(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429420
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】隠蔽移動軌跡に基づいて社会的つながりを見出すための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06F 17/30 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
G06F17/30 220Z
G06F17/30 120A
G06F17/30 310Z
G06F17/30 340B
G06F17/30 419A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-546589(P2017-546589)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公表番号】特表2018-511866(P2018-511866A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】CN2015074302
(87)【国際公開番号】WO2016145595
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コウ クインリ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン イェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェンドン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジェン
【審査官】
早川 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−165097(JP,A)
【文献】
特開2013−008232(JP,A)
【文献】
特開2011−043626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置が実行する方法であって、
第1のユーザの第1の移動軌跡の隠蔽領域と第2のユーザの第2の移動軌跡の隠蔽領域とをそれぞれ対応する意味領域に変換することと、
前記変換された意味領域を階層意味ツリーのノードにマッピングすることと、
前記第1のユーザと前記第2のユーザとの社会的つながりを、前記第1の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードと前記第2の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードとの関係に応じて推測することと、
を含み、
前記意味領域は、対応する隠蔽領域の意味論的意味によって表現され、
前記階層意味ツリーの各ノードは、意味領域に対応する、
方法。
【請求項2】
前記隠蔽領域を対応する意味領域に変換することは、
・ 前記隠蔽領域における2以上のサンプル位置を選択することと、
・ 前記2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた意味論的意味を導出することと、
・ 前記2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた前記意味論的意味から前記隠蔽領域の意味論的意味を結論付けることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隠蔽領域の前記意味論的意味を結論付けることは,前記隠蔽領域の前記意味領域として、前記2以上のサンプル位置に関連付けられたすべての前記意味論的意味を包含する意味論的意味を有する意味領域を選択することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプル位置に関連付けられた前記意味論的意味は、前記サンプル位置の地理的座標に基づく逆ジオコーディングによって導出される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対領域として、同一の時間に発生した前記第1の移動軌跡と前記第2の移動軌跡上の意味領域を特定することと、
特定された前記対領域の各対の意味領域にマッピングされたノード間の類似性を算出することと、
前記算出された類似性から前記第1の移動軌跡と前記第2の移動軌跡との間の類似性を推定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特定された1対の前記対領域の意味領域にマッピングされたノード間の前記類似性は、
前記階層意味ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノードの最低位にある共通祖先ノードのレベルと、
前記階層ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノード間の最短パスと、
前記階層ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノードのレベルと、
の3つの側面のうちの少なくとも1つの要素に基づいて算出される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の移動軌跡の領域と前記第2の移動軌跡の領域は、異なるプライバシーレベルに応じて、k−匿名性アルゴリズムによって隠蔽される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
処理手段及び記憶手段を備える装置であって、前記記憶手段はプログラム命令を格納し、前記プログラム命令は、前記処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1から7のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成される、装置。
【請求項9】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1から7のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の方法を実施する手段を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して情報技術およびソーシャルネットワーク技術に関する。より詳細には、本発明は、ユーザの隠蔽(クローキングされた)移動軌跡に基づいてユーザ間の社会的つながりを見出すための方法および装置に関する。
【0002】
