(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429506
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20060101AFI20181119BHJP
G03B 5/00 20060101ALI20181119BHJP
G03B 17/14 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G03B17/14
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-127891(P2014-127891)
(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-8995(P2016-8995A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】小野 修平
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−043596(JP,A)
【文献】
特開2013−242356(JP,A)
【文献】
特開2014−085484(JP,A)
【文献】
特開2007−025125(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0118966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G03B 5/00
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットと、
可動部を備える位置検出手段と、
前記位置検出手段を固定する第1の鏡筒と、
前記可動部と係合し、前記可動部を光軸方向に移動させるための第1のカム溝部と、前記レンズユニットを前記光軸方向に移動させるための第2のカム溝部を有する第2の鏡筒と、
前記レンズユニットを前記光軸方向に移動させるための前記光軸方向に延びる直線溝部を有する第3の鏡筒と、を有し、
前記位置検出手段は、前記第2の鏡筒が光軸周りに回転することにより、前記可動部が前記光軸方向に移動することで前記第2の鏡筒の回転位置検出を行い、
前記可動部を前記第1のカム溝部の導入部に導くための前記第1のカム溝部とは異なる第1の凹部と、
前記第1のカム溝部とは異なる第1の凹部と係合する前記可動部とは異なる凸部と、をさらに有し、
前記第1の凹部は、前記第2の鏡筒および前記第3の鏡筒のうちの1つの鏡筒と前記第1の鏡筒のうち一方の鏡筒に設けられており、
前記凸部は、前記1つの鏡筒と前記第1の鏡筒のうち他方の鏡筒に設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記第1の凹部は、前記レンズ鏡筒の光軸方向に延びることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第1の凹部と接続し、前記位置検出手段が前記第2の鏡筒の回転位置検出を行う際に前記可動部が移動する前記第1のカム溝部の使用領域に前記可動部を導く第2の凹部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記第2の凹部は、前記レンズ鏡筒の光軸周りに延びることを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記第2の凹部と接続し、前記第3の鏡筒の位置決め部を前記第1の鏡筒の位置決め部に係合させるための第3の凹部をさらに有することを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記第3の凹部は、前記レンズ鏡筒の光軸方向に延びることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記第1の鏡筒の位置決め部および前記第3の鏡筒の位置決め部の一方は、凸形状を有し、
前記第1の鏡筒の位置決め部および前記第3の鏡筒の位置決め部の他方は、凹形状を有することを特徴とする請求項5または6のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記可動部は、前記レンズ鏡筒の光軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記位置検出手段はポテンショメータであり、前記可動部は前記ポテンショメータのピン部であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記第1の鏡筒は、固定鏡筒であり、
前記第2の鏡筒は、前記第1のカム溝部と前記第2のカム溝部を有するカム筒であり、
