【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するため、本発明は
、パッケージ、パッケージ封止方法、本発明に係るパッケージを備えた例えば人工衛星などのプラットフォーム、並びに、本発明に係る方法を用いて製作されるパッケージを提供するものである。尚、従属請求項は、特に有利な構成例の特徴を記載したものである。
【0014】
本発明の1つの実施の形態によれば、パッケージが提供される。このパッケージは、第1パッケージ部材と第2パッケージ部材とを備え、前記第1及び第2パッケージ部材は、伝熱性を有するパッケージ部材として構成されており、前記第1及び第2パッケージ部材は、接合プロセスによって互いに接合可能なパッケージ部材とされており、前記第1パッケージ部材と前記第2パッケージ部材との間に、それらパッケージ部材を互いに接合するための接合材料が配設されており、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材が加熱されることで、前記接合材料の状態が変化して、前記第1及び第2パッケージ部材を互いに接合するようにしてあり、そして、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材に、当該少なくとも一方のパッケージ部材における熱拡散を低減するための局所的伝熱性低減部が設けられている。
【0015】
本発明の別の1つの実施の形態によれば、パッケージ封止方法が提供される。この方法は、第1パッケージ部材を調達するステップを含み、第2パッケージ部材を調達するステップを含み、前記第1及び第2パッケージ部材は、伝熱性を有するパッケージ部材として構成されており、前記第1及び第2パッケージ部材は、接合プロセスによって互いに接合可能なパッケージ部材とされており、前記第1パッケージ部材と前記第2パッケージ部材との間に、それらパッケージ部材を互いに接合するための接合材料を配設するステップを含み、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材を加熱することで、前記接合材料の状態を変化させて、前記第1及び第2パッケージ部材を互いに接合する状態にする、接合プロセスのステップを含み、そして、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材に、当該少なくとも一方のパッケージ部材における熱拡散を低減するための局所的伝熱性低減部が設けられている。
【0016】
本発明の別の1つの実施の形態によれば、本発明に係るパッケージを備えた例えば人工衛星などのプラットフォームが提供される。
【0017】
本発明の特に好適な別の1つの実施の形態によれば、本発明に係る方法を用いて製作されるパッケージが提供される。
【0018】
レーザロウ接法を用いて2つのパッケージ部材を接合するには、それらパッケージ部材の間で、例えばロウ材などの接合材料を溶融させる。それには、例えば赤外線波長領域のレーザ機器などを使用して、2つのパッケージ部材のうちの一方のパッケージ部材の表面にレーザ光を照射すればよく、通常は、蓋部材である方のパッケージ部材の表面にレーザ光を照射すればよい。この照射対象のパッケージ部材は、ロウ材の上側に位置しており、このパッケージ部材の表面を、目標移動経路に沿って、ないしは線状の接合領域に沿って高速で走査する(即ち照射位置を移動させる)ことによって、そのパッケージ部材に十分な量のエネルギを注入することができ、もって、当該パッケージ部材の接合領域に配設されているロウ材を液状化する(即ち溶融させる)ことができる。こうして溶融したロウ材は、即ち接合材料は、2つのパッケージ部材に好適に接合し、それによって、封止されて気密状態とされたパッケージが得られる。尚、パッケージ部材は金属材料製であってもよく、セラミックス材料製であってもよい。
【0019】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記パッケージ部材のうちの少なくとも1つのパッケージ部材が、金属材料製パッケージ部材またはセラミックス材料製パッケージ部材であるようにするとよく、また特に、例えば金属メッキが施されたセラミックス材料製パッケージ部材などであるようにするとよい。また、本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記パッケージが、接合プロセスを経た後には密封状態となっているようにするのもよい。
