張番号】14163250.5
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502355808
【氏名又は名称】ノクセル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】オズゲ オドマン シュミッド
(72)【発明者】
【氏名】マティア クルネ
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/004784(WO,A1)
【文献】 特開2011−132240(JP,A)
【文献】 特表2012−512856(JP,A)
【文献】 特開2010−143911(JP,A)
【文献】 特開2007−320923(JP,A)
【文献】 特開2003−081792(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/004451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61K 8/02
A61K 8/22
A61K 8/41
A61Q 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分(A)と第2の成分(B)とを含む毛髪染色組成物であって、
a)前記第1の成分(A)が、化粧用に許容し得る担体中に、
−1つ以上のアルカリ化剤と、
−2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体と、を含み、
b)前記第2の成分(B)が、化粧用に許容し得る担体中に、1つ以上の酸化剤を含み、
前記第1の成分(A)及び第2の成分(B)のうちの少なくとも1つが、1つ以上の油を含み、前記第1の成分(A)及び前記第2の成分(B)を混合した後の前記組成物中の前記油の総量が、前記組成物の総重量の20重量超である、毛髪染色組成物。
【請求項2】
前記第1の成分(A)及び前記第2の成分(B)を混合した後の前記組成物中の前記油の総量が、前記組成物の総重量の少なくとも30重量%である、請求項1に記載の毛髪染色組成物。
【請求項3】
前記第1の成分(A)及び前記第2の成分(B)を混合した後の前記組成物中の前記油の総量が、前記組成物の総重量の少なくとも50重量%である、請求項1に記載の毛髪染色組成物。
【請求項4】
前記第1の成分(A)及び第2の成分(B)が、5:1〜1:5の重量比で混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項5】
前記第1の成分(A)及び第2の成分(B)が、3:1〜1:3の重量比で混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項6】
前記第1の成分(A)及び第2の成分(B)が、2:1〜1:2の重量比で混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項7】
前記第1の成分(A)及び第2の成分(B)が、1:1の重量比で混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項8】
前記第1の成分(A)が、前記第1の成分(A)の総重量の5重量%〜40重量%の総量の油を含む水中油型正エマルション(direct emulsion)であり、前記第2の成分(B)が、前記第2の成分(B)の総重量の20重量%〜70重量%の総量の油を含む油中水型逆エマルションである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項9】
前記第1の成分(A)が、前記第1の成分(A)の総重量の30重量%〜70重量%の総量の油を含む油中水型逆エマルションであり、前記第2の成分(B)が、前記第2の成分(B)の総重量の30重量%〜70重量%の総量の油を含む油中水型逆エマルションである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項10】
前記第2の成分(B)が、前記第2の成分(B)の総重量の30重量%〜65重量%の総量の油を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項11】
前記第1の成分(A)及び/又は前記第2の成分(B)が、1つ以上の界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項12】
前記アルカリ化剤が、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、アルカノールアミン、グアニジニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項13】
前記油が、〜C16アルカン、脂肪族アルコール、脂肪酸のエステル、脂肪族アルコールのエステル、動物、植物、鉱物、又は合成起源の非シリコーン油、非シリコーンろう、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項14】
前記油が、流動パラフィン、液体石油ゼリー、ポリデセン、脂肪酸の液体エステル、脂肪族アルコールの液体エステル、液体脂肪族アルコール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項15】
前記油が、液体石油ゼリー、ポリデセン、液体脂肪族アルコール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項16】
前記油が、流動パラフィン、液体石油ゼリー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項17】
それぞれ以下を含む第1、第2、及び第3のユニットを含む、毛髪を染色するためのキット:
a)第1の組成物であって、
−1つ以上のアルカリ化剤と、
−2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体と、を含む第1の組成物、
b)1つ以上の酸化剤を含む第2の組成物、
c)1つ以上の油を含む第3の組成物
であって、前記第1、第2、及び第3の組成物を混合した後の組成物中の前記油の総量が、前記第1、第2、及び第3の組成物を混合した後の組成物の総重量の20重量%超である、毛髪を染色するためのキット。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の第1の成分(A)及び第2の成分(B)をそれぞれ含む第1及び第2のユニットを含む毛髪を染色するためのキット。
【請求項19】
コンディショニング組成物、前処理組成物、リフレッシャー組成物、希釈剤組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される第3の成分を含む第3のユニットを更に含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に塗布することを含む、毛髪を染色する方法。
【請求項21】
−請求項1〜16のいずれか一項に記載の第1の成分(A)を提供することと、
−請求項1〜16のいずれか一項に記載の第2の成分(B)を提供することと、
−毛髪染色組成物を得るために前記第1の成分(A)と前記第2の成分(B)とを混合し、前記得られた組成物を毛髪に塗布するか、又は前記第1の成分(A)及び前記第2の成分(B)を途中ですすぐことなく逐次毛髪に塗布することと、
−任意選択的に、前記塗布された組成物を、毛髪を染色するのに十分な時間毛髪上に放置することと、
−任意選択的に、すすぎ組成物又は水を使用して毛髪をすすぐことと、
−任意選択的に、クレンジング組成物を使用して毛髪を洗浄することと、
−任意選択的に、コンディショニング及び/又は処理組成物で毛髪を処理することと、
任意選択的に、毛髪を乾燥させることと、を含む、請求項20に記載の毛髪を染色する方法。
【請求項22】
以下を含む毛髪染色組成物で染色される毛髪の色の強度を増大させるための1つ以上の油の使用:
−1つ以上の酸化剤、
−1つ以上のアルカリ化剤、
−2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体
であって、前記毛髪染色組成物中の前記1つ以上の油の総量が、前記毛髪染色組成物の総重量の20重量%超である、毛髪染色組成物で染色される毛髪の色の強度を増大させるための1つ以上の油の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される酸化染料前駆体を含む毛髪染色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪染料を塗布することによって毛髪の色を永続的に変化させることは、周知である。消費者に所望の色合い及び色の強度を提供するために、複雑な化学的プロセスが利用される。永続的な毛髪染色製剤は、典型的に、酸化毛髪染料前駆体を含み、これは、毛小皮を通して毛髪に及び毛皮質に拡散することができ、そこで、次に、互いに及び好適な酸化剤と反応して最終的な染料分子を形成する。得られる分子は、サイズがより大きくなるため、水及び/又は洗剤によるその後の洗浄中に毛髪から容易に拡散することができず、そのため、消費者が望む色の永続性が得られる。この反応は、典型的に、アルカリ化剤及び酸化剤の存在下、およそpH10で起こる。典型的には、酸化剤を含む酸化組成物(顕色剤及び/又は酸化成分とも呼ばれる)、及びアルカリ化剤を含む染料組成物(ティント又は染料成分とも呼ばれる)、及び前駆体染料分子を使用直前に混合する。消費者は、所望の毛髪の色及び色合い及び色の強度を維持するため、そして、新たに成長した毛髪の被覆を含む、毛髪の連続的で均一な被覆を確保するために、このプロセスを定期的に繰り返す。
【0003】
2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体を含む毛髪染色製剤は、既に開発されている。本発明者らは、このような毛髪染色製剤を毛髪に塗布したとき、所望の毛髪の色の強度を得るためには、p−フェニレンジアミン又はトルエン−2,5−ジアミン等の他の種類の酸化染料前駆体を含む製剤よりも高い濃度の酸化染料前駆体が必要になることに気付いた。しかし、これら製剤に含まれる酸化染料前駆体の濃度を増大させることによって、このような製剤で染色された毛髪の全長(毛根から毛尖まで)に沿って得られる最終的な色が、常に均一にならなくなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、最終的に得られる色の全体的な均一性を損なうことなく、これら製剤で染色された毛髪の所望の色の強度を得ることが依然として必要とされている。
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体を含む製剤に油を添加することによって、所望の毛髪の色の強度を得るためにこれら製剤に含まれている酸化染料前駆体の濃度を低減できることを見出した。その結果、最終的に得られる色を全体的により均一にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、毛髪染色組成物であって、化粧用に許容し得る担体中に、
−1つ以上の酸化剤と、
−1つ以上のアルカリ化剤と、
−2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体と、
