(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6429543
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20181119BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20181119BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20181119BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/00 502
B41J29/00 C
H04N1/00 519
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-183168(P2014-183168)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-57442(P2016-57442A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】谷 信宏
(72)【発明者】
【氏名】藤田 岳
【審査官】
三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−186336(JP,A)
【文献】
特開2009−175314(JP,A)
【文献】
特開2002−337421(JP,A)
【文献】
特開2010−191165(JP,A)
【文献】
特開2012−230184(JP,A)
【文献】
特開平04−212877(JP,A)
【文献】
特開昭63−108362(JP,A)
【文献】
特開2011−011553(JP,A)
【文献】
特開2006−184605(JP,A)
【文献】
米国特許第05620269(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/00
B41J 29/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に内蔵され、画像情報に基づいてシートに画像を形成可能な画像形成部と、
前記画像形成部を上側から覆うように前記装置本体の上面に設けられ、前記装置本体の内部側において前記画像形成部の少なくとも一部に対向し、前記装置本体の外部側においてシートを積載可能なシート積載面を有する第1の外装カバーと、
前記画像形成部を制御するプロセッサと、前記プロセッサが実装された制御基板と、前記プロセッサ及び前記制御基板を覆う第2の外装カバーと、を有し、前記装置本体の上面において前記第1の外装カバーよりも上側に突出し、かつ、前記装置本体の上面において前記シート積載面よりも前記装置本体の背面側に設けられ、前記装置本体の前後方向において前記シート積載面に隣接して配置された電装ユニットと、
前記画像情報を記憶可能であって、前記電装ユニットの前記第2の外装カバーの内部に着脱可能に設けられた記憶装置と、を備え、
前記第1の外装カバーは、前記装置本体の上面を開放することで前記画像形成部を着脱可能とし、
前記画像形成部は、感光ドラムの表面に静電潜像を形成するよう前記感光ドラムを露光する露光手段を有し、
前記電装ユニットは、前記装置本体の上面において上方から視て前記露光手段と重ならない位置に配置される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート積載面は、A3サイズのシートより広い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記装置本体に関する左右方向よりも前記装置本体に関する上下方向が短く、厚さ方向が前記左右方向と前記上下方向よりも短い直方体形状であり、前記厚さ方向を前記装置本体に関する前記前後方向に向けて、前記電装ユニットの内部に立てた状態で配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶装置は複数設けられ、前記装置本体に関する上下方向に並べて配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶装置は2つ設けられ、いずれの前記記憶装置も、前記装置本体に関する左右方向よりも前記装置本体に関する上下方向が短く、厚さ方向が前記左右方向と前記上下方向よりも短い直方体形状であり、前記厚さ方向を前記装置本体に関する前後方向に向けて、前記電装ユニットの内部に立てた状態で配置されると共に、前記上下方向において縦に並べて配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、前記電装ユニットに対して前記装置本体に関する上方向、左右方向、手前方向の少なくとも1つの方向から着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記電装ユニットに対して前記左右方向の一方側から着脱可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御基板は、前記左右方向の前記一方側にUSBポートを有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部へトナーを供給する供給手段を備え、
前記電装ユニットは、前記装置本体に関する左右方向において前記供給手段と隣接して設けられ、前記左右方向において前記供給手段が隣接する側とは反対側において、前記記憶装置を着脱可能に設ける、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部へトナーを供給する供給手段を備え、
