(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0031】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0032】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体について
図1〜
図4を用いて説明する。
【0034】
<封止体の構成>
図1(A)に本発明の一態様の封止体の平面図を示す。また、
図1(A)に示す一点鎖線A−B間の断面図の例を3種類挙げ、それぞれ
図1(B)〜(D)に示す。
【0035】
図1(A)〜(D)に示すように、本発明の一態様の封止体は、第1の面が互いに対向する基板101及び基板109と、空間103を基板101及び基板109とともに封止する枠状の封止材105と、基板101の第1の面又は基板109の第1の面の少なくとも一方に設けられた溝部107(凹部ともいえる)と、を有する。溝部107は、封止材105に囲まれている。
【0036】
空間103は、真空であるか、基板101や基板109に比べて熱伝導性が低い材料で充填されている。したがって、封止材105から空間103を介して被封止体に熱は伝導しにくい。以下では、基板101や基板109を介して封止材105から被封止体に熱が伝導するものとする(つまり、空間103を介して封止材105から被封止体に熱が伝導する現象については考えない)。なお、本発明の一態様では、基板に設けられた溝部107も、空間103と同様に真空であるか、同様の材料で充填されているものとする。
【0037】
図1(B)では、基板101の第1の面に溝部107が設けられている例を示す。
【0038】
図2(A)には、
図1(A)(B)に示した封止体に、被封止体111を封入した場合の平面図及び一点鎖線C−D間の断面図を示す。そして、
図2(B)には、比較例として、溝部107をいずれの基板にも設けていない封止体に、被封止体111を封入した場合の平面図及び一点鎖線E−F間の断面図を示す。
【0039】
図2(B)に示す比較例では、封止材105から被封止体111に熱が伝わる最短経路L4が、被封止体111と封止材105の距離L2と同等の長さとなる。したがって、被封止体111が受ける熱のダメージを抑制するためには被封止体111と封止材105の距離L2を長くとる必要がある。このような構成では、基板の第1の面の面積に対して、被封止体111を設けることができる面積が狭くなり、好ましくない。
【0040】
一方、本発明の一態様が適用された
図2(A)に示す構成では基板101に溝部107を有するため、封止材105から基板101を介して被封止体111に熱が伝わる最短経路L3が、被封止体111と封止材105の距離L1に比べて長くなる。
【0041】
つまり、被封止体111と封止材105の距離が同じ場合、溝部107を設けることで、溝部107を設けない場合に比べて被封止体111が受ける熱のダメージを抑制できる。
【0042】
また、
図2(B)における最短経路L4と
図2(A)における最短経路L3が等しい(同等に被封止体111に熱が届きにくい)場合、溝部107を有する構成における被封止体111と封止材105の距離L1は、溝部107を有さない構成における該距離L2に比べて短い。したがって、本発明の一態様を適用することで、封止材105から被封止体111に熱が届きにくくなり、被封止体111が受ける熱のダメージを抑制しながら、被封止体111と封止材105の距離を短くすることができる。
【0043】
以上のことから、
図1(B)に示すような構成とすることで、封止材105を局所的に加熱した場合に、基板101上に設けられる被封止体に熱が伝導することを抑制できる。または、基板101上の被封止体が熱のダメージを受けにくい、被封止体と封止材105の距離を短くすることができる封止体を実現できる。
【0044】
図1(C)では、基板109の第1の面に溝部107が設けられている例を示す。このような構成とすることで、封止材105を局所的に加熱した場合に、基板109上に設けられる被封止体に熱が伝導することを抑制できる。または、基板109上の被封止体が熱のダメージを受けにくい、被封止体と封止材105の距離を短くすることができる封止体を実現できる。
【0045】
図1(D)では、基板101の第1の面及び基板109の第1の面に溝部107が設けられている例を示す。このような構成とすることで、封止材105を局所的に加熱した場合に、基板101上及び基板109上に設けられる被封止体に熱が伝導することを抑制できる。または、基板101上及び基板109上の被封止体が熱のダメージを受けにくい、被封止体と封止材105の距離を短くすることができる封止体を実現できる。
【0046】
図3(A)〜(E)に、溝部107の形状の一例を示す。
【0047】
溝部は先に示した1つの溝からなる形状に限られず、
図3(A)の溝部107aに示すように複数の溝を有していてもよい。
【0048】
溝部の底部や角部は先に示した角を有する形状に限られず、
図3(B)の溝部107bに示すように曲率を有する形状であってもよい。
【0049】
図3(C)の溝部107cに示すように、溝部の側面はテーパー形状であってもよい。
【0050】
図3(D)の溝部107dに示すように、溝部が有する複数の溝のうち、一部が封止材105で充填されていてもよい。基板に設けられた複数の溝と封止材105が接することで、封止材105と基板との接触面積が増え、封止材105と基板との密着性を高めることができるため、好ましい。
【0051】
封止体が有する一方の基板と他方の基板は、それぞれ異なる形状の溝部を有していてもよい。
図3(E)では、基板101が複数の溝からなる溝部107aを有し、基板109が溝部107aとは異なる(1つの溝からなる)溝部107eを有する例を示す。
【0052】
なお、溝部の幅L5が広いほど封止材105から基板を介して被封止体に熱が伝わる最短経路が長くなるため好ましい。ただし、溝部の幅L5が広いほど被封止体を設けられる領域が狭くなる。したがって、溝部の幅L5は、例えば10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上200μm以下とすればよい。なお、