−1つ以上の油と、を含み、
前記組成物の総重量の20%超、又は少なくとも30%、又は少なくとも50%の総量の前記油を含む、毛髪染色組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、第1の成分と第2の成分とを含む毛髪染色組成物であって、
a)前記第1の成分が、化粧用に許容し得る担体中に、
−1つ以上のアルカリ化剤と、
−2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体と、を含み、
b)前記第2の成分が、化粧用に許容し得る担体中に、1つ以上の酸化剤を含み、
前記第1及び第2の成分のうちの少なくとも1つが、1つ以上の油を含み、前記第1の成分及び前記第2の成分を混合した後の前記組成物中の前記油の総量が、前記組成物の総重量の20%超、又は少なくとも30%、又は少なくとも50%である、毛髪染色組成物に関する。
【0008】
更に、本発明は、また、毛髪を染色するためのキット、及びこのような組成物を用いて毛髪を染色する方法に関する。
【0009】
最後に、本発明は、また、1つ以上の酸化剤と、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体とを含む組成物で染色される毛髪の色の強度を増大させるための1つ以上の油の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用するとき、処理される「毛髪」という用語は、「生存」、すなわち、生体上に存在していてもよく、「非生存」、すなわち、かつら、ヘアピース、又は他の非生存ケラチン繊維の集合体であってもよい。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかし、羊毛、毛皮、及び他のケラチン含有繊維は、本発明に係る組成物に好適な基材である。
【0011】
「毛髪染色」組成物とは、毛髪の色を変えるのに好適な組成物を意味する。毛髪染色組成物は、特に指定しない限り、以後「組成物」と記載される。
【0012】
特に指定しない限り、全ての百分率は、全毛髪染色組成物、すなわち、すぐに使える組成物の重量によるものである。処理中に1超の組成物を使用する場合、考慮すべき総重量は、特に指定のない限り、典型的に酸化組成物(顕色剤及び/又は酸化組成物/成分とも呼ばれる)を染料組成物(ティント、及び/又は染料組成物/成分とも呼ばれる)と混合することにより得られる、毛髪上に同時に塗布される全ての組成物の総重量(すなわち、「頭部上」にみられる重量)である。全ての比又は百分率は、具体的に記載しない限り、重量比又は重量パーセントである。
【0013】
「油」は、本明細書では、常温(25℃)及び大気圧(101kPa(760mmHg))において水に不溶性である、すなわち、水溶解度が5重量%未満、又は1重量%未満、又は0.1重量%未満である有機化合物を指すために用いられる。油は、その構造中に、少なくとも2個のシロキサン基の鎖、又は少なくとも6個の炭素原子を有する少なくとも1本の炭化水素鎖を有する。更に、油は、一般的に、同じ条件の温度及び圧力において、有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性である。更に、油は、常温(25℃)及び大気圧(101kPa(760mmHg))において液体である。油は、好ましくは、カルボン酸官能基を全く含有しない、すなわち、−COOH又は−COO-基を全く含有しない。
【0014】
毛髪染色組成物
本発明は、化粧用に許容し得る担体中に、1つ以上の酸化剤と、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体と、1つ以上の油とを含む毛髪染色組成物に関する。組成物は、該組成物の総重量の20%超の総量の油を含む。
【0015】
エマルション
また、本発明は、第1の成分(A)と第2の成分(B)とを含む毛髪染色組成物に関する。第1の成分(A)は、化粧用に許容し得る担体中に、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体とを含む。第2の成分(B)は、化粧用に許容し得る担体中に、1つ以上の酸化剤を含む。第1の成分(A)及び第2の成分(B)のうちの少なくとも1つは、1つ以上の油を含む。
【0016】
第1の成分(A)及び第2の成分(B)を混合した後の組成物中の油の総量は、該組成物の総重量の20%超である。
【0017】
第1及び第2の成分(A)及び(B)は、5:1〜1:5、又は3:1〜1:3、又は2:1〜1:2、又は1:1の比で混合してよい。
【0018】
第1の成分(A)は、該第1の成分(A)の総重量の5%〜40%、又は10%〜30%の総量の油を含む水中油型正エマルション(direct emulsion)であってよく、第2の成分(B)は、該第2の成分(B)の総重量の20%〜70%の総量の油を含む油中水型逆エマルションであってよい。
【0019】
あるいは、第1の成分(A)は、該第1の成分(A)の総重量の30%〜70%、又は40%〜65%の総量の油を含む油中水型逆エマルションであってよく、第2の成分(B)は、該第2の成分(B)の総重量の30%〜70%の総量の油を含む油中水型逆エマルションであってよい。
【0020】
第2の成分(B)は、該第2の成分(B)の総重量の30%〜65%、又は40%〜65%の総量の油を含んでよい。
【0021】
本発明に係る逆エマルション(油中水型)及び正エマルション(水中油型)は、真のエマルションであり、真のエマルションとは異なり、熱力学的に安定な系であるマイクロエマルションとは区別すべきである。
【0022】
エマルションは、当業者に周知である、逆又は正エマルションを調製するための標準的なプロセスを介して調製することができる。逆又は正エマルションの分散相の滴径は、10nm〜100μm、又は200nm〜50μmであってよい。
【0023】
用語「分散相の滴径」とは、特にレーザー粒度計を用いて測定することができる、滴の平均直径D(3.2)を指すために本明細書で使用される。
【0024】
本発明に係る毛髪染色組成物が、特に有利である。実際、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンを含む毛髪染色組成物に油を導入することによって、このような組成物で染色される毛髪の色の強度を増大させることができる。したがって、所望の色の強度を得るために、これら組成物に含まれる2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンをより低濃度で用いることができる。したがって、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンの濃度を低減することによって、毛髪の全長に沿って最終的に得られる色をより均一にすることができる。
【0025】

組成物は、1つ以上の油を含む。上述の通り、組成物は、該組成物の総重量の20%超の総量の油を含む。組成物は、該組成物の総重量の少なくとも30%、又は少なくとも50%の総量の油を含み得る。
【0026】
あるいは、組成物は、該組成物の総重量の25%〜70%、又は30%〜70%、又は40%〜70%、又は50%〜70%の総量の油を含み得る。
【0027】
油は、低級アルカン、脂肪族アルコール、脂肪酸のエステル、脂肪族アルコールのエステル、動物、植物、鉱物、又は合成起源の非シリコーン油、非シリコーンろう、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0028】
脂肪族アルコール及びエステルは、任意選択的に、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基(例えば、1〜4)で置換されている、6〜30個の炭素原子を含む少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和炭化水素基を有していてよい。飽和である場合、これら化合物は、1〜3個の、共役又は非共役炭素−炭素二重結合を有し得る。
【0029】
顕色剤成分と染料成分とを混合することによって本発明の組成物を得る場合、顕色剤成分及び/又は染料成分に油を配合してよい。あるいは、油は、別個の成分、すなわち、顕色剤成分及び染料成分と混合される油成分に配合してもよい。
【0030】
低級アルカン
「低級アルカン」は、6〜16個の炭素原子を有し、かつ直鎖又は分枝鎖又は環状であるアルカンを指すために本明細書で使用される。低級アルカンは、ヘキサン、ドデカン、イソパラフィン(例えば、イソヘキサデカン及びイソデカン)、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0031】
脂肪族アルコール
脂肪族アルコールは、6〜30個の炭素原子、より具体的には8〜30個の炭素原子を有する非アルコキシ化、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖アルコールから選択してよい。脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイン酸アルコール、リノール酸アルコール、及びこれらの混合物から選択してよい。
【0032】
脂肪族エステル
脂肪酸又は脂肪族アルコールのエステルは、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖C1〜C26脂肪族一酸又は多価酸と、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖C1〜C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステルであってよく、該エステルの炭素の合計数は、10以上である。
【0033】
モノエステルの中でも、非限定的に以下に言及することができる:ジヒドロアビエチルべへネート;オクチルドデシルべへネート;イソセチルべへネート;セチルラクテート;C12〜C15アルキルラクテート;イソステアリルラクテート;ラウリルラクテート;リノレイルラクテート;オレイルラクテート;(イソ)ステアリルオクタノエート;イソセチルオクタノエート;オクチルオクタノエート;セチルオクタノエート;デシルオレエート;イソセチルイソステアレート;イソセチルラウレート;イソセチルステアレート;イソデシルオクタノエート;イソデシルオレエート;イソノニルイソノナノエート;イソステアリルパルミテート;メチルアセチルリシノレエート;ミリスチルステアレート;オクチルイソノナノエート;2−エチルヘキシルイソノネート;オクチルパルミテート;オクチルペラルゴネート;オクチルステアレート;オクチルドデシルエルケート;オレイルエルケート;エチル及びイソプロピルパルミテート、エチル−2−ヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えば、イソプロピル、ブチル、セチル、2−オクチルドデシル、ミリスチル、ステアリルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、及び2−ヘキシルデシルラウレート。
【0034】
更に非限定的に以下のエステルに言及することができる:C4〜C22ジ−又はトリカルボン酸とC1〜C22アルコールとのエステル、及びモノ−、ジ−又はトリカルボン酸とC2〜C26ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステル。