位置に基づくソーシャルネットワークアプリケーションが世界中で広く普及してきている。ますます多くの人々がグローバルポジショニングシステム(GPS)を活用したデバイスを使用して、屋外の位置や行動を記録している。また、現在の位置や行動についての情報を友人と共有することも広く行われている。この共有された情報は、ソーシャルネットワークにおいて有意な影響を及ぼすことが見込まれる。最近の研究によると、個人の社会的関係によってその移動パターンが形成されうることが示されている。同様に、人の移動軌跡を使用して、個人間の関係という点で人々の社会的つながりを推測できる場合がある。例えば、社会的つながりは通常、個人の位置履歴を基に、空間的、時間的次元における個人の類似性によって推測される。
【0003】
一般的に、正確な地理的位置を使用して社会的つながりを見出すことは、プライバシーの漏洩を引き起こしうることから実用的ではない。位置情報は非常に有用な個人情報であるため、信頼性の低いアプリケーションサーバがユーザの位置データを保存すると、それを第三者に漏らして、プライバシーのリスクを生じるおそれがある。空間的クローキングは、位置についてのプライバシーを守るための一般的な技術である。隠蔽移動軌跡によって、正確な地理的位置が漏れるリスクを回避しつつ、正確ではない位置情報に対して人の移動に関するある種の規則性を反映することができる。しかし、隠蔽移動軌跡は不精確であるため、さらに社会的つながりを推測するために移動軌跡を分析することが困難である。
【0004】
したがって、隠蔽移動軌跡から効率的かつ精確に社会的つながりを見出すための手法を提供することが当該技術における進展となる。
【0005】
上述の問題を解決し、従来技術を読み解く上で明らかになる限界を克服するために、本開示は、隠蔽移動軌跡から効率的かつ精確に社会的つながりを見出すための手法を提供する。
【0006】
ある実施形態では、方法は、第1のユーザの第1の移動軌跡の隠蔽領域と第2のユーザの第2の移動軌跡の隠蔽領域とをそれぞれ対応する意味領域に変換することを含む。前記意味領域は、対応する隠蔽領域の意味論的意味によって表現される。前記方法は、前記変換された意味領域を階層意味ツリー(セマンティックツリー)のノードにマッピングすることをさらに含む。前記階層意味ツリーの各ノードは、意味領域に対応する。前記方法は、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの社会的つながりを、前記第1の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードと前記第2の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードとの関係に応じて推測することをさらに含む。
【0007】
例示的実施形態では、前記隠蔽領域の対応する意味領域への変換は、前記隠蔽領域における2以上のサンプル位置を選択することと、前記2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた意味論的意味を導出することと、前記2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた前記意味論的意味から前記隠蔽領域の意味論的意味を結論付けることと、によって実行される。
【0008】
例示的実施形態では、前記隠蔽領域の前記意味論的意味の結論付けは、前記隠蔽領域の前記意味領域として、前記2以上のサンプル位置に関連付けられたすべての前記意味論的意味を包含する意味論的意味を有する意味領域を選択することによって実行される。
【0009】
例示的実施形態では、前記サンプル位置に関連付けられた前記意味論的意味の導出は、前記サンプル位置の地理的座標に基づく逆ジオコーディングによって行われる。
【0010】
例示的実施形態では、前記方法は、対領域として、同一の時間に発生した前記第1の移動軌跡と前記第2の移動軌跡上の意味領域を特定することと、特定された前記対領域の各対の意味領域にマッピングされたノード間の類似性を算出することと、前記算出された類似性から前記第1の移動軌跡と前記第2の移動軌跡との間の類似性を推定することと、をさらに含んでもよい。
【0011】
例示的実施形態では、特定された1対の前記対領域の意味領域にマッピングされたノード間の前記類似性は、前記階層意味ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノードの最低位にある共通祖先ノードのレベルと、前記階層ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノード間の最短パスと、前記階層ツリーにおける前記1対の対領域の意味領域にマッピングされたノードのレベルの3つの側面のうちの少なくとも1つの要素に基づいて算出されてもよい。
【0012】
例示的実施形態では、前記第1の移動軌跡の領域と前記第2の移動軌跡の領域は、異なるプライバシーレベルに応じて、k−匿名性アルゴリズムによって隠蔽される。
【0013】
別の実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを含み、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサとともに、少なくとも部分的に、第1のユーザの第1の移動軌跡の隠蔽領域と第2のユーザの第2の移動軌跡の隠蔽領域とをそれぞれ対応する意味領域に変換することと、前記変換された意味領域を階層意味ツリーのノードにマッピングすることと、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの社会的つながりを、前記第1の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードと前記第2の移動軌跡の意味領域にマッピングされたノードとの関係に応じて推測することと、を前記装置に実行させるように構成されている。前記意味領域は、対応する隠蔽領域の意味論的意味によって表現される。前記階層意味ツリーの各ノードは、意味領域に対応する。
【0014】
別の実施形態では、1以上の命令の1以上のシーケンスを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、1以上のプロセッサによって実行されると、少なくとも部分的に、上記方法のうちの1つを装置に実施させる。
【0015】
別の実施形態では、装置は、上記方法のうちの1つを実施するための手段を備える。
【0016】
1以上の命令の1以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムプロダクトは、1以上のプロセッサによって実行されると、装置に少なくとも上記方法のうちの1つを実施させる。
【0017】