図3(C)の溝部107c等のように、深さによって幅が異なる形状の場合、最も広い箇所を溝部の幅L5とする。
【0053】
溝部の深さL6が深いほど封止材105から被封止体111に熱が伝わる最短経路が長くなるため好ましい。ただし、溝部の深さL6が深いと、基板の強度が低下する場合や、該溝部を形成するために要する時間が長くなる場合がある。したがって、溝部の深さL6は、例えば20μm以上200μm以下、好ましくは50μm以上200μm以下とすればよい。なお、複数の溝からなる溝部において、溝によって深さが異なる場合、最も深い箇所を溝部の深さL6とする。
【0054】
特に、幅L5が狭く、深さL6が深い溝部を有することが好ましい。幅L5が狭いほど狭額縁化が可能であり、深さL6が深いほど、封止材105から被封止体111に熱が届きにくく、被封止体111が熱のダメージを受けることを抑制できる。例えば、深さL6が、幅L5の1倍以上2倍以下となるよう、溝部を形成すればよい。なお、深さL6を幅L5の2倍より大きくすると、量産性が低下する場合がある。
【0055】
<封止体の材料>
次に、本発明の一態様の封止体に用いることができる材料について説明する。
【0056】
基板101や基板109としては、封止体及び封止体に封入される被封止体の製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備える材料を用いる。また、その厚さ及び大きさは製造装置に適用可能であれば特に限定されない。例えば、ガラス基板、セラミックス基板、金属基板等の無機材料を用いた基板や、樹脂基板と無機材料の積層体、FRP(Fiber−Reinforced Plastics)、プリプレグ等の有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板が挙げられる。また、基板101や基板109は被封止体が破壊しない程度の可撓性を有していてもよい。例えば、厚さが50μm以上500μm以下の薄いガラスや金属箔を用いることができる。ただし、基板101又は基板109の少なくとも一方は、レーザ光を透過する材料を用いる。
【0057】
空間103は、前述の通り、真空であるか、基板101や基板109に比べて熱伝導性が低い材料で充填されている。例えば、空間103は、希ガスもしくは窒素ガスなどの不活性ガスで充填された不活性雰囲気や、減圧雰囲気であることが好ましい。
【0058】
封止材105は、熱溶融性の材料、ヒートシール性の材料、熱硬化性の材料等を用いることができる。例えば、ガラスフリットを用いて形成できる。また、ガラスリボンを用いて形成してもよい。ガラスフリットやガラスリボンはガラス材料を含んでいればよい。
【0059】
被封止体111として、例えば、耐熱性の低い機能素子を有する。被封止体111は、トランジスタ等の半導体素子、発光素子、液晶素子、プラズマディスプレイを構成する素子、カラーフィルタ等が挙げられる。発光素子は、電流又は電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には、無機EL素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インク表示装置(電子ペーパー)など、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用できる。特に、有機EL素子やカラーフィルタ等、耐熱性の低い機能素子を被封止体として用いる際に、本発明の一態様は好適である。なお、トランジスタを被封止体として有する半導体装置、発光素子を被封止体として有する発光装置、液晶素子や発光素子等の表示素子を被封止体として有する表示装置等も本発明の一態様の装置である。
【0060】
<封止体の作製方法>
本発明の一態様の封止体に被封止体を封入する場合の作製方法の一例について、
図4を用いて説明する。
【0061】
≪1:被封止体が一方の基板にのみ設けられている場合≫
まず、基板101の第1の面上に溝部107及び被封止体111を形成する(
図4(A))。
【0062】
溝部107は、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザエッチング(レーザビーム)、イオンビーム、電子ビーム、サンドブラスト、フォトリソグラフィ、ダイサー等を用いて形成することができる。
【0063】
溝部107と被封止体111の形成順序は特に問わない。溝部107を形成した後に被封止体111を形成することが好ましい。これにより、溝部107を形成する際に発生するゴミが被封止体111に混入し、装置の信頼性が低下することを抑制できる。また、被封止体111が設けられていることで、溝部107の形成方法が限定される場合もあるため、このことからも、溝部107を先に形成することが好ましい。
【0064】
次に、基板109の第1の面上にフリットペースト104を配置する(
図4(B))。フリットペースト104は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等の印刷法や、ディスペンス法又はインクジェット法等の塗布法等を用いて配置する。例えば、スクリーン印刷法を用いて、枠状にフリットペースト104を配置すればよい。
【0065】
被封止体が設けられている基板にフリットペーストを塗布すると、フリットペーストを加熱する際の方法、条件が被封止体の耐熱性によって限定されてしまう場合がある。したがって、被封止体が設けられていない基板上にフリットペーストを塗布することが好ましい。
【0066】
フリットペーストには、ガラスフリット(粉末のガラス材料)、有機溶媒、及びバインダ(樹脂等)が含まれる。フリットペーストは、様々な材料、構成を用いることができる。例えば、テルピネオール、n−ブチルカルビトールアセテート等の有機溶媒や、エチルセルロース等のセルロース系の樹脂を用いることができる。また、フリットペーストには、レーザ光の波長の光を吸収する光吸収材が含まれていてもよい。