【0035】
エステルの更なる非限定的な例としては、以下が挙げられる:ジエチルセバケート;ジイソプロピルセバケート;ジイソプロピルアジペート;ジ−n−プロピルアジペート;ジオクチルアジペート;ジイソステアリルアジペート;ジオクチルマレエート;グリセリルウンデシレネート;オクチルドデシルステアロイルステアレート;ペンタエリスリチルモノリシノレエート;ペンタエリスリチルテトライソノナノエート;ペンタエリスリチルテトラペラルゴネート;ペンタエリスリチルテトライソステアレート;ペンタエリスリチルテトラオクタノエート;プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールジカプレート、トリデシルエルケート;トリイソプロピルシトレート;トリイソテアリルシトレート;グリセリルトリラクテート;グリセリルトリオクタノエート;トリオクチルドデシルシトレート;トリオレイルシトレート、プロピレングリコールジオクタノエート;ネオペンチルグリコールジヘプタノエート;ジエチレングリコールジイサノネート;及びポリエチレングリコールジステアレート。
【0036】
上述のエステルの中でも、例示的なエステルとしては、エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル、ステアリルパルミテート、エチル−2−ヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えば、イソプロピル、ブチル、セチル、2−オクチルドデシルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルラウレート、及びイソノニルイソノナネート、セチルオクタノエートが挙げられる。
【0037】
エステルは、糖のC6〜C30又はC12〜C22脂肪酸エステル及びジエステルであってよい。「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基を有するか又は有しない、幾つかのアルコール官能基を含み、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素化合物を指すために本明細書で使用される。これら糖類は、単糖類、オリゴ糖類、又は多糖類であってよい。
【0038】
好適な糖類として、非限定的な例としては、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトース、及びこれらの誘導体、特に、アルキル誘導体、例えば、メチル誘導体、例えば、メチルグルコースが挙げられる。
【0039】
糖類及び脂肪酸のエステルは、例えば、既に記載した糖類と、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和C6〜C30又はC12〜C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物から選択してよい。飽和である場合、これら化合物は、1〜3個の、共役又は非共役炭素−炭素二重結合を有し得る。
【0040】
また、エステルは、モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラエステル、ポリエステル、並びにこれらの混合物から選択してよい。
【0041】
エステルは、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油エステル(cocoates)、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、アラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、オレオ−パルミチン酸エステル、オレオ−ステアリン酸エステル、パルミト−ステアリン酸エステル混合エステルから選択してよい。
【0042】
メチルグルコースジオレエートである、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOという名称で販売されている製品に非限定的に言及することができる。
【0043】
動物、植物、鉱物、又は合成起源の非シリコーン油
非シリコーン油は、動物起源の炭化水素油、例えば、ペルヒドロスクアレンから選択してよい。
【0044】
非シリコーン油は、植物起源の炭化水素油、例えば、6〜30個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド、又は例えば、ヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、ククルビタ油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標)810、812、及び818という名称で販売されているもの、ホホバ油、シアバター油から選択してよい。
【0045】
非シリコーン油は、鉱物又は合成起源の、直鎖又は分枝鎖の、16個超の炭化水素を有する炭化水素、例えば、パラフィン油、石油ゼリー、流動パラフィン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えば、Parleam(登録商標)から選択してよい。
【0046】
非シリコーンろう
非シリコーンろうは、カルナウバろう、キャンデリラろう、パラフィンろう、オゾケライト、植物ろう、例えば、オリーブろう、米ろう、水素化ホホバろう、又は花の無水ろう(absolute waxes of flowers)、例えば、BERTIN社(フランス)によって販売されているカシスの花の精ろう(essential wax)、動物ろう、例えば、みつろう又は変性みつろう(Cera Bellina)から選択してよい。本開示に従って使用可能な他のろう又はろう原材料は、例えば、一般的にポリエチレン又はポリオレフィンのろうである、SOPHIM社からM82として販売されている海洋ろうである。
【0047】
シリコーン
本発明に係る組成物において使用可能なシリコーンとしては、有機基で修飾されているか又はされていない、25℃で5×10-6〜2.5m2/s又は1×10-5〜1m2/sの粘度を有する、揮発性又は不揮発性の、環状、直鎖又は分枝鎖シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
シリコーンは、油、ろう、樹脂、又はゴムの形態であってよい。
【0049】
シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びポリ(アルコキシ化)基、アミン基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1個の官能基を有する有機修飾ポリシロキサン等から選択してよい。オルガノポリシロキサンは、Walter NOLLの著作物「Chemistry and Technology of Silicones」(1968),Academic Pressにより詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性又は不揮発性であってよい。
【0050】
揮発性である場合、シリコーンは、例えば、60℃〜260℃の沸点を有するものから選択してよく、更なる例については、3〜7個又は4〜5個のケイ素原子を有する環状ポリジアルキルシロキサンから選択してよい。例えば、Union CarbideによってVolatile Silicone(登録商標)7207という名称で又はRhodiaによってSilbione(登録商標)70045 V2という名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union CarbideによってVolatile Silicone(登録商標)7158という名称で又はRhodiaによってSilbione(登録商標)70045 V5という名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びこれらの混合物であってよい。また、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば、以下の式を有する、Union CarbideによるVolatile Silicone(登録商標)FZ 3109について非限定的に言及することができる。
【0051】
【化1】
【0052】
更に、環状ポリジアルキルシロキサンとケイ素に由来する有機化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ−1,1'−(ヘキサ−2,2,2',2',3,3',−トリメチルシリルオキシ)ビス−ネオペンタンとの混合物について非限定的に言及することができる。
【0053】
他の好適な揮発性シリコーンとしては、2〜9個のケイ素原子を有し、かつ25℃で5×10-62/s以下の粘度を有する直鎖揮発性ポリジアルキルシロキサンが挙げられる。例は、TORAY SILICONE社によって「SH200」という名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に含まれるシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,January 76,p.27〜32に掲載された論文である、TODD BYERS「Volatile Silicone fluids for cosmetics」にも記載されている。
【0054】
更に、不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンのゴム及び樹脂、上述の有機官能基で修飾されたポリオルガノシロキサン、並びにこれらの混合物について非限定的に言及することができる。
【0055】
これらシリコーンは、例えば、ポリジアルキルシロキサン、例えば、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンから選択される。シリコーンの粘度は、透明及び不透明な液体の運動粘度のための標準的な試験方法(及び動的粘度の算出)に従って25℃で測定される。
【0056】
本開示に従って使用可能なシリコーンゴムは、例えば、ポリジアルキルシロキサン、例えば、単独で又は溶媒中で混合されて用いられる200,000〜1,000,000の高い数平均分子量を有するポリジメチルシロキサンである。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカン、及びこれらの混合物から選択してよい。
【0057】
本開示に従って使用可能なオルガノポリシロキサン樹脂としては、単位:R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2、及びSiO4/2(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を有するアルキルを表す)を含有する架橋シロキサン系が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Rは、C1〜C4低級アルキル基、例えば、メチルを意味する。
【0058】