本発明のその他の態様、特徴、および効果は、本発明を実施するために考えうるベストモードを含むいくつかの特定の実施形態や実装例を単に示すことにより、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。本発明は、その他の異なる実施形態が可能であり、その詳細のいくつかは、本発明の範囲を逸脱することなく様々な明白な点で変形可能である。したがって、図面および説明は、限定的ではなく、本質的に例示的とみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態が、添付の図面において、限定的ではなく、例示的に示されている。
【0019】
【
図1】
図1は、k−匿名性スキームによって移動軌跡を隠蔽する例示的プロセスを示す。
【0020】
【
図2】
図2は、隠蔽移動軌跡を使用して社会的つながりを推測するために様々な実施形態を実装しうるシステムアーキテクチャを示す。
【0021】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るユーザの隠蔽移動軌跡からユーザ間の社会的つながりを推測する手順のフロー図である。
【0022】
【
図4】
図4は、異なる意味領域間の対象エリアの包含関係を示す。
【0023】
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る例示的階層意味ツリーの例を示す。
【0024】
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る2つの移動軌跡上の対領域を特定する例を示す。
【0025】
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る階層意味ツリーを使用して領域の類似性を計算する例を示す。
【0026】
【
図8】
図8は、本発明の例示的実施形態に係る隠蔽移動軌跡から社会的つながりを見出すための装置のブロック図を示す。
【0027】
隠蔽(クローキングされた)移動軌跡から社会的つながりを見出すための方法、装置、システム、およびコンピュータプログラムの例が開示されている。以下では、説明の便宜上、本発明の実施形態の完全な理解を促すために数々の特定の詳細を設定する。ただし、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細や均等の構成がなくても実施しうることは、当業者には自明である。また、本発明の実施形態を不必要にあいまいに記載しないように、公知の構造やデバイスはブロック図の形式で示している。同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0028】
「背景」で上述したように、本発明者は、人の移動軌跡と社会的つながりには密接な関連性が存在することを示している。一部の研究では、人の移動軌跡履歴を使用して社会的つながりを予測する方策もいくつか提案されている。正確な地理的位置を使用して社会的つながりを見出すことには、プライバシーの問題が考慮されていない可能性があり、これによってプライバシーの漏洩が発生するおそれがある。プライバシーの問題に対処するために、移動ユーザの位置プライバシーを保護しつつ、位置に基づくサービスをサポートするための異なる手法が提案されている。k−匿名性スキームは、この個人データの開示を防ぐための重要な手段であり、これによってユーザの地理的位置を隠蔽して少なくともk−1の他のユーザから識別不能とする。
図1は、k−匿名性スキームによって移動軌跡を隠蔽する例示的プロセスを示す。
図1に示すように、クローキングプロセスは、信頼性の高い第三者等のデバイス100によって実施されてもよい。一例では、デバイス100は中央集中位置アノニマイザーであってもよい。ターゲットユーザ位置に対する位置に基づくサービス(LBS)に関するクエリが、中央集中位置アノニマイザーを介してLBSサーバ(図示せず)に提出されてもよい。中央集中位置アノニマイザーは、LBSサーバからターゲットユーザの正確な位置データを検索し、その後、少なくともk−1人の匿名ユーザを地理的に包含するより広い領域へと拡大することによって正確な位置を隠蔽する。k人のユーザを包含する領域は、隠蔽領域と呼ばれる。隠蔽領域は、LBSに関するクエリへの応答として提供されうる。同様に、デバイス100は、
図1に示すように、2つのターゲットユーザの未加工の移動軌跡102a、102bを取得してもよい。デバイス100では、未加工の移動軌跡の正確な各位置を、少なくともk−1人の他のユーザを地理的に包含するより広い領域(
図1では、正確な各位置の周囲の長方形で示される)に拡大することによって、未加工の移動軌跡102a、102bが102a’、102b’にそれぞれ隠蔽されうる。隠蔽領域のシーケンスによって形成された移動軌跡は、隠蔽移動軌跡と呼ばれる。
【0029】
隠蔽移動軌跡は、人の移動性についての規則性をある程度反映できるが、この隠蔽移動軌跡は不精確であるため、さらに社会的つながりを推測するために軌跡を分析することが困難である。さらに、プライバシー保護についてのユーザの要請は様々であることから、k−匿名性スキームにおけるkの値はユーザ間で異なり、したがって隠蔽領域の大きさはユーザ間で異なる。これによって、隠蔽領域間に包含関係が存在する場合がありうる。
【0030】
従来の研究とは異なり、本開示の実施形態では、意味移動軌跡の概念を拡張し、隠蔽移動軌跡の隠蔽領域を意味領域に変換し、意味移動軌跡を形成する。意味領域は、位置の内容と個人の関心をかなりの程度まで示すことができ、ユーザ間の社会的つながりを推測するのに有用である。さらに、本開示の実施形態では、意味領域の階層関係を探り、社会的つながりをより正確に見出すことを目指す。上述のように、プライバシー保護についての要請はユーザによって異なることから、例えばk−匿名性クローキングにおけるパラメータkの選択においてその要請が反映されてもよく、隠蔽領域間に包含関係が存在する。意味領域の固有の階層関係によって、この隠蔽領域間の包含関係をサポートすることが可能になる。様々な実施形態において、意味領域の包含関係を示すために階層意味ツリー(セマンティックツリー)が構築される。階層意味ツリーの各ノードは意味領域に対応している。意味移動軌跡の意味領域は、意味ツリーのノードにマッピングされ、マッピングされたそれぞれのノード間の関係から社会的つながりを推測することができる。例えば、2つのユーザ間に社会的つながりが存在する可能性は、これらのユーザの移動軌跡の意味領域の類似性に応じて測定することができる。このように、位置プライバシーを侵害することなく、k−匿名性クローキングから得られる隠蔽移動軌跡に基づいて社会的つながりを見出すことができる。一方、ユーザに対する異なるレベルのプライバシーを保護することができる。
【0031】
図2は、隠蔽移動軌跡を使用して社会的つながりを推測するために様々な実施形態を実装しうるシステムアーキテクチャを示す。