前記供給手段は、前記装置本体に関する左右方向において前記電装ユニット及び前記シート積載面と隣接して設けられ、前記第1の外装カバーよりも上側に突出して設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御基板は、面積が最も広い面が前記装置本体に関する前後方向に向くように前記電装ユニットの内部に立てた状態で配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御基板と前記記憶装置とは、前記電装ユニットの内部で前記装置本体に関する左右方向において平行に配置され、
前記制御基板は、該制御基板の長手方向が前記左右方向に延びるように前記電装ユニットに設けられ、
前記記憶装置は、該記憶装置の長手方向が前記左右方向に延びるように前記電装ユニットに設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1の外装カバーは、前記装置本体に対して着脱可能であると共に、前記装置本体への装着時には前記露光手段の少なくとも一部に上側から対向して配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して処理を行うシート処理装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置
及び画像形成システムに関し、特に、ハードディスクドライブ等のリムーバブル記憶装置を内蔵する電装ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、及びこれらの複数の機能を有する複合機等として広く応用されている。特に、画像読取機能及び印刷機能に加えて、ネットワークを介して他機又は端末と通信して画像をやり取りする画像伝送機能を備えるデジタル複合機と呼ばれる画像形成装置が開発されている。このような画像形成装置では、大量の画像情報を記憶及びアクセスするため、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)等のリムーバブル大容量記憶装置(以下、単に記憶装置という)が使用されている。HDDには大量の画像情報が蓄積されるため、近年では、蓄積された画像情報の機密性の観点から、HDDを画像形成装置から定期的に抜き出して保管するというユーザニーズが高まりつつある。
【0003】
また、画像形成装置は、制御装置としてCPU等を搭載した制御基板(画像コントローラ)を備えている。制御基板は、サイズが大きいことや、ユーザが直接アクセスすることが無い等の観点から、画像形成装置の背部に内蔵されることが多い。HDDは制御基板に対してケーブルで接続され画像情報の送受信を行うため、制御基板とHDDとは互いに近傍に配置することが好ましい。このため、装置本体の背部に内蔵された制御基板に対して、HDDをその近傍である装置本体の背部に配置して制御基板に接続した画像形成装置が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−311760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の画像形成装置では、HDDや制御基板が装置本体の背部に内蔵されているので、装置本体の設置スペースを小さくすることは困難であった。これに対し、装置本体の設置スペースを小さくするためにHDDや制御基板を装置本体の例えば上面に設置してしまうと、装置本体の上面の作業スペースにおける作業性が低下してしまうという問題があった。特に、車椅子の利用者等、装置本体の上面の作業スペースに手が届きにくいユーザにとっては、当該作業スペースにおける作業性の向上が望まれていた。
【0006】
本発明は、装置本体の設置スペースを小さくしながらも、装置本体の上面の作業スペースにおける作業性を向上することができる画像形成装置
及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に内蔵され、画像情報に基づいてシートに画像を形成可能な画像形成部と、前記画像形成部を上側から覆うように前記装置本体の上面に設けられ、前記装置本体の内部側において前記画像形成部の少なくとも一部に対向し、前記装置本体の外部側においてシートを積載可能なシート積載面を有する第1の外装カバーと、前記画像形成部を制御するプロセッサと、前記プロセッサが実装された制御基板と、前記プロセッサ及び前記制御基板を覆う第2の外装カバーと、を有し、前記装置本体の上面において前記第1の外装カバーよりも上側に突出し、かつ、前記装置本体の上面において前記シート積載面よりも前記装置本体の背面側に設けられ、前記装置本体の前後方向において前記シート積載面に隣接して配置された電装ユニットと、前記画像情報を記憶可能であって、前記電装ユニットの前記第2の外装カバーの内部に着脱可能に設けられた記憶装置と、を備え
、前記第1の外装カバーは、前記装置本体の上面を開放することで前記画像形成部を着脱可能とし、前記画像形成部は、感光ドラムの表面に静電潜像を形成するよう前記感光ドラムを露光する露光手段を有し、前記電装ユニットは、前記装置本体の上面において上方から視て前記露光手段と重ならない位置に配置されることを特徴とする。また、本発明の画像形成システムは、上記画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して処理を行うシート処理装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶装置及び制御基板を内蔵した電装ユニットが、装置本体の上面から上方に突出して設けられている。これにより、記憶装置及び制御基板が装置本体に内蔵されている場合に比べて、装置本体の設置スペースを小さくすることができる。また、電装ユニットは装置本体の背側に配置されているので、装置本体の上面の手前側に広い作業スペースを確保することができる。このため、装置本体の上面の作業スペースに手が届きにくいユーザであっても良好な作業性を得ることができる。しかも、作業スペースの奥側に電装ユニットが配置されるので、作業スペースに載置されたシートや小物類が装置本体の背側に落下することを防止でき、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略の断面図である。