本開示に従って使用可能な有機変性シリコーンとしては、その構造中に、炭化水素基によって固定されている少なくとも1つの有機官能基を有する、既に定義したシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
上記シリコーンに加えて、有機変性シリコーンは、前述の有機官能基によって官能化されているポリジアリールシロキサン(例えば、ポリジフェニルシロキサン)及びポリアルキル−アリールシロキサンであってよい。
【0060】
ポリアルカリールシロキサンは、例えば、25℃で1×10-5〜5×1022/sの粘度を有する、直鎖及び/又は分枝鎖の、ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、ポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0061】
油は、任意のオキシアルキレン単位又は任意のグリセロール単位を含まなくてもよい。
【0062】
油は、好ましくは、カルボン酸官能基を全く含有しない、すなわち、−COOH又は−COO-基を全く含有しない。油がカルボン酸官能基を含有する場合、油は、例えば、オレイン酸であってよい。
【0063】
油は、流動パラフィン、液体石油ゼリー、ポリデセン、脂肪酸の液体エステル、脂肪族アルコールの液体エステル、液体脂肪族アルコール、及びこれらの混合物から選択してもよく、あるいは、液体石油ゼリー、ポリデセン、液体脂肪族アルコール、及びこれらの混合物から選択してもよく、あるいは、流動パラフィン、液体石油ゼリー、及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0064】
上述した各特定の油又はその混合物の量は、組成物中の油の総量の100%まで(又は100%)を占めることができる。
【0065】
酸化剤
組成物は、1つ以上の酸化剤を含む。当該技術分野において公知の任意の酸化剤を使用してよい。好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で使用するとき、「水溶性」は、標準的な条件において、少なくとも約0.1g、好ましくは約1g、より好ましくは約10gの酸化剤が、25℃で1リットルの脱イオン水に溶解できることを意味する。酸化剤は、メラニンの初期可溶化及び脱色(漂白)に有益であり、毛幹中の酸化染料前駆体の酸化(酸化的染色)を加速させる。
【0066】
組成物は、該組成物の総重量の0.1%〜10%、あるいは1%〜7%、あるいは2%〜5%の総量の酸化剤を含んでよい。以下に記載する各特定の酸化剤又はその混合物の量は、組成物中の酸化剤の総量の100%まで(又は100%)を占めることができる。
【0067】
好適な水溶性酸化剤としては、水溶液中において過酸化水素を生成できる無機過酸素物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好適な水溶性過酸素酸化剤としては、過酸化水素;無機アルカリ金属過酸化物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム);有機過酸化物(例えば、過酸化尿素及び過酸化メラミン);無機水和物塩漂白化合物(例えば、アルカリ金属の過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等);及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。無機過水和物塩は、例えば、一水和物、四水和物として配合してよい。アルキル/アリール過酸化物及び/又はペルオキシダーゼを使用してもよい。必要に応じて、2つ以上のこのような酸化剤の混合物を用いることもできる。酸化剤は、水溶液に提供してもよく、又は使用前に溶解させる粉末として提供してもよい。
【0069】
組成物は、過酸化水素、過炭酸塩、過硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の水溶性酸化剤を含んでよい。
【0070】
本明細書において用いるための潜在的な酸化剤は、過酸化水素の供給源及び炭酸水素イオンの供給源からその場で形成されるペルオキシモノカーボネートイオンの供給源である。更に、この系は、また、アンモニア又はアンモニウムイオンの供給源と組み合わせて特に有効である。したがって、これらのペルオキシモノカーボネートイオンの任意の供給源を使用してよい。本明細書において使用するのに好適な供給源としては、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、並びにこれらの混合物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。過炭酸塩は、酸化剤として、及び炭酸イオンの供給源としての両方で使用してよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0071】
本発明の組成物が、顕色剤成分と染料成分とを使用前に混合することによって得られる場合、酸化剤は、顕色剤成分中に存在してよい。顕色剤成分は、任意の市販品を含む、任意の所望の配合シャーシに基づいてよい。典型的な顕色剤成分は、顕色剤組成物の総重量に対して、約6%又は約9%のH22を含む。市販例は、INCI成分として、水、H22、セテアリルアルコール、セテアレス−25、サリチル酸、リン酸、リン酸二ナトリウム、エチドロン酸を含む、Wellaによって販売されている、それぞれ約6%及び約9%のH22を含む、Welloxon(登録商標)エマルションである。
【0072】
アルカリ化剤
組成物は、1つ以上のアルカリ化剤を含む。当該技術分野において公知の任意のアルカリ化剤を使用してよい。典型的に、組成物は、該組成物の総重量の0.1%〜10%、あるいは0.5%〜6%、あるいは1%〜4%の総量のアルカリ化剤を含んでよい。下記各特定のアルカリ化剤又はその混合物の量は、組成物中のアルカリ化剤の総量の100%まで(又は100%)を占めることができる。
【0073】
アルカリ化剤は、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、グアニジウム塩、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ金属炭酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。あるいは、アルカリ化剤は、アンモニア、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。あるいは、アルカリ化剤は、モノエタノールアミンであってよい。
【0074】
好ましくは、存在する場合、アンモニウムイオン及び炭酸イオンは、3:1〜1:10、あるいは2:1〜1:5の重量比で組成物中に存在する。
【0075】
本発明の組成物が、顕色剤成分と染料成分とを使用前に混合することによって得られる場合、アルカリ化剤は、一般的に、染料成分中に存在する。
【0076】
組成物は、アンモニアを実質的に含まなくてもよい。用語「アンモニアを実質的に含まない」とは、本発明の組成物が、アンモニア(アンモニウムイオンを含む)を完全に含まないか、又は感知できない量、例えば、組成物の総重量の1%以下、又は0.5%以下、又は0.3%以下、又は0.1%以下のアンモニア(アンモニウムイオンを含む)しか含まないことを意味する。組成物がアンモニアを実質的に含まない実施形態では、該組成物は、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンを含んでよい。
【0077】
酸化染料前駆体
組成物は、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体を含む。2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンの塩は、硫酸塩、塩化物塩、シュウ酸塩、及びこれらの混合物から選択してよい。
【0078】
組成物は、該組成物の総重量の0.01%〜2%、あるいは0.5%〜2.00の総量の、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化染料前駆体を含んでよい。
【0079】
組成物は更に、通常、一次中間体(顕色剤としても知られている)又はカップラー(二次中間体としても知られている)のいずれかに分類される、更なる酸化染料前駆体を含んでもよい。異なる色合いを得るために、様々なカップラーを一次中間体と共に使用してよい。酸化染料前駆体は、遊離塩基、又はこれらの化粧用として許容し得る塩であってよい。
【0080】
典型的に、組成物は、該組成物の総重量の12%以下、あるいは0.1%〜10%、あるいは0.3%〜8%、あるいは0.5%〜6%の総量の酸化染料前駆体を含んでよい。
【0081】
好適な一次中間体としては、トルエン−2,5−ジアミン、p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン)、2−(1,2−ジヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,2'−(2−(4−アミノフェニルアミノ)エチルアザンジイル)ジエタノール、2−(2,5−ジアミノ−4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオール、2−(7−アミノ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4−(3H)−イル)エタノール、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、p−(メチルアミノ)フェノール、4−アミノ−m−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾール、5−エチル−o−アミノフェノール、2−メトキシ−p−フェニレンジアミン、2,2'−メチレンビス−4−アミノフェノール、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート、4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ブチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ペンチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ベンジルピラゾール、2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オンジメトスルホネート、4,5−ジアミノ−1−ヘキシルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ヘプチルピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N(4−アミノフェニル)−1,2−ジアミノタン、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