図2に示すように、信頼性の高いサーバ204は、未加工の移動軌跡を隠蔽移動軌跡に変換し、ユーザの正確な位置を匿名化するように構成される。次に、隠蔽移動軌跡はアプリケーションサーバに転送され、隠蔽移動軌跡から社会的つながりを推測するサービスまたはアプリケーション等の各種サービスをサポートする。いくつかの実施形態では、信頼性の高いサーバ204は、モバイルデバイス202a、202b、202c等のユーザのユーザ機器に搭載された各移動クライアントから直接、未加工の移動軌跡の正確な位置データを収集してもよい。その他の実施形態では、未加工の移動軌跡の正確な位置データは、未加工の位置データを収集し維持する別のサーバから取得または検索されてもよい。位置データは、モバイルデバイスを所持する各ユーザが移動する移動軌跡に沿ってサンプリングされたいくつかの位置の未加工のGPSデータであってもよい。未加工の移動軌跡は、例えばk−匿名性スキームを使用して移動軌跡の正確な位置を隠蔽領域に隠蔽することによって、信頼性の高いサーバ204で匿名化してもよい。その後、隠蔽領域によって形成される隠蔽移動軌跡は、アプリケーションサーバ206においてユーザの位置プライバシーを侵害することなく社会的つながりを推測するために、アプリケーションサーバ206と共有されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、未加工の移動軌跡は、k−匿名性アルゴリズムを使用して隠蔽されてもよく、これにより
図1に示す方法で、ユーザをk−1人の他のユーザと識別不能にする。例えば、信頼性の高いサーバ204は、計算の便宜上、隠蔽領域を示す長方形を使用してもよい。プライバシーレベルに対する期待(kによって示される)はユーザによって異なることから、異なるユーザの隠蔽領域の大きさは通常異なっている。未加工の移動軌跡は、これまでに開発されたものや今後開発されるものを含む、任意の適用可能な手法やアルゴリズムによって隠蔽することができ、k−匿名性スキームやアルゴリズムに限定されないことが理解されよう。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係るユーザの隠蔽移動軌跡からユーザ間の社会的つながりを推測する例示的システム、方法、および/またはコンピュータプログラムプロダクトのフロー図である。この手順は、
図2に示すシステム内のアプリケーションサーバ206で実施されてもよい。310では、アプリケーションサーバ206は、ユーザの隠蔽移動軌跡の位置データ、すなわち隠蔽領域のシーケンスを取得
ぞれ対応する時間内にそのそれぞれの領域に位置していたことを示
時間を示す。一例では、領域は長方形に形成することができ、したがって、隠蔽領域の位置は、その左上角と右下角のx、y座標によって示されてもよい。別の例では、隠蔽領域は他の形状(円形、三角形、楕円形等)で形成してもよく、したがって隠蔽領域の位置は、その他の座標や極座標等の属性によって示されてもよい。
【0034】
ステップ320では、アプリケーションサーバ206は、移動軌跡の隠蔽領域を対応する意味領域に変換し、この意味領域は意味論的記述や意味によって表現される。言い換えると、隠蔽移動軌跡は意味移動軌跡に変換される。意味移動軌跡は、個人の関心や好みをかなりの程度まで示すことができる。例えば、アプリケーションサーバ206は、長方形に形成され、その左上角と右下角の特定のx、y座標で定義された隠蔽領域が、公園内に確かに位置していることを見出し、その後、前記隠蔽領域の前記意味論的意味が、公園の名前等の公園の意味論的記述であると決定されてもよい。このように、隠蔽領域は、公園の意味論的記述によって表現される意味領域に変換される。いくつかの実施形態では、関心点(Point of Interest:POI)の地理的位置情報(例えば、位置の緯度および経度)を記憶しているPOIデータベースを使用して意味領域を導出してもよい。隠蔽領域の地理的情報のPOIの地理的情報とのマッチングによって、隠蔽領域の意味領域をマッチングされたPOIに決定してもよい。
【0035】
Google Maps APIのような既存のアプリケーションには、正確なGPS位置の意味情報を提供するものもある。このような既存のアプリケーションを使用して位置を変換する際には、通常、位置の正確な緯度および経度を入力する必要がある。しかし、隠蔽領域は、的確な緯度および経度による正確な位置とはみなされない。よって、隠蔽領域を意味領域に変換するために既存のアプリケーションを直接適用したのでは、比較的正確な結果を得ることはできない場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、隠蔽領域を意味領域に転換するために、隠蔽領域内の2以上の位置がサンプル組として選択されてもよい。これは、例えば、隠蔽領域を同じ大きさの2以上の個別の小三角形に分割し、各小三角形の中心点をサンプル位置として選択することで実現
つかの実施形態では、この導出は、逆ジオコーディング、例えばGoogle Maps APIを使用して実行でき、これにより、GPSによって取得された座標が、可読の通りの住所、地名、国、国内の区分け等のエ
的意味の総数を示す。
【0037】
比較して、隠蔽領域の意味領域を導出することができる。ここで、
と結論付けられる。2)の場合は、隠蔽領域内に2以上の意味論的意味があることを示し、つまり、意味論的意味のいずれもその隠蔽領域を包含できないことを示す。言い換えると、意味論的意味に対応する意味領域のいずれも、その時点での当該ユーザの匿名性レベルを満たすことができない。したがって、隠蔽領域内のすべての意味論的意味を包含する意味論的意味を有するより広い領域を、この隠蔽領域の意味領域として選択することができる。このようにして、すべての隠蔽領域を正確な方法で意味領域に変換できる。各隠蔽領域に対して、
【0038】
各意味論的意味の構造は元々階層的であることから、階層構造における意味論的意味のレベルが高いほど、その意味論的意味によって包含される領域の大きさは大きくなる。いくつかの実施形態では、各ノードが意味領域に対応する階層意味ツリーを構築することができる。意味ツリーのルート(根)ノードは、すべてのノードで最も大きい領域を有する。この意味ツリーにおいて、より大きな領域に包含されたより小さい領域のノードは、より大きな領域のノードの低位レベル葉として描かれ、そのより大きな領域に包含された複数の個別の領域は、そのより大きな領域の異なる枝の葉として描かれる。このように、サンプル位置のすべての意味論的意味を包含する意味論的意味を、サンプル位置が共通の高位レベルノードに達するまでより高いレベルに向かって階層構造に沿って検索し、この共通の高位レベルノードを隠蔽領域の意味領域に対応しているものと決定することができる。階層意味ツリーは、アプリケーションサーバ206によって構築されてもよく、または、地図アプリケーションを提供するサーバ等の、第三者からのアプリケーションサーバ206によって取得されてもよい。