前記第3の鏡筒は、前記カム筒を保持し前記固定鏡筒に固定可能な案内筒であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記第1の凹部は、前記カム筒と前記固定筒のうち一方の鏡筒に設けられており、
前記凸部は、前記カム筒と前記固定筒のうち他方の鏡筒に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記第1の凹部は、前記案内筒と前記固定筒のうち一方の鏡筒に設けられており、
前記凸部は、前記カム筒と前記固定筒のうち他方の鏡筒に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
前記導入部は、前記カム筒の端部に設けられる切り欠き領域であることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒からの光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒に関し、特にレンズ鏡筒の組み立てに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転部材の操作等によってズーム動作を可能とするレンズ鏡筒において、回転部材の回転量を検出する機構としてポテンショメータを用いる方法が知られている。このとき、固定部材に保持したポテンショメータのピン部を、回転部材の操作と連動して回転するカム部材のカム溝部に係合させる構造が一般的であった。
【0003】
しかし、直進型のポテンショメータのピン部を回転するカム部材のカム溝部と係合させて駆動すると、傾斜面でピン部と係合することになり、ピン部に対して直進方向と垂直方向に分力が加わり、最悪の場合ポテンショメータが破損するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、ポテンショメータのピン部が外力によって変形、破損する事を防ぐためにポテンショメータのピン部とカム部材のカム溝部の間に中間部材を設ける構造が開示されている。また、組立性の向上のために、カム溝部の使用領域とは異なる位置に、幅広の組み立て領域を設ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−43596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、ポテンショメータとカム部材の他に別途中間部材を設ける必要があり、部品点数が増加してしまう。また、幅広の組み立て領域を設けただけでは根本的な組立性の改善にはならず、外力によってピン部が変形、破損する可能性の最も高い組立時において、ピン部の変形、破損に対する対策としての効果が薄い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、部品点数を増加させずに、組立性が良好で、かつ組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部の破損を抑制可能なレンズ鏡筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としてのレンズ鏡筒は、
レンズユニットと、可動部を備え
る位置検出手段と、前
記位置検出手段を固定する第1の鏡筒と、前記可動部と係合し、前記可動部を
光軸方向に移動させるための
第1のカム溝部
と、前記レンズユニットを前記光軸方向に移動させるための第2のカム溝部を有する第2の鏡筒と、
前記レンズユニットを前記光軸方向に移動させるための前記光軸方向に延びる直線溝部を有する第3の鏡筒と、を有し、
前記位置検出手段は、前記第2の鏡筒が光軸周りに回転することにより、前記可動部が前記光軸方向に移動することで前記第2の鏡筒の回転位置検出を行い、前記可動部を前記
第1のカム溝部の導入部に導くための
前記第1のカム溝部とは異なる第1の凹部と
、前記
第1のカム溝部とは異なる第1の凹部と係合する
前記可動部とは異なる凸部と、を
さらに有
し、前記第1の凹部は、前記第2の鏡筒および前記第3の鏡筒のうちの1つの鏡筒と前記第1の鏡筒のうち一方の鏡筒に設けられており、前記凸部は、前記1つの鏡筒と前記第1の鏡筒のうち他方の鏡筒に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数を増加せずに、組立性が良好で、かつ組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部の破損を抑制可能なレンズ鏡筒を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による光学機器の断面図である。
【
図3】本発明の実施例による光学機器のシステムブロック図である。