【
図2】実施の形態に係る画像形成装置の装置本体の上部及び電装ユニットを示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る画像形成装置の電装ユニットと露光装置との位置関係を示す説明図である。
【
図4】実施の形態に係る画像形成装置の電装ユニットを示す側面図であり、(a)は内カバーが離脱された状態、(b)は内カバーが装着され、外カバーが離脱された状態、(
c)は外カバーが装着された状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、
図1〜
図4を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施の形態では、各図に示すように、画像形成装置2に向かって手前側を前方向F、奥側(背側)を後方向B、左側を左方向L、右側を右方向R、上側を上方向U、下側を下方向Dとしている。
【0011】
本実施の形態の画像形成システム1は、例えばプリンタである画像形成装置2と、画像形成装置2の左方向L側に隣接した例えばフィニッシャであるシート処理装置3とを備えている。本実施の形態では、画像形成装置2の一例としてタンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置2に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置2は、画像形成装置本体(以下、装置本体という)10を備えている。また、装置本体10は、シート給送部30と、画像形成部40と、シート搬送部50と、シート排出部60と、電装ユニット70と、トナー供給ユニット20とを備えている。尚、記録材であるシートSは、トナー像が形成されるものであり、具体例として、普通紙、普通紙の代用品である合成樹脂製のシート、厚紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等がある。
【0013】
シート給送部30は、装置本体10の下部に配置されており、記録紙等のシートSを積載して収容するシートカセット31と、給送ローラ32とを備え、シートSを画像形成部40に給送するようになっている。
【0014】
画像形成部40は、画像形成ユニット41と、トナー供給ユニット20に設けられたトナーボトル42と、露光装置43と、中間転写ユニット44と、2次転写部45と、定着装置46とを備え、画像形成を行うようになっている。
【0015】
画像形成ユニット41は、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色のトナー画像を形成するための4個の画像形成ユニット41y,41m,41c,41kを備えている。これらは、それぞれ装置本体10に対してユーザにより着脱可能になっている。例えば、画像形成ユニット41yは、トナー画像を形成する感
光ドラム47yと、帯電ローラ48yと、現像スリーブ49yと、不図示のドラムクリーニングブレードと、トナー等とを備えている。また、画像形成ユニット41yには、トナーが充填されたトナーボトル42yからトナーが供給される。また、他の画像形成ユニット41m,41c,41kについては、いずれもトナーの色が異なる他は画像形成ユニット41yと同様の構造となっているので、詳細な説明は省略する。
【0016】
露光装置43yは、感
光ドラム47yの表面を露光して感
光ドラム47yの表面上に静電潜像を形成する露光手段となっている。
【0017】
中間転写ユニット44は、画像形成ユニット41の下方向Dに配置されている。中間転写ユニット44は、駆動ローラ44aや1次転写ローラ44y,44m,44c,44k等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられた中間転写ベルト44bとを備えている。1次転写ローラ44y,44m,44c,44kは、感
光ドラム47y,47m,47c,47kにそれぞれ対向して配置され、中間転写ベルト44bに当接するようになっている。中間転写ベルト44bに1次転写ローラ44y,44m,44c,44kによって正極性の転写バイアスを印加することにより、感
光ドラム47y,47m,47c,47k上のそれぞれの負極性を持つトナー像が順次中間転写ベルト44bに多重転写される。これにより、中間転写ベルト44bに、フルカラー画像が形成されるようになっている。
【0018】
2次転写部45は、2次転写内ローラ45aと、2次転写外ローラ45bとを備えている。2次転写外ローラ45bに正極性の2次転写バイアスを印加することによって、中間転写ベルト44bに形成されたフルカラー画像をシートSに転写するようになっている。尚、2次転写内ローラ45aは中間転写ベルト44bの内側で該中間転写ベルト44bを張架しており、2次転写外ローラ45bは中間転写ベルト44bを挟んで2次転写内ローラ45aと対向する位置に設けられている。
【0019】