好適なカップラーとしては、レゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−クロロレゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4,6−ジクロロベンゼン−1,3−ジオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジオール、m−アミノフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、3−アミノ−2,6−ジメチルフェノール、3−アミノ−2,4−ジクロロフェノール、5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール、5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、2−アミノ−5−エチルフェノール、2−アミノ−5−フェニルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−エトキシフェノール、5−メチル−2−(メチルアミノ)フェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)−プロパン、2,2'−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(アザンジイル)ジエタノール、ベンゼン−1,3−ジアミン、2,2'−(4,6−ジアミノ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ)ジエタノール、3−(ピロリジン−1−イル)アニリン、1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)尿素、1−(3−アミノフェニル)尿素、1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール又は1−アセトキシ−2−メチルナフタレン、4−クロロ−2−メチルナフタレン−1−オール、4−メトキシ−2−メチルナフタレン−1−オール、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジアミノピリジン、ピリジン−2,6−ジオール、5,6−ジヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドリン、3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)エタノール(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリンとしても知られている)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の組成物が顕色剤成分と染料成分とを混合することによって得られる場合、一次中間体及びカップラーは、通常、染料成分に配合される。
【0084】
化粧用に許容し得る担体
組成物は、化粧用として許容し得る担体を含む。化粧用に許容し得る担体は、水、又は水と典型的には水中で十分に可溶性ではない化合物を溶解させる少なくとも1つの有機溶剤との混合物から選択してよい。
【0085】
好適な有機溶媒としては、C1〜C4低級アルカノール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール);芳香族アルコール(例えば、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノール);ポリオール及びポリオールエーテル(例えば、カルビトール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、モノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、グリセロール、エトキシグリコール、ブトキシジグリコール、エトキシジグリセロール、ジプロピレングリコール、ポリグリセロール);プロピレンカーボネート;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
化粧用に許容し得る担体は、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、1,2−プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0087】
組成物は、特に、組成物の総重量の70%未満、又は50%未満、又は30%未満の総量の水を主成分として含んでよい。典型的には、存在する場合、組成物は、該組成物の総重量の1%〜30%の総量の有機溶媒を含む。
【0088】
他の成分
本発明に係る組成物は、上記の成分に加えて、特許請求の範囲によって除外されない限り、組成物の特性を更に高めるために更なる成分を含んでもよい。
【0089】
好適な更なる成分としては、直接染料;キレート剤;ラジカルスカベンジャー;pH調整剤及び緩衝剤;増粘剤及び/又はレオロジー調整剤;炭酸イオン供給源;ペルオキシモノカーボネートイオン供給源;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、又は双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、又は双性イオン性ポリマー、及びこれらの混合物;芳香剤;酵素;分散剤;過酸化物安定剤;酸化防止剤;天然成分(例えば、タンパク質、タンパク質化合物、及び植物抽出物);コンディショニング剤(例えば、シリコーン及びカチオン性ポリマー);セラミド;保存剤;乳白剤及び真珠光沢剤(pearling agents)(例えば、二酸化チタン及び雲母);並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
上記好適な更なる成分は、特に後述はしないが、International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook(8th ed.;The Cosmetics,Toiletry,and Fragrance Association)に列記されている。特に、第2巻、第3項(化学品の分類)及び第4項(機能)は、特定目的又は多目的を達成するための特定の補助剤を識別するのに有用である。これら成分のうちの幾つかについて以下で議論するが、その開示は、無論、包括的ではない。
【0091】
直接染料
組成物は更に、特に強度に関して、更なる染色を提供するのに十分な量で、適合性のある直接染料を含んでもよい。典型的には、組成物は、該成物の総重量の0.05%〜4%の総量の直接染料を含んでよい。
【0092】
好適な直接染料としては、アシッドイエロー1、アシッドオレンジ3、アシッドブラック1、アシッドブラック52、アシッドオレンジ7、アシッドレッド33、アシッドイエロー23、アシッドブルー9、アシッドバイオレット43、HCブルー16、アシッドブルー62、アシッドブルー25、アシッドレッド4等の酸染料;ベーシックブラウン17、ベーシックレッド118、ベーシックオレンジ69、ベーシックレッド76、ベーシックブラウン16、ベーシックイエロー57、ベーシックバイオレット14、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックレッド2、ベーシックブルー99、ベーシックイエロー29、ベーシックレッド51、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー87、4−(3−(4−アミノ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−1−イルアミノ)プロピル)−4−メチルモルホリン−4−イウム−メチルサルフェート、(E)−1−(2−(4−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)ジアゼニル)フェニル)(エチル)アミノ)エチル)−3−メチル−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド、(E)−4−(2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−3−イウム−3−イル)ブタン−1−スルホネート、(E)−4−(4−(2−メチル−2−フェニルヒドラゾノ)メチル)ピリジニウム−1−イル)ブタン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−3−(4−(メチルアミノ)−9,10−ジオキソ−4a,9,9a,10−テトラヒドロアントラセン−1−イルアミノ)−N−プロピルプロパン−1−アミニウムブロミド等の塩基性染料;ディスパースレッド17、ディスパースバイオレット1、ディスパースレッド15、ディスパースブラック9、ディスパースブルー3、ディスパースブルー23、ディスパースブルー377等の分散染料;1−(2−(4−ニトロフェニルアミノ)エチル)尿素、2−(4−メチル−2−ニトロフェニルアミノ)エタノール、4−ニトロベンゼン−1,2−ジアミン、2−ニトロベンゼン−1,4−ジアミン、ピクラミン酸、HCレッドNo.13,2,2'−(2−ニトロ−1,4−フェニレン)ビス(アザネジイル)ジエタノール、HCイエローNo.5、HCレッドNo.7、HCブルーNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、2−(4−アミノ−2−クロロ−5−ニトロフェニルアミノ)エタノール、HCレッドNo.3、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3−ニトロフェノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、2−(3−(メチルアミノ)−4−ニトロフェノキシ)エタノール、3−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)プロパン−1,2−ジオール、HCイエローNo.11、HCバイオレットNo.1、HCオレンジNo.2、HCオレンジNo.3、HCイエローNo.9、HCレッドNo.10、HCレッドNo.11、2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4,6−ジニトロフェノール、HCブルーNo.12、HCイエローNo.6、HCイエローNo.12、HCブルーNo.10、HCイエローNo.7、HCイエローNo.10、HCブルーNo.9、2−クロロ−6−(エチルアミノ)−4−ニトロフェノール、6−ニトロピリジン−2,5−ジアミン、HCバイオレットNo.2、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−3−ニトロフェノール、HCイエローNo.13、6−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、HCレッドNo.14、HCイエローNo.15、HCイエローNo.14、N2−メチル−6−ニトロピリジン−2,5−ジアミン、N1−アリル−2−ニトロベンゼン−1,4−ジアミン、HCレッドNo.8、HCグリーンNo.1、HCブルーNo.14等のニトロ染料;アナトー、アントシアニン、アオゲイトウ、カロテン、カプサイシン、リコペン、クロロフィル、ヘナ、インディゴ、コチニール等の天然染料;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