【0067】
ガラス材料は、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、二酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化リチウム、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選択された一以上の化合物を含むことが好ましい。赤外光を吸収させるため、少なくとも一種類以上の遷移金属を含むことが好ましい。
【0068】
なお、フリットペースト104を配置した後、乾燥処理を行い、フリットペースト104中の有機溶媒を除去してもよい。乾燥処理では、基板109上に設けられた材料の耐熱温度よりも低い温度でフリットペースト104を乾燥させる。例えば、100℃以上200℃以下の温度で、10分以上30分以下、乾燥処理を行えばよい。
【0069】
次に、フリットペースト104を加熱する(仮焼成を行う)ことで、フリットペースト104内の有機溶媒やバインダを除去し、ガラス層を形成する。仮焼成としては、レーザ光を照射することで、フリットペーストを局所的に加熱してもよいし、フリットペーストが設けられた基板全体を加熱炉、ランプ、ヒーターなどで加熱してもよい。加熱温度としては、用いるガラスフリットのガラス転移温度に近い温度とすることが好ましく、例えば、300℃以上450℃以下とすればよい。
【0070】
なお、仮焼成によって、フリットペースト104に含まれるガラスフリットが完全に溶融、固着して一体となってもよいし、ガラスフリット同士が部分的に溶着する状態であってもよい。また、仮焼成の条件によっては、有機溶媒やバインダが完全に除去されずにガラス層中に残存している場合もある。
【0071】
仮焼成において照射するレーザ光としては、例えば、可視光領域、赤外領域、又は紫外領域の波長のレーザ光を用いることができる。
【0072】
可視光領域又は赤外領域の波長のレーザ光を発振するレーザとしては、例えば、Arレーザ、Krレーザ、CO
2レーザ等の気体レーザや、YAGレーザ、YVO
4レーザ、YLFレーザ、YAlO
3レーザ、GdVO
4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y
2O
3レーザ等の固体レーザが挙げられる。なお、固体レーザにおいては、基本波や第2高調波を適用することが好ましい。また、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザも用いることができる。半導体レーザは、発振出力が安定、メンテナンス頻度が少なく運用コストが安いといったメリットがある。
【0073】
紫外領域の波長のレーザ光を発振するレーザとしては、例えば、XeClレーザ、KrFレーザなどのエキシマレーザや、YAGレーザ、YVO
4レーザ、YLFレーザ、YAlO
3レーザ、GdVO
4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y
2O
3レーザ等の固体レーザが挙げられる。なお、固体レーザにおいては、第3高調波や第4高調波を適用するのが好ましい。
【0074】
なお、ガラス層の上面が平坦であると、貼り合わせる基板との密着性が高くなるため、好ましい。よって、厚さや平坦性を均一にするために、平板などを押し当てる、ヘラなどで上面をならす等の処理を施してもよい。該処理は、仮焼成前や仮焼成後に行うことができる。
【0075】
次に、基板101の第1の面と基板109の第1の面が対向するように基板101と基板109を配置する。そして、レーザ光を照射して、ガラス層を局所的に加熱する。これにより、ガラスフリットが溶融して封止材105が形成される。封止材105によって基板101及び基板109は溶着される(
図4(C))。
【0076】
レーザ光はガラス層が設けられた領域に沿って走査しながら照射することが好ましい。レーザ光は、基板101又は基板109のいずれを介して照射してもよい。本実施の形態では、基板109を介してレーザ光を照射するため、少なくとも基板109を透過する波長の光を照射する。例えば、可視光領域又は赤外光領域の波長の光を照射する。また、基板を透過しない高いエネルギー(例えば紫外領域の波長)を有する光を用い、ガラス層に直接レーザ光を照射して加熱することもできる。これらレーザ光を発振するレーザは、前述の仮焼成に用いることができるレーザ等が挙げられる。
【0077】
レーザ光を照射してガラスフリットを加熱する際には、ガラス層と貼り合わせる基板(ここでは基板101)とが確実に接するように、圧力をかけながら処理することが好ましい。例えば、レーザ光の照射領域外においてクランプなどを用いて挟んだ状態で処理してもよいし、基板101又は基板109の一方又は両方から面状に圧力をかけてもよい。
【0078】
また、レーザ光が照射された後に空間103が不活性雰囲気又は減圧雰囲気となるように、処理を行うことが好ましい。例えば、レーザ光を照射する前に、基板上にあらかじめフリットペースト104よりも外側又は内側に光硬化樹脂や熱硬化樹脂などの樹脂を配置し、不活性ガス雰囲気下又は減圧雰囲気下で、基板101及び基板109を仮接着した後、大気雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で、レーザ光を照射すればよい(
図4(D)の樹脂層115参照)。樹脂を枠状に形成することで、空間103内部が不活性雰囲気又は減圧雰囲気に保たれ、大気圧下でレーザ光を照射することができるため、装置構成を簡略化することができる。また、あらかじめ空間103内を減圧状態とすることで、レーザ光の照射時に2枚の基板を押しつけるためのクランプ等の機構を用いずとも、ガラス層及び基板が確実に接する状態とすることができる。
【0079】