定着装置46は、定着ローラ46a及び加圧ローラ46bを備えている。定着ローラ46aと加圧ローラ46bとの間をシートSが挟持搬送されることにより、シートSに転写されたトナー像は加圧加熱されてシートSに定着されるようになっている。
【0020】
シート搬送部50は、シート給送部30から給送されたシートSを画像形成部40からシート排出部60に搬送するようになっており、2次転写前搬送経路51と、定着前搬送経路52と、排出経路53と、再搬送経路54とを備えている。
【0021】
シート排出部60は、排出経路53の下流側に配置された排出ローラ対61と、装置本体10の左方向L側の側部に配設された排出口62とを備えている。排出ローラ対61は、排出経路53から搬送されるシートSをニップ部から給送し、排出口62から排出するようになっている。排出口62は、装置本体10の左方向L側に配置されたシート処理装置3にシートSを給送可能になっている。
【0022】
電装ユニット70は、装置本体10の上面10a(
図2参照)の後方向B側で、トナー供給ユニット20の左方向L側に隣接して配置され、装置本体10の上面10aから上方に突出して設けられている。電装ユニット70は、制御部を含む画像コントローラ(制御基板)71と、リムーバブルなHDD(記憶装置)72とを内蔵している。制御部はコンピュータにより構成され、例えばCPUと、各部を制御するプログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、外部と信号を入出力する入出力回路とを備えている。CPUは、画像形成装置2の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。
【0023】
画像コントローラ71は、入出力回路を介して、シート給送部30、画像形成部40、シート搬送部50、シート排出部60、HDD72に接続され、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御するようになっている。また、画像コントローラ71は、装置本体10に接続された不図示のコンピュータからの指令や、不図示の操作パネルの操作等により、ユーザが操作や設定を可能になっている。更に、画像コントローラ71には、サービスマンが印刷用画像データの入力を行ったり、あるいは最新バージョンのファームウェアやオプションソフトのインストールを行うため、USBメモリ等のリムーバブルメディアを挿入する挿入口が設けられている。
【0024】
HDD72は、電子データを保存するためのリムーバブルな大容量記憶装置で、主に画像処理プログラム、デジタル画像データ、デジタル画像データの付帯情報を蓄積することができる。画像形成時には、HDD72から画像データが読み出される。HDD72としては、ここではディスク状記憶媒体である3.5インチのHDDを適用している。但し、本発明の記憶装置としては3.5インチのHDDには限られず、2.5インチのHDD、あるいはSSDや光磁気ディスクドライブ(MO、MD)等を適用してもよい。尚、電装ユニット70の詳細な構成については後述する。
【0025】
次に、このように構成された画像形成装置2における画像形成動作について説明する。
【0026】
画像形成動作が開始されると、まず感
光ドラム47y,47m,47c,47kが回転して表面が帯電ローラ48y,48m,48c,48kにより帯電される。そして、露光装置43y,43m,43c,43kにより画像情報に基づいてレーザ光が感
光ドラム47y,47m,47c,47kに対して発光され、感
光ドラム47y,47m,47c,47kの表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像にトナーが付着することにより、現像されてトナー画像として可視化され、中間転写ベルト44bに転写される。
【0027】
一方、このようなトナー像の形成動作に並行して給送ローラ32が回転し、シートカセット31の最上位のシートSを分離しながら給送する。そして、中間転写ベルト44bのトナー画像にタイミングを合わせて、2次転写前搬送経路51を介してシートSが2次転写部45に搬送される。更に、中間転写ベルト44bからシートSに画像が転写され、シートSは、定着装置46に搬送され、ここで未定着トナー像が加熱加圧されてシートSの表面に定着され、排出ローラ対61により排出口62から排出されてシート処理装置3に供給される。
【0028】
次に、電装ユニット70について、
図2乃至
図4を用いて詳細に説明する。
【0029】
図2に示すように、電装ユニット70は装置本体10の上面10aの後方向B側に設置されている。上面10aの電装ユニット70よりも前方向F側には、上カバー11
(第1の外装カバー)が設けられている。上カバー11の上面は平坦面
(シート積載面)になっており、作業スペース11aを形成している。即ち、装置本体10の上面10aのうち、電装ユニット70の装置本体10に関する手前側の部分が作業スペース11aになっている。作業スペース11aは、この画像形成装置2が画像形成可能なシートS1の最大サイズ(例えば、A3サイズ)より広いようにしている。
【0030】
本実施の形態では、作業スペース11aは床面4から1000mmの高さとしている。作業スペース11aの高さである1000mmは、幅広い身長のユーザにとって作業しやすい高さであるため、低身長者を含めた幅広い身長のユーザが立位にて作業スペース11aを使用した際の作業効率を向上することができる。また、車いすの利用者でも、比較的容易に作業スペース11aを利用できるようになる。尚、作業スペース11aを利用した作業としては、例えば、原稿チェックや測色作業等を行うことができる。
【0031】