組成物が、染料成分と顕色剤成分とを混合することによって得られる場合、直接染料は、通常、染料成分に配合される。
【0094】
キレート剤
組成物は、更に、配合成分、具体的には酸化剤、より具体的には過酸化物との相互作用に利用可能な金属の量を低減するのに十分な量のキレート剤(chelant)(「キレート剤(chelating agent)」、「金属イオン封鎖剤(sequestering agent)」、又は「金属イオン封鎖剤(sequestrant)」としても知られている)を含んでもよい。キレート剤は、当該分野において周知であり、その非包括的な一覧は、いずれも参照によって本明細書に組み込まれる、AE Martell & RM Smith,Critical Stability Constants,Vol.1,Plenum Press,New York & London(1974)及びAE Martell & RD Hancock,Metal Complexes in Aqueous Solution,Plenum Press,New York & London(1966)にみられる。
【0095】
典型的に、組成物は、該組成物の総重量の少なくとも0.01%、あるいは0.01%〜5%、あるいは0.25%〜3%、あるいは0.5%〜1%の総量のキレート剤を含んでよい。
【0096】
好適なキレート剤としては、カルボン酸(例えば、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(例えば、アミノホスホン酸)、ポリリン酸(例えば、直鎖ポリリン酸)、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。「これらの塩」とは、キレート剤の文脈において、キレート剤と同じ官能性構造を含む全ての塩を意味し、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩、及びこれらの混合物;あるいはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物;あるいはモノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、及びこれらの混合物を指し、かつそれらを包含する。
【0097】
組成物は、ジエチレントリアミン−N,N',N"−ポリ酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、ジアミン−N,N'−ジポリ酸、モノアミンモノアミド−N,N'−ジポリ酸、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、これらの塩、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択されるキレート剤を含んでよい。あるいは、組成物は、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)をキレート剤として含んでもよい。
【0098】
本発明の組成物が、ティント成分と顕色剤成分とを混合することによって得られる場合、キレート剤はティント成分及び/又は顕色剤成分に配合してよい。キレート剤は、通常、安定性上の理由から、顕色剤成分中に存在する。
【0099】
ラジカルスカベンジャー
組成物は、更に、1つ以上のラジカルスカベンジャーを含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「ラジカルスカベンジャー」とは、ラジカル、例えば、炭酸ラジカルと反応して、一連の速い反応によってラジカルを反応性のより低い種、又は非反応性の種に変換することができる種を指す。ラジカルスカベンジャーは、アルカリ化剤と異なっていてもよく、及び/又は染色プロセス中の毛髪に対するダメージを低減するのに十分な量で存在する。
【0100】
組成物は、該組成物の総重量の0.1%〜10%、あるいは1重量%〜7%の総量のラジカルスカベンジャーを含んでよい。
【0101】
好適なラジカルスカベンジャーとしては、米国特許出願公開第2011/0035885A1号及び米国特許出願公開第2011/0035886A1号で論じられているもの等のアルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル、ピラゾロン、及びこれらの混合物;あるいは、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リシン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、及びこれらの混合物、並びにこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩等の塩、3−カルボキシ−1H−ピラゾール−5−オン、3−カルボキシ−1−フェニル−ピラゾール−5−オン、3−カルボキシ−1−(4−スルホフェニル)−ピラゾール−5−オン、3−カルボキシ−1−(4−カルボキシフェニル)−ピラゾール−5−オン、及びこれらの混合物;あるいは、グリシン、サルコシン、リジン、セリン、2−メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
pH調整剤及び緩衝剤
組成物は、更に、上述のアルカリ化剤に加えて、組成物のpHを3〜13、あるいは約8〜約12、あるいは約9〜約11に調整するのに十分有効な量のpH調製剤及び/又は緩衝剤を含んでよい。
【0103】
好適なpH調整剤及び/又は緩衝剤としては、アンモニア;アルカノールアミド(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール);グアニジウム塩、アルカリ金属及びアンモニウムの水酸化物及び炭酸塩;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
更なるpH調整剤及び/又は緩衝剤としては、水酸化ナトリウム;炭酸アンモニウム;酸味料(例えば、リン酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、又は酒石酸、塩酸を含む無機及び無機酸等);及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
増粘剤及び/又はレオロジー調整剤
組成物は、更に、該組成物が毛髪から過度に垂れてベタベタすることなく容易に毛髪に塗布され得るように、該組成物に粘度を提供するのに十分な量の1つ以上の増粘剤を含んでよい。
【0106】
組成物は、該組成物の総重量の少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%の総量の増粘剤を含んでよい。
【0107】
好適な増粘剤としては、会合性ポリマー、多糖類、非会合性ポリカルボン酸ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
炭酸イオン供給源
組成物は、更に、染色プロセス中の毛髪のダメージを低減するのに十分な量の、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、炭酸水素イオン、及びこれらの混合物の供給源を含んでよい。
【0109】
組成物は、全組成物の0.1重量%〜15重量%、あるいは0.1重量%〜10重量%、あるいは1重量%〜7重量%の総量の炭酸イオン供給源を含んでよい。
【0110】
好適な炭酸イオン供給源としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物;あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、及びこれらの混合物;あるいは、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
コンディショニング剤
組成物は、更に、1つ以上のコンディショニング剤を含んでもよい、及び/又は1つ以上のコンディショニング剤を含む組成物と併用してもよい。
【0112】
組成物は、該組成物の総重量の0.05%〜20%、あるいは0.1%〜15%、あるいは0.2%〜10%、あるいは0.2%〜2%、あるいは0.5%〜2%の総量のコンディショニング剤を含んでよい。コンディショニング剤は、別々の前処理及び/又は後処理組成物に含まれていてよい。
【0113】
好適なコンディショニング剤としては、シリコーン、アミノシリコーン、脂肪族アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性油及び油由来の材料、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。更なるコンディショニング剤としては、鉱油及び他の油、例えば、グリセリン及びソルビトールが挙げられる。
【0114】
界面活性剤
組成物は、更に、1つ以上の界面活性剤を含んでよい。組成物は、該組成物の総重量の1%〜60%、あるいは2%〜30%、あるいは8%〜25%、あるいは10%〜20%の総量の界面活性剤を含んでよい。組成物は、該組成物の総重量の0.1%〜20%、あるいは0.1%〜15%、あるいは5%〜15%の総量のアニオン性界面活性剤を含んでよく、また、互いに独立して、該組成物の総重量の0.1%〜15%、あるいは0.5%〜10%、あるいは1%〜8%であり得る総量の両性及び/又は非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0115】
組成物が第1の成分(A)及び第2の成分(B)を含み、第1の成分(A)が水中油型正エマルション又は油中水型逆エマルションであり、第2の成分(B)が油中水型逆エマルションである実施形態では、第1の成分(A)及び第2の成分(B)は、1つ以上の界面活性剤を含む。これら実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択してよく、あるいは、非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤からなる群から選択してもよく、あるいは、非イオン性界面活性剤から選択してもよい。
【0116】
アニオン性界面活性剤は、以下の化合物の塩(具体的には、アルカリ金属塩、特に、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アミノ塩(例えば、アミノアルコール塩)、又はアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩))から選択してよい:
−アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート;
−アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、a−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;
−アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート;
−アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート;アルキルスルホスクシネート;
−アルキルスルホアセテート;
−アシルサルコシネート;アシルイセチオネート及びN−アシルタウレート;
−オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、若しくはステアリン酸、ヤシ油酸又は水素添加ヤシ油酸等の脂肪酸の塩;
−アルキル−D−ガラクトシドウロン酸塩;
−アシルラクチレート;
−ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、又はポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に、2〜50個のエチレンオキシド基を含有するものの塩;
−並びにこれらの混合物。
【0117】
これら様々な化合物のアルキル又はアシルラジカルは、有利なことに、6〜24個又は8〜24個の炭素原子を含み、アリールラジカルは、有利なことに、フェニル又はベンジル基を含むことに留意すべきである。
【0118】
非イオン性界面活性剤は、オキシアルキレン化又はグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択してよい。
【0119】
オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤
オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤であってよい。
【0120】
オキシアルキレン単位は、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位であってよい。
【0121】
言及することができるオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:
−オキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール;
−飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、オキシアルキレン化C8〜C30アルコール;
−飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、オキシアルキレン化C8〜C30アミド;
−飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、C8〜C30酸及びポリエチレングリコールのエステル;
−飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、C8〜C30酸及びソルビトールのポリオキシエチレン化エステル;
−飽和又は不飽和、オキシエチレン化植物油;
−エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物;
−並びにこれらの混合物。
【0122】
これら界面活性剤は、1〜100又は2〜50のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。
【0123】
有利なことに、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を全く含まない。
【0124】
オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化C8〜C30アルコール、並びにC8〜C30酸及びポリエチレングリコールのエステルから選択してよい。
【0125】
グリセロール化非イオン性界面活性剤
グリセロール化非イオン性界面活性剤は、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤であってよい。グリセロール化非イオン性界面活性剤は、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールであってよい。
【0126】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C30アルコールは、以下の式に対応し得る:
RO−[CH2−CH(CH2OH)−O]m−H
(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖C8〜C40又はC8〜C30アルキル又はアルケニルラジカルを表し、mは、1〜30又は1〜10の数を表す)。
【0127】
本発明の文脈において好適な化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールについて言及することができる。
【0128】
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同じ方式でアルコール混合物を表してもよく、これは、市販品において、ポリグリセロール化脂肪族アルコールの幾つかの種が混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0129】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中でも、1モルのグリセロールを含有するC8〜C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10〜C12アルコール、及び1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが有利であり得る。
【0130】
上述の通り、第1の成分(A)及び第2の成分(B)は、1つ以上の非イオン性界面活性剤を含んでよい。第1の成分(A)は、HLB値が8以上である1つ以上の非イオン性界面活性剤を含んでよい、及び/又は第2の成分(B)は、HLB値が8未満である1つ以上の非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0131】
第1の成分(A)及び/又は第2の成分(B)は、それぞれ、成分(A)又は(B)の総重量の1%〜20%、又は1%〜15%、又は2%〜10%の総量の界面活性剤を含んでよい。
【0132】
イオン強度
組成物は、更に、1.35モル/kg未満、あるいは0.10〜0.75モル/kg、あるいは0.20〜0.60モル/kgの以下に定義するイオン強度を有する。理論に束縛されるものではないが、イオン強度値は、得られる組成物の粘度及び毛根付着特性にも影響を与える場合があると考えられる。イオン強度は、染料、硫酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酸化防止剤、及びキレート剤(例えば、EDDS)等の塩供給源により影響され得る。幾つかの実施形態では、塩として用いられる染料は、イオン強度に対して最大の影響を有する場合があるので、任意の特定の色合いを提供するために添加される量は、粘度及び毛根付着問題を防止するためにイオン強度並びに染色の仕上がりの点で考慮する必要がある。
【0133】
組成物のイオン強度は、溶液中に存在する全イオンの濃度の関数であり、下式に従って求められる:
【0134】
【数1】
(式中、mi=イオンiのモル濃度(M=モル・/KgH2O)であり、zi=イオンの電荷数であり、合計は、溶液中の全イオンに関する)。例えば、塩化ナトリウム等の1:1電解質の場合、イオン強度は濃度に等しいが、MgSO4の場合、イオン強度は4倍高い。一般的に、多価イオンは、イオン強度に強く寄与する。
【0135】
例えば、0.050MのNa2SO4と0.020MのNaClとの混合溶液のイオン強度は、次の通りである:I=1/2((2×(+1)2×0.050)+(+1)2×0.020+(−2)2×0.050+(−1)2×0.020)=0.17M。
【0136】
粘度
組成物は、1000〜60000cPs、あるいは2000〜30000cPs、あるいは3000〜25000cPsの粘度を有してよい。粘度は、円錐及び平板付属品を備えるBrookfield粘度計を使用して測定される。0〜12000cPsの範囲の粘度では、S42平板を備えるBrookfield DV−11粘度計を使用する。組成物の試料2mLを、1rpmで読み取りを行う前に、26.7℃で3分間平衡化する。12,000〜60,000cPsの範囲の粘度では、S52平板を備えるBrookfield DV−1粘度計を使用する。組成物の試料0.5mLを、1rpmで読み取りを行う前に、26.7℃で1分間平衡化する。
【0137】
発泡体
組成物は、毛髪に塗布される発泡体の形態で提供されてもよい。発泡体の形成は、典型的に、混合組成物中に配合された起泡剤(典型的には、顕色剤成分又は染料成分のいずれか、あるいは両方に存在する)を、手動で操作する発泡装置と組み合わせて使用することによって達成される。このような手動で操作する発泡装置は、当技術分野において公知であり、エアゾール装置、しぼり出し式フォーマー、及びポンプ式フォーマーが挙げられる。
【0138】
好適な発泡剤としては、例えば、アニオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤等の界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤;多糖類;ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー;例えば、アクリレートコポリマー(Aculyn 33)及びアクリレート/ステアレス−20メタクリレート(Aculyn 22)等のアクリルポリマー;C12〜C24脂肪酸(例えば、ステアリン酸塩)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0139】
毛髪染色キット
本発明の別の態様では、本発明は、毛髪を染色するためのキットに関する。キットは、2部キット又は3部キットであってよい。
【0140】
2部キット
キットは、上に定義した第1の成分(A)及び第2の成分(B)をそれぞれ含む第1及び第2のユニットを含んでよい。第1及び第2のユニットは、別個の容器であってもよく、又は同じ容器内の2つの区画であってもよい。
【0141】
消費者は、使用直前に第1の成分(A)と第2の成分(B)とを混合し、それを毛髪に塗布するか、又は第1の成分(A)及び第2の成分(B)を途中ですすぐことなく逐次毛髪に塗布する。
【0142】
プロフェッショナルヘアサロン市場のために、第1の成分(A)及び第2の成分(B)は、典型的に、プロフェッショナルが好ましい組み合わせを選択できるように、個別に供給される。
【0143】
3部キット
キットは、第1、第2、及び第3のユニットを含んでよい。第1のユニットは、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体とを含む第1の組成物を含んでよい。第2のユニットは、1つ以上の酸化剤を含む第2の組成物を含んでよい。第3のユニットは、1つ以上の油を含む第3の組成物を含んでよい。油は、上記した任意の油から選択してよい。第1、第2、及び第3のユニットは、別個の容器であってもよく、又は同じ容器内の3つの区画であってもよい。
【0144】
プロフェッショナルヘアサロン市場のために、第1、第2、及び第3の組成物は、典型的に、プロフェッショナルが好ましい組み合わせを選択できるように、個別に供給される。消費者は、2部キットの第1及び第2のユニット、3部キットの第1、第2、及び第3のユニットを使用直前に混合し、それを毛髪に塗布する。
【0145】