なお、封止体の作製において、基板の位置合わせ等のために、仮止め用の接着層を用いてもよい。一方の基板上の、封止材の内側又は外側に、仮止め用の接着層を配置し、該接着層を用いて一対の基板を貼り合わせるように設ければよい。例えば、接着層には、光硬化樹脂や熱硬化樹脂などの樹脂を用いることができ、上述の枠状に設ける樹脂も仮止め用の接着層の一態様といえる。
【0080】
≪2:被封止体が両方の基板に設けられている場合≫
まず、基板101の第1の面上、及び基板109の第1の面上にそれぞれ溝部107及び被封止体111a、bを形成する(
図4(E)(F))。
【0081】
次に、基板101又は基板109の第1の面上にフリットペースト104を配置する(
図4(F))。ここでは基板109の第1の面上にフリットペースト104を配置する。
【0082】
次に、フリットペースト104を加熱する(仮焼成を行う)ことで、フリットペースト104内の有機溶媒やバインダを除去し、ガラス層を形成する。
【0083】
基板109上には被封止体111bが設けられているため、ガラスフリットのガラス転移温度に比べて被封止体111bの耐熱性が低い場合には、基板109全体を加熱することは好ましくない。したがって、ここではフリットペースト104にレーザ光を照射することで、フリットペースト104を局所的に加熱する。本発明の一態様では、基板109の第1の面に溝を有するため、局所的に加熱されたフリットペースト104から被封止体に熱が伝導することを抑制でき、好ましい。
【0084】
次に、基板101の第1の面と基板109の第1の面が対向するように基板101と基板109を配置する。そして、レーザ光を照射して、ガラス層を局所的に加熱する。これにより、ガラスフリットが溶融して封止材105が形成される。封止材105によって基板101及び基板109は溶着される(
図4(G))。
【0085】
以上によって、本発明の一態様の封止体に被封止体を封入することができる。
【0086】
本実施の形態で示す封止体は、基板に溝部を有するため、封止材から基板を介して被封止体に熱が伝わりにくい。したがって、被封止体が受ける熱のダメージを抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、被封止体と封止材の距離を長くしなくても、被封止体が受ける熱のダメージを抑制できるため、狭額縁化が可能である。
【0087】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置や表示装置について
図5〜
図8を用いて説明する。本実施の形態では、特に、有機EL素子を有する発光装置及び表示装置を例に挙げて説明する。
【0089】
図5(A)に本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。また、
図5(A)に示す一点鎖線G−H間の断面図を
図5(B)に、一点鎖線I−J間の断面図を
図5(C)にそれぞれ示す。
【0090】
図5(A)〜(C)に示すように、本発明の一態様の発光装置は、第1の面が互いに対向する基板101及び基板109と、空間103を基板101及び基板109とともに封止する枠状の封止材105と、基板101の第1の面に設けられた溝部107及び発光素子と、を有する。溝部107は、封止材105に囲まれている。
【0091】
発光素子は、基板101上の第1の電極121と、第1の電極121上のEL層123と、EL層上の第2の電極125と、を有する。第1の電極121の端部は隔壁129によって覆われている。
【0092】
第2の電極125は、基板101上の導電層127と電気的に接続する。第1の電極121及び導電層127は封止材105の一部と重畳する。第1の電極121及び導電層127は隔壁129によって電気的に絶縁されている。
【0093】
第1の電極121及び導電層127は、基板101、基板109、及び封止材105によって封止された領域(封止領域ともいう)よりも外側に延在している。第1の電極121や導電層127と重畳する領域に溝部107を有すると、溝部107によって第1の電極121や導電層127が段切れしてしまう恐れがある。したがって、第1の電極121や導電層127など、封止領域の外側に延在する層と溝部107は重畳しないことが好ましい。
【0094】
また、
図6(A)〜(C)に本発明の一態様の表示装置の平面図を示す。
【0095】
図6(A)〜(C)に示す本発明の一態様の表示装置は、第1の面が互いに対向する基板101及び基板109と、枠状の封止材105と、基板101又は基板109の少なくとも一方の第1の面に設けられた溝部107と、端子部137と、を有する。溝部107は、封止材105に囲まれている。封止材105は、画素部131及び駆動回路部133を、基板101及び基板109とともに封止する。端子部137にはFlexible Printed Circuit(FPC135)が電気的に接続されている。画素部131に与えられる各種信号及び電位は、FPC135から端子部137及び駆動回路部133を介して供給されている。表示装置は、さらに駆動回路を保護するための保護回路を備えていてもよい。
【0096】
図6(A)に示す表示装置では、駆動回路部133、端子部137及びFPC135を1つ有する例を示し、
図6(B)に示す表示装置では、駆動回路部133、端子部137及びFPC135を2つ有する例を示し、
図6(C)に示す発光装置では、駆動回路部133を2つ有し、端子部137及びFPC135を1つ有する例を示す。
【0097】
駆動回路部133は、トランジスタを複数有する。駆動回路部133は、種々のCMOS回路、PMOS回路、又はNMOS回路を用いることができる。本実施の形態では、画素部131が形成される絶縁表面上に駆動回路部133が形成されたドライバ一体型の表示装置の構成を示すが、画素部131が形成される絶縁表面とは別に駆動回路を設けてもよい。
【0098】