図3に示すように、電装ユニット70は、真上から見た場合に、露光装置43y,43mの後方向B側の端部と重ならないように、露光装置43y,43mよりも後方向B側に配置されている。これにより、メンテナンス時に上カバー11を取り外して、露光装置43y,43mを装置本体10に対して着脱する際に、電装ユニット70が干渉することはなく、作業性の低下を抑制することができる。
【0032】
図4(a)に示すように、電装ユニット70は、画像コントローラ71及びHDD72が取り付けられるフレーム73と、フレーム73の全体に上から覆い被さる外カバー74
(第2の外装カバー)とを備えている。フレーム73は、画像コントローラ71が固着されて支持されると共に、HDD72が着脱可能に支持されている。HDD72は、フレーム73に対して左方向L側で左右方向Xに挿抜可能であり、装着により画像コントローラ71にコネクタで接続されて電気的にアクセス可能になるリムーバブルシステムが採用されている。即ち、HDD72は、電装ユニット70へ装着した場合には画像コントローラ71に接続されて画像情報を記憶可能になる。HDD72は、フレーム73に対して左方向L側で左右方向Xに挿抜可能であるので、電装ユニット70の右方向R側に配設されるトナー供給ユニット20に干渉することなく挿抜することができる。
【0033】
画像コントローラ71は、厚さ方向を前後方向にしてフレーム73の前方向F側において支持されている。HDD72は、厚さ方向を前後方向にし、かつ長手方向を左右方向にして、即ち横長に立てた姿勢でフレーム73の後方向B側において縦に2台並べて配置されている。換言すると、HDD72は、直方体形状であり、厚さ方向を装置本体10に関する前後方向に平行にして配置されている。これにより、電装ユニット70の前後方向の厚みを最小限に抑えることができ、電装ユニット70の前方向F側に広い作業スペース11aを確保することができる。
【0034】
ここで、本実施の形態では、HDD72を2台使用することにより、ミラーリングシステムを実現している。即ち、このミラーリングシステムでは、少なくとも2つの記憶媒体に対して同一の情報を記憶しておき、1つの記憶媒体で何らかの問題が生じても他の記憶媒体で補うミラー技術を使用したシステムとなっている。これにより、一方のHDD72を通常の記憶用HDDとし、他方のHDD72をコピーデータ用のミラー用HDDとしている。但し、HDD72による記憶システムは、2台のHDD72を使用するミラーリングシステムには限られず、3台以上のHDDを利用したり、あるいは単体のHDDのみでミラーリングシステムを利用しなくてもよい。
【0035】
HDD72は、横長にして立てた姿勢で、フレーム73に対して左方向L側で左右方向Xに挿抜可能になっている。
図4(b)に示すように、フレーム73のHDD72の挿抜口には、装着されたHDD72を覆い隠す内カバー75が着脱可能に設けられている。
図4(c)に示すように、電装ユニット70のフレーム73には、上方から筐体状の外カバー74が着脱可能に被せられている。
【0036】
また、画像コントローラ71の左方向L側には、USBメモリ等のリムーバブルメディアを挿入可能な挿入口が設けられている。このため、画像データ入力、ファームウェアのバージョンアップ、オプションソフトのインストール等の際に、作業者は装置本体10の前方向F側に立ち、画像コントローラ71に対してUSBメモリの挿抜作業を実行することができる。また、USBメモリは、画像コントローラ71に対して左方向L側で左右方向Xに挿抜可能であるので、電装ユニット70の右方向R側に配設されるトナー供給ユニット20に干渉することなく挿抜することができる。
【0037】
次に、上述した電装ユニット70の動作について詳細に説明する。
図2に示すように、画像形成装置2の使用時には、外カバー74が被せられているため、ユーザは画像コントローラ71やHDD72に触れてしまうことなく、画像形成装置2を使用することができる。また、電装ユニット70の手前側に広い作業スペース11aがあるので、使用者は作業スペース11aを利用してシートSを折り畳んだりシートSの順序を整理したりする等の作業を実行できる。
【0038】
HDD72に画像データが蓄積され、適宜な時期にHDD72を交換する場合は、ユーザは外カバー74を取り外す。そして、内カバー75を取り外し、HDD72を側方に抜き出す。そして、フレーム73から古いHDD72を抜き取り、新しいHDD72を差し入れることで交換する。更に、内カバー75を装着し、上から外カバー74を被せることで、交換作業が終了する。HDD72の交換作業時には、ユーザは装置本体10の前方向F側に立ち、全ての作業を正面からの立ち位置で容易に実行することができる。特にHDD72の交換作業については、ユーザは古いHDD72を左側に向けて抜き取り、新しいHDD72を右側に向けて挿入するだけなので、装置本体10の背部における作業に比べて遥かに容易な作業とすることができる。
【0039】
上述したように本実施の形態の画像形成装置2によれば、電装ユニット70が、装置本体10の上面10aから上方に突出して設けられている。これにより、電装ユニット70が装置本体10に内蔵されている場合に比べて、装置本体10の設置スペースを小さくすることができる。しかも、ユーザは電装ユニット70に対して立位で対向するので、電装ユニット70におけるHDD72の挿抜作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、電装ユニット70は装置本体10の背側に配置されているので、装置本体10の上面10aの手前側に広い作業スペース11aを確保することができる。このため、例えば車椅子の利用者のように作業スペース11aに手が届きにくいユーザであっても、手の届きやすい手前側のスペースを利用できることから良好な作業性を得ることができる。しかも、作業スペース11aの奥側に電装ユニット70が配置されるので、作業スペース11aでの作業時に載置されたシートや小物類が装置本体10の背側に落下することを防止でき、作業性を向上することができる。特に、車椅子の利用者のように作業スペース11aに手が届きにくいユーザは、作業スペース11aの手前側で作業をすることが多く、シート等を誤って奥側に押し込んでしまう可能性がある。これに対し、奥側に押し込まれた物は、作業スペース11aの奥側に配置された電装ユニット70に当接して落下しない。