【
図4】本発明の実施例1によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例1による組み込みガイド溝の詳細図である。
【
図6】本発明の実施例1によるカム環の外観図である。
【
図7】本発明の実施例1によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施例2によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施例2によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【
図10】本発明の実施例2による組み込みガイド溝の詳細図である。
【
図11】本発明の実施例2によるカム環の外観図である。
【
図12】本発明の実施例2による案内筒の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、
図1から
図7を参照して、本発明の実施例1による光学機器100(カメラシステム、撮像装置)について説明する。なお、以下では、光学機器100として、レンズ交換式一眼レフカメラ(カメラ本体)500および交換レンズ(レンズ装置)200から構成されるレンズ交換型の撮像装置を例示的に示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、カメラ本体とレンズ装置とが一体的に形成されたレンズ一体型の撮像装置を適用することも可能である。
【0014】
図2は交換レンズ200(レンズ装置、光学装置)がカメラ本体500(撮像装置本体)に接続された光学機器100の断面図である。ここで1は1群レンズを示し、2は1群レンズ1を保持する1群鏡筒を示し、17は1群鏡筒を固定する1群筒を示す。3は2群レンズを示し、4は2群レンズ3を保持する2群ユニットを示す。5は3群レンズを示し、6は3群レンズ5を保持する3群鏡筒である。7は光軸に対して垂直な面上で移動することでいわゆる手ブレを補正する防振レンズで、701は防振レンズ7を保持する防振レンズ保持枠である。94は、防振レンズ7および防振レンズ保持枠701からなる像振れ補正部材700を光軸と直交する面内で移動させるための転動ボールである。像振れ補正部材700は、防振装置8に保持されている。防振装置8は3群鏡筒6に固定されている。9はフォーカスレンズを示し、10はフォーカスレンズ9を保持するフォーカス鏡筒を示し、4群鏡筒11に設けられた案内機構、駆動機構によって光軸方向へ移動し、合焦動作を行う。12は5群レンズを示し、13は5群レンズ12を保持する5群鏡筒を示す。34は光量調節を行う絞りユニットであり、3群鏡筒6に固定される。14は保持部材であるところの案内筒を示し、16は案内筒14の外周に回転可能に嵌合したカム環を示す。案内筒14は、光軸方向に移動可能なレンズを案内するための光軸方向に延びる直線溝を有する。また、カム環(カム筒)16は、光軸方向にレンズを駆動するためのカム溝を有する。光軸方向へ移動可能なレンズ(レンズ保持枠)は、直線溝およびカム溝と係合し、カム環16が光軸周りに回転することで光軸方向に移動することができる。23は固定鏡筒を示し、案内筒14を固定する。ここで、固定鏡筒23(第1の鏡筒)は、後述するように、その内部にポテンショメータ15(位置検出手段)を保持・固定している。ポテンショメータ15は、ピン部151(可動部)を備え、ピン部151が所定方向(光軸方向、直進方向)に移動することにより位置検出を行うように構成されている。また、カム環16は、後述するように、ピン部151と係合するセンサカム溝161(溝部)を有する。センサカム溝161は、カム環16の端部(一端)に設けられるセンサカム溝切り欠き部161a(切り欠き領域)を有し、ピン部151はセンサカム溝切り欠き部161aから導入される。案内筒14は、その外周においてカム環16を保持し、カム環16を保持した案内筒14(第2の鏡筒)は、固定鏡筒23(第1の鏡筒)に組み込まれる。また、案内筒14と固定鏡筒23の一方には、凸形状の位置決め部を有し、他方には凹形状の位置決め部を有する。この位置決め部により案内筒14と固定鏡筒23を位置決めした後、案内筒14を固定鏡筒23に固定することができる。31はレンズの駆動用IC、マイコン等が配置されたプリント基板を示し、固定鏡筒23に固定されている。27は外観リングユニットであり、32はマウントである。マウント32は固定鏡筒23にビス固定される。外観リングユニット27は固定鏡筒23とマウント32に挟まれ固定される。19はマニュアルフォーカスリングユニットであり、固定鏡筒23を軸として回転可能に支持されている。マニュアルフォーカスリングユニット19を回転させると、その回転を不図示のセンサが検出し、回転量に応じてフォーカスレンズ9の合焦制御を行う。