図5に例示される階層構造は、より詳細に後述される。
【0039】
個人の匿名性レベルが異なりうることから、意味領域の大きさも異なる場合があり、異なる個人の意味領域間に包含関係が存在しうる。
図4に示す例を一例として、移動軌跡402、404、406は、それぞれジャック、ジョン、トムの、3つの未加工の移動軌跡を示している。ジャックとジョンの両者が同一時間帯に公園にいるものの、ジョンの匿名性レベルが高く、ジャックの匿名性レベルが比較的低いようである。この時間帯のジャックの位置についての隠蔽領域は、公園の意味領域に対応していてもよい(その境界はブロック414によって示されている)。しかし、この時間帯における公園内のユーザの数は、k−匿名性アルゴリズムに応じたプライバシー保護についてジョンの所望するレベルを満たすには少なすぎる。そのため、この時間帯のジョンの位置についての隠蔽領域は、ジョンの匿名性レベルを満たすように拡張されてもよい。その結果、当該隠蔽領域についてのジョンの対応する意味領域も拡張されるべきであり、例えば住宅地域全体(その境界はブロック420によって示されている)となり、これは公園およびその他の意味領域(市場等)も包含することから大きさがより大きくなる。感覚的に、k値がより大きい人はより大きな意味領域内にある傾向にあり、このより大きな意味領域はk値がより小さい人の意味領域を包含してもよい。
【0040】
意味領域の階層構造を使用してこのような包含関係を効率的にサポートすることができ、これは意味論的関連のみならず位置的関連においても言える。いくつかの実施形態では、上述の階層意味ツリーが、すべての意味領域の領域に基づく包含関係の描写を促すように提案されている。ステップ330では、移動軌跡の変換された意味領域が階層意味ツリーのノードにマッピングされうる。
図5は、この階層構造を示すために例示的階層意味ツリーの例を示す。
図5に示すように、上位レベルの意味領域は、下位レベルの意味領域を包含する。例えば、領域「北京郵電大学キャンパス」は、2つの葉ノードである「北京郵電大学図書館」および「第3教育棟」を包含するツリーにおけるノードによって示される。また、意味領域「北京郵電大学キャンパス」および「清華大学」は隣接ノードに位置しており、この両者は高位レベルノードの領域である「朝陽区」に包含されていてもよい。意味領域の人口密度が変化することから、一定のプライバシーレベル(パラメータkによって示される)を有するユーザは、常時同一レベルの領域にいない場合もある。例えば、領域1内のユーザは、次の時間帯には領域2に移動する場合もある(
図5に示すように)。
【0041】
ステップ340では、アプリケーションサーバ206が、異なるユーザの移動軌跡の意味領域にマッピングされたノード間の関係に応じて、これらのユーザ間の社会的つながりを推測する。例えば、ノードの比較に基づいて、空間的次元および時間的次元における異なるユーザの移動軌跡の類似性を算出してもよい。異なるユーザの移動軌跡間の類似性は、これらのユーザ間の社会的つながりを反映することができる。一般的に、社会的つながりが存在する可能性は、主にこれらユーザの移動軌跡の類似性に依存している。これは、移動軌跡の類似性は、個人の行動および移動性パターンはある程度は互いにマッチングされると示されているためである。
【0042】
いくつかの実施形態では、2つの移動軌跡の類似性を算出する際に同様の時間の領域を比較することがより有意である。このように、概念「対領域」は、いくつかの実施形態では、この比較に対して定義さ
る)が、時間的制限を満たす場合は、これらは対領域と定義すること
【0043】
一例では、2つの空間的時間的意味部分が実質的に同一時間にそれぞれの移動軌跡で発生した場合、これらは対領域とみなされる。例え
るように、時間的制限をあらかじめ定義する。ここで、2つの瞬間(当該領域に入る時間と当該領域を離れる時間)の間の時間差を算出
現することができ、ここでδ
tは最大時間差を示す所与の時間的制限である。
【0044】
2つの移動軌跡上の対領域の量および個人の移動性を確保するために、時間的制限δ
tは1時間に設定することができる。しかし、δ
tがゼロを含む任意の適切な値に設定できることは理解されよう。
図6は、2つの移動軌跡上の対領域を特定する例を示し、対領域は同一の
午前6:00)に発生しており、したがって対領域であると特定でき
域であると特定できる。さらに、移動軌跡上の領域が別の移動軌跡上に2以上の対領域を有することも可能である。これは、これらの対領域すべてが時間的制限δ
tを満たしているためであり、
図6で円内に含
これらの移動軌跡の利用可能な対領域の一部またはすべてを測定することができる。
【0045】
社会的つながりを推測する際に、階層意味ツリーを使用して類似性を算出することは実現可能である。ここで、移動軌跡上のすべての意味領域は、階層意味ツリーにおけるノードに対応可能である。理論上、人々の移動性パターンが互いによくマッチングしていれば、その人々に社会的つながりが存在する可能性が高い。例えば、その人々のマッチングした移動性パターンは、その人々が同一の意味領域パターンを共有していることによって示されてもよい。その意味領域は同一でなくても、階層意味ツリーにおいて意味領域が近ければ、または意味領域間に包含関係が存在すれば、社会的つながりがある可能性がある。
【0046】
いくつかの実施形態では、2つの移動軌跡間の類似性の度合いは、類似性スコアによって測定されてもよい。例えば、類似性スコアが高いほど、2つの移動軌跡の2ユーザ間の社会的つながりが存在する可能性が高い。2つの移動軌跡の類似性スコアを算出するために、そのユーザの移動軌跡上の対領域の組をまずは特定することができる。次に、移動軌跡上の特定された対領域の少なくとも一部を採用して、類似性スコアをさらに算出することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、2つの移動軌跡の類似性スコアは、2つの移動軌跡上の対領域の各対の意味領域間の類似性の算出に基づいて算出することができる。対領域の各対の算出は、最低位にある共通祖先ノードや最短パスの長さ等の、移動軌跡間の類似性に関連するいくつかの重要な要素を考慮に入れることができる。これらの要素は、階層意味ツリーにおける対領域のノードに基づいて階層意味ツリーを検索することによって取得することができる。
【0048】
例えば、類似性の算出は、以下の3つの側面の少なくとも1つにおける要素から考慮することができる。
(1)階層意味ツリーにおける対領域の最低位にある共通祖先ノードのレベル。より低位のレベルはより小さい意味領域を表すため、より低位のレベルは類似性に対してより大きい影響をもたらす場合がある。対領域が意味ツリーにおいて同一ノードに位置する場合、最低位にある共通祖先ノードは自身である。対領域が意味ツリーにおいて異なるノードに位置する場合、最低位にある共通祖先ノードは、対領域におけるすべての領域を包含する最小領域に対応する高位レベルノードである。