合わせた混合物を数分間にわたって(確実に毛髪全てに均一に塗布するために)作用させた後、毛髪染色組成物を、染色が生じるのに十分な量(通常、約2〜60分間、典型的には約30〜45分間)、毛髪上にそのまま維持する。消費者又はサロンのプロフェッショナルは、次いで、毛髪を水で十分にすすぎ、及び/又はシャンプーし、乾燥させる。毛髪がその元々の色から所望の色に変化したのが観察される。
【0146】
また、2部キット又は3部キットは、それぞれ、コンディショニング組成物、前処理組成物、カラーリフレッシャー組成物、希釈剤組成物からなる群から選択される成分を含む第3又は第4のユニットを含んでもよい。
【0147】
毛髪染色組成物を塗布する前に、前処理組成物を毛髪に塗布してもよい。
【0148】
コンディショニング剤を含むコンディショニング組成物は、毛髪に塗布する前に第1及び第2の成分(A)及び(B)と混合してもよく、あるいは、例えば、毛髪染色組成物を塗布した後に、毛髪上に塗布してもよい。
【0149】
任意選択的に予形成染料を含むカラーリフレッシャー組成物は、毛髪染色組成物の塗布後、例えば、毛髪染色組成物を塗布した1分〜60日後に毛髪に塗布してよい。このカラーリフレッシャー組成物を用いて、得られた初期の色を高める、及び/又は次の酸化的毛髪染色を実施するまで、洗浄及び整髪サイクル中に色を増強することができる。
【0150】
希釈剤組成物は、水と、任意選択的に、少なくとも1つの活性成分とを含んでよい。希釈剤組成物は、例えば、国際公開第2013/126657 A2号に開示されている希釈剤成分であってよい。
【0151】
毛髪染色方法
本発明の別の態様では、本発明は、毛髪を染色する方法に関する。
【0152】
該方法は、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体とを含む第1の組成物を提供する工程と;1つ以上のアルカリ化剤を含む第2の組成物を提供する工程と;1つ以上の油を含む第3の組成物を提供する工程と:毛髪染色組成物を得るために第1、第2、及び第3の組成物を混合する工程と;得られた組成物を毛髪に塗布する工程と;任意選択的に、十分な時間、例えば、2分間〜60分間、あるいは10分間〜40分間、塗布した組成物を毛髪上で放置する工程と;任意選択的に、すすぎ組成物又は水を使用して毛髪をすすぐ工程と;任意選択的に、クレンジング組成物を使用して毛髪を洗浄する工程と;任意選択的に、コンディショニング及び/又は処理組成物で毛髪を処理する工程と;任意選択的に、毛髪を乾燥させる工程と、を含んでよい。
【0153】
あるいは、上記方法は、上に定義した第1の成分(A)を提供する工程と;上に定義した第2の成分(B)を提供する工程と;毛髪染色組成物を得るために第1の成分(A)と第2の成分(B)とを混合し、得られた組成物を毛髪に塗布するか、又は第1の成分(A)及び第2の成分(B)を途中ですすぐことなく逐次毛髪に塗布する工程と;任意選択的に、十分な時間、例えば、2分間〜60分間、あるいは10分間〜40分間、塗布した組成物を毛髪上で放置する工程と;任意選択的に、すすぎ組成物又は水を使用して毛髪をすすぐ工程と;任意選択的に、クレンジング組成物を使用して毛髪を洗浄する工程と;任意選択的に、コンディショニング及び/又は処理組成物で毛髪を処理する工程と;任意選択的に、毛髪を乾燥させる工程と、を含んでよい。
【0154】
使用
本発明の別の態様では、本発明は、1つ以上の酸化剤と、1つ以上のアルカリ化剤と、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、その化粧用に許容し得る塩、及びその混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化染料前駆体とを含む毛髪染色組成物で染色される毛髪の色の強度を増大させるための1つ以上の油の使用に関する。
【0155】
この文脈において色の強度の増大を測定するための業界で許容されている方法が多数存在する。色を測定するための標準的な方法としてCIE L C h表色系が用いられる(Industrial Colour Testing,p20,by Hans G.Volz,ISBN 3−527−30436−3を参照)。この方法を用いて、例えば、ディフーザ測定形状に基づくMinolta 3600d又はOcean Optics USB 2000+等の手持ち式分光光度計を用いて、L及びC値をモニタすることによって、毛髪繊維の光学特性の改善を評価することが可能である。
【0156】
包装及び分配装置
本発明は、様々な包装装置及び/又は分配装置で提供されてもよい。これら分配装置は、独立して又は互いに組み合わせて使用してよい別個の装置の形態として供給され得る。典型的に、毛髪染色組成物は、使用前に組成物を互いに分離して保存できるように、分離した単一又は複数区画の容器に収容される。次いで、組成物は、混合手段によって混合され、次いで、装置から分配され、塗布手段によって消費者の毛髪に塗布される。
【0157】
毛髪染色組成物が、上に定義した第1の成分(A)及び第2の成分(B)を含む実施形態では、本発明のために使用することができる最も一般的な包装装置は、第2の成分(B)、すなわち、顕色剤成分を、ボトル、チューブ、エアゾール、又はサッシェ等の容器内に保存することと、第1の成分(A)、すなわち、染料成分を、顕色剤容器内の更なる区画内に別々に保存するか、あるいはより好ましくは、例えば、二重のサッシェ又はエアゾールシステム等の同一であってもよい別個の容器に、又はボトル及びチューブシステム等の異なってもよい別個の容器に別々に保存することとを含む。任意の組み合わせを使用してよく、典型的に、保存される組成物の種類次第であり、すなわち、組成物が濃いタイプであるか希薄なタイプであるかによる。消費者又はヘアサロンのプロフェッショナルは、顕色剤成分と染料成分とを任意の手段によって混合することができる。これは、単純に混合用ボウルを使用して、その中に組成物を分配し、次いで、好ましくは器具等の混合手段を用いて混合することを含む。あるいは、成分のうちの1つを他の成分の容器内に添加して(典型的には、染料成分を顕色剤成分に添加する)、次いで、手動で振盪するか、又は器具を使って混合することを含んでもよい。別の系は、単一の容器又はサッシェ内の染料成分及び顕色剤成分の別個の区画間に位置するシールに穴を開けるか又はシールを移動させ、次いで、この容器内又は別個及び/若しくは更なる容器内にて手動で混合することも含む。
【0158】
また、上記装置は、毛髪に製品を塗布するのを支援するために、製品の送達及び又は塗布用具と併用してもよく、例えば、容器のうちの1つに取り付けられたノズルを使用する、櫛又はブラシ等の別個の塗布装置を使用する、製品が中空の歯を通じて分配される分配用ノズルに取り付けられた櫛又はノズルの代わりの櫛と、櫛の歯に位置する分配開口部とを使用することが挙げられる。また、塗布装置は、特定の効果、例えば、ハイライトを実現するのを支援する装置(例えば、ハイライト用の櫛、ブラシ、及び用具、ホイル及びハイライト用キャップ等)を含んでもよい。ある量の組成物が入れられ、次いで、前もって決めておいた/選択しておいた毛髪ストランドに組成物を塗布するのに使用される蝶番式装置を備えるハイライト用装置を使用してもよい。更なる装置技術を用いて、製品を毛髪に浸透させるのを支援することができる。このような技術の例としては、加熱装置、紫外線装置、及び超音波装置が挙げられる。
【0159】
毛髪染色組成物、並びに上に定義した対応する第1及び第2の成分(A)及び(B)は、酸化毛髪染色及び/又は脱色製品を製造し、各成分組成の成分を好適な容器内で混和し、続いて、適切な個別の容器内に包装する、当該技術分野において公知の従来のプロセスによって製造されてもよい。
【実施例】
【0160】
以下は、本発明の組成物の非限定的な実施例である。実施例は、単に例示の目的で与えられ、本発明の制限と解釈されるべきではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくその多数の変形が可能であり、これは当業者に理解されるであろう。別途記載のない限り、全ての濃度は重量パーセントで示される。
【0161】
(実施例1)
以下の染料成分を調製する。染料成分A1は、水中油型正エマルションの形態である。
【0162】
【表1】
【0163】
以下の顕色剤成分を調製する。顕色剤成分B1は、油中水型逆エマルションの形態である。
【0164】
【表2】
【0165】
染料成分を1:1の混合比で顕色剤成分と混合する。次いで、得られた混合物を、少なくとも90%の白髪を含む天然毛髪のスワッチに塗布する。室温(23℃)で30分間放置した後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、次いで、乾燥させる。
【0166】
(実施例2)
以下の染料成分を調製する。染料成分A2は、油中水型逆エマルションの形態である。
【0167】
【表3】
【0168】
以下の顕色剤成分を調製する。顕色剤成分B2は、油中水型逆エマルションの形態である。
【0169】
【表4】
【0170】
染料成分を1:1の混合比で顕色剤成分と混合する。次いで、得られた混合物を、少なくとも90%の白髪を含む天然毛髪のスワッチに塗布する。室温(23℃)で30分間放置した後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、次いで、乾燥させる。
【0171】
【表5】
1 Marcol 82(Exxon Mobil製)
【0172】
上記毛髪染色組成物C及びDを調製した。組成物Cは、本発明に係る組成物である、すなわち、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン及び油(流動パラフィン)を含むが、一方、組成物Dは、組成物Cと同じ組成であるが、油を含んでいない。各組成物を、少なくとも90%の白髪を含む天然毛髪の異なるスワッチに塗布する。30℃で30分間放置した後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、標準的なコンディショナーでコンディショニングし、次いで、乾燥させた。各毛髪染色組成物C及びDで染色した毛髪スワッチのL値(明度値)を、Ocean Optics USB 2000+分光光度計を用いて測定した。
【0173】
測定されたL値(明度値)を、下の表に報告する。
【0174】
【表6】
【0175】
表から分かる通り、本発明に係る組成物Cについて測定されたL値は、組成物Dについて測定されたL値よりも低い。これは、組成物Cで染色した毛髪の色の強度が、組成物Dで染色した毛髪の色の強度よりも高いことを示す。これらデータは、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンを含む毛髪染色組成物に油を導入することによって、このような組成物で染色した毛髪の強度を増大させることができることを証明している。したがって、油をこのような組成物に導入することによって、所望の色の強度を達成するためにこの組成物中に含まれる2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミンの濃度を低減させることが可能となる。その結果として、毛髪の全長に沿って、最終的により均質な色が得られることを観察することができる。
【0176】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。