【0020】
上側のパッケージ部材へ注入された熱は、ロウ材を通って、このロウ材の下側の他方のパッケージ部材の口縁部の表面へ伝達され、それによってロウ接が行われ、冷却後には、パッケージが封止されて密閉状態となっている。
【0021】
レーザパルスを使用するレーザロウ接法では、他の接合法と比べて、パッケージ部材にかかる熱負荷は格段に小さい。しかしながら、そのような小さな熱負荷であっても、パッケージが非常に小さなものである場合には、大きな問題を引き起こすおそれがある。そのため、信頼性の観点から、セラミック材料製のパッケージを通って、そのパッケージの内部空間に収容されている電子部品へ熱が侵入するのを防止することが望まれる。ここでいう熱の侵入とは、より具体的には、熱エネルギが接合部位(即ちロウ接部位)を通ってパッケージの中へ伝達され、そして、そこに収容されている電子部品へ伝達されることである。しかるに、このように熱が伝達しては不都合な領域へ熱が拡散することを、適当な構造的手段を設けることで、阻止し、または少なくとも低減することができ、それによってパッケージを比較的低温に保つことができる。ただし、レーザロウ接法では、そのような構造的手段の有無にかかわらず、炉内ロウ接法と比べればロウ接に要する時間がはるかに短い上に、レーザをオフにすると略々同時に熱の流入が終了する。
【0022】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材に、また特に、それらパッケージ部材のうちの少なくとも加熱対象ではないパッケージ部材に、局所的伝熱性低減部である伝熱抑制バリアが設けられているようにするのもよく、また、該伝熱抑制バリアが、パッケージ壁部の厚さを局所的に縮減した局所的断面積縮減部として形成されているようにするのもよい。
【0023】
前記構造的手段の好適例は、パッケージ部材のセラミック材料から成るパッケージ壁部に設けられた伝熱抑制バリアであり、また特に、レーザの照射対象ではないパッケージ部材に設けられたそのような伝熱抑制バリアである。また、そのような伝熱抑制バリアは、パッケージ壁部の厚さを局所的に縮減することにより形成されたものとするとよい。こうすることで、パッケージ部材の伝熱性を局所的に低減することができ、それによって、注入された熱エネルギがその伝熱抑制バリアを横切って伝達する際に遅れが加わり、もって伝熱が抑制される。また、更なる利点として、それによって、パッケージ部材の全体のうち、レーザの照射部位から見て伝熱抑制バリアより手前側の領域に熱が貯留するようになるため、注入されるレーザエネルギによって、伝熱抑制バリアより手前側の当該領域がより良好に加熱されるようになるということがある。
【0024】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記接合材料は、ロウ材、ロウ材ペースト、ロウ材ワイヤ、及び、ロウ材プリフォームを含む部類中から選択された材料から成るものとするとよく、また特に、前記接合材料はフラックスフリーの材料などから成るものとするとよい。
【0025】
特に宇宙航行関連の用途においてロウ接プロセスというとき、通常、それはフラックスフリーのロウ接プロセスのことを意味している。フラックスフリーのロウ接プロセスは、理想的な条件下では汚染物質を発生させることがない。もし仮に汚染物質を発生させたとするならば、ロウ接プロセスの完了後に、その汚染物質を除去するために多大の手間を要することになる。
【0026】
フラックスフリーのロウ接プロセスを実行する上では、そのロウ接によって接合される表面がロウ材に対する濡れ性を有していることが望まれ、それには、その表面に目に見える汚染物質が付着していないことに加えて、例えばその表面ないし表面層が甚だしく酸化されているなどの、異物原子による汚染もあってはならない。異物原子による汚染が生じるのは、通常、パッケージ部材の保管が適切でない場合であり、より具体的には、例えばパッケージ部材が、乾燥窒素キャビネットの中ではなく、湿気のある室内環境中で保管されていた場合などである。
【0027】