(2)階層ツリーにおける対領域のノード間の最短パスの長さ。これは、2つの対領域の近さを反映している。感覚的に、2つのノードが物理的に近い場合に、意味ツリーにおいても近くにある。
(3)意味領域の影響。ユーザの意味領域が階層意味ツリーにおける低位のレベルに属する場合、予測に対する影響がより大きいと考えられ、すなわち意味領域の位置がより正確であることを意味する。このように、影響は各対領域のマッピングされたノードのレベルに依存しうる。
【0049】
対の対領域の意味領域の特性および関係を測定するために、例えば以下の測定基準を定義できる。
り、ルートノードから最低位レベルにおけるノードへのパスの長さをも示す。
【0050】
続いて、2つの移動軌跡の類似性を、対領域間の最短パスの長さ、最低位にある共通祖先のレベル、および意味領域の影響の3つの側面に少なくとも部分的に基づいて測定することができる。いくつかの実
(1)によって算出することができる。
式中、αおよびβは、それぞれ最短パスの長さおよび最低位にある共通祖先のレベルの寄与度を測るパラメータである。
【0051】
およびジョンの2つの移動軌跡における対領域の第1の対の類似性スコアを、例えば数式(1)に基づいて算出できる。一方、後続の時間
マッピングされた別の領域に到着する可能性があり、この場合、対領域のこの対についての第2の類似性スコアも数式(1)に基づいて算出できる。2つの移動軌跡におけるすべての比較された対領域につい
録するための類似性ベクターとして設定することができ、
として示される。
【0052】
として示される)は、2つの移動軌跡のすべての比較された対領域の
から算出可能である。
【0053】
上述に基づき、
図8は、本明細書に記載の各種機能を実施するように構成された本発明の例示的装置の実施形態を示す。
図8を参照し、いくつかの例示的実施形態では、装置800は、有線または無線通信機能を有する通信デバイスの一要素として実施されてもよく、またはこの一要素として含まれていてもよい。いくつかの例示的実施形態では、装置800は、固定端末または移動端末等の通信デバイスの一部であってもよい。固定端末としては、装置800は、コンピュータ、サーバ、アクセスポイント(例えば、基地局、無線ルータ等)、ネットワーク通信をサポートするデバイス等の一部であってもよい。通信デバイスの種類を問わず、装置800は、さらに演算機能を備えてもよい。
【0054】
例示的装置800は、プロセッサ805、メモリデバイス810、通信インタフェース815、およびユーザインタフェース825を含む、またはこれらと通信状態にある。プロセッサ805は、例えば、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、コントローラ、専用集積回路、例えば、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、またはハードウェアアクセラレータ、処理回路等、本発明の例示的実施形態の各種機能を実装するための各種手段として実施されてもよい。1つの例示的実施形態では、プロセッサ805は、呼応して動作する複数のプロセッサまたは1以上の多重コアプロセッサを代表していてもよい。さらに、プロセッサ805は、本明細書に記載の機能の実施を促すための複数のトランジスタ、論理ゲート、クロック(例えば、発振器)、その他の回路等からなってもよい。プロセッサ805は、1以上の付随のデジタル信号プロセッサを含んでもよいが、必ずしも含む必要はない。いくつかの例示的実施形態では、プロセッサ805は、メモリデバイス910に記憶された命令またはプロセッサ805がアクセス可能な命令を実行するように構成される。プロセッサ805は、装置800に本明細書に記載の各種機能を実施させるように動作するように構成されてもよい。
【0055】
プロセッサ805は、ハードウェアとして構成されるのか、または非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された命令によって構成されるのか、またはこれらの組合せによって構成されるのかによって、適宜構成されつつ、本発明の例示的実施形態に係る動作を実施可能なエンティティであってもよい。このように、プロセッサ805がASIC、FPGA等として、またはその一部として構成されている例示的実施形態では、プロセッサ805は、本明細書に記載の動作を実行するように特定的に構成されたハードウェアである。あるいは、プロセッサ805がコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された命令の実行主体として実施されている例示的実施形態では、その命令によってプロセッサ805は本明細書に記載のアルゴリズムおよび動作を実施するように特定的に構成される。いくつかの例示的実施形態では、プロセッサ805は、本明細書に記載のアルゴリズム、方法、および動作を実施するために実行された命令によってプロセッサ805をさらに構成することにより、本発明の例示的実施形態を実施するように構成された特定のデバイス(例えば、アプリケーションサーバ206)のプロセッサである。
【0056】
メモリデバイス810は、揮発性や不揮発性のメモリを含みうる1以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。いくつかの例示的実施形態では、メモリデバイス810は、ダイナミックRAMやスタティックRAMを含むランダムアクセスメモリ(RAM)、オンチップまたはオフチップのキャッシュメモリ等を含む。さらに、メモリデバイス810は、埋込み型や取外し可能であってもよい不揮発性メモリを含んでもよく、また、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスクドライブ、磁気テープ等)、光学ディスクドライブや媒体、不揮発性(non−volatile)RAM(NVRAM)等を含んでもよい。メモリデバイス810は、データの一時的記憶のためのキャッシュ領域を含んでもよい。ここで、メモリデバイス810の一部またはすべてがプロセッサ805内に含まれてもよい。
【0057】
さらに、メモリデバイス810は、プロセッサ805および例示的装置800に対して本明細書に記載の本発明の例示的実施形態に係る各種機能を実行させるための情報、データ、アプリケーション、コンピュータ読み取り可能なプログラムコード命令等を保存するように構成されてもよい。例えば、メモリデバイス810は、プロセッサ805による処理のために入力データをバッファリングするように構成しうる。これに加えて、またはこれに代えて、メモリデバイス810は、プロセッサ805による実行のための命令を保存するように構成されてもよい。
【0058】