【0041】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、作業スペース11aは床面4から1000mmの高さとしているので、低身長者を含めた幅広い身長のユーザが立位にて作業スペース11aを使用した際の作業効率を向上することができる。
【0042】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、電装ユニット70は装置本体10の背側に配置されている。このため、メンテナンス時に上カバー11を取り外して、露光装置43y,43mを装置本体10に対して着脱する際に、電装ユニット70が干渉することはなく、作業性の低下を抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、作業スペース11aは、画像形成部40が画像形成可能なシートSの最大サイズより広くなるようにしている。このため、この画像形成装置2により画像形成された最大サイズのシートSを作業スペース11aで広げることができるので、そのような広さが無い場合に比べて、このシートSに対する作業性を向上することができる。
【0044】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、HDD72は、直方体形状であり、厚さ方向を装置本体10に関する前後方向に平行にして配置されている。このため、そのように配置しない場合に比べて、電装ユニット70の前後方向の厚みを抑えることができ、電装ユニット70の前方向F側に広い作業スペース11aを確保することができる。
【0045】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、HDD72は複数設けられ、装置本体10に関する上下方向に並べて配置されている。このため、上下方向に並べて配置しない場合に比べて、電装ユニット70の前後方向の厚みを抑えることができ、電装ユニット70の前方向F側に広い作業スペース11aを確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、HDD72は、電装ユニット70に対して装置本体10に関する左方向L側から着脱可能になっている。このため、装置本体10の背部に内蔵されている場合のように装置本体10を手前側に移動してユーザが装置本体10の背部に回り込んで背部の蓋を開ける等の作業を行う必要は無く、HDD72の交換作業を容易化することができる。
【0047】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、電装ユニット70は、画像形成部40よりも上側に配置されている。このため、電装ユニット70が画像形成部40と同じ高さで後方向B側に設けられている場合に比べて、装置本体10の前後長(奥行)を短縮化し小型化を図ることができる。
【0048】
また、本実施の形態の画像形成装置2によれば、HDD72は、電装ユニット70に対して装置本体10に関する左方向L側で左右方向Xに挿抜可能であるようにしている。このため、電装ユニット70の右方向R側に隣接するトナー供給ユニット20に干渉することなく、HDD72の交換を行うことができ、作業性を高く維持することができる。
【0049】
上述した本実施の形態では、HDD72を電装ユニット70に対して左方向L側で左右方向Xに挿抜可能とした場合について説明したが、これには限られず、右方向R側で挿抜可能であるようにしてもよい。この場合、トナー供給ユニット20は、HDD72が干渉しないような位置に配設されることが好ましい。また、HDD72の挿抜方向は左右方向(側方)には限られず、例えば、電装ユニット70の上方向U側や前方向F側であってもよい。即ち、HDD72の挿抜方向は、後方向B側や下方向D側のように作業性の悪い方向以外であればよく、上方向、左方向、右方向、手前方向の少なくとも1つの方向から着脱可能であればよい。尚、画像コントローラ71に対するUSBメモリの挿抜方向も同様に、上方向、左右方向、手前方向の少なくとも1つの方向から着脱可能であればよい。
【0050】
また、本実施の形態では、電装ユニット70の前方向F側に画像コントローラ71を内蔵し、後方向B側にHDD72を内蔵した場合について説明したが、これには限られない。例えば、電装ユニット70の前方向F側にHDD72を内蔵し、後方向B側に画像コントローラ71を内蔵するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、シート処理装置3を有する画像形成システム1の画像形成装置2の電装ユニット70について説明したが、これには限られない。例えば、画像読取部や排出トレイを有する単体の画像形成装置の電装ユニットに適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
2…画像形成装置、10…装置本体、11a…作業スペース(平坦面)、40…画像形成部、70…電装ユニット、71…画像コントローラ(制御基板)、72…ハードディスクドライブ(記憶装置)