図6(A)〜(C)に示す表示装置では、駆動回路部133と封止材105との間に溝部107を有していない。溝部107を設けることで、駆動回路部133と端子部137を電気的に接続する配線の一部が段切れしてしまう恐れがある。封止材105と画素部131の距離は、間に駆動回路部133を有することで十分に離れているため、駆動回路部133と封止材105との間に溝部107を有さなくとも、封止材105から画素部131に熱は伝導しにくい。したがって、本発明の一態様の表示装置では、画素部131と封止材105との間に他の素子が設けられていない領域に溝を設けることで、画素部131が有する素子が受ける熱のダメージを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
【0099】
また、
図6(A)に示す一点鎖線K−L間、M−N間の断面図の例を4種類挙げ、それぞれ
図7(A)(B)、
図8(A)(B)に示す。
【0100】
図7(A)(B)、
図8(A)(B)に示す表示装置は、基板101上のトランジスタ141〜144と、トランジスタ上の絶縁層164と、絶縁層164上の発光素子と、を有する。トランジスタは基板に接して設けられてもよいし、下地膜を介して設けられていてもよい。
【0101】
画素部131は、スイッチング用のトランジスタ143と、電流制御用のトランジスタ144と、トランジスタ144の配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極121とを含む複数の発光ユニットにより形成されている。
【0102】
図7(A)(B)に示す表示装置は、トップエミッション(上面射出)構造の発光素子145を表示素子として有する。
図8(A)に示す表示装置は、ボトムエミッション(下面射出)構造の発光素子146を表示素子として有する。
図8(B)では、トップエミッション構造、ボトムエミッション構造、又はデュアルエミッション(両面射出)構造の発光素子147を表示素子として有する。
図8(B)では、発光素子147のEL層123が画素ごとに塗り分けられている場合を例示している。
【0103】
図7(A)(B)では、基板109上にカラーフィルタ153が設けられている。基板109は溝部107を有するため、封止材105から基板109を介してカラーフィルタ153に熱が伝わりにくい。したがって、カラーフィルタ153が受ける熱のダメージを抑制でき、信頼性を向上させることができる。さらに、
図7(B)では、基板101上に溝部107を有するため、封止材105から基板101を介して発光素子145等に熱が伝わりにくい。したがって、基板101上に設けられた発光素子145等が受ける熱のダメージを抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、
図7(A)(B)では、発光素子145やカラーフィルタ153と封止材105の距離を長くしなくても、発光素子145やカラーフィルタ153が受ける熱のダメージを抑制できるため、狭額縁化が可能である。
【0104】
また、
図8(A)(B)では、基板101上に発光素子146又は発光素子147が設けられている。
図8(A)では、基板101上にさらにカラーフィルタ171も設けられている。基板101は溝部107を有するため、封止材105から基板101を介して発光素子やカラーフィルタに熱が伝わりにくい。したがって、発光素子やカラーフィルタが受ける熱のダメージを抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、発光素子やカラーフィルタと封止材105の距離を長くしなくても、発光素子やカラーフィルタが受ける熱のダメージを抑制できるため、狭額縁化が可能である。
【0105】
端子部137は、表示装置内のトランジスタ又は発光素子を構成する導電層で構成される。本実施の形態では、トランジスタのゲート電極、並びにソース電極及びドレイン電極を構成する導電層を積層して用いる。このように、複数の導電層を積層して端子部137を構成することにより強度を高められるため好ましい。また、端子部137に接して接続体209が設けられ、当該接続体209を介してFPC135と端子部137とが電気的に接続している。接続体209としては、熱硬化性の樹脂に金属粒子を混ぜ合わせたペースト状又はシート状の、熱圧着によって異方性の導電性を示す材料を用いることができる。金属粒子としては、例えばニッケル粒子を金で被覆したものなど、2種類以上の金属が層状となった粒子を用いることが好ましい。
【0106】
発光素子は、一対の電極(第1の電極及び121第2の電極125)と、該一対の電極間に設けられたEL層123とを有する。該一対の電極の一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。
【0107】
トップエミッション構造の発光素子では、上部電極に可視光を透過する導電膜を用いる。また、下部電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。ボトムエミッション構造の発光素子では、下部電極に可視光を透過する導電膜を用いる。また、上部電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。デュアルエミッション(両面射出)構造の発光素子では、上部電極及び下部電極の双方に可視光を透過する導電膜を用いる。
【0108】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0109】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とITOの積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができる。
【0110】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形成することができる。
【0111】
なお、可視光を透過する導電膜として、導電性酸化物をスパッタリング法によって形成する場合、当該導電性酸化物を、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、透光性を向上させることができる。