35はマニュアルズームリングであり、固定鏡筒23を軸として回転可能に支持されている。マニュアルズームリング35を回転させると、その回転を不図示のセンサが検出し、回転量に応じてズームレンズを光軸方向に移動させる。33は接点ブロックであり、プリント基板31と不図示の配線(フレキシブルプリント基板など)によって接続されて、マウント32にビス固定される。500はカメラ本体であり、本実施例の交換レンズ200はカメラ本体500にマウント32でバヨネット固定される。カメラ本体500に交換レンズ200がマウント32で固定されると、各レンズの動作を制御するプリント基板31は接点ブロック33を通してカメラ本体500と通信可能となる。600はカメラ本体500に搭載された撮像素子であり、交換レンズ200を通過した被写体からの光を受光し、その光を電気信号に変換するCMOSやCCD等の光-電気変換素子である。
【0015】
図3は、本実施例の光学機器であるところの交換レンズ200とカメラ本体500のカメラシステムの電気的構成を示す。
【0016】
501はマイクロコンピュータにより構成されるカメラCPUである。カメラCPU501は、カメラ本体500内の各部の動作を制御する。また、カメラCPU501は、レンズ鏡筒200の装着時に接点502,202を介して、レンズ鏡筒200内に設けられたレンズCPU201との通信を行う。カメラCPU501がレンズCPU201に送信する情報(信号)には、フォーカスレンズの駆動量情報、平行振れ情報およびピント振れ情報が含まれる。また、レンズCPU201からカメラCPU501に送信する情報(信号)には、撮像倍率情報が含まれる。なお、電気接点502,202には、カメラ本体500からレンズ鏡筒200に電源を供給するための接点が含まれている。
【0017】
503は撮影者により操作可能な電源スイッチであり、カメラCPU501を起動したりカメラシステム内の各アクチュエータやセンサ等への電源供給を開始したりするためのスイッチである。504は撮影者により操作可能なレリーズスイッチであり、第1ストロークスイッチSW1と第2ストロークスイッチSW2とを有する。レリーズスイッチ504からの信号は、カメラCPU501に入力される。カメラCPU501は、第1ストロークスイッチSW1からのON信号の入力に応じて、撮影準備状態に入る。撮影準備状態では、測光部505による被写体輝度の測定と、焦点検出部506によって焦点検出を行わせる。カメラCPU501は、測光部505の測光結果に基づいて絞りユニット34の絞り値や撮像素子600の露光量(シャッタ秒時)等を演算する。また、カメラCPU501は、焦点検出部506による撮影光学系の焦点状態の検出結果である焦点情報に基づいて、被写体に対する合焦状態を得るためのフォーカスレンズ9およびフォーカス鏡筒10の駆動量(駆動方向を含む)を決定する。ここで、焦点情報とは、デフォーカス量およびデフォーカス方向を含む情報のことである。上記駆動量の情報(フォーカスレンズ駆動量情報)は、レンズCPU201に送信される。レンズCPU201は、交換レンズ200の各構成部の動作を制御する。
【0018】
さらに、カメラCPU501は、所定の撮影モードになると、防振装置8の防振動作の制御を開始する。第2ストロークスイッチSW2からのON信号が入力されると、カメラCPU501は、レンズCPU201に対して絞り駆動命令を送信し、絞りユニット34を先に演算した絞り値に設定させる。また、カメラCPU501は、露光部507に露光開始命令を送信し、不図示のミラーの退避動作や不図示のシャッタの開放動作を行わせ、撮像素子600を含む撮像部508にて、被写体像の光電変換、すなわち露光動作を行わせる。
【0019】
撮像部508(撮像素子600)からの撮像信号は、カメラCPU501内の信号処理部にてデジタル変換され、さらに各種補正処理が施されて画像信号として出力される。画像信号(データ)は、画像記録部509において、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に記録保存される。
【0020】
204はMFリング回転検出部であり、マニュアルフォーカスリングユニット19とその回転検出部とを含む。
【0021】
205はZOOMリング回転検出部であり、マニュアルズームリング35とその回転検出を行う不図示のセンサとを含む。
【0022】
206は防振装置駆動部であり、防振動作を行う防振装置8の駆動アクチュエータとその駆動回路とを含む。
【0023】
209はAF駆動部であり、カメラCPU501から送信されたフォーカスレンズ駆動量情報に応じてAFモータを通じてフォーカス鏡筒10のAF駆動を行う。
【0024】