異物原子による汚染は目で見ただけでは分かりにくく、多くの場合、ロウ接プロセスを実行したときに、表面の濡れ性が乏しいためにロウ材の流れが悪いのを見てはじめてそれと認識される。かかる汚染に対処するには、通常、接合プロセスをフォーミングガスの雰囲気中で実施すればよく、そのフォーミングガスとしては、窒素ガスと水素ガスを混合した混合ガスであって、水素ガスの含有量が5〜10%のものなどを使用するが、ただし、汚染度が最悪レベルのものである場合には、水素ガスが100%の雰囲気中で接合プロセスを実施するのがよい。ここで、水素ガスは、フラックスを用いたならばそのフラックスが提供するはずであった還元作用即ち脱酸素作用を提供する。尚、水素ガスの含有量の少ないフォーミングガスを使用する場合には、特段の安全対策は不要であるが、純粋な水素ガスを使用する場合には、相応の安全対策を講じる必要がある。
【0028】
レーザロウ接法の一種であるレーザハンダ付け法の公知例としては、SMD(表面実装デバイス)方式の電子回路板への部品実装、熱の影響を受けやすい電子部品アセンブリにおける構成部品実装、それに、例えばスイッチ類や、モータなどのエレクトロメカニカル部品の製造における全自動接合技術などに用いられているものがある。
【0029】
本発明によれば、夫々に接合に適した表面を有する2つのパッケージ部材が、例えばレーザロウ接法などの光照射接合法を用いて、また好適なフラックスフリーの接合材料であるロウ材などによって、互いにロウ接される。そのロウ接にはレーザビームが用いられ、そのレーザビームによって、ロウ材は溶融温度まで加熱され、また、例えばパッケージ本体部材の口縁部や蓋部材などの互いに接合される表面がロウ接温度まで加熱される。互いに接合される接合表面は、金属表面であることが好ましいが、ただし、本発明に係る方法は、セラミックス材料製のパッケージ部材に対して実施することも可能である。
【0030】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの加熱対象のパッケージ部材は光エネルギの注入に適した表面を備えているようにするのもよく、また特に、例えば当該パッケージ部材の表面のうちの少なくとも光エネルギが注入される局所領域には、表面の反射率を改変するなどの表面改質処理が施されているようにするのもよい。
【0031】
特に金属表面は、通常、大きな反射率を有しているため、金属表面に照射されたレーザ光は、そのかなりの部分が反射してしまう。そこで、本発明の1つの局面として、パッケージ部材の表面の反射率を改変するということがある。それには、ロウ接部位の近傍領域の表面に対して、十分な量のレーザ光を吸収できるようにするための表面改質処理を施すようにするとよい。その場合の表面改質処理としては、例えば、多くの場合金やニッケルなどで形成されているパッケージ表面のコート層であるメッキ層の除去処理、及び/または、表面粗面化処理などを行うとよい。また、それらの処理は、表面に対してレーザアブレーション処理を施すことのできる適切なレーザ機器を用いて実施するとよい。これに関して特に好ましいのは、接合プロセスに用いるレーザ機器を、そのレーザ機器の設定可能なパラメータに適宜調節を加えた上で、表面改質処理プロセスにも用いるというものである。
【0032】
以上の表面改質処理は、パッケージ部材の全表面に対して施す必要はなく、ロウ接部位の近傍の局所領域に施すだけで十分である。
【0033】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記第1及び第2パッケージ部材のうちの少なくとも一方のパッケージ部材を、光エネルギの注入に際して所定の移動経路に沿って移動させるようにするのもよい。また、本発明の特に好適な別の1つの構成例として、同一のレーザ機器を、光エネルギの注入に適するように表面に処理を施す表面処理と、接合のための光エネルギの注入との、両方に用いるようにするのもよい。
【0034】
ロウ接によって互いに接合する表面を均一に加熱するためには、レーザスキャナを用いて、即ち操向可能なレーザビームを用いて、パッケージの蓋部材の外縁形状に沿って、非接触方式で、パッケージ部材に熱エネルギを注入するようにするとよい。ここでは、パッケージの蓋部材の外縁形状は、2つのパッケージ部材を互いに接合しようとしている接合領域の形状に略々対応しており、多くの場合、それは長方形の形状である。ただし、パッケージの蓋部材の外縁形状は、その他の形状であることもあり、個々のパッケージの構造に応じて決まるものである。レーザ光はパッケージ部材の表面から、そのパッケージ部材の中へ吸収され、そして、その熱エネルギが、パッケージ部材を通って接合材料であるロウ材へ伝達される。その熱エネルギは更に、ロウ材を通ってロウ接しようとしている相手側のパッケージ部材へ伝達され、そして、ある程度の加熱時間が経過したならばロウ材が溶融し、その溶融したロウ材によって2つのパッケージ部材が接合されることによって、それらパッケージ部材が固定接合され、且つ、密封状態を確立することのできる接合部が形成される。