【0112】
また、導電性酸化物膜をEL層上に形成する場合、酸素濃度が低減されたアルゴンを含む雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜した第2の導電性酸化物膜の積層膜とすると、EL層への成膜ダメージを低減させることができるため好ましい。ここで特に第1の導電性酸化物膜を成膜する際に用いるアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が−70℃以下、好ましくは−100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0113】
第1の電極121と第2の電極125の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層123に第1の電極121側から正孔が注入され、第2の電極125側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層123において再結合し、EL層123に含まれる発光物質が発光する。
【0114】
EL層123は少なくとも発光層を有する。EL層123は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0115】
EL層123には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層123を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0116】
表示装置が有するトランジスタ(トランジスタ141〜144等)の構造は特に限定されない。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。または、In−Ga−Zn系金属酸化物などの、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくとも一つを含む酸化物半導体を用いてもよい。
【0117】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0118】
カラーフィルタ153やカラーフィルタ171は、画素からの光を調色し、色純度を高める目的で設けられている。例えば、白色の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の画素を用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のカラーフィルタを用いてもよいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。また、R、G、B(及びY)に加えて白色(W)の画素を用い、4色(又は5色)としてもよい。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0119】
また、隣接するカラーフィルタ153の間に、ブラックマトリクス151が設けられている。ブラックマトリクス151は隣接する画素から回り込む光を遮光し、隣接画素間における混色を抑制する。ブラックマトリクス151は異なる発光色の隣接画素間にのみ配置し、同色画素間には設けない構成としてもよい。ここで、カラーフィルタ153の端部を、ブラックマトリクス151と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクス151は、画素からの光を遮光する材料を用いることができ、金属材料や顔料を含む樹脂材料などを用いて形成することができる。なお、
図7(A)に示すように、ブラックマトリクス151を駆動回路部133などの画素部131以外の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0120】
また、
図7(B)に示すように、カラーフィルタ153とブラックマトリクス151を覆うオーバーコート152を設けると、カラーフィルタ153やブラックマトリクス151に含まれる顔料などの不純物が発光素子等に拡散することを抑制できる。オーバーコート152は透光性を有する層であり、無機絶縁材料や有機絶縁材料を用いて形成することができる。
【0121】
隔壁129は、第1の電極121の端部を覆って設けられている。隔壁129の上層に形成されるEL層123や第2の電極125の被覆性を良好なものとするため、隔壁129の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。
【0122】
隔壁129の材料としては、樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。特に、隔壁129の作製が容易となるため、ネガ型の感光性樹脂、あるいはポジ型の感光性樹脂を用いることが好ましい。
【0123】
隔壁の形成方法は、特に限定されないが、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いればよい。
【0124】
絶縁層163は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。絶縁層163としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0125】
絶縁層164としては、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層164を形成してもよい。
【0126】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0127】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体を用いた電子機器及び照明装置の一例について、
図9及び
図10を用いて説明する。
【0128】