208は電磁絞り駆動部であり、カメラCPU501からの絞り駆動命令を受けたレンズCPU201により制御されて、絞りユニット34を指定された絞り値に相当する開口状態に動作させる。
【0025】
211は交換レンズ200に搭載され、プリント基板31に接続された角速度センサである。角速度センサ211は、カメラシステムの角度振れである縦(ピッチ方向)振れと横(ヨー方向)振れのそれぞれの角速度を示す角速度信号をレンズCPU201に出力する。レンズCPU201は、角速度センサ211からのピッチ方向およびヨー方向の角速度信号を電気的又は機械的に積分して、それぞれの方向での変位量であるピッチ方向振れ量及びヨー方向振れ量(これらをまとめて角度振れ量ともいう)を演算する。そしてレンズCPU201は、上述した角度振れ量と平行振れ量の合成変位量に基づいて防振装置駆動部206を制御して防振装置8の像振れ補正部材700をシフト駆動させ、角度振れ補正および平行振れ補正を行う。
【0026】
また、レンズCPU201は、ピント振れ量に基づいてAF駆動部209を制御してフォーカス鏡筒10を光軸方向に駆動させ、ピント振れ補正を行う。
【0027】
ここで、前述のセンサおよび検出部からレンズCPU201へのズーム、フォーカス、防振動作などの位置検出信号や、レンズCPU201から各アクチュエータへの制御信号の通電はフレキシブルプリント配線板であるところのフレキシブルプリント基板で行う。
【0028】
次に、
図1および
図4〜
図7を用いて、ガイド機構による組み込み構造について説明する。
図1、
図4は本発明の実施例1によるレンズ鏡筒の要部分解斜視図である。
【0029】
カム環16は案内筒14に対して回転可能に保持され、案内筒14と共に固定鏡筒23に対して組みこまれる。この時、固定鏡筒23に保持されているポテンショメータ15のピン部151が、カム環16に設けられたセンサカム溝161に対して、センサカム溝切り欠き部161aから挿入される。ピン部151は、センサカム溝使用領域161bにおいて、ポテンショメータ15が固定鏡筒23に対するカム環16の回転量を検出するように係合する。
【0030】
従来のような構成では、ピン部151とセンサカム溝161に対して先当たりするような部位が固定鏡筒23と案内筒14の間に設けられていないため、この組み込み作業の際にピン部151のみに組み付けの力が加わることがあった。その結果、ピン部151の変形、または破損を招く事があった。また、この組み込み作業の後には案内筒14の位置決めピン142を固定鏡筒23の位置決め穴232に挿入させる作業を行う必要があり、組み込み作業がやや複雑である上、作業中は常にピン部151に組み付けの力が集中してしまう。そのため、ピン部151の変形及び破損の危険性が高かった。
【0031】
本発明では、カム環16を保持した案内筒14(第2の鏡筒)と固定鏡筒23(第1の鏡筒)の間に組み込み機構(ガイド機構)を設ける事により、この組み付けの力をガイド機構の位置でも受ける構成とし、ピン部151へ過剰な力が加わる事を防いでいる。このように、本発明において組み込み機構は、カム筒16を保持した案内筒14(第2の鏡筒)を固定鏡筒23(第1の鏡筒)に組み込む際に使用される。
【0032】
組み込み機構は、固定鏡筒23に設けられた組み込みガイド溝231と、固定鏡筒23に固定可能な案内筒14に設けられた組み込みガイドフォロワ141と、によって構成されている。組み込みガイド溝231は、ポテンショメータ15のピン部151をカム環16のセンサカム溝切り欠き部161aに挿入するための第1の領域231aを有する。換言すれば、ポテンショメータ15のピン部151をセンサカム溝切り欠き部161a(導入部)に導くための第1の凹部231a1を有する。
図5に示されるように、第1の凹部231a1は、レンズ鏡筒の光軸方向に延びるように形成されている。また、ポテンショメータ15のピン部151をカム環16のセンサカム溝使用領域161bに移動させるための第2の領域231bを有する。換言すれば、第1の凹部231a1と接続し、ポテンショメータ15が位置検出を行う際にピン部151が移動するセンサカム溝161の使用領域161bにピン部151を導く第2の凹部231b1を有する。
図5に示されるように、第2の凹部231b1は、レンズ鏡筒の光軸周りに延びるように形成されている。また、案内筒14の位置決めピン142を固定鏡筒23の位置決め穴232に係合させるための第3の領域231cを有する。換言すれば、第2の凹部231b1と接続し、案内筒14の位置決めピン142(位置決め部)を固定鏡筒23の位置決め穴232(位置決め部)に係合させるための第3の凹部231c1を有する。
図5に示されるように、第3の凹部231c1は、レンズ鏡筒の光軸方向に延びるように形成されている。このような構成を用いれば、組み込み作業はガイド機構にしたがって行えばよいので簡易になる。