通信インタフェース815は、ネットワークや例示的装置800と通信状態にある任意の他のデバイスまたはモジュールとデータを受送信するように構成された、ハードウェア、コンピュータプログラムプロダクト、またはハードウェアおよびコンピュータプログラムプロダクトの組合せで実施される任意のデバイスまたは手段であってもよい。いくつかの例示的実施形態では、通信インタフェースは、パーソナルコンピュータに接続された無線モデムの一部であってもよいし、または無線モデムを含んでもよい。プロセッサ805は、例えば、通信インタフェース815内に含まれるハードウェアを制御することによって、通信インタフェースを介した通信を促してもよい。ここで、通信インタフェース815は、例えば、1以上のアンテナ、送信機、受信機、送受信機、および/または例えば通信を可能にするプロセッサを含む対応するハードウェアを含んでもよい。通信インタフェース815を介して、例示的装置800は、その他の各種ネットワークエンティティと、デバイス間通信、および/または基地局、アクセスポイント、サーバ、ゲートウェイ、ルータ等を介した間接的通信によって通信してもよい。
【0059】
通信インタフェース815は、任意の有線または無線通信規格に従った通信に備えるように構成されてもよい。通信インタフェース815は、多重入出力(Multiple Input Multiple Output:MIMO)環境等の多重アンテナ環境での通信をサポートするように構成されてもよい。さらに、通信インタフェース815は、直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexed:OFDM)シグナリングをサポートするように構成されてもよい。いくつかの例示的実施形態では、通信インタフェース815は、各種技術、例えば、第二世代(2G)無線通信プロトコル、IS−136(時分割多重アクセス(Time Division Multiple Access:TDMA))、GSM(登録商標)、IS−95(符号分割多重アクセス方式(Code Division Multiple Access:CDMA))、第三世代(3G)無線通信プロトコル、例えば、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)、CDMA2000、WCDMA(登録商標)、および時分割同期(Time Division−Synchronous)CDMA(TD−SCDMA)、3.9世代(3.9G)無線通信プロトコル、例えばE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)、第四世代(4G)無線通信プロトコル、IMT−Advanced(International Mobile Telecommunications Advanced)プロトコル、LTE−advancedを含むLTE(Long Term Evolution)プロトコル等に従って通信するように構成されてもよい。さらに、通信インタフェース815は、例えば、無線周波数(Radio Frequency:RF)、赤外線(IrDA)、または任意の異なる無線ネットワーキング技術、例えば、WLAN技術として、IEEE802.11(例えば、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n等)、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)プロトコル、WiMAX(World Interoperability for Microwave Access)技術、例えばIEEE802.16、および/または無線パーソナルエリアネットワーク(Wireless Personal Area Network:WPAN)技術、例えばIEEE802.15、BlueTooth(BT)、BTの低消費電力版、超広帯域伝送(Ultra Wideband:UWB)、Wibree、Zigbee等の技術に従って通信するように構成されてもよい。通信インタフェース815は、ネットワーク層、場合によってはインターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)層における通信をサポートするように構成されてもよい。
【0060】
ユーザインタフェース825は、プロセッサ805と通信状態にあり、ユーザ入力をユーザインタフェース825を介して受信し、さらに/あるいは例えば、聴覚的、視覚的、機械的、またはその他の表示によってユーザに対して出力を提示してもよい。ユーザインタフェース825は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、マイク、スピーカ、またはその他の入/出力機構を含んでもよい。さらに、プロセッサ805は、ユーザインタフェースの1以上の要素の少なくとも一部の機能を制御するように構成されたユーザインタフェース回路を含むか、これと通信状態にあってもよい。プロセッサ805および/またはユーザインタフェース回路は、プロセッサ805(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)にアクセス可能なメモリに保存されたコンピュータプログラム命令(例えば、ソフトウェアやファームウェア)によって、ユーザインタフェースの1以上の要素の1以上の機能を制御するように構成されてもよい。いくつかの例示的実施形態では、ユーザインタフェース回路は、装置800の少なくとも一部の機能のユーザ制御をディスプレイの使用によって促し、ユーザ入力に応答するように構成される。プロセッサ805は、さらに、ユーザインタフェースの少なくとも一部を表示するように構成されたディスプレイ回路を含むか、これと通信状態にあってもよい。このディスプレイおよびディスプレイ回路は、装置800の少なくとも一部の機能のユーザ制御を促すように構成されている。
【0061】