本実施の形態の電子機器や照明装置は、本発明の一態様の封止体に、被封止体である素子(半導体素子、発光素子、又は表示素子等)が封入されているため、信頼性が高い。
【0129】
本発明の一態様を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器及び照明装置の具体例を
図9及び
図10に示す。
【0130】
図9(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7102が組み込まれている。表示部7102では、映像を表示することが可能である。本発明の一態様の表示装置は、表示部7102に用いることができる。また、ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0131】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が有する操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。リモコン操作機7111が有する操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7102に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7111に、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0132】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを有する構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0133】
図9(B)は、コンピュータの一例を示している。コンピュータ7200は、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の表示装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0134】
図9(C)は、携帯型ゲーム機の一例を示している。携帯型ゲーム機7300は、筐体7301a及び筐体7301bの二つの筐体で構成されており、連結部7302により、開閉可能に連結されている。筐体7301aには表示部7303aが組み込まれ、筐体7301bには表示部7303bが組み込まれている。また、
図9(C)に示す携帯型ゲーム機は、スピーカ部7304、記録媒体挿入部7305、操作キー7306、接続端子7307、センサ7308(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、LEDランプ、マイクロフォン等を有している。もちろん、携帯型ゲーム機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7303a、表示部7303bの両方、又は一方に本発明の一態様の表示装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
図9(C)に示す携帯型ゲーム機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型ゲーム機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、
図9(C)に示す携帯型ゲーム機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0135】
図9(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを有している。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の表示装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0136】
図9(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0137】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの二つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0138】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。
【0139】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロセンサ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0140】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0141】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0142】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0143】
図9(E)は、二つ折り可能なタブレット型端末(開いた状態)の一例を示している。タブレット型端末7500は、筐体7501a、筐体7501b、表示部7502a、表示部7502bを有する。筐体7501aと筐体7501bは、軸部7503により接続されており、該軸部7503を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体7501aは、電源7504、操作キー7505、スピーカ7506等を有している。なお、タブレット型端末7500は、本発明の一態様の表示装置を表示部7502a、表示部7502bの両方、又は一方に用いることにより作製される。
【0144】