【0033】
以上より、固定鏡筒と筒部材に組み込み機構を設ける事により、部品点数を増加することなく、組立性を向上させるとともに、組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部が変形、破損する事を防ぐ事ができる。これにより、部品点数を増加せずに、組立性が良好で、かつ組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部の破損を抑制可能なレンズ鏡筒を提供することが出来る。
【実施例2】
【0034】
図8から
図12を用いて本発明の実施例2によるレンズ鏡筒について説明する。実施例1と同様に、固定鏡筒23にポテンショメータ15が固定されており、そのピン部151がカム環16に設けられたセンサカム溝161に係合する構造である。また、固定鏡筒23に対する案内筒14の位置決めは、固定鏡筒23に設けられた位置決め凸部233と案内筒14に設けられた位置決め凹部143の係合によって行われる。
【0035】
組み込み機構は、固定鏡筒23に設けられた組み込みガイド溝231とカム環16に固定された組み込みガイドフォロワ部材144によって構成される。組み込みガイドフォロワ部材144はカム環16に不図示のコロ部材を固定するための部材との兼用であり、部品点数の増加にはならない。
【0036】
組み込みガイド溝231は、ポテンショメータ15のピン部151をカム環16のセンサカム溝切り欠き部161aに挿入するための第1の領域231aを有する。換言すれば、ポテンショメータ15のピン部151をセンサカム溝切り欠き部161a(導入部)に導くための第1の凹部231a1を有する。
図10に示されるように、第1の凹部231a1は、レンズ鏡筒の光軸方向に延びるように形成されている。また、ポテンショメータ15のピン部151をカム環16のセンサカム溝使用領域161bに移動させるための第2の領域231bを有する。換言すれば、第1の凹部231a1と接続し、ポテンショメータ15が位置検出を行う際にピン部151が移動するセンサカム溝161の使用領域161bにピン部151を導く第2の凹部231b1を有する。
図10に示されるように、第2の凹部231b1は、レンズ鏡筒の光軸周りに延びるように形成されている。また、固定鏡筒23の位置決め凸部233を案内筒14の位置決め凹部143に係合させるための第3の領域231cを有する。換言すれば、第2の凹部231b1と接続し、固定鏡筒23の位置決め凸部233(位置決め部)を案内筒14の位置決め凹部143(位置決め部)に係合させるための第3の凹部231c1を有する。
図10に示されるように、第3の凹部231c1は、レンズ鏡筒の光軸方向に延びるように形成されている。
【0037】
センサカム溝161は、実施例1同様に、ポテンショメータ15のピン部151を挿入するためのセンサカム溝切り欠き部161aと、センサカム溝使用領域161bを持つ。
【0038】
以上より、固定鏡筒と筒部材に組み込み機構を設ける事により、部品点数を増加することなく、組立性を向上させるとともに、組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部が変形、破損する事を防ぐ事ができる。これにより、部品点数を増加せずに、組立性が良好で、かつ組み込み時に加わる外力によってポテンショメータのピン部の破損を抑制可能なレンズ鏡筒を提供することが出来る。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また設計機能を考慮した材質であれば、それを限定するものではない。
【0040】
上記実施例1及び2では、固定鏡筒23に組み込みガイド溝231(凹部)を、案内筒14またはカム環16に組み込みガイドフォロワ141,144(凸部)を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定鏡筒23(第1の鏡筒)に組み込みガイドフォロワ(凸部)を設け、案内筒14(第2の鏡筒)またはカム環16(第2の鏡筒)に組み込みガイド溝(凹部)を設けるように構成してもよい。換言すれば、本発明の組み込み機構は、第1の鏡筒および第2の鏡筒の一方に凹部を設け、第1の鏡筒および第2の鏡筒の他方に該凹部と係合する凸部を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフカメラ、ビデオカメラなどの撮像装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
14:案内筒
141:組み込みガイドフォロワ
15:ポテンショメータ
151:ピン部
16:カム環
161:センサカム溝
161a:センサカム溝切り欠き部
23:固定鏡筒
231:組み込みガイド溝