例示的装置800の意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845は、部分的にまたは全体として、ハードウェア、コンピュータプログラムプロダクト、またはハードウェアとコンピュータプログラムプロダクトとの組合せとして実施される任意の手段またはデバイスであってもよく、その例として、記憶された命令を実行して例示的装置800を構成するプロセッサ805や、本明細書に記載の機能を実行するように構成された実行可能プログラムコード命令を記憶するメモリデバイス810や、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845の本明細書に記載のような機能を実行するように構成されたハードウェア構成のプロセッサ805が挙げられる。例示的実施形態では、プロセッサ805は、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845を含む、または制御する。意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845は、部分的にまたは全体として、プロセッサ805と同様であるが別個のプロセッサとして実施されてもよい。ここで、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845は、プロセッサ805と通信状態にあってもよい。様々な例示的実施形態では、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845は、部分的にまたは全体として、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845の機能の一部または全部が第1の装置によって実施され、意味領域変換部835、階層意味ツリー手段840、および/または社会的つながり発見手段845の残りの機能が1以上の他の装置によって実施されるように異なる装置に設けられてもよい。
【0062】
装置800およびプロセッサ805は、意味領域変換部835によって以下の機能を実施するように構成されてもよい。意味領域変換部835は、
図3に図示された例示的方法のような例示的方法の複数の動作を実施するように構成されてもよい。ここで、意味領域変換部835は、隠蔽領域を、その隠蔽領域の意味論的意味によって表現される対応する意味領域に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、意味領域変換部835は、隠蔽領域における2以上のサンプル位置を選択し、2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた意味論的意味を導出し、2以上のサンプル位置のそれぞれに関連付けられた意味論的意味から隠蔽領域の意味論的意味を結論付けるように構成されてもよい。ここで、隠蔽領域の意味領域として、2以上のサンプル位置に関連付けられたすべての意味論的意味を包含する意味論的意味を有する意味領域を選択してもよい。いくつかの実施形態では、サンプル位置に関連付けられた意味論的意味は、当該サンプル位置の地理的座標に基づく逆ジオコーディングによって導出されてもよい。
【0063】
装置800およびプロセッサ805は、階層意味ツリー手段840によって以下の機能を実施するように構成されてもよい。階層意味ツリー手段840は、
図3に図示された例示的方法のような例示的方法の複数の動作を実施するように構成されてもよい。ここで、階層意味ツリー手段840は、変換された意味領域を階層意味ツリーのノードにマッピングするように構成されてもよく、階層意味ツリーの各ノードは、意味領域に対応する。
【0064】
装置800およびプロセッサ805は、社会的つながり発見手段845によって以下の機能を実施するように構成されてもよい。社会的つながり発見手段845は、
図3に図示された例示的方法のような例示的方法の複数の動作を実施するように構成されてもよい。ここで、社会的つながり発見手段845は、異なるユーザの各移動軌跡の意味領域にマッピングされたノード間の関係に応じて、これらのユーザ間の社会的つながりを推測するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、社会的つながり発見手段845は、対領域として、同一の時間に発生した異なる移動軌跡上の意味領域を特定し、特定された対領域の各対の意味領域にマッピングされたノード間の類似性を算出し、算出された類似性から異なる移動軌跡間の類似性を推定するように、さらに構成されてもよい。いくつかの実施形態では、社会的つながり発見手段845は、特定された1対の対領域の意味領域にマッピングされたノード間の類似性を、階層意味ツリーにおける当該1対の対領域の意味領域にマッピングされたノードの最低位にある共通祖先ノードのレベルと、階層ツリーにおける当該1対の対領域の意味領域にマッピングされたノード間の最短パスと、階層ツリーにおける当該1対の対領域の意味領域にマッピングされた各ノードのレベルの3つの側面のうちの少なくとも1つの要素に基づいて算出するようにさらに構成されてもよい。
【0065】
一般的に、上記各種例示的実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、論理回路、またはこれらの任意の組合せで実施されてもよい。例えば、一部の態様をハードウェアで、その他の態様をコントローラ、マイクロプロセッサ、またはその他のコンピュータデバイスによって実行しうるファームウェアまたはソフトウェアによって実施されてもよいが、本発明これらに限定されるものではない。本発明の例示的実施形態の各種態様は、ブロック図、フローチャート、またはその他の図面に例示され説明されているが、本明細書に記載のこれらのブロック、装置、システム、技術、または方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路または論理回路、汎用ハードウェア、コントローラ、その他のコンピュータデバイス、またはこれらの任意の組合せによって実施されてもよく、また、これらに限定されない。
【0066】
本発明の例示的実施形態の少なくともいくつかの態様は、1以上のコンピュータやその他のデバイスによって実行される1以上のプログラムモジュールに保存されたもののような、コンピュータ実行可能命令として実施しうることが理解されよう。一般的に、プログラムモジュールは、コンピュータやその他のデバイス内のプロセッサによって実行されたときに、特定のタスクを実施したり、特定の抽象データ型を実行したりする、ルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造等を含む。このコンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光学ディスク、取外し可能記憶媒体、ソリッドステートメモリ、RAM等のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。当業者には自明であるが、前記プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望となるように組み合わせたり分配したりしてもよい。さらに、この機能は、全体的にまたは部分的に、ファームウェア、または集積回路、FPGA等のハードウェア均等物で実施されてもよい。
【0067】
本発明は、明細書に明示的に開示された、またはこれが一般化されたものの、任意の新規の特徴または特徴の組合せを含む。各種変形例および本発明の上述の例示的実施形態への適用が、添付の図面と合わせて上述の説明を参照することにより当業者には明らかになる。任意のあらゆる変形例が、本発明の非限定的で例示的な実施形態の範囲に含まれる。