【0035】
ロウ材としてはフラックスフリーのものを用いることが特に好ましく、そうすることによって、接合プロセスの実行後にパッケージ部材の清浄化処理を実行せずに済むようになる。フラックスフリーのロウ材を用いて確実なロウ接が行えるようにするには、通常、ロウ接によって互いに接合する表面に活性化処理を施しておく必要がある。その活性化処理は、真空炉の中でパッケージ部材(通常はハウジング本体部材と蓋部材である)の焼灼を行い、その際に、例えば水分を除去するのであれば、高温のフォーミングガスを噴き付ける洗浄処理と、抜気処理とのサイクルを反復するとよい。また別法として、フラックスフリーのロウ材を用いて行う接合プロセスそれ自体を、窒素ガスと水素ガスの混合ガスであるフォーミングガスの雰囲気中で実行するという方法もある。
【0036】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記第1及び第2パッケージ部材を互いに接合する際に、例えば赤外線カメラまたは温度センサ、あるいはその両方によって接合加工温度を監視するようにするのもよい。
【0037】
プロセス信頼性を高めるために、接合プロセスの全体のうちのロウ接プロセスの部分にいわゆるインプロセス制御を適用するのもよい。このインプロセス制御は、例えば、接合プロセスにおいて互いに接合する2つのパッケージ部材の接合領域の温度が、所望の結果が得られるような適切な処理温度にあるか否かを実質的に判定することのできる、適宜の温度計測器を用いて実施するとよく、そのような温度計測器としては、例えば、赤外線カメラや赤外線温度センサなどがある。
【0038】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記第1及び第2パッケージ部材を互いに接合する際に、例えば係合式固定機構、重量印加式固定機構、それに磁力吸着式固定機構などの固定機構によって、また特に、自動芯合わせ式の磁力吸着式固定機構などによって、それらパッケージ部材どうしを相対的に固定するようにするのもよい。
【0039】
また、パッケージ部材それ自体に係合式固定機構を形成するようにしてもよく、その係合式固定機構によって、例えば、上側のロウ接される部材(典型的な一例としてはロウ材プリフォームが取付けられた蓋部材)が、ロウ接プロセスの実行時に、溶融して液状化した接合部材の上で浮動して位置がずれるのを防止することができる。また同様に、重量印加部材、磁石部材、また特に、自動芯合わせ式の磁石部材(即ち、一方のパッケージ部材を他方のパッケージ部材に対して自動芯合わせできるようにした磁石部材)を、パッケージ部材それ自体に設けるようにするのもよい。また、係合挟圧式固定機構によって、レーザビームの焦点の移動位置から外れた箇所において、2つのパッケージ部材を一定の挟圧力で互いに押付けて、互いに組付けた状態に保持するようにするのもよい。
【0040】
本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記光照射式接合方法は、光照射式ロウ接法として構成されているようにするのもよく、また特に、例えばレーザロウ接法として構成されているようにするのもよい。本発明の特に好適な別の1つの構成例として、前記接合プロセスは、光によって注入するエネルギを用いて実行するものとするのもよい。
【0041】
本発明に係る接合プロセス即ちレーザロウ接プロセスによれば、良好な再現性をもって大量生産を行うことができ、また特に、金属メッキが施されたセラミックス材料製のパッケージに適用したときの熱応力が小さい。レーザロウ接法では、熱エネルギが光によって注入されるため、非常に小さな局所領域に注入されるのである。
【0042】
適当なレーザビーム操向機構を備えることによって、例えば、kH領域の走査周波数で高速制御可能なガルバノミラーを備えることによって、レーザビームをパッケージ部材上の、略々任意の移動経路に沿って移動させることができ、理想的には、接合材料即ちロウ材の配設領域の近傍だけを、十分に加熱し、ほぼ同時に液状化することができる。
【0043】
以下に添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について詳細に説明して行く。図面については以下の通りである。