表示部7502aや表示部7502bは、少なくとも一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーにふれることでデータ入力をすることができる。例えば、表示部7502aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部7502bを表示画面として用いることができる。
【0145】
図10に示す室内の照明装置7601、卓上照明装置7603、及び面状照明装置7604は、それぞれ本発明の一態様の発光装置を用いた照明装置の一例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、厚みが薄いため、壁に取り付けて使用することができる。
【0146】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0147】
本実施例では、封止材を加熱した際の、封止体の温度分布を計算によって予測した。本実施例の計算には、ANSYS Mechanicalを用いた。
【0148】
<計算のモデル・条件>
本実施例では、本発明の一態様を適用したモデル1と、比較例のモデル2と、について計算を行った。モデル1の構造を
図11(A)に、モデル2の構造を
図11(B)にそれぞれ示す。
【0149】
図11(A)に示すように、本発明の一態様を適用したモデル1は、ガラス基板301及びガラス基板309のそれぞれの第1の面に溝部307を有する。封止材305と溝部307との間の距離は50μmとした。溝部307の幅と深さはそれぞれ50μmとした。
【0150】
図11(B)に示すように、比較例であるモデル2は、ガラス基板301及びガラス基板309のどちらにも溝部を有さない。
【0151】
モデル1及びモデル2において、ガラス基板301及びガラス基板309は、それぞれ、幅5000μm、厚さ700μmとし、封止材305は、幅250μm、厚さ10μmとした。
【0152】
計算において、ガラス基板301及びガラス基板309の熱伝導率は、27℃から1627℃まで各100℃おきの値を、それぞれ1.22(W/mK)、1.42、1.57、1.68、1.80、1.93、2.01、2.10、2.14、2.16、2.16、2.18、2.18、2.20、2.20、2.22、2.26とした(
図17(A)参照)。
【0153】
また、ガラス基板301及びガラス基板309の比熱は、25℃において760J/kgKとし、100℃から1600℃まで各100℃おきの値を、それぞれ860(J/kgK)、950、1020、1080、1140、1180、1200、1215、1225、1230、1250、1280、1330、1390、1430、1460とした(
図17(B)参照)。
【0154】
また、ガラス基板301及びガラス基板309の密度は、温度によらず2.40×10
3kg/m
3とした。
【0155】
封止材305は、酸化ホウ素を含むガラスフリットを用いて形成することを想定した。封止材305の熱伝導率は、温度によらず1W/mKとした。封止材305は、27℃では結晶相であり、450℃付近で相転移によって非晶質になるものとした。そのため、封止材305のエンタルピーは、27℃、448℃、450℃、727℃において、それぞれ、0(J/m
3)、1.63×10
9、6.92×10
9、7.80×10
9とした(
図17(C)参照)。
【0156】
本実施例では、ガラス基板309側からレーザ光を封止材305に照射した際の各モデルにおける温度分布を、計算によって予測した。なお、封止材305におけるガラス基板309と接する表面を加熱箇所とした(加熱箇所302参照)。
【0157】
計算において、初期温度は27℃、加熱時間は0.030s(加熱開始時刻は0s、加熱終了時刻は0.030sである)、熱流束は1.03×10
7W/m
2とした。なお、上記熱流束の値は、比較例であるモデル2において、加熱時間0.030sの条件で、封止材305全体が450℃を超える値を計算によって求め、得られた値を用いた。
【0158】
<計算結果>
図12(A)、
図13(A)、
図14(A)に、モデル1における温度分布の計算結果を示す。
図12(B)、
図13(B)、
図14(B)に、モデル2における温度分布の計算結果を示す。
図12は、加熱開始直後の結果、
図13は、時刻0.031sの結果、
図14は、時刻0.100sの結果である。
【0159】
モデル1、2いずれにおいても、加熱箇所に近いガラス基板309側の方が高温になりやすく、広範囲に熱が広がりやすいことがわかる。また、モデル1は、モデル2に比べて、熱が広がる範囲が狭くなっていることがわかる。
【0160】
図15に、上記計算結果における、各基板の第1の面上の封止材305からそれぞれ100μm、150μm、200μm離れた位置の温度の時間変化を示す。
図15(A)は基板101、
図15(B)は基板109についての結果である。
図15(A)(B)において、縦軸は温度を示し、横軸は時刻を示す。
【0161】
図15で、封止材305からの距離が同じ場合を比較すると、モデル1は、モデル2に比べて、温度変化が小さいことがわかる。特に封止材305から近い位置であるほど、モデル2に比べて、モデル1は温度変化が小さい。
【0162】
また、
図16に、上記計算結果における、各基板の第1の面上の各点での最高温度を示す。
図16(A)は基板101、
図16(B)は基板109についての結果である。
図16(A)(B)において、縦軸は温度を示し、横軸は封止材105からの距離を示す。
【0163】
図16で、封止材305からの距離が同じ場合を比較すると、モデル1は、モデル2に比べて、最高温度が低いことがわかる。特に封止材305から近い位置であるほど、モデル2に比べて、モデル1は最高温度が低い。
【0164】
本実施例の計算結果から、封止材を局所的に加熱しても、封止材から溝部を介して熱が伝導するため、被封止体が受ける熱のダメージを抑制できることが示唆された。特に、ガラス基板上の封止材から近い位置での温度上昇が抑制されるため、ガラス基板上の封止材及び溝部から近い位置まで被封止体を配置することができる。したがって、狭額縁である封止体を実現できる。